JPH101580A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH101580A
JPH101580A JP15220096A JP15220096A JPH101580A JP H101580 A JPH101580 A JP H101580A JP 15220096 A JP15220096 A JP 15220096A JP 15220096 A JP15220096 A JP 15220096A JP H101580 A JPH101580 A JP H101580A
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JP
Japan
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weight
monomer
resin composition
group
parts
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JP15220096A
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English (en)
Inventor
Tadao Fukumoto
忠男 福本
Shinichi Tamura
真一 田村
Shunei Inoue
俊英 井上
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレン系樹脂の耐衝撃性に代表される機械
的特性、成形加工性を損なうことなく、すぐれた難燃性
を有する熱可塑性樹脂を得る。 【解決手段】(A)芳香族ビニル系単量体10〜99重
量%、分子内に重合性二重結合およびリン酸エステルを
有するリン含有ビニル系単量体1〜50重量%、および
これらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜89重量
%を含有する単量体混合物を共重合してなる変性ビニル
系共重合体1〜99重量%、(B)芳香族ビニル系単量
体を10〜90重量%含有する単量体混合物99〜20
重量部を、ゴム質重合体1〜80重量部にグラフト共重
合してなるグラフト共重合体1〜99重量%、(C)芳
香族ビニル系単量体10〜90重量%を含有する単量体
混合物を共重合してなるビニル系共重合体0〜98重量
%からなる(イ)樹脂組成物100重量部に対し、
(D)リン含有化合物1〜60重量部、および(E)窒
素含有化合物0〜40重量部を配合してなる熱可塑性樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はスチレン系樹脂本来
の機械的特性(耐衝撃性、剛性、耐熱性)、成形加工性
および成形品の外観を損なうことなく難燃性に優れた熱
可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックスはすぐれた機械的性質、
成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機
器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用
されている。しかしながら、プラスチックスの大半は易
燃性であり、安全性の問題で難燃化に対し種々の技術が
案出されてきた。
【0003】一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物
などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合
して難燃化する方法が採用されている。しかしながら環
境への影響から、塩素および臭素を含有しない難燃剤を
用いることが強く望まれるようになった。
【0004】これまで、塩素および臭素系難燃剤を使わ
ずに熱可塑性樹脂を難燃化する方法としてはスチレン系
樹脂に赤リンと金属酸化物を配合する方法(特開平4−
106140号公報)および赤リンと有機リン化合物を
配合する方法(特開平4−106142号公報)、ゴム
強化ポリスチレン系樹脂にポリリン酸アンモニウムとペ
ンタエリスリト−ル等のポリヒドロキシ化合物およびシ
ランカップリング剤を配合する方法(特開平5−140
412号公報)、熱可塑性樹脂にメラミン被覆ポリリン
酸アンモニウムと特定の含窒素有機化合物を配合する方
法(特開平6−340815号公報)、熱可塑性樹脂に
少量のフェノール樹脂と難燃剤を配合する方法(特開平
7−53879号公報)、ジフェニル−2−メタクリロ
イルオキシエチルホスフェートなどの(メタ)アクリル
酸官能性リン酸エステルを共重合したゴム強化スチレン
系樹脂(特開平7−268042号公報)などが提案さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハロゲ
ン系難燃剤を使用する方法は、燃焼時の火種の落下(ド
リップ)防止に難燃剤を増量添加するので、樹脂組成物
の機械的性質や耐熱性が悪化する欠点があり、さらに成
形時や燃焼時にハロゲン化合物の分解によりガスが発生
する問題を有していた。
【0006】また、特開平4−106140号公報およ
び特開平4−106142号公報記載の組成物は十分な
難燃性を得るには多量の難燃剤を必要とし、機械的物性
を悪化させる問題を有する。特開平5−140412号
公報記載の組成物は多価アルコ−ル化合物使用で、成形
時の金型汚染や成形品が吸湿によるべとつきが発生し、
特開平6−340815号公報および特開平7−538
79号公報記載の組成物はスチレン系樹脂においては、
満足のいける難燃性が得られない。また特開平7−26
8042号公報記載の組成物は溶融混練時に、ポリマー
同志が反応して流動性が著しく悪化する欠点を有する。
このようにこれらのものは各種特性を満足できるもので
はなかった。
【0007】本発明はスチレン系樹脂の機械的特性(耐
衝撃性、剛性、耐熱性)、成形加工性、成形品の外観を
損なうことなく難燃性に優れた樹脂組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、特定のリン含有ビニル系単
量体を共重合した変性ビニル系共重合体とゴム強化スチ
レン系樹脂との樹脂組成物にリン含有化合物を配合する
ことにより、特異的に性能バランスが優れることを見出
し本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は「(A)芳香族ビニル
系単量体10〜99重量%、分子内に重合性二重結合お
よびリン酸エステルを有するリン含有ビニル系単量体1
〜50重量%、およびこれらと共重合可能な他のビニル
系単量体0〜89重量%を含有する単量体混合物を共重
合してなる変性ビニル系共重合体1〜99重量%、
(B)芳香族ビニル系単量体を10〜90重量%含有す
る単量体混合物99〜20重量部を、ゴム質重合体1〜
80重量部にグラフト共重合してなるグラフト共重合体
1〜99重量%、(C)芳香族ビニル系単量体10〜9
0重量%を含有する単量体混合物を共重合してなるビニ
ル系共重合体0〜98重量%からなる(イ)樹脂組成物
100重量部に対し、および(D)リン含有化合物1〜
60重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。」から
なる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。なお本発明でいう重量とは質量を意味する。
【0011】本発明における樹脂組成物(イ)を構成す
る(A)変性ビニル系共重合体としては芳香族ビニル系
単量体とリン含有ビニル系単量体とからなる共重合体で
ある。
【0012】芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。
【0013】変性ビニル系共重合体(A)で用いられる
リン含有ビニル系単量体としては、下記一般式(1)〜
(6)、さらに(1)〜(4)で表される単量体が好ま
しく使用される。これらは1種または2種以上使用する
ことができる。
【化2】 上記式において、R1 は水素原子またはアルキル基を表
す。R2 、R3 はアルキル基、アルコキシ基、フェニル
基またはアルキル基置換フェニル基を表す。またR4
アルキレン基またはフェニレン基を表し、さらに好まし
くは、R1 が水素原子または炭素数1〜4のアルキル
基、R2 、R3 が炭素数1〜6のアルキル基、アルコキ
シ基、フェニル基またはアルキル基置換フェニル基、R
4 が炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基で
ある。
【0014】R1 として具体的には水素、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基であり、特に、水素、メ
チル基が好ましい。
【0015】また上記式(1)〜(6)中のR2 、R3
として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、メトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシル基、フェニル基、
トリル基、キシリル基などが挙げられ、特に、メチル
基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、
トリル基、キシリル基が好ましい。
【0016】また上記式(1)〜(6)中のR4 とし
て、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン
基、ブチレン基、ペンテン基、ヘキセン基、フェニレン
基などが挙げられ、特にエチレン基、プロピレン基、ブ
チレン基が好ましい。
【0017】また、必要に応じてこれらと共重合可能な
他のビニル系単量体としてはアクリロニトリル、メタク
リロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニ
ル系単量体、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、
エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルのエステル
化物などの(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレ
イミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ドなどのマレイミド系単量体を用いることができる。
【0018】変性ビニル系共重合体(A)の構成単位を
形成する芳香族ビニル系単量体の割合は、耐衝撃性の観
点から全単量体に対し10〜99重量%、好ましくは2
0〜90重量%であり、一般式(1)〜(6)で表され
るリン含有ビニル系単量体1〜50重量%、好ましくは
5〜40重量%である。また、これらと共重合可能な他
のビニル系単量体0〜89重量%、好ましくは0〜75
重量%である。芳香族ビニル系単量体の割合が特定範囲
をはずれた場合は、樹脂組成物の耐衝撃性が劣る傾向が
ある。リン含有ビニル系単量体の割合が少ないと、樹脂
組成物の難燃性が劣り、多いと樹脂組成物の耐衝撃性が
劣る傾向がある。また、変性ビニル系共重合体(A)を
与える単量体混合物にシアン化ビニル系単量体(メタ)
アクリル酸エステル系単量体、マレイミド系単量体の少
なくとも一種類を使用することが好ましい。
【0019】シアン化ビニル系を混合する場合には、耐
衝撃性および、熱安定性の観点から60重量%以下、さ
らに50重量%以下が好ましく、また、1重量%以上、
10重量%以上が好ましく用いられる。(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体を使用する場合には、89重量%
以下が好ましく、さらに75重量%以下が好ましく用い
られる。また、マレイミド系単量体を使用する場合に
は、機械的特性、特に靭性の観点から50重量%以下、
さらに40重量%以下が好ましく、また、1重量%以
上、5重量%以上が好ましく用いられる。
【0020】変性ビニル系共重合体(A)の分子量に制
限はないが、極限粘度[η](N,N−ジメチルホルム
アミド溶媒、30℃測定)が、0.30〜1.0dl/
g、特に0.35〜0.85dl/gの範囲のものが、
優れた耐衝撃性、成形加工性の樹脂組成物が得られ、好
ましい。
【0021】変性ビニル系共重合体(A)は必要に応
じ、ゴム質重合体1〜80重量部に対して、変性ビニル
系共重合体を与える単量体混合物99〜20重量部をグ
ラフト共重合することができる。ここで、ゴム質重合体
の割合が80重量部以下、好ましくは70重量部以下、
また、1重量%以上、好ましくは10重量%以上で用い
ることができる。ゴム質重合体を特定範囲の割合で用い
ることで樹脂組成物は耐衝撃性等の機械的特性、難燃性
が一層向上する。
【0022】上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ま
しく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、
アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系
ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポ
リイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共
重合体、ポリオルガノシロキサンゴムおよびポリ(メ
タ)アクリレートからなる複合ゴムなどが挙げられる。
なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体が好
ましい。
【0023】ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限され
ないが、ゴム粒子の平均粒子径が0.01〜0.60μ
m、特に0.1〜0.40μmのものが耐衝撃性、色調
に優れ好ましい。
【0024】変性ビニル系共重合体(A)の製造法は特
に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、
塊状−懸濁重合法、溶液−塊状重合法など通常の方法を
用いることができる。
【0025】次に、本発明における樹脂組成物(イ)を
構成する(B)グラフト共重合体について説明する。
(B)グラフト共重合体としてはゴム質重合体1〜80
重量部に芳香族ビニル系単量体を含有する単量体混合物
をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である。
ここでいう(B)グラフト共重合体とは、ゴム質重合体
にグラフトした構造をとった材料の他に、グラフトして
いない共重合体を含むものである。
【0026】上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ま
しく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、
アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系
ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポ
リイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共
重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまた
はブタジエン共重合体が好ましい。
【0027】ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限され
ないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6
0μm、特に0.18〜0.40μmのものが耐衝撃
性、色調に優れ好ましい。
【0028】また、ゴム質重合体のゲル含有率は特に制
限されないが、トルエン溶媒で測定したゲル含有率が5
0重量%以上、特に60重量%以上のものが樹脂組成物
の耐衝撃性、成形品表面光沢に優れ好ましい。
【0029】芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。
【0030】芳香族ビニル系単量体以外の単量体として
は、靭性、色調の向上の目的で、(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体または一層の耐衝撃性向上の目的で、シ
アン化ビニル系単量体を必須せいぶんとするのが好まし
い。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてはアク
リル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピ
ル、n−ブチル、i−ブチルによるエステル化物などが
挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。シ
アン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられる
が、特にアクリロニトリルが好ましい。
【0031】また必要に応じて、他のビニル系単量体、
例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを使用する
こともできる。
【0032】(B)グラフト共重合体において用いる単
量体混合物は、芳香族ビニル系単量体10〜90重量%
を含有することが必要であり、好ましくは20〜80重
量%のものである。また(メタ)アクリル酸エステル系
単量体を混合する場合には、機械的物性、特に靭性の観
点から80重量%以下が好ましく、さらに75重量%以
下が好ましく、また0重量%以上、5重量%以上が好ま
しく用いられる。またシアン化ビニル系単量体を混合す
る場合には、耐衝撃性の観点から60重量%以下、さら
に50重量%以下、一方1重量%以上、さらに10重量
%以上の範囲が好ましく用いられる。また単量体混合物
における芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体およびシアン化ビニル系単量体の配合量
の総和が99〜20重量%、好ましくは95〜30重量
%であることが好ましい。
【0033】芳香族ビニル系単量体の割合が10〜90
重量%の範囲をはずれた場合は、樹脂組成物の耐衝撃性
が劣る傾向がある。(メタ)アクリル酸エステル系単量
体の量が80重量%を超えると靭性が悪くなり好ましく
ない。シアン化ビニル系単量体の割合が60重量%を超
える場合は、樹脂組成物の耐衝撃性が著しく低下し、好
ましくない。
【0034】(B)グラフト共重合体を得る際のゴム質
重合体と単量体混合物との割合は、全グラフト共重合体
100重量部中、ゴム質重合体1重量部以上、好ましく
は5重量部以上、また80重量部以下、好ましくは70
重量部以下が用いられる。また単量体混合物は99重量
部以下、好ましくは95重量部以下、また20重量部以
上、好ましくは30重量部以上である。ゴム質重合体の
割合が1重量部未満では樹脂組成物の耐衝撃性が劣り、
80重量部を越える場合はゴム質重合体が分散不良とな
り、樹脂組成物の成形品の外観を損なうため好ましくな
い。
【0035】(B)グラフト共重合体は公知の重合法で
得ることができる。例えばゴム質重合体ラテックスの存
在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に溶解
したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供給し
て乳化重合する方法などによって得ることができる。
【0036】(B)グラフト共重合体は、ゴム質重合体
にグラフトした構造をとった材料の他に、グラフトして
いない共重合体を含有する。(A) グラフト共重合体のグ
ラフト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均
衡して優れる樹脂組成物を得るために20〜120重量
%、特に30〜70重量%が好ましい。ここで、グラフ
ト率は次式により算出される。 グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合した
ビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有
量>×100
【0037】グラフトしていない共重合体の特性として
は特に制限されないが、(B) グラフト共重合体のメチル
エチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃で測定)
が、0.25〜0.6dl/g、特に0.30〜0.5
5dl/gの範囲が、優れた耐衝撃性の樹脂組成物が得
られるため、好ましく用いられる。
【0038】本発明において、必須成分ではないが好ま
しく配合される樹脂組成物(イ)を構成する(C)ビニ
ル系共重合体としては芳香族ビニル系単量体を必須とす
る共重合体である。
【0039】芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチル
スチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレンなどが
挙げられるが、特にスチレンが好ましい。これらは1種
または2種以上を用いることができる。
【0040】芳香族ビニル系単量体以外の単量体として
は、靭性、色調の向上の目的で、(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体および/または一層の耐衝撃性向上の目
的で、シアン化ビニル系単量体が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてはアクリル
酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n
−ブチル、i−ブチルによるエステル化物などが挙げら
れるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。シアン化
ビニル系単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられるが、特
にアクリロニトリルが好ましい。シアン化ビニル系単量
体としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エ
タクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニ
トリルが好ましい。
【0041】また、必要に応じてこれらと共重合可能な
他のビニル系単量体(i)としてはマレイミド、N−メ
チルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイ
ミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのカル
ボキシル基含有ビニル系単量体、アクリルアミド、メタ
クリルアミドなどのアミノ基含有ビニル系単量体、アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチルなどのヒドロキシル基含有ビニル系単量体、
アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジ
ルエステルなどのエポキシ基含有ビニル系単量体などを
使用することもできる。
【0042】次に、(C)ビニル系共重合体の構成成分
である芳香族ビニル系単量体の割合は全単量体に対し1
0〜90重量%を含有することが必要であり、好ましく
は20〜80重量%のものである。シアン化ビニル系単
量体を混合する場合には、60重量%以下、さらに50
重量%以下、一方1重量%以上、さらに10重量%以上
の範囲が好ましく用いられる。また(メタ)アクリル酸
エステル系単量体を混合する場合には、80重量%以下
が好ましく、さらに75重量%以下、一方また0重量%
以上、さらに5重量%以上の範囲が好ましく用いられ
る。また、前述の他のビニル系単量体(i)を混合する
場合には、60重量%以下、さらに50重量%以下が好
ましく用いられる。
【0043】芳香族ビニル系単量体の割合が10〜90
重量%の範囲をはずれた場合は、樹脂組成物の耐衝撃性
が劣る傾向がある。シアン化ビニル系単量体の割合が多
いと、流動性が悪くなる傾向がある。(メタ)アクリル
酸エステル系単量体の割合が多いと靭性が悪くなる傾向
がある。
【0044】ビニル系共重合体の特性に制限はないが、
極限粘度[η](N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、
30℃測定)が、0.30〜1.0dl/g、特に0.
40〜0.80dl/gの範囲のものが、優れた耐衝撃
性、成形加工性の樹脂組成物が得られ、好ましい。
【0045】ビニル系共重合体の製造法は特に制限がな
く、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−懸濁
重合法、溶液−塊状重合法など通常の方法を用いること
ができる。
【0046】本発明においては、(A)、(B)、
(C)成分の総和(イ)樹脂組成物に対して、変性ビニ
ル系共重合体(A)が1重量%以上、2重量%以上、5
重量%以上、10重量%以上の順で好ましく、また99
重量%以下、98重量%以下、90重量%以下、80重
量%以下、70重量%以下、60重量%以下の順で好ま
しい。また、グラフト共重合体(B)は1重量%以上、
5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上の順に
好ましく、99重量%以下、95重量%以下、90重量
%以下、80重量%以下、70重量%以下の順に好まし
い。またビニル系共重合体(C)は、必須成分ではな
く、0重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、10
重量%以上、20重量%以上の順で好ましく、また98
重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重
量%以下、60重量%以下となるように配合して樹脂組
成物(イ)とするのが好ましい。
【0047】変性ビニル系共重合体(A)が少ないと難
燃性が悪くなり、多い場合には、耐衝撃性が悪くなる傾
向がある。グラフト共重合体(B)が少ないと耐衝撃性
が悪くなり、多い場合には難燃性が悪くなる傾向があ
る。ビニル系共重合体(C)が多いと耐衝撃性が悪くな
る傾向がある。
【0048】本発明で用いられる(D)リン含有化合物
としては赤リン、フェノール樹脂等で表面処理した赤リ
ン、および赤リンの赤褐色を酸化チタン等で隠蔽した赤
リン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、ベンゾグア
ナミン等のトリアジン系化合物で変性されたポリリン酸
アンモニウム、ポリホスファゼン、ピロリン酸アンモニ
ウム、フェノール樹脂など、ピロリン酸メラミンなどの
無機系リン化合物、および下記式(7)の有機系リン化
合物が挙げられる。
【0049】
【化3】 (ただし上記式R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6
7 、R8 、R9 は、同一または相異なる水素原子また
は炭素数1〜5のアルキル基を表す。またAr1、Ar
2 、Ar3 、Ar4 は同一または相異なるフェニル基あ
るいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェ
ニル基を表す。また、Yは直接結合、−O−、−S−、
−SO2 −、−C(CH3 2 −、−CH2 −、−CH
Ph−を表し、Phはフェニル基を表す。また、nは0
以上の整数である。またk、mはそれぞれ0以上2以下
の整数であり、かつk+mは0以上2以下の整数であ
る。) 前記式(7)の式中k、mは、それぞれ0以上2以下の
整数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数である
が、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、
特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0050】またnを数平均重合度に換算した場合nの
平均が0.5以上であることが好ましい。nの平均はG
PC(Gel Permeation Chromatography 、ゲルパーミエ
ションクロマトグラフィ)で測定することができる。
【0051】また前記式(7)の式中、R1 〜R9 は同
一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基
を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基、n−ペンチル基、2ーペンチル基、3−ペン
チル基、ネオペンチル基などが挙げられるが、水素、メ
チル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好まし
い。
【0052】またAr1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 は同
一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有し
ない有機残基で置換されたフェニル基を表す。具体例と
しては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル
基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリ
ル基などが挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシ
リル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェ
ニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
【0053】またYは直接結合、−O−、−S−、−S
2 −、−C(CH3 2 −、−CH2 −、−CHPh
−を表し、Phはフェニル基を表す。
【0054】前記式(7)で表されるリン含有化合物
は、下記化学反応式(8)にしたがって製造できる。
【0055】
【化4】
【0056】本発明においては、リン含有化合物(D)
の配合の割合は樹脂組成物(イ)100重量部に対し、
1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上、5重量部
以上の順で好ましく、また60重量部以下、50重量部
以下、40重量部以下、30重量部以下、20重量部以
下の順で好ましい。少ないと得られる熱可塑性樹脂組成
物の難燃性が悪くなり、多いと得られる熱可塑性樹脂組
成物の耐衝撃性が劣る傾向がある。
【0057】本発明の組成物では(E)窒素含有化合物
を配合できる。このような化合物としては下記一般式
(9)で表される化合物、およびその化合物とシアヌ−
ル酸またはイソシアヌ−ル酸との塩が挙げられる。下記
一般式(9)で表される化合物とシアヌ−ル酸またはイ
ソシアヌ−ル酸との塩は通常1対1(モル比)、場合に
より1対2(モル比)の組成を有する付加物である。こ
れらは1種または2種以上使用することができる。
【0058】
【化5】 上記一般式(V)においてR1 ,R2 ,R3 ,R4 は同
一または相異なる水素、アリ−ル基、アルキル基、アラ
ルキル基、シクロアルキル基、または−CONH2 であ
る。ここでアリ−ル基としては炭素数6〜15のもの、
アルキル基としては炭素数1〜10のもの、アラルキル
基としては炭素数7〜16のもの、シクロアルキル基と
しては炭素数4〜15のものが好ましい。
【0059】また、Rは上式中の−NR1 2 または−
NR3 4 と同一の基、またはこれらと独立に水素、ア
リ−ル基、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル
基、−NH2 、または−CONH2 から選ばれた基であ
る。
【0060】ここでアリ−ル基としては炭素数6〜15
のもの、アルキル基としては炭素数1〜10のもの、ア
ラルキル基としては炭素数7〜16のもの、シクロアル
キル基としては炭素数4〜15のものが好ましい。
【0061】R1 ,R2 ,R3 ,R4 の具体的な例とし
ては水素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフチル
基、β−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、ヒドロキシメチル基、メトキ
シメチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘ
キシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−ペンチ
ル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基、アミド基な
どが挙げられるが、中でも水素、フェニル基、メチル
基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、ベンジル
基、アミド基が好ましい。
【0062】また、Rの具体的な例としてはアミノ基、
アミド基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチル
アミノ基、ジエチルアミノ基、モノ(ヒドロキシメチ
ル)アミノ基、ジ(ヒドロキシメチル)アミノ基、モノ
(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシメチル)ア
ミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、水
素、フェニル基、p−トルイル基、α−ナフチル基、β
−ナフチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチル−1−
ペンチル基、4−メチル−1−シクロヘキシル基などが
挙げられるが、中でも水素、アミノ基、アミド基、メチ
ル基、モノ(ヒドロキシメチル)アミノ基、ジ(ヒドロ
キシメチル)アミノ基、モノ(メトキシメチル)アミノ
基、ジ(メトキシメチル)アミノ基、フェニル基、ベン
ジル基が好ましい。
【0063】上記一般式(10)で表される化合物は、
特にメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、
2−アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジ
ン、モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキ
シメチル)メラミン、トリモノ(ヒドロキシメチル)メ
ラミンの塩好ましく、とりわけメラミン、ベンゾグアナ
ミン、アセトグアナミンが好ましい。
【0064】また、上記一般式(10)で表される化合
物とシアヌ−ル酸またはイソシアヌ−ル酸との塩は、特
にメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミンの塩
が好ましい。
【0065】また、本発明で用いられる(E)窒素含有
化合物の特性は特に制限されないが、本発明の組成物か
ら得られる成形品の機械的強度や表面外観の点から樹脂
組成物(イ)に分散した平均粒径が200μm以下が好
ましい。また、上記窒素含有化合物の分散性が悪い場合
には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−
トなどの分散剤を用いても良い。
【0066】窒素含有化合物(E)を配合する場合に
は、樹脂組成物(イ)100重量部に対し、1重量部以
上、2重量部以上、3重量部以上、5重量部以上の順で
好ましく、また40重量部以下、30重量部以下、20
重量部以下の順で好ましい。多いと得られる熱可塑性樹
脂組成物の耐衝撃性、加工性が低下する傾向がある。
【0067】本発明においては、必要に応じて、テトラ
フルオロエチレン構造を有するフッ素系樹脂、さらにフ
ッ素含量65〜76重量%のもの、例えばテトラフルオ
ロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体、およびテトラフルオロエチ
レンとフッ素を含まないエチレン性不飽和モノマ−との
共重合体などを用いることもできる。フッ素樹脂の配合
量は樹脂組成物の難燃性を高める上で、樹脂組成物
(イ)100重量部に対し、0.01重量部以上、0.
1重量部が好ましく、一方5重量部以下、2重量部以下
が好ましく用いられる。
【0068】また本発明においては、アルコキシ基、ハ
ロゲン原子など加水分解性基がケイ素原子に直結したケ
イ素化合物、すなわちシランカップリング剤を添加も難
燃性向上に有効である。分子中にアミノ基、エポキシ
基、メルカプト基、ヒドロキシル基を少なくとも1種の
官能基を持つシランカップリング剤、例えばγ−(2−
アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどを用
いることができる。シランカプルング剤の配合量は樹脂
組成物の難燃性を高める目的で、樹脂組成物(イ)10
0重量部似たいし、0.01重量部以上、さらに0.1
重量部以上が好ましく、また5重量部以下、2重量部以
下が好ましく用いられる。
【0069】また、本発明の組成物では、フェノール系
樹脂を配合すると、得られる熱可塑性樹脂組成物の難燃
性、成形加工性を高めることができる。
【0070】ここでいうフェノール系樹脂とはフェノー
ル性水酸基を複数有する高分子であれば任意であり、例
えばノボラック型、レゾール型および熱反応型の樹脂、
あるいはこれらを変性した樹脂が挙げられる。
【0071】フェノール系樹脂は特に限定するものでは
なく市販されているものなどが用いられる。例えば、ノ
ボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアル
デヒド類のモル比を1:0.7〜1:0.9となるよう
な比率で反応槽に仕込み、更にシュウ酸、塩酸、硫酸、
トルエンスルホン酸等の触媒を加えた後、加熱し、所定
の時間還流反応を行う。生成した水を除去するため真空
脱水あるいは静置脱水し、更に残っている水と未反応の
フェノール類を除去する方法により得ることができる。
これらの樹脂あるいは複数の原料成分を用いることによ
り得られる共縮合フェノール樹脂は単独あるいは二種以
上用いることができる。
【0072】また、レゾール型フェノール樹脂の場合、
フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2
となるような比率で反応槽に仕込み、水酸化ナトリュウ
ム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加
えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の反応およ
び処理をして得ることができる。
【0073】ここで、フェノール類とはフエノール、o
−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモ
ール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブ
チルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−
メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニル
−2,2−プロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル
酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert
−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフ
ェノール類は一種または二種以上用いることができる。
一方、アルデヒド類とはホルムアルデヒド、パラホルム
アルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙
げられる。これらのアルデヒド類は必要に応じて一種ま
たは二種以上用いることができる。
【0074】フェノール系樹脂の分子量は特に限定され
ないが、好ましくは数平均で300〜2,000であ
り、特に500〜1,500の範囲のものが機械的物
性、成形加工性、経済性に優れ好ましい。なおフェノー
ル系樹脂はテトラヒドラフラン溶液、フェノール樹脂標
準サンプルを使用することによりゲルパーミエションク
ロマトグラフィ法で測定できる。フェノール樹脂の配合
量は樹脂組成物の難燃性、成形加工性の観点から、樹脂
組成物(イ)100重量部に対し、0.1重量部以上、
さらに1重量部以上が好ましく、また20重量部以下、
10重量部以下が好ましく用いられる。
【0075】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の熱
可塑性樹脂を樹脂組成物(イ)に対して、全体の50重
量%以下配合することができる。例えばポリフェニレン
エ−テル、ポリカ−ボネ−ト、ポリグルタルイミド、ポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレ−トなどを混合
して耐衝撃性、耐熱性の改良を、ポリオレフィン、ポリ
ブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−
ト、ポリアミドなどを混合して、耐薬品性を改良するこ
とができる。さらに必要に応じて、ガラス繊維、タル
ク、チタン酸カリウイスカなどの充填剤、フェニルイソ
デシルホスフェートなどの酸化防止剤、紫外線吸収剤な
どの各種安定剤、顔料、染料、エチレンビスステアリル
アミドなどの滑剤および可塑剤などを必要量添加するこ
ともできる。本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては
特に制限はなく、例えば(A)変性ビニル系共重合体、
(B)グラフト共重合体、(C)ビニル系共重合体、
(D)リン含有化合物、および(E)窒素含有化合物を
混合してバンバリ−ミキサ−、ロ−ル、エクストル−ダ
−、ニ−ダ−などで溶融混練することによって製品化さ
れる。
【0076】本発明の熱可塑性樹脂組成物は溶融成形さ
れて、樹脂成形品となり用いられる。この樹脂成形品
は、その難燃性をはじめとする特徴からOA機器、家電
機器などのハウジングおよびそれらの部品類に有用であ
る。
【0077】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施
例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示
し、単位「”」はインチ(1インチ=2.54cm)を
意味する。
【0078】参考例1 (A)変性ビニル系共重合体の
調製 <A−1>スチレン60%、アクリロニトリル25%、
および化合物(11)15%からなる単量体混合物を乳
化重合して変性ビニル系共重合体(A−1)を調製し
た。得られたビニル系共重合体はN,N−ジメチルホル
ムアミド可溶分の極限粘度が0.74であった。
【化6】 <A−2>スチレン60%、アクリロニトリル25%、
および化合物(12)15%からなる単量体混合物を乳
化重合して変性ビニル系共重合体(A−2)を調製し
た。得られたビニル系共重合体はN,N−ジメチルホル
ムアミド可溶分の極限粘度が0.76であった。
【化7】 <A−3>スチレン60%、アクリロニトリル25%、
および化合物(13)15%からなる単量体混合物を乳
化重合して変性ビニル系共重合体(A−3)を調製し
た。得られたビニル系共重合体はN,N−ジメチルホル
ムアミド可溶分の極限粘度が0.72であった。
【化8】
【0079】参考例2 (B)グラフト共重合体の調製 以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフ
ト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体
の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この
溶液を8000rpm(遠心力10,000G(約10
0×103 m/s2 ))30分遠心分離後、不溶分を濾
過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量
(n)を測定した。
【0080】◎グラフト率=[(n)−(m)×L]/
[(m)×L]×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0081】ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子
径0.3μm、ゲル含率85%)60部(固形分換算)
の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%か
らなる単量体混合物40部を加えて乳化重合した。得ら
れたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中
和、洗浄、濾過、乾燥してパウダ−状のグラフト共重合
体を調製した。
【0082】得られたグラフト共重合体はグラフト率が
36%であった。このグラフト共重合体は、スチレン構
造単位70%およびアクリロニトリル30%からなる非
グラフト性の共重合体を18.1%含有するものであっ
た。またN,N−ジメチルホルムアミド可溶分の極限粘
度が0.48dl/gであった。
【0083】参考例3 (C)ビニル系共重合体の調製 スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量
体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体を調製した。
得られたビニル系共重合体はN,N−ジメチルホルムア
ミド可溶分の極限粘度が0.73であった。
【0084】参考例4 (D)リン含有化合物 <D−1>赤リンが樹脂コートされたノーバレッド12
0(赤リン含量85%以上、燐化学工業(株)製)を使
用した。
【0085】<D−2>樹脂変性ポリリン酸アンモニウ
ムであるTERRAJU C60(リン含量28.5
%、チッソ(株)製)を使用した。 参考例5 (E)窒素含有化合物 メラミンとシアヌ−ル酸との塩であるMC−440(平
均粒子径70〜80μn、日産化学(株)製)を使用し
た。
【0086】参考例6 (F)その他の化合物 <F−1>ポリテトラフルオロエチレンであるポリフロ
ンF201(ダイキン工業(株)製)を使用した。
【0087】<F−2>ノボラック型フェノール樹脂
で、数平均分子量が700であるPR−53195(住
友デュレズ(株)製)を使用した。 実施例1〜11 参考例で調製した(A)共重合体、(B)グラフト共重
合体、(C)ビニル系共重合体、(D)リン含有化合
物、(E)窒素含有化合物、および(F)その他の化合
物を表1に示した配合比で混合し、ベント付き30mm
φ2軸押出機で樹脂温度230℃で溶融混練、押出しを
行うことによって、ペレット状のポリマを製造した。次
いで射出成形機により、シリンダ−温度230℃、金型
温度60℃で試験片を成形し、次の条件で物性を測定し
た。 1/2”アイゾット衝撃強さ:ASTM D256−5
6A 1/4”熱変形温度:ASTM D648−56(18.5
6kg/cm2 荷重) MFR:JIS K7210 (220℃、荷重:10
000g)大きい値を示す方が成形時の流動性良好であ
ることを意味する。
【0088】難燃性:UL94規格に従い、垂直型燃焼
テストを1/16”×1/2”×5”の燃焼試験片で行
った。測定結果を表2に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】比較例1〜6 参考例で調製した(A)変性ビニル系共重合体、(B)
グラフト共重合体、(C)ビニル系共重合体、(D)リ
ン含有化合物、(E)窒素含有化合物、および(F)そ
の他の化合物を表1に示した配合比で混合し、実施例と
同様の方法で各物性を測定した。
【0092】測定結果を表2に示した。
【0093】表2の結果から次のことが明らかである。
本発明の樹脂組成物(実施例1〜11)はいずれも耐衝
撃性、耐熱性、流動性、難燃性が均衡してすぐれてい
る。一方、樹脂組成物(イ)中の変性ビニル系共重合体
(A)の配合量が1重量%未満の場合(比較例1、5)
は難燃性が劣り、99重量%を越える場合(比較例2)
は耐衝撃性が劣り好ましくない。リン含有化合物(D)
の配合量が1重量%未満の場合(比較例3)は難燃性が
劣り、60重量部を越える場合(比較例6)は耐衝撃性
が著しく悪くなり好ましくない。
【0094】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、スチレ
ン系樹脂の機械的特性を損なうことなく、すぐれた難燃
性を示す。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)芳香族ビニル系単量体10〜99重
    量%、リン含有ビニル系単量体1〜50重量%、および
    これらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜89重量
    %を含有する単量体混合物を共重合してなる変性ビニル
    系共重合体1〜99重量%、(B)芳香族ビニル系単量
    体を10〜90重量%含有する単量体混合物99〜20
    重量部を、ゴム質重合体1〜80重量部にグラフト共重
    合してなるグラフト共重合体1〜99重量%、(C)芳
    香族ビニル系単量体10〜90重量%を含有する単量体
    混合物を共重合してなるビニル系共重合体0〜98重量
    %からなる(イ)樹脂組成物100重量部に対し、およ
    び(D)リン含有化合物1〜60重量部を配合してなる
    熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】リン含有ビニル系単量体が一般式(1)〜
    (6)で表される少なくとも1種類を必須成分とする請
    求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 (ただし、上記式のR1 は水素原子または炭素数1〜4
    のアルキル基を表す。R2 、R3 は炭素数1〜6のアル
    キル基、フェニル基、アルキル基置換フェニル基を表
    す。またR4 は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
  3. 【請求項3】R1 が水素原子または炭素数1〜4のアル
    キル基、R2 、R3 が炭素数1〜6のアルキル基、アル
    コキシ基、フェニル基またはアルキル基置換フェニル
    基、R4 が炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレ
    ン基である請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(A)変性ビニル系共重合体を与える単量
    体混合物が芳香族ビニル系単量体20〜90重量%、一
    般式(1)〜(6)のいずれかを必須成分とするリン含
    有ビニル系単量体5〜40重量%、およびこれらと共重
    合可能な他のビニル系単量体0〜75重量%であること
    を特徴とする請求項2または3記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】(A)変性ビニル系共重合体を与える単量
    体混合物における芳香族ビニル系単量体、一般式(1)
    〜(6)で表されるリン含有ビニル系単量体以外の単量
    体が、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化
    ビニル系単量体、マレイミド系単量体のうち少なくとも
    1種類の単量体を必須成分とする請求項1〜4いずれか
    に記載の熱可塑性樹脂組成物
  6. 【請求項6】(A)変性ビニル系共重合体を与える単量
    体混合物において、シアン化ビニル系単量体が1〜60
    重量%であることを特徴とする請求項5いずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】(A)変性ビニル系共合体を与える単量体
    混合物においてマレイミド系単量体が1〜50重量%で
    あることを特徴とする請求項5記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】(A)変性ビニル系共合体を与える単量体
    混合物99〜20重量部を、ゴム質重合体1〜80重量
    部に共重合してなるゴム変性共重合体であることを請求
    項1〜7いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】(イ)樹脂組成物100重量部に対し、フ
    ッ素系樹脂0.01〜5重量部をさらに添加してなる請
    求項1〜8いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】(イ)樹脂組成物100重量部に対し、
    シランカップリング剤0.01〜5重量部をさらに添加
    してなる請求項1〜9いずれかに記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  11. 【請求項11】(イ)樹脂組成物100重量部に対し、
    フェノール系樹脂0.1〜20重量部をさらに添加して
    なる請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】(B)グラフト共重合体を与える単量体
    混合物における芳香族ビニル系単量体以外の単量体が、
    シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル
    系単量体のうち少なくとも1種類の単量体を必須成分と
    する請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】(B)グラフト共重合体を与える単量体
    混合物におけるシアン化ビニル系単量体が1〜60重量
    %であることを特徴とする請求項12記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  14. 【請求項14】(B)グラフト共重合体を与える単量体
    混合物における(メタ)アクリル酸エステル系単量体が
    90重量%以下であることを特徴とする請求項12記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  15. 【請求項15】(イ)樹脂組成物100重量部に対し、
    (E)窒素含有化合物1〜40重量部をさらに配合して
    なる請求項1〜14いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
JP15220096A 1996-06-13 1996-06-13 熱可塑性樹脂組成物 Pending JPH101580A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6364742B1 (en) 1998-10-15 2002-04-02 Nec Corporation Chemical-mechanical polishing apparatus
US9187597B1 (en) * 2014-10-21 2015-11-17 International Business Machines Corporation Flame-retardant polylactic acid (PLA) by grafting through of phosphorus-containing polymers directly to PLA backbone

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US6364742B1 (en) 1998-10-15 2002-04-02 Nec Corporation Chemical-mechanical polishing apparatus
US9187597B1 (en) * 2014-10-21 2015-11-17 International Business Machines Corporation Flame-retardant polylactic acid (PLA) by grafting through of phosphorus-containing polymers directly to PLA backbone

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