JPH05247152A - グラフト化ビニルポリマーの製造方法 - Google Patents

グラフト化ビニルポリマーの製造方法

Info

Publication number
JPH05247152A
JPH05247152A JP4573692A JP4573692A JPH05247152A JP H05247152 A JPH05247152 A JP H05247152A JP 4573692 A JP4573692 A JP 4573692A JP 4573692 A JP4573692 A JP 4573692A JP H05247152 A JPH05247152 A JP H05247152A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl polymer
polymer
carbon black
vinyl
peroxyketal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4573692A
Other languages
English (en)
Inventor
Norio Tsubokawa
紀夫 坪川
Yoshihiro Oshibe
義宏 押部
Yasushi Sugihara
靖 杉原
Shuji Suyama
修治 須山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
Nippon Oil and Fats Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Oil and Fats Co Ltd filed Critical Nippon Oil and Fats Co Ltd
Priority to JP4573692A priority Critical patent/JPH05247152A/ja
Publication of JPH05247152A publication Critical patent/JPH05247152A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 反応の制御が容易で、ビニルモノマーの制約
が少なく、しかもカーボンブラック表面に種々のビニル
ポリマーを、良好なグラフト化効率を達成しながらグラ
フト化を行うことができるグラフト化ビニルポリマーの
製造方法を提供する。 【構成】 特定構造のペルオキシケタールを重合開始剤
として、当該ペルオキシケタールの0.05mol/l
濃度におけるクメン中の熱分解速度を基準として、その
75〜99%が熱分解する条件でビニルモノマーを重合
してペルオキシエステル結合を有するビニルポリマーを
合成する。次いで、カーボンブラックの存在下で前記ビ
ニルポリマー中のペルオキシエステル基を熱分解し、カ
ーボンブラック表面にビニルポリマーをグラフトするこ
とにより、グラフト化ビニルポリマーが製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子材料への着色剤
や導電性付与剤、またトナー原料として利用されるカー
ボンブラックについて、その表面に種々のビニルポリマ
ーを効率良くグラフト化できるグラフト化ビニルポリマ
ーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラックをトナー原料、あるい
は高分子材料の着色剤や導電性付与剤としての利用する
場合、カーボンブラックをトナーバインダーや各種高分
子材料中でより均一に分散させることが求められる。こ
の分散性を向上させるには、カーボンブラック粒子間に
働く結合力を小さくするか、あるいは分散媒との親和性
を良くする必要がある。
【0003】この手段として、カーボンブラック表面に
分散媒と親和性の良いポリマー鎖をグラフトすることが
有効な方法である。例えば、ペルオキシ基又はアゾ基を
含有するポリマー(以下、グラフト化前駆体と称する)
を合成し、次いでカーボンブラックの存在下で、グラフ
ト化前駆体を熱分解してポリマーラジカルを発生させ、
カーボンブラック表面のラジカル捕捉能を利用してグラ
フト化させる方法が知られている。
【0004】このグラフト化前駆体の合成法として、芳
香環にクロロメチル基を有するベンゾイルペルオキシド
誘導体と過塩素酸銀の組合せを開始源とするカチオン重
合による方法が知られている〔高分子学会予稿集、第4
0巻、2567頁(1991)に記載〕。
【0005】また、アゾ基とペルオキシ基の両官能基を
もつ化合物を重合開始剤とし、アゾ基の熱分解する温度
でビニルモノマーをラジカル重合する方法が知られてい
る〔高分子学会予稿集、第40巻、381頁(199
1)に記載〕。
【0006】これらの方法は簡便で実用的な方法であ
り、グラフト率が改良されることが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法はカチオン重合法のため、反応の制御が煩雑であっ
たり、合成可能なビニルモノマーが制約を受けるという
問題があった。
【0008】また、後者の方法はアゾ基のラジカル重合
開始効率が低いことに起因し、グラフト化前駆体の合成
段階で、ポリマー鎖に結合されずアゾ基のみ分解したペ
ルオキシ基含有化合物が副生しやすい。この副生物を除
去せずにグラフト化反応を行なうと、グラフト化効率が
低下するという問題がある。そのため、グラフト化前駆
体の精製を要するという問題があった。
【0009】本発明はこれらの問題点を解消するために
なされたものであって、その目的は重合反応の制御が容
易で、ビニルポリマーの精製が不要であり、重合反応に
用いるビニルモノマーの制約が少なく、かつカーボンブ
ラック表面へのビニルポリマーのグラフト化を良好なグ
ラフト化効率をもって行うことが可能なグラフト化ビニ
ルポリマーの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、前記化1又は化2で示されるペルオキ
シケタールを重合開始剤として、当該ペルオキシケター
ルの0.05mol/l濃度におけるクメン中の熱分解
速度を基準として、その75〜99%が熱分解する条件
でビニルモノマーを重合してペルオキシエステル結合を
有するビニルポリマーを合成し、次いでカーボンブラッ
クの存在下で前記ビニルポリマー中のペルオキシエステ
ル基を熱分解することにより、カーボンブラック表面に
ビニルポリマーをグラフトすることを特徴とするグラフ
ト化ビニルポリマーの製造方法をその要旨としている。
【0011】次に、本発明の各構成要件について説明す
る。まず、ペルオキシエステル基含有ビニルポリマーの
合成方法を説明する。本発明の前記化1又は化2で示さ
れるペルオキシケタールは、ビニルポリマー中にペルオ
キシエステル基を導入するための不可欠の重合開始剤と
して使用される。前記化1を例にとると、下記化3に示
すような反応機構によりペルオキシケタールが重合を開
始し、ペルオキシエステル基がポリマー主鎖中に導入さ
れると考えられる。
【0012】
【化3】
【0013】また、前記化2についても同様の反応機構
で重合が進行すると考えられる。上記重合プロセスにお
いて、ビニルモノマーの重合を開始する3級ペルオキシ
エステル基の10時間半減期温度は、ビニルポリマー主
鎖に導入されるペルオキシエステル基に比べて約5〜3
0℃低いという特徴を有する。このため、適切な重合条
件を設定することにより、ビニルポリマーに導入される
ペルオキシエステル基の分解を抑制しながら効率よく重
合を行い、ビニルポリマーを得ることができる。従っ
て、重合反応の制御が容易である。
【0014】また、ビニルモノマーの重合段階において
未反応のペルオキシケタール及びビニルモノマーの残存
量を抑制し、かつビニルポリマーに導入されるペルオキ
シエステル基の分解を抑制することができる。従って、
重合後にビニルポリマーの精製が不要となる。さらに、
カーボンブラックへのグラフト化反応におけるビニルポ
リマーのグラフト化効率を向上させることができる。
【0015】この条件を満たすために、本発明に用いら
れるペルオキシケタールの使用量は、ビニルモノマーに
対し、0.01〜5重量%が好ましい。0.01重量%
未満では未反応のビニルモノマ−が残存しやすく、また
5重量%を越えると未分解ペルオキシケタールが残存し
やすくなり、カーボンブラックへのグラフト化反応を阻
害する。
【0016】本発明における重合温度は、用いるペルオ
キシケタールの10時間半減期温度〔T10と称する、
単位:℃〕により異なり、(T10)〜(T10+1
5)℃の範囲が適切である。T10未満では、未反応の
ビニルモノマーと環状ペルオキシケタールが残存しやす
く、(T10+15)を越えるとビニルポリマーに導入
されたペルオキシエステル基が分解しやすくなる。
【0017】本発明では、当該ペルオキシケタールの
0.05mol/l濃度におけるクメン中の熱分解速度
を基準として、その75〜99%が熱分解する条件でビ
ニルモノマーを重合することが不可欠である。この値が
75%に満たない場合、未分解ペルオキシケタールの残
存量が高すぎて、カーボンブラックへのグラフト化反応
を阻害する。
【0018】また、99%を越えるとビニルポリマーに
導入されたペルオキシエステル基の分解が進みすぎ、グ
ラフト化反応時にグラフト化効率を低下させる。また、
化1の化合物においてR2 が水素原子からなる場合、他
の置換基を有する場合と比較してペルオキシケタールの
3級ペルオキシエステル基とビニルポリマー主鎖に導入
されるペルオキシエステル基の10時間半減期温度が接
近する。このため、重合時にビニルポリマー中のペルオ
キシ基が分解しやすくなるので、95%までに抑えるこ
とがより好ましい。
【0019】上記の理由から、重合時間(A)は、重合
温度におけるペルオキシケタールの熱分解速度を(B,
クメン中0.05mol/l濃度の値)、ペルオキシケ
タールの分解率を(C,クメン中0.05mol/l濃
度の値)とすると、A=(−ln(1−C))/Bから
なる関係式でCが0.75〜0.99の条件で求められ
る時間であることが好適である。
【0020】本発明に用いられる重合方法としては、従
来公知の懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等が採用
される。本発明のペルオキシエステル基含有重合体の合
成においては、従来のアゾ化合物と比べ、ペルオキシエ
ステル基の重合開始効率が非常に高いため、3級ペルオ
キシエステル基分解後ポリマー鎖に結合しないペルオキ
シエステル化合物が副生する確率が低い。この特性に加
えて、前記重合条件を満足することにより、特に精製を
必要としない簡便な方法でカーボンブラックのグラフト
化反応に供することが出来、しかも良好なグラフト化効
率を達成することが出来る。
【0021】本発明において、化1によって示されるペ
ルオキシケタールとしては、1, 1−ジ−t−ブチルペ
ルオキシシクロヘキサン、1, 1−ジ−t−ブチルペル
オキシ−3, 3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,
1−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキサン、1,1
−ジ−t−アミルペルオキシ−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルペルオキシ
シクロヘキサン、1,1−ジ−t−オクチルペルオキシ
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ
−t−ブチルペルオキシシクロデカン、1,1−ジ−t
−ブチルペルオキシシクロペンタン、1,1−ジ−t−
ブチルペルオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1
−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−イソプロピルシクロ
ヘキサン、1,1−ジ−t−アミルペルオキシ−2−イ
ソプロピルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペ
ルオキシ−2−イソブチルシクロヘキサン、1,1−ジ
−t−ヘキシルペルオキシー2ーt−ブチルヘクロヘキ
サン等があげられる。
【0022】また、化2によって示されるペルオキシケ
タールとしては、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチ
ルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス
(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシキロヘキシル)
プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ヘキシルペ
ルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス
(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシ
ル)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキ
シシクロヘキシル)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−
ヘキシルペルオキシシクロヘキシル)等があげられる。
【0023】本発明に使用されるビニルモノマーについ
ては、特に限定はなくグラフト化ビニルポリマーが利用
される用途に応じて適宜選択される。すなわち、水溶性
ポリマーを構成するような親水性ビニルモノマーから、
疎水度の高いポリマーを構成する疎水性ビニルモノマー
まで、幅広く選択することが出来る。
【0024】例えば、アクリル酸メチル及び/又はメタ
クリル酸メチル〔以下(メタ)アクリル酸メチルと総称
する。以下同様〕、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イ
ソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)
アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸-t- ブチル、(メタ)アクリル
酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−N, N
−ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステ
ル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステル、
(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、(メ
タ)アクリル酸−3−クロル−2−ヒドロキシプロピル
エステルのような(メタ)アクリル酸のヒドロキシエス
テル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールエス
テル、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコールエス
テルのような(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコ
ールやポリプロピレングリコールのエステル、スチレ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族
ビニル型モノマー、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニル
エステル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)ア
クリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等
のアミド基含有ビニル系モノマー、(メタ)アクリル
酸、イタコン酸等があげられる。これらのビニルモノマ
ーは単独で使用しても良く、また2種以上を共重合成分
として併用しても良い。
【0025】次に、前記の方法で得たペルオキシエステ
ル基含有ビニルポリマーを用いたカーボンブラックへの
グラフト化反応によるグラフト化ビニルポリマーの製造
方法ついて説明する。
【0026】このグラフト化反応は、カーボンブラック
とペルオキシエステル基含有ビニルポリマーとを加熱混
練する方法や、ペルオキシエステル基含有ビニルポリマ
ーを良溶剤に溶解後カーボンブラックを当該ポリマー溶
液に分散し撹拌しながら加熱する方法によって行われ
る。特に後者の方法は高グラフト化効率が得られる方法
として有用である。
【0027】前記後者の方法において、ポリマー溶液に
占めるペルオキシエステル基含有ビニルポリマーの濃度
は、当該ポリマーが溶解し、熱分解反応時の攪拌が可能
な限り制約を受けないが、作業性、経済性の面から1〜
70重量%が好適である。また、カーボンブラックの使
用量も特に限定はないが、前記と同じ理由により、ポリ
マー溶液100重量部に対し、0.5〜20重量部が好
適である。
【0028】グラフト化反応は、グラフト化効率面又は
経済性の点から、80℃以上で行なうことが好ましく、
90〜130℃の範囲で行なうのがさらに好適である。
80℃未満の温度では反応に長時間を要し、またグラフ
ト化効率も低下する傾向を示す。また、130℃を越え
てもグラフト化効率が低下する傾向を示す。
【0029】グラフト化反応では、ペルオキシエステル
基含有ビニルポリマー中のペルオキシエステル基のラジ
カル分解により、脱炭酸後アルコキシラジカルとポリマ
ー鎖に連結したアルキルラジカルが生成する。この際、
アルコキシラジカルによるカーボンブラック表面からの
水素引き抜き反応が優先して起こり、次いでカーボンブ
ラック表面に生成したラジカルとポリマー鎖に連結した
アルキルラジカルとがカップリングするために良好なグ
ラフト化効率が得られるものと推定される。
【0030】本発明で使用されるカーボンブラックには
特に制限はなく、製法の相違による分類ではチャンネル
ブラック、ファーネスブラック又はサーマルブラックが
使用され、また原料の相違による分類ではアセチレンブ
ラック等が使用される。
【0031】本発明のグラフト化反応時のグラフト化効
率、すなわちグラフト率(カーボンブラックに対するグ
ラフト化ビニルポリマーの割合)及びグラフト効率(ビ
ニルポリマーに対するグラフト化ビニルポリマーの割
合)は、公知の方法で測定ができる。例えば、ポリマー
ジャーナル第22巻、661頁(1990)に記載され
ているように、所定量の反応物又は反応溶液を、グラフ
ト化反応に使用したビニルポリマーの良溶剤で希釈調整
後、カーボンブラックが完全に分解するまで遠心分離操
作を行う。次いで、取り出したカーボンブラックを乾燥
し、さらにソックスレー抽出を行なうことで求めること
が出来る。
【0032】
【作用】前述の化1又は化2で示されるペルオキシケタ
ールを重合開始剤として、当該ペルオキシケタールの
0.05mol/l濃度におけるクメン中の熱分解速度
を基準として、その75〜99%が熱分解する条件下で
ビニルモノマーを重合することにより、ペルオキシエス
テル結合を有するビニルポリマーが合成される。このと
き、上記ペルオキシケタールはビニルポリマーに導入さ
れたペルオキシエステル基に比べて重合開始温度が低い
ため、ビニルポリマーに導入されたペルオキシ基の分解
が抑制された状態で重合が効率良く行われ、未反応のペ
ルオキシケタールやビニルモノマーの残存量が抑制され
る。
【0033】次に、カーボンブラックの存在下でこのビ
ニルポリマー中のペルオキシエステル基を熱分解するこ
とにより、カーボンブラック表面にビニルポリマーがグ
ラフトされ、グラフト化ビニルポリマーが製造される。
このとき、上述のように未反応のペルオキシケタールや
ビニルモノマーの残存量は少ないため、副生物の生成は
少なく、カーボンブラックへのビニルポリマーのグラフ
ト化効率が向上する。
【0034】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を具
体的に説明する。各例において用いたペルオキシケター
ルの略号と10時間半減期温度、重合に用いたビニルモ
ノマーの略号、グラフト化反応に用いたカーボンブラッ
クの特性を以下に示す。なお、10時間半減期温度は、
0.05mol/l濃度のクメン中で熱分解を行なって
求めた値である。ペルオキシケタールと、その熱分解に
よって生成するペルオキシエステル(ポリマー鎖に導入
されたペルオキシエステル結合に相当)の双方の値を示
す。なお、%は重量%、部は重量部を表す。 BuC:1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキ
サン ケタ−ル:92.4℃、ペルオキシエステル:98.4
℃ Bu3M:1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン ケタール:92.0℃、ペルオキシエステル:98.4
℃ BuMC:1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−2−メ
チルシクロヘキサン ケタール:85.0℃、ペルオキシエステル:98.4
℃ BuTA:2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペル
オキシシクロヘキシル)プロパン ケタ−ル:91.6℃、ペルオキシエステル:98.4
℃ BuTB:ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシ
クロヘキシル) ケタ−ル:91.5℃、ペルオキシエステル:98.4
℃ MMA:メタクリル酸メチル St:スチレン AN:アクリロニトリル DMAAm:ジメチルアクリルアミド ファ−ネスブラック(比表面積、79.6m2 /g;O
H基、0.02meq/g) チャンネルブラック(比表面積、906m2 /g;OH
基、0.24meq/g) アセチレンブラック(比表面積、65m2 /g;OH
基、0.24meq/g) (実施例1) (1)ペルオキシエステル基含有ビニルポリマーの合成 温度計、攪拌機および還流冷却器を備えた反応器を、窒
素ガスを吹き込みながら100℃に加熱し、St250
部、BuC5部、トルエン245部からなる混合溶液を
仕込んで10時間重合を行なった(クメン中の熱分解
率:83%に相当)。ガスクロマトグラム(以下、GC
という)で残存St量を測定した結果、重合転化率は9
6%であった。得られた重合物溶液の活性酸素量から求
めたBuCの熱分解率は81%であった。また、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCとい
う)で測定した数平均分子量は24000であった。
【0035】重合物溶液10部をトルエン100部に希
釈し、2000部のメタノールに注ぎ、沈澱物をろ別、
乾燥してPSt粉末を得た。さらにトルエンとメタノー
ルで2回再沈精製を繰り返した試料について赤外線吸収
スペクトル分析(IR分析)と核磁気共鳴スペクトル分
析( 1H−NMR分析)を行なった。その結果、176
8cm-1にペルオキシエステルのC=O結合吸収が、ま
たδ=1.173ppmにペルオキシエステルのメチル
水素がみられ、PSt鎖中にペルオキシエステル結合の
導入されていることが確認された。精製スチレンの分子
量(Mn=28000)と活性酸素量(0.043%)
から、PSt1分子あたりのペルオキシエステル結合数
は0.75個であることが示された。 (2)カーボンブラックへのグラフト化反応 上記(1)で得られた重合物溶液にトルエンを加えて、
PStの20重量%溶液を調整した。
【0036】温度計、攪拌機および還流冷却器を備えた
反応器に上記溶液100部を仕込んだ後、十分に乾燥し
たファーネスブラックを10部加えた。さらに、窒素ガ
スを吹き込みながら攪拌を続け、110℃まで昇温し、
同温度で10時間熱分解反応を行なった。
【0037】冷却後、反応溶液110部にトルエン29
0部を加えて希釈した。希釈溶液を遠心分離管に移し、
12000rpm、1時間の遠心分離操作により、カー
ボンブラックを完全に沈澱させて取り出した。十分に乾
燥後、トルエンにてソックスレー抽出を行ない、未反応
のビニルポリマーを除去した。この操作の後に、次の式
によってグラフト率及びグラフト効率を求めた。
【0038】グラフト率=(反応後のカーボンブラック
の重量−反応前のカーボンブラックの重量)/(反応前
のカーボンブラックの重量)×100 グラフト効率=(グラフトしたポリマーの重量)/(反
応に用いたビニルポリマーの重量)×100 この結果、グラフト率は45%、グラフト効率は22.
5%という良好な結果が得られた。 (比較例1)前記従来法におけるペルオキシエステル基
含有アゾ化合物〔4,4’−アゾビス(4−シアノバレ
リル)−ビス−(t−ブチル)ジペルオキシド、以下A
POと略す〕を用いた反応を行なった。 (1)ペルオキシエステル基含有ビニルポリマーの合成 BuC5部の代わりにAPO5部を用い、重合温度を7
5℃に変えた以外は、実施例1と同じ条件でPStを合
成した。重合転化率は92%であり、アゾ基はほぼ完全
に消失していることがわかった。GPCで測定した数平
均分子量は22000であった。 (2)カーボンブラックへのグラフト化反応 上記(1)で得られた重合物溶液にトルエンを加えて、
PStの20重量%溶液を調整し、実施例1と同じ条件
でカーボンブラックへのグラフト化反応を行なった。そ
の結果、グラフト率は24%、グラフト効率は12%で
あった。 (比較例2)PStの重合条件を95℃、10時間(ク
メン中の熱分解率:61%に相当)に変えた以外は、実
施例1と同じ反応を行なった。重合転化率は91%、グ
ラフト化反応時のグラフト率は28%、グラフト効率は
14%であった。 (比較例3)PStの重合条件を110℃、9時間(ク
メン中の熱分解率:99.1%に相当)に変えた以外
は、実施例1と同じ反応を行なった。重合転化率は99
%、グラフト化反応時のグラフト効率は22%、グラフ
ト効率11%であった。
【0039】実施例1、比較例1〜3の結果から明らか
なように、従来技術や本発明の範囲外の条件に比較し
て、本発明の実施例1では、グラフト化反応におけるよ
り優れたグラフト率及びグラフト効率が達成されること
が示された。 (実施例2〜5及び比較例4) (1)ペルオキシエステル基含有ビニルポリマーの合成 表1に示す種類と量のペルオキシケタール又はAPOを
重合開始剤として用い、メチルイソブチルケトン(以
下、MIBKとする)中でMMAを重合した。すなわ
ち、表1に示した混合溶液を仕込み、表1の条件で重合
を行なった。その他の操作は実施例1と同じである。重
合結果も表1に併せて示す。 (2)カーボンブラックへのグラフト化反応 上記(1)で得た重合物溶液にMIBKを加えて、PM
MAの20重量%溶液を調整した。温度計、攪拌機およ
び、還流冷却器を備えた反応器に上記溶液100部を仕
込んだ後、十分に乾燥したチャンネルブラックを10部
を加えた。さらに、窒素ガスを吹き込みながら攪拌を続
け、115℃まで昇温し同温度で8時間熱分解反応を行
なった。
【0040】希釈溶剤にMIBKを用いた以外は実施例
1と同じ方法によりグラフト化反応時のグラフト率とグ
ラフト効率を求めた。その結果を表1に示す。なお、表
1中開始剤熱分解率は、実施例2〜5では実施例1と同
様のクメン中の値、比較例4のAPOはアゾ基の熱分解
率を示す。
【0041】
【表1】
【0042】この結果から、本発明の実施例2〜5では
比較例4に比べ、優れたグラフト率及びグラフト効率が
達成されることが明らかとなった。 (実施例6〜9及び比較例5)本発明の方法により、疎
水度、親水度の異なるビニルポリマーのグラフト化反応
を行なった。 (1)ペルオキシエステル基含有ビニルポリマーの合成 重合開始剤にBuMC又はAPOを用い、表2に示した
混合溶液の重合を行なった。重合条件と結果を表2に示
す。その他の操作は実施例1と同じである。 (2)カーボンブラックへのグラフト化反応 上記(1)で得た重合物溶液にメチルセロソルブを加え
て、各ビニルポリマーの15重量%溶液を調整した。温
度計、攪拌機および還流冷却器を備えた反応器に上記溶
液100部を仕込んだ後、十分に乾燥したアセチレンブ
ラック5部を加えた。さらに、窒素ガスを吹き込みなが
ら攪拌を続け、120℃まで昇温し同温度で6時間熱分
解反応を行なった。
【0043】希釈溶液にメチルセロソルブを用いた以外
は実施例1と同じ方法によりグラフト化反応時のグラフ
ト率とグラフト効率を求めた。その結果を表2に示す。
なお、表2中MCはメチルセロソルブを示し、開始剤熱
分解率は、実施例6〜9では実施例1と同様のクメン中
の値、比較例5のAPOはアゾ基の熱分解率を示す。。
【0044】
【表2】
【0045】この結果から、本発明の実施例6〜9では
比較例5に比べ、優れたグラフト率及びグラフト効率が
達成されることが明らかとなった。以上のように、この
発明の各実施例によれば、ペルオキシケタールの分解温
度がビニルポリマーに導入されたペルオキシエステル基
に比べて低いため、重合反応の制御が容易である。ま
た、未反応のペルオキシケタール及びビニルモノマーの
残存量が減少するため、グラフト化前駆体であるペルオ
キシエステル結合を有するビニルポリマーの精製が不要
となる。
【0046】しかも、この発明ではラジカル重合法を採
用しているため、ペルオキシエステル結合を有するビニ
ルポリマーを得るためのビニルモノマーとして各種のラ
ジカル重合性のビニルモノマーを使用できる。しかも、
前述のように重合時に未反応のペルオキシケタールやビ
ニルモノマーの残存量が抑制されるため、カーボンブラ
ックへのグラフト化反応において副生物の生成が抑制さ
れ、ビニルポリマーのグラフト化効率を向上させること
ができる。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、重
合反応の制御が容易で、ビニルポリマーの精製が不要で
あり、重合反応に用いるビニルモノマーの制約が少な
く、しかもカーボンブラック表面へのビニルポリマーの
グラフト化を良好なグラフト化効率をもって行うことが
できるという優れた効果を奏する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1又は化2で示されるペルオキシ
    ケタールを重合開始剤として、当該ペルオキシケタール
    の0.05mol/l濃度におけるクメン中の熱分解速
    度を基準として、その75〜99%が熱分解する条件で
    ビニルモノマーを重合してペルオキシエステル結合を有
    するビニルポリマーを合成し、次いでカーボンブラック
    の存在下で前記ビニルポリマー中のペルオキシエステル
    基を熱分解することにより、カーボンブラック表面にビ
    ニルポリマーをグラフトすることを特徴とするグラフト
    化ビニルポリマーの製造方法。 【化1】 【化2】
JP4573692A 1992-03-03 1992-03-03 グラフト化ビニルポリマーの製造方法 Pending JPH05247152A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4573692A JPH05247152A (ja) 1992-03-03 1992-03-03 グラフト化ビニルポリマーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4573692A JPH05247152A (ja) 1992-03-03 1992-03-03 グラフト化ビニルポリマーの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05247152A true JPH05247152A (ja) 1993-09-24

Family

ID=12727608

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4573692A Pending JPH05247152A (ja) 1992-03-03 1992-03-03 グラフト化ビニルポリマーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05247152A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001500914A (ja) 擬似リビングラジカル重合のためのno化合物
JP3660687B2 (ja) 末端不飽和オリゴマーの合成
JP2008530306A (ja) 改質された炭素粒子
JP2001518947A (ja) 制御された遊離ラジカル重合法
JP2002540234A (ja) フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合のための触媒法、およびそれによって製造される官能性高分子系
JPWO2010140372A1 (ja) リビングラジカル重合の重合開始剤
JP4106240B2 (ja) リビングラジカル重合開始基を有するポリマー微粒子及びその製造方法
Yakimanskii et al. Grafting copolymerization of vinyl monomers on polyimide macroinitiators by the method of atom transfer radical polymerization
JP5501678B2 (ja) 環構造含有共重合体、その製造方法及び環構造含有共重合体組成物
Ueda et al. Scale-up synthesis of vinyl polymer-grafted nano-sized silica by radical polymerization of vinyl monomers initiated by surface initiating groups in the solvent-free dry-system
JP2004018556A (ja) リビング開始種を有するポリマー粒子及びその製造方法
JPH05247152A (ja) グラフト化ビニルポリマーの製造方法
JPH05295052A (ja) グラフト化ビニルポリマーの製造方法
JPH06263830A (ja) グラフト化ビニルポリマーの製造方法
JPS6357642A (ja) ジメチルシロキサン系ブロツク共重合体の製造方法
JPH01268709A (ja) カルボキシル基含有マクロモノマー
JPH05247151A (ja) グラフト化ビニルポリマーの製造方法
JP2000080107A (ja) テレケレック物質の製造方法、こうして製造されたテレケレック物質及びその使用方法
JPH05271365A (ja) グラフト化ビニルポリマーの製造方法
JPH107720A (ja) (メタ)アクリル系及びビニル系単量体を制御下で重合又は共重合する方法並びに該方法によって得られる生成物
JP3245822B2 (ja) 分散性の優れた重合体微粒子の製造方法
JP4129177B2 (ja) 精製手段
JP2002522524A (ja) パーオキサイド、その製造法および使用方法
JPH10310603A (ja) 粒径分布の狭い微球状共重合体の製造方法
JPS6392628A (ja) ジメチルシロキサン系グラフトポリマ−の製造方法