JP7151760B2 - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物の製造方法に関し、特には、ゴムと繊維状炭素ナノ構造体とを含むゴム組成物の製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称することがある。)などの繊維状炭素ナノ構造体は、導電性、熱伝導性、摺動特性、機械特性等に優れるため、幅広い用途への応用が検討されている。
近年、繊維状炭素ナノ構造体の優れた特性を活かし、ゴムと繊維状炭素ナノ構造体とを複合化することで、加工性や強度といったゴムの特性と、補強性などの繊維状炭素ナノ構造体の特性とを併せ持つ複合材料を提供する技術の開発が進められている。
ここで、複合材料の機械的特性を良好に向上させる観点からは、CNTなどの繊維状炭素ナノ構造体をゴムのマトリックス中に均一に分散させる必要がある。そこで、分散媒中に繊維状炭素ナノ構造体を均一に分散させた分散液と、ゴムとを混合してなる分散液を用いて複合材料を調製することにより、ゴムのマトリックス中に繊維状炭素ナノ構造体が均一に分散した複合材料を得る技術が提案されている。
具体的には、例えば特許文献1では、溶媒中にCNTなどの炭素質材料を分散させた分散液に、ゴムなどのエラストマーを溶解させてエラストマー溶液を得た後、該エラストマー溶液から溶媒を除去して、炭素質材料を含むエラストマー組成物を製造することが開示されている。
特開2017-8244号公報
しかし、分散媒中に繊維状炭素ナノ構造体を分散させてなる分散液にゴムを添加してなる上記従来のゴム組成物には、繊維状炭素ナノ構造体の分散状態を更に向上させ、引張強度などの機械的特性に優れる複合材料の調製を可能にするという点において改善の余地があった。また、上記従来のゴム組成物の製造方法には、ジェットミル等の高圧型の高速せん断機を用いると、ゴム組成物を製造する際の生産性において改善の余地があった。
そこで、本発明は、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散し引張強度に優れたゴム組成物を効率的に製造し得る、ゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。そして、本発明者は、所定の平均粒径を有するゴム粒子と、繊維状炭素ナノ構造体と、所定の分散媒とを含む混合液を実質的に加圧することなくメディアレスで湿式分散させることにより、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散したゴム組成物を効率的に製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のゴム組成物の製造方法は、平均粒径が0.10mm以上2.00mm以下の範囲内であるゴム粒子と、繊維状炭素ナノ構造体と、該ゴム粒子の貧溶媒とを混合して、混合液を得る混合工程と、該混合液を、メディアレス高速せん断機を使用して分散処理し、分散液を得る分散工程と、該分散液から該ゴム粒子の貧溶媒を除去する分散媒除去工程と、を備え、該ゴム粒子の貧溶媒は、5倍質量以上の該貧溶媒中に、該ゴム粒子を浸漬し、72時間後に40メッシュの網で濾過した場合に、残存する不溶分が80質量%以上となる溶媒であることを特徴とする。このように、上記平均粒径を有するゴム粒子と、繊維状炭素ナノ構造体と、該ゴム粒子の貧溶媒とを含む混合液をメディアレス高速せん断機で分散処理した後に該貧溶媒を除去すれば、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散したゴム組成物を効率的に得ることができる。
ここで、本発明のゴム組成物の製造方法は、前記混合工程に先立って、ゴムを、前記平均粒径が0.10mm以上2.00mm以下の範囲内のゴム粒子に粉砕する粉砕工程を含むことが好ましい。混合工程に先立って粉砕工程を含むことにより、平均粒径0.10mm以上2.00mm以下の範囲内のゴム粒子が市販品として入手可能か否かに関わらず、所望するゴム種を用いて本発明の製造方法を実施することができる。
また、本発明のゴム組成物の製造方法では、前記粉砕工程の粉砕が、凍結粉砕法で行われることが好ましい。凍結粉砕法で粉砕することにより、ゴムを平均粒径が0.10mm以上2.00mm以下の範囲内のゴム粒子へ容易に粉砕することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法では、前記粉砕工程が、ダスティング剤を添加することを含むことが好ましい。ダスティング剤を添加してゴム粒子の表面に付着させることにより、粉砕して得られたゴム粒子の取り扱いが容易となり、それ以降の作業性を向上させることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法では、前記混合液が、前記ゴム粒子100質量部当たり、前記繊維状炭素ナノ構造体を0.1質量部以上10質量部以下の割合で含むことが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の含有量が上記範囲内であれば、ゴム組成物中における繊維状炭素ナノ構造体の分散性を更に高めることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法では、前記ゴム粒子が、フッ素ゴム粒子およびニトリルゴム粒子から選択される少なくとも一種であることが好ましい。ゴム粒子としてフッ素ゴム粒子およびニトリルゴム粒子から選択される少なくとも一種を用いることにより、耐油性、耐老化性などに優れるゴム組成物を提供することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法では、前記メディアレス高速せん断機が、回転式のメディアレス高速せん断機であることが好ましい。回転式のメディアレス高速せん断機を使用すれば、ゴム組成物中における繊維状炭素ナノ構造体の分散性を更に高めることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法では、前記分散工程の分散処理を、分散液中のゴム粒子の平均粒径が50μm以上800μm以下となったとき、または分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の平均バンドル径が3nm以上10μm以下となったときに終了することが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法によれば、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散し引張強度に優れたゴム組成物を効率的に製造することができる。
本発明の一実施形態に係るメディアレス高速せん断機(キャビトロン)を使用して分散処理を行って製造したゴム組成物中のカーボンナノチューブの分散状態を示す画像である。 高圧ノズル式ホモジナイザー(ジェットミル)を使用して分散処理を行って製造したゴム組成物中のカーボンナノチューブの分散状態を示す画像である。 本発明の一実施形態に係るメディアレス高速せん断機(ネオミクサー(登録商標))を使用して分散処理を行って製造したゴム組成物中のカーボンナノチューブの分散状態を示す画像である。 メディアレス低速せん断機を使用して分散処理を行って製造したゴム組成物中のカーボンナノチューブの分散状態を示す画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のゴム組成物の製造方法は、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体とを含むゴム組成物を製造する際に用いられる。そして、本発明のゴム組成物の製造方法を用いて製造したゴム組成物は、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散し、引張強度に優れるため、特に限定されることなく、例えば、シール材などの製造に有用である。
(ゴム組成物の製造方法)
本発明のゴム組成物の製造方法では、ゴムと、繊維状炭素ナノ構造体と、を含み、任意に分散剤などの添加剤を更に含有するゴム組成物を製造する。そして、本発明のゴム組成物の製造方法は、平均粒径が0.1mm以上2.0mm以下の範囲内であるゴム粒子と、繊維状炭素ナノ構造体と、該ゴム粒子の貧溶媒と、任意の添加剤とを混合して混合液を得る混合工程と、該混合工程で得られた混合液を、メディアレス高速せん断機を使用して分散処理して分散液を得る分散工程と、該分散工程で得られた分散液から該貧溶媒を除去する分散媒除去工程とを含む。
そして、本発明のゴム組成物の製造方法によれば、ゴム粒子および繊維状炭素ナノ構造体を含む混合液をメディアレス高速せん断機を使用して分散処理しているので、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散したゴム組成物を得ることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の分散液を調製した後にゴムを添加する場合や高圧下で分散処理を施す場合などと比較し、ゴム組成物を効率的に製造することができる。
なお、本発明のゴム組成物の製造方法において繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散する理由は、明らかではないが、メディアレス高速せん断機で分散処理を行うと、所定の平均粒径のゴム粒子が分散メディアのように作用して、繊維状炭素ナノ構造体の束(バンドル)をほぐしながらゴム粒子自体も粉砕される一方、ゴム粒子は分散メディアよりも軟らかいため、繊維状炭素ナノ構造体を破砕することなく分散させることができると推察される。
<粉砕工程>
本発明のゴム組成物の製造方法は、必須工程である後述の混合工程に先立って、任意工程として、ゴムを平均粒径が0.1mm以上2.0mm以下の範囲内のゴム粒子に粉砕する粉砕工程を含んでもよい。ゴムを上記平均粒径のゴム粒子に粉砕する工程を含むことにより、上記平均粒径のゴム粒子が市販品として入手可能か否かに関わらず、所望するゴム種を用いて本発明の製造方法を実施することができる。
粉砕工程の粉砕は、凍結粉砕法で行われることが好ましい。凍結粉砕法は、具体的には、ゴムの塊を、該ゴムのガラス転移温度(Tg)以下の温度まで冷却した後に粉砕してゴム粒子を得る方法である。
凍結粉砕を行う温度としては、粉砕されるゴムのTg以下の温度であれば、特に限定されないが、該ゴムのTgより10℃以上低い温度が好ましく、該ゴムのTgより100℃以上低い温度がより好ましい。これらの温度で凍結粉砕することにより、ゴムの塊を上記平均粒径のゴム粒子へ効率的に粉砕することができる。
粉砕方法としては、特に限定されず、公知の凍結粉砕機などを用いて行うことができる。
冷却方法としては、特に限定されず、使用する凍結粉砕機に適した冷却剤を選択すればよい。例えば、冷却剤として液体窒素(約-196℃)などを用いて冷却することができる。
粉砕されるゴムの塊のサイズや形状は、特に限定されず、使用する凍結粉砕機での凍結粉砕が可能なサイズおよび形状とすればよい。具体的には、1個のゴムの塊のうちの最も長い軸の長さである長軸径が2.0mm超~1.0cm程度のものを用いることができる。また、ゴムの塊の形状および使用可能な数は、凍結粉砕機に投入できる限りにおいて限定されない。
粉砕工程では、ダスティング剤(「粉体流動性改良剤」とも称される)を添加することが好ましい。粉砕して得られたゴム粒子は、Tg以下の温度では粘着性が低く一定の硬度を有するため所望の範囲の平均粒径を維持することができ、取り扱いも比較的容易である。しかし、Tgより高い温度ではゴムが軟化し粘着性が増すため、ゴム粒子同士が付着して取り扱いが困難となる。一方、ダスティング剤を添加すると、ゴム粒子の表面にダスティング剤の粒子が付着して、Tg超まで温度が上昇してもゴム粒子同士の付着を防ぐことができる。そのため、粉砕後のゴム粒子の取り扱いが容易となり、その後の混合工程で混合液とするまでの間の作業性を向上させることができる。
ダスティング剤は、粉砕工程の間のどの時点でゴムに添加してもよく、一度に又は複数回に分けて添加することができる。例えば、ダスティング剤を、粉砕前、粉砕途中、及び粉砕後の各々の段階で、一度に又は複数回ずつに分けて添加してもよい。
中でも、ダスティング剤を粉砕前に添加することが好ましい。ダスティング剤を粉砕前に添加すると、粉砕の間に発生する摩擦熱でゴムの温度が上昇しても、ゴムの塊やゴム粒子が互いに付着するのを防ぐことができ、効率的に粉砕を行うことができる。
ダスティング剤としては、例えば、タルク、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、カーボンブラックなどが挙げられる。
ダスティング剤は、ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下添加することが好ましく、1質量部以上10質量部以下添加することがより好ましく、3質量部以上7質量部以下添加することが更に好ましい。ダスティング剤を上記範囲内の量で添加することにより、粉砕して得られたゴム粒子同士の付着を十分に防止でき、ゴム組成物中に残存していてもゴム組成物および成形体の物性に悪影響を及ぼさないためである。
なお、任意工程としての粉砕工程を行わず、所定の平均粒径のゴム粒子として市販品を用いる場合、必要に応じて、市販品のゴム粒子に少量のダスティング剤を添加して該ゴム粒子の表面にダスティング剤の粒子を付着させてもよい。また、市販品として、表面に予めダスティング剤の粒子が付着したゴム粒子を用いてもよい。
<混合工程>
混合工程では、所定の平均粒径のゴム粒子と、繊維状炭素ナノ構造体と、該ゴム粒子の貧溶媒と、任意の添加剤とを混合して混合液を調製する。
[ゴム粒子]
ここで、ゴム粒子としては、公知のゴム種のいずれかに由来するゴム粒子を用いることができるが、フッ素ゴム粒子およびニトリルゴム粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ゴム粒子としては1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素ゴム粒子としては、特に限定されることなく、公知のフッ素ゴムに由来するゴム粒子を用いることができる。フッ素ゴムとしては、例えば、四フッ化エチレンプロピレン系ゴム(FEPM)、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、四フッ化エチレン-パーフルオロメチルビニルエーテル系ゴム(FFKM)、テトラフルオロエチレン系ゴム(TFE)などが挙げられる。これらの中でも、四フッ化エチレン-プロピレン系ゴム(FEPM)、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)が好ましい。
ニトリルゴム粒子としては、特に限定されることなく、公知のニトリルゴムに由来するゴム粒子を用いることができる。ニトリルゴムとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンニトリルゴム(HNBR)、カルボキシル変性アクリロニトリルブタジエン(XNBR)、アクリロニトリルブタジエンイソプレンゴム(NBIR)などが挙げられる。これらの中でも、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)が好ましい。
ゴム粒子の平均粒径は、0.10mm以上2.00mm以下の範囲内であることが必要であり、下限値は0.20mm以上であることが好ましく、0.30mm以上であることがより好ましく、上限値は1.00mm以下であることが好ましく、0.80mm以下であることがより好ましい。ゴム粒子の平均粒径の下限値を0.10mm以上とすることで、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高めることができる。加えて、ゴム粒子の平均粒径の上限値を2.00mm以下とすることで、ゴム組成物の生産性を向上させることができる。
本発明では、ゴム粒子の平均粒径を、下限値と上限値との組み合わせとして表記する。ここで、ゴム粒子の平均粒径が、0.10mm以上2.00mm以下の範囲内であるとは、JIS Z 8801-1:2006に準拠した金属製網篩でふるい分けを行って、目開き2.00mmの篩を通過するが、少なくとも目開き0.10mm(100μm)の篩を通過しないことを指す。すなわち、平均粒径の上限値は、上述するふるい分けを行って、ゴム粒子が全て篩過して網篩上に残存しない1枚以上の網篩の中で最小の目開きを有する網篩の目開きと同値とする。平均粒径の下限値は、上述するふるい分けを行って、ゴム粒子が全く篩過せず網篩上に残存する1枚以上の網篩の中で最大の目開きを有する網篩の目開きと同値とする。例えば、本明細書中において、目開き1.00mmの篩を通過して目開き0.50mmの篩を通過しないゴム粒子の平均粒径は、0.50mm以上1.00mm以下と表記され、0.10mm以上2.00mm以下の範囲内である。
ゴム粒子の平均粒径は、0.10mm以上2.00mm以下の範囲内、すなわち、下限値が0.10mm以上であり且つ上限値が2.00mm以下の範囲内であれば、下限値と上限値の組み合わせについては特に限定されない。例えば、ゴム粒子の平均粒径を、0.10mm以上0.18mm以下、0.50mm以上1.00mm以下、0.50mm以上2.00mm以下、又は0.10mm以上1.00mm以下などとしてもよい。
なお、平均粒径が0.10mm以上2.00mm以下の範囲内であるゴム粒子は、通常、アスペクト比(長軸径/短軸径)が1以上10以下である。
[繊維状炭素ナノ構造体]
繊維状炭素ナノ構造体としては、特に限定されることなく、導電性を有する繊維状炭素ナノ構造体を用いることができる。具体的には、繊維状炭素ナノ構造体としては、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)等の円筒形状の炭素ナノ構造体や、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなる炭素ナノ構造体等の非円筒形状の炭素ナノ構造体を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
そして、上述した中でも、繊維状炭素ナノ構造体としては、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましい。CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、少ない配合量であっても効率的に導電性および優れた機械的特性を付与することができ、ゴム組成物および成形体の引張強度を向上させ、成形体の表面抵抗率を低下させることができるからである。
ここで、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチューブの層数が少ないほど、配合量が少量であってもゴム組成物および成形体の導電性が向上し、成形体の表面抵抗率を低下するからである。
また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径は、1nm以上であることが好ましく、60nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均直径が1nm以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高め、ゴム組成物および成形体の引張強度を向上させることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径が60nm以下であれば、少ない配合量であってもゴム組成物および成形体に効率的に導電性を付与することができる。従って、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径を上記範囲内とすれば、成形体の引張強度を十分に向上させることができ、表面低効率を十分に低下させることができる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について直径(外径)を測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体としては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることがより好ましく、3σ/Avが0.40超の繊維状炭素ナノ構造体を用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、製造されるゴム組成物および成形体の性能を更に向上させることができる。
なお、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体としては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、平均長さが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることがさらに好ましく、600μm以下であることが好ましく、550μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。平均長さが10μm以上であれば、少ない配合量でゴム組成物および成形体中において引張強度を向上させることができる。そして、平均長さが600μm以下であれば、ゴム組成物および成形体中において分散性を高めることができる。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体」の平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について長さを測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、通常、アスペクト比が10超である。なお、繊維状炭素ナノ構造体のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、BET比表面積が、200m/g以上であることが好ましく、400m/g以上であることがより好ましく、600m/g以上であることがさらに好ましく、2000m/g以下であることが好ましく、1800m/g以下であることがより好ましく、1600m/g以下であることがさらに好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が200m/g以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高め、少ない配合量でゴム組成物および成形体の引張強度を高めることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2000m/g以下であれば、ゴム組成物および成形体の導電性を安定化させることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt-プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。なお、「t-プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得ることができる。すなわち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットが得られる(de Boerらによるt-プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)~(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)~(3)の過程によって、t-プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt-プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt-プロットの形状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示している。
なお、繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のt-プロットの屈曲点がかかる範囲内にあれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高め、少ない配合量でゴム組成物および成形体の引張強度を高めることができる。具体的には、屈曲点の値が0.2未満であれば、繊維状炭素ナノ構造体が凝集し易く分散性が低下し、屈曲点の値が1.5超であれば繊維状炭素ナノ構造体同士が絡み合いやすくなり分散性が低下する虞がある。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、t-プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のS2/S1の値がかかる範囲内であれば、繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高め、少ない配合量でゴム組成物および成形体の引張強度を高めることができる。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt-プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t-プロットの作成、および、t-プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)-mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体として好適なCNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのみからなる繊維状炭素ナノ構造体のラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が0.5以上5.0以下であることが好ましい。G/D比が0.5以上5.0以下であれば、製造されるゴム組成物および成形体の性能を更に向上させることができる。
なお、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、特に限定されることなく、アーク放電法、レーザーアブレーション法、化学的気相成長法(CVD法)などの既知のCNTの合成方法を用いて製造することができる。具体的には、CNTを含む繊維状炭素ナノ構造体は、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に原料化合物およびキャリアガスを供給し、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
そして、スーパーグロース法により製造された繊維状炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体を含んでいてもよい。
そして、混合液中に配合する繊維状炭素ナノ構造体の量は、前述したゴム粒子100質量部当たり、0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、1.0質量部以上であることが更に好ましく、3.0質量部以上であることがより更に好ましく、4.0質量部以上であることがより更に好ましく、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の量が上記下限値以上であれば、ゴム組成物および成形体の引張強度を十分に向上させることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の量が上記上限値以下であれば、ゴム組成物中の繊維状炭素ナノ構造体の分散性が低下してゴム組成物および成形体の性能にムラが生じるのを抑制することができる。従って、繊維状炭素ナノ構造体の量を上記範囲内とすれば、ゴム組成物および成形体の引張強度および性能を十分高めることができる。
[貧溶媒]
本発明の製造方法では、分散媒として、ゴム粒子を溶解しないが、ゴム粒子および繊維状炭素ナノ構造体を分散可能な、ゴム粒子の貧溶媒を用いる。
ここで、ゴム粒子の貧溶媒とは、5倍質量以上の該貧溶媒中に、上述する平均粒径を有する該ゴム粒子を浸漬し、72時間後に40メッシュの網でろ過した場合に、該網上に残存する不溶分が80質量%以上である溶媒を指す。
分散媒としてゴム粒子の貧溶媒を用いることにより、混合液中で大部分のゴム粒子が溶解せずに残存し、分散処理の際に繊維状炭素ナノ構造体のバンドルをほぐしながらゴム粒子自体も粉砕されることにより、繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることができる。
ここで、ゴム粒子のゴム種としてフッ素ゴムFEPMを用いた場合には、貧溶媒として、シクロヘキサンや、水、アルコール類(イソプロピルアルコール、メタノール等)、ケトン類(メチルエチルケトン、アセトン等)等を挙げることができる。また、ゴム粒子のゴム種としてフッ素ゴムFKMを用いた場合には、貧溶媒として、シクロヘキサンや、水等を挙げることができる。ゴム粒子のゴム種としてニトリルゴムNBRを用いた場合には、貧溶媒として、シクロヘキサンや、水、アルコール類(イソプロピルアルコール、メタノール等)等を挙げることができる。
混合液中の固形分、すなわち、ゴム粒子および繊維状炭素ナノ構造体の合計濃度は、混合液(100質量%)中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましく、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。ゴム粒子および繊維状炭素ナノ構造体の合計濃度が上記下限値以上であれば、分散処理を施した際に繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることができる。また、ゴム粒子および繊維状炭素ナノ構造体の合計濃度が上記上限値以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることができる。
[添加剤]
混合液中に任意に配合し得る添加剤としては、特に限定されることなく、分散剤などの既知の添加剤が挙げられる。
ここで、分散剤としては、繊維状炭素ナノ構造体の分散を補助し得る既知の分散剤を用いることができる。具体的には、分散剤としては、例えば界面活性剤、多糖類、π共役系高分子およびエチレン鎖を主鎖とする高分子などが挙げられる。中でも界面活性剤がより好ましい。
なお、ゴム組成物および成形体の性能が低下するのを抑制する観点からは、添加剤の配合量は、前述したゴム粒子100質量部当たり、1質量部以下であることが好ましく、0質量部である(即ち、混合液および分散液は添加剤を含まない)ことがより好ましい。
[混合方法]
そして、上述したゴム粒子と、繊維状炭素ナノ構造体と、該ゴム粒子の貧溶媒と、任意の添加剤とを混合する方法としては、特に限定されることなく、既知の混合方法を用いることができる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体に損傷が発生するのを抑制する観点からは、上述した成分の混合は、撹拌機を用いて無加圧下で行うことが好ましい。
なお、上述した成分を混合する順番は、特に限定されることはなく、全成分を一括で混合してもよいし、一部の成分を混合した後に残部の成分を添加して更に混合してもよい。中でも、簡便な操作で混合液を調製する観点からは、全成分を一括で混合することが好ましい。
<分散工程>
分散工程では、上記混合工程で得た混合液をメディアレス高速せん断機に供給し、混合液に分散処理を施して分散液を得る。
[圧力]
ここで、分散工程において混合液にかかる圧力、即ち、メディアレス高速せん断機への供給から分散処理の終了までの間に混合液にかかる圧力は、ゲージ圧で5MPa以下であることが好ましく、4MPa以下であることがより好ましく、混合液の分散処理は無加圧下で行うことが更に好ましい。混合液にかかる圧力を上記上限値以下とすれば、繊維状炭素ナノ構造体に損傷が発生するのを抑制し、ゴム組成物および成形体の引張強度の低下を防ぐことができるからである。
なお、分散工程では、上述したように、所定の平均粒径のゴム粒子を含む混合液に対して分散処理を施しているので、混合液に高い圧力を負荷しなくても、繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることができる。
[メディアレス高速せん断機]
メディアレス高速せん断機としては、高速撹拌機、ホモジナイザーおよびインラインミキサーなどの、分散メディアを使用せずに湿式で高速せん断力を用いて分散処理をすることが可能な既知のメディアレス分散機を用いることができる。メディアレス高速せん断機を用いることにより、ジェットミル等の高圧型の高速せん断機に比べ、一度に多量の混合液を短時間で分散処理することができ、効率的にゴム組成物を製造できるためである。
また、本発明者は、湿式メディアレス分散機の中でも、混合液にかかる圧力(ゲージ圧)が5MPa以下の条件下で高速せん断力による分散処理を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のバンドルが充分にほぐれ、繊維形状を保ったまま良好に分散することができ、ゴム組成物および成形体の性能を更に向上させることを見出した。
具体的に、異なる分散処理を行って得られたゴム組成物中の繊維状炭素ナノ構造体の分散状態を示すマイクロスコープ画像を、図1~4として示す。図1は、本発明の製造方法の一実施形態に係る、キャビトロン(回転式インライン・ローター・ステーター式ミキサー)を高速で用いて分散処理を行った結果である。図2は、湿式ジェットミル(高圧ノズル式ホモジナイザー)を用いて分散処理を行った結果である。図3は、本発明の製造方法の別の一実施形態に係るネオミクサー(後述する回転式ホモジナイザー)を高速で用いて分散処理を行った結果である。図4は、キャビトロン(回転式インライン・ローター・ステーター式ミキサー)を低速で用いて分散処理を行った結果である。
図1および図3の画像から、本発明の製造方法の一実施形態に係るメディアレス高速せん断機を用いて分散処理を行うと、繊維状炭素ナノ構造体のバンドルが充分にほぐれ、繊維形状を保ったまま良好に分散しているのが分かる。
一方、図2の画像から、湿式ジェットミル(高圧ノズル式ホモジナイザー)を用いて分散処理を行うと、繊維状炭素ナノ構造体が粉砕されて繊維形状を保っていないことが分かる。
また、図4の画像から、本発明の製造方法の一実施形態に係るメディアレス高速せん断機を用いても低速せん断によって分散処理を行うと、繊維状炭素ナノ構造体のバンドルのほぐれが不充分であることが分かる。
混合液にかかる圧力(ゲージ圧)が5MPa以下の条件下でも繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させる観点から、メディアレス高速せん断機としては、回転式のメディアレス高速せん断機が好ましく、回転式ホモジナイザー、または、固定されたステーターとステーターに対向して高速回転するローターとを備えるインライン・ローター・ステーター式ミキサーがより好ましい。
なお、メディアレス高速せん断機として回転式ホモジナイザーを使用する場合には、分散処理は、周速度が5m/秒以上となる条件で行うことが好ましく、周速度が26m/秒以上であることがより好ましく、40m/秒以上であることが更に好ましい。周速度が5m/秒以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体を十分に分散させることができる。また、処理時間は、10分以上300分以下が好ましい。更に、混合液に適度なせん断力を与えることが好ましく、回転部の形状としては、例えば、鋸歯ブレード、閉式ローター、ローター/ステーター式が好ましい。閉式ローターのスリット幅またはローター/ステーターのクリアランスは、3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
また、メディアレス高速せん断機としてキャビトロン等のインライン・ローター・ステーター式ミキサーを使用する場合には、分散処理は、周速度が5m/秒以上となる条件で行うことが好ましく、周速度が26m/秒以上であることがより好ましく、40m/秒以上であることが更に好ましい。周速度が5m/秒以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体を十分に分散させることができる。また、回転部への混合液の通過回数は10回以上であることが好ましい。10回以上通過させることで、繊維状炭素ナノ構造体を均一かつ良好に分散させることができる。更に、処理時間は10分以上300分以下が好ましい。また、混合液に適度なせん断力を与えることが好ましく、例えば、回転部の形状としては、スリット式が好ましい。ローター/ステーターの最小クリアランスは3mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。また、スリット幅は2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。
分散処理は、特に限定されないが、分散液中のゴム粒子の平均粒径が50μm以上800μm以下となったときに終了することが好ましく、50μm以上500μm以下となったときに終了することがより好ましい。分散液中のゴム粒子の平均粒径が800μm以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体が十分良好に分散されており、引張強度に優れるゴム組成物および成形体を提供することができる。また、分散液中のゴム粒子の平均粒径が50μm以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体が繊維形状を損なうことなく分散されており、ゴム組成物および成形体の引張強度を低下させる虞がない。
分散液中のゴム粒子の平均粒径は、分散処理工程の途中で分取した分散液をマイクロスコープを用いて観察して、無作為に選択した20個のゴム粒子の粒径を測定して算術平均により求めることができる。
あるいは、分散処理は、分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の平均バンドル径が、少なくとも3nm以上となったときに終了し、10μm以下となったときに終了することが好ましく、0.1μm以下となったときに終了することがより好ましい。分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の平均バンドル径が10μm以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体のバンドルが十分ほぐれた状態で分散されており、引張強度に優れるゴム組成物および成形体を提供することができる。また、分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の平均バンドル径が3nm以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体が繊維形状を損なうことなく分散されており、ゴム組成物および成形体の引張強度を低下させる虞がない。
分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の平均バンドル径は、分散処理工程の途中で分取した分散液をマイクロスコープを用いて観察して、無作為に選択した20本の繊維状炭素ナノ構造体のバンドルのバンドル径を測定して算術平均により求めることができる。
分散処理の終了時は、上述するように、分散液中のゴム粒子の平均粒径又は繊維状炭素ナノ構造体の平均バンドル径を指標とすることができるが、分散液中のゴム粒子の平均粒径を指標とすることがより好ましい。
[分散液]
そして、上述した分散工程で得られる分散液は、前述した所定の平均粒径のゴム粒子に由来するゴム粒子と、繊維状炭素ナノ構造体と、該ゴム粒子の貧溶媒と、任意の添加剤とを含有する。
分散液中に含まれる各成分の割合は、通常、混合液中に含まれていた各成分の割合と同じである。
なお、所定の平均粒径のゴム粒子は、上述するように、メディアレス高速せん断機による分散処理で粉砕されて、分散液中では更に小さい平均粒径のゴム粒子として存在する。
<分散媒除去工程>
分散媒除去工程では、上記分散工程で得られた分散液から、分散媒として用いたゴム粒子の貧溶媒を除去して、ゴム組成物を得る。
ここで、分散液からゴム粒子の貧溶媒を除去する方法としては、特に限定されることなく、乾燥やろ過などの既知の方法を用いることができる。中でも、ゴム粒子の貧溶媒を除去する方法としては、ろ過と乾燥を組み合わせることが好ましい。ろ過としては、自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過など公知のろ過方法を用いればよい。乾燥としては、真空乾燥、不活性ガスの流通による乾燥、スプレードライヤーを用いた乾燥およびCDドライヤーを用いた乾燥が好ましく、真空乾燥、スプレードライヤーを用いた乾燥およびCDドライヤーを用いた乾燥がより好ましい。
上述のようにして得られたゴム組成物は、そのままゴム材料や複合材料としてもよいし、粉砕や薄片化などの任意の方法で造粒してもよい。
また、得られたゴム組成物に、任意のゴム用配合剤、例えば、架橋剤、補強材、酸化防止剤などを更に含有させて混練し、成形加工および架橋を行って所望の成形体を得ることもできる。混練、成形加工および架橋は、公知の方法および装置を用いて行うことができる。
本発明のゴム組成物の製造方法によって得られる、ゴムと繊維状炭素ナノ構造体とを含むゴム組成物は、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散しているため、成形加工および架橋を行うことにより、引張強度に優れる成形体を得ることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、ゴム粒子の平均粒径、ならびにゴム組成物の引張強度および生産効率は、以下の方法を使用して測定または評価した。
<ゴム粒子の平均粒径>
実施例および比較例に使用するために凍結粉砕によって調製したゴム粒子の平均粒径は、JIS Z 8801-1:2006に準拠した金属製の網篩を用い、乾式ふるい分けによって求めた。直径20cmの網篩に、100cmのかさ体積の測定試料(ゴム粒子)を入れて、水平面内を一方向に振幅約100mm、1分間に約120往復の割合で、5分間振動させた。
以下において、平均粒径0.10mm以上0.18mm以下と表記するゴム粒子は、目開き0.18mmの篩を通過したが目開き0.10mmの篩を通過しなかったものである。そして、平均粒径0.50mm以上1.00mm以下と表記するゴム粒子は、目開き1.00mmの篩を通過したが目開き0.50mmの篩を通過しなかったものである。
また、平均粒径2.00mm超と表記するゴム粒子は、測定対象の全量が目開き2.00mmの篩を通過しなかったものである。そして、平均粒径0.10mm未満と表記するゴム粒子は、測定対象の全量が目開き0.10mmの篩を通過したものである。
<引張強度>
得られた架橋ゴムシートを、ダンベル試験片状(JIS3号)に打ち抜き、試験片を作製した。引張試験機(ストログラフVG、東洋精機社製)を用い、JIS K6251:2010に準拠して、試験温度230℃、200℃または120℃、試験湿度50%、引張速度500±50mm/minの条件下で引張試験を行い、引張強度TS(試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の引張力を試験片の初期断面積で除した値)を測定した。結果を表1に示す。
引張強度の値が大きい程、引張強度に優れる。
また、同一ゴム種のゴム粒子間で比較した場合に引張強度の値が大きい程、ゴム組成物における繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れる。
<生産効率>
分散工程で得られた分散液をそのまま次の分散媒除去工程に供することができ凝固処理が不要な場合を○、分散工程で得られた分散液を次の分散媒除去工程に供する前に凝固処理が必要な場合を×として評価した。結果を表1に示す。
(実施例1-1)
フッ素ゴムとしてFEPM(四フッ化エチレンプロピレン系ゴム、旭硝子社製「アフラス(登録商標)100S」、)の塊を、タルク(フッ素ゴム100質量部に対して5質量部の割合)と共に凍結粉砕機(粉体技研社製、液体窒素冷却)に投入して、粉砕し、平均粒径が0.10mm以上0.18mm以下のFEPM粒子を得た。
10LのSUS缶に、得られた平均粒径0.10mm以上0.18mm以下のFEPM粒子236g(100質量部)とタルク11.8g(5重量部)との合計105重量部、該FEPM粒子の貧溶媒としてのシクロヘキサン(不溶分100%)と、繊維状炭素ナノ構造体としてのカーボンナノチューブ(ゼオンナノテクノロジー社製、製品名「ZEONANO(登録商標)SG101」、単層CNT、比重:1.7、平均直径:3.5nm、平均長さ:400μm、BET比表面積:1050m/g、G/D比:2.1、t-プロットは上に凸)7.1g(3質量部)とを投入した(混合工程)。そして、メディアレス高速せん断機としてのキャビトロン(大平洋機工社製、製品名「CD1000」、ロータ/ステータ:スリット型、最小クリアランス0.25mm)を用いて、温度20℃、回転数18000rpm(周速度:40m/秒)にて60分間分散処理を行い、FEPM粒子と、カーボンナノチューブとを含むスラリー状の分散液を得た(分散工程)。なお、分散処理は、マイクロスコープで、分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の平均バンドル径が3nm以上10μm以下となっていることを確認し、終了した。
次いで、得られた分散液を風乾させて、溶媒(シクロヘキサン)を除去した。その後、真空乾燥機(ヤマト科学社製)にて、温度80℃で12時間真空乾燥することで、フッ素ゴムとカーボンナノチューブとを複合した複合体(複合ゴム材料)を得た。
次いで、得られた複合ゴム材料のアフラス100S/CNT3phr/タルク5phr複合体108質量部に、カーボンブラック(サ―マックス(登録商標)MT)5質量部、第一架橋剤(TAIC)5質量部、第二架橋剤(ペロキシモンF-40)2.5質量部、及びステアリン酸カルシウム1質量部をロール混合し、一次加硫(170℃、20分)および二次加硫(200℃、4時間)処理を経て厚さ2mmのシートを得た。
得られたシートをダンベル試験片状(JIS3号)に打ち抜き、試験片を作製した。引張試験機(ストログラフVG、東洋精機社製)を用い、試験温度230℃、試験湿度50%、引張速度500±50mm/minの条件下で引張試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例1-2)
分散媒として、シクロヘキサンに替えて、FEPM粒子の貧溶媒である水(不溶分100%)を用いた以外は、実施例1-1と同様にして架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートについて、230℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例1-3)
FEPM粒子の平均粒径を0.50mm以上1.00mm以下とし、メディアレス高速せん断機として、キャビトロン(大平洋機工社製、製品名「CD1000」、ローター/ステーター:スリット型、最小クリアランス0.25mm)を用いて、温度20℃、回転数12000rpm(周速度:26m/秒)にて60分間分散処理を行った以外は、実施例1-1と同様にして架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートについて、230℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1-1)
分散媒として、シクロヘキサンに替えて、フッ素ゴムFEPMの良溶媒であるテトラヒドロフラン(THF、不溶分36%)を用い、メディアレス分散機として、キャビトロンに替えて、高圧ノズル式ホモジナイザーであるジェットミル(吉田機械工業製社製「L-ES007」)を90MPaで用い、凝固処理を行ってから分散媒(THF)を除去した以外は、実施例1-1と同様にして架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートについて、230℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、凝固処理は、FEPM粒子とカーボンナノチューブとを含む分散液を、1倍量(質量基準)の水に滴下することによって行い、得られた凝固物(黒色固体)を分散媒の除去に供した。
(比較例1-2)
FEPM粒子の平均粒径を2.0mm超とした以外は、実施例1-3と同様にして架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートについて、230℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1-3)
FEPM粒子の平均粒径を0.1mm未満とした以外は、実施例1-3と同様にして架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートについて、230℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
ゴムとして、フッ素ゴムFEPMに替えて、フッ素ゴムFKM(フッ化ビニリデン系ゴム、ケマーズ社製「バイトン(登録商標)GBL600S」、シクロヘキサンに対する不溶分100%)を用い、繊維状炭素ナノ構造体としてのカーボンナノチューブの添加量を9.4g(4質量部)とし、得られた複合ゴム材料のGBL600S/CNT4phr/タルク5phr複合体109質量部に、酸化亜鉛(亜鉛華二種)3質量部、第一架橋剤(TAIC)3質量部、第二架橋剤(パーヘキサ(登録商標)25B40)2質量部をロール混合とした以外は、実施例1-3と同様にして架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートについて、200℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
分散媒として、シクロヘキサンに替えて、フッ素ゴムFKMの良溶媒であるメチルエチルケトン(MEK、不溶分1.8%)を用い、メディアレス分散機として、キャビトロンに替えて、高圧ノズル式ホモジナイザーであるジェットミル(ケマーズ社製「バイトン GBL600S」)を90MPaで用い、凝固処理を行ってから分散媒(MEK)を除去した以外は、実施例2と同様にして架橋ゴムシートを得た。なお、凝固処理は、FKM粒子とカーボンナノチューブとを含む分散液を、5倍量(質量基準)の水に滴下することによって行い、得られた凝固物(黒色固体)を分散媒の除去に供した。得られた架橋ゴムシートについて、200℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、FKM粒子は、混合液中および分散液中でメチルエチルケトンに溶解した。
(実施例3)
ゴムとして、フッ素ゴムFEPMに替えて、ニトリルゴム(NBR、日本ゼオン株式会社製「DN3350」、シクロヘキサンに対する不溶分100%)を用い、繊維状炭素ナノ構造体としてのカーボンナノチューブの添加量を23.6g(10質量部)とし、得られた複合ゴム材料のDN3350/CNT10phr/タルク5phr複合体115質量部に、架橋助剤として酸化亜鉛(亜鉛華二種)を5質量部、ステアリン酸を1質量部、加硫剤として硫黄(S#325)を0.5質量部、第一加硫促進剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業社製「ノクセラー(登録商標)-TT」)を1.5重量部、第二加硫促進剤としてのN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業社製「ノクセラーCZG」)を1.5重量部加えてロール混合した以外は、実施例1-3と同様にして架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートについて、120℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
分散媒として、シクロヘキサンに替えて、ニトリルゴムNBRの良溶媒であるメチルエチルケトン(MEK、不溶分18%)を用い、高圧ノズル式ホモジナイザーであるジェットミル(吉田機械興業社製「L-ES007」)を90MPaで用い、凝固処理を行ってから分散媒(MEK)を除去した以外は、実施例3と同様にして架橋ゴムシートを得た。なお、凝固処理は、NBR粒子とカーボンナノチューブとを含む分散液を、5倍量(質量基準)の水に滴下することによって行い、得られた凝固物(黒色固体)を分散媒の除去に供した。得られた架橋ゴムシートについて、120℃にて引張強度の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、NBR粒子は、混合液中および分散液中でメチルエチルケトンに溶解した。
Figure 0007151760000001
表1より、所定の平均粒子径のゴム粒子を用いて、回転式のメディアレス高速せん断機を用いて分散処理を行った実施例1-1~1-3、実施例2および3では、引張強度に優れるゴム架橋物を得られることがわかる。
一方、比較例1-1、比較例2および3では、高圧ノズル式ホモジナイザーを用いて分散処理を行ったため、分散処理前のゴムの溶解と分散媒除去前の分散液の凝固処理が必要なため、生産効率が劣ることがわかる。
また、比較例1-2および1-3では、ゴム粒子の平均粒径が本願所定の範囲外であるため、カーボンナノチューブの分散性が不十分となり、引張強度が低下することが分かる。
本発明のゴム組成物の製造方法によれば、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散したゴム組成物を効率的に製造することができる。
また、本発明のゴム組成物の製造方法によって製造されたゴム組成物を用いることにより、引張強度に優れた成形体を得ることができる。

Claims (8)

  1. 平均粒径が0.1mm以上2.0mm以下の範囲内であるゴム粒子と、繊維状炭素ナノ構造体と、該ゴム粒子の貧溶媒とを混合して、混合液を得る混合工程と、
    該混合液を、メディアレス高速せん断機を使用して分散処理し、分散液を得る分散工程と、
    該分散液から該ゴム粒子の貧溶媒を除去する分散媒除去工程と、
    を備え、
    該ゴム粒子の貧溶媒は、5倍質量以上の該貧溶媒中に、該ゴム粒子を浸漬させ、72時間後に40メッシュの網でろ過した場合に、該網上に残存する不溶分が80質量%以上である溶媒であることを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。
  2. 前記混合工程に先立って、ゴムを、前記平均粒径が0.1mm以上2.0mm以下の範囲内のゴム粒子に粉砕する粉砕工程を含む、請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
  3. 前記粉砕工程の粉砕が、凍結粉砕法で行われる、請求項2に記載のゴム組成物の製造方法。
  4. 前記粉砕工程が、ダスティング剤を添加することを含む、請求項2または3に記載のゴム組成物の製造方法。
  5. 前記混合液が、前記ゴム粒子100質量部当たり、前記繊維状炭素ナノ構造体を0.1質量部以上10質量部以下の割合で含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  6. 前記ゴム粒子が、フッ素ゴム粒子およびニトリルゴム粒子から選択される少なくとも一種である、請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  7. 前記メディアレス高速せん断機が、回転式のメディアレス高速せん断機である、請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  8. 前記分散工程の分散処理を、分散液中のゴム粒子の平均粒径が50μm以上800μm以下となったとき、又は分散液中の繊維状炭素ナノ構造体の平均バンドル径が3nm以上10μm以下となったときに終了する、請求項1~7のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
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