JP5501678B2 - 環構造含有共重合体、その製造方法及び環構造含有共重合体組成物 - Google Patents
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Description
方法(1)の具体例としては、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルを重合した後、脱アルコール反応により重合体鎖中に無水グルタル酸構造を導入する方法(例えば、特許文献1参照。)、ポリメタクリル酸メチルにイミド化剤(アミン)を反応させて重合体鎖中にグルタルイミド構造を導入する方法(例えば、特許文献2参照。)、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルを重合した後、脱アルコール反応により重合体鎖中にラクトン環構造を導入する方法(例えば、特許文献3参照。)等が開示されている。
方法(3)の具体例としては、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルのエーテルダイマーを環化重合させて重合体鎖中にテトラヒドロピラン環を導入する方法等が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
またα−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルのエーテルダイマー以外に環化重合するジエン系モノマーも報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
なお、非特許文献1には、上述したようにα−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルのエーテルダイマー以外に環化重合するジエン系モノマーが開示されているが、(メタ)アクリル系モノマーや芳香族ビニルモノマーからなる重合体鎖中に、これらのジエン系モノマー由来の環構造を導入する検討はなされていない。
本発明はまた、上記環構造含有共重合体を必須とする環構造含有共重合体組成物でもある。
本発明は更に、上記環構造含有共重合体を製造する方法であって、該製造方法は、1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーを必須とする単量体成分を重合溶媒中で環化重合する工程を含む環構造含有共重合体の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
上記環構造含有共重合体は、1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーに由来する環構造を含む構成単位を有するものである。すなわち、上記環構造を有する構成単位と、他の重合性モノマーに由来する構成単位と、を有する環構造含有共重合体である。このような環構造含有共重合体は、耐熱分解性が高く、その後の加工、成型といった高温の処理工程での取り扱いを容易にすることができる。
また「構成単位」とは、重合体を構成する単位のことであり、一つの重合体中に複数の構成単位が含まれることとなる。また、「1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーに由来する構成単位」とは、1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーから生成することが可能な構成単位を意味し、「1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーに由来する環構造」は、1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーが環化重合することにより形成されるものであり、該環構造を有する共重合体は、高い耐熱分解性を有するものとなる。
なお、本明細書中で「ジエン系モノマー」とは、2つの炭素−炭素二重結合を有する単量体のことである。
これらのモノマーの中でも、本発明においては、アリルオキシメチルアクリル酸エステル類を用いることが好適であり、このように上記環構造含有共重合体が、アリルオキシメチルアクリル酸エステルに由来する環構造を含む構成単位を有する形態は、本発明の好適な形態の1つである。
なお、一種のジエン系モノマーを用いた場合であっても、得られる環構造含有共重合体が複数種の構成単位を含んでいてもよい。例えば、一種のジエン系モノマーに由来する構成単位が複数種生成される場合には、1本のポリマー鎖中に一種のジエン系モノマーに由来する環構造を有している構成単位と環構造を有していない構成単位との両方が含まれていてもよい。
なお、本発明では、他の重合性モノマーに由来する構成単位を含む環構造含有共重合体とすることにより、その重合性モノマーの特性によって種々の特性を環構造含有共重合体に付与することができる。
上記ビニル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物、芳香族ビニル化合物、共役ジエン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、N−ビニル化合物等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル系化合物、芳香族ビニル化合物が好ましい。すなわち、上記環構造含有重合体は、(メタ)アクリル系化合物及び/又は芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を含むことが好ましい。上記ビニル化合物としては、最も好ましくは(メタ)アクリル系化合物である。なお、上記ビニル化合物は、1種又は2種以上を使用することができる。
このような化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸s−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイン酸、フマル酸等の(メタ)アクリル酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の多価(メタ)アクリル酸類の酸無水物;メチルマレイミド、エチルマレイミド、イソプロピルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド等のN置換マレイミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸エステル類、N−置換マレイミド類が好適である。また、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記5%質量減少温度は、例えば、熱重量分析計(TG−DTA 2000SR、Bruker AXS社製)を用いて測定することが好ましい。測定試料としては、重合体(又は重合体組成物)をいったんメチルエチルケトンに溶解又は希釈し、過剰のヘキサンに投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1.33hPa(1mmHg)、60℃、5時間以上)することによって、揮発成分等を除去し、粉末状に精製したものを用いることが好ましい。この粉末状の試料約10mgを昇温速度10℃/分、窒素フロー 100mL/分の条件で、室温(25℃)時に対して、質量が5%減少した温度を5%質量減少温度として用いることができる。
上記環構造含有共重合体組成物中に含まれる重合体の多分散度(Mw/Mn)は、6.0以下であることが好ましい。より好ましくは、5.0以下であり、更に好ましくは、4.0以下である。ここで、Mnは、数平均分子量である。重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPCシステム、東ソー社製)を用いて、ポリスチレン換算により求めることができる。この場合、展開液としてはクロロホルムを用いることが好ましい。
MFRの測定は、JIS K7210(1999年)に記載された方法に従って行うことができる。
上記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC−8230、リガク社製)を用いて、白色粉末状の試料約10mg、昇温速度10℃/分、窒素フロー30mL/分の条件で測定を行い求めることができる。なお、このような測定で行う場合、ガラス転移温度は、ASTM−D−3418に従い、中点法により求めることが好ましい。なお、測定を行う白色粉末状の試料としては、重合体(又は重合体組成物)をいったんメチルエチルケトンに溶解又は希釈し、過剰のヘキサンに投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1.33hPa(1mmHg)、60℃、5時間以上)することによって、揮発成分等を除去し、粉末状に精製したものを用いることが好ましい。
(アリル基転化率の測定方法)
環構造含有重合体組成物中から重合体のみを抽出した白色粉末状の試料30mgを重クロロホルム1gに溶解し、核磁気共鳴装置(200MHz、Varian社製)で重合体の1H−NMRを測定し、5.8ppmのアリル基のメチンプロトンと3.9ppm付近の酸素に隣接する炭素に結合するプロトンとの強度比から、残存アリル基の量(割合)を定量し、この割合に基づいて、転化したアリル基の割合(アリル基転化率)を決定する。
本発明の環構造含有重合体は、重合溶媒を用いて環化重合して得られるものであることが好ましく、特に極性溶媒の存在下で環化重合して得られるものであることが好ましい。極性溶媒の存在下で重合を行う、すなわち極性溶媒を含む重合溶媒を用いて重合を行うことによって、共重合体中の1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーに由来する構成単位の環化率を高いものとすることができる。更に、分子量分布の狭い環構造含有共重合体とすることができる。また、重合により得られる環構造含有共重合体組成物(環構造含有共重合体を必須とする組成物)中の環構造含有共重合体の割合(濃度)をより高くすることができ、環構造含有共重合体の濃度が高まることによって、後の加工、成型といった工程の取り扱いが容易となる。
すなわち、上記環構造含有共重合体を製造する方法であって、該製造方法は、1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーを必須とする単量体成分を重合溶媒中で環化重合する工程を含む環構造含有共重合体の製造方法もまた、本発明の1つである。この製造方法では、1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーと、他の重合性モノマーとを必須とする単量体成分を重合溶媒中で環化重合するものとなるが、特に本発明では、上記環構造含有共重合体が、1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーと、他の重合性モノマーと、を極性溶媒を必須とする重合溶媒に溶解させて環化重合したものであることが好適である。
上記極性溶媒の使用量は、重合溶媒中の極性基の総量が、環化重合に供する1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー総量の0.5倍モル量以上となるように設定することが好ましく、より好ましくは0.8倍モル量以上、更に好ましくは1.0倍モル量以上、最も好ましくは1.3倍モル量以上である。重合溶媒中の極性基の量をこのように設定することにより、上述したメカニズムによって環化率が高く、耐熱分解性の高い重合体を含有する環構造含有共重合体を生成することができる。なお、重合溶媒中の極性基の総量(モル数)が1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー総量(モル数)の0.5倍以上となるように、重合溶媒として極性溶媒とともに炭化水素系溶媒のような非極性溶媒を併用する形態も好ましい実施形態の1つである。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒と、ケトン系溶媒との混合溶媒、芳香族炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒、芳香族炭化水素系溶媒とエステル系溶媒との混合溶媒、芳香族炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒との混合溶媒等を重合溶媒として好ましく用いることができる。
本発明は更に、上記環構造含有共重合体を含む環構造含有共重合体組成物でもある。
上記環構造含有共重合体組成物は、該共重合体組成物100質量%に対して、環構造含有共重合体の濃度が15質量%以上であることが好ましい。このようにして製造した環構造含有共重合体組成物は、環構造含有共重合体の濃度が15質量%以上と高くとも、共重合体が充分に溶解したものとなり、また、耐熱分解性も向上したものとなる。環構造含有共重合体の濃度として、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上である。環構造含有共重合体の濃度は、環構造含有共重合体をヘキサン等の溶媒に再沈殿させる等の方法で単離することによって求めることができる。より具体的には、環構造含有共重合体をメチルエチルケトンに溶解又は希釈し、過剰のヘキサンに投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1.33hPa(1mmHg)、60℃、5時間以上)することによって、揮発成分等を除去して単離することで求めることができる。
重合反応時の反応率、すなわち重合転化率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフ(GC−2010、島津製作所製、キャピラリーカラム DB−17HT L30m×ID0.25mm、DF0.15mm)により測定して求めた。
示差走査熱量計(DSC−8230、リガク社製)を用いて、白色粉末状の試料約10mg、昇温速度10℃/分、窒素フロー30mL/分の条件で行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法により求めた。
熱重量分析計(TG−DTA 2000SR、Bruker AXS社製)を用いて、白色粉末状の試料約10mg、昇温速度10℃/分、窒素フロー100mL/分の条件で行った。室温時に対して質量が5%減少した温度を5%質量減少温度とした。
白色粉末状の試料30mgを重クロロホルム1gに溶解し、核磁気共鳴装置(200MHz、Varian社製)で重合体の1H−NMRを測定し、5.8ppmのアリル基のメチンプロトンと3.9ppm付近の酸素に隣接する炭素に結合するプロトンとの強度比から、残存アリル基の量(割合)を定量し、この割合に基づいて、転化したアリル基の割合(アリル基転化率、%)を決定した。
例として実施例1で得られる重合体のアリル基転化率を計算する。
3.0〜4.5ppmの酸素に隣接する炭素に結合するプロトン(AMAのエステル基のメチルプロトン+AMAの酸素原子の両隣のメチレンプロトン+MMAのエステル基のメチルプロトン)の1H−NMRの積分値を100とすると、5.8ppmのAMAの残存アリル基のメチンプロトンの積分値は0.61であった。AMAとMMAの転化率より、AMAとMMAの共重合組成比はAMA/MMA=86/87(重量比)である。共重合体中のAMAの割合a(モル%)及びMMAの割合b(モル%)は下記式で計算できる。
重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPCシステム、東ソー社製)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。展開液はクロロホルムを用いた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応器に、50部のアリルオキシメチルアクリル酸メチル(AMA)、50部のメタクリル酸メチル(MMA)、重合溶媒として100部の2−ペンタノン(メチルエチルケトン、MEK)を仕込み、これに窒素を通じつつ、70℃まで昇温した後、開始剤として0.2部の1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル(和光純薬製、商品名:V−40)を添加し、重合を開始した。重合反応を6時間行った結果を表1に示す。また、得られた共重合体組成物の1H−NMRのチャートを図2に示す。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応器に、50部のAMA、50部のスチレン(St)、重合溶媒として100部のMEKを仕込み、これに窒素を通じつつ、70℃まで昇温した後、開始剤として0.2部のV−40を添加し、重合を開始した。重合反応を8時間行った結果を表1に示す。また、得られた共重合体組成物の1H−NMRのチャートを図3に示す。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応器に、50部のジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート(6位にもカルボン酸エステルを有する1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー)、50部のMMA、重合溶媒として100部のMEKを仕込み、これに窒素を通じつつ、70℃まで昇温した後、開始剤として0.2部のV−40を添加し、重合を開始した。重合反応を30分間行うと、ゲル化した。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応器に、AMAとMMAとを表2に示す割合で仕込み、重合溶媒として200部の4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン、MIBK)を仕込み、これに窒素を通じつつ、100℃まで昇温した後、開始剤として0.1部のV−40を添加し、重合を開始した。重合反応を6時間行った結果を表2に示す。
モノマーをMMA50部としたこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
モノマーをAMA50部としたこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
また参考例の結果から、AMA単独重合体(ホモポリマー)の耐熱分解性は高いことが分かるが、例えば実施例5〜6のようにMMAとAMAとの共重合体としても、AMAホモポリマーの場合とほぼ同等の耐熱分解性を示すことが分かる。化学分野の技術常識では、ホモポリマーとすれば、それを構成するモノマー由来の作用効果を最大限に発揮できるものの、他のモノマーとの共重合体とすると、当該作用効果は、他のモノマーの含有割合等に比例して低減されると考えるのが通常である。しかし、参考例及び実施例の結果から、1,6−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマー及び/又は1,5−ジエン−2−カルボン酸エステルモノマーに他の重合性モノマーを共重合させても、これらのジエン系モノマー由来の環構造に起因する耐熱分解性を損なうことなく充分に発揮できたことが確認されたため、当該効果は、従来技術からの予測を遥かに超える有利な効果であるといえる。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した反応器に、モノマーとして30部のAMA及び270部のMMA、重合溶媒として250.8部のMEKを仕込み、これに窒素を通じつつ、還流がかかるまで昇温した後、0.045部のt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス575、以下「L575」と略す。)を4.5部のMEKに溶解させたものを添加し、重合を開始した。L575添加5分後に、0.24部のL575と47.8部のMEKの混合物の滴下を開始し、8時間かけて滴下した。L575滴下開始2時間後にMEKの滴下を開始し、4時間かけて滴下した。L575滴下終了2時間後に冷却し、重合反応を終了した。分析結果を表3に示す。
また、再沈殿により得られた共重合体の白色粉末を用い、JIS K7210(1999年)に基づき、試験温度240℃、荷重10kgでメルトフローレート(MFR)を測定したところ、5.6g/10分であった。更に、プレス成形機を用い、共重合体の白色粉末のプレス成形を行い(成形温度250℃)、170μm厚のフィルムを作製した。得られたフィルムは無色透明で可とう性が良好であった。
モノマーとして30部のAMA、30部のフェニルマレイミド(PMI)、240部のMMAを用いたこと以外は、実施例7と同様にして重合反応を行った。分析結果を表3に示す。
また、再沈殿により得られた共重合体の白色粉末のプレス成形を行い(成形温度250℃)、170μm厚のフィルムを作製した。得られたフィルムは無色透明で可とう性が良好であった。
モノマーとして30部のAMA、90部のα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(MHMA)、180部のMMAを用いたこと以外は、実施例7と同様にして重合反応を行った。重合終了後に、ラクトン環化触媒としてリン酸ステアリル0.6部を添加し3時間還流した。更に、オートクレーブに中身を移し、200℃で1時間加熱し、ラクトン環化を完結させた。分析結果を表3に示す。
また、再沈殿により得られた共重合体の白色粉末のプレス成形を行い(成形温度250℃)、170μm厚のフィルムを作製した。得られたフィルムは微黄色透明で可とう性が良好であった。
更に実施例7〜9より、本発明の環構造含有重合体を用いるとフィルムへの成形加工が容易であり、しかも得られたフィルムは透明で可とう性が良好であるため、本発明の環構造含有共重合体は、熱可塑用途に特に有用なものであり、光学材料等に好適に適用できることが分かった。
Claims (4)
- 前記重合性のモノマーは、更に、(メタ)アクリル系化合物、芳香族ビニル化合物、共役ジエン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類及びN−ビニル化合物からなる群より選択される1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の環構造含有共重合体。
- 前記環化重合は、ラジカル重合により行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の環構造含有共重合体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の環構造含有共重合体を必須とすることを特徴とする環構造含有共重合体組成物。
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JP2010037549A (ja) | 2010-02-18 |
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