JP2013243109A - 伝導性材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、容易な方法で高分子樹脂と炭素ナノチューブを化学的に結合させながらも高分子樹脂の表面に炭素ナノチューブが露出しない技術を提供することを目的とする。
【解決手段】カルボキシル基を有する炭素ナノチューブのネックワーク層に、アミン基を有する高分子樹脂が浸透したものであって、高分子樹脂と炭素ナノチューブとはアミド結合しており、計算された剥離指数が30%以下であり、計算された耐薬品性指数が10%以下である、伝導性材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、伝導性材料およびその製造方法に係り、特に、炭素ナノチューブを含む伝導
性材料およびその製造方法に関する。
炭素ナノチューブ(CNT)は、Iijimaによって最初に発見されて以来[S. Iiji
ma, Nature Vol. 354, P.56(1991)]、これに関する研究が盛んに行われている。炭素ナノ
チューブは、既存の材料では見られない約1.0〜1.8TPaの高い弾性率だけでなく
、真空状態で2800℃の温度にも耐えられる耐熱特性、ダイヤモンドの2倍に近い熱伝
導度、および銅に比べて約1000倍高い電流移送能力などの潜在的物性により、ナノス
ケールの電気素子、電子素子、ナノセンサー、光電子素子、および高機能複合材などの全
分野における応用可能性が非常に高いものと評価されている。
ところが、炭素ナノチューブは、長い円筒形の形状により高分子樹脂への分散が非常に
難しいという問題がある。よって、分散剤を使用することもあるが、分散剤を使用しても
依然として炭素ナノチューブの分散が難しい。
このため、従来の炭素ナノチューブを含む光電気化学素子などでは、炭素ナノチューブ
を高分子樹脂基材上に、スパッタリング法やイオンメッキ法、真空蒸着法などを含む物理
的気相蒸着法(PVD)または化学気相蒸着法(CVD)を用いて、高分子樹脂基材に積
層した。ところが、これは複雑な装置を必要とし、生産性が悪く、連続的且つ大きい基材
上に塗布することが難しいという欠点がある。
かかる問題点を解決するために、炭素ナノチューブが分散している第1分散体を基材上
に塗布し、溶媒を除去した後、高分子樹脂と溶媒を含有する第2分散体を塗布することに
より、第2分散体が炭素ナノチューブの三次元ネット構造に浸透し、これにより炭素ナノ
チューブの含有されたコーティングフィルムを製造する方法が開発されたことがある(日
本特許第3665969号)が、これは電子素子、電気素子などに適用されるときの薬品
または溶剤による処理により容易に離脱する致命的な問題がある。
また、−COOH基を有する炭素ナノチューブと−NH基を有する高分子樹脂フィル
ムの表面間の化学結合を用いた伝導性フィルムの製造方法が開発されたが(韓国特許10
−2006−0032812)、この場合、工程上で発生する表面摩擦などの機械的力に
よって、フィルムの表面に露出した炭素ナノチューブが容易に脱離するため、伝導性フィ
ルムの電気的特性(表面抵抗)に悪影響を与える。
そこで、本発明は、容易な方法で高分子樹脂と炭素ナノチューブを化学的に結合させな
がらも高分子樹脂の表面に炭素ナノチューブが露出しないことにより、表面摩擦の際に炭
素ナノチューブの脱離を防止するうえ、耐薬品性に優れるため、環境的な条件の変化があ
っても伝導性が維持される伝導性材料、およびその製造方法を提供することにある。
また、本発明は、炭素ナノチューブを均一に含みながら適切な表面抵抗を有することに
より、抵抗値に応じて帯電防止、静電気分散、および透明または不透明電極への応用が可
能な、電気的特性に優れた伝導性材料、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の好適な一態様によれば、アミン基(−NH2)を有する高分子樹脂に、カルボ
キシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブが化学結合され、下記数式1で計算さ
れた剥離指数が30%以下である伝導性材料を提供する。
[数式1]
Figure 2013243109
式中、R0は無処理の伝導性材料の表面抵抗であり、R1はテープが伝導性材料の表面に
10分間貼り付けられ、その後剥がされた、当該表面の表面抵抗である。
前記態様に係る伝導性材料は、下記数式2で計算された耐薬品性指数が10%以下であ
ってもよい。
[数式2]
Figure 2013243109
式中、R0は無処理の伝導性材料の表面抵抗であり、R2はエタノール中での1時間の浸
漬、エタノールからの取り出し、エタノール洗浄、およびその後の乾燥を含む処理後の伝
導性材料の表面抵抗である。
前記態様に係る伝導性材料では、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチュ
ーブが、高分子樹脂の固形分含量に対して0.001〜2重量%の量で用いられていてよ
い。
前記態様に係る伝導性材料は、10-2〜1011Ω/□の表面抵抗を有していてもよい。
また、本発明の好適な他の態様によれば、基材層上に、第1溶媒およびカルボキシル基
(−COOH)を有する炭素ナノチューブを含む第1分散体を塗布する段階と、塗布され
た第1分散体から溶媒を除去し、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチュー
ブのネットワーク層を形成する段階と、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノ
チューブのネットワーク層上に、第1溶媒およびアミン基(−NH2)を有する樹脂を含
む第2分散体を塗布して、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブのネ
ットワーク層に第2分散体を浸透させる段階と、基材層を剥離する段階と、アミン基(−
NH2)を有する樹脂とカルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブとの間
にアミド結合を形成させる段階とを含む、伝導性材料の製造方法を提供する。
前記態様に係る伝導性材料の製造方法において、アミン基(−NH2)を有する樹脂と
カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブとの間にアミド結合を形成させ
る段階は、基材層を剥離することにより得られるコーティングフィルムを、第2溶媒とア
ミドカップリング剤を含むカップリング液に浸漬させることにより行われ得る。
前記態様に係る伝導性材料の製造方法において、アミン基(−NH2)を有する樹脂と
カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブとの間にアミド結合を形成させ
る段階は、40〜400℃で1〜10℃/minの速度で昇温しながら0.5時間以上加
熱することにより行われ得る。
前記態様に係る伝導性材料の製造方法において、第1溶媒はアルコール、水、アセトン
、エーテルおよびトルエンの中から選ばれた1種または2種以上であってもよい。
前記態様に係る伝導性材料の製造方法において、カルボキシル基(−COOH)を有す
る炭素ナノチューブは酸処理によって製造されてもよい。
前記態様に係る伝導性材料の製造方法において、第2溶媒は、N−メチル−2−ピロリ
ドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)
、シクロヘキサノン、エタノール、メタノールおよびクロロベンゼンよりなる群から選ば
れた1種または2種以上であってもよい。
前記態様に係る伝導性材料の製造方法において、アミドカップリング剤は、1,3−ジ
シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド・HCl、およびジ−n−ヘキシルカルボジイミドの中から選ばれ
た1種または2種以上と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)とが混合された
ものであってもよい。
本発明によれば、炭素ナノチューブを容易に離脱しないように含んで耐薬品性または耐
溶剤性に優れた伝導性材料を提供することができる。
また、本発明によれば、炭素ナノチューブとの結着力に優れたポリイミドフィルムを容
易な方法で製造することが可能な伝導性材料の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、適切な表面抵抗を持っており、電気的特性に優れた伝導性材料
を提供することができる。
また、本発明によれば、炭素ナノチューブを所望の程度に均一に含むようにすることが
できるため、電気的特性に優れた伝導性材料の製造方法を提供することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の伝導性材料は、アミン基(−NH2)を含む樹脂に、カルボキシル基(−CO
OH)を有する炭素ナノチューブが化学結合され、高分子樹脂の表面に露出されず内部に
位置することにより、摩擦などの工程条件で安定し、溶剤などの薬品にも安定している。
このような本発明の伝導性材料は、下記数式1で計算された剥離指数が30%以下であ
ることが好ましい。
[数式1]
Figure 2013243109
式中、R0は無処理の伝導性材料の表面抵抗であり、R1はテープが伝導性材料の表面に
10分間貼り付けられ、その後剥がされた、当該表面の表面抵抗である。
また、本発明の伝導性材料は、下記数式2で計算された耐薬品性指数が10%以下であ
ることが好ましい。
[数式2]
Figure 2013243109
式中、R0は無処理の伝導性材料の表面抵抗であり、R2はエタノール中での1時間の浸
漬、エタノールからの取り出し、エタノール洗浄、およびその後の乾燥を含む処理後の伝
導性材料の表面抵抗である。
このような剥離指数および耐薬品性指数を満足する伝導性材料は、外部刺激による炭素
ナノチューブの脱離を防止して適切な表面抵抗を維持させることができるため、材料の伝
導性に影響を及ぼさない。
前記アミン基(−NH2)を有する樹脂は、高分子樹脂にアミン基(−NH2)が存在す
るものであれば特に限定されない。例えば、ポリイミド樹脂およびポリアミド樹脂などの
高分子樹脂にアミン基(−NH2)が存在するようにすることができる。すなわち、ポリ
イミド樹脂を例として挙げると、その方法において特に限定されるのではないが、例えば
、ジアミンとジアンヒドリドを溶媒下で重合させて製造されたポリアミド酸をイミド化す
るとき、温度などのイミド化条件を変化させてアミン基(−NH2)が残るように調節し
て使用することができる。すなわち、この場合、イミド化は80〜400℃の温度範囲で
1〜17時間熱を加えて行うことが好ましい。
参考として、ポリイミド樹脂は、不溶、不融の超高耐熱性樹脂であって、耐熱酸化性、
耐熱特性、耐放射線性、低温特性、および耐薬品性などに優れた特性を持っており、自動
車材料、航空素材、宇宙船素材などの耐熱先端素材、および絶縁コーティング剤、絶縁膜
、半導体、TFT−LCDの電極保護膜などの電子材料を含む広範囲な分野で使用されて
いる。本発明のポリイミドフィルムは、さらに電気的特性にも優れるため、透明電極およ
び帯電防止静電気防止剤などとしても活用できる。
一方、本発明の伝導性材料は、表面抵抗が10-2〜1011Ω/□であることが好ましい
このために、本発明の伝導性材料は、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノ
チューブの含量が高分子樹脂の固形分含量に対して0.001〜2重量%であることが好
ましい。
本発明の伝導性材料を製造するために、アミン基を有する樹脂は、アミン基が均一に分
布されるようにすることができ、その量も調節することができるので、化学結合されるカ
ルボキシル基を有する炭素ナノチューブの分布度および量を調節することができる。よっ
て、表面抵抗を調節することができ、全体的に均一に調節可能である。
本発明で使用する炭素ナノチューブは、特に限定されず、市販の製品を購入して使用し
、あるいは通常の方法によって製造して使用することができる。この際、炭素ナノチュー
ブの表面または末端にカルボキシル基(−COOH)を露出させなければならないので、
高純度の炭素ナノチューブが要求される。
前記表面または末端にカルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブは、市
販の製品を使用することもでき、あるいは炭素ナノチューブを高温(370℃前後)で1
時間熱処理し、塩酸に入れて3時間ソニケーターで精製した後、硫酸と過酸化水素の混合
溶液(体積比2〜5:1)で20〜30時間攪拌し、しかる後に、蒸留水で希釈した炭素
ナノチューブ懸濁液を0.1〜0.5μmのフィルターで濾過した後、乾燥させて使用す
ることもできるが、これに限定されない。
一方、アミン基を有する樹脂としてポリイミド樹脂を製造するためのジアンヒドリドは
、特に限定されないが、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロ
プロパンジアンヒドリド(FDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−
イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物(TD
A)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)
(HBDA)、3,3’−(4,4’−オキシジフタル酸無水物)(ODPA)、および
3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物(BPDA)の中から選ばれた
1種以上を含むことが好ましい。
また、アミン基を有する樹脂としてポリアミド樹脂を製造するためのジアミンは、特に
限定されないが、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−フェニル]プロパン(
6HMDA)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル
(2,2’−TFDB)、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノ
ビフェニル(3,3’−TFDB)、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニ
ルスルホン(DBSDA)、ビス(3−アミノフェニル)スルホン(3DDS)、ビス(
4−アミノフェニル)スルホン(4DDS)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン(APB−133)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−
134)、2,2’−ビス[3(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロ
パン(3−BDAF)、2,2’−ビス[4(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサ
フルオロプロパン(4−BDAF)、およびオキシジアニリン(ODA)の中から選ばれ
た1種以上を含むことが好ましい。
前記ジアンヒドリド成分と前記ジアミン成分を等モル量となるようにして有機溶媒中に
溶解して反応させることにより、ポリアミド酸溶液を製造する。
前記単量体の溶液重合反応のための溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であれば、特
に限定されない。公知の反応溶媒としてm−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(
NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジエチルアセテートの中から選ばれた少なく
とも一つの極性溶媒を使用する。この他にも、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホ
ルムなどの低沸点溶液、またはγ−ブチロラクトンなどの低吸収性溶媒を使用することが
できる。
前記反応溶媒の含量に対して特に限定されないが、適切なポリアミド酸溶液の分子量と
粘度を得るために、反応溶媒の含量はポリアミド酸溶液の総量に対して50〜95重量%
が好ましく、さらに好ましくは70〜90重量%である。前記得られたポリアミド酸溶液
からポリイミドフィルムを製造する方法は、従来の公知の方法を使用することができるが
、すなわち、ポリアミド酸溶液を支持体にキャストしてイミド化することによりフィルム
を得ることができる。
この際、適用されるイミド化法としては、熱イミド化法、化学イミド化法、または熱イ
ミド化法と化学イミド化法の組み合わせを使用することができる。化学イミド化法は、ポ
リアミド酸溶液に、酢酸無水物などの酸無水物で代表される脱水剤と、イソキノリン、β
−ピコリン、ピリジンなどの3級アミン類などで代表されるイミド化触媒を投入する方法
である。熱イミド化法、または熱イミド化法と化学イミド化法の組み合わせを使用する場
合、ポリアミド酸溶液の加熱条件はポリアミド酸溶液の種類や製造されるポリイミドフィ
ルムの厚さなどによって変動できる。
熱イミド化法と化学イミド化法の組み合わせを使用する場合のポリイミドフィルムの製
造例をより具体的に説明すると、ポリアミド酸溶液に脱水剤およびイミド化触媒を投入し
て支持体上にキャストした後、80〜200℃、好ましくは100〜180℃で加熱して
脱水剤およびイミド化触媒を活性化することにより、部分的に硬化び乾燥させた後、ゲル
状態のポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して得、前記ゲル状態のフィルムを200
〜400℃で5〜400秒間加熱することにより、ポリイミドフィルムを得ることができ
る。
一方、本発明では、前記得られたポリアミド酸溶液から次のようにポリイミドフィルム
を製造することもできる。すなわち、得られたポリアミド酸溶液をイミド化した後、イミ
ド化した溶液を、水、アルコール類、エーテル類およびケトン類の中から選ばれた少なく
とも1種の溶媒に投入し、濾過および乾燥させてポリイミド樹脂の固形分を得、得られた
ポリイミド樹脂の固形分をポリアミド酸溶液重合時の使用溶媒と同一の溶媒に溶解させた
ポリイミド溶液を用いて、製膜工程によって得ることができる。前記ポリアミド酸溶液を
イミド化するときは、前述の説明と同様に、熱イミド化法、化学イミド化法、または熱イ
ミド化法と化学イミド化法の組み合わせを使用することができる。熱イミド化法と化学イ
ミド化法の組み合わせを使用する場合の具体的なイミド化法の例を挙げると、得られたポ
リアミド酸溶液に脱水剤およびイミド化触媒を投入し、20〜180℃で1〜12時間加
熱してイミド化することができる。この際、前記水、アルコール類、エーテル類およびケ
トン類の中から選ばれた少なくとも1種の溶媒の含量に対して特に限定されないが、製造
されたポリアミド酸溶液の重量に対して5〜20重量倍を使用することが好ましい。得ら
れたポリイミド樹脂の固形分を濾過した後、乾燥させる条件は、前記水、アルコール類、
エーテル類およびケトン類の中から選ばれた少なくとも1種の溶媒のタイプ、および固形
化樹脂内に残存している反応溶媒の沸点を考慮して50〜150℃の温度で2〜24時間
乾燥させることが好ましい。
本発明の伝導性材料を製造する方法は、基材層上に、第1溶媒およびカルボキシル基(
−COOH)を有する炭素ナノチューブを含む第1分散体を塗布する段階と、塗布された
第1分散体から溶媒を除去し、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブ
のネットワーク層を形成する段階と、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチ
ューブのネットワーク層上に、第1溶媒およびアミン基(−NH2)を有する樹脂を含む
第2分散体を塗布し、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブのネット
ワーク層に第2分散体を浸透させる段階と、基材層を剥離する段階と、アミン基(−NH
2)を有する樹脂とカルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブとの間にア
ミド結合を形成させる段階とを含むことが好ましい。
前記基材層は、特に限定されるのではなく、金属、高分子樹脂、ガラスなどの全ての材
料を使用することができる。
前記基材層の一面に、第1溶媒およびカルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノ
チューブを含む第1分散体を塗布する。前記第1溶媒は、アルコール、水、アセトン、エ
ーテルおよびトルエンの中から選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。前記
カルボキシル基を有する炭素ナノチューブは、前述したような方法で表面改質してカルボ
キシル基を有するようにすることができる。
第1分散体を塗布する厚さは1〜1000nmであることが伝導性高分子フィルムの透
明度の面で好ましく、透明度が要求されない応用分野においては厚さは限定されない。
塗布された第1分散体を大気中で、あるいは窒素雰囲気下で、あるいは減圧下で処理す
ることにより溶媒を除去し、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブの
3次元ネットワーク層を形成するようにする。
ここに、アミン基(−NH2)を有する高分子樹脂および前記第1溶媒を含む第2分散
体を塗布し、カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブのネットワーク層
に第2分散体を浸透させる。この際、第2分散体を塗布する厚さは、カルボキシル基を有
する炭素ナノチューブのネットワーク層を含んで0.5〜500μmであることが透明度
の面で好ましく、透明度が要求されない応用分野においては第1分散体の厚さより厚いこ
とが好ましい。
その後、基材層を剥離すると、剥離された面に対して、カルボキシル基を有する炭素ナ
ノチューブが露出される。
この際、アミン基(−NH2)を有する樹脂とカルボキシル基(−COOH)を有する
炭素ナノチューブとの間には、未だアミド結合が形成されていないので、別途にアミド結
合を形成させるための段階を経なければならない。
前記アミド結合を形成させる方法は、特に限定されないが、基材層を剥離した後、その
コーティングフィルムを、第2溶媒とアミドカップリング剤を含むカップリング液に浸漬
させるか、あるいは熱を加えるか、あるいは水分を無くすことにより、アミド結合を形成
させることができる。前記熱を加えることは、40〜400℃で1〜10℃/min速度
で昇温しながら0.5時間以上加熱することにより行われる。また、カップリング液に浸
漬させ、洗浄した後、乾燥させるか、あるいは上述のように加熱することができる。
前記第2溶媒は、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド
(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、シクロヘキサノン、エタノール、メタ
ノールおよびクロロベンゼンよりなる群から選ばれる1種または2種以上であり、前記ア
ミドカップリング剤は、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチ
ル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・HCl、およびジ−n−ヘキ
シルカルボジイミドを含むカルボジイミド誘導体の中から選ばれた1種または2種以上と
1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとが混合された混合物を使用することができる。
この際、常温で容易にアミド結合を形成させるために、基材層を剥離することによりカ
ルボキシル基を有する炭素ナノチューブが露出されたコーティングフィルムを、前記第2
溶媒に浸漬させることが好ましい。
このような工程を経て、炭素ナノチューブは樹脂に挿入され、また、アミド結合により
高い結着力を有するので、これにより、電子素子、電気素子などに適用されるときの薬品
または溶剤による処理により容易に離脱することはない。
以下、本発明の実施例によってさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の範
囲を限定するものではない。
<実施例1>
1.カルボキシル基が露出された炭素ナノチューブの製造:炭素ナノチューブ1.0g
を1Lの塩酸に入れて3時間ソニケーターで精製した後、1μmのフィルターで濾過し、
しかる後に、これらの過程を3回繰り返し行って炭素ナノチューブを精製した。このよう
な方法で精製された炭素ナノチューブを硫酸と過酸化水素の混合溶液(体積比4:1)で
24時間攪拌した後、蒸留水で希釈した。このような方法で得られた炭素ナノチューブ懸
濁液を0.2μmのフィルターで濾過した後、乾燥させた。
2.アミン基が末端であるポリイミド溶液(第2分散体)の製造:反応器として攪拌器
、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた100mLの3口丸底
フラスコに窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)31.82
gを充填した後、反応器の温度を0℃に低め、しかる後に、3.2023g(0.01m
oL)の2,2’−TFDBを溶解させ、この溶液を0℃に維持した。ここに4.164
g(0.008moL)の6HBDAを添加し、1時間攪拌して6HBDAを完全に溶解
させた後、0.58844g(0.002moL)BPDAを添加して完全に溶解させた
。この際、固形分の濃度は20重量%であった。その後、溶液を常温に放置して8時間攪
拌した。この際、23℃での溶液粘度1900poiseのポリアミド酸溶液を得た。
前記ポリアミド酸溶液に化学硬化剤として酢酸無水物(SamChun社)およびピリ
ジン(SamChun社)をそれぞれ2〜4当量添加した後、ポリアミド酸溶液を20〜
180℃の範囲内で1〜10℃/minの速度で昇温しながら2〜10時間加熱してポリ
アミド酸溶液をイミドした後、イミド化された溶液30gを300gの水に投入して沈殿
させ、沈殿した固形分を濾過および粉砕工程を経て微細粉末化した後、80〜100℃の
真空乾燥オーブンで2〜6時間乾燥させて約8gの樹脂固形分粉末を得た。得た樹脂固形
分を重合溶媒としてのDMAc32gに溶解させて固形分含量20wt%のポリイミド溶
液を得た。
3.カップリング液の製造:エタノールにアミドカップリング剤としてのDCC(1,3-
ジシクロヘキシル-カルボジイミド)とHOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)を溶か
してそれぞれ12mMとなるように分散液を準備した。
4.炭素ナノチューブフィルムの製造:段階1.で準備されたカルボキシル基が露出さ
れた炭素ナノチューブ0.002重量%をエタノールに入れた後、ソニケーターで10時
間分散させて第1分散体を製造した。これをアプリケーターを用いて基材層に1μmの厚
さで均一に塗布した後、減圧の下で溶媒を除去して炭素ナノチューブのネットワーク層を
形成した。その後、段階2.で準備されたポリイミド溶液、すなわち第2分散体を基材上
に塗布された炭素ナノチューブネットワーク上にネットワーク層を含んで300μmの厚
さでコートした後、20〜250℃の範囲内で1〜10℃/minの速度で昇温しながら
1〜2時間加熱して溶媒を除去し、基材層を剥離した。
5.ポリイミドのアミド(−NH)と炭素ナノチューブのカルボキシル基(−COOH
)間の化学結合:段階4.で製造された炭素ナノチューブフィルムを段階3.で製造され
たカップリング液中で1時間反応させ、エタノールで洗浄した後、乾燥させることにより
、ポリイミドフィルムを得た。
<実施例2>
実施例1の段階5.において、段階4.で製造された炭素ナノチューブフィルムを40
〜400℃の温度範囲で1〜10℃/minの速度で昇温しながら8時間加熱した以外は
、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。
<実施例3>
実施例1の段階2.で33.59gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に3
.2023g(0.01moL)の2,2’−TFDBを溶解させ、この溶液を0℃に維
持した。3.64355g(0.007moL)の6HBDAを投入した後、1.551
g(0.003moL)のODPAを投入して1時間攪拌し、6HBDAおよびODPA
を完全に溶解させた。この際、固形分の濃度は20重量%であった。その後、溶液を常温
に放置して8時間攪拌した。この際、23℃での溶液粘度が1800poiseのポリア
ミド酸溶液を得た以外は同様にしてポリイミドフィルムを製造した。
<実施例4>
実施例1の段階4.において、カルボキシル基が露出された炭素ナノチューブを0.2
重量%にしてエタノールで分散させた以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルム
を製造した。
<比較例1>
実施例1の段階5.を実施していない以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィル
ムを製造した。
<比較例2>
炭素ナノチューブ分散液の製造:実施例1の段階1.で準備されたカルボキシル基が露
出された炭素ナノチューブ0.1重量%をエタノールに入れた後、ソニケーターで10時
間分散させた。ここにアミドカップリング剤としてのDCC(1,3-ジシクロヘキシルカル
ボジイミド)とHOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)をそれぞれ12mMの濃度で
溶解させた。
ポリイミドフィルムの製造:実施例1の段階2.で製造されたポリイミド溶液をアプリ
ケーターを用いて基材層に1μmの厚さで均一に塗布させた後、減圧の下で溶媒を除去し
、基材層を剥離した。
炭素ナノチューブフィルムの製造:製造されたポリイミドフィルムを製造された炭素ナ
ノチューブ分散液に10時間反応させた後、エタノールで洗浄し、しかる後に、減圧状態
の下で乾燥させた。
前記実施例および比較例で製造されたポリイミドフィルムの物性を下記の方法で評価し
た。その結果は表1に示す。
(1)表面抵抗(R0
高抵抗(107Ω/□以上)は、Mitsubishi Chemical社製の抵抗測
定器を用いて、連続的に電圧を前記実施例1〜4、比較例1および比較例2の炭素ナノチ
ューブフィルムに加えて測定した。この際、10V、100V、250V、500V、お
よび1000Vに電圧を変えながら測定を行った。また、抵抗を測定するために、金属素
材の基板上に試料を設置し、毎試料当たり10〜30秒の間隔で測定した。この際、環状
のプローブを使用した。
低抵抗(107Ω/□以下)は、Advanced Instrument Techn
ology社の4Point Probe Systemを用いて25℃、30%RHの下
で前記実施例1〜4、比較例1および比較例2の炭素ナノチューブフィルムの表面抵抗を
測定することにより求めた。
(2)剥離テスト
前記実施例1〜4、比較例1および比較例2の炭素ナノチューブフィルムの表面抵抗(
0)を測定した後、同一の炭素ナノチューブフィルムに長さ5cmの3M Scotch
Magic(商品名)Tape810を接着させた。10分後、このテープを表面から
除去した。テープが除去された面の表面抵抗(R1)を測定し、下記数式1で計算して剥
離指数を求めた
数式1
Figure 2013243109
式中、R0は無処理の伝導性材料の表面抵抗であり、R1はテープが伝導性材料の表面に
10分間貼り付けられ、その後剥がされた、当該表面の表面抵抗である。
(3)耐薬品性テスト
前記実施例1〜4、比較例1および比較例2の炭素ナノチューブフィルムの表面抵抗(
0)を測定した後、それぞれのフィルムを汎用Gradeのエタノールに浸漬し、25
℃でJeotech社のUC−05(Bath Type、40KHz)のソニケーター
で1時間超音波処理し、取り出してエタノールで洗浄し、その後乾燥させた。こうして処
理された炭素ナノチューブの表面抵抗(R2)を測定した。
数式2
Figure 2013243109
式中、R0は無処理の伝導性材料の表面抵抗であり、R2はエタノール中での1時間の浸
漬、エタノールからの取り出し、エタノール洗浄、およびその後の乾燥を含む処理後の伝
導性材料の表面抵抗である。
Figure 2013243109
前記物性測定の結果より、本発明に係るポリイミドフィルムは、剥離指数が30%以下
を満足することにより、物理的な摩擦前後の表面抵抗の変化が少なく現れたことが分かる
。また、耐薬品性指数が10%以下を満足することにより、溶剤処理前後の表面抵抗の変
化が少なく現れたことが分かる。
したがって、伝導性材料に摩擦などの機械的な力を加えるかあるいは溶剤などの薬品を
処理しても、表面抵抗を維持することができるため、優れた電気的特性の信頼性を維持す
ることが可能な伝導性材料を提供することができることが分かる。
本発明の伝導性材料は、透明電極を始めとして多様な光電気化学素子の分野で使用する
ことができる。

Claims (3)

  1. カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブのネックワーク層に、アミン基(−NH)を有する高分子樹脂が浸透したものであって、前記アミン基(−NH2)を有する高分子樹脂と前記カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブとはアミド結合しており、下記数式1で計算された剥離指数が30%以下であり、下記数式2で計算された耐薬品性指数が10%以下である、伝導性材料。
    Figure 2013243109
    (式中、Rは無処理の伝導性材料の表面抵抗であり、Rはテープが伝導性材料の表面に10分間貼り付けられ、その後剥がされた、当該表面の表面抵抗である。)
    Figure 2013243109
    (式中、Rは無処理の伝導性材料の表面抵抗であり、Rはエタノール中での1時間の浸漬、エタノールからの取り出し、エタノール洗浄、およびその後の乾燥を含む処理後の伝導性材料の表面抵抗である。)
  2. カルボキシル基(−COOH)を有する炭素ナノチューブが、高分子樹脂の固形分含量に対して0.001〜2重量%の量で用いられていることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性材料。
  3. 表面抵抗が10−2〜1011Ω/□であることを特徴とする、請求項1に記載の伝導性材料。
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