JP2022173707A - マスターバッチ樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物および成形体 - Google Patents

マスターバッチ樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物および成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノサイズの金属酸化物を含有する樹脂組成物であっても安定性、および加工性が良好なマスターバッチ樹脂組成物であって、該マスターバッチ樹脂組成物を用いることで、高い透明性を保持し、赤外遮蔽効果にも優れた成形体の提供を目的とする。目的とする。【解決手段】平均一次粒子径10~100nmのセシウムタングステン酸化物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、および熱可塑性樹脂(C)を含むマスターバッチ樹脂組成物により解決される。【選択図】なし

Description

本発明はナノサイズの金属酸化物を含むマスターバッチ樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物、およびそれらから形成してなる成形体に関する。
近年、注目を浴びているナノフィラーとして、酸化インジウムスズ(ITO)や、酸化スズアンチモン(ATO)、酸化セシウムタングステン(CWO)等の金属酸化物が挙げられる。これらの金属酸化物を含む分散体は、エレクトロニクス、エネルギー、化学、複合材料など様々な分野での応用が期待されている。
しかしナノサイズの金属酸化物は、有機溶剤や水を含む系であれば良好な分散体を得ることができるが、プラスチックへの練り込み時は、高い分散性とその分散性を維持し続けることが極めて困難である。
これらのナノフィラーをプラスチック中に分散させる方法としては、例えば、ステアリン酸系化合物を酸化インジウムスズと共に熱可塑性樹脂中に分散させる手法(特許文献1)や、酸化ジルコニウムナノ粒子を有機酸で被覆し、有機溶剤系で分散させる方法(特許文献2)、酸化セシウムタングステンに有機リンをドープして用いる手法(特許文献3)等が報告されている。
しかしながら、特許文献1では、プラスチック中における分散性が不十分であり、とくにナノフィラーの濃度が高濃度の場合に再凝集を生じ赤外遮蔽性能が低下する、透明性が著しく低下する、といった問題がある。
また、特許文献2や特許文献3は、溶剤での分散系であり、プラスチック中において使用する場合、残留溶剤により、成形体の物性が不十分であるといった問題がある。また特許文献1と同様に、ナノフィラーの濃度を高濃度とする場合にはとくに、再凝集を生じ赤外遮蔽性能が低下する、透明性が著しく低下する、といった問題がある。
特開2000-234066号公報 国際公開第2015/11664号 特開2020-50867号公報
本発明は、ナノサイズの金属酸化物を含有する分散体であっても安定性、および加工性が良好なマスターバッチ樹脂組成物および熱可塑性樹脂組成物であって、該樹脂組成物を用いることで、高い透明性を保持し、赤外遮蔽効果および強度に優れた成形体の提供を目的とする。
すなわち本発明は、平均一次粒子径10~100nmのセシウムタングステン酸化物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、および熱可塑性樹脂(C)を含むマスターバッチ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、平均一次粒子径10~100nmのセシウムタングステン酸化物(A)と、アルコキシシラン化合物(B)、および熱可塑性樹脂(C)を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記マスターバッチ樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物を用いてなる成形体に関する。
本発明により、ナノサイズの金属酸化物を用いても、熱可塑性樹脂への分散性に優れ、加工性も良好な金属酸化物分散体とすることができる。また、該金属酸化物分散体を用いて形成されてなる成形体は、強度に優れ、高い透明性を保持し、赤外線を遮蔽する効果が高いため、日射遮蔽効果と温度低下効果を付与することができる。
なかでも、金属酸化物濃度が高い場合にも再凝集を抑制した金属酸化物分散体とすることができるため、安定性の高いマスターバッチ樹脂組成物の提供が可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
なお、本明細書で「フィルム」、および「シート」は同義である。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
《マスターバッチ樹脂組成物》
本発明のマスターバッチ樹脂組成物は、平均一次粒子径10~100nmのセシウムタングステン酸化物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、および熱可塑性樹脂(C)を含む。このようなマスターバッチ樹脂組成物とすることで、ナノサイズの金属酸化物を高濃度に含んだ金属酸化物分散体である場合にも、安定性および加工性に優れたものとすることができる。
なお、本発明では、平均一次粒子径10~100nmのセシウムタングステン酸化物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、および熱可塑性樹脂(C)を含む樹脂組成物であっても、成形時に主剤樹脂(E)と希釈して用いない場合は、マスターバッチ樹脂組成物に該当せず、熱可塑性樹脂組成物に該当する。
<セシウムタングステン酸化物(A)>
本発明に用いられるセシウムタングステン酸化物(A)は、平均一次粒子径10~100nmである。
セシウムタングステン酸化物(A)とアルコキシシラン化合物(B)とを含むことで、セシウムタングステン酸化物(A)の熱可塑性樹脂(C)への親和性が向上し、セシウムタングステン酸化物(A)の表面が疎水化されることにより分散性に優れる。同様の理由より、成形時の主剤樹脂(E)の加水分解を抑制することが出来るため、マスターバッチ樹脂組成物の固有粘度を高く保持することが可能となる。これに伴って、成形体の加工安定性や強度をより向上させることができ、優れた透明性と赤外遮蔽効果を有することが可能となる。
セシウムタングステン酸化物(A)は、セシウムタングステン酸化物の構造中に有機リンによりドープされている、セシウム、タングステン、有機リンで構成される金属酸化物であることが好ましい。有機リン化合物でドープされたセシウムタングステン酸化物であることで、アルコキシシラン化合物(B)との親和性がよりよくなり、分散性により優れたものとすることができ、ナノサイズの金属酸化物を高濃度に含有する分散体であっても、安定して高い分散性を維持することができるために好ましい。
このような有機リン化合物でドープされたセシウムタングステン酸化物は、例えば次式(I)で表すものが挙げられる。
Cs(P(O) 式(I)
ここで、aは0.01~0.5であり、0.1~0.45がより好ましい。bは1である。cは2.5~3であり、2.6~3.0がより好ましい。dは0.01~0.75であり、0.01=0.5がより好ましい。nは1、2、または3であり、2または3が好ましく、3が最も好ましい。mは1、2、または3であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。Rは置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、非置換のアルキル基もしくは、非置換のアリール基、非置換のアラルキル基、非置換のアルコキシ含有基、非置換のフェノキシ含有基であることが好ましい。
また、ドープする有機リン化合物は、任意の有機リン化合物を使用することができる。ここでいう有機リン化合物とは、炭素原子がリン原子に直接もしくは酸素原子を介して結合している化合物を意味する。
有機リン化合物としては、ヒドロカルビルホスフィン、リン酸エステル、ホスホン酸エステルが好ましく、ホスホン酸エステルがより好ましい。
本発明におけるセシウムタングステン酸化物(A)の平均一次粒子径は、10~100nmであり、より好ましくは、透明性の観点から、10~80nmである。
この範囲にあることで、本発明のマスターバッチ樹脂組成物を用いて成形される成形体は、透明性に優れたものとすることができる。
本発明のマスターバッチ樹脂組成物は、セシウムタングステン酸化物(A)とアルコキシシラン化合物(B)とを組み合わせて用いることで、高濃度のセシウムタングステン酸化物(A)を含有するマスターバッチであっても、安定性に優れたものとすることができる。
なお、後述するように、セシウムタングステン酸化物(A)が、無機表面処理が施された金属酸化物である場合には、表面処理後の金属酸化物粒子の平均一次粒子径が、10~100nmである。
セシウムタングステン酸化物(A)の平均一次粒子径の求め方は走査型電子顕微鏡で観察し、画像から一次粒子径を直接求める。具体的には、セシウムタングステン酸化物(A)を粉体の状態のまま、ごく少量ガラス板上に乗せ、走査型電子顕微鏡で観察し、セシウムタングステン酸化物(A)ができるだけ1粒1粒独立して見える視野を探す。次に、視野における任意の一定の方向に向かう直線を決定し、前記直線上に存在する粒子を横断する最も長い長さを当該粒子の大きさとする。そして、前記直線上に存在する少なくとも200個の粒子の大きさの平均値を、セシウムタングステン酸化物(A)の平均一次粒子径とする。
セシウムタングステン酸化物(A)の形状は特に制限されないが球状、棒状、筒状、環状、板状、板状積層体、中空球状、ポーラス粒子などがあり、特に形状を変えることで新しい機能を発現しない限りは流動性に優れる球状であることが好ましい。
セシウムタングステン酸化物(A)の製法としては、バルクの粒子を機械粉砕させる方法、高速気流中で衝突させる方法、熱分解法、アトマイズ法、スプレー法、コロイド法、均一沈殿法、アルコキシド法、水熱合成法、マイクロエマルション法、溶媒蒸発法、ゾルゲル法、レーザーアブレーション法、CVD法、PVD法などがあるがどの方法で作成された無機フィラーを使用しても構わない。
また、表面に無機表面処理が施されたセシウムタングステン酸化物(A)を用いることもできる。無機表面処理としては、酸化ケイ素などの金属酸化物で被覆する方法や、例えばNa、K、Al、Mn、Cu、Zn、Zr、Ag、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の金属をドープさせる方法などが挙げられる。無機酸化物による表面処理は数種類のもので1層または何層か被覆しても構わないが、一般的には酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどで1または2層被覆される。特に主剤樹脂(E)と混合して用いる場合、酸化ケイ素または酸化アルミニウムによる表面処理が好ましい。
また、セシウムタングステン酸化物(A)の含有率は、マスターバッチ樹脂組成物100重量%中、1~80重量%であることが好ましく、20~60重量%であることがより好ましい。上記の範囲内であることで、セシウムタングステン酸化物(A)の分散が容易となり、成形体における良好な外観や赤外遮蔽効果といった性能をより発現させることが出来る。
<アルコキシシラン化合物(B)>
本発明に用いられるアルコキシシラン化合物(B)は、アルコキシ基を有する有機シラン化合物である。
アルコキシ基としてはメトキシ基やエトキシ基が挙げられるが、セシウムタングステン酸化物(A)との親和性に優れ分散性が向上する点、加水分解が生じにくく固有粘度保持率が高くなる点でエトキシ基であることが好ましい。
その他の官能基として、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、メルカプト基、アルキル基を有するものが広く知られており、いずれも使用可能であるが、セシウムタングステン酸化物(A)および熱可塑性樹脂(C)の両方との親和性に優れ分散性が向上する点、加水分解が生じにくく固有粘度保持率が高くなる点で、アルキル基を有するものが好ましい。また、同様の理由から、アルキル基の炭素数は、2~12が好ましく、6~12であることがさらに好ましい。
ビニル基を有するアルコキシシラン化合物(B)としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が、エポキシ基を有するものとしては、2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が、スチリル基を有するものとしては、p-スチリルトリメトキシシラン等が、メタクリル基を有するものとしては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が、アクリル基を有するものとしては、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が、アミノ基を有するものとしては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が、ウレイド基を有するものとしては、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が、イソシアネート基を有するものとしては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が、イソシアヌレート基を有するものとしては、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が、メルカプト基を有するものとしては、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が、アルキル基を有するものとしては、メチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシフェニルシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明のマスターバッチ樹脂組成物は、アルコキシシラン化合物(B)を含むことでセシウムタングステン酸化物(A)および熱可塑性樹脂(D)との親和性が向上する。
なかでも、セシウムタングステン酸化物(A)を、アルコキシシラン化合物(B)で被覆して用いることが好ましい。セシウムタングステン酸化物(A)をアルコキシシラン化合物(B)で被覆することでより熱可塑性樹脂(C)及び主剤樹脂(E)との親和性を向上させることができる。
また、セシウムタングステン酸化物(A)の表面が疎水化されることで、加工時に熱可塑性樹脂(C)及び主剤樹脂(E)の加水分解を抑制することが出来るため、マスターバッチ樹脂組成物の固有粘度を高く保持出来る。これに伴って、成形体の加工安定性や強度を向上させることが出来る。
セシウムタングステン酸化物(A)を、アルコキシシラン化合物(B)で被覆する方法としては特に制限されないが、セシウムタングステン酸化物(A)とアルコキシシラン化合物(B)とを、気相中で接触させることにより、アルコキシシラン化合物(B)の被覆層を形成する気相法などが挙げられる。
前記気相法は、流体エネルギー粉砕機、衝撃粉砕機等の乾式粉砕機や、ヘンシェルミキ
サー、スーパーミキサー等の高速攪拌機等を用い、セシウムタングステン酸化物(A)とアルコキシシラン化合物(B)を攪拌、混合することで実施できる。
また、アルコキシシラン化合物(B)の含有率は、マスターバッチ樹脂組成物100重量%中、1~30重量%であることが好ましく、5~20重量%であることがより好ましい。1重量%以上であることにより、分散性、透明性の点で好ましく、30重量%以下であることにより、固有粘度保持率の点で好ましい。
さらに、セシウムタングステン酸化物(A)とアルコキシシラン化合物(B)の重量比(A)/(B)は、1~20であることが好ましく、3~10であることがより好ましい。上記範囲内にあることで固有粘度保持率の点で好ましい。
<熱可塑性樹脂(C)>
本発明において、熱可塑性樹脂(C)は、マスターバッチ樹脂組成物のベース樹脂である。熱可塑性樹脂(C)は、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン・コポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。ポリエステル樹脂、またはポリカーボネート樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂(C)の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリスチレン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・EPDM・スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、メタクリル樹脂、エチレン・メチルメタクリレートコポリマー樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ4フッ化エチレン樹脂、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、4フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、ポリ3フッ化塩化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン12、ナイロン6,T、ナイロン9,T、芳香族ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリフロロアルコキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、生分解樹脂、バイオマス樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂2種以上を共重合またはブレンドしたものであってもよい。
これらのなかでも、なかでもセシウムタングステン酸化物(A)およびアルコキシシラン化合物(B)との相溶性の点から、分散性、安定性に優れたものとすることができるために、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、非晶性コポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂またはポリカーボネート樹脂を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。
本発明においてポリエステル樹脂は、特に限定されないが、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体との縮合反応により得られるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸の縮合反応より得られるポリエステル、これらのポリエステルの混合物、及び混合物のエステル交換反応物等があげられる。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートと、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートを含む芳香族ポリエステル樹脂;アジピン酸と1 , 4 - ブタンジオールとのポリエステル等の脂肪族ポリエステル樹脂;ジオール成分の一部をポリエチレングリコール等のアルキレングリコールに置換したポリエーテルエステル樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2-オキセタノン)等の生分解性脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の生分解性脂肪族芳香族コポリエステルが挙げられる。これらは単独でも複数種を併用することもできる。本発明においてはポリアルキレンテレフタレートを用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。
本発明においてポリカーボネート樹脂は、二価フェノールより誘導される粘度平均分子量14,000~100,000、好ましくは18,000~40,000の芳香族ポリカーボネート樹脂であり、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応させて製造される。二価フェノールの代表的な例としては2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAという)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロムフェニル)プロパン、2,2-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフォン等があげられる。好ましい二価フェノールはビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物であり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、ジアリールカーボネート、ハロホルメート等があげられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメートなどがあげられる。ポリカーボネート樹脂を製造するに当り、二価フェノールを単独で、又は二種以上を使用することができる。また、適当な分子量調節剤、分岐剤、反応を促進するための触媒等も使用でき、得られたポリカーボネート樹脂の二種以上を混合しても差支えない。
<ワックス(D)>
本発明では、本発明による効果を阻害しない範囲で、ワックス(D)を添加することができる。
ワックス(D)として具体的には、例えば天然ワックスと合成ワックスが挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばキャリデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろうなどの植物系ワックス、そして蜜蝋、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス、さらにモンタンワックス、オゾケライト、セレシンなどの鉱物系ワックス、またパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックスなどがあげられる。
合成ワックスには、半合成ワックスと全合成ワックスがある。半合成ワックスとは、天然ワックスまたはワックス様材料を、エステル化、アミド化、酸性ワックスの中和等の化学的処理により変性したものである。合成ワックスの例としてはポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリスチレン系ワックスなどの合成炭化水素、そして変性オレフィンワックスなどの変性ワックス、さらにジペンタエリトリトールヘキサステアレート、12-ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドなどの脂肪酸エステル、またステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、モンタン酸エステルワックスなどが挙げられる。
これらの中でも、天然ワックスを用いることがより好ましく、天然ワックスの中でも鉱物系ワックスであることがより好ましく、さらに鉱物系ワックスの中でも、透明性の観点からモンタンワックスを用いることがとくに好ましい。
ワックス(D)は、23℃において固体のワックスであることが好ましい。23℃で固体のワックスであることにより、ナノサイズのセシウムタングステン酸化物であっても、安定的に高い分散性を得ることができ、分散性、固有粘度保持率の点で好ましい。
また、ワックス(D)は、140℃における溶融粘度が5000mPa・s以下であることが好ましい。上記範囲内にあることで、マスターバッチ樹脂組成物製造時の金属酸化物への濡れ性が高くなり、分散性の点で好ましい。また、熱可塑性樹脂(C)及び主剤樹脂(E)との相溶性が向上することにより、透明性がより良好となる。
すなわち、溶融粘度が5000mPa・s以下であることにより、マスターバッチ樹脂組成物製造時の濡れ性が高まり、分散性が向上し、一方で、23℃において固体であることにより、分散性を安定して維持することが可能となるために好ましい。
また、ワックス(D)の含有率は、マスターバッチ樹脂組成物100重量%中、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。上記の範囲内であることで、固有粘度保持率、引張降伏点強度の点で好ましい。
さらに、アルコキシシラン化合物(B)とワックス(D)の重量比(B)/(D)は、0.1~10であることが好ましく、0.5~5であることがより好ましい。上記範囲内にあることで、分散性の点で好ましい。
<任意成分>
本発明では、必要に応じて他の任意成分を配合することができる。他の任意成分としては例えば、有機顔料や無機顔料、染料等の着色剤、ノニオン性やカチオン性、アニオン性界面活性剤等の帯電防止剤、脂肪酸アミドや金属石鹸等の滑剤、分散剤、消泡剤、離型剤、ハロゲン系やリン系、金属酸化物等の難燃剤、フェノール系やリン酸系等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、結晶造核剤、体質顔料等の充填剤が挙げられる。他の任意成分の選択およびその使用量は、本実施形態の課題を解決できる範囲内であれば特に限定されず使用できる。
<マスターバッチ樹脂組成物の製造方法>
マスターバッチ樹脂組成物の製造方法は、セシウムタングステン酸化物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、熱可塑性樹脂(C)、必要に応じてワックス(D)を混合、または溶融混合することで製造することができる。
セシウムタングステン酸化物(A)およびアルコキシシラン化合物(B)は、予め混合、または加熱処理してマスターバッチ樹脂組成物の製造前にアルコキシシラン化合物(B)をセシウムタングステン酸化物(A)に被覆して用いることが好ましい。
このように、平均一次粒子径10~100nmのセシウムタングステン酸化物(A)の表面を、アルコキシシラン化合物(B)で被覆する工程を備えることで、より熱可塑性樹脂(C)との親和性を向上させることができ、分散安定性および加工性に優れたものとすることができるために好ましい。
マスターバッチ樹脂組成物は、例えば、ペレット状、粉状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状として得ることができ、ペレット状、または紛状が好ましく、成形体成形時の供給安定性も優れたものとできるため、ペレット状がより好ましい。
混合装置は、例えばヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を挙げることができる。本発明では均一な分散体を作製する観点から、回分式混練機または二軸押出機を用いることが好ましい。
《熱可塑性樹脂組成物》
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、セシウムタングステン酸化物(A)と、アルコキシシラン化合物(B)と、熱可塑性樹脂(C)と、必要に応じワックス(D)を含有するマスターバッチ樹脂組成物と主剤樹脂(E)を含む。
また、マスターバッチ樹脂組成物を経由せずに、セシウムタングステン酸化物(A)と、アルコキシシラン化合物(B)と、熱可塑性樹脂(C)と、必要に応じワックス(D)を含有するコンパウンドであってもよい。
このように、マスターバッチ樹脂組成物を経由しない場合には、熱可塑性樹脂(C)が、熱可塑性樹脂組成物のベース樹脂となる。
コンパウンドと比較して、マスターバッチ樹脂組成物を用いる場合、セシウムタングステン酸化物(A)を分散するために同時に配合し溶融混錬により熱ダメージを受ける熱可塑性樹脂の量が大幅に少ないため、成形体には、熱ダメージを受けていない主剤樹脂が多く存在する。そのためマスターバッチ樹脂組成物を用いて成形した成形体は、初期劣化が相対的に少ないため好ましい。また、セシウムタングステン酸化物(A)が均一に分散されやすい点でもマスターバッチ樹脂組成物を用いることが好ましい。
また、セシウムタングステン酸化物(A)を高濃度に配合して溶融混練したマスターバッチ樹脂組成物とした後に、さらに主剤樹脂(E)を配合して溶融混練するといった、段階的にセシウムタングステン酸化物(A)の濃度を下げて溶融混練する工程を経ることで、マスターバッチ樹脂組成物中にセシウムタングステン酸化物(A)を均一にすることができ、安定して分散できるため好ましい。
熱可塑性樹脂組成物100重量%中のセシウムタングステン酸化物(A)の含有率は、加工性や成形体の物性の観点から0.01~10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05~5重量%である。
また、主剤樹脂(E)100重量部に対して、セシウムタングステン酸化物(A)の含有量は、0.01~10重量部であることが好ましい。より好ましくは0.05~5重量部である。
熱可塑性樹脂組成物は、例えば、ペレット状、粉状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状として得ることができ、ペレット状、または紛状が好ましく、ペレット状がより好ましい。
熱可塑性樹脂組成物を製造するための混合装置は、例えばヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を挙げることができる。本発明では均一な分散体を作製する観点から、回分式混練機または二軸押出機を用いることが好ましい。
<主剤樹脂(E)>
本発明において、主剤樹脂(E)は、成形時に、マスターバッチ樹脂組成物と混合して使用する、熱可塑性樹脂組成物のベースとなる樹脂である。
主剤樹脂(E)は、熱可塑性樹脂(C)として説明した熱可塑性樹脂と同じものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン・コポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。なかでもポリエステル樹脂、またはポリカーボネート樹脂が好ましい。
主剤樹脂(E)は、熱可塑性樹脂(C)と同じものでなくてもよいが、相溶性の観点から言えば、同種の材料であることが好ましい。
すなわち、熱可塑性樹脂(C)がポリエステル樹脂の場合、主剤樹脂(E)もポリエステル樹脂であることが、樹脂の相溶性の点で好ましい。
《成形体》
本発明の成形体は、前記熱可塑性樹脂組成物を、押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファー成形、フィルム成形、カレンダー成形、紡糸成形等のいずれかの成形方法で成形し、得られるものである。
成形体100重量%中のセシウムタングステン酸化物(A)の含有率は、加工性や成形体の物性の観点から0.01~10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05~5重量%である。本発明のマスターバッチ樹脂組成物を用いることで、最終的な成形体中の金属酸化物含有率が0.05~5重量%といった低い範囲であっても赤外遮蔽効果に優れる成形体を形成することができる。
本発明においては、ナノサイズのセシウムタングステン酸化物(A)を高分散させた熱可塑性樹脂組成物とすることができるため、金属酸化物の高い分散性を安定的に維持することが可能となる。それにより、従来よりも赤外遮蔽効果に優れる成形体を得ることができるため、赤外カットフィルター等の光学材、農業用フィルム等多くの用途に好適に使用できる。
次に、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、金属酸化物の平均一次粒子径、ワックスの溶融粘度、及び熱可塑性樹脂の固有粘度は次の方法で測定した。
<平均一次粒子径の測定>
金属酸化物の平均一次粒子径の求め方は走査型電子顕微鏡で観察し、画像から一次粒子径を直接求めた。具体的には、金属酸化物を粉体の状態のまま、ごく少量ガラス板上に乗せ、走査型電子顕微鏡で観察し、金属酸化物ができるだけ1粒1粒独立して見える視野を探す。次に、視野における任意の一定の方向に向かう直線を決定し、前記直線上に存在する粒子を横断する最も長い長さを当該粒子の大きさとする。そして、前記直線上に存在する少なくとも200個の粒子の大きさの平均値を、金属酸化物の平均一次粒子径とした。
<ワックスの溶融粘度測定>
粘度は、JIS K7117-1:1999に従ってB型粘度計を用いて140℃で測定した。
<熱可塑性樹脂の固有粘度測定>
熱可塑性樹脂をフェノール:テトラクロロエタン=50:50(質量比)の混合溶媒に溶解し、濃度0.5g/dlの溶液を調整しウベローデ粘度計を用いて測定を行った。
続いて、実施例および比較例に使用した材料を以下に列挙する。
<金属酸化物>
(A-1):有機リン化合物でドープされた酸化セシウムタングステン(Keeling&Walker社製、IRASORB CTO、平均一次粒子径32nm)
(A-2):酸化セシウムタングステン(住友金属鉱山社製、YMDS-874、平均一次粒子径40nm)
(A-3)酸化セシウムタングステン(Lumi M社製、セシウムタングステンオキサイド、平均一次粒子径30nm)
(A’-1):酸化インジウム錫(CIKナノテック社製、ITO-R、平均一次粒子径64nm)
Figure 2022173707000001
<有機シラン化合物>
(B-1)ヘキシルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-3063、エトキシ基、及び、炭素数が6のアルキル基を有するアルコキシシラン化合物)
(B-2)デシルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM-3103、メトキシ基、及び、炭素数が10のアルキル基を有するアルコキシシラン化合物)
(B-3)メチルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-13、エトキシ基、及び、炭素数が1のアルキル基を有するアルコキシシラン化合物)
(B-4)3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-403、エトキシ基、及びエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物)
(B-5)3-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE-903、エトキシ基、及びアミノ基を有するアルコキシシラン化合物)
(B’-1)ヘキサメチルジシラザン(信越化学工業社製、SZ-31、アルコキシ基を有さないシラン化合物)
Figure 2022173707000002
<熱可塑性樹脂(C)>
(C-1)ポリエステル樹脂(三菱ケミカル社製、ダイヤクロンER-535)
<ワックス>
(D-1):モンタンワックス(クラリアント社製、Licowax E、23℃で固体、140℃における溶融粘度10mPa・s以下)
(D-2):ポリオレフィンワックス(クラリアント社製、Licowax PED522、23℃で固体、140℃における溶融粘度200mPa・s)
(D-3):ポリオレフィンワックス(三井化学社製、ハイワックス720P、23℃で固体、140℃における溶融粘度6000mPa・s)
(D-4):流動パラフィン(出光興産社製、ダフニーオイルCP、23℃で液体、140℃における溶融粘度10mPa・s以下)
Figure 2022173707000003
<主剤樹脂(E)>
(E-1)ポリエステル樹脂(三井化学社製、SA135、固有粘度:0.83dl/g)
(E-2)ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロンS3000、固有粘度:0.60dl/g)
<実施例1>
[マスターバッチ樹脂組成物の製造]
金属酸化物(A-1)が50重量%、有機シラン化合物(B-1)が10重量%、熱可塑性樹脂(C-1)が40重量%となるように、それぞれをスーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、温度20℃、時間5分の条件で撹拌した後、温度100℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)にて溶融混練し、ペレット状のマスターバッチ樹脂組成物(M-1)を得た。
続いて、得られたマスターバッチ樹脂組成物(M-1)が20重量%、主剤樹脂(E-1)が80重量%となるように、スーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、温度20℃、時間5分の条件で撹拌した後、温度280℃に設定した二軸押出機(日本プラコン社製)にて溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
[成形体の製造]
得られたペレット状の可塑性樹脂組成物と、主剤樹脂(E-1)を、成形後の金属酸化物(A-1)の濃度が0.3重量%もしくは1.0重量%となるように混合し、280℃に設定した単層Tダイフィルム成形機(東洋精機社製)に投入して押出成形を行い、厚さ100μmのフィルム状成形体を得た。
<実施例2~17、実施例19~20、比較例1~4>
実施例1の組成、および配合率(重量%)を表4、5に記載したように変更した以外は、実施例1と同様に行うことで、まずペレット状のマスターバッチ樹脂組成物(M)を製造した。続いて実施例1の組成、および配合率(重量%)を表6~8に記載したように変更した以外は、実施例1と同様に行うことで、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を作製した。
得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物と、主剤樹脂(E)を成形後の金属酸化物の濃度が0.3重量%もしくは1.0重量%となるように混合し、実施例1と同様にして、フィルム状成形体を成形した。
<実施例18>
[金属酸化物分散体の製造]
金属酸化物(A-1)が50重量%、有機シラン化合物(B-1)が10重量%となるようにそれぞれをスーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、温度120℃、時間10分の条件で撹拌した後、温度が20℃になるまで冷却し、熱可塑性樹脂(C-1)が30重量%、ワックス(D-1)が10重量%となるように、それぞれをスーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、温度20℃、時間5分の条件で撹拌した。その後、温度100℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)にて溶融混練し、粉砕機(ホーライ社製)にて粉砕し粉状のマスターバッチ樹脂組成物(M-18)を得た。
続いて、得られたマスターバッチ樹脂組成物(M-18)が20重量%、主剤樹脂(E-1)が80重量%となるように、スーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、温度20℃、時間5分の条件で撹拌した後、温度280℃に設定した二軸押出機(日本プラコン社製)にて溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
[成形体の製造]
得られたペレット状の可塑性樹脂組成物と、主剤樹脂(E-1)を、成形後の金属酸化物(A-1)の濃度が0.3重量%もしくは1.0重量%となるように混合し、280℃に設定した単層Tダイフィルム成形機(東洋精機社製)に投入して押出成形を行い、厚さ100μmのフィルム状成形体を得た。
Figure 2022173707000004
Figure 2022173707000005
Figure 2022173707000006
Figure 2022173707000007
Figure 2022173707000008
[評価方法]
得られたマスターバッチ樹脂組成物について、「分散性」および「固有粘度保持率」を評価した。
また得られたマスターバッチ樹脂組成物を使用して成形したフィルム状成形体について「赤外遮蔽効果」、「透明性」および「引張降伏点強度」を評価した。
その結果を表9に示す。
<分散性>
先端に目開き10μmの金網を装着したシリンダー径が20mmの300℃に設定した単軸押出機を用い、10g相当量の金属酸化物が金網を通過するように、得られたマスターバッチ樹脂組成物を押し出した。マスターバッチ樹脂組成物中の金属酸化物の分散が不十分の場合は押出に伴って、上記金網が目詰まりをきたす。そこで、押出初期における上記金網にかかる圧力と、10g相当量の金属酸化物を含有するマスターバッチ樹脂組成物を押し出した時の上記金網にかかる圧力との差(押出機先端部の圧力上昇値)を求め、マスターバッチ樹脂組成物中の金属酸化物の分散状態を評価した。
数値が小さいほど、分散性が良好であることを示す。以下の基準で分散性を評価した。好ましくは5.0MPa未満であり、より好ましくは3.0MPa未満であり、さらに好ましくは1.0未満である。なお評価基準△、○および◎が実用レベルである。
[評価基準]
◎:1.0MPa未満。非常に良好。
○:1.0MPa以上、3.0MPa未満。良好。
△:3.0MPa以上、5.0MPa未満。実用可能。
×:5.0MPa以上。実用不可。
<固有粘度保持率>
マスターバッチ樹脂組成物の製造時に用いた熱可塑性樹脂(C)およびワックス(D)を用いて、フェノール:テトラクロロエタン=50:50(質量比)の混合溶媒に溶解し、濃度0.5g/dlの溶液を調整しウベローデ粘度計を用いて測定を行い、次式によって固有粘度保持率を評価した。固有粘度保持率が高い程熱可塑性樹脂(C)およびワックス(D)の分解が抑制されマスターバッチ樹脂組成物の安定性が良好であることを表す。
次式:固有粘度保持率(%)=マスターバッチ樹脂組成物の固有粘度(dl/g)/マスターバッチ樹脂組成物の製造時に用いた熱可塑性樹脂(D)とワックス(D)の固有粘度の重量加重平均(dl/g)×100%
すなわち、例えば実施例6の場合、
固有粘度保持率(%)=マスターバッチ樹脂組成物(M-6)の固有粘度(dl/g)/熱可塑性樹脂(C-1))とワックス(D-1)の固有粘度の重量加重平均(dl/g)×100%
である。
また、以下の基準で評価した。
[評価基準]
〇:80.0%以上。良好。
△:70.0%以上、80.0%未満。実用可能。
×:70.0%未満。実用不可。
<赤外遮蔽効果>
得られたフィルム状成形体の下部に温度を検知するターゲットサンプルを配置し、フィルム状成形体の上部から赤外線ランプを照射し、30分後のターゲットサンプルの温度を測定した。30分後のターゲットサンプルの温度が低いほど赤外遮蔽効果が大きいことを表す。成形体中の金属酸化物濃度としては0.3重量%と1.0重量%の場合をそれぞれ評価した。また、フィルム状成形体の実用域としては、赤外線ランプを照射し、30分後のターゲットサンプルの温度が75℃以下である。
<透明性>
スガ試験機社製の測定器「HZ-V3 Haze Meter」を用いて、得られたフィルム状成形体のHAZEを測定した。成形体中の金属酸化物濃度としては1.0重量%を評価した。
数値が小さいほど、成形体の透明性が良好であることを示す。以下の基準で透明性を評価した。好ましくは10%未満であり、より好ましくは5%未満である。なお評価基準○および△が実用レベルである。
[評価基準]
○:5%未満。良好。
△:5%以上10%未満。実用可能。
×:10%以上。実用不可。
<引張降伏点強度>
得られたフィルム状成形体を2mm×12mmの短冊状に切り抜いて試験片とした。試験片を温度23℃、湿度50%の環境下で24時間静置した後、引張速度25mm/分の条件で引張降伏点強度を測定した。成形体中の金属酸化物濃度としては0.3重量%を評価した。
引張破降伏点強度が高い程、強い力を受けても成形品の形状を保持することが出来る。実用可能域としては、40MPa以上である。
Figure 2022173707000009
表9の結果から、セシウムタングステン酸化物(A)と、アルコキシシラン化合物(B)、および熱可塑性樹脂(C)を含有することで、得られたマスターバッチ樹脂組成物の分散性と固有粘度保持率、及び該マスターバッチ樹脂組成物を使用した成形体の赤外遮蔽効果、透明性、引張降伏点強度において良好な結果が得られることが確認できた。
なかでも、セシウムタングステン酸化物(A)が有機リン化合物でドープされたセシウムタングステン酸化物である場合、マスターバッチ樹脂組成物の安定性と、成形体の特性とが特に優れた結果を示していた。
また、金属酸化物含有量が、0.3重量%と1.0重量%である成形体の結果から、本発明のマスターバッチ樹脂組成物を用いると、成形体中の金属酸化物含有率が、0.3重量%といった低い含有率であっても、十分な赤外遮蔽効果を示していることが確認できた。
このように、ナノサイズの金属酸化物を用いても、樹脂への分散性に優れ、加工性も良好なマスターバッチ樹脂組成物が得られ、該マスターバッチ樹脂組成物を用いて形成されてなる成形体は、高い透明性を保持し、赤外遮蔽効果により日射遮蔽効果と温度低下効果を付与することができるものであった。

Claims (10)

  1. 平均一次粒子径10~100nmのセシウムタングステン酸化物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、および熱可塑性樹脂(C)を含むマスターバッチ樹脂組成物。
  2. アルコキシシラン化合物(B)は、アルキル基を有するアルコキシシラン化合物である、請求項1記載のマスターバッチ樹脂組成物。
  3. アルコキシシラン化合物(B)は、炭素数が6~12であるアルキル基を有するアルコキシシラン化合物である、請求項2記載のマスターバッチ樹脂組成物。
  4. 前記セシウムタングステン酸化物(A)とアルコキシシラン化合物(B)の重量比(A)/(B)が1~20である、請求項1~3いずれか1項記載のマスターバッチ樹脂組成物。
  5. さらに、23℃で固体のワックスを含有する、請求項1~4いずれか1項記載のマスターバッチ樹脂組成物。
  6. 23℃で固体のワックスは、140℃における溶融粘度が5000mPa・s以下である、請求項5記載のマスターバッチ樹脂組成物。
  7. 請求項1~6いずれか1項記載のマスターバッチ組成物、および主剤樹脂(E)を含む熱可塑性樹脂組成物。
  8. 平均一次粒子径10~100nmのセシウムタングステン酸化物(A)、アルコキシシラン化合物(B)、および熱可塑性樹脂(C)を含む熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項7または8記載の熱可塑性樹脂組成物から形成してなる成形体。
  10. 前記セシウムタングステン酸化物(A)の表面を、アルコキシシラン化合物(B)で被覆する工程を備える、請求項1~6いずれか1項記載のマスターバッチ樹脂組成物の製造方法。


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