JP2018070709A - 複合樹脂材料の製造方法および成形体の製造方法 - Google Patents
複合樹脂材料の製造方法および成形体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018070709A JP2018070709A JP2016209942A JP2016209942A JP2018070709A JP 2018070709 A JP2018070709 A JP 2018070709A JP 2016209942 A JP2016209942 A JP 2016209942A JP 2016209942 A JP2016209942 A JP 2016209942A JP 2018070709 A JP2018070709 A JP 2018070709A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin material
- composite resin
- fibrous carbon
- carbon nanostructure
- slurry
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
Abstract
【課題】成形性に優れ、良好な性状を有する成形体を供給可能な複合樹脂材料の製造方法を提供する。【解決手段】フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合してスラリーを得る混合工程と、前記スラリーから前記分散媒を除去すると共に、薄片状の複合樹脂材料を形成する形成工程と、を含み、前記薄片状の複合樹脂材料のアスペクト比が3以上100以下である、複合樹脂材料の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、複合樹脂材料の製造方法および成形体の製造方法に関し、特には、フッ素樹脂と繊維状炭素ナノ構造体とを含有する複合樹脂材料の製造方法、並びに、当該複合樹脂材料を用いた成形体の製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称することがある。)などの繊維状炭素ナノ構造体は、導電性、熱伝導性、摺動特性、機械特性等に優れるため、幅広い用途への応用が検討されている。
そこで、近年、繊維状炭素ナノ構造体の優れた特性を活かし、樹脂材料と繊維状炭素ナノ構造体とを複合化することで、加工性や強度といった樹脂の特性と、導電性などの繊維状炭素ナノ構造体の特性とを併せ持つ複合樹脂材料を提供する技術の開発が進められている。
そこで、近年、繊維状炭素ナノ構造体の優れた特性を活かし、樹脂材料と繊維状炭素ナノ構造体とを複合化することで、加工性や強度といった樹脂の特性と、導電性などの繊維状炭素ナノ構造体の特性とを併せ持つ複合樹脂材料を提供する技術の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、樹脂材料粒子、繊維状炭素ナノ構造体、溶媒、および液体二酸化炭素を含む組成物に、所定の条件下で超音波処理を施した後、減圧により液体二酸化炭素を蒸発させると共に溶媒を揮発させて、樹脂材料に繊維状炭素ナノ構造体が分散した分散混合層を表面に備える複合樹脂材料粒子を製造する方法が記載されている。そして、特許文献1によれば、得られる複合樹脂材料粒子が直径100μm以上のペレットであれば、導電性ナノ材料の量を低減してコストを抑えつつ、複合樹脂材料粒子の高い導電性を確保することができる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の複合樹脂材料を成形して、所望の形状を有する成形体を作製すると、得られる成形体に、表面の荒れ、成形ムラ、および反りが生じるという問題があった。すなわち、上記従来の複合樹脂材料には、その成形性を高めることで、良好な性状を有する成形体を提供するという点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、成形性に優れ、良好な性状を有する成形体を供給可能な複合樹脂材料の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好な性状を有する成形体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、良好な性状を有する成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。そして、本発明者は、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを含むスラリーを調製し、得られたスラリーから分散媒を除去して複合樹脂材料を得る際、複合樹脂材料を、アスペクト比が所定の範囲内である薄片状に形成すれば、当該複合樹脂材料の成形性を高めて、良好な性状の成形体を供給可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の複合樹脂材料の製造方法は、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合してスラリーを得る混合工程と、前記スラリーから前記分散媒を除去すると共に、薄片状の複合樹脂材料を形成する形成工程と、を含み、前記薄片状の複合樹脂材料のアスペクト比が3以上100以下であることを特徴とする。このようにして得られるアスペクト比が上述の範囲内である薄片状の複合樹脂材料は、成形性に優れ、当該複合樹脂材料を用いれば、良好な性状を有する成形体を得ることができる。
なお、本発明において、複合樹脂材料が「薄片状」であるとは、複合樹脂材料が、厚みが薄く平面的な広がりを持つ複数の片からなることをいう。そして、本発明において、薄片状の複合樹脂材料の「アスペクト比」は、複合樹脂材料の片から任意に100個を選択し、それらの厚みおよび最大面積を有する面(主面)の最大長を測定し、厚みの平均値(平均厚み)で主面の最大長の平均値(主面の平均最大長)を除することで求めることができる。
なお、本発明において、複合樹脂材料が「薄片状」であるとは、複合樹脂材料が、厚みが薄く平面的な広がりを持つ複数の片からなることをいう。そして、本発明において、薄片状の複合樹脂材料の「アスペクト比」は、複合樹脂材料の片から任意に100個を選択し、それらの厚みおよび最大面積を有する面(主面)の最大長を測定し、厚みの平均値(平均厚み)で主面の最大長の平均値(主面の平均最大長)を除することで求めることができる。
ここで、本発明の複合樹脂材料の製造方法では、前記薄片状の複合樹脂材料は、平均厚みが2μm以上300μm以下であることが好ましい。平均厚みを上記範囲内とすれば、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
なお、本発明において、薄片状の複合樹脂材料の「平均厚み」は、複合樹脂材料の片から任意に100個を選択してそれらの厚みを測定し、得られた100個の厚みの平均値として求めることができる。
なお、本発明において、薄片状の複合樹脂材料の「平均厚み」は、複合樹脂材料の片から任意に100個を選択してそれらの厚みを測定し、得られた100個の厚みの平均値として求めることができる。
そして、本発明の複合樹脂材料の製造方法では、前記薄片状の複合樹脂材料は、主面の平均最小長に対する主面の平均最大長の比が3以下であることが好ましい。主面の平均最小長に対する主面の平均最大長の比が上記範囲内とすれば、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
なお、本発明において、薄片状の複合樹脂材料の「主面の平均最小長に対する主面の平均最大長の比」は、複合樹脂材料の片から任意に100個を選択してそれらの主面の最大長および最小長を、走査型顕微鏡を用いて測定し、最小長の平均値(平均最小長)で最大長の平均値(平均最大長)を除することで求めることができる。
なお、本発明において、薄片状の複合樹脂材料の「主面の平均最小長に対する主面の平均最大長の比」は、複合樹脂材料の片から任意に100個を選択してそれらの主面の最大長および最小長を、走査型顕微鏡を用いて測定し、最小長の平均値(平均最小長)で最大長の平均値(平均最大長)を除することで求めることができる。
また、本発明の複合樹脂材料の製造方法では、前記混合工程が、前記フッ素樹脂と、前記繊維状炭素ナノ構造体と、前記分散媒とを混合して予混合液を得る予混合工程と、前記予混合液を、湿式分散機を用いて分散処理してスラリーを得る分散工程とを含むことが好ましい。上述の工程を経てスラリーを調製すれば、スラリー中のフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高めて、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
ここで、本発明の複合樹脂材料では、前記湿式分散機が湿式メディアレス分散機であることが好ましい。湿式メディアレス分散機を用いてスラリーを調製すれば、スラリー中のフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体の分散性を更に高めて、複合樹脂材料の成形性をより一層向上させることができる。
更に、前記湿式メディアレス分散機は、ホモジナイザーまたはインラインミキサーであることがより好ましい。
更に、前記湿式メディアレス分散機は、ホモジナイザーまたはインラインミキサーであることがより好ましい。
そして、本発明の複合樹脂材料では、前記スラリー中のフッ素樹脂の含有量が1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。フッ素樹脂の含有量が上記範囲内であれば、スラリー中のフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高めて、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
また、本発明の複合樹脂材料では、前記フッ素樹脂がフッ素樹脂粒子であることが好ましい。スラリー中での分散性に優れるフッ素樹脂粒子を用いれば、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
なお、フッ素樹脂粒子は、通常、アスペクト比(長径/短径)が1以上3未満である。
なお、フッ素樹脂粒子は、通常、アスペクト比(長径/短径)が1以上3未満である。
そして、前記分散媒は、シクロヘキサン、キシレン、メチルエチルケトンおよびトルエンからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。上述した何れかの分散媒を用いれば、スラリー中のフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高めて、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の成形体の製造方法は、上述した何れかの複合樹脂材料の製造方法を用いて製造した複合樹脂材料を成形する工程を含むことを特徴とする。上記複合樹脂材料の製造方法の何れかを用いて製造した複合樹脂材料を使用すれば、表面の荒れ、成形ムラ、および反りなどが抑制された、良好な性状を有する成形体が得ることができる。
本発明によれば、成形性に優れ、良好な性状を有する成形体を供給可能な複合樹脂材料の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、良好な性状を有する成形体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、良好な性状を有する成形体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の複合樹脂材料の製造方法は、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体とを含む複合樹脂材料を製造する際に用いることができる。また、本発明の複合樹脂材料の製造方法を用いて製造した複合樹脂材料は、本発明の成形体の製造方法を用いて成形体を製造する際に用いることができる。
そして、本発明の成形体の製造方法を用いて製造した成形体は、表面の荒れ、成形ムラ、および反りが抑制されており、特に限定されることなく、例えば集積回路用トレー、ウエハキャリアおよびシール材などとして有用である。
ここで、本発明の複合樹脂材料の製造方法は、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体とを含む複合樹脂材料を製造する際に用いることができる。また、本発明の複合樹脂材料の製造方法を用いて製造した複合樹脂材料は、本発明の成形体の製造方法を用いて成形体を製造する際に用いることができる。
そして、本発明の成形体の製造方法を用いて製造した成形体は、表面の荒れ、成形ムラ、および反りが抑制されており、特に限定されることなく、例えば集積回路用トレー、ウエハキャリアおよびシール材などとして有用である。
(複合樹脂材料の製造方法)
本発明の複合樹脂材料の製造方法では、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体とを含む複合樹脂材料を製造する。そして、本発明の複合樹脂材料の製造方法は、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合してスラリーを得る混合工程と、混合工程で得られたスラリーから前記分散媒を除去すると共に、アスペクト比が3以上100以下である薄片状の複合樹脂材料を形成する形成工程とを含む。
本発明の複合樹脂材料の製造方法では、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体とを含む複合樹脂材料を製造する。そして、本発明の複合樹脂材料の製造方法は、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合してスラリーを得る混合工程と、混合工程で得られたスラリーから前記分散媒を除去すると共に、アスペクト比が3以上100以下である薄片状の複合樹脂材料を形成する形成工程とを含む。
そして、本発明の複合樹脂材料の製造方法によれば、成形性に優れ、良好な性状を有する成形体を供給可能な複合樹脂材料を得ることができる。なお、本発明の製造方法により得られる複合樹脂材料が、優れた成形性を有する理由は以下の通りであると推察される。まず、本発明の複合樹脂材料の製造方法では、混合工程において一旦分散媒中でフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体を混合するため、得られる複合樹脂材料において、繊維状炭素ナノ構造体をフッ素樹脂マトリックス中に良好に分散させることができる。加えて、本発明の複合樹脂材料の製造方法では、形成工程において、スラリーから分散媒を除去しつつ、アスペクト比が3以上100以下である薄片状に、複合樹脂材料を形成する。このような薄片状の複合樹脂材料は、例えば成形用金型中に疎密のムラなく均一に充填することが可能である。よって、本発明の製造方法により得られる複合樹脂材料を用いれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れると共に成形による密度ムラが抑制された成形体を得ることができる。このような成形体は、表面の荒れや成形ムラが少なく、また反りも生じ難い。
<混合工程>
混合工程では、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを混合してスラリーを調製する。
混合工程では、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを混合してスラリーを調製する。
[フッ素樹脂]
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロピルビレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレンエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)およびポリビニルフルオライド(PVF)などが挙げられる。中でも、フッ素樹脂としては、PTFEまたはPFAが好ましく、PTFEがより好ましい。なお、これらは1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロピルビレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレンエチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)およびポリビニルフルオライド(PVF)などが挙げられる。中でも、フッ素樹脂としては、PTFEまたはPFAが好ましく、PTFEがより好ましい。なお、これらは1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
ここで、混合工程において用いるフッ素樹脂は、フッ素樹脂粒子であることが好ましい。フッ素樹脂粒子は、スラリー中での分散性に優れる。そのため、フッ素樹脂粒子を用いれば、得られる複合樹脂材料のフッ素樹脂マトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させて、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
また、フッ素樹脂粒子の平均粒子径は、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、700μm以下であることが好ましく、600μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることが更に好ましい。フッ素樹脂粒子の平均粒子径を1μm以上とすることで、スラリー中における繊維状炭素ナノ構造体の分散性を更に高めることができる。加えて、フッ素樹脂粒子の平均粒子径を700μm以下とすることで、スラリーの生産性を向上させることができる。
なお、本発明において、フッ素樹脂粒子の「平均粒子径」は、レーザー回折法にて粒度分布(体積基準)を測定し、体積頻度の累積が50%になる粒子径を算出することにより求めることができる。
なお、本発明において、フッ素樹脂粒子の「平均粒子径」は、レーザー回折法にて粒度分布(体積基準)を測定し、体積頻度の累積が50%になる粒子径を算出することにより求めることができる。
更に、フッ素樹脂の配合量は、スラリー(100質量%)中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。樹脂粒子の配合量が上記範囲内であれば、スラリー中のフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高めて、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
[繊維状炭素ナノ構造体]
繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、導電性を有する繊維状炭素ナノ構造体を用いることができる。具体的には、繊維状炭素ナノ構造体としては、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナノ構造体等の非円筒形状の炭素ナノ構造体を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、導電性を有する繊維状炭素ナノ構造体を用いることができる。具体的には、繊維状炭素ナノ構造体としては、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナノ構造体等の非円筒形状の炭素ナノ構造体を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
そして、上述した中でも、繊維状炭素ナノ構造体としては、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、少ない配合量であっても複合樹脂材料および成形体に効率的に導電性等の特性を付与することができるからである。
ここで、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチューブの層数が少ないほど、配合量が少量であっても複合樹脂材料および成形体の導電性等の特性が向上するからである。
そして、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチューブの層数が少ないほど、配合量が少量であっても複合樹脂材料および成形体の導電性等の特性が向上するからである。
また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径は、1nm以上であることが好ましく、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均直径が1nm以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高め、複合樹脂材料および成形体に安定的に導電性等の特性を付与することができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径が60nm以下であれば、少ない配合量であっても複合樹脂材料および成形体に効率的に導電性等の特性を付与することができる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について直径(外径)を測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について直径(外径)を測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体としては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましく、3σ/Avが0.40超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、製造される複合樹脂材料および成形体の性能を更に向上させることができる。
なお、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
なお、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体としては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、平均長さが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましく、600μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることがさらに好ましい。平均長さが10μm以上であれば、少ない配合量で複合樹脂材料および成形体中において導電パスを形成でき、また、分散性を向上させることができる。そして、平均長さが600μm以下であれば、複合樹脂材料および成形体の導電性を安定化させることができる。従って、繊維状炭素ナノ構造体の平均長さを上記範囲内とすれば、成形体の表面抵抗率を十分に低下させることができる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体」の平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について長さを測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体」の平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について長さを測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、通常、アスペクト比が10超である。なお、繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、BET比表面積が、200m2/g以上であることが好ましく、400m2/g以上であることがより好ましく、600m2/g以上であることがさらに好ましく、2000m2/g以下であることが好ましく、1800m2/g以下であることがより好ましく、1600m2/g以下であることがさらに好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が200m2/g以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高め、少ない配合量で複合樹脂材料および成形体の導電性等の特性を十分に高めることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2000m2/g以下であれば、複合樹脂材料および成形体の導電性等の特性を安定化させることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。なお、「t−プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得ることができる。すなわち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットが得られる(de Boerらによるt−プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)〜(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)〜(3)の過程によって、t−プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt−プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt−プロットの形状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示している。
なお、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点がかかる範囲内にあれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高め、少ない配合量で複合樹脂材料および成形体の導電性等の特性を高めることができる。具体的には、屈曲点の値が0.2未満であれば、繊維状炭素ナノ構造体が凝集し易く分散性が低下し、屈曲点の値が1.5超であれば繊維状炭素ナノ構造体同士が絡み合いやすくなり分散性が低下する虞がある。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、t−プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のS2/S1の値がかかる範囲内であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高め、少ない配合量で複合樹脂材料および成形体の導電性等の特性を高めることができる。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体として好適なCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのみからなる繊維状炭素ナノ構造体のラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が0.5以上5.0以下であることが好ましい。G/D比が0.5以上5.0以下であれば、製造される複合樹脂材料および成形体の性能を更に向上させることができる。
なお、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、アーク放電法、レーザーアブレーション法、化学的気相成長法(CVD法)などの既知のCNTの合成方法を用いて製造することができる。具体的には、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に原料化合物およびキャリアガスを供給し、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
そして、スーパーグロース法により製造された繊維状炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体を含んでいてもよい。
そして、スーパーグロース法により製造された繊維状炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体を含んでいてもよい。
そして、スラリー中に配合する繊維状炭素ナノ構造体の量は、前述したフッ素樹脂100質量部当たり、0.01質量部以上であることが好ましく、0.02質量部以上であることがより好ましく、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の量が上記下限値以上であれば、複合樹脂材料および成形体の導電性等の特性を高めることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の量が上記上限値以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性が低下して成形体の導電性等の特性にムラが生じるのを抑制することができる。
[分散媒]
分散媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、水、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン類、および、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類等の極性溶媒、並びに、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒等の非極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、スラリー中の成分の分散性を向上させる観点からは、分散媒としては、シクロヘキサン、キシレン、メチルエチルケトンおよびトルエンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、シクロヘキサンを用いることがより好ましい。
分散媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、水、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン類、および、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類等の極性溶媒、並びに、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒等の非極性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、スラリー中の成分の分散性を向上させる観点からは、分散媒としては、シクロヘキサン、キシレン、メチルエチルケトンおよびトルエンからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、シクロヘキサンを用いることがより好ましい。
[添加剤]
混合液中に任意に配合し得る添加剤としては、特に限定されることなく、分散剤などの既知の添加剤が挙げられる。
ここで、分散剤としては、繊維状炭素ナノ構造体の分散を補助し得る既知の分散剤を用いることができる。具体的には、分散剤としては、例えば界面活性剤、多糖類、π共役系高分子およびエチレン鎖を主鎖とする高分子などが挙げられる。中でも界面活性剤がより好ましい。
混合液中に任意に配合し得る添加剤としては、特に限定されることなく、分散剤などの既知の添加剤が挙げられる。
ここで、分散剤としては、繊維状炭素ナノ構造体の分散を補助し得る既知の分散剤を用いることができる。具体的には、分散剤としては、例えば界面活性剤、多糖類、π共役系高分子およびエチレン鎖を主鎖とする高分子などが挙げられる。中でも界面活性剤がより好ましい。
なお、複合樹脂材料および成形体の導電性が低下するのを抑制する観点からは、添加剤の配合量は、前述したフッ素樹脂100質量部当たり、1質量部以下であることが好ましく、0質量部である(即ち、スラリーは添加剤を含まない)ことがより好ましい。
[混合方法]
そして、上述したフッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを混合してスラリーを得る方法は、特に限定されない。例えば、スラリー中のフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高めて、複合樹脂材料の成形性を一層向上させる観点から、スラリーは、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを混合して予混合液を得る予混合工程と、得られた予混合液を、湿式分散機により分散処理する分散工程を経て調製することが好ましい。
そして、上述したフッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを混合してスラリーを得る方法は、特に限定されない。例えば、スラリー中のフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高めて、複合樹脂材料の成形性を一層向上させる観点から、スラリーは、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを混合して予混合液を得る予混合工程と、得られた予混合液を、湿式分散機により分散処理する分散工程を経て調製することが好ましい。
―予混合工程―
上述したフッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを混合して予混合液を得る方法としては、特に限定されることなく、既知の混合方法を用いることができる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体に損傷が発生するのを抑制する観点からは、上述した成分の混合は、撹拌機を用いて無加圧下で行うことが好ましい。
上述したフッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを混合して予混合液を得る方法としては、特に限定されることなく、既知の混合方法を用いることができる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体に損傷が発生するのを抑制する観点からは、上述した成分の混合は、撹拌機を用いて無加圧下で行うことが好ましい。
なお、上述した成分を混合する順番は、特に限定されることはなく、全成分を一括で混合してもよいし、一部の成分を混合した後に残部の成分を添加して更に混合してもよい。中でも、簡便な操作で混合液を調製する観点からは、全成分を一括で混合することが好ましい。
また、予混合液中に含まれる各成分の割合は、通常、所望のスラリー中に含まれる各成分の割合と同じとする。
また、予混合液中に含まれる各成分の割合は、通常、所望のスラリー中に含まれる各成分の割合と同じとする。
―分散工程―
分散工程では、上記予混合工程で得た予混合液を湿式分散機に供給し、予混合液に分散処理を施してスラリーを得る。
分散工程では、上記予混合工程で得た予混合液を湿式分散機に供給し、予混合液に分散処理を施してスラリーを得る。
分散処理に用いる湿式分散機として、分散媒中にフッ素樹脂および繊維状炭素ナノ構造体などを分散させることができる分散機であれば、特に限定されないが、湿式メディアレス分散機が好ましい。
湿式メディアレス分散機としては、高速撹拌機、ホモジナイザーおよびインラインミキサーなどの分散メディアを使用せずに湿式で分散処理をすることが可能な既知のメディアレス分散機を用いることができる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体に損傷が発生するのを抑制すると共に、繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させる観点からは、湿式メディアレス分散機としては、ホモジナイザーまたはインラインミキサーが好ましく、回転式ホモジナイザー、または、固定されたステーターとステーターに対向して高速回転するローターとを備えるインライン・ローター・ステーター式ミキサーがより好ましい。
湿式メディアレス分散機としては、高速撹拌機、ホモジナイザーおよびインラインミキサーなどの分散メディアを使用せずに湿式で分散処理をすることが可能な既知のメディアレス分散機を用いることができる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体に損傷が発生するのを抑制すると共に、繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させる観点からは、湿式メディアレス分散機としては、ホモジナイザーまたはインラインミキサーが好ましく、回転式ホモジナイザー、または、固定されたステーターとステーターに対向して高速回転するローターとを備えるインライン・ローター・ステーター式ミキサーがより好ましい。
ここで、分散工程において混合液にかかる圧力、即ち、湿式メディアレス分散機への供給から分散処理の終了までの間に混合液にかかる圧力は、5MPa以下であることが好ましく、4MPa以下であることがより好ましく、混合液の分散処理は無加圧下で行うことが更に好ましい。混合液にかかる圧力を上記上限値以下とすれば、フッ素樹脂(特にフッ素樹脂粒子)の分散性を確保すると共に繊維状炭素ナノ構造体に損傷が発生するのを抑制して、複合樹脂材料および成形体の導電性等の特性が低下するのを抑制することができるからである。
なお、湿式メディアレス分散機として回転式ホモジナイザーを使用する場合には、分散処理は、翼周速度が5m/秒以上となる条件で行うことが好ましい。翼周速度が5m/秒以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体を十分に分散させることができる。また、処理時間は、10分以上300分以下が好ましい。更に、混合液に適度なせん断力を与えることが好ましく、回転部の形状としては、例えば、鋸歯ブレード、閉式ローター、ローター/ステーター式が好ましい。閉式ローターのスリット幅またはローター/ステーターのクリアランスは、3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
また、湿式メディアレス分散機としてインライン・ローター・ステーター式ミキサーを使用する場合には、分散処理は、翼周速度が5m/秒以上となる条件で行うことが好ましい。翼周速度が5m/秒以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体を十分に分散させることができる。また、回転部への混合液の通過回数は10回以上であることが好ましい。10回以上通過させることで、繊維状炭素ナノ構造体を均一かつ良好に分散させることができる。更に、処理時間は10分以上300分以下が好ましい。また、混合液に適度なせん断力を与えることが好ましく、例えば、回転部の形状としては、スリット式が好ましい。ローター/ステーターのクリアランスは3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。また、スリット幅は2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
[スラリー]
そして、上述した混合工程で得られるスラリーは、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを含有する。ここで、フッ素樹脂としてフッ素樹脂粒子を用いた場合、得られるスラリー中において、フッ素樹脂は粒子形状を維持していてもよいし、粒子形状以外の形状であってもよい。
そして、上述した混合工程で得られるスラリーは、フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒と、任意の添加剤とを含有する。ここで、フッ素樹脂としてフッ素樹脂粒子を用いた場合、得られるスラリー中において、フッ素樹脂は粒子形状を維持していてもよいし、粒子形状以外の形状であってもよい。
得られるスラリーの粘度は、10mPa・s以上であることが好ましく、20mPa・s以上であることがより好ましく、1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。スラリーの粘度が上述の範囲内であれば、スラリーのハンドリング性を確保することができ、続く形成工程において、所望の性状を有する複合樹脂材料を効率良く製造することができる。
なお、スラリーの粘度は、B型粘度計を用いて、温度25℃、回転速度60rpmの条件で測定することができる。
なお、スラリーの粘度は、B型粘度計を用いて、温度25℃、回転速度60rpmの条件で測定することができる。
<形成工程>
形成工程では、上述した混合工程で得られたスラリーから分散媒を除去すると共に、アスペクト比が3以上100以下である薄片状の複合樹脂材料を形成する。
形成工程では、上述した混合工程で得られたスラリーから分散媒を除去すると共に、アスペクト比が3以上100以下である薄片状の複合樹脂材料を形成する。
[薄片状の複合樹脂材料の調製方法]
薄片状の複合樹脂材料を得る方法は、特に限定されないが、スラリーから分散媒を除去した後、得られた乾燥物を薄片化して、所望のアスペクト比を有する複合材料を得ることが好ましい。このような方法としては、例えば、以下の(i)又は(ii)の方法:
(i)支持体上に供給したスラリー(スラリー塗膜)から分散媒を除去し、得られた乾燥物を支持体から剥離して薄片化する方法、
(ii)スラリーを噴霧乾燥等の任意の手法により造粒して乾燥物を得た後、得られた造粒乾燥物を圧縮して薄片化する方法、
が挙げられる。そして、これらの中でも、薄片状の複合樹脂材料を効率よく得る観点からは、(i)の方法が好ましい。
薄片状の複合樹脂材料を得る方法は、特に限定されないが、スラリーから分散媒を除去した後、得られた乾燥物を薄片化して、所望のアスペクト比を有する複合材料を得ることが好ましい。このような方法としては、例えば、以下の(i)又は(ii)の方法:
(i)支持体上に供給したスラリー(スラリー塗膜)から分散媒を除去し、得られた乾燥物を支持体から剥離して薄片化する方法、
(ii)スラリーを噴霧乾燥等の任意の手法により造粒して乾燥物を得た後、得られた造粒乾燥物を圧縮して薄片化する方法、
が挙げられる。そして、これらの中でも、薄片状の複合樹脂材料を効率よく得る観点からは、(i)の方法が好ましい。
ここで、(i)の方法として、より具体的には、支持体としての回転板上に供給したスラリー(スラリー塗膜)から分散媒を除去しつつ、回転板を回転させて回転板上の乾燥物をスクレーパーと接触させ、支持体上から剥離することで、連続的に薄片状の複合樹脂材料を製造する方法が挙げられる。この方法に使用可能な乾燥装置としては、「CDドライヤー(登録商標)」(株式会社西村鐵工所製)等が挙げられる。
ここで、スラリー塗膜から分散媒を除去する方法は、回転板上のスラリー塗膜から分散媒を気化させることができれば特に限定されず、例えば、回転板を加熱してもよいし、雰囲気温度を高めてもよいし、減圧乾燥してもよい。分散媒を気化する際の乾燥温度などの条件は、使用する分散媒の種類等に応じて適宜設定することができる。また回転板の回転速度も、適宜設定することができる。
ここで、スラリー塗膜から分散媒を除去する方法は、回転板上のスラリー塗膜から分散媒を気化させることができれば特に限定されず、例えば、回転板を加熱してもよいし、雰囲気温度を高めてもよいし、減圧乾燥してもよい。分散媒を気化する際の乾燥温度などの条件は、使用する分散媒の種類等に応じて適宜設定することができる。また回転板の回転速度も、適宜設定することができる。
[薄片状の複合樹脂材料の性状]
上述の手法で得られる薄片状の複合樹脂材料は、アスペクト比(主面の平均最大長/平均厚み)が、3以上100以下であることが必要であり、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、80以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい。複合樹脂材料のアスペクト比が上述の範囲外であると、成形性を確保できず、当該複合樹脂材料から得られる成形体の表面荒れ、成形ムラ、および反りの発生を十分に抑制することができない。
なお、薄片状の複合樹脂材料のアスペクト比は、平均厚みおよび主面の平均最大長を変更することで、適宜調整することができる。例えば、スラリー中のフッ素樹脂の濃度および/またはスラリー流量の変更により分散媒除去の際に用いる支持体上のスラリー塗膜の厚みを変更することができ、それにより、分散媒除去後の複合樹脂材料の平均厚みを調整することができる。また主面の平均最大長は、例えば、分散媒を気化する際の乾燥温度や、回転板の回転速度を変更することで調整できる。具体的には、乾燥温度および回転速度を高めれば、主面の平均最大径を小さくすることができる。更に、得られた薄片状の複合樹脂材料を粉砕またはふるい掛けすることにより、主面の平均最大径を小さくすることができる。
上述の手法で得られる薄片状の複合樹脂材料は、アスペクト比(主面の平均最大長/平均厚み)が、3以上100以下であることが必要であり、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、80以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい。複合樹脂材料のアスペクト比が上述の範囲外であると、成形性を確保できず、当該複合樹脂材料から得られる成形体の表面荒れ、成形ムラ、および反りの発生を十分に抑制することができない。
なお、薄片状の複合樹脂材料のアスペクト比は、平均厚みおよび主面の平均最大長を変更することで、適宜調整することができる。例えば、スラリー中のフッ素樹脂の濃度および/またはスラリー流量の変更により分散媒除去の際に用いる支持体上のスラリー塗膜の厚みを変更することができ、それにより、分散媒除去後の複合樹脂材料の平均厚みを調整することができる。また主面の平均最大長は、例えば、分散媒を気化する際の乾燥温度や、回転板の回転速度を変更することで調整できる。具体的には、乾燥温度および回転速度を高めれば、主面の平均最大径を小さくすることができる。更に、得られた薄片状の複合樹脂材料を粉砕またはふるい掛けすることにより、主面の平均最大径を小さくすることができる。
ここで、薄片状の複合樹脂材料の平均厚みは、例えば、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。得られる複合樹脂材料の平均厚みが上記範囲内であれば、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
また、薄片状の複合樹脂材料の薄片状の複合樹脂材料は、主面の平均最小長に対する主面の平均最大長の比(平均最大長/平均最小長)が、例えば、3以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましい。平均最大長/平均最小長の値が上記範囲内であれば、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
なお、薄片状の複合樹脂材料の主面の平均最大長は、例えば、6μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。
また、薄片状の複合樹脂材料の主面の平均最小長は、例えば、4μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、1.4mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることがより好ましい。
また、薄片状の複合樹脂材料の薄片状の複合樹脂材料は、主面の平均最小長に対する主面の平均最大長の比(平均最大長/平均最小長)が、例えば、3以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましい。平均最大長/平均最小長の値が上記範囲内であれば、複合樹脂材料の成形性を一層向上させることができる。
なお、薄片状の複合樹脂材料の主面の平均最大長は、例えば、6μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。
また、薄片状の複合樹脂材料の主面の平均最小長は、例えば、4μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、1.4mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることがより好ましい。
(成形体の製造方法)
本発明の成形体の製造方法は、本発明の複合樹脂材料の製造方法を用いて製造した複合樹脂材料を成形する工程を含む。そして、本発明の成形体の製造方法では、上述したアスペクト比が所定の範囲内である薄片状の複合樹脂材料を使用しているので、表面の荒れ、成形ムラ、および反りが抑制された、良好な性状を有する成形体を得ることができる。
本発明の成形体の製造方法は、本発明の複合樹脂材料の製造方法を用いて製造した複合樹脂材料を成形する工程を含む。そして、本発明の成形体の製造方法では、上述したアスペクト比が所定の範囲内である薄片状の複合樹脂材料を使用しているので、表面の荒れ、成形ムラ、および反りが抑制された、良好な性状を有する成形体を得ることができる。
ここで、複合樹脂材料の成形は、特に限定されることなく、圧縮成形等の既知の成形方法を用いて行うことができる。また、複合樹脂材料を成形して得られる成形体には、任意に焼成処理を施してもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、複合樹脂材料の形状(平均厚み、主面の平均最大長および平均最小長、アスペクト比、ならびに平均最大長/平均最小長)、成形体の密度ムラは、以下の方法を使用して測定または評価した。
実施例および比較例において、複合樹脂材料の形状(平均厚み、主面の平均最大長および平均最小長、アスペクト比、ならびに平均最大長/平均最小長)、成形体の密度ムラは、以下の方法を使用して測定または評価した。
<薄片状の複合樹脂材料の形状>
得られた複合樹脂材料を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名「S−3400N」)により観察して、ランダムに選択した薄片状サンプル100個の画像を得た。得られた100枚の画像から、画像処理ソフト(三谷商事社製、製品名「WinROOF2015」)を用いて、個々の薄片状サンプルの厚み、ならびに主面の最大長および最小長(画像処理で得られた粒子の重心を通る最大長および最小長)を求めた。そして、複合樹脂材料の平均厚み、主面の平均最大長および平均最小長、アスペクト比、ならびに平均最大長/平均最小長を算出した。
得られた複合樹脂材料を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名「S−3400N」)により観察して、ランダムに選択した薄片状サンプル100個の画像を得た。得られた100枚の画像から、画像処理ソフト(三谷商事社製、製品名「WinROOF2015」)を用いて、個々の薄片状サンプルの厚み、ならびに主面の最大長および最小長(画像処理で得られた粒子の重心を通る最大長および最小長)を求めた。そして、複合樹脂材料の平均厚み、主面の平均最大長および平均最小長、アスペクト比、ならびに平均最大長/平均最小長を算出した。
<成形体の密度ムラ>
得られたシート状の成形体を均等に9分割して、各試験片の密度をJIS K6268に準じて測定した。得られた密度の平均値、標準偏差、変動係数を算出することで、成形体の密度ムラを評価した。変動係数が小さいほど、密度ムラが小さく、複合樹脂材料が成形性に優れるといえる。
得られたシート状の成形体を均等に9分割して、各試験片の密度をJIS K6268に準じて測定した。得られた密度の平均値、標準偏差、変動係数を算出することで、成形体の密度ムラを評価した。変動係数が小さいほど、密度ムラが小さく、複合樹脂材料が成形性に優れるといえる。
(実施例1)
10LのSUS缶に、分散媒としてシクロヘキサンを3600gと、フッ素樹脂粒子(ダイキン工業社製、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)モールディングパウダー、製品名「ポリフロンPTFE−M12」、平均粒子径:50μm、比重:2.16)を400gと、繊維状炭素ナノ構造体としてのカーボンナノチューブ(日本ゼオン社製、製品名「ZEONANO SG101」、単層CNT、比重:1.7、平均直径:3.5nm、平均長さ:400μm、BET比表面積:1050m2/g、G/D比:2.1、t−プロットは上に凸)を0.4gとを投入した。そして、インラインミキサーであるキャビトロン(太平洋機工社製、製品名「CD1000」、ローター/ステーター:スリット型、スリット幅0.4mm)を用い、20℃、回転数15,600rpm(周速度34.7m/s)で60分撹拌し、フッ素樹脂粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリーを得た。スラリーの粘度は268mPa・sであった。
次いで、得られたフッ素樹脂粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリーを、CDドライヤー(西村鐵工所社製、製品名「SCD−500」)を用いて、蒸気圧力0.2MPa、ディスク温度140℃、ディスク回転数1rpm、スラリー流量90kg/m2hの条件で乾燥することで、フッ素樹脂とカーボンナノチューブとを複合した複合体(薄片状の複合樹脂材料)を得た。そして、得られた複合体(薄片状の複合樹脂材料)の形状を測定した。結果を表1に示す。次いで、薄片状の複合樹脂材料を金型に投入後、圧縮成型機(ダンベル社製、型番「SDOP−1032IV−2HC−AT」)を用いて、20℃、圧力21MPa、圧力保持時間5分の条件にて成形を行い、縦130mm×横80mm、厚み20mmのシート状の成形体を得た。そして、得られた成形体について、密度ムラの評価を行った。結果を表1に示す。
10LのSUS缶に、分散媒としてシクロヘキサンを3600gと、フッ素樹脂粒子(ダイキン工業社製、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)モールディングパウダー、製品名「ポリフロンPTFE−M12」、平均粒子径:50μm、比重:2.16)を400gと、繊維状炭素ナノ構造体としてのカーボンナノチューブ(日本ゼオン社製、製品名「ZEONANO SG101」、単層CNT、比重:1.7、平均直径:3.5nm、平均長さ:400μm、BET比表面積:1050m2/g、G/D比:2.1、t−プロットは上に凸)を0.4gとを投入した。そして、インラインミキサーであるキャビトロン(太平洋機工社製、製品名「CD1000」、ローター/ステーター:スリット型、スリット幅0.4mm)を用い、20℃、回転数15,600rpm(周速度34.7m/s)で60分撹拌し、フッ素樹脂粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリーを得た。スラリーの粘度は268mPa・sであった。
次いで、得られたフッ素樹脂粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリーを、CDドライヤー(西村鐵工所社製、製品名「SCD−500」)を用いて、蒸気圧力0.2MPa、ディスク温度140℃、ディスク回転数1rpm、スラリー流量90kg/m2hの条件で乾燥することで、フッ素樹脂とカーボンナノチューブとを複合した複合体(薄片状の複合樹脂材料)を得た。そして、得られた複合体(薄片状の複合樹脂材料)の形状を測定した。結果を表1に示す。次いで、薄片状の複合樹脂材料を金型に投入後、圧縮成型機(ダンベル社製、型番「SDOP−1032IV−2HC−AT」)を用いて、20℃、圧力21MPa、圧力保持時間5分の条件にて成形を行い、縦130mm×横80mm、厚み20mmのシート状の成形体を得た。そして、得られた成形体について、密度ムラの評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
シクロヘキサンの使用量を3800gに、フッ素樹脂粒子の使用量を200gに、そして、カーボンナノチューブの使用量を0.2gに変更した以外は、実施例1と同様にして、フッ素樹脂粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリーを得た。そして、得られたスラリーを用いて、ディスク回転数を2rpmに変更し、スラリー流量を44kg/m2hに変更した以外は、実施例1と同様にして、薄片状の複合樹脂材料、成形体を作製し、実施例1と同様にした評価を行った。結果を表1に示す。
シクロヘキサンの使用量を3800gに、フッ素樹脂粒子の使用量を200gに、そして、カーボンナノチューブの使用量を0.2gに変更した以外は、実施例1と同様にして、フッ素樹脂粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリーを得た。そして、得られたスラリーを用いて、ディスク回転数を2rpmに変更し、スラリー流量を44kg/m2hに変更した以外は、実施例1と同様にして、薄片状の複合樹脂材料、成形体を作製し、実施例1と同様にした評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
ディスク温度を100℃に変更し、ディスク回転数を1rpmに変更した以外はとした以外は、実施例2と同様にして、フッ素樹脂粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリーを得た。そして、得られたスラリーを用いて、実施例2と同様にして、薄片状の複合樹脂材料、成形体を作製し、実施例1と同様にした評価を行った。結果を表1に示す。
ディスク温度を100℃に変更し、ディスク回転数を1rpmに変更した以外はとした以外は、実施例2と同様にして、フッ素樹脂粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリーを得た。そして、得られたスラリーを用いて、実施例2と同様にして、薄片状の複合樹脂材料、成形体を作製し、実施例1と同様にした評価を行った。結果を表1に示す。
表1より、アスペクト比が所定の範囲内である実施例1および2の複合樹脂材料を用いて得られる成形体は密度の変動係数が少なく、実施例1および2の複合樹脂材料は、成形性に優れることがわかる。一方、アスペクト比が100を超える比較例1の複合樹脂材料を用いて得られる成形体は密度の変動係数が大きく、比較例1の複合樹脂材料は、成形性に劣ることがわかる。
本発明によれば、成形性に優れ、良好な性状を有する成形体を供給可能な複合樹脂材料の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、良好な性状を有する成形体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、良好な性状を有する成形体の製造方法を提供することができる。
Claims (10)
- フッ素樹脂と、繊維状炭素ナノ構造体と、分散媒とを混合してスラリーを得る混合工程と、
前記スラリーから前記分散媒を除去すると共に、薄片状の複合樹脂材料を形成する形成工程と、
を含み、前記薄片状の複合樹脂材料のアスペクト比が3以上100以下である、複合樹脂材料の製造方法。 - 前記薄片状の複合樹脂材料は、平均厚みが2μm以上300μm以下である、請求項1に記載の複合樹脂材料の製造方法。
- 前記薄片状の複合樹脂材料は、主面の平均最小長に対する主面の平均最大長の比が3以下である、請求項1または2に記載の複合樹脂材料の製造方法。
- 前記混合工程が、
前記フッ素樹脂と、前記繊維状炭素ナノ構造体と、前記分散媒とを混合して予混合液を得る予混合工程と、
前記予混合液を、湿式分散機を用いて分散処理してスラリーを得る分散工程と、
を含む、請求項1〜3の何れかに記載の複合樹脂材料の製造方法。 - 前記湿式分散機が湿式メディアレス分散機である、請求項4に記載の複合樹脂材料の製造方法。
- 前記湿式メディアレス分散機がホモジナイザーまたはインラインミキサーである、請求項5に記載の複合樹脂材料の製造方法。
- 前記スラリー中のフッ素樹脂の含有量が1質量%以上30質量%以下である、請求項1〜6の何れかに記載の複合樹脂材料の製造方法。
- 前記フッ素樹脂がフッ素樹脂粒子である、請求項1〜7の何れかに記載の複合樹脂材料の製造方法。
- 前記分散媒は、シクロヘキサン、キシレン、メチルエチルケトンおよびトルエンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜8の何れかに記載の複合樹脂材料の製造方法。
- 請求項1〜9の何れかに記載の複合樹脂材料の製造方法を用いて製造した複合樹脂材料を成形する工程を含む、成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016209942A JP2018070709A (ja) | 2016-10-26 | 2016-10-26 | 複合樹脂材料の製造方法および成形体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016209942A JP2018070709A (ja) | 2016-10-26 | 2016-10-26 | 複合樹脂材料の製造方法および成形体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018070709A true JP2018070709A (ja) | 2018-05-10 |
Family
ID=62113589
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016209942A Pending JP2018070709A (ja) | 2016-10-26 | 2016-10-26 | 複合樹脂材料の製造方法および成形体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018070709A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020149370A1 (ja) * | 2019-01-18 | 2020-07-23 | 東邦化成株式会社 | カーボンナノチューブを含む複合2次粒子及びその製造方法 |
JP2020119923A (ja) * | 2019-01-18 | 2020-08-06 | 東邦化成株式会社 | 半導体基板搬送用部材及びそれを有する半導体素子製造装置 |
WO2020213669A1 (ja) * | 2019-04-19 | 2020-10-22 | 日東電工株式会社 | 板状の複合材料 |
WO2023163123A1 (ja) * | 2022-02-24 | 2023-08-31 | パナソニックエナジ-株式会社 | カーボンナノチューブ分散液の製造方法、二次電池の負極合剤および二次電池 |
WO2023162899A1 (ja) * | 2022-02-28 | 2023-08-31 | 日本ゼオン株式会社 | 複合樹脂粒子の製造方法、帯電防止用組成物、及び成形体 |
-
2016
- 2016-10-26 JP JP2016209942A patent/JP2018070709A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020149370A1 (ja) * | 2019-01-18 | 2020-07-23 | 東邦化成株式会社 | カーボンナノチューブを含む複合2次粒子及びその製造方法 |
JP2020119923A (ja) * | 2019-01-18 | 2020-08-06 | 東邦化成株式会社 | 半導体基板搬送用部材及びそれを有する半導体素子製造装置 |
CN113330063A (zh) * | 2019-01-18 | 2021-08-31 | 东邦化成株式会社 | 含有碳纳米管的复合二次颗粒及其制造方法 |
JPWO2020149370A1 (ja) * | 2019-01-18 | 2021-11-25 | 東邦化成株式会社 | カーボンナノチューブを含む複合2次粒子及びその製造方法 |
JP7381498B2 (ja) | 2019-01-18 | 2023-11-15 | ダイキンファインテック株式会社 | カーボンナノチューブを含む複合2次粒子及びその製造方法 |
WO2020213669A1 (ja) * | 2019-04-19 | 2020-10-22 | 日東電工株式会社 | 板状の複合材料 |
WO2023163123A1 (ja) * | 2022-02-24 | 2023-08-31 | パナソニックエナジ-株式会社 | カーボンナノチューブ分散液の製造方法、二次電池の負極合剤および二次電池 |
WO2023162899A1 (ja) * | 2022-02-28 | 2023-08-31 | 日本ゼオン株式会社 | 複合樹脂粒子の製造方法、帯電防止用組成物、及び成形体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6908049B2 (ja) | 複合樹脂材料の製造方法および成形体の製造方法 | |
JP6908050B2 (ja) | スラリー、複合樹脂材料および成形体の製造方法 | |
JP2018070709A (ja) | 複合樹脂材料の製造方法および成形体の製造方法 | |
WO2017022229A1 (ja) | 複合樹脂材料、スラリー、複合樹脂材料成形体、及びスラリーの製造方法 | |
WO2018066528A1 (ja) | スラリー並びに複合樹脂材料および成形体の製造方法 | |
JP7131543B2 (ja) | 表面処理された炭素ナノ構造体の製造方法 | |
WO2016136275A1 (ja) | シリコーンゴム組成物および加硫物 | |
JP2015030821A (ja) | 複合樹脂粒子及びその製造方法 | |
JP2019199583A (ja) | 複合材料の製造方法 | |
JP2018203914A (ja) | 複合材料の製造方法 | |
WO2015133474A1 (ja) | 伝導性フィラー、伝導性フィラーの製造方法及び伝導性ペースト | |
WO2022210974A1 (ja) | エラストマー組成物及びその製造方法、架橋物、並びに成形体 | |
JP2017031323A (ja) | スラリーの製造方法及び複合樹脂材料の製造方法 | |
JP6555009B2 (ja) | 熱伝導シートおよびその製造方法 | |
JP7151760B2 (ja) | ゴム組成物の製造方法 | |
JP7276319B2 (ja) | 複合材料の製造方法 | |
WO2023162899A1 (ja) | 複合樹脂粒子の製造方法、帯電防止用組成物、及び成形体 | |
JP2021147474A (ja) | ゴム組成物の製造方法 | |
JPWO2019058911A1 (ja) | ゴム組成物 | |
JP7243710B2 (ja) | 繊維状炭素ナノ構造体分散液の製造方法および複合材料の製造方法 | |
WO2023090403A1 (ja) | カーボンナノチューブ分散液、炭素膜の製造方法、エラストマー混合液、複合材料の製造方法、及びエラストマー成形体の製造方法 | |
JP2018104651A (ja) | グリース組成物及びその製造方法 | |
WO2019188051A1 (ja) | 未架橋エラストマー組成物およびその架橋物 | |
WO2024048213A1 (ja) | 樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体 | |
JP2023052975A (ja) | 分散液、およびその製造方法 |