JPH05295052A - グラフト化ビニルポリマーの製造方法 - Google Patents

グラフト化ビニルポリマーの製造方法

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JPH05295052A
JPH05295052A JP10491792A JP10491792A JPH05295052A JP H05295052 A JPH05295052 A JP H05295052A JP 10491792 A JP10491792 A JP 10491792A JP 10491792 A JP10491792 A JP 10491792A JP H05295052 A JPH05295052 A JP H05295052A
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JP
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group
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inorganic fine
vinyl monomer
vinyl
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JP10491792A
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English (en)
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Norio Tsubokawa
紀夫 坪川
Yoshihiro Oshibe
義宏 押部
Hiroshi Omura
博 大村
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NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無機微粒子へのビニルポリマーのグラフト効
率を向上させることができるとともに、重合反応の制御
が容易で、重合反応に用いるビニルモノマーの制約が少
ないグラフト化ビニルポリマーの製造方法を提供する。 【構成】 無機微粒子の表面に常法により導入されたペ
ルオキシ基又はアゾ基を重合開始剤として、ペルオキシ
カーボネート基を有する特定構造のビニルモノマーと、
これと共重合性を有するビニルモノマーとが90℃以下
の重合温度で共重合され、側鎖にペルオキシカーボネー
ト基を有するビニルポリマーが無機粒子表面にグラフト
重合される。次に、無機微粒子表面のグラフト鎖に含有
されるペルオキシカーボネート基を重合開始剤として、
90℃を越える温度でビニルモノマーが重合され、無機
微粒子表面にビニルポリマーがグラフトされることによ
り、グラフト化ビニルポリマーが製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子材料の改質材、
高分子材料との複合材、さらには磁性付与材や磁性流体
等として利用される無機微粒子について、その表面に種
々のビニルポリマーを効率良くグラフト化できるグラフ
ト化ビニルポリマーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種無機微粒子を磁性付与材として利用
する場合や、高分子材料の改質材、高分子材料との複合
材として利用する場合、無機微粒子が有機溶剤や各種の
有機材料、各種高分子材料中でより均一に分散すること
が求められる。この分散性を向上させるには、無機微粒
子間に働く結合力を小さくするか、あるいは分散媒との
親和性を良くする必要がある。
【0003】この手段として、無機微粒子表面に分散媒
と親和性の良いポリマー鎖をグラフトすることが有効な
方法である。例えばポリマージャーナル、第22巻、8
27頁(1990)に記載されているように、ペルオキ
シ基又はアゾ基を無機微粒子の表面に導入し、このラジ
カル重合開始基を利用してビニルポリマーをグラフト重
合することが知られている。
【0004】また、高分子学会予稿集、第40巻、16
86頁(1991)に記載されるように、ペンダントに
COOK基やCO+ ClO4 - 基を持つポリマーを無機
微粒子表面にグラフトしておき、さらにこのグラフト鎖
を足場としてCOOK基を重合開始基としてアニオン重
合するか、あるいはCO+ ClO4 - 基を重合開始基と
してカチオン重合をすることにより、無機微粒子表面へ
のポリマーのグラフト量を増加させて無機微粒子の分散
性を向上させることが検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法は、目的とする用途によってポリマーのグラフト量
が不足して十分な分散性が発現できない場合もあり、ビ
ニルポリマーのグラフト効率をさらに向上させることが
求められていた。
【0006】また、後者の方法は、ポリマーのグラフト
量を増加させる方法として有用な反面、カチオン重合法
あるいはアニオン重合法によるため、pH、濃度、温度
などの反応条件の調整が複雑で、反応の制御が煩雑であ
ったり、重合可能なモノマーが制約を受けるという問題
があった。
【0007】本発明はこれら従来の問題に着目してなさ
れたものであって、その目的は無機微粒子へのビニルポ
リマーのグラフト効率を向上させることができるととも
に、重合反応の制御が容易で、重合反応に用いるビニル
モノマーの制約が少ないグラフト化ビニルポリマーの製
造方法を提供することにある。
【0008】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに、本発明のグラフト化ビニルポリマーの製造方法で
は、無機微粒子の表面に導入されたペルオキシ基又はア
ゾ基を重合開始剤として、前記化1又は化2で示される
ペルオキシカーボネート基を有するビニルモノマーと同
ビニルモノマーに対し共重合性を有するビニルモノマー
とを90℃以下の温度でラジカル重合して、側鎖にペル
オキシカーボネート基を有するビニルポリマーを前記無
機微粒子の表面にグラフト重合し、さらに90℃を越え
る温度で当該無機微粒子表面のグラフト鎖に含有される
ペルオキシカーボネート基を重合開始剤として目的とす
るビニルモノマーをラジカル重合することを特徴として
いる。
【0009】次に、本発明の各構成要件について詳細に
説明する。まず、本発明で使用される無機微粒子につい
て説明する。この無機微粒子はその表面に、重合開始基
であるペルオキシ基又はアゾ基を導入できる反応性基を
有する限り特に限定されない。例えば、シリカ、酸化チ
タン、フェライト類、カーボンブラック等が対象とな
る。またその粒子径の制約もなく、数nmの超微粒子か
ら数100μmオーダーの比較的粒子径の大きいものま
で幅広く対象とされる。
【0010】次に、この無機微粒子表面にペルオキシ基
含有ビニルポリマーをグラフト共重合する方法について
説明する。無機微粒子表面へのペルオキシ基又はアゾ基
の導入については、公知の方法に従って行われる。例え
ば、ポリマージャーナル、第22巻、827頁(199
0)に記載される方法によって、アゾ基をシリカ、酸化
チタン、フェライト等の表面に導入できる。すなわち、
無機微粒子表面に存在するOH基を反応点とし、下記の
化3及び化4に示した反応式に従って導入される。
【0011】
【化3】
【0012】但し、Mは無機微粒子を表す。
【0013】
【化4】
【0014】次に、無機微粒子表面へのペルオキシ基含
有ビニルポリマーのグラフト化反応によるグラフト化ビ
ニルポリマーの製造方法について説明する。グラフト化
ビニルポリマーは、前記のような方法で準備した、表面
にペルオキシ基又はアゾ基を有する無機微粒子の存在下
で、当該ペルオキシ基又はアゾ基を重合開始源とする条
件下で、目的とするビニルポリマーを構成し、かつ化1
又は2で示される化合物と、これと共重合性を有するビ
ニルモノマーとのラジカル共重合反応によって合成され
る。化1、2の化合物の配合割合は、共重合性のビニル
モノマー100重量部に対し、1〜100重量部が好ま
しい。1重量部未満では、次段階で行なうビニルポリマ
ーのグラフト化反応において、グラフト効率の向上が良
好とは言えないため好ましくない。100重量部を越え
てもビニルポリマーのグラフト効率は一定値以上の改善
は見られず、製造コストが上昇する問題があり好ましく
ない。
【0015】前記化1又は化2で示されるビニルモノマ
ーとしては、0.02mol/l濃度のクメン中で熱分
解により求めた10時間半減期温度が100〜105
℃、活性化エネルギーが32〜35kcal/molの
範囲にあるものが好適である。ビニルポリマーに導入さ
れたペルオキシカーボネート基の熱分解を抑制するため
に、90℃以下の温度で重合することが必要である。重
合時間は、重合温度が80〜90℃の場合は12時間以
内、80℃未満の場合は15時間以内とすることがペル
オキシカーボネート基の熱分解を抑制するため及び経済
性のために好ましい。
【0016】本発明に用いられる重合方法としては、従
来公知の溶液重合法、塊状重合法等が採用される。特
に、グラフト化するペルオキシ基含有ビニルポリマーの
良溶剤中又は当該ビニルポリマーを溶解するビニルモノ
マー中で重合することが好ましい。
【0017】本発明において化1で示されるペルオキシ
カーボネート基を有するビニルモノマーとしては、t−
ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネー
ト、t−アミルペルオキシアクリロイロキシエチルカー
ボネート、t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエ
チルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイ
ロキシエチルカーボネート、t−アミルペルオキシメタ
クリロイロキシエチルカーボネート、t−ヘキシルペル
オキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブ
チルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボ
ネート、t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエト
キシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタク
リロイロキシエトキシエチルカーボネート、t−ヘキシ
ルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカーボ
ネート等があげられる。
【0018】また、化2で示されるペルオキシカーボネ
ート基を有するビニルモノマーとしては、t−ブチルペ
ルオキシアリルカーボネート、t−アミルペルオキシア
リルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシアリルカー
ボネート、t−ブチルペルオキシメタリルカーボネー
ト、t−アミルペルオキシメタリルカーボネート、t−
ヘキシルペルオキシメタリルカーボネート等があげられ
る。
【0019】上記化1又は化2で示されるビニルモノマ
ーのうち、t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチ
ルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイロ
キシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリル
カーボネート、t−ブチルペルオキシメタリルカーボネ
ートが好適に使用される。
【0020】本発明で使用される共重合性のビニルモノ
マーは、前記化1又は化2の化合物と共重合性があれば
よく、グラフト化無機微粒子が利用される用途に応じて
適宜選択される。すなわち、水溶性ポリマーを形成する
親水性ビニルモノマーから、疎水性ポリマーを形成する
疎水性ビニルモノマーまで幅広く選択される。
【0021】例えば、化1のビニルモノマーと共重合性
を有するビニルモノマーとしては、アクリル酸メチル及
び/又はメタクリル酸メチル〔以下(メタ)アクリル酸
メチルと総称する。以下同様〕、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)ア
クリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジ
ル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、
(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)ア
クリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロ
ヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アク
リル酸−N, N−ジメチルアミノエチル等の(メタ)ア
クリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエ
チルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル
エステル、(メタ)アクリル酸−3−クロル−2−ヒド
ロキシプロピルエステルのような(メタ)アクリル酸の
ヒドロキシエステル、(メタ)アクリル酸トリエチレン
グリコールエステル、(メタ)アクリル酸ジプロピレン
グリコールエステルのような(メタ)アクリル酸のポリ
エチレングリコールやポリプロピレングリコールのエス
テル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン
などの芳香族ビニル型モノマー、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリ
ロイルモルホリン、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸等のアミド基含有ビニル系モノマー、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸等があげられる。これ
らのビニルモノマーは単独で使用しても良く、また2種
以上を共重合成分として併用しても良い。
【0022】また、化2のビニルモノマーと共重合性を
有するビニルモノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカル
ボン酸ビニルエステルや塩化ビニルのような非共役型ビ
ニルモノマーがあげられる。これらモノマーは、1種又
は2種以上を併用して使用しても良い。
【0023】次に、前記の方法で得た、グラフト鎖とし
てペルオキシ基含有ビニルポリマーを有する無機微粒子
を用い、ビニルポリマー中のペルオキシ基を重合開始剤
としてさらにビニルモノマーをグラフト化する方法を説
明する。
【0024】このグラフト化反応において、ペルオキシ
基含有ビニルポリマーがグラフト化された微粒子は、前
記重合系内から一旦単離した後用いてもよく、前記重合
系内に存在させたまま継続して使用しても良い。また、
微粒子表面のペルオキシ基含有ビニルポリマーとグラフ
ト化するポリマーとに対する良溶剤中で行なうことが適
切である。ペルオキシ基含有ビニルポリマーがグラフト
化された微粒子とビニルモノマーの仕込み条件は特に制
約を受けず、目的により適宣設定される。
【0025】グラフト化反応は、グラフト効率面、経済
性の点から、90℃以上で行なうことが好ましく、10
0〜130℃の範囲で行なうのがさらに好適である。9
0℃未満の温度では、反応に長時間を要し、またグラフ
ト効率も低下する傾向を示す。また、130℃を越えて
もグラフト効率が低下する傾向を示す。
【0026】グラフト化反応で使用されるビニルモノマ
ーは限定がなく、目的により幅広く選択される。例え
ば、前記のような各種のビニルモノマーが使用できる。
また、ペルオキシ基含有ビニルポリマーのグラフト化反
応時の重合転化率があまり高くない場合、残存ビニルモ
ノマーを単離せずに90℃以上に昇温してそのまま重合
を継続することもできる。この場合、前記化1、2のビ
ニルモノマーも重合反応に使用されることになるが、ビ
ニルモノマー100重量部に対し化1又は2の化合物が
30重量部以下であれば実質的に弊害が生じない。さら
に、目的とするビニルモノマーを重合系内に追加後、9
0℃以上に昇温して重合することも好ましい方法であ
る。
【0027】本発明のグラフト化反応時のグラフト効
率、グラフト率は、公知の方法で測定ができる。例え
ば、ポリマージャーナル第22巻、827頁(199
0)に記載されているように、所定量の反応物又は反応
溶液を、グラフト化反応に使用したビニルポリマーの良
溶剤で希釈調整後、グラフト化された無機微粒子が完全
に分離するまで遠心分離操作を行う。次いで、取り出し
たグラフト化無機微粒子を乾燥し、さらにソックスレー
抽出を行なうことで求めることが出来る。
【0028】
【作用】無機微粒子の表面には、常法に従ってペルオキ
シ基又はアゾ基が導入され、この無機微粒子表面のペル
オキシ基又はアゾ基を重合開始剤として、前述の化1又
は化2で示されるペルオキシカーボネート基を有する特
定のビニルモノマーと、これと共重合性を有するビニル
モノマーとが90℃以下の低い重合温度でラジカル重合
される。そして、側鎖にペルオキシカーボネート基を有
するビニルポリマーが無機粒子表面にグラフト化され
る。
【0029】この重合反応は90℃以下の低温で行われ
るため、ペルオキシカーボネート基を有するビニルモノ
マーの分解が抑制され、次段階の重合開始剤となるペル
オキシカーボネート基が効率良く残存する。また、この
重合はラジカル重合により容易かつ円滑に行われる。
【0030】次に、無機微粒子表面のグラフト鎖に含有
されるペルオキシカーボネート基を重合開始剤として、
90℃を越える温度でビニルモノマーがラジカル重合さ
れる。そして、無機微粒子表面にビニルポリマーがグラ
フトされ、グラフト化ビニルポリマーが製造される。こ
の重合反応においては、無機微粒子表面のグラフト鎖に
含有されるペルオキシカーボネート基を利用してグラフ
ト化が効率良く行われる。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明する。各例において用いたペルオキシカーボネ
ート基を有するビニルモノマーの略号、重合に用いたビ
ニルモノマーの略号、グラフト化反応に用いた無機微粒
子の特性を以下に示す。なお、各例において、%は重量
%、部は重量部を表す。 MEC:t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチ
ルカーボネート AEC:t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチル
カーボネート AC:t−ブチルペルオキシアリルカーボネート MMA:メタクリル酸メチル St:スチレン AN:アクリロニトリル DMAAm:ジメチルアクリルアミド VAc:酢酸ビニル シリカ:平均粒子径=16nm、比表面積=200m2
/g、OH基=1.37mmol/g(日本エアロジル
株式会社製 Aerosil 200) 酸化チタン:平均粒子径=120nm、比表面積=90
〜150m2 /g、OH基=0.77mmol/g(チ
タン工業K.K.製STT−30) フェライト:平均粒子径15nm、比表面積=110m
2 /g、OH基=0.50mmol/g(住友セメント
株式会社製Ultrafine nickelzinc
ferrite) (参考例1)ポリマージャーナル、第22巻、827頁
(1990)記載の方法に従って、無機微粒子としてシ
リカ、酸化チタン、フェライトを用い、その表面にアゾ
基を導入した。反応は次のように進めた。
【0032】温度計、攪拌機及び還流冷却器を備えた反
応器に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
5部、前記各無機微粒子10部、トルエン95部を仕込
み、110℃に加熱して同温度で8時間攪拌した。反応
後無機微粒子を取り出してメタノールを用いたソックス
レー抽出を行なって未反応物を除去し、グリシドキシ基
の導入された無機微粒子を得た。
【0033】次に、前記無機微粒子9部、4,4’−ア
ゾビス(4−シアノペンタン酸)1.5部、α−ピコリ
ン0.2部、DMSO150部を前記反応器に仕込み、
50℃にて5時間反応を行なった。反応後、各無機微粒
子をメタノールで洗浄し、さらに25℃で減圧乾燥して
アゾ基を導入した無機微粒子を得た。
【0034】アゾ基の導入量は、各無機微粒子について
元素分析による窒素量から算出した。その結果、シリカ
表面のアゾ基量は0.07mmol/g、酸化チタン表
面のアゾ基量は0.05mmol/g、フェライト表面
のアゾ基量は0.03mmol/gであった。
【0035】以下、前記で得たアゾ基含有無機微粒子を
それぞれ、アゾシリカ、アゾ酸化チタン、アゾフェライ
トと称する。 (実施例1) (1)ペルオキシ基含有ビニルポリマーのグラフト化反
応 温度計、攪拌機および還流冷却器を備えた反応器を、窒
素ガスを吹き込みながら80℃に加熱し、アゾシリカ5
部、St16部、MEC4部、トルエン25部からなる
混合溶液を仕込んで10時間ラジカル重合を行なった。
ガスクロマトグラム(以下、GCという)で残存St
量、MEC量を測定した結果、重合転化率は45%であ
った。
【0036】冷却後、反応容液にトルエン150部を加
えて希釈した。希釈溶液を遠心分離管に移し、1200
0rpm、1時間の遠心分離操作により、ポリマーのグ
ラフト化されたシリカを完全に沈殿させて取り出した。
その後、トルエン200部中にシリカを投入し50℃に
て3時間浸漬して未反応のビニルポリマー及びモノマー
を除去した。この操作を2回繰り返した後25℃で減圧
乾燥し、次式によりグラフト率を求めた。
【0037】グラフト率=(反応後の無機微粒子重量−
反応前の無機微粒子重量)/(反応前の無機微粒子重
量)×100 この結果、グラフト率は32%であった。 (2)グラフト化ビニルポリマーからのビニルモノマー
の2次グラフト化反応前記(1)と同じ反応装置に、前
記(1)で得たグラフト化シリカ5部、St20部、ト
ルエン25部を仕込んで110℃で10時間ラジカル重
合反応を行なった。
【0038】反応終了後、前記(1)と同じ方法により
グラフト率を求めたところ45%であることが示され
た。この結果から、アゾシリカ((1)のグラフト化反
応前のシリカ)を基準にしたビニルポリマーのグラフト
効率を次式に従って求めた。
【0039】グラフト効率=(反応前のアゾシリカの重
量−反応後のアゾシリカの重量)/(反応前のアゾシリ
カの重量)×100 その結果、グラフト効率は、91%と非常に良好である
ことが示された。 (実施例2)実施例1の(1)と同じ反応の終了後、引
き続き110℃に昇温しさらに10時間ラジカル重合反
応を継続した。Stの重合転化率は96%であった。
【0040】実施例1と同じ方法によりグラフト効率を
算出したところ、78%という良好な値が得られた。 (比較例1)実施例1と同じ反応装置に、アゾシリカ5
部、St20部、トルエン25部を仕込んで80℃にて
10時間、さらに110℃で10時間重合反応を行なっ
た。Stの重合転化率は49%であった。
【0041】実施例1と同じ方法により求めたグラフト
効率は38%であった。 (比較例2)実施例2における第2段の重合温度110
℃を87℃に変えた以外は、全て実施例2と同じ条件で
重合を行なった。この結果、グラフト効率は42%であ
った。
【0042】上記のように、実施例1、2では優れたグ
ラフト効率が容易な操作により達成された。これに対
し、前記化1又は2のビニルモノマーを用いない従来法
の場合(比較例1)や第2段の重合温度が90℃以下の
本発明の範囲外の場合(比較例2)では、グラフト効率
は極度に低下した。 (実施例3) (1)ペルオキシ基含有ビニルポリマーのグラフト化反
応 実施例1で使用した反応器に窒素ガスを吹き込みながら
75℃に加熱し、アゾフェライト5部、VAc35部、
AC5部、酢酸エチル75部からなる混合溶液を仕込ん
で8時間ラジカル重合を行なった。重合転化率は70%
であった。
【0043】次いで、実施例1のトルエンの変わりに酢
酸エチルを使用した以外は、実施例1と同様の方法によ
りグラフト効率を求めた。その結果、グラフト効率は2
8%であることが示された。 (2)グラフト化ビニルポリマーからのビニルモノマー
の2次グラフト化反応 前記(1)で得たグラフト化フェライト5部、MMA2
0部、酢酸エチル25部をオートクレーブ中に仕込んで
120℃で5時間ラジカル重合反応を行なった。
【0044】反応終了後、前記(1)と同じ方法により
グラフト率を求めたところ41%であることが示され
た。この結果から、アゾフェライト((1)のグラフト
化反応前のフェライト)を基準にしたビニルポリマーの
グラフト効率は、79%と非常に良好であることが示さ
れた。 (比較例3)実施例1と同じ反応装置に、アゾフェライ
ト5部、VAc40部、酢酸エチル75部からなる混合
溶液を仕込んで15時間重合を行なった。重合転化率は
75%であった。
【0045】次いで、実施例1のトルエンの代わりに酢
酸エチルを使用した以外は、実施例1と同じ方法により
グラフト効率を求めた。その結果、グラフト効率は30
%であることが示された。
【0046】上記のように、実施例3では良好なグラフ
ト効率が達成されたのに対し、前記化1又は2のビニル
モノマーを用いない従来法の場合(比較例3)、グラフ
ト効率は低いものであった。 (実施例4〜7、比較例4〜6)下記表1,2に示す種
類と量のアゾ無機微粒子、ペルオキシカーボネート基を
有するビニルポリマー、各種ビニルモノマーをメチルセ
ロソルブ中に仕込みグラフト化反応を行なった。重合条
件、重合結果を表1,2に併せて示す。尚、グラフト効
率は重合に使用した溶剤を用い、実施例1と同様の方法
で測定した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表1及び表2の結果から、実施例4〜7で
は優れたグラフト効率が得られた。一方、前記化1又は
2のビニルモノマーを用いない場合(比較例4〜6)、
グラフト効率は低いものであった。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ペ
ルオキシカーボネート基を有する特定構造のビニルモノ
マーを用い、所定の重合温度で段階的に重合を行うこと
から、無機微粒子表面へのビニルポリマーのグラフト効
率を向上させることができるとともに、重合をラジカル
重合法により行うことから、重合反応の制御が容易で、
ビニルポリマーの制約が少ないという優れた効果を奏す
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機微粒子の表面に導入されたペルオキ
    シ基又はアゾ基を重合開始剤として、下記化1又は化2
    で示されるペルオキシカーボネート基を有するビニルモ
    ノマーと同ビニルモノマーに対し共重合性を有するビニ
    ルモノマーとを90℃以下の温度でラジカル重合して、
    側鎖にペルオキシカーボネート基を有するビニルポリマ
    ーを前記無機微粒子の表面にグラフト重合し、さらに9
    0℃を越える温度で当該無機微粒子表面のグラフト鎖に
    含有されるペルオキシカーボネート基を重合開始剤とし
    て目的とするビニルモノマーをラジカル重合することを
    特徴とするグラフト化ビニルポリマーの製造方法。 【化1】 式中、R1 ,R2 は水素原子又はメチル基、R3 は炭素
    数1〜5のアルキル基を示す。pは1又は2である。 【化2】 式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 は炭素数1〜
    5のアルキル基、R4は水素原子又は炭素数1〜4のア
    ルキル基を示す。qは0、1又は2である。
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