JP4559986B2 - ポリカーボネート系難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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で表される芳香族リン酸エステル系難燃剤であり、溶融流動性及び耐光性に優れている。
ポリカーボネート(A)としては、種々のポリマー、例えば、2価フェノール化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン法)、または2価フェノール化合物と炭酸ジエステルとの反応(エステル交換法)により得られるポリカーボネートが使用できる。2価フェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパンなどの置換基を有していてもよいビス(ヒドロキシアリール)アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンなどの置換基を有していてもよいビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン;4,4′−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケトンなどのジヒドロキシジアリールケトン;1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンゼン、4,4′−ビス(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンゼン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、フェノールフタレインなどが例示される。これらの2価フェノール化合物は単独で又は二種以上組合せて使用できる。
スチレン系樹脂(B)には、ゴム成分を含まないゴム未変性スチレン系樹脂(B1)とゴム変性スチレン系樹脂(B2)とが含まれる。また、ゴム変性スレン系樹脂(B2)は、ゴム成分とスチレン系樹脂との混合組成物(B2a)であってもよく、ゴム成分(B21)の存在下、スチレン系単量体、又はスチレン系単量体と非スチレン系ビニル単量体とを含むビニル単量体混合物を重合したグラフト重合体(B2b)であってもよい。
前記ポリカーボネート(A)とスチレン系樹脂(B)とを溶融混合すると、ポリマーアロイを形成するためか、耐熱性および耐衝撃性の高い成形品が得られる。前記ポリカーボネート(A)とスチレン系樹脂(B)との割合は、耐熱性、耐衝撃性、溶融流動性などを損わない範囲で、各樹脂の種類などに応じて選択でき、例えば、前者/後者=40〜95/5〜60(重量%)、好ましくは50〜95/5〜50(重量%)、さらに好ましくは55〜85/15〜45(重量%)程度である。ポリカーボネート(A)とスチレン系樹脂(B)との割合は、前者/後者=50/50〜90/10(重量%)、特に60/40〜90/10(重量%)程度である場合が多い。ポリカーボネート(A)の含有量が40重量%未満であると溶融流動性は高いものの成形品の耐熱性や耐衝撃性が低下し易く、95重量%を越えると成形過程での溶融流動性が低下し易い。上記樹脂混合物において、ゴム含量は、例えば、1〜30重量%、好ましくは1〜25重量%程度である。
芳香族リン酸エステル系難燃剤(C)は、前記式(I)で表される。式(I)においてR1〜R4のフェニル基に置換していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル基などの炭素数1〜4程度の低級アルキル基が例示される。これらのアルキル基のうち、炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基及び/又はエチル基が好ましい。このようなアルキル基の置換数は、各フェニル基に対して0〜3個、好ましくは1〜3(例えば2)程度である。
フッ素樹脂(D)は、火種及び融液の落下(ドリップ)を抑制するため難燃助剤として機能する。フッ素樹脂には、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノマーと、エチレン、プロピレン、アクリレートなどの共重合性モノマーとの共重合体が含まれる。フッ素樹脂の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体が例示される。これらのフッ素樹脂は一種又は二種以上混合して使用できる。これらのフッ素樹脂の中で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。なお、フッ素樹脂は、慣用の方法、例えば、米国特許第2,393,967号明細書に記載の乳化重合法などにより得ることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物には、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤などの劣化防止剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維などの補強繊維、炭酸カルシウム、タルクなどの充填剤、顔料などの着色剤などを添加してもよい。前記添加剤の使用量は、耐熱性、耐衝撃性、機械的強度などを損わない範囲で、添加剤の種類に応じて適当に選択できる。例えば、酸化防止剤などの添加剤の添加量は、組成物全体に対して5重量%以下である場合が多く、ガラス繊維などの補強剤や充填剤の使用量は、組成物全体に対して50重量%以下である場合が多い。
難燃性樹脂組成物は、ポリカーボネート(A)、スチレン系樹脂(B)、芳香族リン酸エステル系難燃剤(C)及びフッ素樹脂(D)をV型ブレンダー、スーパーミキサー、スーパーフローター、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて予備混合した組成物であってもよいが、通常、前記予備混合物を均一に溶融混合した混合物である場合が多い。このような混合物は、前記予備混合物を、混練手段を用い、例えば、200〜300℃、好ましくは220〜280℃程度の温度で溶融混練し、ペレット化することにより得ることができる。混練手段としては、種々の溶融混合機、例えば、ニーダー、一軸又は二軸押出し機などが使用できるが、二軸押出し機などを用いて樹脂組成物を溶融して押出し、ペレタイザによりペレット化する場合が多い。
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンFN2700、粘度平均分子量27000)70重量部、下記のゴム未変性スチレン系樹脂10重量部および下記のゴム変性スチレン系樹脂20重量部とを用いて熱可塑性樹脂混合物を調製した。
実施例1の芳香族リン酸エステル系難燃剤19重量部に代えて、前記式(I)においてR1、R2、R3およびR4が未置換のフェニル基、Aが1,3−フェニレン基で構成され、n=0〜4の非置換芳香族リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業(株)製、CR733S)19重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。上記非置換芳香族リン酸エステル系難燃剤において、n=0の化合物が約3%、n=1の化合物が約70%、n=2の化合物が約20%、n≧3の化合物が約7%である。
実施例1の芳香族リン酸エステル系難燃剤19重量部に代えて、置換芳香族リン酸エステルダイマー型難燃剤(大八化学工業(株)製、PX201)19重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。この難燃剤は、前記式(I)においてR1、R2、R3およびR4が2,6−ジメチルフェニル基、Aが1,4−フェニレン基で構成され、n=1の芳香族リン酸エステル系化合物である。
実施例1の芳香族リン酸エステル系難燃剤19重量部に代えて、置換芳香族リン酸エステルダイマー型難燃剤(大八化学工業(株)製、PX202)19重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。この難燃剤は、前記式(I)においてR1、R2、R3およびR4が2,6−ジメチルフェニル基、Aが4,4′−ビフェニリレン基で構成され、n=1の芳香族リン酸エステル系化合物である。
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンFN2700、粘度平均分子量27000)80重量部、実施例1のゴム未変性スチレン系樹脂10重量部、実施例1のゴム変性スチレン系樹脂10重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンFN2700、粘度平均分子量27000)80重量部、実施例1のゴム未変性スチレン系樹脂7重量部、実施例1のゴム変性スチレン系樹脂13重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンFN2700、粘度平均分子量27000)60重量部、実施例1のゴム未変性スチレン系樹脂20重量部、実施例1のゴム変性スチレン系樹脂20重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンFN2700、粘度平均分子量27000)70重量部、実施例1のゴム未変性スチレン系樹脂20重量部、実施例1のゴム変性スチレン系樹脂10重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンFN2700、粘度平均分子量27000)70重量部、実施例1のゴム未変性スチレン系樹脂15重量部、実施例1のゴム変性スチレン系樹脂15重量部、実施例1の芳香族リン酸エステル系難燃剤を25重量部、実施例1のポリテトラフルオロエチレン0.6重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンFN2700、粘度平均分子量27000)60重量部、実施例1のゴム未変性スチレン系樹脂20重量部、実施例1のゴム変性スチレン系樹脂20重量部、実施例1の芳香族リン酸エステル系難燃剤を16重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学(株)製、タフロンFN2700、粘度平均分子量27000)40重量部、ゴム未変性スチレン系樹脂として、スチレン25重量部とα−メチルスチレン50重量部とアクリロニトリル25重量部とを、懸濁重合法により重合した共重合体(重量平均分子量90,000)30重量部、ゴム変性スチレン系樹脂として、ポリブタジエンゴムラテックス(固形分換算で30重量部)とスチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス(固形分換算で10重量部)の存在下、スチレン45重量部およびアクリロニトリル15重量部を乳化重合したグラフト共重合体30重量部を用いて熱可塑性樹脂組成物を調整すると共に、比較例1のリン酸エステル系難燃剤19重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
実施例1のポリカーボネート樹脂95重量部、実施例1のゴム未変性スチレン系樹脂2.5重量部、実施例1のゴム変形スチレン系樹脂2.5重量部を用いるとともに、比較例2のリン酸エステル系難燃剤19重量部を用いる以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
実施例1のゴム未変性スチレン系樹脂15重量部、実施例1のゴム変形スチレン系樹脂15重量部を用いるとともに、ポリテトラフルオロエチレンを用いなかった点以外、実施例1と同様にして、テストピースを作製した。
Claims (3)
- ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート(A)50〜95重量%とスチレン系樹脂(B)5〜50重量%で構成された熱可塑性樹脂混合物100重量部に対して、芳香族リン酸エステル系難燃剤(C)10〜30重量部、および粉状ポリテトラフルオロエチレン(D)0.1〜2重量部の割合で含み、かつ薄肉部を有する成形品又は薄物成形品を成形するための樹脂組成物であって、スチレン系樹脂(B)が、ゴム未変性スチレン系樹脂(B1)/ゴム変性スチレン系樹脂(B2)=0〜75/25〜100(重量比)で構成され、芳香族リン酸エステル系難燃剤(C)が、下記式(I)
(式中、R1、R2、R3およびR4は、メチル基を2位および6位に有するフェニル基を示し、Aは1,3−フェニレン基、nは1を示す。)
で表される芳香族リン酸エステル系難燃剤であり、かつ溶融流動性及び耐光性に優れたポリカーボネート系難燃性樹脂組成物。 - ゴム未変性スチレン系樹脂(B1)が、(B1a)芳香族ビニル単量体5〜90重量%、(B1b)シアン化ビニル単量体10〜40重量%および(B1c)共重合可能なビニル単量体0〜40重量%の共重合体である請求項1記載のポリカーボネート系難燃性樹脂組成物。
- ゴム変性スチレン系樹脂(B2)が、(B21)ガラス転移点(Tg)が0℃以下のゴム質重合体5〜65重量%に、少なくとも(B1a)芳香族ビニル単量体を含む重合性ビニル単量体35〜95重量%が重合したグラフト共重合体である請求項1記載のポリカーボネート系難燃性樹脂組成物。
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