JP2000327992A - 金属板被覆用樹脂組成物およびこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板ならびに樹脂被覆金属容器 - Google Patents
金属板被覆用樹脂組成物およびこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板ならびに樹脂被覆金属容器Info
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Abstract
バリヤ性に優れ、かつ金属との密着性に優れた金属板被
覆用樹脂組成物を提供する。さらに本樹脂組成物からな
る金属板被覆用樹脂フィルム、本樹脂フィルムを被覆し
た樹脂被覆金属板、および本樹脂被覆金属板からなる樹
脂被覆金属容器を提供する。 【解決手段】 固有粘度が0.5〜2.0dl/gであるポリエス
テル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびゴム状
弾性体樹脂(C)、で構成され、ポリエステル樹脂(A)100
重量部に対して、ポリカーボネート樹脂(B)1〜50重量
部、およびゴム状弾性体樹脂(C)1〜50重量部からなるこ
とを特徴とする金属板被覆用樹脂組成物である。また本
発明はゴム状弾性体樹脂(C)がアクリロニトリル-スチレ
ン-ブタジエン共重合体もしくはシェル部が極性ビニル
重合体からなるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂で
あり、また、上記の極性ビニル重合体がアクリレート系
重合体である金属板被覆用樹脂組成物である。さらに本
樹脂組成物からなる金属板被覆用樹脂フィルム、本樹脂
フィルムを被覆した樹脂被覆金属板、および本樹脂被覆
金属板からなる樹脂被覆金属容器である。
Description
性、成形性、耐熱性、ガスバリヤ性に優れ、かつ金属と
の密着性に優れた金属板被覆用樹脂組成物に関する。さ
らに、発明は、かかる樹脂組成物を使用した金属板被覆
用樹脂フィルムに関し、また、該樹脂フィルムを金属板
の片面および/または両面に単一層状にまたは多層状に
積層して被覆した金属板に関し、更に該樹脂被覆金属板
を成形してなる樹脂被覆金属容器に関する。
的性質、耐熱性、ガスバリア性および金属との密着性が
優れており、腐食防止を目的とした金属板の被覆膜用の
材料として広く使用されてきた。しかし、金属との密着
性、耐衝撃性、ガスバリア性がポリエステル樹脂の結晶
化度に強く依存するため、被膜内部の結晶構造を厳密に
制御しなければ目標の特性を得られなかった。具体的に
は、金属と樹脂界面では密着性を良好にするために結晶
化率を小さくし、その他の部位は逆に耐衝撃性やガスバ
リア性を保持するために結晶化を大きくしなければなら
ず、被膜内部の結晶化度を適切に傾斜させる必要があっ
た。この結果、ラミネート工程条件が厳しく制約されて
いた。
手法として、特開平3-269074号公報には、結晶性ポリエ
ステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂からなる樹脂組成
物とをラミネートする方法が開示されている。当該方法
では、ラミネート工程中で界面の結晶化率を容易に低下
できるため密着性が向上する反面、ガスバリア性および
耐衝撃性が低下し、このためこれらの特性を発現するた
めには、2軸延伸膜を使用して結晶化を積極的に残留さ
せるなどの工程上の制約があった。また、特開平8-3239
22号公報にはポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂
との組成物からなる被膜を金属板にラミネートする技術
が開示されている。当該技術では結晶化が低下しても耐
衝撃性できるため密着性と耐衝撃性との両方を兼備でき
るが、低温での耐衝撃性を十分に改善できるまでには至
っていない。
撃性、耐薬品性、成形性、耐熱性、ガスバリヤ性、金属
との密着性に優れた金属板被覆用の樹脂組成物を提供す
ることである。さらに、本発明の目的は、かかる樹脂組
成物を使用した金属板被覆用樹脂フィルムを提供し、ま
た、該樹脂フィルムを積層した樹脂被膜により被覆され
た樹脂被覆金属板を提供し、更に該樹脂被覆金属板を成
形してなる樹脂被覆金属容器を提供することである。
〜2.0dl/gを有するポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネ
ート樹脂(B)、およびゴム状弾性体樹脂(C)を含んでな
り、で構成され、ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し
て、金属板への密着性および絞り加工追従性に優れたポ
リカーボネート樹脂(B)1〜50重量部、および耐衝撃性に
優れたゴム状弾性体樹脂(C)1〜50重量部からなることを
特徴とする金属板被覆用樹脂組成物である。前記ゴム状
弾性体樹脂(C)は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチ
レン共重合体もしくはシェル部が極性ビニル重合体から
なるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂であることが
好ましく、さらに前記シェル部の極性ビニル重合体がア
クリレート系重合体であることが好ましい。
成物を単独でまたは他の樹脂組成物および/または接着
剤と組み合わせて、積層してなる金属板被覆用樹脂フィ
ルムであり、さらに本発明は、かかる金属板被覆用樹脂
フィルムを金属板の片面または両面に単一層状にまたは
多層状に積層してなる樹脂被覆金属板であり、そして、
本発明は、かかる樹脂被覆金属板を成形してなる樹脂被
覆金属容器を包含する。
する。
は、ヒドロキシカルボン酸化合物残基、ジカルボン酸残
基およびジオール化合物残基、もしくはヒドロキシカル
ボン酸化合物残基およびジカルボン酸残基およびジオー
ル化合物残基を構成ユニットとする熱可塑性ポリエステ
ルである。またこれらの混合物であってもよい。
なるヒドロキシカルボン酸化合物を例示すると、p-ヒド
ロキシ安息香酸、p-ヒドロキシエチル安息香酸、2-(4-
ヒドロキシフェニル)-2-(4’カルボキシフェニル)プロ
パンなどが挙げられ、これらの単独で使用しても、2種
類以上混合して使用してもよい。
ボン酸化合物を例示すると、テレフタル酸、イソフタル
酸、オルソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,
3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン
酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸などの芳
香族ジカルボン酸およびアジピン酸、ビメリン酸、セバ
シン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸など
の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられ、これらの単独で
使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
合物を例示すると、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)
プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略称する)、ビ
ス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシ
フェニル)メタン、o-ヒドロキシフェニル-p-ヒドロキシ
フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテ
ル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)スルフォン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビ
ス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼ
ン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビ
ス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビ
ス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビ
ス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3,5
-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,
1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1
-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルメタン、2,2-
ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒ
ドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ
-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブ
ロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メ
チル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ク
ロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ブ
ロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘ
キサフルオロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、4,4’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラメチル-
4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシベ
ンゾフェノンなどの芳香族ジオールおよびエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、
ペンタメチレングリコール、水添ビスフェノールAなど
の脂肪族ジオールなどが挙げられ、これらを単独使用し
ても、2種類以上混合して使用してもよい。また、これ
らから得られるポリエステル樹脂を単独で使用しても、
2種類以上混合して使用してもよい。
の残基の組み合わせより構成されていればよいが、中で
も芳香族ジカルボン酸残基とジオール残基より構成され
る芳香族ポリエステル樹脂であることが好ましい。
脂(A)を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフ
タレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-
2,6-ナフタレートなどが挙げられるが、なかでも適度の
機械特性、ガスバリア性、金属密着性を有するポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフ
タレートが最も好ましい。
固有粘度は、0.5〜2.0dl/g、好ましくは0.65〜1.7dl/
g、より好ましくは0.8〜1.5dl/gである。固有粘度が0.5
dl/g未満の場合は、ポリカーボネ−ト樹脂(B)やゴム状
弾性体樹脂(C) と均一に混合しないため機械強度や耐衝
撃性が低く、一方、固有粘度が2.0dl/g超の場合には成
形性が不良となり、いずれも好ましくない。
ェノール中、0.5%の濃度で測定し、下式によって求めら
れる。式中、Cは溶液100ml当たりの樹脂のg数で表した
濃度を、t0は溶媒の流下時間を、tは溶液の流下時間を
各々表す。 固有粘度=(ln(t/t0))/C 式(1)
は、公知のポリカーボネート樹脂を広く使用することが
できる。本発明でいう高分子量、熱可塑性芳香族ポリカ
ーボネートは数平均分子量が約1000〜2000000以上、好
ましくは約10000〜80000であり、25℃において塩化メチ
レン溶液中で測定した固有粘度が0.30〜1.0dl/gである
単独重合体、およびカーボネート共重合体およびこれら
の混合物である。ポリカーボネートは、2.2-ビス(4-ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)
プロパン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-(3,3’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジヒドロキシジ
フェニル)プロパンおよび(3,3’-ジクロロ-4,4’-ジヒ
ドロキシジフェニル)メタンのような2価フェノールから
誘導される。上記ポリカーボネートの製造に用いるその
他の2価フェノールは、米国特許第2999835号、同第3028
365号、同第3334154号および同第4131575号に示されて
いる。ポリカーボネートは例えば上記引用文献や米国特
許第4018750号および同第4123436号に示される方法に従
って2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させ
るか、または米国特許第3153008号に記載のエステル交
換法、その他分野の技術者に知られた方法等の既知の方
法によって製造できる。本発明で用いる芳香族ポリカー
ボネートにはまた、米国特許第3169121号に示されてい
るような2価フェノール、ジカルボン酸および炭酸から
の重合誘導体も含まれる。芳香族ポリカーボネートの製
造に用いるのに単独重合体よりもカーボネート共重合体
が望ましい場合は2種またはそれ以上の異なる2価フェノ
ールとグリコールまたは酸末端停止ポリエステルとの共
重合体を用いることも可能である。上記試料の任意のブ
レンドも使用できる。米国特許第4001184号に記載され
ているような枝分かれポリカーボネート、また線状ポリ
カーボネートおよび枝分かれポリカーボネートとのブレ
ンドも使用できる。
(C)は、公知のゴム状弾性体樹脂を広く使用できる。中
でも、ゴム弾性発現部のガラス転移温度(Tg、サンプル
量約10mg、昇温速度10℃/分の示差型熱分析装置(DSC)で
測定)が50℃以下、室温でのヤング率が1000MPa以下、お
よび破断伸びが50%以上であるゴム状弾性体樹脂が好ま
しい。ゴム弾性発現部のTgが50℃超、室温でのヤング率
が1000MPa超、および破断伸びが50%未満では、十分な耐
衝撃性を発現できない。低温での耐衝撃性を確保するた
めには、Tgが10℃以下、より望ましくは-30℃以下であ
ることが好ましい。また、より確実な耐衝撃性を確保す
るためには、室温でのヤング率は100MPa以下、より望ま
しくは10MPa以下であることが、破断伸びは100%以上、
より望ましくは300%以上であることが、好ましい。
具体的に例示すると、公知のコア-シェルタイプ熱可塑
性ゴム状弾性体、ブタジエン-スチレン共重合体(SBR)、
アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)、ポリイソ
プレン(IPR)、ポリブタジエン(BR)等の公知のジエン系
エラストマー、エチレンおよび炭素数3以上のαオレフ
ィンもしくはエチレンおよび炭素数3以上のαオレフィ
ンおよび非共役ジエンからなるオレフィン系エラストマ
ー、エチレン系アイオノマーやエチレン-極性モノマー
共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SB
S)およびその水添物(SEBS)、ゴム変性スチレン(HIPS)、
アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体(ABS)
等のスチレン系エラストマー、ジメチルシロキサンを主
成分とするシリコンエラストマー、芳香族ポリエステル
-脂肪族ポリエステル共重合体もしくは芳香族ポリエス
テル-ポリエーテル共重合体等のポリエステルエラスト
マー、ナイロンエラストマー等が挙げられる。中でもゴ
ム状弾性体自体に極性があるシェル部が極性基含有ビニ
ル重合体であるコア-シェルタイプのゴム状弾性体、ア
クリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)、ABS、エチ
レン系アイオノマーやエチレン-極性モノマー共重合
体、シリコンエラストマー、ポリエステルエラストマ
ー、ナイロンエラストマーが好ましい。これらは、ポリ
エステル樹脂(A)中に単独で分散して金属板との界面に
存在しても、金属板との密着性を損なう可能性が小さ
い。
(C)は、ポリエステル樹脂(A)に対する相溶性よりもポリ
カーボネート樹脂(B)に対する相溶性が良好であること
が好ましい。相溶性の良否は、ゴム状弾性体樹脂(C)と
ポリエステル樹脂(A)、ゴム状弾性体樹脂(C)とポリカー
ボネート樹脂(B)とを溶融混練してDSCにより昇温速度10
℃/分で測定した際のTgにより判断できる。以下の式を
満足した場合、ゴム状弾性体樹脂(C)はポリエステル樹
脂(A)よりもポリカーボネート樹脂(B)に対して相溶性が
良好であると判断する。 |TgPC単体-TgPC混練|/|TgPC単体-Tgコ゛ム状弾性体単体| > |Tgホ゜リエステル単体-Tgホ゜リエステル混練|/|Tgホ゜リエステル単体-Tgコ゛ム状弾性体単体| 式(2)
性体樹脂(C)がコア-シェルタイプゴム状弾性体である場
合はシェル部のTg、物理架橋型エラストマー(ナイロン
エラストマー、ポリエステルエラストマーなど)である
場合はハードセグメントのTg、エチレンアイオノマーや
エチレン-極性モノマー共重合体である場合は主成分で
あるエチレン鎖のTg、海島型エラストマーの場合(HIP
S、ABSなど)の場合は海を形成している樹脂のTg、化学
架橋型エラストマー(NBR、IPR、BRなど)の場合はゴム弾
性体のTgである。また、 Tgホ゜リエステル混練、TgPC混練は、
各々ゴム状弾性体樹脂(C)とポリエステル樹脂(A)、ゴム
状弾性体樹脂(C)とポリカーボネート樹脂(B)とを混練し
た後のポリエステル樹脂(A)相、ポリカーボネート樹脂
(B)相のTgを示し、相溶性が良いほどTgコ゛ム状弾性体単体
に近づいていく。すなわち、各々のシフト率を比較した
(2)式で相溶性が判断できる。
樹脂(B)とは元来相溶性が良好なので、上式を満足する
場合は、ゴム状弾性体樹脂(C)が直接ポリエステル樹脂
(A)と接触して分散するよりは双方に相溶性が良好なポ
リカーボネート樹脂(B)を介して分散する構造、すなわ
ち、ポリエステル樹脂(A)中にポリカーボネート樹脂(B)
でカプセル化したゴム状弾性体樹脂(C)が分散する構造
を形成し易い。この結果、ゴム状弾性体樹脂(C)とポリ
エステル樹脂(A)との界面が非常に強靱になり、耐衝撃
性や加工部追従性が発現されやすくなる。
にポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)とゴ
ム状弾性体樹脂(C)との3元組成物が形成する相構造は、
Spread Parameterの正負により決定され、正のときに上
記の構造が形成される。Spread ParameterとはS.Y.Hobb
s; Polym. Vol. 29, 1598 (1989)が定義するパラメータ
で、以下の式で与えられる。 λコ゛ム状弾性体(C)-ホ゜リカーホ゛ネート(B) = Υホ゜リエステル(A)-コ゛ム状弾性体(C) - Υコ゛ム状弾性体(C)-ホ゜リカーホ゛ネート(B) - Υホ゜リエステル(A)-ホ゜リカーホ゛ネート(B) 式(3)
であり、樹脂i-j間の相溶性を示すパラメーターΧi-j
(相溶性が良好なほど小さな値を示す)の0.5乗に比例す
る。元来、ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹
脂(B)とは相溶性が良好であるので、Υ
ホ゜リエステル(A)-ホ゜リカーホ゛ネート(B) は小さい。従って、ポリエ
ステル樹脂(A)とゴム状弾性体樹脂(C)との相溶性が低く
かつ、ポリカーボネート樹脂(B)とゴム状弾性体樹脂(C)
との相溶性が良好であれば、Υ
コ゛ム状弾性体(C)-ホ゜リカーホ゛ネート(B)が大きく、かつΥ
コ゛ム状弾性体(C)-ホ゜リカーホ゛ネート(B)を小さくできるので、λ
コ゛ム状弾性体( C)-ホ゜リカーホ゛ネート(B)>0となり、ポリエステル
樹脂(A)中にポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化した
ゴム状弾性体(C)が分散する構造を形成する。
ート樹脂(B)に対して良好な相溶性を有するゴム状弾性
体樹脂(C)を例示すると、アクリロニトリル-スチレン-
ブタジエン共重合体(ABS) や、シェル部が極性基含有ビ
ニル重合体であるコア-シェルタイプのゴム状弾性体樹
脂が挙げられる。ここでABS樹脂は、アクリロニトリ
ル、スチレン、ブタジエンのユニットからなる樹脂であ
ればよいが、好ましくはブタジエン成分が5重量%以上、
アクリロニトリル/スチレン重量比が30/80〜30/70であ
ることが好ましい。ブタジエン量が5重量%未満では十分
な耐衝撃性がでない場合があり、アクリロニトリル/ス
チレン重量比が30/80〜30/70である組成のとき、ポリカ
ーボネート樹脂(B)との相溶性が最大になる。また、上
記のコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂とは、シェル
部がポーリングの電気陰性度の差が0.9(eV)0.5以上ある
元素が結合したユニットを1wt%以上含有しビニル重合体
構成されるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂であ
る。中でも多様なポリエステル樹脂(A)とポリカーボネ
ート樹脂(B)の組み合わせに対しても上記の相溶性条件
(ポリエステル樹脂(A)に対する相溶性よりもポリカーボ
ネート樹脂(B)に対する相溶性が良好である)を満足でき
るという観点から、シェル部が次式で示されるアクリレ
ートユニットを50重量%以上含有するビニル重合体から
なるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂が特に望まし
い。 (但し、R1;水素もしくは炭素数1以上30以下のアルキル
基、R2;炭素数1以上のアルキル基)
リレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、
2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n-
オクチルメタクリレートなどのアクリル系ユニットを主
成分とするアクリル系ゴム状弾性体樹脂もしくはポリブ
タジエンおよびその水添重合体、ブタジエンとスチレン
との共重合体およびその水添重合体などのジエン系ゴム
状弾性体樹脂、もしくはシロキサンを主成分とするシリ
コン系ゴム状弾性体樹脂で構成され、シェル部がポリメ
チルメタクリレート、メチルメタクリレート-スチレン
共重合体であるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂が
ある。具体的には、コア部がポリブチルアクリレート、
シェル部がポリメチルメタクリレート(MBA)や、メチル
メタクリレート-スチレン共重合体であるコア-シェルタ
イプゴム状弾性体樹脂、コア部がスチレン-ブタジエン
共重合体でシェル部がポリメチルメタクリレート(MB
S)、コア部がポリジメチルシロキサンでシェル部がポリ
メチルメタクリレート(MBS)あるコア-シェルタイプゴム
状弾性体樹脂、さらには米国特許第4,096,202号に開示
されているアクリレートベースコア-重合アクリレート
シェル重合体、シロキサン系ゴム状弾性体コア-アクリ
レートシェル重合体などが挙げられる。
粘度が0.5〜2.0dl/gであるポリエステル樹脂(A)、ポリ
カーボネート樹脂(B)、およびゴム状弾性体樹脂(C) で
構成され、ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、ポ
リカーボネート樹脂(B)1-50重量部、およびゴム状弾性
体樹脂(C)1-50重量部が含有されていなければならな
い。ポリカーボネート樹脂(B)が1重量部未満では十分な
加工追従性が発現できない。また、50重量部超では耐熱
性が低くなり、レトルト処理に適さない。ゴム状弾性体
樹脂(C)が1重量部未満では十分な耐衝撃性が発現でき
ず、50重量部超では耐熱性が低くなり、レトルト処理に
適さない。
は、固有粘度が0.5〜2.0dl/gであるポリエステル樹脂
(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびゴム状弾性体樹
脂(C) により上記の組成で構成されていればよく、特に
高次構造を規制するものではない。従って、均一化した
ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)からな
るマトリックス中にゴム状弾性体樹脂(C)が分散した形
状、ポリエステル樹脂(A)のマトリックスにポリカーボ
ネート樹脂(B)とゴム状弾性体樹脂(C)が各々独立に分散
した形状、ポリエステル樹脂(A)マトリックス中にポリ
カーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体樹
脂(C)が分散した形状でもよい。ポリエステル樹脂(A)中
に分散したポリカーボネート樹脂(B)もしくはゴム状弾
性体樹脂(C)の分散粒径は、3μm以下、好ましくは1μm
以下であることが望ましい。3μm超では十分な耐衝撃性
がでない場合がある。1μm以下場合は少量の添加でも耐
衝撃性が発揮できる場合が多い。また、分散構造として
最も好ましいのは、ポリエステル樹脂(A)マトリックス
中にポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状
弾性体樹脂(C)が分散した形状であり、ポリエステル樹
脂(A)/ゴム状弾性体樹脂(C)の界面にポリカーボネート
樹脂(B)が存在することにより、 ゴム状弾性体樹脂(C)
とポリエステル樹脂(A)との界面が非常に強靱になり、
耐衝撃性や加工部追従性が発現されやすくなる。この場
合、カプセル化した状態とは、ポリエステル樹脂(A)/ゴ
ム状弾性体樹脂(C)の界面の50%以上にポリカーボネート
樹脂(B)が存在する状態であり、公知の染色法でポリカ
ーボネート樹脂(B)を染色した後に透過型顕微鏡で解析
し、界面に占めるポリカーボネート樹脂(B)の面積率に
より評価できる。
の各種混合機を用いて各成分を所定の温度、例えば200
〜350℃で溶融混練することにより製造することができ
る。公知の各種混合機とは例示すれば、各種押出機、ブ
ラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げ
られる。
剛性や線膨張特性の改善などを目的に、ガラス繊維、金
属繊維、チタン酸カリウィスカー、炭素繊維のような繊
維強化剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフ
レーク、ミルドファイバー、金属フレーク、金属粉末の
ようなフィラー系強化剤を混入させてもよい。これらの
充填剤のうち、ガラス繊維、炭素繊維の形状としては、
6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有することが
望ましい。また、これらの添加量としては、全樹脂組成
物重量部に対して5〜15重量部であることが望ましい。
は、目的に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、
離型剤、滑剤、顔料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、抗
菌抗カビ剤等を適正量添加することも可能である。
材として使用することができる。金属板は特に限定する
ものではないが、ブリキ、ティンフリースチールなどの
鋼板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板など挙げられ
る。また、金属板への被覆も片面または両面のいずれで
あってもよい。また、本発明の樹脂組成物を金属板へ被
覆した際の被覆膜厚みは、特に制限するものではない
が、1〜300μmであることが好ましい。1μm未満では十
分な衝撃性がでない場合があり、300μm超では経済性が
悪い。
きる。具体的には、(1)本発明の樹脂フィルムを製造す
るための樹脂組成物をTダイス付きの押し出し機で溶融
混練してフィルム化し、これを金属板に熱圧着する方法
(この場合、フィルムは無延伸でも、1方向もしくは2方
向に延伸してもよい)、(2)Tダイスから出たフィルムを
直接熱圧着する方法が挙げられる。さらに本発明の樹脂
フィルムを製造するための樹脂組成物にはゴム状弾性体
樹脂(C)が含有されるため、被覆後の膜内部に結晶化度
を傾斜させなくても十分な耐衝撃性を発現できる。従っ
て、(3)本発明の樹脂フィルムを製造するための樹脂組
成物を溶融して、バーコーターやロールでコーティング
する方法、(4)本発明の樹脂フィルムを製造するための
樹脂組成物を溶融して、金属板を漬ける方法、(5)本発
明の樹脂フィルムを製造するための樹脂組成物を溶媒に
溶解してスピンコートする方法、などにより金属板に被
覆することも可能であり、被覆方法は特に限定されるも
のではない。
も好ましいのは、上記(1)および(2)の方法である。(2)
の方法を使用して被覆する場合は、フィルム厚みは上記
と同様の理由により1〜300μmであることが好ましい。
さらに膜の表面粗度は, フィルム表面粗度を任意に1mm
長測定した結果がRmaxで500nm以下であることが好まし
い。500nm超では熱圧着で被覆する際に気泡を巻き込む
場合がある。
属板への被覆工程や金属板加工時の潤滑性を向上する目
的で特開平5-186613号公報に開示されているような公知
の滑剤が添加されていてもよい。滑剤の粒径は2.5μm以
下が好ましい。2.5μm超では樹脂フィルムの機械特性が
低下する。滑剤の添加量は金属板の巻取性や深絞り加工
性に応じて決定され、例えば平均粒径2.0μmの単分散シ
リカでは0.05重量%、平均粒径0.3μmの二酸化チタンで
は0.3重量%以下が望ましい。
覆する際には、必要に応じて他の公知の樹脂フィルムを
下層もしくは上層に積層して被覆してもよい。具体的な
積層方法としては、上述の(1)、(2)の方法を使用する場
合は、多層のTダイスを使用して本発明の樹脂フィルム
と他の樹脂フィルムとの多層膜を製造し、それを熱圧着
する方法がある。また、上述の(3)、(4)、(5)の方法を
使用する場合は、下層のときは他の樹脂を被覆したのち
に本発明の樹脂組成物を被覆し、上層のときはその逆に
することにより被覆することが可能である。
被覆された金属板であり、被覆は片面であっても両面で
あってもよい。金属板の厚みは特に制限するもではない
が、0.01〜5mmであることが好ましい。0.01mm未満では
強度が発現しにくく、5mm超では加工が困難である。
金属板に被覆されていればよく、公知の樹脂フィルムを
本発明の樹脂フィルムの下層もしくは上層に積層して金
属板に被覆していてもよい。また、公知の接着剤を金属
板と本発明の樹脂フィルムとの間に積層することも可能
である。接着剤を例示すると、特開昭60-12233号公報に
開示されるポリエステル樹脂系の水系分散剤、特開昭63
-12233号公報に開示されるエポキシ系接着剤、特開昭61
-149341号公報に開示される各種官能基を有する重合体
などが挙げられる。
なる金属容器で公知の加工法により成形できる。具体的
にはドローアイアニング成形、ストレッチドロー成形な
どが挙げられるが、本発明の金属板を使用した金属容器
であればよく、成形法は例示した成形法に限定するもの
でない。
エステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)、およびゴ
ム状弾性体樹脂(C) の3元成分より構成される。従っ
て、ゴム状弾性体樹脂(C)によりポリエステル樹脂(A)の
耐衝撃性が改善でき、さらにポリカーボネ−ト樹脂(B)
により加工追従性が改善できる。この結果、本発明の樹
脂組成物は、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、機
械強度、ガスバリア性、金属との密着性などに優れ、金
属板の被覆用材料として好適に使用することが可能であ
る。さらに本発明の樹脂フィルムは本樹脂組成物を使用
しているので、上記の特性を発揮でき、好適に金属板被
覆用のフィルムとして使用することが可能である。ま
た、本フィルムを被覆した金属板は上記の特性を有する
フィルムを被覆しており、従来困難であった加工追従性
と耐衝撃性とを有する金属板として、金属容器、家具、
電化製品、自動車部材として好適に使用することが可能
である。また、本発明の金属容器は本金属板を使用して
いるため、優れた外観性、フレバー性、耐腐食性、強度
を有する金属容器として好適に使用することができる。
細に説明する。
テレフタレート(PET)(東洋紡(株)製RN163)、ポリブチレ
ンテレフタレート(PBT)(東レ製1401-X04)、ポリカーボ
ネート樹脂(B)としてノバレックス(三菱エンジニアリン
グプラスティック(株)製PC)、ゴム状弾性体樹脂(C)とし
てポリブチルアクリレート-ポリメタクリル酸メチル共
重合体(MBA)(呉羽化学(株)製パラロイドEXL2314)、およ
びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(AB
S)(JSR製ゴム含有率10wt%、A/S=25/75)、エチレンアイ
オノマー(三井デュポン製ハイミラン1706)を使用し
た。
アイオノマー、 PC/アイオノマーを各々80/20(wt%)、26
0℃、80回転でバンバリーミキサーで混練した後Tgを測
定し、(2)式により相溶性を評価した(表1)。
でV型ブレンダーを使用してドライブレンドし、2軸押し
出し機で260℃で溶融混練した。本樹脂組成物の混練ス
トランドからウルトラミクロトームを使用して超薄切片
を切り出し、オスミウム酸でPC相、ルテニウム酸でMB
A、アイオノマーを染色し、TEM観察した。この結果、実
施例1、3ではPET相中にPC(最も濃く染色された相)で
カプセル化したMBA相(2番目に濃い相)が分散(カプセル
化した界面面積率100%、MBA粒径;800nm以下)した構造を
形成し、 実施例2では、均一化したPET/PC相中にアイ
オノマーが分散(アイオノマー相粒径;800nm以下)してい
た。
0μm厚みのフィルムを得た(押し出し温度280℃)。本フ
ィルムを250℃に加熱した2.5mm厚みのティンフリースチ
ールの両面にはりあわせ、水冷により10秒以内に100℃
以下まで急冷し、樹脂被覆鋼板を作製した。
板についてクエン酸1.5重量%、食塩1.5重量%水溶液に24
時間浸漬した後、フィルムの剥がれた長さ(mm)(10サン
プルの平均)で評価した。0.0mmを◎とし、0.0〜0.5mmを
○, 0.5〜2.0mmを△、2.0mm超を×とした。密着試験の
結果を表3に示す。
落垂衝撃試験(高さ30cm、 r=8mm)を行なった。試験後の
サンプルの凸に膨らんだ部位を1.0重量%食塩水に入れて
鋼板を陽極とし、+6Vの電圧をかけた際の電流値(mA、ER
V値)を測定した。ERV値は以下の指標により評価した。
さらに0℃の恒温層に24時間入れた後に同様の耐衝撃性
評価を行ない、低温での耐衝撃性を評価した。 ◎:全10サンプルが0.01mA以下であった。 ○:1〜3個が0.01mA以上であった。 △:3〜6個が0.01mA以上であった。 ×:7個以上が0.01mA以上であった。 表3に耐衝撃性評価結果を示す。
し、加工追従性を加工後のフィルム健全性、および鋼板
との密着性により評価した。 ◎:フィルム剥離0.0mm ○:フィルム剥離1mm未満 △:フィルム剥離2mm未満 ×:加工中にフィルム破損 表3に加工追従性評価結果を示す。
3と同様に混練し、相溶性を評価した。結果を表1に示
す。
0℃で同様に混練、製膜した。実施例1〜3と同様にし
て相構造を解析した。この結果、 PBT相中にPCでカプセ
ル化したMBA相が分散(カプセル化した界面面積率100%、
MBA粒径;800nm以下)した構造を形成していた。本フィル
ムを240℃で同様にティンフリースチールに被覆し、フ
ィルム密着性、耐衝撃性、加工追従性を評価した。結果
を表3に示す。
と同様に混練し、相溶性を評価した。結果を表1に示
す。実施例1のMBAの代わりにABSを使用し、同一条件で
混練、製膜した。実施例1〜3と同様にして相構造を解
析した。この結果、 PET相中にPCでカプセル化したABS
相が分散(カプセル化した界面面積率100%、ABS粒径;900
nm以下)した構造を形成していた。本フィルムを同様に
ティンフリースチールに被覆し、フィルム密着性、耐衝
撃性、加工追従性を評価した。結果を表3に示す。
に基づき、2軸延伸ポリエステルフィルム(テレフタル酸
/イソフタル酸/エチレングリコール残基(78/22/100)か
ら構成され、比重1.3387、30μm厚み、面配向係数0.120
のフィルム)を実施例1〜3と同一条件でティンフリース
チール上に熱圧着し、密着性、耐衝撃性および加工追従
性を実施例1〜3と同様に評価した。結果を表4に示す。
1に従い、PETとポリカーボネート(日本ジーイープラス
チック(株)製、Tg:122℃)とをV型ブレンダーを用いて組
成比80/20で混合した。混合後、2軸押し出し機で240℃
で混練し、樹脂組成物ペレットを得た。本ペレットを使
用して実施例1〜3と同様にフィルムを作成して2.5mm厚
みのティンフリースチールの両面にはりあわせ、密着性
および耐衝撃性を評価した。結果を表4に示す。
金属板被覆用樹脂組成物は、従来技術よりも金属との密
着性、耐衝撃性、加工追従性に優れていることが判る。
リエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)、および
ゴム状弾性体樹脂(C) の3元成分より構成される。従っ
て、ゴム状弾性体樹脂(C)によりポリエステル樹脂(A)の
耐衝撃性が改善でき、さらにポリカーボネート樹脂(B)
により加工追従性が改善できる。この結果、本発明の樹
脂組成物は、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、機
械強度、ガスバリア性、金属との密着性などに優れ、金
属板の被覆用材料として好適に使用することが可能であ
る。さらに、本発明の樹脂フィルムは本樹脂組成物を使
用しているので、上記の特性を発揮でき、好適に金属板
被覆用のフィルムとして使用することが可能である。ま
た、本フィルムを被覆した金属板は上記の特性を有する
フィルムを被覆しており、従来困難であった加工追従性
と耐衝撃性とを有する金属板として、金属容器、家具、
電化製品、自動車部材として好適に使用することが可能
である。 また、本発明の金属容器は前記金属板を使用
しているため、優れた外観性、フレバー性、耐腐食性、
強度を有する金属容器として好適に使用することができ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】固有粘度0.5〜2.0dl/gを有するポリエステ
ル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)およびゴム状弾性
体樹脂(C) を含んでなり、前記ポリエステル樹脂(A)100
重量部に対して、前記ポリカーボネート樹脂(B)1〜50重
量部、前記ゴム状弾性体樹脂(C)1〜50重量部からなるこ
とを特徴とする、金属板被覆用樹脂組成物。 - 【請求項2】前記ゴム状弾性体樹脂(C)が、アクリロニ
トリル-ブタジエン-スチレン共重合体もしくはシェル部
が極性ビニル重合体からなるコア-シェルタイプゴム状
弾性体樹脂である、請求項1記載の金属板被覆用樹脂組
成物。 - 【請求項3】前記極性ビニル重合体がアクリレート系重
合体である、求項2記載の金属板被覆用樹脂組成物。 - 【請求項4】請求項1〜3に記載の樹脂組成物を単独で
または他の樹脂組成物および/または接着剤と組み合わ
せて、積層してなることを特徴とする、金属板被覆用樹
脂フィルム。 - 【請求項5】金属板の片面および/または両面に少なく
とも請求項4記載の金属板被覆用樹脂フィルムを用いて
単一層状にまたは多層状に積層してなることを特徴とす
る、樹脂被覆金属板。 - 【請求項6】請求項5記載の樹脂被覆金属板を成形して
なることを特徴とする、金属容器。
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