JP5374852B2 - 結晶性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、金属酸化物微粒子の分散性を高め、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度を速くし、しかも結晶化度を高めることによって機械的物性や耐熱性に優れ、有機−無機ナノコンポジット材料として有用な結晶性熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
近年、熱可塑性樹脂に無機ナノ粒子を均一分散させて、熱可塑性樹脂の機械的強度、耐熱性、線膨張係数、難燃性等の物性を向上させるための有機−無機ナノコンポジット材料の研究が活発に行われている。無機ナノ粒子は、材質が無機材料であるために、有機材料である樹脂との親和性に乏しく、そのままでは樹脂中に均一分散させることは困難である。また、粒子の大きさがナノサイズであるために、ミクロンサイズの粒子と比較して、粒子に働く凝集力が非常に大きくなるため、樹脂中に均一分散させることはさらに困難になる。熱可塑性樹脂の中で結晶性熱可塑性樹脂を用いた場合には、無機ナノ粒子が結晶核剤として働くため、結晶化速度や結晶化度が向上し、短時間の成形で機械的物性と耐熱性の高い成形体が得られる。
結晶性熱可塑性樹脂に無機ナノ粒子を均一分散させた材料として、分散安定剤を用いて得られる材料及び無機ナノ粒子表面を変性してなる材料が一般的に知られている。分散安定剤を用いて得られる材料としては、ポリオレフィン樹脂に無機ナノ粒子である層状粘土鉱物を分散させる際に、分散安定剤として層状粘土鉱物と水素結合可能な官能基を有するポリオレフィン系重合体を用いた粘土複合材料が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この粘土複合材料を使用することにより、弾性率、収縮率などの機械的物性を向上させることができる。
また、無機ナノ粒子を変性してなる材料としては、ポリアミド樹脂に無機ナノ粒子である層状粘土鉱物を分散させる際に、層状粘土鉱物とイオン結合を有する多価アミンで有機化した後、ポリアミド樹脂に分散させポリアミド樹脂と水素結合を有する高分子複合材料が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。係る高分子複合材料は、機械的強度や靭性に優れている。
特許3489411号公報(第1頁、第2頁及び第7頁) 特許2519045号公報(第1頁及び第2頁)
ところが、特許文献1及び特許文献2に記載されている材料では、いずれも熱可塑性樹脂と無機ナノ粒子との結合が水素結合という弱い結合であるため、無機ナノ粒子の分散性が悪く、その成形体に十分な機械的物性や耐熱性を付与することが困難であった。さらに、特許文献1及び特許文献2に記載されている材料においては、熱可塑性樹脂と無機ナノ粒子との相互作用を高めるという観点に基づく手段が講ぜられておらず、無機ナノ粒子の分散性を向上させることができなかった。
そこで本発明の目的とするところは、金属酸化物微粒子の分散性を高めることができ、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度を速くし、しかも結晶化度を高めることができる結晶性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
前記の目的を達成するために、第1の発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子及び結晶性熱可塑性樹脂を溶融混練してなり、金属酸化物微粒子に結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化されたグラフト体と、結晶性熱可塑性樹脂とを含有し、前記金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基は、表面に水酸基を有する、酸化ケイ素、タルク、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、セリサリト、及び活性白土から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を用いて形成されるものであり、前記結晶性熱可塑性樹脂は、ポリL−乳酸樹脂及びポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
第2の発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、第1の発明において、JIS K 7121で規定される結晶化ピーク温度から求められる過冷却度が0〜120℃であり、かつJIS K 7122で規定される結晶化熱量から求められる結晶化度が20〜100%であることを特徴とする。
第3の発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、第1又は第2の発明において、前記結晶性熱可塑性樹脂が、JIS K 7122で規定される結晶化熱量の測定において、2℃/分の冷却速度で冷却した際に、結晶化発熱が観察されるものであることを特徴とする。
第4の発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、第1から第3のいずれか1項の発明において、前記金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基が、ペルオキシモノカーボネート基であることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物には、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子及び結晶性熱可塑性樹脂を溶融混練してなり、金属酸化物微粒子に結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化されたグラフト体が含まれている。係るグラフト体は、結晶性熱可塑性樹脂と金属酸化物微粒子とが結合力の高い共有結合で結ばれている。このため、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化していない金属酸化物微粒子を含有する結晶性熱可塑性樹脂組成物と比較して、金属酸化物微粒子の分散性を高めることができ、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度を速くし、しかも結晶化度を高めることができる。従って、結晶性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の機械的物性及び耐熱性を向上させることができるものと考えられる。金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基が、表面に水酸基を有する酸化ケイ素微粒子等を用いて形成される場合、酸化ケイ素微粒子等の水酸基を利用し、有機過酸化物基を金属酸化物微粒子表面に容易に導入することができる。
第2の発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物では、JIS K 7121で規定される結晶化ピーク温度から求められる過冷却度が0〜120℃であり、かつJIS K 7122で規定される結晶化熱量から求められる結晶化度が20〜100%である。このため、第1の発明の効果を十分に発揮することができる。
第3の発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物では、結晶性熱可塑性樹脂がJIS K 7122で規定される結晶化熱量の測定において、2℃/分の冷却速度で冷却した際に、結晶化発熱が観察されるものである。このため、第1又は第2の発明の効果に加えて、結晶性熱可塑性樹脂は十分な結晶性を発現することができる。
第4の発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基がペルオキシモノカーボネート基である。このため、第1から第3のいずれかの発明の効果に加えて、金属酸化物微粒子に熱可塑性樹脂を効率良くグラフト化反応させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子及び結晶性熱可塑性樹脂を溶融混練してなり、金属酸化物微粒子に結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化されたグラフト体と、結晶性熱可塑性樹脂とを含有するものである。即ち、結晶性熱可塑性樹脂組成物は、上記グラフト体と結晶性熱可塑性樹脂とを含む混合物である。
前記結晶性熱可塑性樹脂は、常温では変形しにくいが、加熱すると軟化して成形しやすくなり、冷却すると再び固くなる性質を持ち、かつ高分子結晶を形成できる樹脂である。このような結晶性熱可塑性樹脂としては、JIS K 7122で規定される結晶化熱量の測定において、2℃/分の冷却速度で冷却した際に、結晶化発熱が観察されるものであることが好ましい。係る結晶性熱可塑性樹脂として具体的には、結晶性ポリスチレン系樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、結晶性ポリオレフィン系樹脂、結晶性ポリアミド系樹脂、結晶性ポリアセタール系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を挙げることができる。
結晶性ポリスチレン系樹脂としては、アイソタクチックポリスチレン(iPS)樹脂及びシンジオタクチックポリスチレン(sPS)樹脂を挙げることができる。結晶性ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等の結晶性芳香族系ポリエステル樹脂や、ポリL−乳酸(PLLA)樹脂、ポリε−カプロラクタム(PCL)樹脂、ポリブチレンサクシネート(PBS)樹脂等の結晶性脂肪族系ポリエステル樹脂及びその混合物を挙げることができる。
結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブテン(PB)樹脂等の単独重合体、その共重合体及びそれらの混合物を挙げることができる。
結晶性ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6(PA6)樹脂、ナイロン66(PA66)樹脂、ナイロン12(PA12)樹脂等が挙げられる。結晶性ポリアセタール系樹脂としては、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリオキシエチレン(POE)樹脂等の単独重合体、その共重合体及びそれらの混合物を挙げることができる。ポリサルファイド系樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等を挙げることができる。ポリエーテル系樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等を挙げることができる。
前記結晶性熱可塑性樹脂のうち、結晶化速度と結晶化度の向上度合いが高いという観点から、アイソタクチックポリスチレン(iPS)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリL−乳酸(PLLA)樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブテン(PB)樹脂等の単独重合体、ナイロン6(PA6)樹脂等の結晶性、ポリオキシメチレン(POM)樹脂が挙げられ、これらの中で、ポリL−乳酸(PLLA)樹脂、及びポリプロピレン(PP)樹脂が用いられる
結晶性熱可塑性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ分析(GPC)によるポリスチレン換算値で、好ましくは1〜100万、より好ましくは5〜50万である。質量平均分子量が1万未満の場合には、結晶性熱可塑性樹脂組成物の成形体などについて実用上必要な機械的物性が得られにくくなる。その一方、質量平均分子量が100万を超える場合には、結晶性熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が悪くなりやすい。また、結晶性熱可塑性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とから算出され、好ましくは1.1〜50、より好ましくは1.2〜10である。この分散度が1.1未満或いは50を超えると、結晶性熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が悪くなりやすい。
次に、金属酸化物微粒子は、金属元素の酸化物からなり、ナノメートル(nm)〜マイクロメートル(μm)オーダーの微粒子である。金属酸化物微粒子(又は金属酸化物微粒子を含有するもの)としては特に限定されず、例えば酸化ケイ素(シリカ、SiO)〔ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン〕、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサリト、酸化チタン(II)、酸化チタン(III)、酸化チタン(IV)、酸化アルミニウム、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、二酸化ジルコニウム、酸化クロム(II)、酸化クロム(III)、酸化クロム(IV)、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、酸化イットリウム(III)、酸化インジウム(I)、酸化インジウム(II)、酸化インジウム(III)、酸化カリウム、酸化銀(I)、酸化銀(II)、酸化ゲルマニウム(II)、酸化ゲルマニウム(IV)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、酸化スズ(II)、酸化スズ(IV)、酸化セシウム、酸化タリウム(I)、酸化タリウム(III)、酸化タングステン(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(VI)、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(VI)、酸化リチウム、酸化ルテニウム(VII)、酸化ルテニウム(VIII)等の微粒子が挙げられ、これらの中で、酸化ケイ素、タルク、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、セリサリト、及び活性白土が用いられる。これらの金属酸化物微粒子は、単独で、又は2種類以上を組合せて使用することができる。
一般に金属酸化物は、その表面に大気中の水分が吸着されており、金属酸化物中の金属原子の種類によるが、表面に水酸基を有している。金属酸化物の表面を有機化変性する場合にはこの水酸基を利用するため、金属酸化物としてはその表面に有機官能基と反応できる水酸基を有しやすい酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄がより好ましい。さらに、金属酸化物微粒子を有機過酸化物変性する方法が数多く存在する点から、酸化ケイ素が最も好ましい。
金属酸化物微粒子の形状は特に限定されず、一般的な球状だけでなく、多面体状、板状、繊維のような直線形状、枝分かれした分岐形状等であってもよい。また、金属酸化物微粒子内に空隙(細孔又は中空)を有するものを用いることもできる。金属酸化物微粒子の製法は特に限定されず、気相法、ゾルゲル法、コロイド沈降法、溶融金属噴霧酸化法、アーク放電法等の任意の方法が採用される。
金属酸化物微粒子の一次の数平均粒径は特に限定されないが、1〜10000nmの範囲であると少量の含有量で効果が発現される点から好ましく、1〜500nmの範囲であると少量の含有量で結晶化速度や結晶化度が向上するため耐熱性が向上するという点でより好ましい。上記の一次の数平均粒径は、金属酸化物微粒子が分散可能な任意の溶媒中に金属酸化物微粒子を分散させて得られた分散液をコロジオン膜上に滴下し、金属酸化物微粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察により得られる粒子像から測定される。一次の数平均粒径は、少なくとも100個の粒子の粒子径を定規により測定し、数平均により算出した数平均粒径を意味する。但し、TEM観察により得られる粒子像が円形でない場合、粒子の占める面積を算出した後、同面積を有する円形に置き換えたときの円の直径を粒子径と称する。
結晶性熱可塑性樹脂組成物は、その中で金属酸化物微粒子が均一分散しており、分散の数平均粒径が小さいことが特徴である。結晶性熱可塑性樹脂組成物中での金属酸化物微粒子の分散の数平均粒径は、代表的には1〜10000nm、好ましくは1〜500nmである。これらの値は、前述した金属酸化物微粒子の一次の数平均粒径とほぼ同じ値であり、即ち結晶性熱可塑性樹脂組成物となった後でも、粒子同士がほとんど凝集することなく、金属酸化物微粒子の一次の数平均粒径に近い状態で結晶性熱可塑性樹脂組成物中に均一分散していることを示している。
このように金属酸化物微粒子の分散の数平均粒径が1〜10000nmの範囲であると、少量の含有量で効果が発現される点から好ましい。また、係る数平均粒径が1〜500nmの範囲であると、少量の含有量で結晶化速度や結晶化度が向上するため耐熱性が向上するという点でより好ましい。より優れた分散性の観点からは、結晶性熱可塑性樹脂組成物中での金属酸化物微粒子の分散の数平均粒径の好ましい範囲は、金属酸化物微粒子の一次の数平均粒径と同じ範囲である。
金属酸化物微粒子の表面に結合(ペンダント)されている有機過酸化物基は、分子内に過酸化物結合を有するものであれば特に制限されない。具体的な有機過酸化物基としては、ヒドロペルオキシド基(−OOH)、アルキルペルオキシド基(−OOR、RはC2n+1又はC−Cm−12m−1で表され、n,mは1以上20以下の整数)、ジアシルペルオキシド基(−C(O)OO(O)CR、RはC2n+1で表され、nは1以上20以下の整数)、ペルオキシエステル基(−C(O)OOR、RはC2n+1又はC−Cm−12m−1で表され、n,mは1以上20以下の整数)、ペルオキシモノカーボネート基(−OC(O)OOR、RはC2n+1又はC−Cm−12m−1で表され、n,mは1以上20以下の整数)、ペルオキシケタール基(−C2l(OOR、RはC2n+1又はC−Cm−12m−1で表され、l,n,mは1以上20以下の整数)が挙げられる。中でも金属酸化物微粒子表面の開裂したラジカルの結晶性熱可塑性樹脂へのグラフト(カップリング)効率の観点から、ペルオキシモノカーボネート基がより好ましい。
金属酸化物微粒子の表面に有機過酸化物基を導入する方法は特に制限されず、いずれの方法も採用される。具体的には、金属酸化物微粒子表面の水酸基を直接官能基で変性し、有機過酸化物基を導入する方法と、金属酸化物微粒子表面の水酸基を官能基変性シランカップリング剤で変性し、有機過酸化物基を導入する方法の2つの方法が挙げられ、有機過酸化物基の導入効率の観点から後者の方法が好ましい。
直接官能基で変性し、有機過酸化物基を導入する方法としては、金属酸化物微粒子表面の水酸基(−OH)を酸化させてできるヒドロペルオキシド基の導入法、同じく水酸基を塩化チオニルで塩素化し、さらにヒドロペルオキシドと反応させてできるジアルキルペルオキシド基の導入法、水酸基に多官能の酸クロライドを反応させて一部酸クロライドを残し、さらにヒドロペルオキシドと反応させてできるペルオキシエステル基の導入法、水酸基に多官能の酸クロライドを反応させて一部酸クロライドを残し、さらに単官能の脂肪族酸クロライド又は単官能の芳香族酸クロライドとを酸存在下で反応させてできるジアシルペルオキシド基の導入法、水酸基に多官能のクロロホルメート又は一分子中に酸クロライドとクロロホルメートを有する化合物を反応させて一部クロロホルメートを残し、さらにヒドロペルオキシドと反応させてできるペルオキシモノカーボネート基の導入法、水酸基にケトンを有する酸クロライドを反応させて、そのケトンとヒドロペルオキシドを反応させてできるペルオキシケタール基の導入法等が挙げられる。
金属酸化物微粒子表面の水酸基を官能基変性シランカップリング剤で変性し、有機過酸化物基を導入する方法としては、金属酸化物微粒子表面の水酸基に有機過酸化物基含有シランカップリング剤を反応させてできる有機過酸化物基の導入法、同じく水酸基にクロル基含有シランカップリング剤を反応させ、さらにヒドロペルオキシドと反応させてできるジアルキルペルオキシド基の導入法、水酸基にアミノ変性シランカップリング剤を反応させ、さらに一分子中にエチレン性不飽和基と有機過酸化物基を有する化合物をマイケル付加させてできる有機過酸化物基の導入法等が挙げられる。中でも金属酸化物微粒子表面の水酸基にアミノ変性シランカップリング剤を反応(脱アルコール反応)させ、さらに一分子中にエチレン性不飽和基と有機過酸化物基を有する化合物をマイケル付加反応させてできる有機過酸化物基の導入法が、反応性、簡便性などの観点から好ましい。
具体的な導入法としては、次のような方法が挙げられる。即ち、まず金属酸化物微粒子表面の水酸基にアミノ変性シランカップリング剤であるγ−アミノプロピルトリエトキシシランを脱アルコール反応させてアミノ基(−NH)を有する金属酸化物微粒子を得る。次いで、該金属酸化物微粒子表面のアミノ基に、エチレン性不飽和基と有機過酸化物基を有する化合物であるt-ブチルペルオキシ−2−メタクリロイルオキシエチルカーボネートをマイケル付加反応させ、金属酸化物微粒子表面にt−ブチルペルオキシモノカーボネート基を導入する。この場合、金属酸化物微粒子表面のアミノ基の含有量は、金属酸化物微粒子100質量部に対して0.1〜1質量部が好ましく、0.5〜0.8質量部がより好ましい。アミノ基の含有量が0.1質量部より少ないと次の段階で有機過酸化物基の導入量が少なくなり、1質量部を超えると有機過酸化物基の導入量が過剰となる傾向を示す。
金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基の含有量は、金属酸化物微粒子100質量部に対して、通常0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜9質量部がより好ましい。有機過酸化物基の含有量が0.1質量部より少ないと結晶性熱可塑性樹脂組成物中での金属酸化物微粒子の分散性が悪くなり、10質量部を超えると結晶性熱可塑性樹脂組成物の成形性が悪化する傾向を示す。
結晶性熱可塑性樹脂組成物中に含まれている、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子は、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子と結晶性熱可塑性樹脂とを溶融混練するという簡便な方法によって得ることができる。結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子が得られるメカニズムとしては、以下のように推測される。まず、溶融混練によって金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基が開裂し、金属酸化物微粒子表面に結合するラジカルと、金属酸化物微粒子表面に結合しないラジカルとが生成する。金属酸化物微粒子表面に結合しないラジカルは、結晶性熱可塑性樹脂分子中の水素を引抜き、結晶性熱可塑性樹脂ラジカルを生成する。その後、金属酸化物微粒子表面に結合しているラジカルと、結晶性熱可塑性樹脂ラジカルとが再結合することによって、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子が生成するものと推定される。この場合、有機過酸化物基がペルオキシモノカーボネート基であることにより、上記ラジカルの再結合が容易になるものと考えられる。
結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子を含有する結晶性熱可塑性樹脂組成物を製造するための溶融混練温度は、結晶性熱可塑性樹脂が溶融しかつ有機過酸化物基が分解する温度であれば特に制限されないが、一般的に170〜280℃が好ましい。また、溶融混練時間は、有機過酸化物基が十分に分解し、結晶性熱可塑性樹脂とのグラフト化反応が可能である時間であれば特に制限されないが、一般的には30分以内が好ましく、10分以内がより好ましい。
結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子を含有する結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造は常法に従って行われ、特に制限されないが、例えば結晶性熱可塑性樹脂と有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子とをドライブレンドした後、溶融混練装置に投入する方法、結晶性熱可塑性樹脂を溶融混練機で混合する途中で該有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子の溶媒分散液を注入し、溶融混練の後半に溶融した結晶性熱可塑性樹脂組成物から溶媒を減圧除去する方法等が挙げられる。前記溶融混練装置としては公知のものが使用でき、例えば一軸押出機、二軸押出機等の各種押出機やバンバリーミキサー、ブラベンダー、プラストグラフ、熱ロール、ニーダー等の溶融混練機が挙げられる。
結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子が存在しているかどうかを判断する方法としては、公知の方法がいずれも採用される。例えば、金属酸化物微粒子は結晶性熱可塑性樹脂よりも比重が大きいことを利用し、金属酸化物微粒子にグラフト化していない結晶性熱可塑性樹脂と、金属酸化物微粒子にグラフト化している結晶性熱可塑性樹脂とを分別し、金属酸化物微粒子にグラフト化している結晶性熱可塑性樹脂を熱質量測定(TG)とフーリエ変換赤外分光装置(FT−IR)で定性及び定量して確認する方法が挙げられる。結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子の具体的な分別方法としては、結晶性熱可塑性樹脂組成物を結晶性熱可塑性樹脂の良溶媒に分散させた分散液を遠心分離し、沈降物を取り出す方法が挙げられる。また、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子中の導入量の具体的な測定は、沈殿物をTGにかけ、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子中の有機成分の分解量から算出する。グラフト成分が結晶性熱可塑性樹脂であるかどうかを判断するには、沈殿物をFT−IRにかけ、結晶性熱可塑性樹脂特有のピークが存在するかどうかを確認する。ここで、金属酸化物特有の吸収ピーク強度を分母に、結晶性熱可塑性樹脂特有のピーク強度を分子にした比率から、結晶性熱可塑性樹脂成分の相対的な定量値とすることができる。
結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子中の結晶性熱可塑性樹脂の導入量は、金属酸化物微粒子100質量部に対して1〜40質量部(即ち、グラフト率は1〜40%)であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。この導入量が1質量部より少ない場合には、グラフト率が低く、結晶性熱可塑性樹脂組成物より得られる成形体の機械的物性や耐熱性を十分に向上させることができなくなる。その一方、40質量部より多い場合には、グラフト効率を高める必要があり、グラフト体の製造が難しくなる。
また、結晶性熱可塑性樹脂組成物中におけるグラフト体の含有量は、結晶性熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。この含有量が0.5質量部より少ない場合、結晶性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の耐熱性が低下するため好ましくない。一方、20質量部より多い場合、結晶性熱可塑性樹脂組成物の成形性が悪化するため好ましくない。
結晶性熱可塑性樹脂組成物には、希釈又は成形体の機械的物性を改善するために、必要に応じて金属酸化物微粒子表面にグラフト化している結晶性熱可塑性樹脂と同種の結晶性熱可塑性樹脂又は異種の結晶性熱可塑性樹脂を混合することができる。さらに、結晶性熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて紫外線防止剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、顔料、着色剤、離型剤、滑剤、発泡剤、結晶核剤、抗菌・抗カビ剤等を、結晶性熱可塑性樹脂組成物の特性を損なわない範囲で添加することができる。
以上の結晶性熱可塑性樹脂組成物を所定形状に成形することにより所望とする成形体が得られる。結晶性熱可塑性樹脂組成物の成形法としては、一般に採用される結晶性熱可塑性樹脂の成形機を用いた成形法でよく、具体的にはカレンダー成形法、発泡成形法、押出成形法、射出成形法、真空成形法、ブロー成形法等を挙げることができる。
成形体としては、シート、フィルム、チューブ等の押出成形体、熱成形体、中空成形体、発泡成形体、射出成形体等を挙げることができる。係る成形体は、金属酸化物微粒子に結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化されたグラフト体を含む結晶性熱可塑性樹脂組成物から得られるため、金属酸化物微粒子の分散性が改善され、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度が速くなりかつ結晶化度が高くなり、延いては機械的物性や耐熱性の向上が発揮される。このような効果が得られる理由は次のように推測される。即ち、金属酸化物微粒子は結晶性熱可塑性樹脂の結晶核剤として働き、結晶性熱可塑性樹脂の結晶を促進する。また、結晶性熱可塑性樹脂が金属酸化物微粒子にグラフト化されたグラフト体は、結晶性熱可塑性樹脂と金属酸化物微粒子とが共有結合で結合されているため結晶核剤である金属酸化物微粒子の表面積が増大し、結晶核剤としての機能が増して結晶性熱可塑性樹脂の結晶性が一層向上する。さらに、結晶核剤は結晶性熱可塑性樹脂との相互作用が強いほど結晶核剤としての機能を良好に発現でき、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト体の金属酸化物微粒子にグラフト化されていることから、結晶化速度や結晶化度の向上に貢献することができるものと推測される。
ここで、結晶化速度が速いとは、JIS K 7121で規定された方法で、融解ピーク終了温度よりも30℃高い温度で10分間保持した後、10℃/分で冷却した際に得られる結晶化ピーク温度が、結晶性熱可塑性樹脂の平衡融点に近いことを示す。即ち、結晶性熱可塑性樹脂の平衡融点と上記で得られた結晶化ピーク温度との差で表される過冷却度が小さいことを示す。この過冷却度は好ましくは0〜120℃であり、結晶化速度が速い樹脂は過冷却度が0℃に近く、ポリL−乳酸のように結晶化速度が遅い樹脂は過冷却度が120℃に近くなる。
一方、結晶化度が高いとは、JIS K 7122で規定される結晶化熱量が結晶化度100%の結晶性熱可塑性樹脂の融解熱量に近いことを示す。即ち、上記結晶化熱量と結晶性熱可塑性樹脂の融解熱量との比で表される結晶化度が高いことを示す。該結晶化度は好ましくは20〜100%であり、結晶化速度が速い樹脂の場合には100%に近くなるが、ポリL−乳酸のように結晶化速度が遅い樹脂の場合には20%に近くなる。このように、過冷却度が0〜120℃であり、かつ結晶化度が20〜100%であれば、結晶性熱可塑性樹脂よりも機械的物性や耐熱性が高い成形体を得ることができる。なぜならば、成形体の機械的物性や耐熱性は、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度が速く、結晶化度が高いことに基づくものであり、結晶化度に比例するからである。
以上の実施形態によって発揮される作用、効果につき、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子及び結晶性熱可塑性樹脂を溶融混練することにより簡単に得られる。この結晶性熱可塑性樹脂組成物には、金属酸化物微粒子に結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化されたグラフト体が含まれ、該グラフト体は結晶性熱可塑性樹脂と金属酸化物微粒子とが結合力の高い共有結合で結合されている。従って、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化されていない金属酸化物微粒子を含有する結晶性熱可塑性樹脂組成物と比較して、金属酸化物微粒子の分散性を高めることができ、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度を速くし、しかも結晶化度を高めることができる。その結果、結晶性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の機械的物性及び耐熱性を向上させることができるものと考えられる。
・ 結晶性熱可塑性樹脂組成物において、JIS K 7121で規定される結晶化ピーク温度から求められる過冷却度が0〜120℃であり、かつJIS K 7122で規定される結晶化熱量から求められる結晶化度が20〜100%であることが好ましい。その場合、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度を速くすることができると共に、結晶化度を高めることができる。従って、結晶性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の機械的物性及び耐熱性の向上に寄与することができる。
・ 結晶性熱可塑性樹脂がJIS K 7122で規定される結晶化熱量の測定において、2℃/分の冷却速度で冷却した際に、結晶化発熱が観察されるものであることにより、結晶性熱可塑性樹脂は十分な結晶性を発現することができる。
・ 金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基がペルオキシモノカーボネート基であることにより、金属酸化物微粒子に熱可塑性樹脂を効率良くグラフト化反応させることができる。
・ 金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基が表面に水酸基を有する酸化ケイ素微粒子を用いて形成されるものであることにより、酸化ケイ素微粒子の水酸基を利用し、有機過酸化物基を金属酸化物微粒子表面に容易に導入することができる。
以下に、参考例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。各例における各種物性値については、下記に示す方法によって測定した。
(1)数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)
示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(GPC、(株)島津製作所製)を用い、溶出液をクロロホルム、カラム温度を40℃として、標準ポリスチレン換算により求めた。
(2)結晶性熱可塑性樹脂組成物中の結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子中の結晶性熱可塑性樹脂の定性と定量
結晶性熱可塑性樹脂組成物1gを100mlのクロロホルムに溶解し、得られた溶液を遠心分離機〔(株)久保田製作所製、7780〕で20分間高速遠心分離(20,000rpm)した。生成した沈殿物をさらに100mlのクロロホルムで洗浄し、20分間高速遠心分離した。この洗浄、遠心分離操作をさらに2回繰り返して得られた沈殿物を、室温で2時間真空乾燥することにより、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子を取り出した。
この結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子をフーリエ変換赤外分光装置〔(株)日本分光製、FT−IR−610〕によって、金属酸化物の特有ピーク強度(I)と、結晶性熱可塑性樹脂の特有ピーク強度(I)との特有ピーク強度比(I/I)から、定性及び定量を行った。また、得られた結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子を、熱質量測定装置〔(株)エスアイアイナノテクノロジーズ製、TG220〕を用い、測定温度範囲:30〜800℃、昇温速度:10℃/分の条件で、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子の有機成分の分解質量%(結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子に対する有機成分の比率)を測定した。この値から、金属酸化物微粒子100質量部に対する有機成分の質量部に算出し直した値を結晶性熱可塑性樹脂の導入量とした。
(3)結晶性熱可塑性樹脂組成物中の金属酸化物微粒子の分散性
結晶性熱可塑性樹脂組成物中の金属酸化物微粒子の9μmあたりの粒子数及び数平均分散粒径の測定
得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物から、ウルトラミクロトーム〔(株)ライカ製、ウルトラカットUCT〕を用いて、厚さ50〜100μmの超薄切片を作製した。得られた超薄切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)〔(株)日本電子製、JEM−1200EX〕を用いて金属酸化物微粒子の分散状態を観察、撮影した。得られたTEM写真を複数用いて、視野内で確認可能な独立した粒子の数を100μm以上の範囲でカウントし、9μmあたりの面積でカウント可能な粒子数を算出した。加えた粒子の種類や量が同じである場合には、粒子が凝集して存在していると単位面積あたりの粒子数は少なくなっているため、この方法により粒子の分散性を評価することが可能となる。またTEM写真において、100個以上の分散金属酸化物微粒子が存在する任意の領域を選択し、粒径を目盛り付き定規を用いて測定し、数平均分散粒径を算出した。
(4)結晶性熱可塑性樹脂組成物の過冷却度
走査型示差熱量計(DSC、エスアイアイナノテクノロジー製)を用い、結晶性熱可塑性樹脂組成物10mgをアルミニウム製の密封セルに入れ、10℃/分で室温から220℃まで昇温し、220℃で10分間保持した後、10℃/分で220℃から室温まで降温させた。この降温過程における結晶化発熱曲線の発熱ピーク温度を結晶化ピーク温度(℃)とし、平衡融点である215℃との差(℃)を計算した。
(5)結晶性熱可塑性樹脂組成物の結晶化度
走査型示差熱量計(DSC、エスアイアイナノテクノロジー製)を用い、結晶性熱可塑性樹脂組成物10mgをアルミニウム製の密封セルに入れ、10℃/分で室温から220℃まで昇温し、220℃で10分間保持した後、10℃/分で220℃から室温まで降温させた。この降温過程における結晶化発熱曲線の面積を結晶化熱量(J/g)とし、結晶化度100%の結晶性熱可塑性樹脂の融解熱量で除した割合(%)を計算した。
参考例、実施例及び比較例に用いた原料は次のとおりである。
金属酸化物微粒子A:日本触媒(株)製のアモルファスシリカ、商品名「シーホスターKE−W10(水分散液)」、数平均粒径130nm、表面に水酸基を有している。
金属酸化物微粒子B:日産化学工業(株)製のコロイダルシリカ、商品名「スノーテックスOL(水分散液)」、数平均粒径45nm、表面に水酸基を有している。
金属酸化物微粒子C:日産化学工業(株)製のオルガノルシリカゾル、商品名「メタノールシリカゾル(メタノール分散液)」、数平均粒径15nm、表面に水酸基を有している。
金属酸化物微粒子D:日本タルク(株)製のタルク、商品名「ミクロエースP−6」、数平均粒径1200nm、表面に水酸基を有している。
アミノ変性シランカップリング剤:関東化学(株)製の試薬、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APS)
有機変性金属酸化物:日本アエロジル(株)製コロイダルシリカ、商品名「アエロジルR805」、数平均粒径12nm、有機物(オクチル基)変性量5.5%
一分子中にエチレン性不飽和基と有機過酸化物基を有する化合物a:日油(株)製のt−ブチルペルオキシ−2−メタクリロイルオキシエチルモノカーボネート、商品名「ペロマーMEC(MEC)」
一分子中にエチレン性不飽和基と有機過酸化物基を有する化合物b:日油(株)製のt−ブチルペルオキシ−アリルモノカーボネート、商品名「ペロマーAC(AC)」
結晶性熱可塑性樹脂(PLLA):三井化学(株)製のポリL−乳酸樹脂、商品名「レイシアH100」、質量平均分子量(Mw)150,000、分散度(Mw/Mn)2.2、平衡融点:115℃、結晶化度100%の融解熱量:93J/g
(参考例1、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaの製造)
金属酸化物微粒子Aの水分散液を遠心分離し、沈殿物をN−メチルピロリドンで洗浄、遠心分離操作を3回行うことで、固形分20質量%のN−メチルピロリドン分散液を得た。
200mlのビーカーに、上記金属酸化物微粒子AのN−メチルピロリドン分散液(固形分20質量%)25gとN−メチルピロリドン100mlを入れ、ホモミキサー〔特殊機化(株)製、TKホモミキサーMARKII−f〕で6000rpm、10分間分散させた。その分散液を300mlの4つ口フラスコに入れ、三日月型撹拌羽根で400rpm、5分間分散させた。この4つ口フラスコにアミノ変性シランカップリング剤(γ−APS)2gを添加し、110℃で8時間反応させた。得られた反応物を遠心分離し、沈殿物をメタノールで洗浄、遠心分離操作を3回行い、それを真空乾燥することで表面にアミノ基を有する金属酸化物微粒子Aを得た。この表面にアミノ基を有する金属酸化物微粒子Aのアミノ基導入量を化学滴定により求めたところ、金属酸化物微粒子100質量部に対して0.5質量部であった。
次いで、200mlのビーカーに、上記表面にアミノ基を有する金属酸化物微粒子4gとシクヘキサノン120mlを入れ、ホモミキサー〔特殊機化(株)製、TKホモミキサーMARKII−f〕で6000rpm、10分間分散させた。その分散液を300mlの4つ口フラスコに入れ、三日月型撹拌羽根で400rpm、5分間分散させた。この4つ口フラスコに一分子中にエチレン性不飽和基と有機過酸化物基を有する化合物(MEC)2.4g(アミノ基に対して3倍モル)を添加し、40℃で24時間、窒素バブリング(20ml/分)下で反応させた。得られた反応物を遠心分離し、沈殿物をメタノールで洗浄、遠心分離操作を3回行うことで表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを得た。この表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子の有機過酸化物基導入量を化学滴定で求め、その結果を表1に示した。なお、表1においては、金属酸化物微粒子を100質量部として示し、それを基準としてγ−APS、アミノ基導入量及び有機過酸化物基導入量を示した。
(参考例2、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Abの製造)
参考例1において、MEC2.4g(アミノ基に対して3倍モル)をMEC0.4g(アミノ基に対して0.5倍モル)に変更した以外は同様の方法で、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Abを得た。この表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子の有機過酸化物基導入量を化学滴定により求め、その結果を表1に示した。
(参考例3、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Acの製造)
参考例1において、MEC2.4g(アミノ基に対して3倍モル)をMEC8g(アミノ基に対して10倍モル)に変更した以外は同様の方法で、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Acを得た。この表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子の有機過酸化物基導入量を化学滴定により求め、その結果を表1に示した。
(参考例4、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Bの製造)
参考例1において、金属酸化物微粒子Aを金属酸化物微粒子Bに変更した以外は同様の方法で、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Bを得た。この表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子の有機過酸化物基導入量を化学滴定により求め、その結果を表1に示した。
(参考例5、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Cの製造)
参考例1において、金属酸化物微粒子Aを金属酸化物微粒子Cに変更した以外は同様の方法で、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Cを得た。この表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子の有機過酸化物基導入量を化学滴定により求め、その結果を表1に示した。
(参考例6、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Dの製造)
参考例1において、金属酸化物微粒子Aを金属酸化物微粒子Dに変更した以外は同様の方法で、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Dを得た。この表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子の有機過酸化物基導入量を化学滴定により求め、その結果を表1に示した。
(参考例7、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Adの製造)
参考例1において、MEC2.4g(アミノ基に対して3倍モル)をAC1.7g(アミノ基に対して3倍モル)に変更した以外は同様の方法で、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Adを得た。この表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子の有機過酸化物基導入量を化学滴定により求め、その結果を表1に示した。
(実施例1)
結晶性熱可塑性樹脂(PLLA)100質量部と参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aa5質量部をドライブレンドし、180℃に設定された溶融混練機〔ラボプラストミルμ、小型セグメントミキサ:KF6型、ディスク:高剪断型、(株)東洋精機製作所製〕にて210rpmで5分間溶融混練し、結晶性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物から結晶性熱可塑性樹脂(PLLA)がグラフト化した金属酸化物微粒子中の結晶性熱可塑性樹脂の定性、定量及び結晶性熱可塑性樹脂組成物中の金属酸化物微粒子の分散性を測定し、それらの結果を表2に示した。
また、得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物10mgを走査型示差熱量計(DSC、エスアイアイナノテクノロジー製)を用いて、結晶化ピーク温度及び結晶化熱量を測定し、過冷却度及び結晶化度を算出して表2に示した。
(実施例2)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを、参考例2で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Abに変更した以外は同様の方法で、結晶性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(実施例3)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを、参考例3で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Acに変更した以外は同様の方法で、結晶性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(実施例4)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物を有する金属酸化物微粒子Aaを、参考例4で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Bに変更した以外は同様の方法で、結晶性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(実施例5)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを、参考例5で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Cに変更した以外は同様の方法で、結晶性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(実施例6)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを、参考例7で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Adに変更した以外は同様の方法で、結晶性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(比較例1)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aa5質量部を、0質量部に変更した以外は同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(比較例2)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを、有機過酸化物基を有していない金属酸化物微粒子Aに変更した以外は同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
Figure 0005374852
Figure 0005374852
(実施例7)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aa5質量部を0.5質量部に変更した以外は同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表3に示した。
(実施例8)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aa5質量部を20質量部に変更した以外は同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表3に示した。
(実施例9)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを、参考例6で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Dに変更した以外は同様の方法で、結晶性熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表3に示した。
(比較例3)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを、有機変性金属酸化物微粒子に変更した以外は同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表3に示した。
(比較例4)
実施例1において、参考例1で得られた表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子Aaを、有機過酸化物基を有していない金属酸化物微粒子Dに変更した以外は同様の方法で、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表3に示した。
Figure 0005374852
表2及び表3に示したように、比較例1では金属酸化物微粒子を含有しない結晶性熱可塑性樹脂を用いたが、この条件では結晶化が起こらないため、結晶化ピーク温度と結晶化発熱量が存在しない。また、比較例2及び3では、結晶性熱可塑性樹脂に有機過酸化物基を有しない金属酸化物微粒子Aa又は有機変性金属酸化物微粒子を含有させたことにより、結晶化速度と結晶化度について比較例1より向上したが、共にまだ不十分であった。
これに対し、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子を用いた実施例1〜9では、表面に有機過酸化物基を有していない金属酸化物微粒子を用いた比較例2〜4に比べ、結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化した金属酸化物微粒子が生成し、結晶性熱可塑性樹脂組成物中に金属酸化物微粒子が均一分散することが明らかになった。そのため、実施例1〜9の結晶性熱可塑性樹脂組成物では、その過冷却度が106〜119℃であると共に、結晶化度が30.1〜63.4%であった。従って、結晶性熱可塑性樹脂組成物より得られる成形体は、機械的強度と耐熱性に優れることが容易に見込まれる。
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 結晶性熱可塑性樹脂として、前記過冷却度が0〜120℃及び結晶化度が20〜100%の少なくとも一方が前記各実施例とは異なる結晶性熱可塑性樹脂を少なくとも1種用いることができる。
・ 結晶性熱可塑性樹脂組成物において、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子と結晶性熱可塑性樹脂を溶融混練してなるグラフト体と、結晶性熱可塑性樹脂との組成物に、さらに結晶性熱可塑性樹脂を加えてグラフト体の含有量を所望の値になるように調整することもできる。
・ 金属酸化物微粒子として、一次の数平均粒径の異なる酸化ケイ素微粒子を組合せて使用したり、酸化ケイ素微粒子とそれ以外の金属酸化物微粒子とを組合せて使用したりすることもできる。
・ 有機過酸化物として、複数のペルオキシモノカーボネートを用いたり、ペルオキシモノカーボネートとその他の有機過酸化物を組合せて用いることもできる。
・ 有機過酸化物として、分解開始温度の異なるものを複数種類組合せて使用し、溶融混練する温度を調整することもできる。
・ 結晶性熱可塑性樹脂組成物としては、結晶性熱可塑性樹脂や金属酸化物微粒子の種類などを変えて異なるグラフト体を複数調製し、それら複数のグラフト体を含むように構成することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基は、酸化ケイ素微粒子の水酸基にアミノ変性シランカップリング剤を反応させて酸化ケイ素微粒子表面にアミノ基を導入し、該アミノ基にエチレン性不飽和基と有機過酸化物基を有する化合物を反応させて得られるものであることを特徴とする各請求項に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物。このように構成した場合、前記発明の効果に加えて、有機過酸化物基の導入効率を向上させることができる。
・ 結晶性熱可塑性樹脂と、表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子とを溶融混練し、金属酸化物微粒子に結晶性熱可塑性樹脂の一部をグラフト化してグラフト体を形成することを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。この製造方法によれば、金属酸化物微粒子の分散性が良く、得られる成形体の機械的物性及び耐熱性を向上させることができる結晶性熱可塑性樹脂組成物を容易に得ることができる。
各請求項に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。この成形体は、優れた機械的物性及び耐熱性を発揮することができる。

Claims (4)

  1. 表面に有機過酸化物基を有する金属酸化物微粒子及び結晶性熱可塑性樹脂を溶融混練してなり、金属酸化物微粒子に結晶性熱可塑性樹脂がグラフト化されたグラフト体と、結晶性熱可塑性樹脂とを含有し、
    前記金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基は、表面に水酸基を有する、酸化ケイ素、タルク、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、セリサリト、及び活性白土から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を用いて形成されるものであり、
    前記結晶性熱可塑性樹脂は、ポリL−乳酸樹脂及びポリプロピレン樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物。
  2. JIS K 7121で規定される結晶化ピーク温度から求められる過冷却度が0〜120℃であり、かつJIS K 7122で規定される結晶化熱量から求められる結晶化度が20〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記結晶性熱可塑性樹脂が、JIS K 7122で規定される結晶化熱量の測定において、2℃/分の冷却速度で冷却した際に、結晶化発熱が観察されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記金属酸化物微粒子表面の有機過酸化物基が、ペルオキシモノカーボネート基であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物。
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