JP2004115788A - ポリイミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械特性を損なうことなく、表面電気伝導度を制御したポリイミドおよびその製造方法の提供。
【解決手段】粉体電気抵抗率が0.1Ω・cm〜105Ω・cmの粉体を含有し、表面抵抗率が1.0×105Ω〜1.0×1012Ωの範囲にあることを特徴とするポリイミドフィルム、およびポリアミック酸溶液に粉体電気抵抗率が0.1Ω・cm〜105Ω・cmの粉体を分散させ、該ポリアミック酸溶液を製膜した後、イミド化閉環処理することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、ポリイミドフィルムおよびその製造方法に関し、さらに詳細には、機械特性を損なうことなく、帯電防止作用を有するポリイミドフィルムおよびその製造方法に関するものである。
 ポリイミドフィルムは、優れた絶縁性と耐熱性を有していることから、銅箔などの金属箔と積層したフレキシブル回路基板用のベースフィルムおよびその周辺部、例えばカバーレイフィルムとして幅広く利用されているが、その優れた絶縁性に起因する静電気の帯電が大きな問題となっている。特に静電気により表面に異物が付着することが問題となっている。これはポリイミドフィルムをロールで巻き取る際に摩擦に起因する静電気によって皺が入りやすくなったり、埃が吸着されやすくなる問題がある。
 即ち、フレキシブル回路基板用のベースフィルムなどに使用されるための電気絶縁性を有し、かつ帯電防止性を付与するための電気導電性を兼ね備えているフィルムおよびそれを簡便に製造する方法が無かった。
 かかる問題を解決するためにポリイミドフィルムに導電性を付与する手法として、炭素粉末または金属粉末などの導電粉末の添加が開示されている。
 しかしながら、例えば、実用上、必要な導電性を得るためには、多量の炭素粉末の添加が必要であるため、このような炭素粉末の大量添加によって、機械的特性が低下したり、ボイドが発生する問題があった。
 また特開2001−354782号公報(特許文献1)にはポリイミドに電子導電性物質と金属イオン導電性物質を添加することによって、導電性を付与する開示があるが、金属イオン導電性物質を添加することは、金属イオンのマイグレーションによるポリイミドの絶縁性が低下する問題がある。また表面の沿面電流・コロナ放電により表層ポリイミドが絶縁破壊して導電性分解物を生成し、これが電気抵抗を更に下げる問題がある。
 そのため、「従来金属や炭素系フィラー材料では実現困難であった中高抵抗域程度の導電材料としてポリアニリン(日本カーリット社製AFシリーズカタログ、http://www.carlit.co.jp/emd/newpage11.htm)」があるが、溶解性が悪いためポリイミド中では分散性が悪かった。
 また、特開2001−98160号公報(特許文献2)には自由体積が0.001〜1000nm3の中空構造を有するカーボンナノチューブを含有する絶縁材料用ポリイミド樹脂についての開示があるが、これから得られるポリイミドフィルムは絶縁性のために帯電防止作用を有しない。
特開2001−354782号公報 特開2001−98160号公報
 本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
 したがって、本発明の目的は、機械特性や絶縁性を損なうことなく、帯電防止作用を有し、表面の異物付着を防止するポリイミドフィルムおよびその製造方法を提供することにある。
 本発明のポリイミドフィルムは、前記課題を解決するため、以下の解決手段を採用する。
 すなわち、粉体電気抵抗率が0.1Ω・cm〜105Ω・cmの粉体を含有し、表面抵抗率が1.0×105〜1.0×1012Ωの範囲にあることを特徴とするポリイミドフィルムである。
 また、本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、前記課題を解決するため、以下の解決手段を採用する。
 すなわち、ポリアミック酸溶液に粉体を分散させてスラリー状とし、そのポリアミック酸溶液を製膜した後、イミド化閉環処理することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法である。
 本発明によれば、ヤング率や破断点伸度などの機械的特性や絶縁信頼性を損なうことなく、優れた表面導電性を発現するポリイミドフィルムを得ることができ、このポリイミドフィルムは、銅箔などの金属箔と積層したフレキシブル回路基板用のベースフィルムや、フレキシブル印刷回路保護用カバーレイフィルムなどとして幅広く利用することが可能である。
 以下、本発明のポリイミドフィルムを詳細に説明する。
 本発明のポリイミドフィルムは粉体電気抵抗率が0.1Ω・cm〜105Ω・cmの粉末を含有する。粉体電気抵抗率が0.1Ω・cm未満の粉体を用いると、目的とする表面抵抗率の範囲のフィルムを安定して得ることが難しい。逆に粉体電気抵抗率が105Ω・cmを超える粉体を用いると、目的とする1.0×1012Ω以下の表面抵抗率のフィルムを得ることが難しい。
 粉体電気抵抗率の測定方法は後述するが、0.1Ω・cm〜105Ω・cmの抵抗領域の測定は、(株)ダイアインスツルメント社の粉体抵抗測定システム(MCP−PD41、装置名:ロレスターHP、四探針・リング電極)を用い、39(MPa)〜62(MPa)の加重を掛け、JIS−K7194に準じて標準状態(25℃、60%RH)で測定する。
 粉体の素材としては、金属、酸化金属、セラミックス、導電ポリマー、炭素同素体およびそれらの複合体よりなる粉体がある。金属としてはセレン、テルルなどがある。酸化金属としては酸化チタン類(Ti23、Ti35、Ti47、Ti59)、酸化バナジウム(V23、V47、V59、V611、V713、V815、VO2、V613)などの粉体がある。
 炭素同素体としてはグラファイト、炭素繊維、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノコーン、球状カーボンブラック、ケッチェンブラックなどがある。いずれもグラファイト構造を少なくとも一部有する炭素の同素体である。
 粉末の含有量は0.01重量%以上30重量%以下であることが好ましい。更に好ましくは0.1重量%以上20重量%以下である。最も好ましくは1重量%以上10重量%以下である。
 特に好ましくはカーボンナノチューブ、カーボンナノコーン、球状カーボンブラックである。
 カーボンナノチューブは少量で安定な特性が得られるので、最も好ましい。優れた帯電防止作用を得る観点、電気絶縁性を得る観点および伸度低下等の物性低下を防止する観点から、カーボンナノチューブを含有させる場合のフィルム中の含有量は1重量%以上10重量%以下の範囲にあるのが好ましい。
 本発明ではカーボンナノチューブの生成法としてアーク放電法を用いているが、その他の生成方法としてレーザー蒸発法、化学蒸着法があり、いずれの方法でも好ましい。
 本発明の例で使用されるカーボンナノチューブとは、単層もしくは多層に積層したグラファイト状炭素からなる長手方向長さが1〜10μm程度であり、密度が200kg/m3以下であり、比表面積が1.5×1052/kg以上の円筒状物質であり、その両端または一方の端がグラファイト状炭素によって塞がれているもの、塞がれていないものが用いられるが、塞がれているものが好ましく用いられる。更に好ましくは円筒壁のグラファイト層は、2層以上300層以下の多層(Multi-Wall)カーボンナノチューブが好ましい。更に好ましくは3層以上100層以下である。そして、カーボンナノチューブは、炭素のみからなるもの、もしくは構造の一部を他の元素で置換したもの、または化学的に修飾したもののいずれであっても好ましく用いられる。さらにカーボンナノチューブはチューブ内に金属化合物が内包されることも好ましく、また、本発明が回路基板用途に用いられる際には絶縁信頼性の観点から、金属化合物が内包されないものを使用するのが好ましい。 カーボンナノチューブは生成時にナノポリへドロンと呼ばれる少量の炭素微粒子も副生する。導電性の観点からナノポリへドロンは含まないことが好ましいが、少量であれば含まれていてもかまわない。
 本発明のポリイミドフィルムは、表面抵抗率が1.0×105Ω〜1.0×1012Ωの範囲にあることを特徴とする。好ましくは1.0×108〜1.0×1012Ω、最も好ましくは1.0×108〜1.0×1011Ωである。
 表面抵抗率が1×105Ω未満になると、絶縁性が低下し回路基板としての性能を低下させたり、表面の沿面電流・コロナ放電の発生確率が加速度的に大きくなるため、表層ポリイミドが絶縁破壊して導電性分解物を生成し、これが電気抵抗を更に下げる問題がある。
 なお、本発明でいう上記「表面抵抗率」とは、後述するがポリイミドフィルムについて、表面抵抗率が10-2Ω〜106Ωの範囲はロレスターGP(三菱化学社製MCP−T600)でJIS K−7194に準拠した方法で測定した値を意味する。また106Ω〜1012Ωの範囲はハイレスターUP(三菱化学社製MCP−HT450)で、1012Ω以上の範囲はアジレントテクノロジー(株)社製pA METER/DC VOLTA GE SOURCE 414OBを用い、かつ測定電極としてADVANTEST社製R12702Aを用いて、JIS K−6911に準拠した方法で測定した値を意味する。
 次に、本発明のポリイミドフィルムの構成成分について説明する。
 本発明のポリイミドフィルムにおけるポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とからなるポリアミック酸を前駆体としてなり、次式(I)および(II)に示される繰り返し単位で構成されものである。
Figure 2004115788
Figure 2004115788
 (ただし、式中のR1 およびR3 は、下記一般式で示される基のいずれかであり、
Figure 2004115788
式中のR3 は下記一般式で示される基のいずれかである。
Figure 2004115788
また、式中のX:Yのモル比は0:100〜10:90である。)
 前記前駆体としてのポリアミック酸を形成する芳香族テトラカルボン酸類の具体例としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジンー2,3,5,6−テトラカルボン酸およびこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。ポリアミック酸の製造にあたっては、これらの芳香族テトラカルボン酸類の酸無水物が好ましく使用される。
 前記前駆体としてのポリアミック酸を形成する芳香族ジアミン類の具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンチジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3メチル−5アミノフェニル)ベンゼンおよびこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。
 また、本発明において、ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、さらにはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素との使用も可能である。
 本発明で用いるポリアミック酸の有機溶媒溶液(ポリアミック酸溶液)は、固形分を5〜40重量%を含有するのが好ましく、10〜30重量%を含有するのがより好ましく、15〜25重量%を含有するのが最も好ましい。またその粘度は、安定した送液のため、ブルックフィールド粘度計による測定値で10Pa・s以上が好ましく、100Pa・s以上がより好ましい。粘度の上限は送液するための流動性があれば良いが、安定なフィルムを高速で成形・製膜する観点から2000Pa・s以下が好ましく、更には1000Pa・s以下が好ましい。
 また、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
 本発明においてポリアミック酸を構成する芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とは、それぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるが、その一方が10モル%の範囲内で他方に対して過剰に配合されることが好ましく、5モル%の範囲内で他方に対して過剰に配合されることもより好ましい。
 重合反応は、有機溶媒中で撹拌そして/または混合しながら、0〜80度の温度の範囲で、10分〜30時間連続して進められるのが好ましく、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸類を添加することが好ましい。重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミック酸の有機溶媒溶液を製造するのにとって有効な方法である。
 また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加することによって、重合反応の制御を行ってもよい。
 次に、本発明のポリイミドフィルムの製造方法について、粒子にカーボンナノチューブを用いた場合について説明する。
 まずカーボンナノチューブ含有ポリアミック溶液を調製する。
 予め重合したポリアミック酸溶液にカーボンナノチューブを添加し分散させる。具体的には回転粘度計で測定した25℃における粘度が10Pa・s以上500Pa・s以下程度のポリアミック酸溶液中にカーボンナノチューブを、得られるポリイミド当たり0.01重量%以上10重量%以下の濃度で均一に分散させるのが好ましく、1重量%以上10重量%以下の濃度で均一に分散させるのがより好ましい。
 なお、ここで使用するポリアミック酸溶液は、予め重合したポリアミック酸溶液であっても、カーボンナノチューブを含有させる際に順次重合したものであってもよい。
 本発明においては、カーボンナノチューブをポリアミック酸溶液に添加することによりカーボンナノチューブ含有ポリアミック酸溶液を調製するが、このときのポリアミック酸溶液を得るための反応手順としては、有機極性溶媒中に芳香族ジアミンを添加し溶解したのち、芳香族テトラカルボン酸二無水物を添加する方法、または有機極性溶媒中に芳香族テトラカルボン酸二無水物を添加したのち、芳香族ジアミンを添加する方法などいずれの方法でも可能である。このとき芳香族テトラカルボン酸に無水物と芳香族ジアミンの添加量は、実質的に等モルとすることができる。
 本発明のポリイミドの製造において、使用する非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。
 前記ポリアミック酸溶液を支持体上にキャストして自己支持性のポリアミック酸フィルムを得る。次いで、得られたポリアミック酸フィルムの端部を固定し、200℃以下の温度で延伸しながら予備乾燥させる。引き続き150℃以上500℃以下の温度で更に乾燥およびイミド化をするための熱処理を行うことによりポリイミドフィルムを得るのが好ましい。
 なお、支持体とはガラス、金属、高分子フィルムなど平面を有し、ポリアミック酸をこの上にキャストした場合に、キャストされたポリアミック酸を支持することができるものを意味する。
 また、キャストとはポリアミック酸を支持体上に展開することを意味する。キャストの一例としては、バーコート、スピンコート、あるいは任意の空洞形状を有するパイプ状物質からポリアミック酸を押し出し、支持体上に展開する方法が挙げられる。
 得られたポリアミック酸をイミド閉環化させてポリイミドフィルムにする際には、脱水剤と触媒を用いて脱水する化学閉環法、熱的に脱水する熱閉環法、あるいはその両者を併用した閉環法のいずれで行ってもよい。
 化学閉環法で使用する脱水剤としては、無水酢酸などの脂肪族酸無水物、フタル酸無水物などの酸無水物などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。また触媒としては、ピリジン、ピコリン、キノリンなどの複素環式第3級アミン類、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、N,N−ジメチルアニリンなどの第3級アミン類などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。
 イミド化は熱閉環法が好ましい。特に粒子粒径のいずれかの長軸が0.1μmを超える場合は熱閉環法の方が内部ボイドの発生を抑制することが出来、そのため絶縁破壊電圧を高くすることが出来るので熱閉環法が好ましい。
 本発明のポリイミドフィルムは、表面抵抗率が1.0×105〜1.0×1012Ωであれば、単層でも良いが、上記で得られる粒子を含有させたポリアミック酸を少なくとも片面に積層した積層ポリイミドフィルムが好ましい。積層する方法は公知の方法を組み合わせる事が出来るが、具体的にはポリアミック酸の積層フィルムを作成後イミド化し積層したポリイミドフィルムを製造する方法、ポリイミドフィルムに上記の粒子を含有したポリアミック酸を塗布または噴射塗装する方法がある。
 本発明のポリイミドフィルムの破断伸度は50%以上が好ましい。更に好ましくは60%以上である。50%未満であると、フィルム端部のスリット時に破断面が伝播し易くなる結果、製膜作業性が著しく悪くなる。
 本発明のポリイミドフィルムの絶縁破壊抵抗は200V/mm以上が好ましい。更に好ましくは220V/mm以上である。絶縁破壊抵抗が200V/mm未満となると電線被覆用途での使用に適当でなくなる。
 本発明のポリイミドフィルムの厚みは3〜250μmであることが好ましい。
 すなわち、厚みが3μm未満では形状を保持することが困難となる傾向があり、また250μmを越えると屈曲性に欠けるため、フレキシブル回路基板用途には不向きとなる傾向がある。
 フィルムは延伸および未延伸のものをいずれも使用することができる。粒子の平均粒径が1μmを超える場合は未延伸が好ましく、1μm以下の場合は延伸して製造されることが好ましい。
 また、本発明の目的を阻害しない限り、加工性改善などを目的として10重量%以下の無機質または有機質の添加物も含有することも可能である。
 かくして得られる本発明のポリイミドフィルムは、機械的特性を損なうことなく、表面抵抗率が1.0×105〜1.0×1012Ωと電気抵抗が改良されたことから、銅箔などの金属箔と積層したフレキシブル回路基板用のベースフィルムや、フレキシブル印刷回路保護用カバーレイフィルム、ICキャリアテープおよび複写機の回転部分、プリンターの可動電子部品部分などとして幅広く利用することが可能である。
 以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
 なお、実施例中の各種特性値は、下記の方法により測定した値である。
 [粘度]
 ポリアミド酸の粘度は回転粘度計で測定する。粘度計はビスメトロン(単一円筒型回転粘度計、型式VS−A1、芝浦システム株式会社製)を用いた。
 [表面抵抗率]
 表面抵抗率が10-2Ω〜106Ωの範囲はロレスターGP(三菱化学社製MCP−T600)でJIS K−7194に準拠した方法で測定した。また106Ω〜1012Ωの範囲はハイレスターUP(三菱化学社製MCP−HT450)で、1012Ω以上の範囲はアジレントテクノロジー(株)社製pA METER/DC VOLTA GE SOURCE 414OBを用い、かつ測定電極としてADVANTEST社製R12702Aを用いて、JIS K−6911に準拠した方法で測定した。
 [ヤング率、破断点伸度]
  破断伸度は、JISK7113に準じて、室温でORIENREC社製のテンシロン型引張試験器により、引張速度300mm/分にて得られる張力−歪み曲線において、試料が破断するときの伸度を取った。ヤング率は初期立ち上がり部の勾配から求めた。
 [粉体電気抵抗率]
 (株)ダイアインスツルメント社の粉体抵抗測定システム(MCP−PD41、四探針・リング電極)を用い、39(MPa)の加重を掛け、JIS−K7194に準じて標準状態(25℃、60%RH)で測定した。粉体電気抵抗率が106(Ω・cm)以下の粉体は、測定器:ロレスターHPを用い、106(Ω・cm)以上の粉体はハイレスターIPを用いた。
 [実施例1]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル29.15g(146mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
また、直径6mmの2本の炭素棒を陽極部と陰極部に取り付けた大阪電気株式会社製SU-7アーク溶接機にアルゴンガスを流入し、アルゴン雰囲気下3.8 Paで、直流電流80Aを10分間流しアーク放電した。放電後、陰極部に堆積したカーボンナノチュブを集め、これを酸素雰囲気下で直流電流500Aを30分流しカーボンナノチューブを得た。
 このポリアミド酸溶液99.8gと、カーボンナノチューブ0.2gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。カーボンナノチューブの粉体電気抵抗率は、1.0×10+2(Ω・cm)であった。
 [実施例2]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル29.15g(146mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
また、直径6mmの2本の炭素棒を陽極部と陰極部に取り付けた大阪電気株式会社製SU-7アーク溶接機にアルゴンガスを流入し、アルゴン雰囲気下3.8 Paで、直流電流80Aを10分間流しアーク放電した。放電後、陰極部に堆積したカーボンナノチュブを集め、これを酸素雰囲気下で直流電流500Aを30分流しカーボンナノチューブを得た。
 このポリアミド酸溶液99.4gと、カーボンナノチューブ0.6g、とを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。カーボンナノチューブの粉体電気抵抗率は、1.0×10+2(Ω・cm)であった。

 [実施例3]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル29.15g(146mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
また、直径6mmの2本の炭素棒を陽極部と陰極部に取り付けた大阪電気株式会社製SU-7アーク溶接機にアルゴンガスを流入し、アルゴン雰囲気下3.8 Paで、直流電流80Aを10分間流しアーク放電した。放電後、陰極部に堆積したカーボンナノチュブを集め、これを酸素雰囲気下で直流電流500Aを30分流しカーボンナノチューブを得た。
 このポリアミド酸溶液98.6gと、カーボンナノチューブ1.4gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。カーボンナノチューブの粉体電気抵抗率は、1.0×10+2(Ω・cm)であった。
 [実施例4]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル29.15g(146mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
 このポリアミド酸溶液99.2gと、カーボンナノチューブ(シンセン・ナノテクサポート社製、商標名;MWCNT-1、管外径約10nm、粉体電気抵抗1Ω・cm)0.8gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。
 [実施例5]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル14.58g(73mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル14.58g(73mmol)、およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
 このポリアミド酸溶液99.6gと、カーボンナノチューブ(シンセン・ナノテクサポート社製、商標名;MWCNT-4、管外径約20〜40nm、粉体電気抵抗4Ω・cm)0.4gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。
 [実施例6]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル11.66g(58.4mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル17.49g(87.6mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
 このポリアミド酸溶液99.2gと、カーボンナノチューブ(シンセン・ナノテクサポート社製、商標名;MWCNT-6、管外径約60nm、粉体電気抵抗0.6Ω・cm)0.8gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。
 [実施例7]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル17.49g(87.6mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル11.66g(58.4mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
 このポリアミド酸溶液98.8gと、カーボンナノチューブ(ILJIN社製、商標名;CVD MWNT95、管外径約10〜20nm、粉体電気抵抗0.8Ω・cm)1.2gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。
 [比較例1]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル29.15g(146mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
 このポリアミド酸溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。
 [比較例2]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル29.15g(146mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
このポリアミド酸溶液99.8gと、炭素繊維粉末(昭和電工(株)製 商品名VGC FR)0.2gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。炭素繊維粉末(昭和電工(株)製 商品名VGC FR)の粉体電気抵抗率は、1.3×10-2(Ω・cm)であった。
 [比較例3]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル29.15g(146mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
このポリアミド酸溶液98.6gと、炭素繊維粉末(昭和電工(株)製 商品名VGC FR)1.4gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。炭素繊維粉末(昭和電工(株)製 商品名VGC FR)の粉体電気抵抗率は、1.3×10-2(Ω・cm)であった。
 [比較例4]
 DCスターラーを備えた500mlセパラブルフラスコ中に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル29.15g(146mmol)およびN,N’−ジメチルアセトアミド224gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
 次に、30分から1時間後にかけてピロメリット酸二無水物30.7988g(141mmol)を数回に分けて投入し、1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)15.87gを30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した。ここで得られたポリアミック酸溶液の粘度は350Pasであった。
このポリアミド酸溶液98.0gと、炭素粉末(デンカブラック、粒状、電気化学工業(株)社製)2gとを(株)キーエンス製ハイブリッドミキサー(HM−500)を用いて撹拌、脱泡を行った。混合した混合溶液を調製し、この混合溶液の一部をカプトンR100H(厚さ25μm、東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム)上に取り、スピンコーターを用いて均一な膜を積層形成した。スピンコート積層した後、この積層ゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、室温から150℃に昇温しながら30分間、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、全厚さ約80μmのポリイミドフィルムを得た。
 得られたポリイミドフィルムの機械特性および電気特性を測定した結果を表1に示した。炭素粉末(デンカブラック、粒状、電気化学工業(株)社製)の粉体電気抵抗率は、5×10+11(Ω・cm)であった。
Figure 2004115788
 表1の結果から明らかなように、本発明のポリイミドフィルム(実施例1〜3)は、比較例1のポリイミドフィルムに比べて、ヤング率および破断点伸度などの機械特性を損なうことなく、電気特性が著しく改善されたものである。
 一方、カーボンナノチューブの代りに炭素繊維を含有してなる比較例2および3のポリイミドフィルムは、配合量が少なくても絶縁と帯電防止効果が両立できる表面抵抗のフィルムが得にくいことが明らかである。
 炭素粉末を含有してなる比較例4のポリイミドフィルムは、炭素粉末の配合量が多くても電気特性の改善効果が小さいばかりか、機械特性、特に破断点伸度が著しく阻害されることが明らかである。
 本発明のポリイミドフィルムは、銅箔などの金属箔と積層したフレキシブル回路基板用のベースフィルムや、フレキシブル印刷回路保護用カバーレイフィルムなどとして幅広く利用することが可能である。

Claims (6)

  1. 粉体電気抵抗率が0.1Ω・cm〜105Ω・cmの粉体を含有し、表面抵抗率が1.0×105Ω〜1.0×1012Ωの範囲にあることを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. ポリイミドが一般式(I)および(II)で示される構造単位を有することを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
    Figure 2004115788
    Figure 2004115788
    (ただし、式中のR1 およびR3 は、下記一般式で示される基のいずれかであり、
    Figure 2004115788
    式中のR3 は下記一般式で示される基のいずれかである。
    Figure 2004115788
    また、式中のX:Yのモル比は0:100〜10:90である。)
  3. 前記粉体がグラファイト構造を有する炭素同素体またはその誘導体からなる粉体であり、その含有量が0.01重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリイミドフィルム。
  4. 前記グラファイト構造を有する炭素同素体からなる粉体がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
  5. ポリアミック酸溶液に粉体を分散させてスラリー状とし、そのポリアミック酸溶液を製膜した後、イミド化閉環処理することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  6. 製膜したポリイミドフィルムの表面抵抗率を1.0×105Ω〜1.0×1012Ωの範囲とすることを特徴とする請求項5に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
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