JP2010254781A - 帯電防止性樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度不足の問題がなく、しかも、使用中の導電性カーボンブラックの脱落による問題のない、表面状態の奇麗な帯電防止性樹脂成形体を提供する。
【解決手段】樹脂成分として熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートとを含み、導電材料として導電性カーボンブラックを含む樹脂組成物から成る帯電防止性樹脂成形体であって、熱可塑性ポリエステルのIV値が0.85以上であり、導電性カーボンブラックのDBP吸油量が300〜520ml/gであり、熱可塑性ポリエステルに対する芳香族ポリカーボネートの割合が0.5〜4.5重量%であり、熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートの合計樹脂量に対する導電性カーボンブラックの割合が0.5〜10重量%である帯電防止性樹脂成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、帯電防止性樹脂成形体に関し、詳しくは、主要樹脂成分として熱可塑性ポリエステル樹脂を含有する帯電防止性樹脂成形体に関する。
導電性カーボンブラックを配合することにより、本来絶縁性である樹脂に対し導電性および帯電防止性を付与することは一般的に行われている。帯電防止性樹脂成形体は、特に電子デバイスの製造工程などにおいて、静電気が帯電した場合に速やかに静電気を放電する必要がある場所に使用されている。例えば、半導体搬送用パレット、スピンチャック、各種検査用治具などに使用されている。
ところで、実用上有効な導電性を付与するためには、導電性カーボンブラックを多量に添加する必要があり、その結果、機械的物性が低下する等、熱可塑性樹脂本来の物性が損なわれて実用上問題となることが多い。
そこで、上記の問題を解決するため、「(A)熱可塑性ポリエステル100重量部に対して(B)芳香族ポリカーボネート5〜250重量部及び(C)導電性カーボン0.1〜50重量部を配合してなる導電性樹脂組成物であり、導電性カーボン(C)が熱可塑性ポリエステル(A)の相に選択的に存在していることを特徴とする導電性樹脂組成物」の発明が提案されている(特許文献1)。
上記の先行発明においては、芳香族ポリカーボネートの配合量は、導電性カーボン(C)が熱可塑性ポリエステル(A)の相に選択的に存在しているための重要な要件であり、芳香族ポリカーボネートが5重量部未満であると、導電性カーボンの良好な選択分散を得ることができないとされている。
しかしながら、熱可塑性ポリエステルに多量の芳香族ポリカーボネートを配合した場合は、機械的物性、特に曲げ強度を高く維持することが困難となるという問題がある。
特開2001−40196号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、強度不足の問題がなく、しかも、使用中の導電性カーボンブラックの脱落による問題のない、表面状態の奇麗な帯電防止性樹脂成形体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、その製造過程において、固化押出成形時の押出機における押出樹脂量の変動がなく、しかも、ペレットの成形性の良好な電防止性樹脂成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記の先行発明とは異なる観点から鋭意検討を重ねた結果、比較的高いIV値の熱可塑性ポリエステルを使用し、これに特定の少量の芳香族ポリカーボネートと、所定量以上の吸油量を示す特定量の導電性カーボンブラックとを配合することにより、上記の目的を達成し得るとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、樹脂成分として熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートとを含み、導電材料として導電性カーボンブラックを含む樹脂組成物から成る帯電防止性樹脂成形体であって、熱可塑性ポリエステルのIV値が0.85以上であり、導電性カーボンブラックのDBP吸油量が300ml/g以上であり、熱可塑性ポリエステルに対する芳香族ポリカーボネートの割合が0.5〜4.5重量%であり、熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートの合計樹脂量に対する導電性カーボンブラックの割合が0.5〜10重量%であることを特徴とする帯電防止性樹脂成形体に存する。
本発明によれば上記の課題が達成される。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においては、必須の原料として、熱可塑性ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、導電性カーボンブラックの3成分を使用する。
熱可塑性ポリエステルはジカルボン酸成分およびジオール成分から成る。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸を例示することが出来る。ジオール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールを例示することが出来る。
熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
熱可塑性ポリエステルは、全ジカルボン酸成分に対して通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下の共重合成分を共重合することが出来る。
上記の共重合成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸;メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸などのアルキル置換フタル酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸;4,4−ジフェニルジカルボン酸、3,4−ジフェニルジカルボン酸などのジフェニルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸などのジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ハイドロキノン、レゾルシン等のジヒドロキシベンゼン;2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン等のビスフェノール類、ビスフェノール類とエチレングリコールのようなグリコールとから得られるエーテルジオール等の芳香族ジオール;ε−オキシカプロオン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸が例示される。
熱可塑性ポリエステルには、分岐成分として、トリメシン酸、トリメリット酸等の多官能のエステル形成能を有する酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能のエステル形成能を有するアルコールを全ジカルボン酸成分の1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.3モル%以下共重合せしめてもよい。
本発明で使用される熱可塑性ポリエステルは、IV値(極限粘度[η]:dl/g)が0.85以上であることが重要である。IV値が0.85未満の場合は、機械的物性が低下し、本発明の目的を達成することが出来ない。IV値の上限は、製造上の理由から通常1.3である。好ましいIV値は1.0〜1.2である。なお、IV値はフエノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100ml中にポリマー1gを溶解させて30℃で測定した値を意味する。
芳香族ポリカーボネートは、一般に、ホスゲン、ハロゲン化ギ酸エステル又は炭酸エステルのようなカーボネート前駆体と2価フェノール化合物とを反応させることによって調製することが出来、以下の式で表される構造単位からなるポリマーである。式中、Aは当該ポリマーの調製に使用される2価フェノールに由来した2価の芳香族基である。
Figure 2010254781
1つの芳香核の炭素に直接結合したヒドロキシ基を2個含む単核或は多核芳香族化合物は、2価フェノールとして当該芳香族ポリカーボネートの調製に使用することが出来る。
適切な2価フェノールとしては、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;ヒドロキノン;レゾルシノール;2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;2,4’−(ジヒドロキシジフェニル)メタン;ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス−(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;3,3−ビス(4−ヒドロキシフィニル)ペンタン;2,2−ジヒドロキシフェニル;2,6−ジヒドロキシナフタレン;ビス−(4−ヒドロキシジフェニル)スルホン;ビス−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン;5’−クロロ−2,4’ジヒドロキシフェニルスルホン;ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が例示される。
芳香族ポリカーボネートの製造方法としては、前述の炭酸エステル前駆体と2価フェノールを反応させる方法またはエステル交換反応による方法がある。
本発明においては、4,4’−ジヒドロキシフェニルアルカン系ポリカーボネートが好適であり、2,2’−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略記する)をジヒドロキシ成分として使用する芳香族ポリカーボネートが特に好適である。芳香族ポリカーボネートの分子量は、数平均分子量として、通常10000〜100000、好ましくは18000〜80000、更に好ましくは20000〜50000の範囲である。
上記の数平均分子量は、ウベローデ粘度計を使用し、芳香族ポリカーボネート(試料)の塩化メチレン中20℃の極限粘度〔η〕を測定し、以下の数式(1)および数式(2)より粘度平均分子量(Mv)を求めることが出来る。
Figure 2010254781
(数式(1)中、ηspはポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液について20℃で測定した比粘度であり、Cはこの塩化メチレン溶液の濃度である。塩化メチレン溶液としては、ポリカーボネート樹脂の濃度0.6g/dlのものを使用する。)
Figure 2010254781
導電性カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、トーカブラック等の市販品がある。これらは平均粒径は、通常1〜500mμ、好ましくは10〜100mμである。本発明で使用される導電性カーボンブラックは、DBP吸油量が300ml/g以上であることが重要である。ここで、DBP吸油量(A法)はJIS K6221に準拠して測定した値を意味する。DBP吸油量が300未満の場合は、体積抵抗値が高くなり、導電性が不足する。DBP吸油量の上限は通常600ml/gである。好ましいDBP吸油量は350〜520ml/gである。本発明においては、高導電性であることからケッチェンブラックが好適に使用される。
前記の各原料は次の配合割合で使用することが重要である。
熱可塑性ポリエステルに対する芳香族ポリカーボネートの割合は0.5〜4.5重量%でなければならない。芳香族ポリカーボネートの割合が0.5重量%未満の場合は、樹脂組成物の成形が不安定となり、しかも、得られる帯電防止性樹脂成形体の表面状態が悪化し、更には内部にボイドが発生する。成形が不安定となる場合には、押出量の変動に伴う樹脂圧力の変動が見られ、この変動幅が15Kgf/cmを超えると成形が著しく困難となる。芳香族ポリカーボネートの割合が4.5重量%を超える場合は、機械的物性、特に曲げ強度を高く維持することが困難となる。芳香族ポリカーボネートの好ましい使用割合は1.0〜4.0重量%である。本発明の帯電防止性樹脂成形体を固化押出成形法により製造する場合は芳香族ポリカーボネートの添加量が重要である。すなわち、一般に固化押出成形法により成形体を製造する場合には樹脂圧力の調節が困難であるが、本発明に従って、所定量の芳香族ポリカーボネートを添加することにより、樹脂圧力の安定化を図ることが出来る。
熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートの合計樹脂量に対する導電性カーボンブラックの割合は0.5〜10重量%でなければならない。導電性カーボンブラックの割合は0.1重量%未満の場合は、体積抵抗値が高くなり、導電性が不足する。導電性カーボンブラックの割合は10重量%を超える場合は、樹脂組成物のペレット化が困難となり、しかも、導電性カーボンブラックの脱落問題が惹起される。導電性カーボンブラックの好ましい使用割合は1〜8重量%である。
本発明においては、滑剤として、金属石鹸すなわち高級脂肪酸の金属塩を使用することが出来る。金属石鹸は、後述する二軸押出混練の際にスクリュートルクの上昇を抑え、混練を安定的に行う機能を発揮する。金属石鹸の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ラウリル酸カルシウム、ラウリル酸亜鉛、ラウリル酸マグネシウム等を例示することが出来る。これらの中では、ステアリン酸カルシウムが安価であり好適である。金属石鹸の使用割合は、熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートの合計樹脂量に対する割合として通常0.01〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。
さらに、本発明においては、本発明の目的を損なわない限り、滑剤以外にも各種の添加剤を使用することが出来る。添加剤としては、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、シリコンオイルなどの離型剤、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などを例示することが出来る。
本発明において、前記の各種原料の混練処理による組成物化は、例えば、噛み合い型同方向二軸押出機によって混練して原料ペレットを作製する方法が好適である。この際、熱可塑性ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、滑剤およびその他の添加成分は、予めミキサー等でブレンドしてホッパーから直接投入する。導電性カーボンブラックは上記の各成分と一緒にブレンドしてもよいし、サイドフィーダーを使用して投入してもよい。ダイスから吐出するストランドは、冷却後に切断され、成形用のペレットとされる。なお、二軸押出機において、混練に使用するスクリューの構成は、スクリューとニーディングディスクを適宜に組み合わせた構成にすることが出来る。
本発明の帯電防止性樹脂成形体を得るための成形方法としては公知の方法を採用することが可能であるが、押出成形法は肉厚の大型成形体を得るのに適している。さらに、押出成形法には、原料(ペレット)を溶融させTダイ等の口金より押し出し、溶融状態で引き取る溶融押出成形法と、原料を溶融させTダイの口金より押し出した直後に、成形体内にボイド(空包)が発生しないよう圧力をかけながら冷却固化させて成形体を得る固化押出成形法があるが、厚肉の成形体を作製する場合の成形性の観点からは固化押出成形法が好ましい。固化押出成形の条件は、成形体の形状や生産速度により異なるが、押出樹脂温度は通常260〜320℃、樹脂圧力は5〜50Kgf/cm、冷却温度は15〜150℃程度である。なお、一般に、固化押出法成形では圧力をかけながら成形するため、バックフローにより押出量や樹脂圧力の安定化が難しいとされているが、本発明では何らの懸念もない。
本発明の帯電防止性樹脂成形体の体積抵抗率は通常10〜1010(Ω・cm)である。そして、本発明の帯電防止性樹脂成形体は導電性カーボンブラックの割合が0.5〜10重量%と少ない量であるため、そもそも、樹脂成形体の使用中の導電性カーボンブラックの脱落による問題がない。また、主要樹脂成分として熱可塑性ポリエステルを含有するため、吸水に起因する寸法安定性の欠如や強度不足という問題がなく、幅広い分野で使用することが出来る。さらに、導電性カーボンブラックの配合によって懸念される流動性低下に起因する押出成形時の不安定性(押出樹脂量の変動など)や成形表面の荒れ(凹凸生成)及びボイドの発生は芳香族ポリカーボネートの配合により解消される。そして、芳香族ポリカーボネートは一般に強度・弾性率の点で熱可塑性ポリエステルに劣るがその配合量が少ない範囲に限定されているため、熱可塑性ポリエステルの優れた物性は維持される。
上記のようにして得られた本発明の帯電防止性樹脂成形体は、切削などの二次加工に付され、種々の帯電防止用途の部品(二次加工品)となる。斯かる二次加工品の具体例としては、半導体関連製品の生産ラインに使用される各種部品、例えば、搬送パレット、ハウジング等が挙げられる。また、その他の機械部品、例えば、車輪、ローラー、歯車、軸受、ガイド等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例で使用した材料および評価方法は次の通りである。
<材料>
(1)ポリエチレンテレフタレート(PET):
グリコール成分としてエチレングリコール、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を使用し、常法の重縮合で製造した、IV値:1.20のPET、IV値:1.10のPET、IV値:1.00のPET、IV値:0.80のPET
(2)芳香族ポリカーボネート(PC):
ビスフェノールA系PC(三菱エンジニアリングプラスチック社製の商品「ユーピロンE−2000」、数平均分子量:30,000)
(3)ケッチェンブラック(1):
ライオン(株)製「EC600JD」(DBP吸油量:495ml/g)
(4)ケッチェンブラック(2):
ライオン(株)製「EC300JD」(DBP吸油量:360ml/g)
(5)トーカブラック:
東海カーボン(株)製「♯5500」(DBP吸油量:155ml/g)
(6)ステアリン酸カルシウム:関東化学(株)製(試薬1級)
<評価方法>
(1)ペレット成形性:
問題なく成形できる場合(○)とストランドの切れ等が発生して成形困難な場合(×)の2段階で評価した。
(2)固化押出成形時の押出量の変動:
押出量の変動に伴って発生する樹脂圧力の変動範囲が10Kgf/cm未満の場合(○)、10〜15Kgf/cmの場合(△)、15Kgf/cmを超える場合(×)の3段階で評価した。
(3)厚肉成形体の表面状態:
固化押出成形で得られた板状の厚肉成形体の表面状態を目視で観察し、凹凸がなく奇麗な表面(○)と凹凸がある表面(×)の2段階で評価した。
(4)体積抵抗率(Ω・cm):
ASTMD−257に準拠して測定した。具体的には、ADVANTEST社製の高抵抗計により円形電極法で測定した。試験片は、固化押出成形で得られた板状の厚肉成形体(厚み20mm,幅350mmの連続品)の中央部から、100mm×100mmの板を切り出し、両面をそれぞれ7.5mmフライス加工して作製した。試験片のサイズは、100mm×100mm×5mmの大きさとした。
(5)曲げ強度・曲げ弾性率:
(株)インテスコ社製の精密万能試験機「225型」を使用し、ASTMD−790に準拠して測定した。試験片は上記(4)の場合と同様に作製した。但し、試験片のサイズは、12.7mm×12.7mm×250mmの大きさとした。
(6)アイゾット衝撃値:
固化押出成形で得られた成形体から大きさ12.7mm×12.7mm×63.5mm(45度ノッチ付)の試験片を作製し、ASTMD−256に準拠して衝撃試験を行った。試験機には、東洋精機製作所製のデジタル衝撃試験機を使用した。
(7)カーボン脱落:
上記(4)の場合と同様に作製した試験片に荷重1.43Kgf/cmで濾紙を100回こすり付け、その濾紙にカーボン転写があるかどうかを目視で判断した。濾紙が黒くならない場合(◎)、濾紙に若干のカーボン転写がある場合(○)、濾紙に相当量のカーボン転写があって著しく黒くなる場合(×)の3段階で評価した。
実施例1〜12、比較例1〜6及び参考例1〜4:
先ず、前述の各材料を表1及び表2に記載の割合で同方向2軸スクリュー式押出機(東芝機械(株)製:TEM35BS)に投入し、シリンダー温度240〜290℃、スクリュー回転数40〜100rpm、吐出量5〜9kg/hの条件下に溶融混練し、ダイスから吐出するストランドを冷却後、切断して成形用ペレットを得た。但し、ステアリン酸カルシウムは、全ての諸例において、PETとPCの合計量に対して0.1重量%使用した。また、PETとPCとステアリン酸カルシウムは予め均一にドライブレンドした後にホッパーから投入し、カーボンブラックはサイドフィーダーから投入した。
次いで、原料として上記の成形用ペレットを使用して固化押出成形を行った。すなわち、厚み20mm、幅350mmの厚肉成形体が得られるダイと冷却装置を備えた単軸押出機(バレル直径40mm)へ、水分含有量を50ppm以下に調節した上記の成形用ペレットを140℃に保持した除湿乾燥ホッパーより供給し、バレル温度220〜300℃、ダイ温度250〜300℃、冷却水温度50〜120℃の条件下で押出成形を行って板状の厚肉成形体を得た。表1及び表2に評価結果を示す。
Figure 2010254781
Figure 2010254781
表1及び表2の結果から次のことが分かる。
参考例1に示すように、PETの本来の体積固有抵抗値は1016(Ω・cm)であるが、実施例1〜10に示すように、本発明によれば、体積固有抵抗値を10〜1010(Ω・cm)まで小さくすることが出来る。また、本発明によれば、曲げ強度が高く、しかも、使用中のカーボンブラックの脱落による問題のない、表面状態の奇麗な帯電防止性樹脂成形体が得られる。更に、本発明によれば帯電防止性樹脂成形体の製造過程において、押出機における押出樹脂量の変動もなく、しかも、ペレットの成形性も良好である。
本発明の帯電防止性樹脂成形体は機械的強度が高いことが特徴である。例えば、本発明の帯電防止性樹脂成形体の曲げ強度は、通常106MPa以上、好ましくは110MPa以上である。一般的に帯電防止樹脂成形体の曲げ強度が135MPaであれば十分である。帯電防止の曲げ強度が106MPa以上であれば使用時の破断という問題が発生しない。
本発明の帯電防止性樹脂成形体の曲げ弾性率は、通常2900MPa以上、好ましくは3000MPa以上である。一般的に帯電防止樹脂成形体の曲げ弾性率が4000MPaであれば十分である。帯電防止の曲げ弾性率が2900MPa以上であれば変形という問題が発生しない。
本発明の帯電防止性樹脂成形体のアイゾット衝撃値は、通常20J/m以上、好ましくは25J/m以上である。一般的に帯電防止樹脂成形体のアイゾット衝撃値が35J/mであれば十分である。帯電防止のアイゾット衝撃値が20J/m以上であれば割れ・折れという問題が発生しない。
比較例1は、カーボンブラックの配合量が本発明で規定する範囲外で少ないため、樹脂成形体の体積固有抵抗値が大きい。比較例2は、カーボンブラックの配合量が本発明で規定する範囲外で多いため、樹脂成形体の使用中のカーボンブラックの脱落による問題があり、しかも、ペレットの成形性も悪い。比較例3は、PETにPCを配合していないため、樹脂成形体の表面状態が悪く、押出機において押出量が変動する。比較例4は、PCの配合量が本発明で規定する範囲外で多いため、樹脂成形体の曲げ弾性率が低い。比較例5は、カーボンブラックのDBP吸油量が本発明で規定する範囲外で小さいため、樹脂成形体の体積固有抵抗値が大きい。比較例6は、カーボンブラックのDBP吸油量が本発明で規定する範囲外で小さく且つその配合量が本発明で規定する範囲外で多いため、樹脂成形体の体積固有抵抗値が大きく、樹脂成形体の使用中のカーボンブラックの脱落による問題があり、しかも、ペレットの成形性も悪い。

Claims (3)

  1. 樹脂成分として熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートとを含み、導電材料として導電性カーボンブラックを含む樹脂組成物から成る帯電防止性樹脂成形体であって、熱可塑性ポリエステルのIV値が0.85以上であり、導電性カーボンブラックのDBP吸油量が300ml/g以上であり、熱可塑性ポリエステルに対する芳香族ポリカーボネートの割合が0.5〜4.5重量%であり、熱可塑性ポリエステルと芳香族ポリカーボネートの合計樹脂量に対する導電性カーボンブラックの割合が0.5〜10重量%であることを特徴とする帯電防止性樹脂成形体。
  2. 熱可塑性ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項1に記載の帯電防止性樹脂成形体。
  3. 請求項1又は2に記載の帯電防止性樹脂成形体から得られる二次加工品。
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