JP5082863B2 - 複合樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体 - Google Patents
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Description
複合樹脂として最も有名なのがPC樹脂/ABS樹脂である。PC樹脂は耐衝撃性、耐熱性などに優れているが成形加工性が劣る。一方、ABS樹脂はPC樹脂と比べると耐衝撃性、耐熱性が劣るが成形性に優れ安価である。お互いの欠点を補うためにPC樹脂/ABS樹脂アロイが開発された。また、PC樹脂に耐薬品性を付与させたPC樹脂/PET樹脂やPC樹脂/PBT樹脂などのポリマーアロイなどが販売されている。最近ではPLA樹脂の耐衝撃性、耐熱性を向上させたPLA樹脂/PC樹脂や安価かつ耐熱性を向上させたPLA樹脂/PP樹脂などのポリマーアロイも開発されている。
現在使われている相溶化剤は極性基を持たないものと極性基を持つものに分類される。極性基を持った相溶化剤を用いたポリマーアロイに無機フィラーを配合する際、相溶化剤の極性基と無機フィラー表面の表面処理剤が親和性を持つと、表面処理された無機フィラーが選択的に相溶化剤に取り込まれてしまう。そのため十分な無機フィラーの分散が行えず、期待される物性改良が行えない、射出成形物、フィルム、シート等に出来ない等の問題点があった。また、相溶化剤の極性基を無機フィラーがマスクしてしまうため相溶化の効果も低減する問題点もあった。
以前から表面処理技術は頻繁に行われ、特に活性の高い二酸化チタンやナノ微粒子、分散させるのが難しいナノ微粒子などでは必須の技術となっている。特に二酸化チタンは使用頻度も高く数多くの検討がなされている。一般的に二酸化チタンなどでは有機処理が施された製品があるが、使用される有機薬品はペンタエリトリット、トリメチロールプロパンなどのポリオール系と、トリエタノールアミン、トリメチロールアミンの有機酸塩等のアルカノールアミン系およびシリコーン樹脂やアルキルクロロシランなどのシリコーン系に大別される(非特許文献1)。樹脂や用途によりこれらの表面処理剤を使い分けている。具体的にはポリオール系やポリシロキサン系の表面処理剤による二酸化チタンの表面処理(特許文献1〜3)が知られている。また、用途での表面処理の変更の例として二酸化チタン顔料をアミンシラン化合物又はアミノアルコール化合物で表面処理することで写真印画紙支持体において、写真現像工程中の写真定着液に曝された場合において、黄変を起こさず高い白色性を有するフィルムを得ることができる技術などの用途によって表面処理を施す技術も知られている(特許文献4)。他に樹脂種によって表面処理を改良した技術として二酸化チタンにより生分解樹脂が分解してしまうのを防ぐために二酸化チタン顔料にエポキシシランカップリング剤を表面処理する技術(特許文献5)やステアリン酸やラウリル酸、オルガノシロキサンを表面処理する技術(特許文献6)、アルキルシラン化合物の加水分解物で表面処理を施す技術(特許文献7)などが知られている。また、二酸化チタン以外の無機フィラーの表面処理技術としては紫外線遮蔽能を有する酸化第二鉄を高分散させ透明性を挙げるために多価アルコールとオルガノポリシロキサンで被覆させる技術(特許文献8)、溶融フィルムが脈動を起こすいわゆるサージング現象を抑えるために金属酸化物をシランカップリング剤で処理する技術(特許文献9)、有機媒体への親和性と分散性および耐熱性に優れると共に撥水性を与えるためアルコキシル基またはシラノール基を有する芳香族系珪素化合物で多孔質無機酸化物を被覆する技術(特許文献10)、シリカ、ゼオライト、アルミナまたは酸化鉄から選ばれる無機粒子をオルガノポリシロキサンで処理することにより、生分解性樹脂の樹脂劣化を抑えつつ分散性や濡れ性を向上させる技術(特許文献11)、ポリエステル樹脂への用途としてグリセリンエステル化合物で無機粒子に表面処理を施すことで高透明、高分散、劣化防止をさせる技術(特許文献12)、金属酸化物に重合性炭素二重結合を有するシランカップリング剤で処理することで高濃度化に含有でき、且つ分散性に優れた高隠蔽性フィルム用途の分散体を得る技術(特許文献13)などが知られている。
「酸化チタン 物性と応用技術」、技術堂出版株式会社、1991年、p.31
〔式中、Rは炭素数1〜15個で構成される炭化水素基を表し、R´はメチル基もしくはエチル基を表す。また、nは1〜3の整数を示す。〕
更に本発明は極性基を有する相溶化剤が分子中にカルボキシ基、酸無水物基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、アルコキシルシリル基、イソシアネート基、およびオキサゾリン基から選ばれる極性基を1種以上含み、且つ骨格となる樹脂が該互いに非相溶である2種以上の熱可塑性樹脂の1種以上と混和であることを特徴とする上記樹脂組成物に関する。
しかし、2種以上の樹脂と相溶化剤からなるポリマーアロイの系において、フィラーは極性の高い相溶化剤へとフィラーが分散してしまう。そのことによってフィラーが相溶化剤へ偏在してしまったり、フィラーと作用することにより相溶化剤が2種以上の樹脂の相溶化効果を示さなくなってフィラーの分散をより悪化させたりと問題がある。このことを避けるためにフィラーとポリマーへ対する化学的相互作用を減少させる必要がある。
そのために、無機フィラーの場合では極性基をもつ相溶化剤と親和性を有さないシラン系表面処理剤を用いるのが好ましい。親和性を有さないシラン系表面処理剤としては下式(1)で示されるシランカップリング剤またはシリコーンオイルから選ばれる少なくとも1種であり、該シリコーンオイルがジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルまたはそれらの共重合体である
Rn −Si−(OR' )4-n ・・・・・(1)
〔式中、Rは炭素数1〜15個で構成される炭化水素基を表し、R´はメチル基もしくはエチル基を表す。また、nは1〜3の整数を示す。〕
なお、未処理や無機処理のみでは無機フィラー表面に水酸基などの官能基が存在してしまい好ましくない。また、ポリオールや極性基を有するシランカップリング剤およびシリコーンオイルも極性基を有する相溶化剤と化学的相互作用をしてしまうので好ましくない。
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、n−ペンチル・メチルジメトキシシラン、n−ペンチル・メチルジエトキシシラン、シクロヘキシル・メチルジメトキシシラン、シクロヘキシル・メチルジエトキシシラン、フェニル・メチルジメトキシシラン、フェニル・メチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−i−プロピルメトキシシラン、トリ−i−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリ−n−ペンチルメトキシシラン、トリ−n−ペンチルエトキシシラン、トリ−シクロヘキシルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリ−n−ヘキシルメトキシシラン、トリ−n−ヘキシルエトキシシラン、トリ−n−ヘプチルメトキシシラン、トリ−n−ヘプチルエトキシシラン、トリ−n−オクチルメトキシシラン、トリ−n−オクチルエトキシシラン、トリシクロヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリデシルメトキシシラン、トリデシルエトキシシラン、
等が挙げられる。本発明において好ましく使用されるシランカップリング剤は、式(1)のRが炭素数8〜15個のアルキル基であって、Rがエチル基そしてnが1〜3の化合物である。
本発明においては、シランカップリング剤をあらかじめ水と混合、撹拌して加水分解を行い、その加水分解物を無機フィラー表面に被覆させる。加水分解は、シランカップリング剤が5〜95重量%、好ましくは30〜70重量%になるように水と混合して行われる。あらかじめ加水分解をしていないシランカップリング剤であっても、スチームミル等の水蒸気に曝しながら無機フィラーと混合すれば加水分解は起こるが、その加水分解生成物量は限られ、シランカップリング剤の加水分解物の無機フィラー表面への定着率が低くなる結果、着色樹脂組成物や成形品に十分な隠蔽性を与えることが出来なくなる上、無機フィラーに固着されなかったシランカップリング剤の加水分解物が自己縮合してブツが発生し成型品の品質を著しく低下する。
シランカップリング剤の加水分解生成物のシラノール基が無機フィラー表面の水酸基と化学的に反応して水酸基を封鎖することにより、無機フィラーの疎水化が向上される。その結果、樹脂組成物における無機フィラーの分散性が高まると共に、高温加工時の揮発水分量が減少するため、加工安定性に優れた効果を与える。また、シランカップリング剤の加水分解生成物は、無機フィラー表面と化学的に結合しているため、高温加工時のシランカップリング剤の加水分解物の脱落が少なく加工安定性に優れている。更に、炭化水素基で無機フィラー表面を被覆するため、相溶化剤との反応性が低下し分散性が良好になる。
乾式の場合は、(1)無機フィラーを流体エネルギー粉砕機で乾式粉砕する際に、シランカップリング剤を添加、または(2)無機フィラーとシランカップリング剤とを同時に流体エネルギー粉砕機で乾式粉砕、または(3)無機フィラーを流体エネルギー粉砕機で粉砕後、シランカップリング剤を添加しても良い。乾式処理は、シランカップリング剤と無機フィラーとの反応が容易に行える利点がある。
流体エネルギー粉砕機以外の機械、例えば高速回転機や遠心ローラー粉砕機等の衝撃式粉砕機では均一な被覆が行なえず、好ましくない。
本発明の着色樹脂組成物がコンパウンドまたは成形物の場合、互いに非相溶である2種以上の熱可塑性樹脂と相溶化剤の合計100重量部に対し無機フィラー含有量は1〜43重量部であることが好ましい。43重量部を超えると無機フィラーの分散性が悪く、フィルム成形時に押出し機先端に装着した金網の目詰まりに伴い、押出し機内での樹脂圧上昇を引き起こし、生産性が著しく低下するばかりでなく、成型品中で無機フィラーの凝集物がブツとして発生し、品質が著しく損なわれる。
<二酸化チタン顔料の製造>
市販のルチル型二酸化チタン顔料を水と混合し、サンドミルを用いて二酸化チタン顔料の重量として300g/リットルの水性スラリーに調整した。このスラリーを60℃に保持したまま、攪拌しながらアルミン酸ナトリウムをAl2 O3 換算で二酸化チタン顔料の重量に対して0.3%添加し、ついで硫酸にてpH5.0に中和して、アルミニウムの水和酸化物を二酸化チタン顔料表面に被覆後、フィルタープレスで濾過、洗浄し、得られたケーキを120℃で10時間乾燥してベース二酸化チタン顔料(a)を得た。
<二酸化チタンの有機表面処理法>
次にオクチルトリエトキシシランを純水で2倍希釈し10分間攪拌して加水分解させた加水分解生成物溶液を作成した。上記ベース二酸化チタン顔料(a)をスチームミルで粉砕する際に、オクチルトリエトキシシラン加水分解生成物溶液を添加し、該二酸化チタン顔料(a)表面上に、二酸化チタン顔料(a)重量に対し0.3%の被覆量になるように被覆処理をして二酸化チタン顔料を得た。
実施例1と同様に二酸化チタン顔料(a)を製造し、実施例1と同様に0.3%の被覆量になるようにオクチルトリエトキシシランに換えオクチルトリメトキシシランで被覆処理をして二酸化チタン顔料を得た。
実施例1と同様に二酸化チタン顔料(a)を製造し、実施例1と同様に0.3%の被覆量になるようにオクチルトリエトキシシランに換えn−デシルトリメトキシシランで被覆処理をして二酸化チタン顔料を得た。
実施例1と同様にベース二酸化チタン顔料(a)を作成後、この二酸化チタン(a)の重量に対し0.5重量%のメチルハイドロジェンシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、シリコーン処理二酸化チタンを得た。
実施例1と同様にベース二酸化チタン顔料(a)を作成後、この二酸化チタン(a)の重量に対し0.3重量%のトリメチロールエタンとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合し、多価アルコール処理二酸化チタンを得た。
実施例1と同様に二酸化チタン顔料(a)を製造し、実施例1と同様に0.3%の被覆量になるように3−アミノプロピルトリエトキシシランで被覆処理をして二酸化チタン顔料を得た。
実施例1と同様に二酸化チタン顔料(a)を製造し、実施例1と同様に0.3%の被覆量になるように3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで被覆処理をして二酸化チタン顔料を得た。
<着色樹脂組成物の製造>
粉末ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製 プライムポリプロJ105P)20%、粉末状にしたメタクリル酸メチル樹脂(三菱レイヨン社製 アクリペットMF)60%、相溶化剤としてアミン変性SEBC(JSR社製 DYNARON8630P)10%および実施例1〜4および比較例1〜3にて製造された二酸化チタン顔料10%を配合し、スーパーミキサーにて混合して得られた乾式混合物を、二軸混練押出機にて温度220℃で溶融混練押し出し成形を行い、ペレット状の着色樹脂組成物(着色ペレット)を得た。また、上記ポリプロピレン樹脂20重量部、上記メタクリル酸メチル樹脂60重量部、上記相溶化剤10重量部を同様の方法で作成した二酸化チタンを配合しない非着色樹脂組成物(c)も作成した。
<フィルム成形物の製造>
市販の樹脂押し出し試験器(東洋精機(株)製ラボプラストミル)に20mmの単軸押し出し機を装着し、さらにその先端にスリット開口径0.3mm×150mmのTダイを装着した。単軸押し出し機及びTダイの温度を、上流側から150℃、220℃、220℃、220℃、220℃、220℃にセットした。温度が定常状態になった後、上記着色樹脂組成物をフィードホッパーに投入し、スクリュー回転数50rpmで熔融押出しし、冷却ロールにて40m/minで引き取り延伸して厚さ30μmのフィルムを作成した。T−ダイ溶融吐出物の温度をセンサーで測定したところ300℃であった。このフィルムを用いて、フィルムのブツ個数によるフィルム品質を評価した。
<フィルム品質の評価>
作成したフィルム0.5m2中のブツ個数を目視で数えた。また、非着色樹脂組成物(c)のフィルムを作成し同様にブツ個数を数え次の式により、フィルムのブツ個数とした。また、ブツ個数により、フィルムの品質の評価を行った。結果を表1に示した。
フィルムブツ個数=(上記作成フィルムブツ個数)−{非着色樹脂組成物(c)のフィルム}
○:ブツ100個以内 品質良好
×:ブツ101個以上 品質悪い
<押し出し機の先端部の圧力上昇値>
先端に1450メッシュの金網を装着したスクリュー径が20mmの単軸押出機を用い、実施例5〜8、比較例4〜6で得られた着色樹脂組成物をそれぞれ3.5kg押し出した。
着色樹脂組成物中に未分散の顔料が多く存在すると押出に伴って、上記メッシュが目詰まりをきたす。そこで、押出初期における上記メッシュにかかる圧力と、3.5kg分押し出した時の上記メッシュにかかる圧力との差(押出機先端部の圧力上昇値)を求め、着色樹脂組成物中の顔料の分散状態を評価した。結果を表1に示した。
○:ΔP=7.0MPa以内 分散良好
×:ΔP=7.1MPa以上 分散悪い
実施例5〜8、比較例4〜6の相溶化剤を住友化学社製のエチレン・グリシジルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体(BONDFAST 7M)に変えて同様に着色樹脂組成物を作成し、フィルム作成およびフィルム評価、押し出し機の先端部の圧力上昇値の測定を行った。結果を表2に示した。
実施例5〜8、比較例4〜6の粉末ポリプロピレン樹脂を粉末状にしたポリスチレン樹脂(PSジャパン社製 PSJ−ポリスチレン679)に、粉末状にしたメタクリル酸メチル樹脂を粉末状にしたポリエステル樹脂(イーストマンケミカル社製 PETG6763)に変えて同様に着色樹脂組成物を作成し、フィルム作成およびフィルム評価、押し出し機の先端部の圧力上昇値の測定を行った。結果を表3に示した。
タルク(日本タルク社製のミクロエースP−3)とタルクの重量に対し0.3重量%のオクチルトリエトキシシランとをヘンシェルミキサーにて攪拌混合した後に120℃で、90分乾燥させて被覆処理タルクを得た。
実施例17と同様に0.3%の被覆量になるようにオクチルトリエトキシシランに換えオクチルトリメトキシシランで被覆処理をして被覆処理タルクを得た。
実施例17と同様に0.3%の被覆量になるようにオクチルトリエトキシシランに換えn−デシルトリメトキシシランで被覆処理をして被覆処理タルクを得た。
実施例17と同様に0.3%の被覆量になるようにオクチルトリエトキシシランに換えメチルハイドロジェンシリコーンオイルで被覆処理をして被覆処理タルクを得た。
実施例17と同様に0.3%の被覆量になるようにオクチルトリエトキシシランに換えトリメチロールエタンで被覆処理をして被覆処理タルクを得た。
実施例17と同様に0.3%の被覆量になるようにオクチルトリエトキシシランに換え3−アミノプロピルトリエトキシシランで被覆処理をして被覆処理タルクを得た。
実施例17と同様に0.3%の被覆量になるようにオクチルトリエトキシシランに換え3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランで被覆処理をして被覆処理タルクを得た。
<樹脂組成物の製造>
実施例5〜8、比較例4〜6の着色樹脂組成物の製造法の二酸化チタン顔料を実施例17〜20および比較例13〜15にて製造された被覆処理タルクに変えて同様に樹脂組成物を作成した。
<フィルム品質の評価>
作成したフィルム0.5m2中のブツ個数を目視で数えた。また、フィラーを配合していない樹脂組成物のフィルムを作成し同様にブツ個数を数え次の式により、フィルムのブツ個数とした。また、ブツ個数により、フィルムの品質の評価を行った。結果を表4に示した。
フィルムブツ個数=(上記作成フィルムブツ個数)−{フィラーを配合していない樹脂組成物のフィルム}
○:ブツ300個以内 品質良好
×:ブツ301個以上 品質悪い
<押し出し機の先端部の圧力上昇値>
先端に1000メッシュの金網を装着したスクリュー径が20mmの単軸押出機を用い、実施例21〜24、比較例16〜18で得られた樹脂組成物をそれぞれ3.5kg押し出した。
樹脂組成物中に未分散の顔料が多く存在すると押出に伴って、上記メッシュが目詰まりをきたす。そこで、押出初期における上記メッシュにかかる圧力と、3.5kg分押し出した時の上記メッシュにかかる圧力との差(押出機先端部の圧力上昇値)を求め、樹脂組成物中の顔料の分散状態を評価した。結果を表4に示した。
○:ΔP=7.0MPa以内 分散良好
×:ΔP=7.1MPa以上 分散悪い
Claims (7)
- 互いに非相溶である2種以上の熱可塑性樹脂と極性基を有する相溶化剤と、該相溶化剤と親和性を有さないシラン系表面処理剤で表面処理を施した無機フィラーからなり、
前記シラン系表面処理剤が、式(1)で示されるシランカップリング剤またはシリコーンオイルから選ばれる少なくとも1種であり、該シリコーンオイルがジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルまたはそれらの共重合体であることを特徴とする複合樹脂組成物。
Rn−Si−(OR´)4−n ・・・・・(1)
〔式中、Rは炭素数1〜15個で構成される炭化水素基を表し、R´はメチル基もしくはエチル基を表す。また、nは1〜3の整数を示す。〕 - 無機フィラーが金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載の複合樹脂組成物。
- 親和性が化学反応を伴う共有結合または化学反応を伴わない水素結合を介して生じることを特徴とする請求項1又は2記載の複合樹脂組成物。
- 極性基を有する相溶化剤が分子中にカルボキシ基、酸無水物基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、アルコキシルシリル基、イソシアネート基、およびオキサゾリン基から選ばれる極性基を1種以上含み、且つ骨格となる樹脂が該互いに非相溶である2種以上の熱可塑性樹脂の1種以上と混和であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の複合樹脂組成物。
- 互いに非相溶である2種以上の熱可塑性樹脂の合計100重量部に対し、相溶化剤が1〜100重量部添加することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の複合樹脂組成物。
- 互いに非相溶である2種以上の熱可塑性樹脂と相溶化剤の合計100重量部に対し、無機フィラー1〜400重量部含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の複合樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれか記載の複合樹脂組成物からなる成形体。
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