JP4212740B2 - 導電性シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性シートに関する。更に詳しくは、導電性カーボンを熱可塑性ポリエステルに配合してなる組成物からなる導電性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にポリエステル系樹脂は、電気的に絶縁性の物質であるが、ある種の電気、電子部品としては導電性の要求される用途が多く、また、帯電防止性、電磁波シールド性等のためにも導電性の要求がされる場合が多い。熱可塑性ポリエステルに導電性を付与するために、導電剤を配合することが一般的に行われる。導電剤として、導電性カーボンを配合することが知られている。
【0003】
しかし、導電性カーボンを配合して、実用上有効な導電性を付与するためには、導電性カーボンを多量に添加する必要があり、その結果、機械的物性が低下する等、ポリエステル本来の物性が損なわれて実用上問題となることが多い。かかる問題は、繊維状導電性フィラーを併用してある程度回避することができるが、成形時の流れが悪くなり成形性が損なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
導電性樹脂組成物について、結晶性樹脂と結晶性樹脂の組合せの系であるポリアセタール(以下、「POM」ということがある)/ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」ということがある)/カーボンブラック(以下、「CB」ということがある)系で、良好な導電性が発現されることが知られている(特許第2866535号)。しかし、この系では、押出・成形時の熱安定が悪い。また、POMの融点は約180℃、PBTの融点は約224℃であり、融点の異なる結晶性樹脂の組み合わせであり、さらに、POMの結晶化速度はPBTの結晶化速度より速いために、CBはPBT相に選択的に取り込まれることは容易である。
【0005】
また、結晶性樹脂と非晶性樹脂の組合わせでは、CBを結晶性樹脂の相に選択的に取り込ませることは、従来の技術では困難であった。
【0006】
本発明は、良好な機械的物性を備える導電性シートを提供することを課題とし、特に、導電性カーボンを結晶性樹脂に選択的に存在させた導電性シートにより、良好な機械的物性を備える導電性シートを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
項1)(A)260℃での見掛けのせん断速度1000sec-1における見掛けの溶融粘度が10Pa・s以上240Pa・s未満のポリブチレンテレフタレート100重量部、(B)315℃での見掛けのせん断速度1000sec -1 における見掛けの溶融粘度が10〜1000Pa・sである芳香族ポリカーボネート5〜100重量部および(C)導電性カーボン0.1〜50重量部からなり、下式(1)で表されるポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリカーボネート(PC)の比率が、0.01〜1.3である組成物からなる導電性シートであり、
(PBTとPCの比率)=(260℃での見掛けのせん断速度1000sec -1 における見掛けのPBT溶融粘度)÷(315℃での見掛けのせん断速度1000sec -1 における見掛けのPC溶融粘度) ・・・(1)
導電性シートはポリブチレンテレフタレート(A)の相が連続相またはポリブチレンテレフタレート(A)と芳香族ポリカーボネート(B)とが共連続相を形成し、導電性カーボン(C)が下式(2)
(導電性カーボン濃度比)=(ポリブチレンテレフタレート(A)相での導電性カーボン濃度)/(芳香族ポリカーボネート(B)相での導電性カーボン濃度) ・・・(2)
で表わされる濃度比1.5以上でポリブチレンテレフタレート(A)の相に選択的に存在することを特徴とする導電性シートであり、また、
項2)組成物が、ポリブチレンテレフタレート100重量部あたり0.01〜100重量部のゴム状物質(D)をさらに含有する、項1記載の導電性シートである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0008】
[熱可塑性ポリエステル]
熱可塑性ポリエステル(A)として、結晶化速度が速いことから、ポリブチレンテレフタレートが用いられる。
【0010】
熱可塑性ポリエステルは、全ジカルボン酸成分に対して例えば30モル%以下、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の共重合成分を共重合して成ってもよい。
【0011】
かかる共重合成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸等のアルキル置換フタル酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸;4,4−ジフェニルジカルボン酸、3,4−ジフェニルジカルボン酸等のジフェニルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸等のジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ハイドロキノン、レゾルシン等のジヒドロキシベンゼン;2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン等のビスフェノール類、ビスフェノール類とエチレングリコールのごときグリコールとから得られるエーテルジオール等の芳香族ジオール;ε−オキシカプロオン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸が例示される。
【0012】
熱可塑性ポリエステルには、分岐成分として、トリメシン酸、トリメリット酸等の多官能のエステル形成能を有する酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能のエステル形成能を有するアルコールを全ジカルボン酸成分の1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.3モル%以下共重合せしめてもよい。
【0013】
本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル(A)は、その固有粘度が好ましくは0.6〜1.2である。さらに好ましくは、0.6〜0.9である。固有粘度が0.6未満であると十分な機械的特性が得られず好ましくなく、1.2を超えると溶融粘度が高く流動性が低下して成形性が損なわれるため好ましくない。ここで、固有粘度とは35℃におけるオルトクロルフェノール中での測定値から算出された値である。
【0014】
本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル(A)は、260℃での見掛けのせん断速度1000sec-1における見掛けの溶融粘度が10Pa・s以上240Pa・s未満のものである。10Pa・s未満であると十分な機械的物性が得られず、240Pa・s以上であるとカーボンブラックの選択分散が起りにくい。
【0015】
[芳香族ポリカーボネート]
芳香族ポリカーボネート(B)は、公知のポリマーである。これは、一般に、2価フェノール化合物を例えばホスゲン、ハロゲン化ギ酸エステル或は炭酸エステルの如きカーボネート前駆体と反応させることによって調製することができる。また、芳香族ポリカーボネートはエステル交換反応によっても調製し得る。
【0016】
芳香族ポリカーボネートは以下の式で表される構造単位からなるポリマーである。
【0017】
【化1】
【0018】
式中、Aは当該ポリマーの調製に使用される2価フェノールに由来する2価の芳香族基である。1つの芳香核の炭素に直接結合したヒドロキシ基を2個含む単核或は多核芳香族化合物は、2価フェノールとして当該芳香族ポリカーボネートの調製に使用することができる。
【0019】
適切な2価フェノールの例は、以下のものである:2,2ービスー(4ーヒドロキシフェニル)プロパン;ヒドロキノン;レゾルシノール;2,2ービスー(4ーヒドロキシフェニル)ペンタン;2,4‘ー(ジヒドロキシジフェニル)メタン;ビスー(2ーヒドロキシフェニル)メタン;ビスー(4ーヒドロキシフェニル)メタン;ビスー(4ーヒドロキシー5ーニトロフェニル)メタン;1,1ービス(4ーヒドロキシフェニル)エタン;3,3ービス(4ーヒドロキシフィニル)ペンタン;2,2ージヒドロキシフェニル;2,6ージヒドロキシナフタレン;ビスー(4ーヒドロキシジフェニル)スルホン;ビスー(3,5ージエチルー4ーヒドロキシフェニル)スルホン;2,2ービスー(3,5ージメチルー4ーヒドロキシフェニル)プロパン;2,4’ージヒドロキシフェニルスルホン;5‘ークロロー2,4’ジヒドロキシフェニルスルホン;ビスー(4ーヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホン;4,4‘ージヒドロキシジフェニルエーテル;4,4’ージヒドロキシー3,3‘ージクロロフェニルエーテル;4,4’ージヒドロキシー2,5ージヒドロキシジフェニルエーテル。
【0020】
上述のポリカーボネートのうち、4,4’−ジヒドロキシフェニルアルカン系ポリカーボネートが本発明において好ましく用いられ、2,2’−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略記することがある)をジヒドロキシ成分として用いエステル交換法またはホスゲン法により得られたポリカーボネートが特に好ましく用いられる。更に、ビスフェノールAの一部または全部を、他の4、4’−ジヒドロキシジフェニルアルカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどに置換したものも用いることができる。また、2種以上の芳香族ポリカーボネートを混合して用いることもできる。
【0021】
芳香族ポリカーボネート(B)の分子量は、数平均分子量が好ましくは10000〜100000、さらに好ましくは18000〜80000、特に好ましくは20000〜50000の範囲である。
【0022】
芳香族ポリカーボネート(B)の配合量は、熱可塑性ポリエステル(A)100重量部あたり5〜100重量部である。芳香族ポリカーボネートが5重量部未満であると、導電性カーボンの良好な選択分散を得ることができない。上限値である100重量部より多い250重量部を超えるとポリエステル成形品に求められる耐薬品性などに問題が生じる。
【0023】
芳香族ポリカーボネート(B)は、315℃での見掛けのせん断速度1000sec-1における見掛けの溶融粘度が、10〜1000である。この範囲にあると特に選択分散性が顕著であり、成形性、押出性及び機械的物性が良好である。
【0024】
本発明において、熱可塑性ポリエステルとしてポリブチレンテレフタレートを用い、この場合、下式(1)で表される、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリカーボネート(PC)の比率が、0.01〜1.3である。この範囲内では特に選択分散性が顕著である。
(PBTとPCの比率)=(260℃での見掛けのせん断速度1000sec-1における見掛けのPBT溶融粘度)÷(315℃での見掛けのせん断速度1000sec-1における見掛けのPC溶融粘度) ・・・(1)
【0025】
[導電性カーボン]
導電性カーボン(C)は、平均粒径が好ましくは1〜500mμ、さらに好ましくは10〜100mμの導電性カーボンであり、ケッチェンブラック、アセチレンブラックまたは各種ファーネス系の導電性カーボンを用いることができる。就中、ケッチェンブラック、アセチレンブラックが好ましい。
【0026】
導電性カーボン(C)の配合量は、熱可塑性ポリエステル100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部である。0.1重量部未満であると十分な導電性を付与することができず、50重量部を超えると押出性、成形性が悪くなる。
【0027】
[ゴム状物質]
本発明の導電性シートは、上記熱可塑性ポリエステル(A)、芳香族ポリカーボネート(B)および導電性カーボン(C)からなる組成物かなるが、この組成物は、熱可塑性ポリエステル100重量部あたり0.01〜100重量部のゴム状物質(D)をさらに含有することが好ましい。
【0028】
ゴム状物質(D)としてはブタジエン系共重合が好ましい。ブタジエン系共重合体(D)は、ブタジエン系共重合体にメタクリル酸エステル及び芳香族モノビニル化合物をグラフト共重合せしめたものである。このグラフト共重合体において、ブタジエン系重合体の量は好ましくは50〜85重量%、特に好ましくは70〜80重量%である。50重量%以上であると導電性シートの衝撃強度が良好であり、85重量%以下であると樹脂組成物から導電性シートを成形するときの成形性が良好であり好ましい。ブタジエン系共重合体としてはMBS樹脂が特に好ましい。
【0029】
ブタジエン系共重合体(D)を配合する場合、熱可塑性ポリエステル(A)100重量部あたり好ましくは0.01〜100重量部である。100重量部以上であると成形性が悪くなるため好ましくない。
【0030】
[添加剤]
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、シリコンオイルなどの離型剤、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、エステル交換防止剤(リンゴ酸やリン酸水素ナトリウム)を添加してもよい。
【0031】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂)、軟質熱可塑性樹脂(例えば、エチレン/酢酸ビニル共重体、ポリエステルエラストマ、エポキシ変性ポリオレフィン)を添加してもよい。
【0032】
また、本発明の目的を損なわない範囲で充填剤(例えば、タルク、カオリン、ワラストナイト、クレー、シリカ、セリサイト、酸化チタン、金属粉末、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ガラス繊維)を添加してもよい。
【0033】
[導電性カーボンの分布]
本発明の導電性シートは、熱可塑性ポリエステル(A)の相を有し、導電性カーボン(C)は、熱可塑性ポリエステルの相に選択的に存在する。選択的に存在することは、換言すれば、芳香族ポリカーボネート(B)の相での導電性カーボンの濃度を1としたときの、熱可塑性ポリエステル(A)の相での導電性カーボンの濃度が好ましくは1.5倍以上、より好ましくは3倍以上であることである。このような分布をとることにより、導電性カーボンの配合量が比較的少量であるにもかかわらず、良好な導電性を付与することができる。
【0034】
そして、導電性カーボンが選択的に存在するポリエステルの相は、導電性シートに特定のモルホロジーを形成して存在する。
【0035】
このモルホロジーとして、下記(1)または(2)の場合がある。
(1)熱可塑性ポリエステル(A)および芳香族ポリカーボネート(B)が、それぞれ共連続相を形成している場合。
(2)熱可塑性ポリエステル(A)が連続相を形成している場合。
【0036】
これらのいずれの場合においても、ポリエステルの機械的物性を損なうことなく、良好な成形性を備え、優れた導電性を備える導電性シートを得ることができる。上記(1)または(2)の場合、すなわち、熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートがそれぞれ共連続相を形成している場合か、熱可塑性ポリエステルが連続相を形成している場合、導電性付与の効果がより顕著である。
【0037】
[製造方法]
本発明の導電性シートを構成する樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分ならびに要すれば(D)成分を、各成分の全部または一部を、同時または別々に、例えばブレンダー、ニーダー、パンバリーミキサー、ロール、押出機に例示される混合機を用いて混合し均質化する製造方法で製造することができる。特に、熱可塑性ポリエステル(A)と芳香族ポリカーボネート(B)とを二軸押出機を使用して溶融混練する製造方法をとることが好ましい。このときのシリンダー温度は250〜270℃程度であることが好ましい。
【0038】
各成分を予めドライブレンドし、加熱した押出機で溶融混練して均質化し、針金状に押出し、次いで所望の長さに切断して粒状化する方法を用いることもできる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明さらに詳細に説明する。
実施例において使用した原料および評価方法は以下のとおりである。
【0040】
1.原料
各種原料は以下のものを使用した。
【0041】
2.導電性(抵抗率)
導電性は、超絶縁計(東亜電波工業(株)製SM−10E)を用いて測定した表面抵抗率(測定電圧:1〜500V)によって評価した。
表面抵抗率は、試料を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で24時間調湿した後、環境温度23℃、相対湿度50%下で測定した。測定は図1に示すように厚さ150μmのフィルムを、縦50mm×横50mmに切断し、計9面について測定した。測定面は、70℃に温調したロール面に接触した面である。
【0042】
3.溶融粘度比
溶融粘度比は、下記式で定義される。
(溶融粘度比) = (260℃での見掛けのせん断速度1000sec-1における見掛けのPBT溶融粘度) ÷ (315℃での見掛けのせん断速度1000sec-1における見掛けのPC溶融粘度)
溶融粘度の測定には、独ゲットフェルト社製/レオグラフ2002を用いた。
【0043】
[実施例1、参考例1および比較例1、2]
各種原料を表1に記載の重量割合で予め均一にドライブレンドした後、スクリュー径44mmのベント付き二軸押出機を用いてシリンダー温度180〜310℃、スクリュー回転数160rpm、吐出量30kg/hにて溶融混練し、ダイスから吐出するスレッドを冷却後、切断して成形用ペレットを得た。
【0044】
次いでこのペレットを用いてシリンダー温度280℃、ダイ温度70℃の条件でT台方法のニップロールで厚さ150μmのシート状成形品に製膜して導電性シートとした。
【0045】
表1に評価結果を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例1ではPBTの連続相が形成されており、少量の導電性カーボンで良好な導電性を示した。また、ゴム状物を20wt%入れた場合(参考例1)では良好な導電性に加え、耐屈曲性(JISP-8115/3000回以上)などの機械的物性が良好であった。実施例2でもポリブチレンテレフタレートの連続相が形成されていた。
【0048】
TEM観察により、実施例1および参考例1において、導電性カーボンがPBTの相に選択的に存在することが確認された。特に、実施例1では導電性カーボンがPBTの相に、芳香族ポリカーボネートの相の3倍以上濃度で存在することが確認できた(図2)。
【0049】
他方、同条件下で作成したPBT単独系(比較例1)では、実施例1と同量のケッチェンブラックEC600JDを添加しても導電性が付与されなかった。さらに、見掛けの溶融粘度240Pa・sのPBTを使用したPBT/PC系(比較例2)では導電性が付与されていなかった。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性シートに特定のモルフォロジーを形成させることによって、良好な機械的物性を備える導電性シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面抵抗率の測定を行った試験片である。厚さ150μmのフィルムの、縦50mm×横50mmの合計9面の測定面を示す。
【図2】実施例1の導電性シートの表面の35000倍のTEM像である。PBTの相、芳香族ポリカーボネート(PC)の相および導電性カーボン(C)の分布の状況を読み取ることができる。
Claims (5)
- (A)260℃での見掛けのせん断速度1000sec-1における見掛けの溶融粘度が10Pa・s以上240Pa・s未満のポリブチレンテレフタレート100重量部、(B)315℃での見掛けのせん断速度1000sec -1 における見掛けの溶融粘度が10〜1000Pa・sである芳香族ポリカーボネート5〜100重量部および(C)導電性カーボン0.1〜50重量部からなり、下式(1)で表されるポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリカーボネート(PC)の比率が、0.01〜1.3である組成物からなる導電性シートであり、
(PBTとPCの比率)=(260℃での見掛けのせん断速度1000sec -1 における見掛けのPBT溶融粘度)÷(315℃での見掛けのせん断速度1000sec -1 における見掛けのPC溶融粘度) ・・・(1)
導電性シートはポリブチレンテレフタレート(A)の相が連続相またはポリブチレンテレフタレート(A)と芳香族ポリカーボネート(B)とが共連続相を形成し、導電性カーボン(C)が下式(2)
(導電性カーボン濃度比)=(ポリブチレンテレフタレート(A)相での導電性カーボン濃度)/(芳香族ポリカーボネート(B)相での導電性カーボン濃度) ・・・(2)
で表わされる濃度比1.5以上でポリブチレンテレフタレート(A)の相に選択的に存在することを特徴とする導電性シート。 - 組成物が、ポリブチレンテレフタレート100重量部あたり0.01〜100重量部のゴム状物質(D)をさらに含有する、請求項1記載の導電性シート。
- 導電性カーボン(C)がケッチェンブラックである請求項1記載の導電性シート。
- 導電性カーボン(C)がアセチレンブラックである請求項1記載の導電性シート。
- ゴム状物質(D)がブタジエン系共重合体である請求項2記載の導電性シート。
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