JP2006241248A - 高分子複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高分子材料に容易に混合され、かつそのマトリックス中で均一、微小に分散し得るように改質されたカーボンナノチューブを用い、高機械強度、高導電性、高透明性、高熱伝導性等の特性を有する高分子複合体を提供することを課題とする。
【解決手段】 高分子マトリックス(A)中に、下記一般式(1)で示される化学構造を最表面に有する反応性カーボンナノチューブ(b1)と、活性水素基を有する高分子(b2)を反応させることにより得られた高分子被覆カーボンナノチューブ(B)を含有することを特徴とする高分子複合体である。
【化1】

(但し、式中C,C,Cは、それぞれカーボンナノチューブを構成する炭素原子であり、nは、0〜5の整数である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子マトリックス中にカーボンナノチューブを含有してなる高分子複合体に関するものであり、特に、カーボンナノチューブ表面を有機高分子が結合をなして強固に被覆してなる新規なカーボンナノチューブ誘導体を含有してなる高分子複合体に関するものである。
近年、高分子材料に炭素繊維を分散してなる複合材料が、種々の用途に好適に用いられている。
その大きな理由のひとつとして高分子の成形性や軽量性などの特徴を生かしつつ、炭素繊維混合により導電性付与や機械的強度の向上が可能となることが挙げられる。さらに、近年、繊維径が0.5〜100nmに細められたカーボンナノチューブが開発されており、このものを用いた場合には比較的少ない添加量にて、上述したような複合効果が期待できることから、従来の炭素繊維に代わる充填剤として有望視されている。
このカーボンナノチューブを高分子材料に複合化させる主な方法としては、エクストルーダーやニーダーなどを用いた熱溶融した熱可塑性高分子への混練と、ミルを用いた高分子溶液、もしくはモノマーや反応性ポリマーへの分散が挙げられる。いずれの方法でもカーボンナノチューブの嵩比重が0.005〜0.05g/cm程度と低いゆえに、比重が1に近い材料への混合が極めて困難である。
これを解決すべく、特許文献1や2では、あらかじめ所望の形状に成型したマット状カーボンナノチューブに高分子モノマーを圧力下強制充填し、その後重合させる方法が開示されている。また特許文献3では、カーボンナノチューブ凝集体にあらかじめ担持させた触媒によりモノマーを重合させ、高分子の生成に伴い複合化する技術が開示されている。また、カーボンナノチューブを改質させる観点から、特許文献4〜6においては、ポリエチレングリコール(PEG)などの結合剤を用い、カーボンナノチューブを凝集させ、嵩密度を0.1程度に増加させた粒子を混練させる方法が開示されている。
上述した高分子複合体の導電性や力学特性は、カーボンナノチューブの分散状態に依存することは明白であり、高分子マトリックス中で均一かつ微小な分散粒子を形成していることが望ましい。しかしカーボンナノチューブは繊維形状であるため、繊維同士を集合させて凝集体を形成すると、相互に絡まりやすく、このため凝集が強固であり、高分子材料中で各繊維を好ましい状態に分散させることが極めて困難である。その結果として、得られた複合体においては、部位特異的な電気抵抗の変化や、粗分散領域が弱点となった機械的強度の低下などが発現される。複合体に対するこれらの分散の影響は、熱伝導性や電磁波吸収能についても同様であり、さらには光散乱による透明性の低下など光学特性への影響も現れる。
分散性の向上は、カーボンナノチューブとマトリックスとの界面の濡れ性を良好にし、相互作用を高めることで達成され、その解決のためにカーボンナノチューブ表面の改質が検討されている。
特許文献7〜9では、種々の有機官能基を有するカーボンナノチューブ、およびその製造方法について開示されている。また特許文献10ではこれらの有機官能基を導入したカーボンナノチューブを用いた高分子複合体について開示されている。また特許文献11および12ではカルボキシル基、ケト・アルデヒド基、水酸基などの酸素含有官能基を表面に有するカーボンナノチューブを用いた高分子複合体、さらに特許文献13ではその製造方法が開示されている。また、特許文献14においては、気相酸化剤を用い酸化生成物を導入した多層カーボンナノチューブの製造法が開示されている。
特許第2862227号公報 特許第3516957号公報 特表2001−521984号公報 米国特許第5691054号公報 米国特許第5643502号公報 米国特許第5846658号公報 特表平11−502494号公報 特表2002−503204号公報 米国特許第6203814号公報 国際公開WO03/038837号公報 米国特許第5611964号公報 米国特許第5965470号公報 米国特許第6464908号公報 特表2003−505332号公報
しかしながらカーボンナノチューブマットを用いる特許文献1および2記載の高分子複合体の製造方法では、繊維の均一かつ微小分散は実質的に不可能であり、カーボンナノチューブ凝集体の特性が支配的な高分子複合体のみが得られる。従ってカーボンナノチューブを低い割合で含有させ、高分子材料の特徴を生かした複合体を製造することはできない。また、高分子材料のマットへの含浸粘度制限やマット形状に依存した成型精度などにより、あらかじめカーボンナノチューブを含有させた高分子の射出成型、マクロマー、モノマーなどにカーボンナノチューブを配合することによる重合成型、高分子溶液などのモールドキャストに比較して、成形性は極めて低くかつ製造工程は複雑となる。さらに二次加工なしで薄膜、微細成形体が得られないなどの制限がある。
また、特許文献3に記載の製造方法は、重合触媒の分布に従い高分子マトリックスの重合度が不均一となり、かつ界面相互作用のほとんどない複合体を与える。従って、カーボンナノチューブの力学特性を生かした複合体や、導電性、透明性を高めた良分散体を得ることが極めて困難である。
特許文献4〜6に記載のカーボンナノチューブ結合体は、その高分子複合化に対して嵩比重増加の効果により有効となるが、複合後において結合剤の分子間力が凝集体分散と界面相互作用を妨げるため、力学特性、導電性、透明性などを高めた高分子複合体を与えることができない。
特許文献7〜9に記載のカーボンナノチューブ誘導体は、官能基が及ぼすマトリックスとの相互作用がごく近距離かつ微小なものである。この相互作用を遠距離範囲まで高めるために官能基を構造変換することは、化学的な安定性ゆえに、活性化などにより工程が複雑となり工業レベルでの生産が非常に困難である。必然的に、このような官能化カーボンナノチューブを用いた特許文献10に記載の高分子複合体は、カーボンナノチューブの力学的特性をほとんど反映していないものとなってしまう。
特許文献11、12、および14に記載の高分子複合体、または特許文献13に記載の製造方法で得られた高分子複合体は、上記と同様に、マトリックスとの相互作用が、ごく近距離でしか発揮されないゆえに、カーボンナノチューブの力学的特性をほとんど反映していないものとなる。特に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの非極性高分子をマトリックスに用いた場合、これら官能基の高極性から相互作用は極めて低く複合効果は全く得られない。酸化官能基は高分子複合体において、カーボンナノチューブ間のそれを高める働きが強く、カーボンナノチューブを凝集させる傾向にある。従って、均一かつ微細な分散が極めて困難となり、導電パスの形成不良、光散乱体の形成などにより導電性や光学的透明性の低い高分子複合体を与える。さらにカーボンナノチューブの凝集体は、高分子複合体の成型品における表面平滑性を低下させ、摩擦による脱落粒子の増加、電気的接触の不良など実用途の妨げの要因となる。
上述したような従来技術における課題を解決するためには、凝集体ないしは集合体といった形態においてカーボンナノチューブ相互の強力な結合を示す一方で、高分子中に配合され複合体を形成した際において、そのマトリックス中において良分散するという相反する性能を同時に満足させる新たな技術が必要となってくる。
従って本発明の課題は、高分子材料に容易に混合され、かつそのマトリックス中で均一、微小に分散し得るように改質されたカーボンナノチューブを用い、高機械強度、高導電性、高透明性、高熱伝導性等の特性を有する高分子複合体を提供することにある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、カーボンナノチューブの製造時において生じた表面欠陥を利用し、酸化処理を施すことによって、これらの部位に酸無水物構造を形成した反応性カーボンナノチューブを調製し、この反応性カーボンナノチューブと活性水素含有高分子を反応させることで形成した高分子被覆カーボンナノチューブは、各種高分子に対し優れた分散特性を有し、機械強度、導電性、透明性、熱伝導性等の特性に優れた複合体を提供できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、高分子マトリックス(A)中に、下記一般式(1)で示される化学構造を最表面に有する反応性カーボンナノチューブ(b1)と、活性水素基を有する高分子(b2)を反応させることにより得られた高分子被覆カーボンナノチューブ(B)を含有することを特徴とする高分子複合体である。
(但し、式中C,C,Cは、それぞれカーボンナノチューブを構成する炭素原子であり、nは、0〜5の整数である。)
本発明はまた、前記高分子被覆カーボンナノチューブ(B)が、高分子複合体全体の0.05〜60質量%の割合で含有されていることを特徴とする上記高分子複合体を示すものである。
本発明はさらに、前記活性水素基を有する高分子(b2)が、水酸基、アミノ基、チオール基およびカルボキシル基からなる群から選択されてなる少なくともいずれか1種の活性水素基を有する高分子である上記高分子複合体を示すものである。
本発明はさらに、前記活性水素基を有する高分子(b2)が、セルロース誘導体である上記高分子複合体を示すものである。
本発明はまた、導電性材料、高力学強度材料、光学材料等として用いられる上記高分子複合体を示すものである。
本発明に係る高分子複合体は、そのフィラーであるカーボンナノチューブとして、表面に有していた活性の高い反応性分子団(酸無水物)の解裂を伴い、エステル、チオエステル、アミド、酸無水物などの結合を介して、カーボンナノチューブ表面に高分子鎖が強固に結合した特徴的な構造を有する高分子被覆カーボンナノチューブを含有している。この高分子被覆カーボンナノチューブは、上記の共有結合を介して被覆高分子とカーボンナノチューブが強く相互作用しているために、高分子マトリックスへと複合化された際、被覆高分子が高分子マトリックスに相溶ないし分散することで、カーボンナノチューブも被覆高分子に引きずられる形で分散し、結果的に、高分子マトリックス中に容易に均一かつ微小に分散する。このような高分散性は、高分子複合体の導電性、機械的強度、透明性、熱伝導性等を高めるため、本発明に係る高分子複合体は、当該特性を必要とする材料として好適に用いることができるものとなる。
以下、本発明を実施形態に基づき、詳細に説明する。
本発明に係る高分子複合体は、上記したように、高分子マトリックス(A)中に、以下に詳述するような高分子被覆カーボンナノチューブ(B)を含有することを特徴とする高分子複合体である。
ここでまず、本発明において用いられる高分子被覆カーボンナノチューブ(B)につき説明する。
本発明において用いられる高分子被覆カーボンナノチューブ(B)は、下記一般式(1)で示される化学構造を最表面に有する反応性カーボンナノチューブ(b1)と、活性水素基を有する高分子(b2)を反応させることにより得られるものである。
(但し、式中C,C,Cは、それぞれカーボンナノチューブを構成する炭素原子であり、nは、0〜5の整数である。)
このような表面化学特性を有する反応性カーボンナノチューブ(b1)は、一般的な合成方法に従ってカーボンナノチューブを形成し、これを精製する以前の欠陥を有する状態において酸化処理を施すことによって、比較的容易に調製することができる。
カーボンナノチューブを製造する上での、原料有機化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素(CO)、エタノール等のアルコール類などが使用できる。雰囲気ガスには、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性ガスや水素を用いることができる。また、触媒としては、鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属あるいはフェロセン、酢酸金属塩などの遷移金属化合物と硫黄あるいはチオフェン、硫化鉄などの硫黄化合物などを使用することができる。
具体的には、例えば、例えば、フェロセンを触媒として、原料供給と排出を循環させた系で、原料有機化合物、例えば、トルエンと水素の混合物を、800〜1400℃、好ましくは850〜1200℃で、熱分解して、カーボンナノチューブを合成し、生成したカーボンナノチューブを酸素存在下に600〜1800℃、好ましくは800〜1200℃で加熱することによって得ることができる。
熱分解時触媒活性が高いと生成したカーボンナノチューブのグラフェン構造に欠陥が少なくなり、その後の酸素との熱処理で酸無水物が生成しにくくなる。この触媒活性は、例えば、フェロセンのような遷移金属ないし遷移金属化合物に、例えば、チオフェンのような硫黄ないし硫黄化合物を所定量添加することで適宜調整することができ、カーボンナノチューブに酸無水物を導入すべく、欠陥を生成させることができる。この欠陥は、カーボンナノチューブ上に存在する非グラフェン炭素や、繊維軸に直交する断面の多角形の頂点に存在し、上記熱分解により効率的に生成する。
なお、この欠陥の割合は、ラマン分光分析における1350cm−1と1580cm−1におけるシグナル強度の比(I/I)が0.2〜10、より好ましくは、0.5〜7であることが望ましい。ここで、ラマン分光分析においては、欠陥のない大きな単結晶の黒鉛では1580cm−1のピーク(Gバンド)しか現れない。結晶が格子欠陥を有することや有限の微小サイズであることにより、1350cm−1のピーク(Dバンド)が出現するものである。(I/I)が0.2未満では、後の酸化処理において、十分な酸無水物構造を導入できず、一方、10より大きいと、カーボンナノチューブ自身の高強度、高導電性、高熱伝導性などの特徴的な特性が失われる。
酸素処理温度は、カーボンナノチューブに酸無水物構造を導入する上で、重要な制御因子であり、酸素濃度に関わらず上記600〜1800℃の範囲を外れると、酸無水物構造は、ほとんど生成しない。酸無水物の生成割合は、酸素濃度と処理時間を適宜調整することで、上記欠陥に対する導入割合で制御することができる。これらの条件の好ましい範囲としては、それぞれ1ppm〜3000ppm、および1〜60分である。これらの条件の下限値より低い条件で処理した場合、最終的に得られる高分子複合体の特性が満足できるものとはならない。上記範囲内で酸無水物の生成割合は、酸素濃度と処理時間に比例するが、上限値で一定となるためそれ以上の条件で処理することは製造効率を低減させることとなる。
以上に示したような工程で導入された酸無水物のカルボニル基間の構成炭素(式(1)中のC,C,C)は、カーボンナノチューブの構成炭素であり、その数は2〜5であり、6以上の酸無水物は一般式(1)に示される環構造のひずみが大きく実質生成していない。
また、本発明に係る反応性カーボンナノチューブにおいて、上述されるようにして、その表面に導入された酸無水物の量としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ加水分解後中和滴定で検出される水酸化ナトリウム当量としてカーボンナノチューブ1 g当たり1マイクロモル〜1ミリモル程度であることが望ましい。その量が1マイクロモルより少ないと、後述するようにしてその表面に高分子鎖を結合させたとしても凝集粒子を形成する際における十分な結合力また最終的な複合体における良好な分散性を付与することができなくなる虞れがあり、一方、その量が1ミリモルより多いと、カーボンナノチューブ自身の高強度、高電導性、高熱伝導性などの特徴的な特性が失われる虞れがあるためである。
上述したような反応性カーボンナノチューブ(b1)の最表面に存在する酸無水物は、活性水素と良好に反応するため、このような活性水素基を有する高分子(b2)を用いることで高分子被覆カーボンナノチューブ(B)が得られる。
すなわち、上記一般式(1)で示される酸無水物は、活性水素を有する高分子(b2)と、代表的には、次の反応式(2)に従い、反応させることができる。
(但し式中、式中C,C,Cは、それぞれカーボンナノチューブを構成する炭素原子、nは、0〜5の整数、GはOH、SH、NH、COOHなどの活性水素基、Polymerは被覆高分子、GはO(エステル結合)、S(チオエステル結合)、NH(アミド結合)、OCO(酸無水物)などの結合原子ないし結合原子団、Polymerは被覆高分子、GはOHまたはG−Polymerを示す。)
この反応により、反応式(2)に示すように、高分子の有していた水酸基、チオール基、アミノ基およびカルボキシル基などの活性水素基により、エステル、チオエステル、アミド、酸無水物などの結合を介し、カーボンナノチューブと被覆高分子が強固に結合させられる。この結合力は、カーボンナノチューブ表面に存在する酸無水物と被覆高分子の活性水素量に依存する。上記酸無水物導入条件下における被覆高分子の活性水素量は、高分子の単位繰返し構造当たり0.1以上、より好ましくは、0.2〜5であることが好ましい。
なお、活性水素基としては、前記酸無水物と高い反応性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、上述した水酸基、チオール基、アミノ基およびカルボキシル基のうちの1種または2種以上を含むものであることが望ましい。
このような被覆高分子(b2)としては、特に限定されるものではないが、例えば、グルコース、フルクトース、シクロデキストロリンなどの糖類、メチル基、エチル基、ヒドロキシプロピル基で水酸基を置換したセルロース誘導体、ポリアリルアミン、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メルカプトエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート)などのポリ(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ポリ(4−アミノスチレン)、ポリ(4−アミノメチルスチレン)、ポリ(4−メルカプトスチレン)などのポリスチレン誘導体、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸などが挙げられる。
また、被覆高分子(b2)としては、例えば、カーボンナノチューブとの結合を担う活性水素基を有するセグメントと、複合体を形成する際に高分子マトリックスに対し良好な相溶性、親和性等を発揮させるセグメントとを有するように分子設計された、ブロックないしグラフト型重合体を用いることも可能である。なお、このような、ブロックないしグラフト型重合体としては、A−B型ブロック共重合体、A−B型グラフト共重合体といった単純な構造のものに限られず、B−A−B型ブロック共重合体、あるいはより高度な交互ブロック共重合体、櫛形グラフト共重合体、星型状グラフト共重合体などが含まれ得る。このようなブロックないしグラフト型重合体においては、カーボンナノチューブとの結合を担う活性水素基を有するセグメントとしては上述したような高分子鎖とし、他方のセグメントとしては、目的となる高分子マトリックスへの分散性等の特性に応じて、例えば、ポリアルキル構造、ポリアルキレン系構造、ポリエステル系構造、ポリエーテル系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリアルキレングリコール、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造、フッ素樹脂系構造、ポリシロキサン系構造のなどを有する高分子鎖として、従来公知の共重合法、グラフト重合法等によって調製することができる。
被覆高分子(b2)としては、上述したような高分子を単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。
なお、本発明の高分子複合体を調製する上で用いられる高分子被覆カーボンナノチューブ(B)として、広範な各種高分子マトリックス(A)に対して良好な分散性を有する汎用の製品を得る上では、特に限定されるものではないが、上述したようなアルキルないしヒドロキシアルキル置換セルロース誘導体、ポリビニルアルコールおよびその共重合体等を用いることが望ましい。
アルキルないしヒドロキシアルキル置換セルロース誘導体としては、特にそのアルキル化度が40%以上のものが好ましい。
また、このような被覆高分子(b2)の大きさとしては、特に限定されるものではなく、また、高分子の種類によっても異なるが、例えば、その重合度が20〜100万程度のものであることが望ましい。20よりも小さいものであるとカーボンナノチューブに対する十分な改質効果が期待できなくなる虞れが生じ、一方、100万よりも大きいものであるとカーボンナノチューブが本来有する導電性等の特性を損なう虞れが生じるためである。
これらの活性水素基含有高分子(b2)は、適当な良溶媒に溶解され、上記反応性カーボンナノチューブ(酸無水物含有カーボンナノチューブ)(b1)と混合することで、一般式(2)で示したように反応させることができる。この反応は室温(25℃±10℃)においても進行するが、加熱や、酸もしくは塩基触媒を添加することで反応速度を速めることができる。加熱温度は、被覆高分子の熱安定性にも依存するが、概して、150℃までは十分な加速効果が得られる。従って、加熱を行う場合には、40〜150℃の範囲の温度に設定することが好ましい。また、酸触媒としては、塩酸、三フッ化ホウ素などが、また塩基触媒としては、アンモニア、ピリジン、トリエチルアミンなどのいずれも揮発性物質が好ましい。
これらの反応条件により一モル当たりの酸無水物に導入される活性水素官能基量が異なり、反応温度の上昇、反応時間の延長、触媒濃度の増加などで脱水反応を伴い、一般式(2)において、G−Polymerが二モル導入されることがある。
なお、得られる高分子被覆カーボンナノチューブ(B)において、そのカーボンナノチューブ(b1)と被覆高分子(b2)との割合は、使用する被覆高分子の種類によっても左右されるが、例えば、質量比でカーボンナノチューブ1に対し、被覆高分子が0.01〜20程度となることが望ましい。被覆高分子の割合が、0.01よりも小さいものであるとカーボンナノチューブに対する十分な改質効果が期待できなくなる虞れが生じ、一方、20よりも大きいものであるとカーボンナノチューブが本来有する導電性等の特性を損なう虞れが生じるためである。
このようにして得られたカーボンナノチューブの高分子被覆体は、その被覆高分子によって繊維間の結合力が高められ、例えば、一般的な造粒操作により嵩密度の高められた凝集粒子を製造することができる。この凝集力は、被覆する高分子にもよるが、嵩比重が0.005〜0.03のカーボンナノチューブを、嵩比重が0.05〜0.2の凝集粒子を与える程度に高められる。
この嵩比重の増加は、高分子被覆のされていない、純然たるカーボンナノチューブでは全く不可能な高分子マトリックス(A)への溶融混練を可能かつ容易なものとする。さらに、マクロマー、モノマー、および高分子溶液への混合も純然たるカーボンナノチューブの場合と比較して容易となり、容積効率、混合時間の短縮に貢献することができる。
上記した高分子被覆カーボンナノチューブを用いて得られた上記凝集粒子は、高分子、マクロマー、モノマー、および高分子溶液中で良好に分散され、さらにこれら分散媒体中で凝集粒子が容易に自己分離し、カーボンナノチューブが繊維単位において系全体に良好に分散される。
例えば、高分子マトリックス(A)として、熱可塑性高分子を用いる場合、その溶融体へエクストルーダーやニーダーなどの適当な混練・攪拌装置を用いて、この凝集粒子を混練し、高分子複合体を製造することができる。
ここで用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレン、ポリエチレンスルファイド、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロアルコキシエチレン、ポリジメチルシロキサン、ABS樹脂、ポリアクリルニトリルなどが挙げられる。
マクロマーやモノマーを用いる場合、ボールミル、振動ミル、もしくはロールミルなどの適当な混合装置を用い、上記凝集粒子を分散させ、その分散体を重合させることで高分子複合体を製造することができる。ここで用いられるマクロマー、モノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなどのエポキシ誘導体、不飽和ポリエステル、フェノールノボラック、1,4−ジヒドロキシブタンとキシリレンジイソシアネートなどのポリオールとポリイソシアネートからなるポリウレタン原料、(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、スチレンおよびその誘導体などが挙げられる。
また高分子溶液の場合、上記凝集粒子をボールミル、振動ミルなどの適当な混合、攪拌装置を用いて分散させ、これをキャストすることにより、主にフィルム状高分子複合体の製造に応用できる。ここで用いられる高分子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
また、高分子マトリックス(A)としては、接着剤、繊維、塗料、インキ等の各種組成物の形態であってもよい。
すなわち、マトリックスが、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、フェノール系接着剤、ポリエステル系接着剤、塩化ビニル系接着剤、ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、オレフィン系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ホットメルト系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ゴム系接着剤及びセルロース系接着剤等の接着剤、アクリル繊維、アセテート繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、ノボロイド繊維、セルロース繊維、ビスコースレーヨン繊維、ビニリデン繊維、ビニロン繊維、フッ素繊維、ポリアセタール繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維及びポリプロピレン繊維等の繊維、さらにフェノール樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料エポキシ樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、不飽和ポリエステル系塗料、ポリウレタン系塗料、シリコーン系塗料、フッ素樹脂系塗料、合成樹脂エマルジョン系塗料等の塗料であってよい。
また本発明の高分子複合体においては、前記のような高分子マトリックス(A)に前述の高分子被覆カーボンナノチューブ(B)が、有効量含まれるが、その量は、複合体の用途やマトリックスとして用いられた高分子によっても異なるが、高分子複合体全体の約0.05〜約60質量%、より好ましくは、約0.1〜約40量%の割合である。0.05質量%未満では、構造材としての強度の補強効果が小さく、電気導電性も十分でない。一方、60質量%より多くなると、逆に強度が低下し、光学的特性、さらに、塗料、接着剤等の接着性も悪くなる。
さらに、本発明の高分子複合体には、必要に応じて、例えば、顔料、染料といった着色剤、安定化剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、難燃化剤、可塑剤、帯電防止剤、滑材等の通常の高分子複合体中に配合され得る各種添加剤を含むことができる。さらに、本発明の高分子複合体には、上述した高分子被覆カーボンナノチューブ(B)に加えて、その特性を大きく損なわない限度において、他の充填剤を含んでいてもよく、そのような充填剤としては例えば、金属微粒子、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられ、これらを一種または二種以上組み合わせて用いることができる。
いずれの方法により得られた高分子複合体も、導電性、熱伝導性、機械的強度、透明性等の諸特性に優れ、それぞれの特性を生かした用途で好適に用いることができる。これはすなわち、高分子マトリックス中に高分子被覆カーボンナノチューブが均一かつ微細に分散していることを反映した結果である。
本発明に係る高分子複合体の用途を、その機能別に具体例を示すと、次のようなものが例示されが、もちろん、これらに何ら限定されるものではない。
1)導電性を利用するもの
導電性樹脂及び導電性樹脂成型体として,例えば包装材、ガスケット、容器、抵抗体、導電性繊維、電線、接着剤、インク、塗料等に好適に用いられる。なお、これらと同様の用途においては、高分子複合体の熱伝導性を利用して用いる場合もある。
2)高力学強度特性を利用するもの
摺動性を高めるために樹脂に混合してロール、ブレーキ部品、タイヤ、ベアリング、潤滑油、歯車、パンタグラフ等に利用する。また、軽量で強靭な特性を活かして電線、家電・車輌・飛行機等のボディ、機械のハウジングに利用できる。
3)光学特性を利用するもの
本発明に係る高分子複合体においては、上述したように高分子被覆カーボンナノチューブが均一かつ微細に分散されその透明性等の光学特性にも優れたものであるから、例えば、レンズ、プリズム、フィルター、透明導電膜、記録媒体基板等として用いることができる。
その他、高分子複合体の電磁波遮蔽性を利用して、電磁波遮蔽性塗料や成形して電磁波遮蔽材等としても応用可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例と比較例で得られた重合体および高分子複合体の物性は、以下に示す方法に従って測定した。
1.熱重量天秤
マックサイエンス社製 TG−DTA 2000Sを用いてアルゴン雰囲気下、5℃/分の昇温で得られた重量減少曲線から求めた。
2.重量平均分子量
サンプルを0.02容量%の溶液に調製し、TOSOH製カラム TSK−GELGMHHR−H(S)HとRI検出器を備えた(株)センシュー科学製 GPC装置 SSC−7100を用い、流速 1ml/分、温度 140℃にて測定した。得られたクロマトグラムを標準ポリスチレン換算し、重量平均分子量を求めた。
3.電気抵抗
三菱化学社製 MCP−T600を用い、4端子法により測定した。
4.弾性率
ボーリンインスツルメンツ社製 Geminiを用い、厚さ1mmの試料を10Hzの加振下、5℃/分の昇温で得られる貯蔵弾性率から求めた。
5.光線透過率
日立製作所製紫外可視分光光度計 UV−330を用い、厚み1μmのフィルム試料の分光測定結果から求めた。
6.赤外線スペクトル
Continuum赤外顕微鏡を備えたサーモニコレーNexus670(サーモエレクトロン社製)を用い、反射モードにて測定した。
7.ラマン分光分析
ジョバンイボン製LabRam800を用い、アルゴンレーザーの514nmの波長を用いて測定した。
8.熱伝導性
試験片所定の形状に切り出し、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率(W/m/K)を測定した。
9.電磁波吸収性
電磁波無響暗箱中でアドバンテスト法にて100MHz〜10GHzの周波数範囲における減衰率(dB)を測定した。
[参考例1] 酸無水物含有カーボンナノチューブの調製
原料供給と排気が循環する環状加熱反応炉に、トルエン、水素、フェロセン、チオフェン(モル分率 2.67:97.2:0.054:0.031)からなる混合物を供給し、1200℃に加熱しながら循環させた。トルエンがほとんど消費されたところで生成したカーボンナノチューブをアルゴン気流下に取り出し、室温(25℃±10℃)に冷却した。ここで得られたカーボンナノチューブのI/Iは、2.1であった。次いで、このナノチューブを、アルゴン置換し、酸素濃度が1000ppmとなったところでアルゴン気流下に900℃に30分間加熱処理し、室温に冷却することで、嵩比重が0.008の酸無水物含有カーボンナノチューブを得た。この物質の反射赤外スペクトルを図1に示す。
[参考例2] カーボンナノチューブのエチルセルロール被覆体の製造
参考例1で得られた酸無水物含有カーボンナノチューブ800gとエチルセルロースの2質量%メタノール溶液1.2kgを混合し、転動式造粒機にて凝集粒子を形成した。湿潤状態にある凝集粒子より室温、減圧下でメタノールを除去し、その後120℃にて窒素雰囲気下で1時間加熱処理し、目的の高分子複合体を得た。この凝集粒子は、平均粒径500μm、嵩比重0.1を有しており、繊維間の結合力が高められていた。この凝集粒子の反射赤外スペクトルを図2に示す。アルゴン気流下におけるTG/DTA分析で室温〜400℃の間で、この凝集粒子は、2.8%の重量減少を示したことから、ほぼ定量的にエチルセルロースがカーボンナノチューブに結合していた。
[参考例3〜5] カーボンナノチューブの高分子被覆体の製造
表1に示す高分子と製造条件を用いた以外は、参考例2におけると同様にして、高分子被覆カーボンナノチューブを製造した。いずれの凝集粒子も平均粒径、嵩比重が高められており、繊維間の結合力が強められていた。
[実施例1]
参考例2で得られた高分子被覆カーボンナノチューブ5gとポリカーボネート95gを直径10mm×長さ20cmの二軸スクリュー型押出機を用い、280℃にて混練し、高分子複合体を得た。得られた複合体を薄膜切片にし光学顕微鏡にて観察したところ、それぞれの繊維が明瞭であり、良好な分散状態を示していた。この高分子複合体の体積電気抵抗は114Ω・cm、100μm肉厚のシートの光線透過率は86%であり、カーボンナノチューブの良好な分散状態を反映していた。図3にこの透過顕微鏡写真(倍率250倍)を示す。
[実施例2]
参考例3で得られた高分子被覆カーボンナノチューブ1gとポリプロピレン99gを直径10mm×長さ20cmの二軸スクリュー型押出機を用い、230℃にて混練し、高分子複合体を得た。得られた複合体の弾性率は30℃にて1.41GPaであり、純粋なポリプロピレンの弾性率(1.01GPa)と比較し、機械的強度が向上していた。
[実施例3]
参考例5で得られた高分子被覆カーボンナノチューブ3gと66−ナイロン97gを直径10mm×長さ20cmの二軸スクリュー型押出機を用い、340℃にて混練し、高分子複合体を得た。得られた複合体の熱伝導性は30℃にて9.8W/m/Kであり、純粋な66−ナイロンの熱伝導性(0.23)と比較し、熱伝導性が向上していた。
[実施例4]
参考例4で得られた高分子被覆カーボンナノチューブ10g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂75g、およびジシアンジアミド15gを自公転式混合機で室温〜40℃にて混練し、ガラス板に200μmの厚さで塗布し、170℃にて30分間加熱することで、硬化エポキシ樹脂の複合体皮膜を得た。この複合体の反射顕微鏡写真(倍率250倍)を図4に示す。図4に示す顕微鏡写真で観察したところ、カーボンナノチューブが比較的高含有率で含まれているにもかかわらず、各繊維がそれぞれ識別できる良好な分散性が示されていた。この複合体皮膜は、5.3GHzの電磁波を44dB減衰させ、純粋な当該エポキシ樹脂硬化皮膜の有する電磁波減衰率(0.23dB)と比較して、良好な電磁波吸収体となることがわかった。
[比較例1]
参考例1において熱処理を施すことなく得られた熱処理前のカーボンナノチューブ1gを用いて、実施例4と同様にして硬化エポキシ樹脂の複合体皮膜を製造した。この複合体の透過顕微鏡写真(倍率250倍)を図5に示す。図5に示す顕微鏡写真で観察したところ、カーボンナノチューブはこの複合体中で大きな凝集体を形成しており、ほとんど分散していなかった。この複合体は体積電気抵抗1.1×10Ω・cm、5.3GHzの電磁波減衰率1.4dBを示し、添加されたカーボンナノチューブの分散性が低いゆえに高分子相のみの物性に依存した特性を示した。
[比較例2]
参考例1において熱処理を施すことなく熱処理前のカーボンナノチューブに、結合剤としてポリエチレングリコール(PEG)(数平均分子量20000)を用い、参考例2と同様の方法で凝集粒子を製造した。この凝集粒子の嵩比重は0.15であり比較的軽く、わずかな応力で粒子が崩壊する結合力の弱いものであった。この凝集粒子3gをポリウレタン(1,4−ジヒドロキシブタンとキシレンジイソシアネートの等モル重付加体)97gとメチルエチルケトン490gの溶液にボールミルを用い分散させ、得られた懸濁液をガラス板に塗布した。溶媒を80℃にて蒸発除去した後、膜厚6μmの複合体薄膜を得た。この複合体薄膜の面積抵抗は8.6×10Ω/cmであり、分散状態の低さを反映するものであった。
[比較例3]
比較例2において調製した凝集粒子を、実施例1と同様の装置を用いて230℃にてポリプロピレンに混練させ、カーボンナノチューブ5%含有量の高分子複合体を得た。図6にこの高分子複合体の薄膜切片の透過顕微鏡写真(倍率250倍)を示す。図6に示したように、この高分子複合体においては、カーボンナノチューブは凝集体を維持しており、分散の低いものであった。またこの高分子複合体の体積電気抵抗は4.4×10Ω・cmであり、実施例1に記載の本発明に係る高分子複合体を用いた場合と比較して極めて低かった。また弾性率は0.86GPaであり、純粋なポリプロピレンの弾性率(1.01GPa)と比較し、劣化していた。これらの結果は、結合剤であるPEGがポリプロピレンと相溶性が低く、さらにカーボンナノチューブと強固に結合していないことを反映していた。
は、本発明の高分子複合体の調製に用いられる反応性カーボンナノチューブの一例に係る反射赤外スペクトルである。 は、本発明の高分子複合体を調製するにおいて用いられる高分子被覆カーボンナノチューブの一例に係る反射赤外スペクトルである。 は、本発明の高分子複合体の一実施例に係る高分子被覆カーボンナノチューブとポリカーボネートとの複合体の透過顕微鏡写真である。 は、本発明の高分子複合体の一実施例に係る高分子被覆カーボンナノチューブとエポキシ樹脂との複合体の反射顕微鏡写真である。 は、比較例のカーボンナノチューブとエポキシ樹脂との複合体の透過顕微鏡写真である。 は、比較例のカーボンナノチューブをPEGで凝集させた凝集体とポリプロピレンとの複合体の透過顕微鏡写真である。

Claims (7)

  1. 高分子マトリックス(A)中に、
    下記一般式(1)で示される化学構造を最表面に有する反応性カーボンナノチューブ(b1)と、活性水素基を有する高分子(b2)とを反応させることにより得られた高分子被覆カーボンナノチューブ(B)
    を含有することを特徴とする高分子複合体。
    (但し、式中C,C,Cは、それぞれカーボンナノチューブを構成する炭素原子であり、nは、0〜5の整数である。)
  2. 前記高分子被覆カーボンナノチューブ(B)が、高分子複合体全体の0.05〜60質量%の割合で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の高分子複合体。
  3. 前記活性水素基を有する高分子(b2)が、水酸基、アミノ基、チオール基およびカルボキシル基からなる群から選択されてなる少なくともいずれか1種の活性水素基を有する高分子である請求項1または2に記載の高分子複合体。
  4. 前記活性水素基を有する高分子(b2)が、セルロース誘導体である請求項1〜3のいずれか1つに記載の高分子複合体。
  5. 導電性材料として用いられるものである請求項1〜4のいずれか1つに記載の高分子複合体。
  6. 高力学強度材料として用いられるものである請求項1〜4のいずれか1つに記載の高分子複合体。
  7. 光学材料として用いられるものである請求項1〜4のいずれか1つに記載の高分子複合体。
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