JP2016000769A - 導電性ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電付与剤の分散性に優れ、抵抗値の長期安定性を有する導電性ポリイミドフィルムの製造方法を提供。【解決手段】導電付与剤とポリイミド樹脂とを含有する導電性ポリイミドフィルムの製造方法において、下記(A)〜(C)の工程を含む、導電性ポリイミドフィルムの製造方法。(A)有機極性溶媒中でテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を反応させてプレポリマー溶液を得る工程、(B)前記プレポリマー溶液に導電付与剤を分散して分散液を得る工程、(C)前記分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物を添加し、ポリアミド酸を合成する工程【選択図】なし

Description

本発明は導電性ポリイミドフィルムの製造方法に関する。
ポリイミドフィルムは、高い機械的強度、耐熱性、耐薬品性等の理由から航空宇宙分野から電子材料分野まで幅広い分野において実用化されている。中でも、ポリイミドフィルムに導電性を付与した導電性ポリイミドフィルムは、金属系電子材料の代替材料として有用であり、特に電磁シールド材、静電吸着用フィルム、帯電防止剤、画像形成装置部品、電池の電極用材料、電子デバイスなどに好適に使用され得る。ただし、これら用途における長期使用に応えるためには、導電性ポリイミドフィルムには少なくとも電気特性および機械特性に優れていることが求められる。
導電性ポリイミドフィルムは、通常、以下の工程で製造される。
(1)導電付与剤を分散させたポリアミド酸溶液を支持体上に流延し、塗膜を形成する工程、
(2)溶媒の揮散・除去及びイミド化転化を行う工程。
導電性ポリイミドフィルムの導電付与剤として一般的に使用されるカーボンブラックは凝集力が強いため、上記(1)工程においてポリアミド酸中に均一に分散させることが非常に難しく、カーボンブラックの凝集が原因で導電性ポリイミドフィルムの電気特性が低下することがある。
そこで、カーボンブラックの凝集を解決する技術として、特許文献1及び2は、予め極性有機溶媒中にカーボンブラックを分散して分散液を作製し、この分散液にテトラカルボン酸二無水物、および、ジアミン化合物を添加し反応させてなるポリアミド酸溶液からフィルムを得る製法を提案している。また、特許文献3は、界面活性剤などの分散剤を使用し、カーボンブラックの分散性を向上させたポリアミド酸からフィルムを得る製法を提案している。
しかし、特許文献1及び2の製法では、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の反応の初期段階でカーボンブラックが再凝集する問題が生じることがある。また、特許文献3の製法では、フィルム内部に界面活性剤の残渣が残ってしまう問題がある。これら製法により得られるフィルムは、これら問題が原因となって電気特性の劣化もしくは抵抗値の長期安定性悪化などの問題を引き起こすことがある。
特開2003−277502号公報 特開2008−280479号公報 特開2007−146042号公報
本発明は、導電付与剤の凝集が抑制され、導電付与剤の分散性に優れ、かつ、抵抗値の長期安定性を有する導電性ポリイミドフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討したところ、導電付与剤の分散時の粘度が導電付与剤の再凝集に寄与する点に着目し、ポリアミック酸のプレポリマーに導電性付与剤を分散させることによって、導電性付与剤を適度な粘度で分散し、導電付与剤の再凝集を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、導電付与剤とポリイミド樹脂とを含有する導電性ポリイミドフィルムの製造方法において、
(A)有機極性溶媒中でテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を反応させてプレポリマー溶液を得る工程、
(B)前記プレポリマー溶液に導電付与剤を分散して分散液を得る工程、
(C)前記分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物を添加し、ポリアミド酸を合成する工程
を含むことを特徴とする、導電性ポリイミドフィルムの製造方法(以下、「本発明の導電性ポリイミドフィルムの製法」と称することがある。)に関する。
本発明の導電性ポリイミドフィルムの製法において、上記プレポリマーの23℃における粘度が、0.1Pa・s〜10Pa・sの範囲であることが好ましい。
本発明の導電性ポリイミドフィルムの製法において、上記プレポリマーの重量平均分子量が20,000以上50,000以下であることが好ましい。
本発明の導電性ポリイミドフィルムの製法において、上記導電付与剤が前記ポリアミド酸100重量部に対して1〜50重量部含まれることが好ましい。
本発明の導電性ポリイミドフィルムの製法において、上記導電付与剤がカーボンブラックであることが好ましい。
本発明の導電性ポリイミドフィルムの製法において、導電性ポリイミドフィルムの厚みが1〜100μmの範囲であることが好ましい。
本発明の導電性ポリイミドフィルムの製法において、導電性ポリイミドフィルムの厚み方向の体積抵抗率が1.0×10−1〜1.0×10Ωcmの範囲内であることが好ましい。
本発明の導電性ポリイミドフィルムの製法において、導電性ポリイミドフィルムの表面抵抗率が1.0×10〜1.0×10Ω/□の範囲内であることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、得られる導電性ポリイミドフィルムは導電付与剤の再凝集が抑制され、抵抗値の長期安定性に優れる。
本発明の導電性ポリイミドフィルムの製造方法は、
(A)有機極性溶媒中でテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を反応させてプレポリマー溶液を得る工程、
(B)前記プレポリマー溶液に導電付与剤を分散して分散液を得る工程、
(C)前記分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物を添加し、ポリアミド酸を合成する工程、
を含むことを特徴とする。
従来既知の方法では、溶媒中にカーボンブラックを分散させる段階及び/またはカーボンブラック存在下でテトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物を重合する初期段階において、カーボンブラックの再凝集が発生し、最終的に得られる導電性ポリイミドフィルムの物性低下の問題を引き起こすことがある。
これは、カーボンブラック含有分散液の粘度が低いと、カーボンブラックの再凝集が顕著に起こることに起因する。そこで、本発明はポリアミック酸のプレポリマー溶液中でカーボンブラックを分散する工程を経ることで、カーボンブラックの再凝集を防ぎ、さらに、カーボンブラックを分散させたプレポリマー溶液にテトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物を添加し、ポリアミド酸を合成する工程を経ることで、フィルム状への加工に適した粘度の溶液を得ることができる。
導電付与剤を分散させるプレポリマー溶液の粘度は、低すぎると導電付与剤の再凝集を抑制できなくなることがあり、高すぎると導電付与剤の分散が困難になることがある。そのため、0.1Pa・s〜10Pa・sの範囲であることが好ましく、さらには0.2Pa・s〜8Pa・sの範囲であることがより好ましい。
プレポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、下限は20,000であることが好ましく、25,000がより好ましい。一方、上限は50,000であることが好ましく、45,000がより好ましい。
本発明に係るポリイミド樹脂は、ポリアミド酸の脱水反応により得られるものである。ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させることにより得られる。プレポリマーとは、所望の最終分子量まで到達していないポリアミド酸を意味している。
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば3,3'、4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物など、従来既知の化合物を好適に使用可能である。
これらテトラカルボン酸二無水物の中でも、工業的に入手しやすい点から、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパンテトラカルボン酸二無水物を特に好ましく使用できる。
本発明に用いられるジアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及及びそれらの類似物など、従来既知の化合物を好適に使用可能である。
本発明の導電性ポリイミドフィルムは、所望の特性を有するフィルムとなるように適宜テトラカルボン酸酸二無水物およびジアミン化合物の種類、配合比を決定して用いることにより得ることができる。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系の極性有機溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジエチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。これらは単独で用いても良いし、併用しても良い。
さらに、上記溶媒以外の溶媒として、ジメチルスルホキシド、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を用いても良く、これらも単独で用いても良いし、併用しても良い。
溶媒中でテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を反応させてプレポリマーを得る工程は、あらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。すなわち、
1)ジアミン化合物を溶媒中に溶解し、テトラカルボン酸二無水物を反応させてプレポリマーを得る方法。
2)テトラカルボン酸二無水物を溶媒中に溶解し、ジアミン化合物を反応させてプレポリマーを得る方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
導電付与剤の、プレポリマー溶液への添加の順番、方法は特に問わない。すなわち、プレポリマーを得るための溶媒中に予め添加してもよいし、プレポリマーを得た後、導電付与剤を添加してもよい。また、紛体で導入してもよいし、溶媒中に予備分散させたものを添加してもよい。これらの方法を単独もしくは組み合わせて用いることができる。
導電付与剤は、特に限定されるわけではないが、アルミニウム粒子、SUS粒子、銀粒子、金粒子、同粒子、チタン粒子、合金粒子、炭素系導電性粒子などが好適である。その中でも比重が比較的小さく、本発明の効果を好適に発揮できることから、炭素系導電性粒子が好ましい。炭素系導電粒子としては、具体的にはアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブなどが挙げられるが、最終的に得られる導電性ポリイミドフィルムの抵抗値及びコストの点から、カーボンブラックが特に好ましい。
導電付与材は、導入部数が少ないと所望の導電性を得られにくくなり、導入部数が多いと最終的に得られる導電性ポリイミドフィルムの力学物性が著しく低下し、取扱が困難になることがある。そのため、導電付与材の導入部数は、ポリアミド酸100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜50重量部である。
プレポリマー溶液に導電付与剤を分散せしめる工程とは、プレポリマー、導電付与剤、および溶媒を主成分とする分散液中の導電付与剤を適切に分散できればその方法は問わず、従来既知の湿式分散方法が好適に使用可能であり、ビーズミル、ボールミル、ホモジナイザー、超音波分散や、液−液せん断を利用した方式(例えばエムテクニック社製クレアミックス)、高圧での衝突エネルギーを利用した方式(例えばスギノマシン社製スターバースト)などが例示される。
本発明では、導電付与剤を分散せしめたプレポリマー溶液に、さらにテトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物を添加し、プレポリマーと、テトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物とを反応させてポリアミド酸を合成し、粘度を所望の範囲に調整する。テトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物は溶液状態にして添加してもよく、当該溶液に用いられる溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができる。当該溶液の濃度は特に限定されないが、反応速度や粘度調整のしやすさを鑑みると1wt%〜15wt%が好ましい。
最終的に得られるポリアミド酸溶液は、導電付与剤を除いて計算した場合に5〜35wt%が好ましく、10〜30wt%の濃度で得られることがより好ましい。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
当該ポリアミド酸溶液の粘度は、小さすぎるとフィルム化の工程が不安定になるため好ましくなく、大きすぎるとダイラインが多発するため好ましくない。そのため100〜500Pa・sであることが好ましく、150〜450Pa・sが特に好ましい。前記粘度は、B型粘度計で23℃にて測定した値を指す。
ポリアミド酸の硬化反応は、熱による方法、ポリアミド酸を含む原料溶液中に触媒及び硬化剤を導入する方法、光による方法など、従来既知の方法を好適に用いることができる。しかしながら、生産性向上や、弾性率などのその他物性を好適に制御できることから、ポリアミド酸を含む原料溶液中に触媒及び硬化剤を導入する方法を、硬化反応の少なくとも一部に導入することが好ましい。触媒及び硬化剤を、ポリアミド酸を含む原料溶液中に導入する方法は特に限定されず、原料溶液中に触媒及び硬化剤を混練する方法、原料溶液中に触媒のみを混練した後、硬化剤若しくは硬化剤を含む溶液を噴霧、塗布、浸漬などの方法で原料溶液に接触させる方法、原料溶液に触媒と硬化剤を含む溶液を接触させる方法などが挙げられる。
ここでいう硬化剤とは、ポリアミド酸に対する脱水閉環剤であれば制限無く用いることが可能で、例えばその主成分として、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N′−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種類以上の混合物が、好ましく用いうる。その中でも特に、脂肪族酸無水物及び芳香族酸無水物が良好に作用する。
またここでいう触媒とは、硬化剤のポリアミド酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であれば制限無く用いることが可能で、例えば、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンが用いられ得る。そのうち、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリンなどの置換ピリジンなどの置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物であることが好ましい。
さらに、硬化剤及び触媒を含有する溶液中に、有機極性溶媒を導入することも適宜選択され得る。
本発明の製造方法は、導電付与剤を分散せしめたポリアミド酸溶液を含む塗膜を、乾燥・イミド化させることで導電性ポリイミドフィルムを形成する。
塗膜を形成する塗布法としては、例えばダイコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などの公知の方法を適宜採用することが出来る。前記のいずれかの塗布法等により金属ドラムや金属ベルト等の支持体上に塗膜し室温から200℃程度の温度で自己支持性乾燥フィルムを得た後、さらにフィルムを固定し、最終温度が600℃程度の温度まで加熱し、導電性ポリイミドフィルムを得る。フィルムの固定は、ピンテンター方式、クリップテンター方式、ロール懸垂方式など公知の方法を適宜採用することが出来、その形態にとらわれない。
加熱温度は適宜設定できるが、高い方が、イミド化が起こりやすいため、キュア速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。但し、温度が高すぎると熱分解を起こす可能性がある。一方、加熱温度が低すぎると、イミド化が進みにくく、キュア工程に要する時間が長くなってしまう。
加熱時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。
本発明の製造方法は、支持体上における塗膜の厚み、ポリアミド酸の濃度、導電付与剤の重量部数を適宜調節することで導電性ポリイミドフィルムの厚みを適宜設定できる。塗膜の厚みは1〜1000μmであることが好ましい。1μmより薄いと最終的に得られるフィルムの機械的特性に乏しくなる場合があり、1000μmより厚いと支持体上で流動してしまう場合がある。最終的に得られる導電性ポリイミドフィルムの厚みは1〜100μmが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。1μmより薄いとフィルムの機械的特性に乏しくなる場合があり、100μmより厚いと均一にイミド化および乾燥することが困難になるため、機械的特性にバラツキが生じたり、発泡等の局所的な欠陥も現れやすくなる場合がある。
本発明によって得られる導電性ポリイミドフィルムは、金属系電子材料の代替として有用である点から、導電性ポリイミドフィルムの厚み方向の体積抵抗率は1.0×10−1〜1.0×10Ωcmが好ましく、1.0×10−1〜8.0×10Ωcmがより好ましく、1.0×10−1〜5.0×10Ωcmがさらに好ましい。また、導電性ポリイミドフィルムの表面抵抗率は1.0×10〜1.0×10Ω/□が好ましく、1.0×10〜5.0×10Ω/□がより好ましく、1.0×10〜3.0×10Ω/□がさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られる導電性ポリイミドフィルムは、導電付与剤の再凝集が抑えられており、抵抗値の長期安定性が極めて高い。そのため、金属系電子材料、電磁シールド材、静電吸着用フィルム、帯電防止剤、画像形成装置部品、電池の電極用材料、電子デバイス等において長期にわたって安定的に使用可能になり、好適に採用することができる。
本発明について、実施例および比較例に基づいて効果をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
(体積抵抗率)
製造したフィルムを15mm□のサイズに切り抜き、両面の中央部10mm□の領域に金薄膜をスパッタ法により形成させた。金薄膜にそれぞれ銅箔を1MPaの加圧により密着させ、2つの銅箔の間に電流Iを流したときの、電位Vを測定し、測定値V/Iを抵抗値とした。抵抗値の測定にはLCR HiTESTER(3522−50、日置電機社製)を用いた。
(表面抵抗率)
測定にはLORESTA−GP(MCP−T610、三菱アナリテック社製)を用い、4探針プローブを製造したフィルム表面に押し当てて表面抵抗率を測定した。
(実施例1)
重合用の有機溶媒として、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)を用い、テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDA)48モル%および3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDA)50モル%を、ジアミン化合物として4,4’−オキシジアニリン(以下、ODA)85モル%およびパラフェニレンジアミン(以下、p−PDA)15モル%を使用し、反応槽に添加して攪拌することによりプレポリマーを合成し、プレポリマー溶液を得た。得られたプレポリマー溶液の粘度は、0.8Pa・s(東機産業社製E型粘度形;TVE−22H、23℃における)であった。
当該プレポリマー溶液に、最終的に得られるポリアミド酸100重量部に対して、10重量部となるよう、カーボンブラック(ケッチェンEC600JD、ライオン株式会社製)を添加し、撹拌した。
次いで、このカーボンブラック入りプレポリマー溶液を、ビーズミルにて分散処理を施し、カーボンブラック分散プレポリマー溶液を得た。分散には0.8mmφのジルコニアビーズを用いた。
上述の手段で得られたカーボンブラック分散プレポリマー溶液を撹拌しながらBTDAのDMF溶液(7.2wt%)を徐々に添加し、粘度が300〜350Pa・sとなるように合成を行った。このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の固形分濃度は、15wt%(カーボンブラックは計算に含めず)であった。
得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を用い、当該ポリアミド酸溶液の製造直後、及び、製造から180日後に以下の手順で導電性ポリイミドフィルムを作製した。カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液は、密閉した容器に封入した状態で0℃±3℃に調整した冷蔵庫内で保管した。
カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液100g(アミド酸を49.4ミリモル含む)に対し、7.5g(58.1ミリモル)のイソキノリン、7.5g(73.5ミリモル)の無水酢酸、5gのDMFよりなるイミド化促進剤を添加して均一にしたものを、アルミ箔上に最終厚みが12.5μmになるよう、かつ30cm幅で流延し、120℃で108秒間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをアルミ箔から剥離した後、ピンに固定し、300℃で100秒間乾燥し、続けて400℃で32秒間乾燥を行って導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例2)
重合用の有機溶媒として、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)を用いた。当該溶媒に、最終的に得られるポリアミド酸100重量部に対して10重量部となるよう、カーボンブラック(ケッチェンEC600JD、ライオン株式会社製)を添加し、撹拌した。
次いで、テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDA)48モル%および3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDA)50モル%を、ジアミン化合物として4,4’−オキシジアニリン(以下、ODA)85モル%およびパラフェニレンジアミン(以下、p−PDA)15モル%を使用し、反応槽に添加して攪拌、重合することによりプレポリマーを合成した。なお、プレポリマー合成前にカーボンブラックを入れないようにした以外は、同様にしてプレポリマーを作った際、プレポリマー溶液の粘度は0.8Pa・s(東機産業社製E型粘度形;TVE−22H、23℃における)であった。
次いで、このカーボンブラック入りプレポリマー溶液を、ビーズミルにて分散処理を施した。分散には0.8mmφのジルコニアビーズを用いた。得られたカーボンブラック分散プレポリマーの粘度は、0.7Pa・s(東機産業社製E型粘度形;TVE−22H、23℃における)であった。
以降、実施例1と同様の手順で導電性ポリイミドフィルムを得た。得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2と同様の手順でカーボンブラック分散プレポリマーを得た。なお、実施例2と同様、プレポリマー合成前にカーボンブラックを入れないようにした以外は、同様にしてプレポリマーを作った際、プレポリマー溶液の粘度は0.8Pa・s(東機産業社製E型粘度形;TVE−22H、23℃における)であった。
このカーボンブラック分散プレポリマーを撹拌しながらBTDAのDMF溶液(7.2wt%)を徐々に添加し、粘度が80〜100Pa・sとなるように合成を行った。このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の固形分濃度は、14.9wt%(カーボンブラックは計算に含めず)であった。
カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液100gを、ガラス板上に最終厚みが12.5μmになるよう、かつ30cm幅で流延し、80℃で10分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをガラス板から剥離した後、ピンに固定し、100℃から250℃まで30分間かけて昇温し、次いで300℃で15分間乾燥、続けて続けて400℃で15分間乾燥を行って導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例1)
ビーズミルによる分散処理を行わないことを除いて、実施例1と同様の手段で電電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例2)
重合用の有機溶媒として、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)を用いた。当該溶媒に、最終的に得られるポリアミド酸100重量部に対して10重量部となるよう、カーボンブラック(ケッチェンEC600JD、ライオン株式会社製)を添加し、ビーズミルにて分散処理を施した。分散には0.8mmφのジルコニアビーズを用いた。
次いで、テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDA)48モル%および3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDA)50モル%を、ジアミン化合物として4,4’−オキシジアニリン(以下、ODA)85モル%およびパラフェニレンジアミン(以下、p−PDA)15モル%を使用し、反応槽に添加して攪拌、重合することによりカーボンブラック入りプレポリマー溶液を合成した。
上述の手段で得られたカーボンブラック入りプレポリマー溶液を撹拌しながらBTDAのDMF溶液(7.2wt%)を徐々に添加し、粘度が300〜350Pa・sとなるように合成を行った。このカーボンブラック入りポリアミド酸溶液の固形分濃度は、15wt%(カーボンブラックは計算に含めず)であった。
以降、実施例1と同様の手順で導電性ポリイミドフィルムを得た。得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 2016000769
表1に示されるとおり、プレポリマーにカーボンブラックを混合した状態で分散処理を行うことで、抵抗値の長期安定性に優れた導電性ポリイミドフィルムを得ることが可能であることは明らかである。

Claims (8)

  1. 導電付与剤とポリイミド樹脂とを含有する導電性ポリイミドフィルムの製造方法において、
    (A)有機極性溶媒中でテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物を反応させてプレポリマー溶液を得る工程、
    (B)前記プレポリマー溶液に導電付与剤を分散して分散液を得る工程、
    (C)前記分散液に、テトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物を添加し、ポリアミド酸を合成する工程
    を含むことを特徴とする、導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 前記プレポリマーの23℃における粘度が、0.1Pa・s〜10Pa・sの範囲である、請求項1に記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  3. 前記プレポリマーの重量平均分子量が20,000以上50,000以下である、請求項1または2に記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 前記導電付与剤が前記ポリアミド酸100重量部に対して1〜50重量部含まれる、請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 前記導電性付与剤がカーボンブラックである、請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  6. 導電性ポリイミドフィルムの厚みが1〜100μmの範囲である、請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 導電性ポリイミドフィルムの厚み方向の体積抵抗率が1.0×10−1〜1.0×10Ωcmの範囲内である、請求項1乃至6のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 導電性ポリイミドフィルムの表面抵抗率が1.0×10〜1.0×10Ω/□の範囲内である、請求項1乃至7のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
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CN114030261A (zh) * 2021-11-17 2022-02-11 江苏泰祥电线电缆有限公司 一种电线电缆用绝缘复合膜的制备方法

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