JP4626898B2 - 熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さ2mm以下の薄肉品に射出成形された成形品においても優れた靱性を有する熱可塑性樹脂組成物及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
特開昭50−23448号公報等で開示されている、ポリブチレンテレフタレートとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とアクリロニトリル−スチレン共重合体との熱可塑性樹脂に短繊維状ガラス充填材等の無機充填剤を配合した強化樹脂組成物は、優れた機械的性質や成形性を有するエンジニアリングプラスチックとして各種工業分野において幅広く利用されている。
【0003】
最近の傾向として製品の薄肉化が進められているが、例えばスナップフィットと呼ばれる、部品と部品とを嵌合させるための形状を射出成形で製造する場合、材料の靱性が十分でないため嵌合する以前に該当部位が破損してしまうという問題が発生したり、あるいはそれ以外の厚み2mm以下の薄肉品においても靱性の不足により製品搬送中に破損が多いという問題が発生している。この問題点を解決するには、例えば、無機充填剤の減量やゴムあるいはエラストマーを添加する方法等が一般に知られている。しかし、これらの方法で靱性を改良しようとした場合、剛性が低下してしまうという別の問題が生じる。
【0004】
また、プラスチックの大半は易燃性であるため、例えば火災に対する安全性を確保するためにUL−94(米国アンダーライターズラボラトリー規格)の垂直燃焼試験による評価においてV−0に適合するような高い難燃性が要求されることがある。この要求を満たすため、熱可塑性樹脂に各種難燃剤が配合されるが、その場合には熱可塑性樹脂が有している優れた機械物性を損なわず、かつ高い難燃性を発揮することが重要となる。
【0005】
その他、製造現場においては、製造ラインの一部不調や人的要素等により、製造ライン全体を一時的に停止せざるを得ない場合があるが、このとき製造ライン中の射出成形機内の樹脂原料は、温度を加えた状態でシリンダ−内に滞留させた状態で保持される。よって、このような場合に射出成形機内の樹脂原料が容易に変性してしまった場合、当該樹脂原料は廃棄することになるため、資源の無駄遣いにもなり、製造コスト全体を押し上げることにもなる。
【0006】
本発明の目的は、製造現場の実状にも合致する、剛性の低下がなく、薄肉成形品の靱性が優れ、更に成形加工時の熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、高い品質の製品を工業的に大量生産する観点から、汎用されている射出成形機による成形法に適用した場合においても安定した品質の製品を製造できる特定の組成物を見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は、(A)芳香族ポリエステル樹脂及び(B)ゴム質重合体の存在下にアクリロニトリルとスチレンを含む単量体を共重合させて得られた弾性グラフト共重合体と、(C)芳香族ポリカーボネート及び/又は(D)ポリメチルメタクリレートを含有する熱可塑性樹脂組成物であり、前記組成物をシリンダー温度260℃での射出成形機内で30分間滞留させた際の下記式により求められる成形品の曲げ弾性率、曲げ破断歪み量及び荷重たわみ温度の変化率が25%以下である熱可塑性樹脂組成物。
【0009】
曲げ弾性率の変化率(%)=〔(未滞留の曲げ弾性率−滞留後の曲げ弾性率)/未滞留の曲げ弾性率〕×100
曲げ破断歪み量の変化率(%)=〔(未滞留の曲げ破断歪み量−滞留後の曲げ破断歪み量)/未滞留の曲げ破断歪み量〕×100
荷重たわみ温度の変化率(%)=〔(未滞留の荷重たわみ温度−滞留後の荷重たわみ温度)/未滞留の荷重たわみ温度〕×100
本発明において、「未滞留」とは、滞留させずに射出成形したことを意味し、「滞留後」とは、所定温度及び時間で射出成形内に滞留させた後に射出成形したことを意味する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)成分の芳香族ポリエステル樹脂とは、二価以上のカルボン酸成分またはエステル形成能を持つそれら誘導体、二価以上のアルコール成分およびフェノール成分、エステル形成能を持つこれら誘導体とを公知の方法で重縮合して得られる飽和ポリエステル樹脂である。
【0011】
具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらの中でも、特に成形性、耐熱性等の性能のバランスが優れていることから、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0012】
(A)成分の含有量は、好ましくは25〜95重量%、より好ましくは30〜90重量%、更に好ましくは35〜80重量%である。
【0013】
本発明に用いられる(B)成分のゴム質重合体の存在下にアクリロニトリルとスチレンを含む単量体を共重合させて得られた弾性グラフト共重合体は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の方法で得られる。
【0014】
ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体、前記ブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。(B)成分中のゴムの含有量は、原料基準で10〜50重量%が好ましい。
【0015】
(B)成分中のアクリロニトリル単位とスチレン単位の割合は、原料基準(重量比)で好ましくは10/90〜40/60、より好ましくは15/85〜35/65である。
【0016】
単量体として、アクリロニトリルとスチレン以外に、それらと共重合可能な単量体を1種以上用いてもよい。共重合可能な単量体としては、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸等が挙げられる。共重合可能な単量体の含有量は、原料基準で30重量%以下が好ましい。
【0017】
(B)成分の含有量は、好ましくは5〜74重量%、より好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは20〜70重量%である。
【0018】
本発明に用いられる(C)成分の芳香族ポリカーボネートは、2価フェノールとホスゲン等のカーボネート前駆体とを反応させるホスゲン法、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させるエステル交換法等の公知の重合法で製造された重合体である。
【0019】
2価フェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系のものが好ましく、特にビスフェノールAが好ましい。
【0020】
カーボネート前駆体は、ジフェニルカーボネート等のジアリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ホスゲン等のカルボニルハライド、2価フェノールのジハロホルメート等のハロホルメート等から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0021】
(C)成分の含有量は、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは3〜20重量%である。
【0022】
本発明に用いられる(D)成分のポリメチルメタクリレートは、メチルメタクリレート単位を含む重合体であり、メチルメタクリレート単位の含有量は、原料基準で30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましい。(D)成分をメチルメタクリレートと共重合可能な他の単量体を用いて共重合体にする場合、他の単量体として、アクリロニトリル、N−アリールマレイミド、アルキル鎖中の炭素数が1〜8個であるアルキルエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタアクリレート等を用いることができる。
【0023】
(D)成分の含有量は、好ましくは0.1〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは3〜15重量%である。
【0024】
本発明の組成物において、(A)、(B)、(C)及び(D)成分の合計量が100重量%のとき、(A)成分の含有量は、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは35重量%以上で、(C)成分の含有量は、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。
【0025】
また、本発明の組成物において、(C)成分と(D)成分の合計含有量は、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは3〜25重量%である。
【0026】
本発明の組成物には、更に(E)成分のアクリロニトリル単位とスチレン単位を含む共重合体を配合することができる。(E)成分は、アクリロニトリル、スチレン、必要に応じてそれらと共重合可能な単量体を、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の方法で重合して得られるものである。
【0027】
共重合可能な単量体としては、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体や、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸等が挙げられる。
【0028】
(E)成分中の、原料アクリロニトリルと原料スチレンの共重合時における配合比(重量比)は、好ましくは10/90〜40/60、より好ましくは15/85〜35/65、更に好ましく20/80〜35/65である。この範囲内である場合、機械物性をバランスよく高めることができる。また、共重合可能な単量体を併用した場合には、原料単量体全量中、好ましくは30重量%以下である。
【0029】
本発明において(B)成分と(E)成分とを併用する場合、(B)及び(E)成分の合計量中における原料アクリロニトリルと原料スチレンの配合比(重量比)の平均値は、好ましくは10/90〜25/75、より好ましくは10/90〜40/60、更に好ましくは15/85〜35/65である。
【0030】
(E)成分の含有量は、好ましくは5〜74重量%、より好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは20〜70重量%である。
【0031】
本発明の組成物には、更に(F)難燃剤、(G)熱安定剤及び(H)無機充填剤から選ばれる1種以上を含有し、かつ三酸化アンチモンを含有していないことが好ましい。
【0032】
(F)成分の難燃剤は、臭素及び/又はリンを含有する化合物が好ましく、臭素又はリンを含む化合物、それらの化合物の混合物、臭素及びリンを同一分子中に含む化合物並びにこれらの化合物又は混合物を1種以上組み合わせたものが挙げられる。
【0033】
同一分子中に臭素とリンを含む化合物は、臭素を50重量%以上、リンを2重量%以上含有するものが好ましく、臭素化リン酸エステル等が挙げられる。
【0034】
臭素のみを含む化合物は、臭素を50重量%以上含むものが好ましく、例えば臭素化エポキシ、臭素化カーボネート、エチレンビスペンタブロモフェニルが挙げられる。
【0035】
リンのみを含む化合物は、リンを8重量%以上含むものが好ましく、例えば、トリフェニルホスフェートに代表されるリン酸エステル、赤リン、ポリリン酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム等が挙げられ、これらの中でも特にリン酸エステル、赤リンが機械物性の低下を抑制するために好ましい。
【0036】
(F)成分の難燃剤の配合量は、(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜40重量部、更に好ましくは10〜40重量%である。
【0037】
(G)成分の熱安定剤は、有機リン化合物、硼酸又は硫酸塩が挙げられ、有機リン化合物は亜リン酸エステルが好ましい。
【0038】
(G)成分の配合量は、(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.1〜3重量部である。
【0039】
(H)成分の無機充填剤は、短繊維、長繊維、フレーク、板、粒状等の一般的に熱可塑性樹脂の強化材として使われる形状のものが好ましい。短繊維の場合、補強効果が発現する最低限の長さ以上を有するものが好ましく、作業性や成形性を考慮すると0.5〜20mm程度の長さで5〜20μm程度の径を有するものが望ましい。
【0040】
無機充填剤の材質は、ガラス、炭素、珪素含有化合物、チタン酸カリ等の金属が好ましい。ガラス充填剤の製造法には特に制限はなく、公知の方法、例えば蒸気ないし空気吹き込み成形、炎吹き込み成形及び引張り成形等により製造されたものを使用できる。
【0041】
無機充填剤の表面は、(A)〜(D)成分との接着性を向上させるため、発明の目的を損なわない範囲で、シラン、エポキシ、アクリル、チタン三塩カップリング剤等で処理することができる。
【0042】
(H)成分の配合量は、(A)〜(D)成分又は(A)〜(F)成分の合計量100重量部に対し0.5〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部、更に好ましくは1〜60重量部である。
【0043】
本発明の組成物には、燃焼時におけるドリップ防止剤として、更に(I)フッ素系樹脂を配合することができる。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロプレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフロライド、(ビニリデンフロライド/エチレン)共重合体等が挙げられる。これらの中でも特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデンフロライドが好ましい。
【0044】
(I)成分の含有量は、(A)〜(D)成分又は(A)〜(E)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部、更に好ましくは0.5〜3重量部である。
【0045】
本発明の組成物には、更に本発明の目的を損なわない範囲で公知の添加剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料や染料等を添加してもよい。
【0046】
本発明の組成物は、全ての原料をタンブラー、ヘンシェル等の混合機で混合した後、押出機で溶融混練し、冷却後カッターでペレット化するという、公知の樹脂組成物の製造方法で製造することができる。ただし、(H)成分として短繊維を使用した場合は、その損傷を少しでも防ぐために、他のものと同時に配合せず、押出機途中でサイドフィーダーより供給して混合することが望ましい。
【0047】
本発明の組成物は、前記組成物をシリンダー温度260℃での射出成形機内で30分間滞留させた際の下記式により求められる成形品の曲げ弾性率、曲げ破断歪み量及び荷重たわみ温度の変化率が25%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。
【0048】
曲げ弾性率の変化率(%)=〔(未滞留の曲げ弾性率−滞留後の曲げ弾性率)/未滞留の曲げ弾性率〕×100
曲げ破断歪み量の変化率(%)=〔(未滞留の曲げ破断歪み量−滞留後の曲げ破断歪み量)/未滞留の曲げ破断歪み量〕×100
荷重たわみ温度の変化率(%)=〔(未滞留の荷重たわみ温度−滞留後の荷重たわみ温度)/未滞留の荷重たわみ温度〕×100
上記の各測定方法は、下記の実施例に記載されたとおりの方法である。
【0049】
本発明の成形品は、上記した組成物を公知の射出成形法等を適用して得ることができ、電器機器部品等の製造材料として使用することができる。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例では以下の成分を使用した。
(A)成分
芳香族ポリエステル樹脂:ポリプラスチックス(株)製のポリブチレンテレフタレート(商品名ジュラネックス2000)を使用した。
(B)成分
ABS樹脂:平均粒子径0.3μmのポリブタジエンラテックス40重量部の存在下に、スチレン74%、アクリロニトリル26%からなる単量体混合物60部を乳化重合した。得られたグラフト共重合体ラテックスは硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和し、洗浄、濾過、乾燥してパウダー状の弾性グラフト共重合体を得た。
(C)成分
ポリカーボネート:帝人化成(株)製のポリカーボネート(商品名パンライトL1225)を使用した。
(D)成分
PMMA:三菱レイヨン(株)製のポリメチルメタクリレート(商品名アクリペットVH)を使用した。
(E)成分
AS樹脂:アクリロニトリル23重量%とスチレン77重量%と、溶媒としてエチルベンゼンを用い、重合反応機に混合液を連続的に添加し、約120℃の温度で重合反応を行った。その後、未反応のモノマーを真空下にて除去し、共重合体の粉末を得た。
(F)成分
難燃剤−1:大八化学(株)製の臭素化リン酸エステル〔商品名CR−900(臭素含量70重量%、リン含量3重量%)〕を使用した
難燃剤−2:Etyl社製のエチレンビスペンタブロモフェニル〔商品名セイテック8010(臭素含量82重量%)〕を使用した
難燃剤−3:大八化学(株)製のリン酸エステル〔商品名PX−200(リン含量9重量%)〕を使用した
難燃剤−4:燐化学工業(株)製の商品名ノーバエクセル120(リン含量93重量%)を使用した
難燃剤−5:三酸化アンチモンを使用した
(G)成分
安定剤−1:旭電化工業(株)製のリン系安定剤(商品名アデカスタブPEP36)を使用した
安定剤−2:硼酸を使用した
安定剤−3:日本チバ・ガイギー(株)製のフェノール系安定剤(商品名イルガノックス1010)を使用した
(H)成分
無機充填剤:日本電気硝子(株)製の短繊維状ガラス充填剤(商品名ECS03T)を使用した
その他の成分
(I)成分
フッ素系樹脂:三井デュポンフロロケミカル(株)の商品名テフロン6−Jを使用した。
【0051】
実施例、比較例における試験方法は以下のとおりである。
〔曲げ弾性率、曲げ破断歪み量〕
1/16''インチの厚みを持つ射出成形片に対して、ASTM D790に基づく曲げ試験を行い、曲げ弾性率と曲げ破断歪み量を求めた。なお、「靱性」は、試験片が破断する際の破断歪み量が大きいほど高いことを示す。
〔耐熱性〕
1/4''インチの厚みを持つ射出成形片に対して、ASTM D648−82に基づく荷重たわみ試験(1.82MPa)を行ってHDT(荷重たわみ温度)を求めた。
〔難燃性〕
UL−94に基づく垂直燃焼試験を行った。
〔熱安定性〕
射出成形機(住友重機械工業(株),SH−NIV−1SH−100)を使用し、シリンダー温度260℃で30分間滞留保持させた後、成形したサンプルについて、上記と同様にして曲げ弾性率、曲げ破断歪み量及び荷重たわみ温度を測定して、(イ)〜(ハ)の各変化率を求めた。また、同時に変色や発泡の有無を目視で確認することによっても熱安定性を評価した。
【0052】
実施例1〜8及び比較例1〜4
表1に示した配合割合(%は重量%、部は重量部を示す)で、タンブラーを使って成分原料を混合した。なお、ポリブチレンテレフタレートとポリカーボネートは、120℃で3時間以上乾燥したものを使用した。また、無機充填剤(短繊維状のガラス充填剤)は他の成分と一緒に混合せず、押出機途中からサイドフィーダーを使って混合した。次に、二軸押出機を用いて溶融混練(シリンダー温度250℃)し、ペレット化した。得られたペレットを、シリンダー温度240℃、金型温度60℃で射出成形し、得られた成形品について各試験を行った。結果を表1に示す。なお、変化率は原則として減少率を示し、「+表示」したものは増加率を示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004626898
【0054】
表1から明らかなとおり、本発明の組成物は、曲げ弾性率、曲げ破断歪み量、荷重たわみ温度の変化率が全くないか非常に小さく、成形加工時の熱安定性に優れている。よって、製造ラインの一時停止が起こるという製造現場の実状を考慮しても、射出成形法を適用して高品質の製品を安定して製造できることが確認された。
【0055】
【発明の効果】
本発明の組成物により、剛性の低下がなく、薄肉成形品の靱性が優れ、かつ成形加工時の熱安定性に優れた成形品が得られる。

Claims (6)

  1. (A)芳香族ポリエステル樹脂25〜80重量%及び(B)ゴム質重合体の存在下にアクリロニトリルとスチレンを含む単量体を共重合させて得られた弾性グラフト共重合体5〜70重量%と、
    (C)芳香族ポリカーボネート〜25重量%及び/又は(D)ポリメチルメタクリレート〜15重量%を含有し、
    難燃剤として(F)臭素化エポキシ、臭素化カーボネート、エチレンビスペンタブロモフェニルから選ばれるもの(A)〜(D)成分(但し、(C)及び(D)成分はいずれか一方又は両方を含む)の合計量100重量部に対して1〜50重量部を含有し、
    熱安定剤として(G)有機リン化合物、硼酸又は硫酸塩から選ばれるものを(A)〜(D)成分(但し、(C)及び(D)成分はいずれか一方又は両方を含む)の合計量100重量部に対して0.05〜5重量部含有し、
    三酸化アンチモンを含有していない熱可塑性樹脂組成物であり、
    前記組成物をシリンダー温度260℃での射出成形機内で30分間滞留させた際の下記式により求められる成形品の曲げ弾性率、曲げ破断歪み量及び荷重たわみ温度の変化率が25%以下である熱可塑性樹脂組成物。
    曲げ弾性率の変化率(%)=〔(未滞留の曲げ弾性率−滞留後の曲げ弾性率)/未滞留の曲げ弾性率〕×100
    曲げ破断歪み量の変化率(%)=〔(未滞留の曲げ破断歪み量−滞留後の曲げ破断歪み量)/未滞留の曲げ破断歪み量〕×100
    荷重たわみ温度の変化率(%)=〔(未滞留の荷重たわみ温度−滞留後の荷重たわみ温度)/未滞留の荷重たわみ温度〕×100
  2. (A)芳香族ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートである請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 更に(E)アクリロニトリル単位とスチレン単位を含む共重合体を含有する請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 更に(H)無機充填剤から選ばれる1種以上を含有している請求項1〜3のいずれか1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 更に(I)フッ素系樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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