JPH1067922A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH1067922A
JPH1067922A JP14676697A JP14676697A JPH1067922A JP H1067922 A JPH1067922 A JP H1067922A JP 14676697 A JP14676697 A JP 14676697A JP 14676697 A JP14676697 A JP 14676697A JP H1067922 A JPH1067922 A JP H1067922A
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JP
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weight
resin composition
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monomer
vinyl
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JP14676697A
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Inventor
Tadao Fukumoto
忠男 福本
Shinichi Tamura
真一 田村
Shunei Inoue
俊英 井上
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】難燃性、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性が優れ
た熱可塑性樹脂組成物の提供。 【解決手段】(A)(a)コポリエステルと(b)芳香
族ポリカーボネートからなるポリマー混合物、ならびに
(B)芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量
体、およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体と
を含有する単量体混合物を、ゴム質重合体にグラフト共
重合してなるグラフト共重合体、及び/または(C)芳
香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体、および
これらと共重合可能な他のビニル系単量体とを含有する
単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体からな
る樹脂組成物100重量部に対し、(D)フッ素系樹脂
および/またはシリコーン0.01〜5重量部および
(E)リン含有化合物1〜40重量部を配合してなる熱
可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性に優れ、かつ
耐衝撃性、耐熱性、成形加工性が均衡して優れた塩素お
よび臭素化合物を含有しない熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】プラスチックスはすぐれた機械的性質、
成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機
器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用
されている。しかしながら、プラスチックスの大半は易
燃性であり、安全性の問題で難燃化に耐し種々の技術が
案出されてきた。
【0003】一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物
などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合
して難燃化する方法が採用されている。しかしながら、
この方法は燃焼の際の 発煙量が多い等の問題点を有し
ている。
【0004】そこで、近年これらハロゲン系難燃剤の欠
点を克服するためにハロゲンを全く含まない難燃性樹脂
が強く望まれるようになった。
【0005】PBT系アロイおよびレゾルシン型芳香族
ホスフェートオリゴマーからなる熱可塑性樹脂組成物
(欧州公開特許第491986号明細書)、ポリアルキ
レンテレフタレートとレゾルシン型芳香族ビスホスフェ
ート、メラミンシアヌレートおよび充填剤からなる熱可
塑性樹脂組成物(特開平5−70671号公報)および
ポリブチレンテレフタレートとポリカーボネート、およ
びレゾルシン型芳香族ビスホスフェートとからなる熱可
塑性樹脂組成物(特表平6−504563号公報)など
が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】射出成形品、特に家庭
用電気機器、電子機器、OA機器の部品およびそのハウ
ジング、自動車部品用としての難燃性熱可塑性樹脂組成
物は、優れた難燃性、耐衝撃性に代表される機械的特
性、成形加工性を兼備していることが要求される。
【0007】しかしながら、欧州公開特許第49198
6号公報、特開平5−70671号公報、特表平6−5
04563号公報記載の組成物は耐衝撃性が劣り満足で
きるものではなかった。
【0008】本発明は樹脂本来の特性を活かしつつ、塩
素および臭素化合物を使用することなく、耐衝撃性、成
形時の流動性、難燃性に優れた樹脂組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、特定量のシクロヘキサンジ
メタノール単位を有するコポリエステルと芳香族ポリカ
ーボネートおよびABS樹脂との混合物にフッ素系樹脂
および特定のリン酸エステルを配合することにより、上
記目的が効率的に達成されることを見出し本発明に到達
した。
【0010】すなわち、本発明は「(A)( a) エチレ
ングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールお
よびテレフタル酸の縮合単位からなり、エチレングリコ
ール単位とシクロヘキサンジメタノール単位のモル比が
95/5〜10/90であるコポリエステル95〜5重
量%と( b) 芳香族ポリカーボネート5〜95重量%か
らなるポリマー混合物、ならびに (B)芳香族ビニル系単量体20〜90重量%とシアン
化ビニル系単量体1〜60重量%、およびこれらと共重
合可能な他のビニル系単量体0〜79重量%とを含有す
る単量体混合物99〜20重量部を、ゴム質重合体1〜
80重量部にグラフト共重合してなるグラフト共重合
体、及び/または (C)芳香族ビニル系単量体20〜90重量%とシアン
化ビニル系単量体1〜60重量%、およびこれらと共重
合可能な他のビニル系単量体0〜79重量%とを含有す
る単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体から
なる樹脂組成物(イ)(ただし(A)成分:10〜98
重量%、(B)成分および(C)成分の和90〜2重量
%である)100重量部に対し、 (D)フッ素系樹脂0.01〜5重量部および/または
シリコーン0.01〜5重量部ならびに (E)リン含有化合物1〜40重量部を配合してなる熱
可塑性樹脂組成物」である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。なお本発明においては、「重量」とは「質量」を意
味する。
【0012】本発明で用いる(A)成分を構成するコポ
リエステル(a)は市販品を入手できる。例えば、ポリ
(エチレンシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)
として知られるコポリエステル材料がイーストマン・コ
ダック社から”イースターGN002”および”イース
ター DN003”なる商品名で市販されている。本発
明において用いられるコポリエステル(A)は、フェノ
ールとテトラクロロエタンの60/40(重量比)混合
溶媒中で25℃で測定したときの対数粘度が好ましくは
0.4〜2.0dl/g、より好ましくは、0.6〜
1.2dl/gである。
【0013】また、本発明において用いられるコポリエ
ステル( a) はその酸成分またはジオール成分の20モ
ル%以下、好ましくは10モル%以下の範囲で、イソフ
タル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフ
タレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−
ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカル
ボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)−
エタン、コハク酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、ドデカジオン酸、オクタデカンジカ
ルボン酸、ダイマー酸および1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸などの他のジカルボン酸またはプロピレング
リコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタ
ンジオール、1,10−デカンジオール、1,3−シク
ロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメ
タノール、および2,2−ビス(2’−ヒドロキシエト
キシフェニル)プロパンなどの他のジオールで置換した
ものも用いることができる。
【0014】コポリエステル(a)は構成成分であるエ
チレングリコール単位とシクロヘキサンジメタノール単
位のモル比が10/90〜95/5、好ましくは20/
80〜80/20である。コポリエステルが該モル比の
範囲をはずれた場合には、難燃性と耐衝撃性を代表とす
る機械的特性が均衡して優れる組成物が得られないので
好ましくない。
【0015】本発明における(A)成分を構成する(
b) 芳香族ポリカ−ボネ−トとしては、一般には2,2
−ビス(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−
オキシフェニル)エ−テル系、ビス(4−オキシフェニ
ル)スルホン、スルフィドまたはスルホキサイド系など
のビスフェノ−ル類からなる重合体、もしくは共重合体
である。芳香族ポリカ−ボネ−トは任意の方法によって
製造される。例えば、4,4´−ジヒドロキシジフェニ
ル−2,2−プロパン(通称ビスフェノ−ルA)からの
ポリカ−ボネ−トの製造には、苛性アルカリ水溶液およ
び溶剤存在下にホスゲンを吹き込んで製造するホスゲン
法、または4,4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2
−プロパンと炭酸ジエステルとを触媒存在下でエステル
交換させて製造する方法などが利用できる。
【0016】芳香族ポリカ−ボネ−トの分子量は特に制
限されないが、テトラヒドロフラン溶媒で30℃測定の
極限粘度が0.30〜0.60dl/g、特に0.35
〜0.50dl/gの範囲のものが得られる熱可塑性樹
脂組成物の耐衝撃性と溶融成形時の流動性のバランスに
優れ好ましい。
【0017】本発明における(A)成分は(a)コポリ
エステル95〜5重量%、好ましくは70〜10重量
%、(b)芳香族ポリカーボネート5〜95重量%、好
ましくは30〜90重量%の範囲からなる。(a)コポ
リエステルの割合が95重量%を越えると得られる樹脂
組成物の耐熱性、耐衝撃性、難燃性が悪くなり、5重量
%未満では、成形加工性が悪くなる傾向がある。
【0018】本発明における(B)グラフト共重合体と
は、ゴム質重合体1〜80重量部に、芳香族ビニル系単
量体とシアン化ビニル系単量体の単量体混合物99〜2
0重量部をグラフト重合して得られるグラフト共重合体
である。ここでいう(B)グラフト共重合体とは、ゴム
質重合体にグラフト共重合した構造をとった材料の他
に、グラフトしていない共重合体を含むものである。
【0019】上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ま
しく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、
アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系
ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポ
リイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共
重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまた
はブタジエン共重合体が好ましい。
【0020】ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限され
ないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6
0μm、特に0.18〜0.40μmのものが耐衝撃
性、難燃性、色調に優れ好ましい。
【0021】芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。
【0022】シアン化ビニル系単量体としてはアクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルな
どが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0023】また必要に応じて、グラフト共重合可能な
ビニル系単量体、例えばマレイミド、N−メチルマレイ
ミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量
体、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、
n−ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸アルキルエ
ステルなどが使用できる。さらにアクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコ
ン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水
物、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロ
キシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルな
どの官能基を有するビニル系単量体を用いることで、
(A)成分との相溶性が一層改善され、得られる樹脂組
成物の機械的特性を向上させることができる。
【0024】(B)グラフト共重合体において用いる単
量体混合物は、芳香族ビニル系単量体が20重量%以
上、好ましくは22重量%以上、また90重量%以下、
好ましくは80重量%以下の範囲、またシアン化ビニル
系単量体が1重量%以上、好ましくは2重量%以上、ま
た60重量%以下、好ましくは50重量%以下の範囲の
含有量のものが用いられる。芳香族ビニル系単量体、シ
アン化ビニル系単量体以外に、これらと共重合可能な他
のビニル系単量体を添加することができ、その量として
は79重量%以下、さらに76重量%以下の配合量が好
ましく用いられる。芳香族ビニル系単量体の割合が20
〜90重量%の範囲をはずれた場合は、樹脂組成物の耐
衝撃性が劣る傾向がある。シアン化ビニル系単量体の割
合が60重量%を越える場合は、グラフト共重合体の熱
安定性が著しく低下し、また色調の悪い樹脂組成物とな
る傾向がある。
【0025】(B)グラフト共重合体を得る際のゴム質
重合体と単量体混合物との割合は、全グラフト共重合体
100重量部中、ゴム質重合体1重量部以上、好ましく
は5重量部以上、また80重量部以下、好ましくは70
重量部以下が用いられる。また単量体混合物は99重量
部以下、好ましくは95重量部以下、また20重量部以
上、好ましくは30重量部以上である。ゴム質重合体の
割合は0でも本発明の目的を達成できるが、樹脂組成物
の耐衝撃性を一層向上させる上で、1重量部以上が好ま
しく、または樹脂組成物の良好な成形品外観を得るには
80重量部以下が好ましい。
【0026】(B)グラフト共重合体は公知の重合法で
得ることができる。例えばゴム質重合体ラテックスの存
在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に溶解
したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供給し
て乳化重合する方法などによって得ることができる。
【0027】(B)グラフト共重合体は、ゴム質重合体
にグラフトした構造をとった材料の他に、グラフトして
いない共重合体を含有する。(B)グラフト共重合体の
グラフト率は特に制限がないが、耐衝撃性、難燃性およ
び光沢が均衡して優れる樹脂組成物を得るために20〜
120重量%、特に30〜70重量%が好ましい。ここ
で、グラフト率は次式により算出される。 グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合した
ビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有
量>×100
【0028】グラフトしていない共重合体の特性として
は特に制限されないが、(B) グラフト共重合体のメチル
エチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃で測定)
が、0.25〜0.6dl/g、特に0.30〜0.5
5dl/gの範囲が、優れた耐衝撃性の樹脂組成物が得
られるため、好ましく用いられる。
【0029】本発明の樹脂組成物では、必要に応じて芳
香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体から
誘導される重合構造を有するビニル系共重合体(c) が配
合される。芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、α
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルス
チレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレンなどが挙
げられるが、特にスチレンが好ましい。これらは1種ま
たは2種以上を用いることができる。
【0030】またシアン化ビニル系単量体としてはアク
リロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニ
トリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好
ましい。
【0031】また必要に応じて、他のビニル系単量体、
例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロ
ヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマ
レイミド系単量体、(メタ)アクリル酸のメチル、エチ
ル、プロピル、n−ブチルなどのエステル化合物などが
用いられる。さらに、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などの
カルボキシル基を含有するビニル系単量体、アクリル酸
グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グ
リシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエ
ーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリ
シジルスチレンなどのエポキシ基を含有するビニル系単
量体、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルア
ミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタ
クリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニル
アミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチ
ル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルア
ミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルア
リルアミン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミ
ド、N−プロピルメタクリルアミド、アミノ基がベンゼ
ン環に結合したスチレンなどのアミノ基または置換アミ
ノ基を有するビニル系単量体、アクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリ
ル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロ
キシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタ
ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6
−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,
5−テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,
4,5−テトラヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−
1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4
−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ
−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロ
ペン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス
−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、1,4−ジヒドロキ
シ−2−ブテンなどのヒドロキシル基を有するビニル系
単量体から誘導される重合構造を含有させることによ
り、(A)成分と(B)成分および(C)成分の相溶性
が向上し、樹脂組成物の機械的特性を一層向上させるこ
とができる。
【0032】ここで、単量体混合物から誘導される各成
分の比は芳香族ビニル系単量体のものが、20重量%以
上、好ましくは40重量%以上、また90重量%以下、
好ましくは80重量%以下であり、シアン化ビニル系単
量体のものが1重量%以上、好ましくは2重量%以上、
また60重量%以下好ましくは50重量%以下である。
他のビニル系単量体が79重量%以下、好ましくは58
重量%以下である。
【0033】(C)ビニル系共重合体において、芳香族
ビニル系単量体に起因するものが20〜90重量%の範
囲を外れた場合は樹脂組成物の耐衝撃性が悪くなり好ま
しくない。また、(C) ビニル系共重合体の分子量として
は特に制限がないが、極限粘度[η](N,N−ジメチ
ルホルムアミド溶媒、30℃測定)が0.35〜0.8
5dl/g、特に0.4〜0.6dl/gの範囲のもの
が、優れた耐衝撃性、成形加工性の樹脂組成物が得られ
ることから好ましく用いられる。
【0034】(C)ビニル系共重合体の製造法は特に制
限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状
−懸濁重合法、溶液−塊状重合法など通常の方法を用い
ることができる。
【0035】本発明で定義される樹脂組成物(イ)は、
上記で説明したポリマ混合物(A)、グラフト共重合体
(B)およびビニル系共重合体(C)からなるものであ
る。ポリマー混合物(A)は10重量%以上、好ましく
は40重量%以上、また98重量%以下、好ましくは9
5重量%以下の範囲で配合される。またグラフト共重合
体(B)およびビニル系共重合体(C)の少なくとも1
種類の共重合体が配合され、成分(B)および成分
(C)の合計が、樹脂組成物(イ)において2重量%以
上、好ましくは5重量%以上、また90重量%以下、好
ましくは60重量%以下の割合で配合される。
【0036】さらに好ましい配合量としては、2とおり
のものがあり、ひとつとしては、前記の配合量ととも
に、樹脂組成物(イ)において、(C)成分が2〜90
重量%のものである。もうひとつの好ましい配合量とし
て、樹脂組成物(イ)において、(B)成分が、2〜9
0重量%、(C)成分が0〜88重量%のものである。
【0037】後者の場合には、グラフト共重合体(B)
は90重量%以下、好ましくは60重量%以下、また2
重量%以上、好ましくは5重量%以上の範囲で配合され
る。またビニル系共重合体(C)は88重量%以下、好
ましくは55重量%以下、また0重量%以上、好ましく
は1重量%以上、またさらに好ましくは5重量%以上の
範囲となるように配合される。
【0038】ポリマー混合物(A)が樹脂組成物(イ)
に対して10重量%未満では難燃性、耐衝撃性が悪くな
り、98重量%を越える場合は、耐衝撃性が悪くなり好
ましくない。
【0039】本発明の組成物では、(D)フッ素系樹脂
またはシリコーンが配合される。ここでこれらの併用も
可能である。フッ素系樹脂とは、テトラフルオロエチレ
ン構造を含有する重合体であり、好ましくはフッ素含量
65〜76重量%、さらに好ましくは70〜76重量%
を有するものである。例えばテトラフルオロエチレン重
合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体、およびテトラフルオロエチレンとフッ素
を含まないエチレン性不飽和モノマ−との共重合体など
が挙げられる。
【0040】フッ素系樹脂の製造方法は特に制限がな
く、例えば水性媒体中で、触媒ペルオキシ二硫酸ナトリ
ウム、カリウムまたはアンモニウムを用いて、7〜71
kg/cm2 の圧力下、0〜200℃の温度において、
テトラフルオロエチレン等の重合を行うなどの公知の方
法を用いることができる。
【0041】フッ素系樹脂は、通常比重2.0〜2.5
g/cm3,融点310〜350℃の粉末状のものが用
いられるが、特に制限されない。またフッ素系樹脂の形
状は任意であるが、好ましくはASTM D1457で
測定された粒子径(二次)10〜600μmである粉末
状のものが用いられる。
【0042】本発明におけるフッ素系樹脂(D)の添加
量は、成形品の難燃性や機械物性の面から樹脂組成物
(イ)100重量部に対して0.01〜5重量部、好ま
しくは0.05〜2重量部、より好ましくは0.1〜1
重量部である。(D)フッ素系樹脂の配合量が0.01
重量部未満では熱可塑性樹脂組成物の難燃性が悪くな
り、5重量部を越える場合は熱可塑性樹脂組成物の耐衝
撃性が悪くなり好ましくない。
【0043】もうひとつの(D)成分であるシリコーン
とは、オルガノポリシロキサンであり、ジメチルシロキ
サンの重合体、フェニルメチルシロキサンの重合体、ジ
フェニルシロキサンの重合体、メチルエチルシロキサン
の重合体、メチルプロピルシロキサンの重合体、さらに
これらの共重合体などが挙げられる。さらに分子構造の
末端または側鎖が、エポキシ基,水酸基、カルボキシル
基、メルカプト基、アミノ基、エーテル結合を有する有
機基などによって置換された変性シリコーンも有用であ
る。シリコーンの数平均分子量としては特に制限されな
いが、その下限としては200、さらに1000である
ことが好ましく、また上限としては、5,000,00
0の範囲が好ましい。シリコーンの形状としては、オイ
ル、ガム、ワニス、粉体、ペレットなど任意のものが使
用できる。
【0044】シリコーンの添加量は、成形品の難燃性や
機械物性の面から樹脂組成物(イ)100重量部に対し
て0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量
部、より好ましくは0.1〜1重量部である。(D)フ
ッ素系樹脂の配合量が0.01重量部未満では熱可塑性
樹脂組成物の難燃性が悪くなり、5重量部を越える場合
は熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が悪くなり好ましくな
い。
【0045】本発明で用いられる(E)リン含有化合物
とは、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、ベンゾグア
ナミンなどのトリアジン系化合物で変性したポリリン酸
アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ホスファゼン
系化合物、赤燐などの無機系リン化合物、および下記式
(I)の有機系リン化合物が挙げられる。
【0046】
【化2】 (ただし上記式R1 〜R9 は、同一または相異なる水素
原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またAr
1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 、Ar5 、Ar6 、Ar7
は同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含
有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。ま
た、Yは直接結合、O、S、SO2 、C(CH3 2
CH2 、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。ま
た、nは0以上の整数である。またk、mはそれぞれ0
以上2以下の整数であり、かつk+mは0以上2以下の
整数である。)
【0047】まず前記式(I)で表される難燃剤の構造
について説明する。前記式(I)の式中k、mは、それ
ぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは、0以上
2以下の整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0
以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1
である。
【0048】またnとしては、数平均重合に換算した場
合、nは0.5以上であることが好ましい。この値はG
PC(Gel Permeation Chromatography )によって測定
できる。
【0049】また前記式(I)の式中、R1 〜R9 は同
一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基
を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基、n−ペンチル基、2ーペンチル基、3−ペン
チル基、ネオペンチル基などが挙げられるが、水素、メ
チル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好まし
い。
【0050】またAr1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 は同
一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有し
ない有機残基で置換されたフェニル基を表す。具体例と
しては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル
基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリ
ル基などが挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシ
リル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェ
ニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
【0051】またYは直接結合、O、S、SO2 、C
(CH3 2 、CH2 、CHPhを表し、Phはフェニ
ル基を表す。
【0052】前記式(I)で表されるリン含有化合物は
下記化学反応式(II)にしたがって製造することができ
る。
【0053】
【化3】 (上式で、各官能基の説明は(I)の場合と同じ。)
【0054】本発明で用いられる(E)リン含有化合物
は必要に応じて、シアヌール酸またはイソシアヌール酸
とメラミンなどのトリアジン系化合物とからなる塩を併
用することもできる。
【0055】本発明における(E)リン含有化合物の配
合量は樹脂組成物(イ)100重量部に対し、1〜40
重量部、好ましくは4〜30重量部である。(E)リン
含有化合物の配合量が1重量部未満では難燃性が悪くな
り、40重量部を越える場合は熱可塑性樹脂組成物の耐
衝撃性が悪くなり好ましくない。
【0056】本発明の組成物には(F)フェノール系樹
脂をさらに配合することができる。このような樹脂は、
フェノール性水酸基を複数有する高分子であれば任意で
あり、例えばノボラック型、レゾール型および熱反応型
の樹脂、あるいはこれらを変性した樹脂が挙げられる。
(F)フェノール系樹脂は特に限定するものではなく市
販されているものなどが用いられる。例えば、ノボラッ
ク型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド
類のモル比を1:0.7〜1:0.9となるような比率
で反応槽に仕込み、更にシュウ酸、塩酸、硫酸、トルエ
ンスルホン酸等の触媒を加えた後、加熱し、所定の時間
還流反応を行う。生成した水を除去するため真空脱水あ
るいは静置脱水し、更に残っている水と未反応のフェノ
ール類を除去する方法により得ることができる。これら
の樹脂あるいは複数の原料成分を用いることにより得ら
れる共縮合フェノール樹脂は単独あるいは二種以上用い
ることができる。
【0057】また、レゾール型フェノール樹脂の場合、
フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2
となるような比率で反応槽に仕込み、水酸化ナトリュウ
ム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加
えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の反応およ
び処理をして得ることができる。
【0058】ここで、フェノール類とはフエノール、o
−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモ
ール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブ
チルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−
メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニル
−2,2−プロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル
酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert
−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフ
ェノール類は一種または二種以上用いることができる。
一方、アルデヒド類とはホルムアルデヒド、パラホルム
アルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙
げられる。これらのアルデヒド類は必要に応じて一種ま
たは二種以上用いることができる。
【0059】フェノール系樹脂の分子量は特に限定され
ないが、好ましくは数平均で300〜2,000であ
り、特に500〜1,500の範囲のものが機械的物
性、成形加工性、経済性に優れ好ましい。なおフェノー
ル系樹脂はテトラヒドラフラン溶液、フェノール樹脂標
準サンプルを使用することによりゲルパーミエーション
クロマトグラフィ法で測定できる。
【0060】本発明におけるフェノール樹脂(F)の添
加量は、成形品の難燃性や機械物性、なかでも耐衝撃性
の観点から樹脂組成物(イ)100重量部に対して0〜
20重量部、好ましくは0〜10重量部、より好ましく
は0.1〜5重量部である。
【0061】本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては
特に制限はなく、例えば(1)(A)(a)コポリエス
テルと(b)芳香族ポリカーボネートを予め溶融混練し
たポリマーブレンド物、(B)グラフト共重合体、
(C)ビニル系共重合体、(D)フッ素系樹脂および
(E)リン含有化合物の混合物をバンバリーミキサー、
ロール、エクストルーダー、ニーダーなどで溶融混練、
(2)( a) コポリエステル、( b) 芳香族ポ
リカーボネート、(B)グラフト共重合体、(C)ビニ
ル系共重合体、(D)フッ素系樹脂および(E)リン含
有化合物の混合物をバンバリーミキサー、ロール、エク
ストルーダー、ニーダーなどで溶融混練することによっ
て製品化される。
【0062】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の熱
可塑性樹脂を配合することができる。例えば、ポリフェ
ニレンエーテル、ポリグルタルイミドなどを混合して耐
衝撃性、耐熱性の改良を、またエポキシ基含有ポリオレ
フィン、ポリアミドなどを混合して、難燃性、耐薬品性
を改良することができる。さらに必要に応じて、ガラス
繊維、タルク、チタン酸カリウイスカなどの充填剤、ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤などの
各種安定剤、顔料、染料、滑剤および可塑剤などを添加
することもできる。
【0063】本発明の熱可塑性樹脂組成物は溶融成形さ
れて、樹脂成形品となり用いることができる。
【0064】この樹脂成形品は、その難燃性をはじめと
する特徴からOA機器、家電機器などのハウジングおよ
びそれらの部品類に有用である。とりわけ、最小厚みが
2mm以下の筐体成形品においても、十分な難燃性が得
られることから、様々なOA機器や家庭電化製品などに
幅広く用いることができる。
【0065】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施
例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示
す。
【0066】参考例1 (A)ポリマー混合物の調製 <A−1>テレフタル酸をジカルボン酸成分とし、エチ
レングリコール単位とシクロヘキサンジメタノール単位
のモル比が70/30と推定される”イースター”GN
002(イーストマン・コダック社製)20%とテトラ
ヒドロフラン溶媒で、30℃測定の極限粘度が0.48
dl/gである芳香族ポリカーボネート80%の混合物
を2軸押出機で溶融混練して<A−1>を調製した。
【0067】<A−2>テレフタル酸をジカルボン酸成
分とし、エチレングリコール単位とシクロヘキサンジメ
タノール単位のモル比が30/70と推定される”イー
スター”DN002(イーストマン・コダック社製)6
0%とテトラヒドロフラン溶媒で、30℃測定の極限粘
度が0.48dl/gである芳香族ポリカーボネート4
0%の混合物を2軸押出機で溶融混練して<A−2>を
調製した。
【0068】<A−3>エチレングリコール単位とシク
ロヘキサンジメタノール単位のモル比が70/30と推
定される”イースター”GN002(イーストマン・コ
ダック社製)を使用した。
【0069】<A−4>テトラヒドロフラン溶媒で、3
0℃測定の極限粘度が0.48dl/gである芳香族ポ
リカーボネートを使用した。
【0070】<A−5>ポリブチレンテレフタレートで
あるPBT1200(東レ(株)製)を使用した。
【0071】参考例2 (B)グラフト共重合体の調製 以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフ
ト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体
の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この
溶液を8000rpm(10,000G)30分遠心分
離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間
減圧乾燥し、重量(n)を測定した。◎ グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]
×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0072】<B−1>ポリブタジエンラテックス(平
均ゴム粒子径0.32μ、ゲル含率88%)60部
(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニ
トリル30%からなる単量体混合物40部を乳化重合し
た。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソ
ーダで中和、洗浄、ろ過、乾燥してパウダー状のグラフ
ト共重合体(B−1)を調製した。
【0073】得られたグラフト共重合体はB−1と同じ
方法で測定し、グラフト率が38%であった。このグラ
フト共重合体はスチレン構造単位70%およびアクリロ
ニトリル構造単位30%からなる非グラフト性の共重合
体を17%含有するものであった。またメチルエチルケ
トン可溶分の極限粘度は0.37dl/gであった。 <B−2>ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径
0.21μ、ゲル含率80%)45部 (固形分換算)
の存在下でスチレン79%、アクリロニトリル21%か
らなる単量体混合物55部を乳化重合した。得られたグ
ラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗
浄、ろ過、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合体
(B−2)を調製した。
【0074】得られたグラフト共重合体はグラフト率が
41%であった。またこのグラフト共重合体には、スチ
レン構造単位79%およびアクリロニトリル構造単位2
1%からなる非グラフト性の共重合体を36%含有する
ものであった。またメチルエチルケトン可溶分の極限粘
度は0.43dl/gであった。 参考例3 (C)ビニル系共重合体の調製 <C−1>スチレン72%、アクリロニトリル28%の
単量体混合物を懸濁重合して共重合体 (C−1)を調
製した。得られた共重合体はN,N−ジメチルホルムア
ミド可溶分の極限粘度が0.61dl/gであった。 <C−2>スチレン50%、N−フェニルマレイミド3
0%、アクリロニトリル20%、の単量体混合物を乳化
重合して共重合体(C−2)を調製した。
【0075】得られた共重合体はN,N−ジメチルホル
ムアミド可溶分の極限粘度が0.56dl/gであっ
た。
【0076】参考例4 (D)フッ素系樹脂またはシリ
コーン <D−1>ポリテトラフルオロエチレンであるポリフロ
ンF201(ダイキン工業(株)製) (ASTM D
1457で測定の粒子径(二次)が0.5mm、融点3
40℃)を使用した。
【0077】<D−2>エポキシ基変性シリコーンであ
る“トレフィル”E−601(東レ・ダウコーニング・
シリコーン(株)製)を使用した。
【0078】参考例5 (E)リン含有化合物 下記化学構造式(A)、(B)、(C)、(D)のもの
を使用した。
【0079】
【化4】
【0080】参考例6 (F)フェノール樹脂 数平均分子量700のノボラック型フェノール樹脂(P
R−53195、住友デュレズ(株)製)を使用した。
【0081】実施例1〜17 参考例で示した(A)ポリマー混合物、(B)グラフト
共重合体、(C)ビニル系共重合体、(D)フッ素系樹
脂、(E)リン含有化合物、および(F)フェノール樹
脂を表1に示した配合比で混合し、ベント付30mmφ2
軸押出機で樹脂温度220℃で溶融混練、押出しを行う
ことによって、ペレット状のポリマを製造した。次いで
射出成形機により、シリンダー温度220℃、金型温度
60℃で試験片を成形し、次の条件で物性を測定した。
【0082】1/4″アイゾット衝撃強さ:ASTM
D256−56A 1/8″アイゾット衝撃強さ:ASTM D256−5
6A 熱変形温度:ASTM D648(試験厚:1/4”、
18.56kg/cm2荷重) MFR(メルトフローレート値):JIS K7210
(220℃、2160g) 大きい値を示す方が成形時の流動性良好であることを意
味する。 難燃性:UL94規格に従い、垂直型燃焼テストを1/
16″×1/2″×5″の燃焼試験片で行った。
【0083】得られた試験片の測定結果を表2に示し
た。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】比較例1〜10 参考例で調製した(A)ポリマー混合物、(B)グラフ
ト共重合体、(C)ビニル系共重合体、(D)フッ素系
樹脂、および(E)リン酸エステルを表1に示した配合
比で混合し、実施例と同様の方法で各物性を測定した。
ただし比較例9は樹脂温度250℃で溶融混練、押し出
しを行い、得られた材料をシリンダー温度250℃、金
型温度60℃で試験片を成形した。これらの測定結果を
表2に示した。
【0087】表2の結果から次のことが明らかである。
本発明の樹脂組成物(実施例1〜17)はいずれも耐衝
撃性、耐熱性、流動性(MFR値)および難燃性が均衡
して優れる。また、2mm以下の厚みでも十分な難燃性
が得られている。
【0088】一方、ポリマー混合物(A)の配合量が9
8重量%を越える場合(比較例1)は耐衝撃性、流動性
が劣り、10重量%未満の場合(比較例2)は難燃性が
劣り好ましくない。
【0089】(D)成分の配合量が0.01重量部未満
の場合(比較例3)は難燃性が劣り、5重量部を越える
場合(比較例4)は耐衝撃性が悪くなるので好ましくな
い。
【0090】リン含有化合物(E)の配合量が1重量部
未満の場合(比較例5)は難燃性が劣り、40重量部を
越える場合(比較例6)は耐衝撃性、耐熱性が悪くなり
好ましくない。
【0091】(A)成分に(a)コポリエステルまたは
(b)芳香族ポリカーボネートのみを使用した場合(比
較例7、8)は耐熱性が悪くなったり、流動性が悪くな
ったりして好ましくない。
【0092】また、本発明以外の(a)コポリエステル
を使用した場合(比較例9)は耐衝撃性、流動性が悪く
なり好ましくない。
【0093】また、本発明以外の(E)リン含有化合物
を使用した場合(比較例10)は耐熱性が悪くなり好ま
しくない。
【0094】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、臭素お
よび塩素化合物を必ずしも必要とせず、すぐれた難燃
性、耐衝撃性、耐熱性、成形時の流動性をもつものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 69/00 C08L 69/00 //(C08L 67/02 69:00 51:04 25:12 27:18 83:00 61:06)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)エチレングリコール、1,4
    −シクロヘキサンジメタノールおよびテレフタル酸の縮
    合単位からなり、エチレングリコール単位とシクロヘキ
    サンジメタノール単位のモル比が95/5〜10/90
    であるコポリエステル95〜5重量%と(b)芳香族ポ
    リカーボネート5〜95重量%からなるポリマー混合
    物、ならびに (B)芳香族ビニル系単量体20〜90重量%とシアン
    化ビニル系単量体1〜60重量%、およびこれらと共重
    合可能な他のビニル系単量体0〜79重量%とを含有す
    る単量体混合物99〜20重量部を、ゴム質重合体1〜
    80重量部にグラフト共重合してなるグラフト共重合
    体、及び/または (C)芳香族ビニル系単量体20〜90重量%とシアン
    化ビニル系単量体1〜60重量%、およびこれらと共重
    合可能な他のビニル系単量体0〜79重量%とを含有す
    る単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体から
    なる樹脂組成物(イ)(ただし(A)成分:10〜98
    重量%、(B)成分および(C)成分の和90〜2重量
    %である)100重量部に対し、 (D)フッ素系樹脂0.01〜5重量部および/または
    シリコーン0.01〜5重量部ならびに (E)リン含有化合物1〜40重量部を配合してなる熱
    可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】樹脂組成物(イ)100重量部に対し、フ
    ェノール樹脂(F)0.1〜20重量部をさらに添加し
    てなる請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(E)リン含有化合物が下記一般式(I)
    で表される化合物を必須成分とすること特徴とする請求
    項1記載の熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 (ただし上記式R1 〜R9 は、同一または相異なる水素
    原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またAr
    1 〜Ar4 は同一または相異なるフェニル基あるいはハ
    ロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を
    表す。また、nは0以上の整数である。またk、mはそ
    れぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは0以上
    2以下の整数である。)
  4. 【請求項4】一般式(I)で表される化合物の式中、
    k、mがそれぞれ1である請求項1〜3いずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】一般式(I)で表わされる化合物の式中、
    Ar1 〜Ar7 が同一または相異なるフェニル、トリ
    ル、キシリル基のいずれかである請求項3または4記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】最小厚みが2mm以下である筐体成形品で
    あることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001234040A (ja) * 2000-02-23 2001-08-28 Daicel Chem Ind Ltd 熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JP2002105300A (ja) * 2000-10-02 2002-04-10 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2002519462A (ja) * 1998-06-26 2002-07-02 バイエル アクチェンゲゼルシャフト 防炎性ポリカーボネート/absプラスチック成形材料
JP2008103299A (ja) * 2006-09-21 2008-05-01 Auto Network Gijutsu Kenkyusho:Kk 絶縁電線およびワイヤーハーネス

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