JP2011256263A - (メタ)アクリル系共重合体の製造方法および(メタ)アクリル系共重合体 - Google Patents

(メタ)アクリル系共重合体の製造方法および(メタ)アクリル系共重合体 Download PDF

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Abstract

【課題】従来方法で得た(メタ)アクリル系共重合体溶液は、溶液重合後、溶媒を脱揮する際にベントボックスや配管内に汚れが付着したり、溶融押出時のポリマーフィルタでの濾過精製工程においてフィルタの昇圧が起こるという不都合が生じているため、これらの不都合の原因を突き止めて高効率に(メタ)アクリル系共重合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】環構造を有するビニル系単量体と(メタ)アクリル系単量体とを含む単量体成分を、ラジカル溶液重合で重合することにより(メタ)アクリル系共重合体を製造する方法であって、上記環構造を有するビニル系単量体は、その一部または全部を重合開始前に重合容器内に仕込むと共に、上記(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル系単量体100質量%中、70質量%以下を重合開始前に重合容器内に仕込み、残部を逐次添加することを特徴とする(メタ)アクリル系共重合体の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、(メタ)アクリル系単量体と、環構造を有し重合速度の遅いビニル系単量体とから、高効率に共重合体を製造する方法に関する。
高分子の配向により生じる複屈折を利用した光学部材が、画像表示分野において幅広く使用されている。従来は、トリアセチルセルロースやポリシクロオレフィン等の光の波長が短くなるほど複屈折が大きくなる樹脂が使用されてきた。本願出願人は、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる(メタ)アクリル系樹脂(逆波長分散性樹脂)を見出し、既に出願している(特許文献1、2)。
上記の文献には、例えば、ビニルカルバゾール、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルを、重合容器内へ一括で仕込み(初期一括仕込み)、ラジカル溶液重合する方法が記載されている。
国際公開第2009/084663号パンフレット(製造例3等) 特開2010−54784号公報(製造例1,製造例3等)
本発明者等は、特許文献1や2に記載の発明について種々の改良を重ねているが、溶液重合後、溶媒を脱揮する際にベントボックスや配管内に汚れが付着したり、溶融押出時のポリマーフィルタでの濾過精製工程において、フィルタの昇圧が起こるという不都合が生じることが判明した。
そこで本発明では、上記の不都合の原因を突き止めて、高効率に(メタ)アクリル系共重合体を製造する方法を提供することを課題として掲げた。
本発明は、下記式(1)〜(4)のいずれかで表される単量体および(1)で表される単量体以外の複素環とビニル基とを有する単量体よりなる群から選択される1種以上の環構造を有するビニル系単量体と、(メタ)アクリル酸エステルおよび/または下記式(4)で表される単量体とからなる(メタ)アクリル系単量体とを含む単量体成分を、ラジカル溶液重合で重合することにより(メタ)アクリル系共重合体を製造する方法であって、上記環構造を有するビニル系単量体は、その一部または全部を重合開始前に重合容器内に仕込むと共に、上記(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル系単量体100質量%中、70質量%以下を重合開始前に重合容器内に仕込み、残部を逐次添加することを特徴とする(メタ)アクリル系共重合体の製造方法である。
(上記式(1)中、R1〜R8は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
(上記式(2)中、R9〜R17は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
(上記式(3)中、R18、R19は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を、nは1〜3の整数を表す。)
(上記式(4)中、R20〜R27は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
(上記式(5)中、R28、R29は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
上記逐次添加は、分割添加または滴下であることが好ましく、上記環構造を有するビニル系単量体と、上記(メタ)アクリル系単量体との合計100質量%中、環構造を有するビニル系単量体が0.1〜50質量%であることは、本発明の好ましい実施態様である。
本発明には、上記式(1)〜(4)のいずれかで表される単量体および(1)で表される単量体以外の複素環とビニル基とを有する単量体よりなる群から選択される1種以上の環構造を有するビニル系単量体と、(メタ)アクリル酸エステルおよび/または上記式(5)で表される単量体とからなる(メタ)アクリル系単量体とを含む単量体成分を、ラジカル溶液重合で重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体であって、該共重合体の重量平均分子量をMw、240℃でのメルトフローレイトをMFRとしたときに、51−3Mw×10-4 ≦ MFRである(メタ)アクリル系共重合体も包含される。
この場合において、上記(メタ)アクリル系共重合体は、上記環構造を有するビニル系単量体およびその分解物の含有量が合計で3000ppm以下であることが好ましい。
また、上記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwは10万〜20万が好ましく、上記環構造を有するビニル系単量体と、上記(メタ)アクリル系単量体との合計100質量%中、環構造を有するビニル系単量体が0.1〜50質量%であることは、最も好ましい実施態様である。
本発明の製造方法の採用により、所望の共重合組成の(メタ)アクリル系共重合体を高い重合率で得ることができた。得られた共重合体は、上記した不都合を起こさないので、工業的生産性に優れている。得られた共重合体は、初期一括仕込みで得られる(メタ)アクリル系共重合体と同程度の分子量であっても流動性が高いため、成形性が向上することが考えられる。また、残存モノマーや不純物が少ない高純度な共重合体を得ることができた。さらに、得られた共重合体はフィルム化後の透明性に優れており、特に、ビニルカルバゾールを用いる系ではフィルムの着色度(YI)を小さくすることができた。
従って、本発明の製造方法は、各種ディスプレーや偏光板等に用いられる位相差フィルム等に有用な(メタ)アクリル系共重合体を製造するのに好適な方法である。
(メタ)アクリル系共重合体のMwと240℃でのMFRとの関係を示すグラフである。
本発明者等は、(メタ)アクリル系共重合体を溶液重合で製造した後、溶媒を脱揮する際にベントボックスや配管内に汚れが付着したり、溶融押出時のポリマーフィルタでの濾過精製工程において、フィルタの昇圧が起こる原因について、種々検討した結果、以下の現象を突き止めた。すなわち、初期一括仕込みでラジカル溶液重合した場合、(メタ)アクリル系単量体は重合速度が速く、重合率も95%以上と高いが、一方で、環構造を有するビニル系単量体は重合速度が遅いため、重合を終了させる時点では、環構造を有するビニル系単量体がかなり残存している。そして、溶媒を除去するために二軸脱揮装置等へ共重合体溶液を導入して、脱揮操作を250℃以上の高温で行うと、残存していた上記ビニル系単量体がオリゴマー化・ポリマー化して、フィルターの昇圧を招いたり、汚れとなって装置内に付着することがわかった。また、ビニルカルバゾールを用いた系で、かつ、重合後に環化工程を行う場合、残存したビニルカルバゾールが有機リン酸触媒等の環化触媒によって分解し、着色の原因になっていることもわかった。さらに、環構造を有するビニル系単量体の残存率が(メタ)アクリル系単量体よりも多いということは、所望の共重合組成の共重合体が得られていないことを示しており、このような状況を改善する必要があった。
そこで、本発明者等は環構造を有するビニル系単量体の重合率を高めるために、初期一括仕込みにおけるモノマー濃度を高くする検討や、後添加重合開始剤を重合後期に添加する等の検討を行ったが、重合率の向上効果はさほど見ることはできなかった。
さらに本発明者等が検討した結果、(メタ)アクリル系単量体の全部を初期一括仕込みするのではなく、一部または全部を分割添加すれば、環構造を有するビニル系単量体の重合率が高められることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法では、下記式(1)〜(4)で表される単量体および(1)で表される単量体以外の複素環とビニル基とを有する単量体よりなる群から選択される1種以上の環構造を有するビニル系単量体と、(メタ)アクリル酸エステルおよび/または下記式(5)で表される単量体とからなる(メタ)アクリル系単量体とを、単量体成分の必須単量体とする。これらを共重合させるときに、前記した不都合が起こるからである。
(上記式(1)中、R1〜R8は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
(上記式(2)中、R9〜R17は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
(上記式(3)中、R18、R19は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を、nは1〜3の整数を表す。)
(上記式(4)中、R20〜R27は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
(上記式(5)中、R28、R29は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
[環構造を有するビニル系単量体]
環構造を有するビニル系単量体は、上記式(1)〜(4)と、(1)以外であって複素環とビニル基とを有する単量体よりなる群から選択される1種以上の単量体である。上記式(1)〜(4)中における炭素数1〜20の有機残基とは、酸素原子を含んでいてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;あるいはこれらのアルキル基、アルケニル基またはアリール基における水素原子の一つ以上が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基である。
具体的に有用なのは、式(1)の化合物に含まれるN−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、式(2)の化合物に含まれるビニルアントラセンおよびその誘導体、式(3)の化合物に含まれるN−ビニルピロリドンおよびその誘導体、式(4)の化合物に含まれるジベンゾフルベンおよびその誘導体等である。
これらの中でも最も好ましいのはN−ビニルカルバゾールであり、大きな屈折率を有している上、ガラス転移温度を高める作用も有している。従って、フィルムとしたときの光学特性や耐熱性が向上する。
ただし、これらの単量体は、嵩高い環構造を有しているためか、重合速度が遅く、(メタ)アクリル系単量体が速やかに重合するのに比べて、残存モノマーになりやすい。従って、本発明の製造方法(後述)を適用する必要がある。
これらの単量体は、(メタ)アクリル系単量体との合計100質量%中、0.1〜50質量%とすることが好ましい。0.1質量%より少ないと屈折率や耐熱性の向上がほとんど望めず、50質量%を超えると、成形加工性が乏しくなる傾向があり好ましくない。さらに好適には0.5〜30質量%である。
[(メタ)アクリル系単量体]
上記環構造を有するビニル系単量体の共重合相手となるのは、(メタ)アクリル系単量体であり、この(メタ)アクリル系単量体には、(メタ)アクリル酸エステル類と、上記式(5)で表される単量体が含まれる。なお、式(5)中の炭素数1〜20の有機残基とは、前記式(1)〜(4)における有機残基と同じ意味である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸カルバゾイルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。中でも、高い透明性および耐熱性を有する光学フィルムが得られることからメタクリル酸メチルが最も好ましい。
また、上記式(5)で表される単量体としては、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチル等が挙げられる。中でも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、高い透明性および耐熱性を有するフィルムを得ることができる。特に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)が好ましい。(メタ)アクリル系共重合体中におけるこれらの単量体に由来する構成単位は、後述する環化工程により、得られる分子内環化(メタ)アクリル系共重合体に正の固有複屈折を与える作用を有する。
(メタ)アクリル系単量体は、環構造を有するビニル系単量体との合計100質量%中、50〜99.9質量%とすることが好ましい。50質量%より少ないと、成形加工性が乏しくなる傾向があり、99.9質量%を超えると、環構造を有するビニル系単量体の添加効果が望めないおそれがある。さらに好適には70〜99.5質量%である。
[その他の単量体]
本発明の製造方法で用いられる単量体成分には、用途に応じて、フィルムの物性をコントロールするため、その他の単量体を含めることもできる。
その他の単量体としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;エチレンおよびブタジエン等の脂肪族不飽和炭化水素類;塩化ビニル等の脂肪族不飽和炭化水素類のハロゲン置換体;スチレンおよびα−メチルスチレン等の芳香族不飽和炭化水素類;ビニルエーテル類;アリルアルコールと各種有機酸とのエステル類;アリルアルコールと各種アルコールとのエーテル類;アクリロニトリル等の不飽和シアン化化合物;酢酸ビニル等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。これらのその他のモノマーは、単量体成分100質量%中、10質量%以内に抑えることが好ましい。10質量%を超えると、結果的に、必須モノマー成分である環構造を有するビニル系単量体や、(メタ)アクリル系単量体の量が少なくなるため、所望の光学特性や力学的特性が得られないことがある。
[本発明の製造(重合)方法]
本発明では、(メタ)アクリル系共重合体をラジカル溶液重合で得るに当たり、環構造を有するビニル系単量体は、その一部または全部を重合開始前に重合容器内に仕込むと共に、上記(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル系単量体100質量%中、70質量%以下を重合開始前に重合容器内に仕込み、残部の単量体成分を逐次添加するところに特徴を有している。
環構造を有するビニル系単量体は重合速度が遅いので、なるべく多くの量を初期仕込みし、(メタ)アクリル系単量体については、その100質量%中30質量%超〜100質量%を初期仕込みではなく逐次添加すると、重合系内における(メタ)アクリル系単量体の濃度が低い状態で重合が進行することになるので、環構造を有するビニル系単量体と(メタ)アクリル系単量体とがほぼ均一な比率で共重合し、その結果、環構造を有するビニル系単量体の重合率を高めることができると考えられる。
上記の効果を得るためには、環構造を有するビニル系単量体の初期仕込み量を、環構造を有するビニル系単量体100質量%中、50質量%以上とすることが好ましく、80質量%以上とすることがより好ましく、全量(100質量%)とすることが最も好ましい。
一方、初期仕込みする(メタ)アクリル系単量体は70質量%以下とする。60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。0質量%(全量逐次添加)も可能である。初期仕込みする(メタ)アクリル系単量体の量が多すぎると、共重合に寄与できない環構造を有するビニル系単量体の量が増えてしまうためである。
本発明における逐次添加とは初期仕込み以外の単量体成分を、重合容器に逐次添加することであり、どのような添加方法でも構わない。例えば、逐次添加する単量体成分の全量を3分割や4分割等に分割して、分割した分を一度に重合容器に添加する方法や、滴下する方法、あるいは分割と滴下を組み合わせた方法等がある。一定の速度で単量体成分を滴下する滴下添加が、均一な組成の共重合体が得られやすいため、好ましく採用できる。
単量体成分を逐次添加する際には、重合開始剤も逐次添加することが好ましい。重合開始剤と単量体成分、必要により溶媒とを混合した混合液を添加してもよいし、重合開始剤と単量体成分を別々に添加してもよい。また、初期仕込みする単量体成分と、逐次添加する単量体成分の組成は、同一でも異なっていても構わない。なお、逐次添加する単量体成分は、環構造を有するビニル系単量体と(メタ)アクリル系単量体からなる場合と、(メタ)アクリル系単量体のみからなる場合があるが、単量体成分が環構造を有するビニル系単量体と(メタ)アクリル系単量体からなる場合、環構造を有するビニル系単量体と(メタ)アクリル系単量体とを個別に異なる速度で添加することも可能である。
本発明では、重合に際し、重合熱の除去が容易な溶液重合を採用する。重合溶媒としては、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチルや酢酸ブチル等の脂肪族エステル類;メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いることもできる。溶媒の使用量は、適宜決定すればよい。
重合開始剤も特に限定されず、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1’−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種類以上を用いても構わない。これらの中でも、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシイソノナノエートが好ましく、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが特に好ましい。
また、アゾ化合物も使用可能である。具体的には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を挙げることができる。アゾ化合物は1種のみを用いてもよく、2種類以上を用いても構わない。これらアゾ化合物の中では、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩が好ましい。
重合開始剤の量は特に限定されないが、単量体成分100質量部に対して0.001〜3質量部程度が好ましい。初期仕込みと、逐次添加で、重合開始剤の種類や割合(対単量体成分)を変えてもよいし、同じでもよい。
重合反応温度や反応時間等の反応条件は特に限定されず、例えば、重合開始剤の種類や単量体成分の組成や量等に応じて、適宜設定すればよい。通常は、60〜200℃で、1時間以上、24時間以下程度である。反応圧力も特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧のいずれであってもよい。なお、重合反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
通常、重合は、初期仕込み→不活性ガス置換→昇温→重合開始剤の投入→単量体成分の残部の逐次添加の開始、という順序で行われる。重合開始剤の投入から、残部の添加を開始するまでの時間は特に限定されないが、均一な組成の共重合体を得るという目的からは、あまり間隔を空けない方が好ましく、重合開始剤の投入直後から単量体成分の残部の添加を開始することが望ましい。なお、重合開始剤は初期仕込みに加えてもよい。
重合のための反応混合液には、必要に応じ、連鎖移動剤、pH調整剤、緩衝材等を添加することができる。
重合容器としては、撹拌装置、温度センサー、冷却管、温度調節装置(加熱または冷却ジャケット等)、不活性ガス導入管、滴下ロート等を備えた反応容器(反応釜)等が使用可能である。ステンレス製であることが好ましい。
[分子内環化工程]
上記で得られた(メタ)アクリル系共重合体には、分子内環化工程によって、環構造を有するビニル系単量体由来の環構造とは異なる環構造を付与してもよい。耐熱性が一層向上する。このような環構造としては、例えば、ラクトン環構造、イミド環構造、ラクタム環構造、環状酸無水物構造および脂肪族炭化水素環構造を挙げることができる。
例えば、ラクトン環構造としては、以下の構造を例示することができる。
(上記構造において、R30〜R32は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
なお、炭素数1〜20の有機残基は、前記の例示のとおりである。
上記ラクトン環構造は、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)とを含む(メタ)アクリル系単量体を、環構造を有するビニル系単量体と共重合した後、得られた共重合体における隣り合ったMMA単位とMHMA単位とを、加熱により脱アルコール環化縮合させて形成できる。この場合、R30は水素原子であり、R31とR32はメチル基である。共重合体の合成では溶液重合を採用するので、重合溶媒存在下でそのまま環化工程を行えばよい。
環化工程を行う際には、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸等の有機リン化合物を触媒として用いることが好ましい。触媒として有機リン化合物を用いることにより、環化縮合反応の反応率を向上させることができる。さらに、有機リン化合物を触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を行う場合において起こり得る分子量低下を抑制することができ、フィルムに優れた機械的強度を付与することができる。なお、この有機リン触媒が、残存しているN−ビニルカルバゾールに作用して分解し、分子内環化(メタ)アクリル系共重合体の着色の原因となっていたが、本発明の製造方法では残存する環構造を有するビニル系単量体の量を著しく低減させ得たので、着色度(YI)を低く抑えることができた。
[脱揮工程]
環化工程後、または環化工程を行わない場合は重合後、脱揮工程によって共重合体溶液の溶媒を揮散させることが好ましい。脱揮工程は、例えば、ベント付き二軸押出機等で行う。ベントは複数あるものの方が好ましい。
脱揮工程での加熱温度は特に限定されないが200〜300℃程度で減圧下(減圧度10〜800hPa程度)で行うとよい。脱揮工程は、酸化防止剤や、金属亜鉛等の環化触媒失活剤を添加しながら行うことが好ましい。また、重合に用いた溶媒と共沸する化合物(例えば、トルエン等に対する水)を添加しながら行ってもよい。なお、本発明の製造方法で得られた共重合体溶液や環化工程後の共重合体溶液には残存単量体が低減されているので、濾過工程での昇圧や脱揮工程での汚れの付着等の問題を起こすことは少ない。
脱揮工程後、分子内環化(メタ)アクリル系重合体をベント付き押出機から排出する。必要に応じてペレタイザー等を用いてペレット化するとよい。その後は、用途に応じて、ペレットと必要な添加剤等からフィルムを製造することが可能である。
[本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系共重合体および分子内環化(メタ)アクリル系共重合体の特性]
本発明の製造方法の採用によって、得られる(メタ)アクリル系共重合体および分子内環化(メタ)アクリル系共重合体(以下、両者を併せて(メタ)アクリル系共重合体ということがある)における環構造を有するビニル系単量体の重合率を90%以上に高めることができた。特に後述する実施例3では99.9%という高い重合率を示した。一方、初期一括仕込みの場合は、後述する比較例で示すように80.6〜85.2%程度である。
このように環構造を有するビニル系単量体の重合率を高めることができたため、ほぼ均一な共重合組成の共重合体が得られていると考えられる。その結果、共重合組成の異なる共重合体の混合物ではMFRが小さくなりがちであるのに対し、本発明の製造方法で得られた(メタ)アクリル系共重合体は同レベルの分子量であってもMFRが大きく、流動性のよい成形性に優れたものとなる。この特性は、環化工程を経た分子内環化(メタ)アクリル系共重合体においても同様である。この流動特性を質量平均分子量Mwと240℃でのMFRとの関係で表すと、本発明の(メタ)アクリル系共重合体のMwとMFRは、いずれも下式(A)を満足する。
51−3Mw×10-4 ≦ MFR …(A)
初期仕込み一括重合を行った場合、得られる(メタ)アクリル系共重合体は流動性が小さいことが本発明者等によって見出されており、上式を満足することはできない。MwとMFRのより好ましい関係式は、次式(B)である。
51−3Mw×10-4 ≦ MFR ≦ 75−3Mw×10-4… (B)
図1は、後述する実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系共重合体のMwとMFRをプロットしたものである。本発明例はいずれも(A)式および(B)式を満足しているのに対し、比較例のプロットである比較1〜4は(A)式を満たしていないことが明らかである。(A)式、あるいは(B)式を満足するということは、上記の通り、Mwが大きくても良好な流動性を示すということであるので成形性に優れており、しかも高Mwに由来して可撓性かつ強度に優れたフィルムが得られるという効果を示す。
本発明の(メタ)アクリル系共重合体のMwは、成形性や取扱い性、フィルム物性等の観点から、10万〜20万程度が好適である。なお、MwおよびMFRの測定方法は、実施例で詳述する。
また、本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル系共重合体は、環構造を有するビニル系単量体の残存率が低い。具体的には、(メタ)アクリル系共重合体中に含まれる環構造を有するビニル系単量体およびその分解物の合計量が3000ppm(質量基準)以下であることが好ましい。環構造を有するビニル系単量体およびその分解物の定量は、例えば、ガスクロマトグラフィー等で行うことができる。例えば、環構造を有するビニル系単量体としてN−ビニルカルバゾールを用いた場合は、N−ビニルカルバゾールと、カルバゾールについて定量し、その合計が3000ppm以下であれば、本発明の(メタ)アクリル系共重合体に包含される。
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下では特にことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示し、「ppm」は質量基準である。
物性評価方法は、以下の通りである。
[N−ビニルカルバゾールの重合率]
重合溶液中の残存N−ビニルカルバゾールを、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC2010)で定量し、重合率を算出した。
[Mw]
共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および条件は以下の通りである。
システム:東ソー社製
カラム:TSK−GEL superHZM−M 6.0×150 2本直列
TSK−GEL superHZ−L 4.6×35 1本
リファレンスカラム:TSK−GEL superH−RC 6.0×150 2本直列
溶離液:クロロホルム 流量 0.6mL/分
カラム温度:40℃
[MFR(g/10min)]
JIS K7210のメルトマスフローレイトの試験方法B法に基づき、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
[共重合体の着色度:YI]
共重合体をクロロホルムに溶解させ、15%溶液とした後、このクロロホルム溶液の色相(YI)を、色差計(日本電色工業社製:ZE6000)で測定した。
[カルバゾールの含有量(ppm)]
共重合体中に含まれるカルバゾール量は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC2010)で求めた。
実施例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸(MHMA)10部、メタクリル酸メチル(MMA)24部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)4部、N−ビニルカルバゾール(NVCz)5部およびトルエン43部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製;「ルペロックス(登録商標)570」)0.04部を添加し、同時に、MHMA15部、MMA36部、BMA6部、トルエン57部およびt−アミルパーオキシイソノナノエート0.17部の混合物の滴下を開始した。この混合物を8時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行った。
得られた共重合体溶液に、リン酸ステアリル(堺化学工業社製;商品名「Phoslex A−18」)0.2部を添加し、80℃〜105℃の還流下で2時間、環化縮合反応を行った。
次いで、得られた共重合体溶液を熱交換器に通して240℃まで昇温させ、バレル温度240℃、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で100部/時の処理速度で導入し、脱揮を行った。その際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を1.5部/時の投入速度で第2ベントの後ろから、イオン交換水を0.5部/時の投入速度で第3ベントの後ろから、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液は、5部の酸化防止剤(チバ・ジャパン社製;「イルガノックス(登録商標)1010」;ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)と、失活剤として80部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業社製;「ニッカオクチクス亜鉛」3.6%)とを、トルエン65部に溶解させて調製した。
上記脱揮工程後、樹脂(分子内環化メタクリル系共重合体)をペレット化して、樹脂No.1のペレットを得た。得られた樹脂No.1の物性を表1に示す。
得られた樹脂No.1のペレットを、ポリマーフィルター(濾過精度5μm)とTダイを備えた単軸押出機を用いて270℃で溶融押出し後、急冷して、厚さ150μmの未延伸フィルムを成膜した。そのまま130℃まで加熱して2.4倍に縦延伸を行った。得られた位相差フィルムNo.1−Fの平均膜厚は97μmであった。また、全自動複屈折計(王子計測機器社製:KOBRA−WR)を用いて位相差とその波長分散性を測定したところ、波長590nmでの面内位相差は145nm、厚み位相差は72nmであった。また、[447nmでの面内位相差/590nmでの面内位相差]は0.92、[750nmでの面内位相差/590nmでの面内位相差]は1.04であった。
実施例2
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA10部、MMA24部、BMA4部、NVCz5部およびトルエン29部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.13部を添加し、同時に、MHMA15部、MMA36部、BMA6部、トルエン38部およびt−アミルパーオキシイソノナノエート0.17部の混合物の滴下を開始した。この混合物を8時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行った。
得られた共重合体溶液を用いて、実施例1と同様にして環化縮合反応を行った。また、その後、実施例1と同様にして、脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂No.2の物性を表1に示す。
実施例3
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA15部、MMA26.8部、アクリル酸メチル(MA)10部、NVCz6.4部、トルエン37部およびメタノール2部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、95℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富社製;「ルペロックス(登録商標)575」)0.06部を添加し、同時に、MHMA15部、MMA26.8部、トルエン43部およびt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.15部の混合物の滴下を開始した。この混合物を8時間かけて滴下しながら、還流下、約90℃〜100℃で溶液重合を行った。
得られた共重合体溶液を用いて、実施例1と同様にして環化縮合反応を行った。また、その後、実施例1と同様にして脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂No.3の物性を表1に示す。
実施例4
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA13部、MMA22.25部、メタクリル酸エチル(EMA)12.5部、NVCz4.5部、トルエン32部およびメタノール2.3部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、95℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.03部を添加し、同時に、MHMA13部、MMA22.25部、EMA12.5部、トルエン32部およびt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.24部の混合物の滴下を開始した。この混合物を8時間かけて滴下しながら、還流下、約90℃〜100℃で溶液重合を行い、さらに14時間加熱撹拌して、熟成させた。
得られた共重合体溶液を用いて、実施例1と同様にして環化縮合反応を行った。また、その後、実施例1と同様にして脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂No.4の物性を表1に示す。
実施例5
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MMA38部、NVCz5部およびトルエン29部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.17部を添加し、同時に、MMA57部、トルエン53部およびt−アミルパーオキシイソノナノエート0.17部の混合物の滴下を開始した。この混合物を8時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行った。
その後、環化工程を行うことなく、実施例1と同様にして脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂No.5の物性を表1に示す。
実施例6〜16
実施例1の重合開始剤の量を変更した実施例6〜8により、樹脂No.6〜樹脂No.8を得た。実施例3の重合開始剤の量を変更した実施例9〜14により、樹脂No.9〜樹脂No.14を得た。実施例4の重合開始剤の量を変更した実施例15、16により、樹脂No.15、樹脂No.16を得た。これらの樹脂について、実施例1〜5で得られた樹脂No.1〜5と、後述する比較例1〜4で得られた樹脂No.17〜20(比較1、比較2、比較3、比較4)と共に、Mwに対するMFRをプロットしたグラフを図1に示した。
比較例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA25部、MMA60部、BMA10部、NVCz5部およびトルエン100部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.06部を添加し、同時に、トルエン8部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.12部を溶解させた溶液の滴下を開始した。この溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに、4時間加温して撹拌を続けた。
得られた共重合体溶液を用いて、実施例1と同様にして環化縮合反応を行った。また、その後、実施例1と同様にして脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂No.17(比較1)の物性を表1に示す。
比較例2
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA30部、MMA62部、NVCz8部およびトルエン100部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.06部を添加し、同時に、トルエン8部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.12部を溶解させた溶液の滴下を開始した。この溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに、4時間加温して撹拌を続けた。
得られた共重合体溶液を用いて、実施例1と同様にして環化縮合反応を行った。また、その後、実施例1と同様にして脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂No.18(比較2)の物性を表1に示す。
比較例3
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA22部、MMA71.5部、NVCz6.5部およびトルエン100部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、100℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.06部を添加し、同時に、トルエン8部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.12部を溶解させた溶液の滴下を開始した。この溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに、4時間加温して撹拌を続けた。
得られた共重合体溶液を用いて、実施例1と同様にして環化縮合反応を行った。また、その後、実施例1と同様にして脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂No.19(比較3)の物性を表1に示す。
比較例4
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA25部、MMA49部、BMA20部、NVCz6部およびトルエン100部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.06部を添加し、同時に、トルエン8部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.12部を溶解させた溶液の滴下を開始した。この溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに、4時間加温して撹拌を続けた。
得られた共重合体溶液を用いて、実施例1と同様にして環化縮合反応を行った。また、その後、実施例1と同様にして脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂No.20(比較4)の物性を表1に示す。
本発明は、光学フィルムとして有用な、環構造を有するビニル系単量体と(メタ)アクリル系単量体を必須単量体成分とする共重合体を製造する方法として好適に使用できる。

Claims (7)

  1. 下記式(1)〜(4)のいずれかで表される単量体および(1)で表される単量体以外の複素環とビニル基とを有する単量体よりなる群から選択される1種以上の環構造を有するビニル系単量体と、(メタ)アクリル酸エステルおよび/または下記式(5)で表される単量体とからなる(メタ)アクリル系単量体とを含む単量体成分を、ラジカル溶液重合で重合することにより(メタ)アクリル系共重合体を製造する方法であって、
    上記環構造を有するビニル系単量体は、その一部または全部を重合開始前に重合容器内に仕込むと共に、
    上記(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリル系単量体100質量%中、70質量%以下を重合開始前に重合容器内に仕込み、残部を逐次添加することを特徴とする(メタ)アクリル系共重合体の製造方法。
    (上記式(1)中、R1〜R8は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
    (上記式(2)中、R9〜R17は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
    (上記式(3)中、R18、R19は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を、nは1〜3の整数を表す。)
    (上記式(4)中、R20〜R27は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
    (上記式(5)中、R28、R29は、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
  2. 上記逐次添加が、分割添加または滴下である請求項1に記載の(メタ)アクリル系共重合体の製造方法。
  3. 上記環構造を有するビニル系単量体と、上記(メタ)アクリル系単量体との合計100質量%中、環構造を有するビニル系単量体が0.1〜50質量%である請求項1または2に記載の(メタ)アクリル系共重合体の製造方法。
  4. 上記式(1)〜(4)のいずれかで表される単量体および(1)で表される単量体以外の複素環とビニル基とを有する単量体よりなる群から選択される1種以上の環構造を有するビニル系単量体と、(メタ)アクリル酸エステルおよび/または上記式(5)で表される単量体とからなる(メタ)アクリル系単量体とを含む単量体成分を、ラジカル溶液重合で重合して得られる(メタ)アクリル系共重合体であって、
    該共重合体の重量平均分子量をMw、240℃でのメルトフローレイトをMFRとしたときに、51−3Mw×10-4 ≦ MFRであることを特徴とする(メタ)アクリル系共重合体。
  5. 上記環構造を有するビニル系単量体およびその分解物の含有量が合計で3000ppm以下である請求項4に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
  6. 重量平均分子量Mwが10万〜20万である請求項4または5に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
  7. 上記環構造を有するビニル系単量体と、上記(メタ)アクリル系単量体との合計100質量%中、環構造を有するビニル系単量体が0.1〜50質量%である請求項4〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリル系共重合体。
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