JP2019178223A - カーボンナノチューブ複合樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、樹脂体の中に高濃度かつ均一な分散状態でカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を得ることにある。【解決手段】本発明にかかるカーボンナノチューブ複合樹脂成形体は、樹脂体3の中に複数のカーボンナノチューブ1が配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体100であって、カーボンナノチューブの濃度が74.0vol%以下であり、かつ任意断面における1μm2におけるカーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1以下であることに特徴を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体及びその製造方法に関し、特に、樹脂体の中に所定濃度で、かつ均一な状態でカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体及びその製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、炭素原子からなるシートを単層あるいは多層の同軸管状にした直径数ナノメートル〜数百ナノメートルの高アスペクト比の材料である。
また、カーボンナノチューブは、電気伝導性、熱伝導性、弾性率などが高く、樹脂や金属などのマトリックスへ混合し成形体(カーボンナノチューブ複合樹脂成形体)とすることにより、マトリックスの強度や伝導性が向上することが知られている。
このカーボンナノチューブを含む樹脂成形体、即ちカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を製造する方法として、図12(a)に示すように樹脂粉3とカーボンナノチューブ1とを混合して複合化粒子7を形成し、所定の形状に成形後、図12(b)に示すように加熱成形する方法が知られている。
しかしながら、前記方法では、隣接する樹脂粉3の境界面にカーボンナノチューブ1が存在することになり、図13、図14に示すように成形体におけるカーボンナノチューブ1の分散状態は均一とはいえない。尚、図13は、当該断面を表した模式図であり、図114は、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で写した写真である。
更に、カーボンナノチューブが高濃度化すると、樹脂粉3間にカーボンナノチューブ1がより凝集し、均一な強度を得ることができず、成形体の強度低下をより招くという課題があった。
また、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体を製造する他の方法として、例えば特許文献1(特開2008−200613号公報)に示されるように、溶液化した前駆体とカーボンナノチューブとを混合し、塗布して反応(乾燥)させる方法が提案されている。
しかしながら、前記方法では、前駆体溶液中でカーボンナノチューブを分散させることができても、乾燥工程において、カーボンナノチューブの再凝集を防ぐことが難しい。
また、塗布プロセスにより樹脂膜、樹脂層を形成することはできるが、厚みのある立体形状(3D形状)の成形体を作ることが困難であるという課題があった。
更に、成形体の強度低下の課題を解決できるものとして、特許文献2(特表2015−508437号公報)には、カーボンナノチューブなどの導電性ナノフィラーと、熱可塑性ポリマーを含む第1の組成物を、未硬化の熱硬化樹脂前駆体、硬化剤とともに混合し、反応成形により複合体を成形することが提案されている。
この方法によれば、前駆体を含む樹脂とナノフィラーを混合し、反応成形するものであるため、樹脂マトリクスの強度等の特性を向上することができる。
特開2008−200613号公報 特表2015−508437号公報
ところで、特許文献2に開示された発明にあっては、前記したように、前駆体を含む樹脂とナノフィラーを混合し、反応成形するものであるため、樹脂マトリクスの特性を向上することができる。
しかしながら、反応成形の際、図13、図14に示すように、樹脂前駆体の粒子間にカーボンナノチューブが凝集し、成形体に均一に分散させることが難しいという課題があった。
本発明者らは、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体中に、より高濃度で、かつ均一な分散状態でカーボンナノチューブを配合することを鋭意研究し、強度が大きいカーボンナノチューブ複合樹脂成形体及びその製造方法を想到し、本発明を完成した。
本発明の目的は、樹脂体の中により高濃度で、かつ均一な分散状態でカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体及びその製造方法に提供することにある。
前記した課題を解決するために、本発明に係るカーボンナノチューブ複合樹脂成形体は、樹脂体の中に複数のカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体であって、樹脂に対するカーボンナノチューブの濃度が74.0vol%以下であり、かつ任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の標準偏差を平均値で除した変動係数が、0.1以下であることに特徴を有する。
このようなカーボンナノチューブ複合樹脂成形体は、高強度を有し、また高濃度のカーボンナノチューブにより高弾性率、高耐熱性、及び高放熱性を有する。
ここで、前記カーボンナノチューブの濃度が74.0vol%以下の範囲において、カーボンナノチューブの濃度が増加することによって、弾性率と放熱性とが向上する。
カーボンナノチューブの濃度が74.0vol%以上では、理論上、空隙が出て充填密度が出せないため好ましくない。一方、前記カーボンナノチューブの濃度の下限値は特に限定されるものではないが、0.72vol%以上であることが好ましい。
更に説明すると、強度については、15.1vol%未満の場合には、カーボンナノチューブの濃度の増加によって向上するが、前記カーボンナノチューブの濃度が15.1vol%を超える場合には低下する。しかしながら、それでも十分な強度を有するため、前記カーボンナノチューブの濃度範囲において、成形体が高弾性率、高耐熱性、及び高放熱性の点で優れた特性を有するといえる。
本発明は、任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の標準偏差を平均値で除した変動係数が、0.1以下である点に特徴を有する。
任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1を超える場合には、カーボンナノチューブが局在化している、或いは、カーボンナノチューブが均一に分散されていないため、強度が低く好ましくない。
また、カーボンナノチューブの濃度が0.72vol%以上74.0vol%以下であり、かつ任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1以下である場合には、最大曲げ応力が少なくとも120MPaのカーボンナノチューブ複合樹脂成形体とすることができ、また、曲げ弾性率が少なくとも、4000MPaのカーボンナノチューブ複合樹脂成形体とすることができる。また熱拡散率が、少なくとも3×10−3cm/s以上のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体とすることができる。
また、前記樹脂体は、ポリイミド樹脂またはフェノール樹脂であることが望ましい。
前記樹脂体がポリイミド樹脂の場合には、耐熱性に優れる点で好ましい。また、フェノール樹脂の場合には、常温強度に優れる点で好ましい。
更に、前記樹脂体中に、ダイヤモンドや立方晶窒化ボロン(cBN)などの砥粒と,他の機能性フィラーとして、セラミックスや金属の微粉を含んでいても良い。このように、前記樹脂体中に、砥粒または金属粉などを含む場合には、例えば、研削あるいは研磨用に砥石にも適用することができる。
また、前記した課題を解決するために、本発明に係るカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法は、樹脂体の中に複数のカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法であって、樹脂の前駆体にカーボンナノチューブを混合し、再沈殿法により樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を生成する工程と、前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を所定量混合する工程と、前記混合した樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を、真空条件下で、成形するとともに加熱し、化学反応により樹脂体を形成し、成形体を得る工程と、を備えることに特徴を有する。
このような構成によれば、樹脂体の中に所定濃度で、かつ均一な分散状態でカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を得ることができる。
即ち、この製造方法を用いることにより、本発明のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を得ることができる。
ここで、前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を所定量混合する工程において、砥粒または金属物質などからなる付加物質を添加する工程を含み、砥粒は全体の12.5〜37.5vol%程度、砥粒を除く部分に対する付加物質(セラミックスや金属の微粉)の割合が10〜70vol%であることが望ましい。
また、樹脂の前駆体にカーボンナノチューブを混合し、再沈殿法により樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を生成する工程において、前記カーボンナノチューブを被覆する樹脂層の厚さにより成形体中におけるカーボンナノチューブの濃度を制御することが望ましい。
更に、前記樹脂体は、ポリイミド樹脂またはフェノール樹脂であることが望ましい。
加えて、前記樹脂被覆カーボンナノチューブの樹脂が前駆体であるポリアミック酸であり,ポリアミック酸のイミド化率が80%以下であり,樹脂中のカルボキシル基とイミノ基が加熱によって反応し,イミド化が進み、ポリイミド樹脂を成形することが望ましい。
また、前記樹脂層がノボラック型フェノール樹脂と、ホルムアルデヒドを生成する硬化剤とを含む樹脂であり、前記ノボラック型フェノール樹脂と前記ホルムアルデヒドによって生成するメチノール基であり、前記反応性基が加熱によって脱水反応で架橋硬化することが望ましい。
更に、前記樹脂層がレゾール型フェノール樹脂であり、前記反応性基がメチノール基であり、前記反応性基が加熱によって脱水反応で架橋硬化することが望ましい。
本発明によれば、樹脂体の中により高濃度で、かつ均一な分散状態でカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体及びその製造方法を得ることができる。
図1は、本発明に係るカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の断面を模式的に表した図である。 図2は、本発明に係るカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の断面を観察した透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図3は、本発明に係るカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を形成するために用いる樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を示す模式図である。 図4は、樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子の透過型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図5(a)は、図3の樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を形成する複数本の樹脂被覆カーボンナノチューブのうちの1本の軸方向に沿った断面図であり、図5(b)は、径方向の断面図である。 図6(a)、(b)は、本発明に係るカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法を説明するための図である。 図7は、本発明の実施例と比較例の最大曲げ応力の結果を示すグラフである。 図8は、本発明のカーボンナノチューブ濃度の異なる実施例の最大曲げ応力と曲げ弾性率の結果を示すグラフである。 図9は、樹脂部のイミド化率を変えた樹脂被覆カーボンナノチューブから反応成形したカーボンナノチューブ複合ポリイミド樹脂(7.34vol%)のときの最大曲げ応力の結果を示すグラフである。 図10は、本発明の実施例と比較例の試料温度300℃におけるアルミナ球に対する高温耐摩耗性の結果を示すグラフである。 図11は,本発明の実施例のカーボンナノチューブ濃度に対する熱拡散率の結果を示すグラフである。 図12(a)、(b)は、従来のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法を説明するための図である。 図13は、従来のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の断面を模式的に表した図である。 図14は、従来のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の断面を観察した透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
以下、本発明に係るカーボンナノチューブ複合樹脂成形体及びその製造方法の実施の形態を図面に基づき説明する。
(カーボンナノチューブ複合樹脂成形体)
図1、図2に示すようにカーボンナノチューブ複合樹脂成形体100には、ポリイミドなどの樹脂体3中に多数のカーボンナノチューブ1が含まれる。
本発明は、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100において、カーボンナノチューブの濃度が74.0vol%以下であり、かつ任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1以下である点に特徴を有している。
即ち、このカーボンナノチューブ複合樹脂成形体100において、樹脂体3中におけるカーボンナノチューブ1の濃度は74.0vol%以下になされている。
カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100におけるカーボンナノチューブ1の濃度が高くなるにつれて、電気伝導性、熱伝導性、弾性率などに優れた特性を有する。
しかしながら、樹脂体3中におけるカーボンナノチューブ1の濃度が高すぎると、理論上充填が困難となり、空隙ができることとなり、好ましくない。
そのため、本発明にかかるカーボンナノチューブ複合樹脂成形体100にあっては、カーボンナノチューブの濃度が74.0vol%以下になされている。
一方、前記カーボンナノチューブの濃度の下限値は特に限定されるものではないが、本発明者らの実験では、カーボンナノチューブの濃度が0.72vol%の場合でも、所定の効果をえることができるため、好ましくは、カーボンナノチューブの濃度が0.72vol%以上である。
尚、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100に用いられるカーボンナノチューブは、長さは、数μm〜数十μmであり、直径は、数nm〜数百nmである。そして、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100には、このカーボンナノチューブに樹脂が被覆されたカーボンナノチューブ粒子が用いられる。
更に説明すると、カーボンナノチューブの濃度が0.72vol%以上74.0vol%以下である場合であっても、カーボンナノチューブが偏在する場合には、所定の強度、耐熱性を得ることができない。
そのため、カーボンナノチューブの分散の一つの指標として、任意断面における、1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の変動係数で特定する。
即ち、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100において、任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の変動係数が0.1以下となされている場合には、カーボンナノチューブが均一に分散され、所定の強度、耐熱性を得ることができる。
ここで、カーボンナノチューブの面積の変動係数とは、任意断面に、例えば、100μm×100μmの観察領域を設定し、その領域を1μm(1μm×1μm)の領域に区分し、夫々の区分された領域におけるカーボンナノチューブの面積を求め、その面積の標準偏差を平均値で除して変動係数を求めたものである。
この変動係数が小さいほど、単位面積あたりのカーボンナノチューブの面積のばらつきが小さく、均一に配合されていることを意味する。
したがって、カーボンナノチューブの面積の変動係数は、より小さいことが好ましく、前記変動係数が、0.1を超える場合には、カーボンナノチューブが均一に分散されていないため、強度、耐熱性が低く、好ましくない。
また、カーボンナノチューブの濃度が0.72vol%以上74.0vol%以下であり、かつ任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1以下であるカーボンナノチューブ複合樹脂成形体100は、最大曲げ強度が、少なくとも120MPaであり、また曲げ弾性率が、少なくとも4000MPaである。
このように、最大曲げ強度が、少なくとも120MPaであり、また曲げ弾性率が、少なくとも4000MPaの強度を有し、また高濃度のカーボンナノチューブにより放熱性,高耐熱性を有するため、航空機や自動車など機械要素部品の樹脂成形体として利用可能である。
また、本発明にかかるカーボンナノチューブ複合樹脂成形体100に、必要に応じて付加物質としてのダイヤモンドやcBNの砥粒、或いはセラミックス粉や金属粉(例えば、炭化ケイ素,銅,ニッケルなど)を加えてもよい。
例えば、砥粒、或いは金属粉を加えることにより、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100を、研削用、または研磨用の砥石として用いることができる。
(樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子)
次に、前記カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100を製造するために必要な樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子の構造について説明する。
図3、図4に示すように樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6は、複数本の樹脂被覆カーボンナノチューブ5が、表面の樹脂層2同士で連結することにより形成されている。図示するように、連結した複数の樹脂被覆カーボンナノチューブ5の間には、空隙4が形成されている。
前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6を構成する各樹脂被覆カーボンナノチューブ5は、図5(a)、(b)に示すように基材となるカーボンナノチューブ1(例えば,直径10nm、長さ1.5μm)が、反応性基を有する樹脂層2によって被覆されてなる。
前記樹脂層2は、例えばポリアミック酸を含む樹脂(前駆体)であり、イミド化率は80%以下であることが望ましい。
また、前記樹脂層2を含む樹脂被覆カーボンナノチューブ5の直径Bは、前記カーボンナノチューブ1の直径Aの1.1〜30倍の寸法であることが望ましいが、この比率は、成形体中におけるカーボンナノチューブの濃度に影響する。
言い換えれば、成形体中におけるカーボンナノチューブ1の濃度は、カーボンナノチューブ1基材に対する樹脂層2の厚さにより調整することができる。
即ち、カーボンナノチューブの濃度を高くする場合には、カーボンナノチューブ1を被覆する樹脂層2の厚さをより薄く形成し、濃度を低くする場合には、カーボンナノチューブ1を被覆する樹脂層2の厚さをより厚くなるよう形成すればよい。
尚、カーボンナノチューブの濃度をより高くすれば、成形体としての強度、弾性率、放熱性、耐熱性をより高くすることができる。
(樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子の製造方法)
次に前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6の製造方法について説明する。
前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6は、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液に多数本のカーボンナノチューブ1を混合し、再沈殿させる方法により生成することができる。
具体的に説明すると、カーボンナノチューブ(Nanocyl NC7000)とポリアミック酸ワニス(宇部興産製 U-Varnish A)を任意の割合で混合する。混合溶液を貧溶媒中へ滴下し再沈後、吸引濾過し任意の被覆量のポリアミック酸被覆CNT、即ち樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6を得る。
(カーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法)
続いて、前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6を用いて、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100の製造方法について説明する。
先ず、図6(a)に示すように前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6を必要量用意し、これに付加物質が有る場合には、付加物質を混合し混合体を形成する。
このとき、付加物質としては、例えば、ダイヤモンドやcBN等の砥粒、或いはセラミックス粉や金属粉(例えば、炭化ケイ素、銅、ニッケル)を加えてもよい。樹脂体3中における付加物質との配合比は、砥粒は全体の12.5〜37.5vol%程度、砥粒を除く部分に対するセラミックスや金属の微粉の割合は10〜70vol%が好ましい。
付加物質がある場合、具体的には、ロッキングミル、遊星ボールミル、自転公転ミキサー、乳鉢などを用いて混合する。また、前記混合体を液相とする場合には、媒体として有機溶媒を用い、回転式あるいは超音波を用いた撹拌装置を用いて混合し、有機溶媒を乾燥除去する。
尚、付加物質が無い場合(樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6のみの場合)には、混合することなく、真空ホットプレス装置で所定形状に成形される。
次いで、液相または固相の状態とした前記混合体を、金型に詰め、真空ホットプレス装置を用いて、数Pa以下の減圧下で反応成形を行う。ポリアミック酸被覆の場合、反応温度で真空度の変動が収まるまで保温し,その後380℃まで昇温し数時間加熱する。付加物質がない場合は,プレス圧は20〜50MPa程度で十分である。付加物質がある場合は、その添加量が多くなると、約200MPaのプレス圧が必要な場合がある。
加熱された樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6の樹脂層2は、化学反応によりポリイミド化し、隣接する樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6間において樹脂層2同士が連結する。
ここで、図3に示したように樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6中には、複数のカーボンナノチューブ1が配合されているため、粒子6の樹脂層2が化学反応によりポリイミド化する。即ち、樹脂中のカルボキシル基とイミノ基が加熱によって反応し,イミド化が進み、ポリイミド樹脂を成形する
このとき、カーボンナノチューブは前記したように樹脂で被覆されているために、凝集が抑制され、均一な分散状態を保ったままで、樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6の樹脂層2が化学反応によりポリイミド化する。
これにより、図6(b)に示すようにカーボンナノチューブ1が高濃度で、かつ均一に分散された成形体100を得ることができる。
尚、図6では、樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6を球状に示しているが、実際は、図3に示すように、樹脂被覆カーボンナノチューブが絡み合った形状に形成されている。
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、ポリイミドの前駆体によりカーボンナノチューブ1を被覆した樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子6を必要量混合し、それを成形後、加熱により化学反応させ、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体100を得ることができる。
このような製造工程を得ることにより、カーボンナノチューブ1の濃度が0.72vol%以上74.0vol%以下であり、かつ任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1以下であるカーボンナノチューブ複合樹脂成形体100を得ることができる。
尚、前記実施の形態にあっては、カーボンナノチューブ1を被覆する樹脂としてポリイミド前駆体を例に説明したが、本発明にあっては、その例に限定されるものではない。
例えば、樹脂としてフェノール樹脂を用いてもよい。例えば、前記樹脂層がノボラック型フェノール樹脂と、ホルムアルデヒドを生成する硬化剤(例えば、ヘキサメチレンテトラミン)とを含む樹脂であり、前記ノボラック型フェノール樹脂と前記ホルムアルデヒドによって生成するメチノール基であり、前記反応性基が加熱によって脱水反応で架橋硬化させても良い。
あるいはまた、前記樹脂層がレゾール型フェノール樹脂であり、前記反応性基がメチノール基であり、前記反応性基が加熱によって脱水反応で架橋硬化させても良い。
本発明に係るカーボンナノチューブ複合樹脂成形体及びその製造方法について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に示したカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を製造することにより、その性能を検証した。
(実験1)
実験1では、樹脂体中におけるカーボンナノチューブの濃度(vol%)が成形体の曲げ強度(MPa)に与える影響について検証した。曲げ強度の測定は、3点曲げ試験により実施した。
カーボンナノチューブとしては、平均長さ1.5μm、直径約10nmのものを用い、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液に多数本のカーボンナノチューブを混合し、再沈殿させる方法により生成した樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を用いた。
そして、真空ホットプレス装置(図示せず)を用いて、数Paの減圧下、380℃で数時間加熱し、カーボンナノチューブ複合樹脂成形体を得た。
ここで、実施例1ではカーボンナノチューブの濃度を2.16vol%とし、実施例2ではカーボンナノチューブの濃度を7.34vol%とし、実施例3ではカーボンナノチューブの濃度を15.1vol%とした。
尚、カーボンナノチューブの濃度は、樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子の樹脂被覆の厚さを変化させることにより、変化させた。このときの被覆樹脂であるポリアミック酸のイミド化率は、23.5%であった.
また、比較例として、樹脂粉とカーボンナノチューブとを固相混合し、成形後、加熱成形によりカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を得た。
具体的には、ミキサとして日本コークス製MP5を用い、イミド化率がほぼ100%であるポリイミド粉(宇部興産製UIP−R)をカーボンナノチューブと混合し、ポリイミド粉表面にカーボンナノチューブを付着させた複合粒子を形成した。そして、その複合粒子を金型に充填し、真空ホットプレスにより温度約400℃、プレス圧約200MPaで成形した。
比較例1のカーボンナノチューブの濃度を7.34vol%とし、比較例2のカーボンナノチューブの濃度を2.16vol%とした。
尚、カーボンナノチューブの濃度は混合機に投入するカーボンナノチューブの量により変化させた。
そして、この実施例1〜3、比較例1,2のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体に断面を形成し、100μm×100μmの観察領域を設定し、その領域を1μm(1μm×1μm)の領域に区分し、夫々の区分された領域におけるカーボンナノチューブの面積を求め、その面積の変動係数を求めた。
その結果、実施例1、実施例2、実施例3の変動係数は、いずれも0.1以下であり、比較例1と比較例2の変動係数は、いずれも約1.1であった。
これにより、実施例1〜3は比較例1、2に比べて、カーボンナノチューブが均一に分散されていることが確認された。
次に、実施例1〜3、比較例1,2のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体について、曲げ強度試験を行った。尚、試験片の形状は、縦10mm、横40mm、厚さ1.8mmとした。
その結果を図7の棒グラフに示す。図7のグラフにおいて、縦軸は最大曲げ応力(MPa)である。
このグラフに示されるように、例えばカーボンナノチューブの濃度2.16vol%の場合、比較例2の結果に対し実施例1の結果は約302%強度が向上した。また、カーボンナノチューブの濃度7.34vol%の場合、比較例1の結果に対し実施例2の結果は約572%強度が向上した。
この結果より、比較例では、カーボンナノチューブ濃度が高くなるについて強度が下がるのに対して、実施例ではカーボンナノチューブ濃度が高くなるにつれて強度が高くなることを確認することができた。
また、カーボンナノチューブの濃度が15.1vol%の実施例3の結果は、実施例1,2の結果よりも高い曲げ応力が得られた。
(実験2)
実験2では、樹脂体中におけるカーボンナノチューブの濃度(vol%)を種々変えて、成形体の最大曲げ応力(MPa)と曲げ弾性率(MPa)に与える影響について検証した。
実施例4〜10のいずれも、実施例1から実施例3と同様に、樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を、再沈殿法により生成し、所定量の樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を加熱して反応成形することによりカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を得た。
このとき、実施例4のカーボンナノチューブの濃度は0.72vol%とし、実施例5のカーボンナノチューブの濃度は2.16vol%とし、実施例6のカーボンナノチューブの濃度は3.62vol%とした。また、実施例7のカーボンナノチューブの濃度は7.34vol%とし、実施例8のカーボンナノチューブの濃度は15.1%、実施例9のカーボンナノチューブの濃度は41.6vol%とし、実施例10のカーボンナノチューブの濃度は74.0vol%とした。
そして、この実施例4〜10においても、実施例1〜3と同様な方法により、カーボンナノチューブの面積の変動係数を求めた。
その結果、実施例4〜実施例10の変動係数は、いずれも0.1以下であった。
これにより、実施例4〜10は比較例1,2に比べて、カーボンナノチューブが均一に分散されていること確認された。
次に、実施例4〜10のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体について、最大曲げ応力(MPa)と曲げ弾性率(MPa)の試験を行った。尚、試験片の形状は、縦10mm、横40mm、厚さ1.8mmとした。
実験2「カーボンナノチューブの濃度の効果」の結果を図8のグラフに示す。
図8のグラフにおいて、カーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1以下の範囲内にあり、良好にカーボンナノチューブが分散している場合、カーボンナノチューブ濃度が74.0%となるまで最大曲げ弾性率が増加する傾向が示された。
また、最大曲げ応力は、カーボンナノチューブ濃度が15.1vol%までは増加し、237MPaに達する。カーボンナノチューブ濃度が41.6vol%、74.0vol%では、濃度15.1vol%に比べて最大曲げ応力は下がるものの、120MPa以上の曲げ応力を有することがわかった。
即ち、本発明のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体のように、カーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1以下の範囲内にあり、高濃度のカーボンナノチューブを有することにより、最大曲げ応力と曲げ弾性率が向上することを確認した。
(実験3)
実験3では、樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子における樹脂部のイミド化率が成形体における最大曲げ応力に与える影響について検証した。
本実験の実施例においてカーボンナノチューブの濃度は,7.34vol%で固定し、樹脂被覆カーボンナノチューブの樹脂のイミド化率を実施例11では23.5%、実施例12では49.1%、実施例13では78.8%、実施例14では100%とした。そして、各実施例において所定量の樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を加熱して反応成形することによりカーボンナノチューブ複合樹脂成形体を得た。
尚、実施例11〜14におけるイミド化率は、樹脂被覆カーボンナノチューブの熱処理温度により制御した。イミド化率は以下のように定義した。即ちフーリエ変換赤外分光光度計を用いて、一回反射ATR法(Geプリスム、範囲:4000〜650cm−1、分解能:4cm−1、積算数:16回、処理:ATR補正→BL補正(4000cm−1,1800cm−1の2点で補正))により吸光度を測定した。さらに、1820cm−1をベース(Abs=0)としたときの吸光度比(1775cm−1/1500cm−1)を計算し、イミド化率とした。
また、500℃で1時間処理した試料の吸光度比をイミド化率100%とし、1775cm−1/1500cm−1=0をイミド化率0%と定義した。
本実験3の結果を図12のグラフに示す。図12のグラフにおいて、縦軸は最大曲げ応力(MPa)であり、横軸はイミド化率(%)である。
図9のグラフに示すように、イミド化率80%までは、最大曲げ応力は200MPa以上であるが、イミド化率100%では最大曲げ応力が大幅に低下した。これはイミド化率が高く,成形中に反応が起こらないため,樹脂同士の結合が弱いことに起因すると考えられる。
(実験4)
実験4では、本発明のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の高温耐摩擦性を検証した。
実施例15では、所定量の樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を加熱して反応成形することによりカーボンナノチューブ濃度が1.04vol%のカーボンナノチューブ複合ポリイミド樹脂成形体を得た。
比較例3では、ミキサとして日本コークス製MP5を用いてカーボンナノチューブ(Nanocyl製NC7000,直径約10nm,平均長さ1.5μm)とポリイミド粉(宇部興産製UIP−R)とを混合し、ポリイミド粉表面にカーボンナノチューブを付着させた複合粒子を形成した。そして、比較例1と同様条件の加熱成形により成形体を得た。
実施例15及び比較例3では、それぞれ、アルミナ球を用いた高温ボール・オン・ディスク試験を実施した。試験条件は、アルミナ球直径:6mm、試験荷重900gf、回転速度47.1m/min、総回転回数15,000回、潤滑液なし、試料温度300℃とした。
図10は、実験4の結果を示す棒グラフである。図10のグラフにおいて縦軸は摩耗体積(mm)である。
図10のグラフに示すように、比較例3では摩耗体積が1.4mm、実施例15では摩耗体積が0.25mmであった。即ち、比較例3に比べて、実施例15では,カーボンナノチューブの複合化と反応成形の効果により摩耗体積が著しく減少した(実施例15の摩耗体積は,比較例3の約17%程度)。このことから,本発明のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の高温耐摩擦性が示された。
(実験5)
実験5では、本発明のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体におけるカーボンナノチューブ濃度が熱拡散率(cm/s)に与える影響について検証した。
実施例は、前記した実施例5、7、9、10(それぞれカーボンナノチューブ濃度2.16vol%,7.34vol%,41.6vol%,74.0vol%)のカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の熱拡散率(cm/s)を求めた。
比較例4として、ポリイミド粉(宇部興産製UIR−P)のみを真空ホットプレス装置でプレス成形し、カーボンナノチューブ濃度0vol%の成形体を得て、その熱拡散率を求めた。
図11に実験5の結果を示す。図11のグラフは、横軸がカーボンナノチューブ含有量(vol%)であり、縦軸が熱拡散率(×10−3cm/s)である。
このグラフに示されるように、熱拡散率はカーボンナノチューブ濃度に従って増加することが確認できる。実施例10のカーボンナノチューブ濃度74.0vol%では熱拡散率が4.54×10−3cm/sに達する。比較例4(カーボンナノチューブ濃度0vol%)は、熱拡散率が2.364×10−3cm/sであることから、実施例10では比較例4に比べて1.92倍程度、放熱性が向上することを確認した。
本発明にかかるカーボンナノチューブ複合樹脂成形体は、航空機や自動車など機械要素部品の樹脂成形体、研削また研磨等の加工用の冶具の樹脂成形体等としても広く用いることができる。
1 カーボンナノチューブ
2 樹脂層(前駆体)
3 樹脂体
4 空隙
5 樹脂被覆カーボンナノチューブ
6 樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子
100 カーボンナノチューブ複合樹脂成形体

Claims (12)

  1. 樹脂体の中に複数のカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体であって、
    カーボンナノチューブの濃度が74.0vol%以下であり、かつ任意断面における1μmにおけるカーボンナノチューブの面積の変動係数が、0.1以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合樹脂成形体。
  2. 前記カーボンナノチューブの濃度が0.72vol%以上であり、
    最大曲げ応力が、少なくとも120MPaであることを特徴とする請求項1に記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体。
  3. 前記カーボンナノチューブの濃度が0.72vol%以上であり、
    曲げ弾性率が、少なくとも4000MPaであることを特徴とする請求項1または請求項2の記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体。
  4. 前記樹脂体は、ポリイミド樹脂またはフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体。
  5. 前記樹脂体中に、ダイヤモンド、立方晶窒化ボロン(cBN),セラミックスあるいは金属の微粉のいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体。
  6. 樹脂体の中に複数のカーボンナノチューブが配合されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法であって、
    樹脂の前駆体にカーボンナノチューブを混合し、再沈殿法により樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を生成する工程と、
    前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を所定量混合する工程と、
    前記混合した樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を成形するとともに加熱し、化学反応により樹脂体を形成し、成形体を得る工程と、
    を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を所定量混合する工程において、
    砥粒と、セラミックスあるいは金属の微粉金属物質とからなる付加物質を添加する工程を含み、
    砥粒は全体の12.5〜37.5vol%、砥粒を除く部分に対するセラミックスあるいは金属の微粉の割合が10〜70vol%であることを特徴とする請求項6に記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法。
  8. 樹脂の前駆体にカーボンナノチューブを混合し、再沈殿法により樹脂被覆カーボンナノチューブ粒子を生成する工程において、
    前記カーボンナノチューブを被覆する樹脂層の厚さにより成形体中におけるカーボンナノチューブの濃度を制御することを特徴とする請求項6または請求項7に記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法。
  9. 前記樹脂体は、ポリイミド樹脂またはフェノール樹脂であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法。
  10. 前記樹脂被覆カーボンナノチューブの樹脂が前駆体であるポリアミック酸であり,ポリアミック酸のイミド化率が80%以下であり,樹脂中のカルボキシル基とイミノ基が加熱によって反応し,イミド化が進み、ポリイミド樹脂を成形することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法。
  11. 前記樹脂層がノボラック型フェノール樹脂と、ホルムアルデヒドを生成する硬化剤とを含む樹脂であり、前記ノボラック型フェノール樹脂と前記ホルムアルデヒドによって生成するメチノール基であり、前記反応性基が加熱によって脱水反応で架橋硬化することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法。
  12. 前記樹脂層がレゾール型フェノール樹脂であり、前記反応性基がメチノール基であり、前記反応性基が加熱によって脱水反応で架橋硬化することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載されたカーボンナノチューブ複合樹脂成形体の製造方法。
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