JPH06263830A - グラフト化ビニルポリマーの製造方法 - Google Patents

グラフト化ビニルポリマーの製造方法

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JPH06263830A
JPH06263830A JP5257893A JP5257893A JPH06263830A JP H06263830 A JPH06263830 A JP H06263830A JP 5257893 A JP5257893 A JP 5257893A JP 5257893 A JP5257893 A JP 5257893A JP H06263830 A JPH06263830 A JP H06263830A
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peroxy
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JP5257893A
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Tetsuya Nakamura
哲也 中村
Yoshihiro Oshibe
義宏 押部
Hiroshi Omura
博 大村
Norio Tsubokawa
紀夫 坪川
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Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カーボンブラック表面へのビニルポリマーの
グラフト化において優れたグラフト化効率が得られると
ともに、グラフト化反応に用いるビニルモノマーの制約
が少なく、しかもグラフト化ビニルポリマーを簡易に製
造する。 【構成】 まず、下記化1、化5又は化6で示されるポ
リメリックペルオキシドをカーボンブラックの存在下
で、当該ポリメリックペルオキシドに含有されるペルオ
キシ結合の10〜80%が熱分解する条件で熱分解す
る。そして、カーボンブラック表面にペルオキシ結合を
導入する。次に、ビニルモノマーの存在下でカーボンブ
ラック表面のペルオキシ結合を熱分解する。そして、カ
ーボンブラック表面にビニルポリマーをグラフト化して
グラフト化ビニルポリマーを製造する。 【化1】 【化5】 【化6】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高分子材料への着色
剤や導電性付与剤、またトナー原料として利用されるカ
ーボンブラックに対し、その表面に種々のビニルポリマ
ーを効率良くグラフト化できるグラフト化ビニルポリマ
ーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラックをトナー原料、あるい
は高分子材料の着色剤や導電性付与剤として利用する場
合、カーボンブラックをトナーバインダーや各種高分子
材料中でより均一に分散させることが求められる。この
分散性を向上させるには、カーボンブラック粒子間に働
く結合力を小さくするか、あるいは分散媒との親和性を
良くする必要がある。
【0003】この手段として、カーボンブラック表面に
種々のイオン重合開始基やアゾ基等のラジカル重合開始
基を導入し、これを用いて各種モノマーの重合を行って
ポリマー鎖をグラフトさせる方法が知られている。しか
し、この方法はラジカル重合開始基をカーボンブラック
表面に導入する反応の制御が難しく、そのプロセスが長
くなったり、煩雑であるという問題があった。
【0004】そのため、次のような方法が知られてい
る。すなわち、予めペルオキシ基やアゾ基を含有するポ
リマー、すなわちグラフト化前駆体を合成する。次に、
カーボンブラックの存在下で、このグラフト化前駆体を
熱分解してポリマーラジカルを発生させ、カーボンブラ
ック表面のラジカル捕捉能を利用してグラフト化させ
る。
【0005】このグラフト化前駆体として、アゾ基とペ
ルオキシ基の両官能基を有する化合物を重合開始剤と
し、アゾ基の熱分解する温度でビニルモノマーをラジカ
ル重合したものが知られている〔高分子学会予稿集、第
40巻、381頁(1991)〕。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このグラフ
ト化前駆体を用いる方法は、所定のグラフト化前駆体を
得るためにモノマーの制約を受けることから、カーボン
ブラック表面にグラフト化されるポリマーの種類が限定
されるという問題があった。また、アゾ基とペルオキシ
基の両官能基を有する化合物を重合開始剤とし、アゾ基
の熱分解する温度でビニルモノマーをラジカル重合した
グラフト化前駆体は、アゾ基のラジカル重合開始効率が
低い。
【0007】そのため、グラフト化前駆体の合成段階
で、ポリマー鎖に結合されずアゾ基のみ分解したペルオ
キシ基含有化合物が副生しやすい。この副生物を除去せ
ずにグラフト化反応を行なうと、グラフト化効率が低下
するという問題がある。従って、グラフト化前駆体の精
製を必要とするという問題があった。
【0008】この発明はこのような従来技術の問題に着
目してなされたものであって、その目的はカーボンブラ
ック表面へのビニルポリマーのグラフト化において優れ
たグラフト化効率が得られるとともに、グラフト化反応
に用いるビニルモノマーの制約が少なく、しかもグラフ
ト化ビニルポリマーを簡易に製造できるグラフト化ビニ
ルポリマーの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明では、前記化1、化5又は化6で示される
ポリメリックペルオキシドをカーボンブラックの存在下
で、当該ポリメリックペルオキシドに含有されるペルオ
キシ結合の10〜80%が熱分解する条件で熱分解する
ことにより、カーボンブラック表面にペルオキシ結合を
導入し、次いでビニルモノマーの存在下でカーボンブラ
ック表面のペルオキシ結合を熱分解し、カーボンブラッ
ク表面にビニルポリマーをグラフト化することを特徴と
する。
【0010】次に、この発明の各構成要件について順次
詳細に説明する。まず、ペルオキシ基含有カーボンブラ
ックの合成方法を説明する。この発明の前記化1、化5
又は化6で示されるポリメリックペルオキシドは、カー
ボンブラック中にペルオキシ基を導入するための不可欠
の重合開始剤として使用される。各ポリメリックペルオ
キシド中のいずれかのペルオキシ基がラジカル開裂後、
そのラジカルがカーボンブラック表面に捕捉されること
により、ペルオキシ基がカーボンブラック表面に導入さ
れる。
【0011】上記プロセスにおいて、ポリメリックペル
オキシドの熱分解終了時、カーボンブラックに連結せず
に系内に遊離して存在するペルオキシドの残存量を減ら
し、かつカーボンブラックに導入されたペルオキシ基の
分解を抑制する。それにより、カーボンブラックへのグ
ラフト化反応におけるビニルポリマーのグラフト化効率
を向上させることができる。
【0012】この条件を満たすために、この発明では、
当該ポリメリックペルオキシドに含有されるペルオキシ
結合の10〜80%が熱分解する条件でポリメリックペ
ルオキシドをカーボンブラック表面に導入することが不
可欠である。この熱分解は、具体的には、例えばペルオ
キシ結合の濃度が0.02mol/l濃度であるクメン
又はベンゼン中の熱分解速度を基準として、その10〜
80%が熱分解する条件下で行われる。この熱分解率が
10%に満たない場合、カーボンブラック表面に連結せ
ずに重合系内に遊離して存在するポリメリックペルオキ
シド量が多過ぎる。一方、80%を越えるとカーボンブ
ラック表面に導入されたペルオキシ基の分解が進み過
ぎ、ビニルモノマー重合時のグラフト効率が低下する。
【0013】上記の理由から、重合時間(A)は、重合
温度におけるポリメリックペルオキシド中のペルオキシ
結合の熱分解速度を(B)(クメン又はベンゼン中0.
02mol/l濃度の値)、ペルオキシ結合の分解率を
(C)(クメン又はベンゼン中0.02mol/l濃度
の値)とすると、A=(−ln(1−C))/Bからな
る関係式でCが0.10〜0.80の条件で求められる
時間であることが好適である。
【0014】また、この発明に用いられるポリメリック
ペルオキシドの使用量は、カーボンブラック100重量
部に対し、100〜1000重量部が好ましい。100
重量部未満ではカーボンブラック表面へのペルオキシ結
合の導入が不十分である。また、1000重量部を越え
るとカーボンブラック表面に連結せずに系内に遊離して
存在するペルオキシド量が多くなりすぎる。従って、い
ずれもカーボンブラックへのビニルモノマーのグラフト
重合を阻害する。
【0015】この発明における熱分解温度は、用いるポ
リメリックペルオキシドの10時間半減期温度〔以下T
10と称する、単位:℃〕により異なり、(T10)〜
(T10+30)℃の範囲が適切である。T10未満で
は、未反応のペルオキシド量が多過ぎ、(T10+3
0)を越えるとカーボンブラック表面に導入されたペル
オキシ基が分解しやすくなる。
【0016】この発明のペルオキシ基含有カーボンブラ
ックの合成においては、1分子中にペルオキシ基が連鎖
で連なる化合物を重合開始剤とするために、その中のい
ずれか1個のペルオキシ基がカーボンブラック表面に付
加すれば、効率良くペルオキシ基がカーボンブラック表
面に導入される。このため、系内にペルオキシドが遊離
せずにカーボンブラック表面に導入される確率が高くな
る。この特性により、特に精製を必要としない簡便な方
法で、カーボンブラックのグラフト化反応に供すること
が出来、しかも良好なグラフト化効率を達成することが
出来る。
【0017】この発明において、化1によって示される
ポリメリックペルオキシドとしては、下記に示す化7〜
化13等があげられる。また、化5によって示されるポ
リメリックペルオキシドとしては化14〜化18等が、
化6によって示されるポリメリックペルオキシドとして
は化19〜化22等があげられる。なお、化7〜化22
中のnはいずれも3〜30の整数である。nが3未満で
はグラフト化反応時のグラフト化効率が低下する傾向を
示し、nが30を越えるとポリメリックペルオキシドの
合成自体が困難になる。
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】
【化11】
【0023】
【化12】
【0024】
【化13】
【0025】
【化14】
【0026】
【化15】
【0027】
【化16】
【0028】
【化17】
【0029】
【化18】
【0030】
【化19】
【0031】
【化20】
【0032】
【化21】
【0033】
【化22】
【0034】この発明で使用されるカーボンブラックに
は特に制約はなく、製造法の相違による分類でチャンネ
ルブラック、ファーネスブラック又はサーマルブラック
が使用され、原料の相違による分類でアセチレンブラッ
ク等が使用される。
【0035】次に、前記の方法で得たペルオキシ基含有
カーボンブラックを用いたビニルモノマーのカーボンブ
ラック表面へのグラフト重合について説明する。このグ
ラフト化反応は、前述のペルオキシ基含有カーボンブラ
ックとビニルモノマーとを混合した溶液を攪拌下に加熱
する方法が採用される。このとき、ビニルモノマーなど
を溶解する溶剤を用いてもよい。
【0036】重合系内に占めるペルオキシ基含有カーボ
ンブラックの濃度は、重合反応時の攪拌が可能な限り制
約を受けないが、作業性、経済性の面から0.1〜30
重量%が好適である。また、ビニルモノマーの使用量も
特に限定はないが、前記と同じ理由により、重合系内に
おいて、10〜99.9重量%が好適である。
【0037】このグラフト化反応は、カーボンブラック
表面に導入されたポリメリックペルオキシドの10時間
半減期温度(T10)によって異なり、(T10)〜
(T10+40)℃の範囲で行うのが好ましい。(T1
0)℃未満では、重合反応に長時間を要し、経済性の点
で不利であり、またグラフト化効率も低下する傾向を示
す。一方、(T10+40)℃を越えてもグラフト化効
率が低下する傾向を示す。
【0038】この発明に使用されるビニルモノマーにつ
いては特に制限はなく、グラフト化カーボンブラックが
利用される用途に応じて適宜選択される。すなわち、水
溶性ポリマーを構成するような親水性ビニルモノマーか
ら、疎水度の高いポリマーを構成する疎水性ビニルモノ
マーまで、幅広く選択することが出来る。
【0039】例えば、アクリル酸メチル及び/又はメタ
クリル酸メチル〔以下(メタ)アクリル酸メチルと総称
する。以下同様〕、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イ
ソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)
アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸-t- ブチル、(メタ)アクリル
酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−N, N
−ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステ
ル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、(メ
タ)アクリル酸−3−クロル−2−ヒドロキシプロピル
エステルのような(メタ)アクリル酸のヒドロキシエス
テル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールエス
テル、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコールエス
テルのような(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコ
ールやポリプロピレングリコールのエステル、スチレ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族
ビニル型モノマー、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニル
エステル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)ア
クリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等
のアミド基含有ビニル系モノマー、(メタ)アクリル
酸、イタコン酸等があげられる。これらのビニルモノマ
ーは単独で使用しても良く、また2種以上を共重合成分
として併用しても良い。
【0040】この発明のグラフト化反応時のグラフト化
効率、すなわちグラフト率(カーボンブラックに対する
グラフト化ビニルポリマーの割合)は、公知の方法で測
定できる。例えば、ポリマージャーナル第22巻、66
1頁(1990)に記載されているように、所定量の反
応物又は反応溶液を、グラフト化反応に使用したビニル
ポリマーの良溶剤で希釈調整後、カーボンブラックが完
全に分離するまで遠心分離操作を行う。次いで、取り出
したカーボンブラックを乾燥し、さらにソックスレー抽
出を行なうことで求めることが出来る。
【0041】
【作用】前述の化1、化5又は化6で示されるポリメリ
ックペルオキシドを重合開始剤として、このポリメリッ
クペルオキシドの10〜80%が熱分解する条件で熱分
解を行う。このとき、ポリメリックペルオキシド中には
複数のペルオキシ基が連鎖状態で存在し、それらのうち
のいずれかが開裂する。開裂して生成したラジカルがカ
ーボンブラックのラジカル捕捉能に基づいて、その表面
に捕捉される。そのため、カーボンブラック表面にペル
オキシ結合が効率良く導入されるとともに、導入された
ペルオキシ結合の分解が抑制される。
【0042】次に、ビニルモノマーの存在下でカーボン
ブラック表面のペルオキシ結合を熱分解する。この際、
カーボンブラック表面に導入された複数個のペルオキシ
基のうち、いずれかが開裂してラジカルが生成する。こ
のラジカルにより、グラフト鎖の成長が起こってグラフ
ト重合が行われる。この際、未反応のポリメリックペル
オキシドやビニルモノマーの残存量は少ないため、副生
物の生成は少なく、カーボンブラックへのビニルポリマ
ーのグラフト化効率が向上する。このように、グラフト
化ビニルポリマーは、各種のビニルモノマーを用いて、
ラジカル重合により容易に得られる。得られたグラフト
化ビニルポリマーは、グラフト鎖の良溶媒中へ安定に分
散する。
【0043】
【実施例】以下、実施例及び比較例によりこの発明を具
体的に説明する。各例において用いたポリメリックペル
オキシドの略号と10時間半減期温度、重合に用いたビ
ニルモノマーの略号、グラフト化反応に用いたカーボン
ブラックの特性を以下に示す。なお、10時間半減期温
度は、0.02mol/l濃度のベンゼン又はクメン中
で熱分解を行なって求めた値である。また、%は重量
%、部は重量部を表す。 PPO−A:前記化10で示したポリメリックペルオキ
シドである。但し、n=10、T10=63.2℃(ベ
ンゼン中) PPO−B:前記化21で示したポリメリックペルオキ
シドである。但し、n=15、T10=64℃(クメン
中) PPO−C:前記化19で示したポリメリックペルオキ
シドである。但し、n=20、T10=64℃(クメン
中) PPO−D:前記化16で示したポリメリックペルオキ
シドである。但し、n=15、T10=80.4℃(ク
メン中) PPO−E:前記化14で示したポリメリックペルオキ
シドである。但し、n=5、T10=91℃(クメン
中) MMA:メタクリル酸メチル St:スチレン AN:アクリロニトリル DMAAm:ジメチルアクリルアミド ファ−ネスブラック(比表面積、79.6m2 /g;O
H基、0.02meq/g) チャンネルブラック(比表面積、906m2 /g;OH
基、0.24meq/g)アセチレンブラック(比表面
積、65m2 /g;OH基、0.24meq/g) (実施例1) (1)ペルオキシ基含有カーボンブラックの合成 温度計、攪拌機及び還流冷却器を備えた反応器に、フィ
ルブラックOを10部、PPO−Eを50部、トルエン
を3500部導入し、窒素ガスを吹き込みながら70℃
に加熱した。これに、さらに窒素ガスの吹き込みを継続
しながら攪拌を続け、10時間熱分解反応を行った。冷
却後、反応溶液を遠心分離管に移し、12000rp
m、1時間の遠心分離操作により、カーボンブラックを
完全に沈澱させて取り出し、乾燥してペルオキシ基含有
カーボンブラックを得た。その活性酸素量を測定したと
ころ、31×10-6mol/g であった。 (2)カーボンブラックへのグラフト重合 次に、温度計、攪拌機及び還流冷却器を備えた反応器
に、先のペルオキシ基含有カーボンブラック10部、S
t100部からなる混合液を仕込んで、窒素ガスを吹き
込みながら70℃に加熱し、攪拌しながら2時間グラフ
ト重合を行った。
【0044】冷却後、反応溶液にトルエン300部を加
えて希釈した。希釈溶液を遠心分離管に移し、1200
0rpm、1時間の遠心分離操作により、カーボンブラ
ックを完全に沈澱させて取り出した。十分に乾燥後、ト
ルエンにてソックスレー抽出を行ない、未反応のSt及
び遊離ポリスチレンを除去した。この操作の後に、次の
式によってグラフト率を求めた。
【0045】グラフト率=(反応後のカーボンブラック
の重量−反応前のカーボンブラックの重量)/(反応前
のカーボンブラックの重量)×100 この結果、グラフト率は51%という良好な結果が得ら
れた。 (比較例1)前記従来法におけるペルオキシエステル基
含有アゾ化合物〔4,4’−アゾビス(4−シアノバレ
リル)−ビス−(t−ブチル)ジペルオキシド、以下A
POと略す〕を用いた反応を行なった。 (1)ペルオキシ基含有カーボンブラックの合成 PPO−Eの代わりにAPOを用いた以外は、実施例1
と同じ条件で合成した。 (2)カーボンブラックへのグラフト化反応 上記(1)で得られたペルオキシエステル基含有カーボ
ンブラックを用いた以外は、実施例1と同じ条件でカー
ボンブラックへのグラフト重合を行なった。その結果、
グラフト率は24%であった。 (比較例2)ペルオキシエステル基含有カーボンブラッ
クの合成において、熱分解温度を90℃、反応時間を5
時間(ペルオキシ結合の熱分解率:5%に相当)に変え
た以外は、実施例1と同じ反応を行なった。グラフト化
反応時のグラフト率は7%であった。 (比較例3)ペルオキシエステル基含有カーボンブラッ
クの合成において、熱分解温度を105℃、反応時間を
10時間(ペルオキシ結合の熱分解率:93%に相当)
に変えた以外は、実施例1と同じ反応を行なった。グラ
フト化反応時のグラフト率は3%であった。
【0046】実施例1及び比較例1〜3の結果から明ら
かなように、従来技術やこの発明の範囲外の条件に比較
して、この発明の実施例1では、グラフト化反応におい
て優れたグラフト率が達成されることが示された。 (実施例2〜5及び比較例4) (1)ペルオキシ基含有カーボンブラックの合成 下記表1に示す種類と量のポリメリックペルオキシド又
はAPOを重合開始剤として用い、またカーボンブラッ
クとしてネオスペクトラIIを用い、表1に示した混合溶
液により、表1の条件で熱分解反応を行なった。その他
の操作は実施例1と同じである。反応結果を表1に併せ
て示す。 (2)カーボンブラックへのグラフト化反応 上記(1)で得たペルオキシ基含有カーボンブラックを
用い、Stの代わりにMMAを用いる以外は実施例1に
従って行った。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】この結果から、この発明の実施例2〜5で
は比較例4に比べ、優れたグラフト率が達成されること
が明らかとなった。 (実施例6〜9及び比較例5)この発明の方法により、
疎水度、親水度の異なるビニルポリマーのグラフト化反
応を行った。 (1)ペルオキシ基含有カーボンブラックの合成 重合開始剤にPPO−E又はAPOを用い、表2に示し
た混合溶液により、表2の条件で熱分解反応を行った。
その他の操作は実施例1と同じである。反応結果を表2
に併せて示す。 (2)カーボンブラックへのグラフト化反応 上記(1)で得たペルオキシ基含有カーボンブラックを
用い、表2に示す各ビニルモノマーを用いる以外は実施
例1に従った。反応結果を表2に併せて示す。
【0049】
【表2】
【0050】この結果から、この発明の実施例6〜9で
は比較例5に比べ、優れたグラフト率が達成されること
が明らかとなった。以上のように、この発明の各実施例
によれば、1分子中にペルオキシ基が連鎖してなるポリ
メリックペルオキシドをカーボンブラックの存在下で適
切な熱分解を行うことにより、ペルオキシ化合物の残存
量を抑制しながらペルオキシ結合含有カーボンブラック
が得られる。その上、カーボンブラック表面に導入され
たペルオキシエステル基の分解も抑制される。従って、
このカーボンブラックにビニルモノマーをグラフト重合
するグラフト化反応においてグラフト率が高い。このよ
うに、精製プロセスを経ない簡便な方法でグラフトポリ
マーを製造することができる。
【0051】加えて、この発明ではラジカル重合法を採
用しているため、グラフト化反応に用いるビニルモノマ
ーとして各種のラジカル重合性のビニルモノマーを使用
できる。そして、カーボンブラック表面に導入されたペ
ルオキシエステル結合により、多種類のビニルモノマー
を重合できるため、幅広い種類のビニルポリマーをカー
ボンブラックにグラフト化できる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明のグラフ
ト化ビニルポリマーの製造方法によれば、カーボンブラ
ック表面へのビニルポリマーのグラフト化において優れ
たグラフト化効率が得られるとともに、グラフト化反応
に用いるビニルモノマーの制約が少なく、しかもグラフ
ト化ビニルポリマーを簡易に製造できるという優れた効
果を奏する。そして、得られたグラフト化ビニルポリマ
ーは高分子材料への着色剤、導電性付与剤、トナー原料
などとして極めて有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1、化5又は化6で示されるポリ
    メリックペルオキシドをカーボンブラックの存在下で、
    当該ポリメリックペルオキシドに含有されるペルオキシ
    結合の10〜80%が熱分解する条件で熱分解すること
    により、カーボンブラック表面にペルオキシ結合を導入
    し、次いでビニルモノマーの存在下でカーボンブラック
    表面のペルオキシ結合を熱分解し、カーボンブラック表
    面にビニルポリマーをグラフト化することを特徴とする
    グラフト化ビニルポリマーの製造方法。 【化1】 式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、置換アル
    キレン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基、置換
    シクロアルキレン基、フェニレン基又は置換フェニレン
    基を表す。また、R2 は炭素数2〜10のアルキレン
    基、置換アルキレン基、化2で示される基、化3で示さ
    れる基又は化4で示される基を表す。nは3〜30の整
    数を示す。 【化2】 式中、R3 は水素原子又はメチル基、R4 は炭素数2〜
    10のアルキレン基又は置換アルキレン基である。mは
    1〜13の整数を示す。 【化3】 【化4】 【化5】 式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、置換アル
    キレン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基、置換
    シクロアルキレン基、フェニレン基又は置換フェニレン
    基を表す。また、R5 はエチレン基、フェニレン基又は
    アセチレン基を表す。nは3〜30の整数を示す。 【化6】 式中、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基、置換アル
    キレン基、炭素数3〜15のシクロアルキレン基、置換
    シクロアルキレン基、フェニレン基又は置換フェニレン
    基を表す。nは3〜30の整数を示す。
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