JP5783789B2 - 導電性ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

導電性ポリイミドフィルムの製造方法 Download PDF

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本発明は導電性ポリイミドフィルムの製造方法に関する。
ポリイミドフィルムは、高い機械的強度、耐熱性、耐薬品性等の理由から航空宇宙分野から電子材料分野まで幅広い分野において実用化されている。また、そのポリイミドフィルムに導電性を付与した導電性ポリイミドフィルムは、金属系電子材料の代替材料として有用であり、特に電磁シールド材、静電吸着用フィルム、帯電防止剤、画像形成装置部品、電池の電極用材料、電子デバイスなどに好適に使用され得る。また、上記使用用途に長期にわたって応えるためには、導電性ポリイミドフィルムは少なくとも電気特性、ならびに、機械特性に優れていることが求められる。
導電性ポリイミドフィルムは、通常、以下の工程で製造される。
(1)導電付与剤を分散させたポリアミド酸溶液を支持体上に流延し、塗膜を形成する工程、
(2)溶媒の揮散・除去及びイミド化転化を行う工程。
導電性ポリイミドフィルムの導電付与剤としては、一般的にカーボンブラックが使用されている。しかし、カーボンブラックは凝集力が強いため、上記(1)工程においてポリアミド酸中に均一に分散させることが非常に難しく、カーボンブラックの凝集が原因で電気特性の低下が起こることがある。
カーボンブラックの凝集を解決する技術として、特許文献1は、予め極性有機溶媒中にカーボンブラックを分散して分散液を作製し、この分散液にテトラカルボン酸二無水物、および、ジアミン化合物を添加し反応させてなるポリアミド酸溶液からフィルムを得る製法を提案している。また、特許文献2は、界面活性剤などの分散剤を使用し、カーボンブラックの分散性を向上させたポリアミド酸からフィルムを得る製法を提案している。しかし、特許文献1の製法ではカーボンブラックの分散は必ずしも十分ではなく、ポリイミドとカーボンブラックとの間に微小な空隙を生じさせることがある。一方、特許文献2の製法ではフィルム内部に界面活性剤の残渣が残ってしまうことがある。これら製法により得られるフィルムは、上記のことが原因となって電気特性の劣化もしくは抵抗値の環境依存性増大、並びに、機械特性の低下などの問題を引き起こすことがある。
そこで、優れた電気特性や機械特性を有するフィルムが得られる製法として、特許文献3や特許文献4では、低分子量のアミド化合物やポリアミド酸希釈液を分散剤として使用し、カーボンブラックを良好に分散させる製法を提案している。この製法は、個々のカーボンブラック粒子表面におけるポリアミド酸被覆率を高めることで、ポリアミド酸とカーボンブラックの界面が最適な状態になり、その結果、良好な電気特性と機械特性を有するフィルムが製造できるとされる。
このように、従来は、ポリアミド酸中のカーボンブラックの分散状態を改善させることにより、電気的、並びに、機械的に安定した品質を有する導電性ポリイミドフィルムを製造する技術が開発されてきた。
これらの製法は、溶剤の揮散及びイミド転化反応を、実質的に熱のみで行う熱イミド化法において有効であることが具体的に開示されている。ただし、熱イミド化法は、ポリイミドフィルム製造における溶媒の揮散・除去及びイミド化の工程が極めて長時間となるため、生産性に劣る傾向がある。生産性の低さはトータルコストの増大に繋がるという経済的な問題に直結するため、溶剤の揮散・除去及びイミド化の工程でイミド化促進剤を使用することで、熱イミド化法に対し飛躍的に高い生産性が実現可能とされる化学イミド化法で製造することが望ましい。しかし、実質的に熱のみで行う熱イミド化法に対し、イミド化促進剤を用いる化学イミド化法において、熱イミド化法で有効である技術が同様に有効であるわけではなく、上述の製法についても、化学イミド化法にも同様に有効であることは示されていない。
特開2003−277502号公報 特開2007−146042号公報 特開2007−302769号公報 特開2008−280479号公報
導電性ポリイミドフィルムを化学イミド化法で製造する場合、上記(2)工程においてカーボンブラックの再凝集が発生し、得られる導電性ポリイミドフィルムの電気抵抗率を所望通りに制御することが困難となる。
さらに、カーボンブラックの再凝集の発生の有無に因らず、製造工程で微小なピンホールが多数発生することが新たに判明し、この新たな課題も解決できれば、工業的に使用に耐えうる優れた導電性ポリイミドフィルムを得ることが期待できる。
そこで、本発明の目的は、ピンホールの発生が抑制されるとともに、電気抵抗率を所望通りに制御可能であり、かつ、生産性よく導電性ポリイミドフィルムを製造できる方法を提供することにある。
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討したところ、化学イミド化法におけるイミド化の工程において、カーボンブラックの再凝集とは別個に、ポリイミドとカーボンブラックの界面に空隙が発生しやすくなることがあり、それが原因でピンホールが発生することを見出した。そこで、さらに検討を重ねた結果、特定の分子構造のテトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物を反応させてなるポリアミド酸を用いて、特定の製造方法で製造することによって、ポリイミドとカーボンブラックの界面の空隙の発生だけでなく、カーボンブラックの再凝集をも抑制された、導電性ポリイミドフィルムが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、導電付与剤とポリイミド樹脂を含有し、表面抵抗率が1.0×10 〜1.0×10 Ω/□の範囲内である導電性ポリイミドフィルムの製造方法であって、順に
(A)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び4,4’−オキシジアニリン(ODA)、並びに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、又はp−フェニレンジアミン(p−PDA)を含む、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物を反応させてなるポリアミド酸であって、該テトラカルボン酸二無水物100モル%において、BPDAが10〜100モル%含有され、かつ該ジアミン化合物100モル%において、ODAが50〜100モル%含有される、ポリアミド酸
(B)導電付与剤、および、
(C)イミド化促進剤を均一に含有する
ポリアミド酸溶液を支持体上に流延し、塗膜を形成する工程と、
該支持体上の該塗膜を室温から200℃の温度で乾燥し、該支持体上に自己支持性乾燥フィルムを形成する工程と、
該自己支持性乾燥フィルムを該支持体から剥離する工程と、
該自己支持性乾燥フィルムを引き伸ばした状態で固定・加熱し、イミド化する工程と、を含むことを特徴とする、導電性ポリイミドフィルムの製造方法(以下、「本発明の製法」と称することがある。)に関する。
本発明の製法においては、前記テトラカルボン酸二無水物100モル%において、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)が90モル%以下含有されるか、及び/又は前記ジアミン化合物100モル%において、
p−フェニレンジアミン(p−PDA)が50モル%以下含有されることが好ましい。
本発明の製法においては、(B)導電付与剤が炭素性導電性粒子を含むことが好ましい。
本発明の製法においては、(B)導電付与剤が(A)ポリアミド酸100重量部に対して1〜50重量部含まれることが好ましい。
本発明の製法においては、(C)イミド化促進剤が触媒と化学脱水剤を含むことが好ましい。
本発明の製法においては、(C)イミド化促進剤の触媒の使用量が(A)ポリアミド酸中のアミド酸1モルに対し0.1〜4.0モル当量の範囲内であることが好ましい。
本発明の製法においては、(C)イミド化促進剤の化学脱水剤の使用量が(A)ポリアミド酸中のアミド酸1モルに対し1.0〜5.0モル当量の範囲内であることが好ましい。
本発明の製法においては、導電性ポリイミドフィルムの厚みが1〜100μmの範囲であることが好ましい。
本発明の製法においては、導電性ポリイミドフィルムは、厚み方向の体積抵抗率が1.0×10−1〜1.0×10Ωcmの範囲内であることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、得られる導電性ポリイミドフィルムはピンホールの発生が抑制され、かつ、熱イミド化方法と同様に、得られる導電性ポリイミドフィルムの抵抗率を所望通りに調整出来る。
本発明の製造方法は乾燥時間が短時間で済むため、運転速度の高速化を図ることができ、生産性に優れる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の製法で使用される(A)ポリアミド酸は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応することによって得られるものであるが、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸二無水物として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および4,4’−オキシジアニリンを含み、さらに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはp−フェニレンジアミンを含むことを特徴とする。これにより、ピンホールの発生が抑制されるとともに、化学イミド化方法でありながらも、得られる導電性ポリイミドフィルムの抵抗率を所望通りに調整することができる。よって、得られる導電性ポリイミドフィルムは電気特性および機械特性に優れる。さらに、得られる導電性ポリイミドフィルムは、熱イミド化法によって製造される導電性ポリイミドフィルムと遜色なき品質を実現しつつ、熱イミド化法よりも生産性を大きく向上できる。
本発明の製法においては、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物の成分として、少なくとも、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジアニリン、並びに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/またはp−フェニレンジアミンが含まれていればよく、本発明の効果を損なわない範囲であれば、これら以外のテトラカルボン酸二無水物および/またはジアミン化合物を併用してポリアミド酸の改質を行っても良い。
テトラカルボン酸二無水物において、3,3'、4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸二無水物として、具体的には、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物などが挙げられる。
これらテトラカルボン酸二無水物の中でも、工業的に入手しやすい点から、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパンテトラカルボン酸二無水物を好ましく併用できる。
これらは一種のみを使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ジアミン化合物において、4,4’−オキシジアニリン、および、p−フェニレンジアミン以外のジアミン化合物として、具体的には、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3‘−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン及びそれらの類似物などが挙げられる。
これらジアミン化合物の中でも、工業的に入手しやすい点から、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノンが好ましく併用できる。これらは一種のみを使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の含有量は、特に限定されるわけではないが、所望の導電性を有する導電性ポリイミドフィルムが得られる点で、テトラカルボン酸二無水物の全モル数100モル%において10〜100モル%含有されることが好ましく、20〜90モル%含有されることがより好ましく、30〜70モル%含有されることがさらに好ましい。
本発明において、4,4’−オキシジアニリンの含有量は、特に限定されるわけではないが、所望の導電性を有する導電性ポリイミドフィルムが得られやすい点で、ジアミン化合物の全モル数100モル%において50〜100モル%含有されることが好ましく、60〜95モル%含有されることがより好ましく、70〜90モル%含有されることがさらに好ましい。
本発明において、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物は、p−フェニレンジアミンが含まれる場合は必ずしも含有されなくても良いが、ピンホールの発生が抑制された導電性ポリイミドフィルムが得られやすい点で、含有されることが好ましく、その含有量は、特に限定されるわけではないが、テトラカルボン酸二無水物の全モル数100モル%において90モル%以下含有されることが好ましく、10〜80モル%含有されることがより好ましく、30〜70モル%含有されることがさらに好ましい。
本発明において、p−フェニレンジアミンは、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が含まれる場合は含有されなくても良いが、ピンホールの発生が抑制された導電性ポリイミドフィルムが得られやすい点で、含有されることが好ましく、その含有量は、特に限定されるわけではないが、ジアミン化合物の全モル数100モル%において50モル%以下含有されることが好ましく、5〜40モル%含有されることがより好ましく、5〜30モル%含有されることがさらに好ましい。
ポリアミド酸の製造としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、制御された温度条件下で、上記テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の重合が完了するまで攪拌することによって製造される。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系の極性有機溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジエチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。これらは単独で用いても良いし、併用しても良い。
さらに、上記溶媒以外の溶媒として、ジメチルスルホキシド、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を用いても良く、これらも単独で用いても良いし、併用しても良い。
ポリアミド酸溶液は通常5〜35wt%が好ましく、10〜30wt%の濃度で得られることがより好ましい。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
重合方法としてはあらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。すなわち、
1)ジアミン化合物を有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルのテトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量のジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程においてテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物が実質的に等モルとなるようにジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量のジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここにジアミン化合物を追加添加後、全工程においてテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物が実質的に等モルとなるようにテトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるようにジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルのテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
また、重合度を上げる目的で、有機酸、もしくは無機酸を反応溶液中に適量添加することが公知であり、本発明においても使用することができる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等を挙げることができ、無機酸としては、リン酸、炭酸等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いてよい。
重合度を上げるための有機酸もしくは無機酸の添加量は一義的に決まっているわけではないが、たとえば極性有機溶媒100重量部に対して、50重量部以下添加されていれば良く、10重量部以下添加されることがより好ましい。50重量部より多くしても有機酸、もしくは無機酸の添加によるそれ以上の効果が得られないだけでなく、重合したポリアミド酸が分解してしまうことがあり、好ましくない。
本発明の製法で使用される導電付与剤は、特に限定されるわけではないが、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物に含有されうる導電性フィラーであれば、公知のものを用いることでき、例えば、アルミニウム粒子、SUS粒子、炭素性導電性粒子、銀粒子、金粒子、銅粒子、チタン粒子、合金粒子などを挙げることができる。これらの中でも、比重が小さく、導電性フィルムの軽量化が容易であるなどの理由で炭素性導電性粒子を好ましく用いることができる。炭素性導電性粒子にはケッチェンブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられるが、材料そのものの導電性が比較的高く、樹脂に対して少量の添加量で所望の高い導電性が得られやすい点から、特にケッチェンブラックやカーボンナノチューブを好ましく用いることが出来る。
導電付与剤は、ポリアミド酸100重量部に対して1〜50重量部含まれることが好ましく、5〜20重量部がより好ましい。1重量部より少ないと導電性が低下し、導電性フィルムとしての機能が損なわれる場合があり、逆に50重量部より多いと得られる導電性フィルムの機械特性が低下し、取り扱いが困難となる場合がある。
ポリアミド酸と導電付与剤との複合化、すなわち、導電付与剤を分散させたポリアミド酸溶液の調製は、例えば、
1.重合前または途中に重合反応液に導電付与剤を添加する方法、
2.重合完了後、3本ロールなどを用いて導電付与剤を混錬する方法、
3.導電付与剤を含む分散液を用意し、これをポリアミド酸溶液に混合する方法
などが挙げられ、いかなる方法を用いてもよい。導電付与剤による製造ラインの汚染を最も小さく抑えられる点から、導電付与剤を含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に塗膜を製造する直前に混合する方法が好ましい。導電付与剤を含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。導電付与剤を良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いてもよい。導電付与剤が凝集を伴わずに安定的に分散させやすい点から、分散剤としてポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を少量添加することが好ましい。
上記複合化では、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなどを用いることが好ましい。ビーズミル、ボールミル等の方法で流動性のある液体状態になるように分散させると、フィルム化工程において、導電付与剤を分散させたポリアミド酸溶液の取り扱いが良好となる。メディア径は、特に限定されるわけではないが、10mm以下が好ましい。
得られる導電性ポリイミドフィルムのすべり性、摺動性、熱伝導性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを使用してもよい。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜100μmが好ましく、より好ましくは0.1〜75μm、更に好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.1〜25μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくい場合があり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする場合がある。
フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜90重量部、更に好ましくは0.02〜80重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくい場合があり、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる場合がある。
フィラーの添加方法は、上述した複合化・分散方法を同様に適用でき、導電付与剤の複合化・分散時に一緒に添加しても良いし、別途添加しても良い。
本発明の製法は、イミド化促進剤を用いる化学イミド化法で上記ポリアミド酸をポリイミドに転化させるため、短時間の乾燥で済み、生産性に優れる。
イミド化促進剤は触媒及び化学脱水剤を含んでいればよく、これら以外に溶剤を含んでいても良い。溶剤にはポリアミド酸溶液に含まれるものと同種であることが好ましい。
触媒には3級アミン化合物を好適に用いることが出来る。特に好ましい3級アミン化合物として、キノリン、イソキノリン、3,5−ジメチルピリジン、3,5−ジエチルピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリンなどが挙げられる。これら化合物は、単独で用いても良いし、2種類以上の混合物として用いてもよい。
触媒の使用量としては、ポリアミド酸中のアミド酸1モルに対し0.1〜4.0モル当量が好ましく、0.3〜3.0モル当量がより好ましく、0.5〜2.0モル当量がさらに好ましい。0.1モル当量より少ないと触媒としての作用が不十分となり、乾燥・焼成過程でフィルムが破断したり、機械特性が低下する問題が生じる場合がある。一方、4.0モル当量より多い場合、イミド化の進行が早くなりすぎ、塗膜を形成しにくくなる場合があるため、好ましくない。
化学脱水剤は特に限定されるものではないが、例えば脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物等を好適に用いることが出来る。これらは単独で用いても良いし、2種類以上の混合物として用いても良い。上記化学脱水剤の中でも特に好ましい化合物として、無水酢酸、無水プロピオン酸が挙げられる。これら化合物も、上記と同様、単独、または2種類以上の混合物として用いることが出来る。
化学脱水剤の使用量としては、ポリアミド酸中のアミド酸1モルに対し、1.0〜5.0モル当量が好ましく、1.2〜4.0モル当量がより好ましく、1.5〜3.0モル当量がさらに好ましい。1.0モル当量より少ないと化学脱水剤の作用によるイミド化が不十分となり、乾燥・加熱過程でフィルムが破断したり、機械特性が低下する問題が生じたりする場合がある。一方、5.0モル当量より多い場合、イミド化の進行が早くなりすぎ、塗膜を形成しにくくなる場合がある。
ポリアミド酸にイミド化促進剤を添加するときの温度は10℃以下が好ましく、5℃以下がより好ましく、0℃以下がさらに好ましい。10℃より高温になると、短時間でイミド化が進行してゲル化してしまうため、塗膜を形成しにくくなる場合がある。
本発明の製法は、上記ポリアミド酸、導電付与剤、イミド化促進剤を含む塗膜を乾燥・イミド化させることで導電性ポリイミドフィルムを形成する。
塗膜を形成する塗布法としては、例えばダイコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などの公知の方法を適宜採用することが出来る。前記のいずれかの塗布法等により金属ドラムや金属ベルト等の支持体上に塗膜し室温から200℃程度の温度で自己支持性乾燥フィルムを得た後、さらにフィルムを固定し、最終温度が600℃程度の温度まで加熱し、導電性ポリイミドフィルムを得る。フィルムの固定は、ピンテンター方式、クリップテンター方式、ロール懸垂方式など公知の方法を適宜採用することが出来、その形態にとらわれない。
加熱温度は適宜設定できるが、高い方が、イミド化が起こりやすいため、キュア速度を速くすることができ、生産性の面で好ましい。但し、温度が高すぎると熱分解を起こす可能性がある。一方、加熱温度が低すぎると、イミド化が進みにくく、キュア工程に要する時間が長くなってしまう。
加熱時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には1〜600秒程度の範囲で適宜設定される。
本発明の製法は、支持体上における塗膜の厚み、ポリアミド酸の濃度、導電付与剤の重量部数を適宜調節することで導電性ポリイミドフィルムの厚みを適宜設定できる。塗膜の厚みは1〜1000μmであることが好ましい。1μmより薄いと最終的に得られるフィルムの機械的特性に乏しくなる場合があり、1000μmより厚いと支持体上で流動してしまう場合がある。最終的に得られる導電性ポリイミドフィルムの厚みは1〜100μmが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。1μmより薄いとフィルムの機械的特性に乏しくなる場合があり、100μmより厚いと均一にイミド化および乾燥することが困難になるため、機械的特性にバラツキが生じたり、発泡等の局所的な欠陥も現れやすくなる場合がある。
本発明の製法は、得られる導電性ポリイミドフィルムの厚み方向の体積抵抗率、および表面抵抗率を所望通りに調整できるため、ポリイミドの種類や導電付与剤の種類、添加量などを適宜設定できる。
金属系電子材料の代替として有用である点から、導電性ポリイミドフィルムの厚み方向の体積抵抗率は1.0×10−1〜1.0×10Ωcmが好ましく、1.0×10−1〜8.0×10Ωcmがより好ましく、1.0×10−1〜5.0×10Ωcmがさらに好ましい。また、導電性ポリイミドフィルムの表面抵抗率は1.0×10〜1.0×10Ω/□が好ましく、1.0×10〜5.0×10Ω/□がより好ましく、1.0×10〜3.0×10Ω/□がさらに好ましい。
本発明の製法によって得られる導電性ポリイミドフィルムは、1mあたりのピンホールの発生が効果的に抑えられ、具体的には、その個数が0〜10個の範囲内に抑えることができ、0〜5個の範囲内にすることも可能であり、さらに0〜1個の範囲内に抑えることも可能である。
本発明の製造方法で得られる導電性ポリイミドフィルムは、導電付与剤の再凝集が抑えられており、導電付与剤の最小限の使用で所望の体積抵抗率および表面抵抗率を有する。さらに、該フィルムはポリイミドと導電付与剤の界面の空隙の発生が抑えられているため、ピンホールの発生も抑制されている。そのため、金属系電子材料、電磁シールド材、静電吸着用フィルム、帯電防止剤、画像形成装置部品、電池の電極用材料、電子デバイス等において長期にわたって安定的に使用可能になり、好適に採用することができる。
本発明について、実施例および比較例に基づいて効果をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
(体積抵抗率)
製造したフィルムを15mm□のサイズに切り抜き、両面の中央部10mm□の領域に金薄膜をスパッタ法により形成させた。金薄膜にそれぞれ銅箔を1MPaの加圧により密着させ、2つの銅箔の間に電流Iを流したときの、電位Vを測定し、測定値V/Iを抵抗値とした。抵抗値の測定にはLCR HiTESTER(3522−50、日置電機社製)を用いた。
(表面抵抗率)
測定にはLORESTA−GP(MCP−T610、三菱アナリテック社製)を用い、4探針プローブを製造したフィルム表面に押し当てて表面抵抗率を測定した。
(ピンホールの発生率)
製造したフィルムの背面から光源を照射し、フィルムを貫通する光があればピンホールと見なしてカウントした。フィルム10mにおいてカウントされた個数から1mあたりのピンホールの平均発生率を算出した。光源にはキセノンライト(ULTRA STINGER、ストリーム社製)を用いた。発生するピンホールの個数が1mあたり10個以下であれば、ピンホールの発生が抑制されていると判断した。
(加熱時間:生産性)
実施例および比較例において、アルミ箔上もしくはPETフィルム上に流延したカーボン分散ポリアミド酸溶液の加熱乾燥に要した時間(秒)を測定した。乾燥時間が600秒以内であれば、生産性に優れているとする。
(合成例1)
重合用の有機溶媒として、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)を用い、テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDA)50モル%および3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDA)50モル%を、ジアミン化合物として4,4’−オキシジアニリン(以下、ODA)85モル%およびパラフェニレンジアミン(以下、p−PDA)15モル%を使用し、実質的にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物が等モル%になるよう反応槽に添加して攪拌、重合することによりポリアミド酸溶液を合成した。このとき、得られるポリアミド酸溶液の固形分濃度は15重量%、粘度は300〜400Pa・s(東機産業社製E型粘度形;TVE−22H、23℃における)となるように合成を行った。
得られたポリアミド酸溶液10重量部、ケッチェンブラック(ECP600JD、ライオン株式会社製)1重量部、および、DMF20重量部をボールミルで分散処理を施し、カーボン分散液を得た。分散には5mmφのジルコニア球を用い、回転数600rpmで30分間の処理時間とした。
さらに、得られたカーボン分散液100重量部、および、得られたポリアミド酸溶液183重量部を混合し、均一にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。このとき、ポリアミド酸100重量部に対し、ケッチェンブラックは10重量部であった。
(実施例1)
合成例1で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液100g(アミド酸を49.4ミリモル含む)に対し、7.5g(58.1ミリモル)のイソキノリン、7.5g(73.5ミリモル)の無水酢酸、5gのDMFよりなるイミド化促進剤を添加して均一にしたものを、アルミ箔上に最終厚みが12.5μmになるよう、かつ50cm幅で流延し、120℃で108秒間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをアルミ箔から剥離した後、ピンに固定し、300℃で100秒間乾燥し、続けて400℃で32秒間乾燥を行って導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムのピンホールの発生率、体積抵抗率、表面抵抗率を測定し、その結果を表1に示す。
(参考例1)
合成例1で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液をPETフィルム(SG−1、パナック社製)に最終厚みが12.5μmになるよう、かつ50cm幅で流延し、実施例1と同様に120℃で108秒間乾燥を行ったところ、自己支持性フィルムを形成しなかったため、導電性フィルムを得ることができなかった。
(参考例2)
合成例1でカーボン分散ポリアミド酸溶液を、PETフィルムに最終厚みが12.5μmになるよう、かつ、50cm幅で流延し、70℃で600秒間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETフィルムから剥離した後、ピンに固定し、160℃から300℃まで450秒かけて昇温しながら乾燥し、続けて400℃で180秒間乾燥を行って導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(合成例2)
テトラカルボン酸二無水物としてBPDA50モル%およびBTDA50モル%を、ジアミン化合物としてODA50モル%およびp−PDA50モル%を使用するようにした以外は合成例1と同様にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。
(実施例2)
合成例2で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(合成例3)
テトラカルボン酸二無水物としてBPDA100モル%を、ジアミン化合物としてODA85モル%およびp−PDA15モル%を使用するようにした以外は合成例1と同様にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。
(実施例3)
合成例3で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(参考例3)
合成例3で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、参考例2と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(合成例4)
テトラカルボン酸二無水物としてBPDA50モル%およびBTDA50モル%を、ジアミン化合物としてODA100モル%を使用するようにした以外は合成例1と同様にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。
(実施例4)
合成例4で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(合成例5)
テトラカルボン酸二無水物としてBTDA100モル%を、ジアミン化合物としてODA85モル%およびp−PDA15モル%を使用するようにした以外は合成例1と同様にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。
(比較例1)
合成例5で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(参考例4)
合成例5で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、参考例2と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(合成例6)
テトラカルボン酸二無水物としてBPDA50モル%およびBTDA50モル%を、ジアミン化合物としてp−PDA100モル%を使用するようにした以外は合成例1と同様にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。
(比較例2)
合成例6で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(合成例7)
テトラカルボン酸二無水物としてBPDA100モル%、ジアミン化合物としてODA100モル%を使用するようにした以外は合成例1と同様にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。
(比較例3)
合成例7で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(合成例8)
合成例1で得られたカーボン分散液100重量部、および、得られたポリアミド酸74重量部を混合し、均一にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。このとき、ポリアミド酸100重量部に対し、ケッチェンブラックは20重量部であった。
(実施例5)
合成例8で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(参考例5)
合成例8で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、参考例2と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(合成例9)
合成例1で得られたカーボン分散液100重量部、および、得られたポリアミド酸397重量部を混合し、均一にしてカーボン分散ポリアミド酸溶液を得た。このとき、ポリアミド酸100重量部に対し、ケッチェンブラックは5重量部であった。
(実施例6)
合成例9で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、実施例1と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
(参考例6)
合成例9で得たカーボン分散ポリアミド酸溶液を用い、参考例2と同様にして導電性ポリイミドフィルムを得た。
得られた導電性ポリイミドフィルムの体積抵抗率、表面抵抗率、ピンホールの発生率を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 0005783789
表1に示されるとおり、熱イミド化法によって導電性ポリイミドフィルムを製造した参考例2、3、4では、ポリアミド酸の分子構造によらず、得られた導電性ポリイミドフィルムはいずれも同等の低い電気抵抗率と、ピンホール発生率とを有するものであった。しかし、本発明のポリアミド酸の必須の構成原料を含まないもの(BPDAまたはODAを含まない)を使用した比較例1、2では、化学イミド化法で製造された導電性ポリイミドフィルムは体積抵抗率、表面抵抗率共に高く、カーボンブラックが凝集しており、ピンホール発生率も高いものであった。よって、これらポリアミド酸は化学イミド化法では有用ではないことは明らかである。また、本発明のポリアミド酸の必須の構成原料を含まない(BPDAとODAのみ)ものを使用した比較例3では、化学イミド化法で得られた導電性ポリイミドフィルムは低い電気抵抗率を有するものの、ピンホール発生率が高かった。これにより、化学イミド化法で得られる導電性ポリイミドフィルムでは、低い電気抵抗率を実現できれば、ピンホール発生率も低くできるわけではないことがわかる。
一方、本発明のポリアミド酸を使用した実施例1〜4では、化学イミド化法で製造したにも関わらず、参考例2、3、4の熱イミド化法による導電性ポリイミドフィルムと同等の物性を有し、カーボンブラックの凝集とピンホールの発生とが抑制されていた。さらに、加熱時間が大幅に短縮された。したがって、本発明のポリアミド酸を使用すると、短時間で製造可能であり、生産性にも優れ、化学イミド化法が有用であることは明らかである。
また、実施例1においてポリアミド酸に含まれるカーボンの部数を変更した実施例5、6においても、熱イミド化法で製造した参考例5、6と同等の物性を有し、カーボンブラックの凝集とピンホールの発生とが抑制されていた。これにより、本発明のポリアミド酸を使用する化学イミド化法による、導電性ポリイミドフィルムの製法によれば、抵抗値を所望の値に調整可能であることは明らかである。

Claims (9)

  1. 導電付与剤とポリイミド樹脂を含有し、表面抵抗率が1.0×10 〜1.0×10 Ω/□の範囲内である導電性ポリイミドフィルムの製造方法であって、順に
    (A)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び4,4’−オキシジアニリン(ODA)、並びに、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、又はp−フェニレンジアミン(p−PDA)を含む、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物を反応させてなるポリアミド酸であって、該テトラカルボン酸二無水物100モル%において、BPDAが10〜100モル%含有され、かつ該ジアミン化合物100モル%において、ODAが50〜100モル%含有される、ポリアミド酸
    (B)導電付与剤、および、
    (C)イミド化促進剤を均一に含有する
    ポリアミド酸溶液を支持体上に流延し、塗膜を形成する工程と、
    該支持体上の該塗膜を室温から200℃の温度で乾燥し、該支持体上に自己支持性乾燥フィルムを形成する工程と、
    該自己支持性乾燥フィルムを該支持体から剥離する工程と、
    該自己支持性乾燥フィルムを引き伸ばした状態で固定・加熱し、イミド化する工程と、を含むことを特徴とする、導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 前記テトラカルボン酸二無水物100モル%において、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)が90モル%以下含有されるか、及び/又は、
    前記ジアミン化合物100モル%において、p−フェニレンジアミン(p−PDA)が50モル%以下含有される、
    請求項1に記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  3. (B)導電付与剤が炭素性導電性粒子を含む、請求項1、又は2に記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法
  4. (B)導電付与剤が(A)ポリアミド酸100重量部に対して1〜50重量部含まれる、請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  5. (C)イミド化促進剤が触媒と化学脱水剤を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  6. (C)イミド化促進剤の触媒の使用量が、(A)ポリアミド酸中のアミド酸1モルに対し0.1〜4.0モル当量の範囲内である、請求項5に記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  7. (C)イミド化促進剤の化学脱水剤の使用量が、(A)ポリアミド酸中のアミド酸1モルに対し1.0〜5.0モル当量の範囲内である、請求項5、又は6に記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 導電性ポリイミドフィルムの厚みが1〜100μmの範囲である、請求項1乃至7のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
  9. 導電性ポリイミドフィルムは、厚み方向の体積抵抗率が1.0×10−1〜1.0×10Ωcmの範囲内である、請求項1乃至8のいずれかに記載の導電性ポリイミドフィルムの製造方法。
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