JP2023010333A - タイヤ用マスターバッチ、タイヤ用ゴム組成物、タイヤ、およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低発熱性および剛性のバランスに優れた加硫ゴムの原料となるマスターバッチ、およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のタイヤ用マスターバッチは、天然ゴムと、セルロースナノファイバーとを含み、前記セルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比(すなわちL/D)が1000~2000である。本発明のタイヤ用マスターバッチの製造方法は、少なくとも、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を作製する工程と、前記混合液を凝固させる工程とを含み、前記セルロースナノファイバースラリー中のセルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比(すなわちL/D)が1000~2000である。【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤ用マスターバッチ、タイヤ用ゴム組成物、タイヤ、およびそれらの製造方法に関する。
セルロースファイバーは、さまざまなバイオマスから取り出すことができ、環境負荷が小さいため、現在、セルロースファイバーの空気入りタイヤへの利用を含めた、セルロースファイバー利用に関するさまざまな研究開発が行われている(たとえば特許文献1~4参照)。
セルロースナノファイバーをゴムに添加すると、カーボンブラック添加と同じように加硫ゴムの剛性が向上する傾向があるものの、カーボンブラック添加と同じように加硫ゴムの低発熱性が悪化する傾向がある。低発熱性は、タイヤを構成する加硫ゴムにおいて重要な性能である。よって、セルロースナノファイバーによる低発熱性の悪化の程度を抑えながら、剛性を向上した加硫ゴムが望まれる。
本発明は、低発熱性および剛性のバランスに優れた加硫ゴムの原料となるマスターバッチ、およびその製造方法を提供することを目的とする。これに加えて、本発明は、低発熱性および剛性のバランスに優れた加硫ゴムの原料となるゴム組成物を提供することを目的とする。ここで、「低発熱性および剛性のバランスに優れた」とは、セルロースナノファイバーによる低発熱性の悪化の程度が比較的小さいながらも、セルロースナノファイバーによる剛性の向上効果が比較的大きいことを意味する。
この課題を解決するための手段の一つである、本発明のタイヤ用マスターバッチは、
天然ゴムと、
セルロースナノファイバーとを含み、
前記セルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比(以下、「L/D」と言うことがある。)が1000~2000である。
天然ゴムと、
セルロースナノファイバーとを含み、
前記セルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比(以下、「L/D」と言うことがある。)が1000~2000である。
本発明のタイヤ用マスターバッチはセルロースナノファイバーを含むため、加硫ゴムの剛性を向上することができる。
しかも、セルロースナノファイバーの少なくとも一部が、長さ10μm~20μm、かつL/D1000~2000であることによって、加硫ゴムの剛性をいっそう向上することができる。これは、長さ20μm以下、かつL/D2000以下であることによって、セルロースナノファイバースラリーの粘度が過度に高くなることを防止でき、セルロースナノファイバーを高度に分散させることができるためである、と考えられる。これに加えて、長さ10μm以上、かつL/D1000以上であることによって、セルロースナノファイバーの補強作用が効果的に発揮されるためである、と考えられる。
そのうえ、セルロースナノファイバーによる低発熱性の悪化の程度を和らげることもできる。これは、長さ20μm以下、かつL/D2000以下であることによって、セルロースナノファイバースラリーの粘度が過度に高くなることを防止でき、セルロースナノファイバーを高度に分散させることができるためである、と考えられる。
本発明のタイヤ用マスターバッチの製造方法は、
少なくとも、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を作製する工程と、
前記混合液を凝固させる工程とを含み、
前記セルロースナノファイバースラリー中のセルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比が1000~2000である。
少なくとも、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を作製する工程と、
前記混合液を凝固させる工程とを含み、
前記セルロースナノファイバースラリー中のセルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比が1000~2000である。
本発明のタイヤ用マスターバッチの製造方法では、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を凝固させる、という手順を踏むため、セルロースナノファイバーを天然ゴムに添加してバンバリーミキサーで混練りする場合に比べて、セルロースナノファイバーを高度に分散することができ、加硫ゴムの剛性を向上することができる。
しかも、セルロースナノファイバーの少なくとも一部が、長さ10μm~20μm、かつL/D1000~2000であることによって、加硫ゴムの剛性をいっそう向上することができる。これは、長さ20μm以下、かつL/D2000以下であることによって、セルロースナノファイバースラリーの粘度が過度に高くなることを防止でき、セルロースナノファイバーを高度に分散させることができるためである、と考えられる。これに加えて、長さ10μm以上、かつL/D1000以上であることによって、セルロースナノファイバーの補強作用が効果的に発揮されるためである、と考えられる。
そのうえ、セルロースナノファイバーによる低発熱性の悪化の程度を和らげることもできる。これは、長さ20μm以下、かつL/D2000以下であることによって、セルロースナノファイバースラリーの粘度が過度に高くなることを防止でき、セルロースナノファイバーを高度に分散させることができるためである、と考えられる。
本発明のタイヤ用マスターバッチの製造方法では、前記混合液を作製する前記工程では、少なくとも、前記セルロースナノファイバースラリー、前記天然ゴムラテックス、およびカーボンブラックスラリーを混合する、という構成が好ましい。この構成によれば、セルロースナノファイバースラリー、天然ゴムラテックス、およびカーボンブラックスラリーを混合するため、セルロースナノファイバーによる低発熱性の悪化の程度をいっそう低減することができるとともに、加硫ゴムの剛性をいっそう向上することができる。これは、これらの混合によって、カーボンブラックの凝集塊にセルロースナノファイバーを取り込ませながら、カーボンブラックおよびセルロースナノファイバーの分散を進めることができ、その結果、カーボンブラックを高度に分散させることができるためである、と考えられる。
本発明のタイヤの製造方法は、
上述の製造方法でタイヤ用マスターバッチを作製する工程と、
前記タイヤ用マスターバッチを用いてゴム組成物を作製する工程と、
前記ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程とを含む。
上述の製造方法でタイヤ用マスターバッチを作製する工程と、
前記タイヤ用マスターバッチを用いてゴム組成物を作製する工程と、
前記ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程とを含む。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、
天然ゴムと、
セルロースナノファイバーとを含み、
前記セルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比が1000~2000である。
天然ゴムと、
セルロースナノファイバーとを含み、
前記セルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比が1000~2000である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物はセルロースナノファイバーを含むため、加硫ゴムの剛性を向上することができる。
しかも、セルロースナノファイバーの少なくとも一部が、長さ10μm~20μm、かつL/D1000~2000であることによって、加硫ゴムの剛性をいっそう向上することができる。これは、長さ20μm以下、かつL/D2000以下であることによって、セルロースナノファイバースラリーの粘度が過度に高くなることを防止でき、セルロースナノファイバーを高度に分散させることができるためである、と考えられる。これに加えて、長さ10μm以上、かつL/D1000以上であることによって、セルロースナノファイバーの補強作用が効果的に発揮されるためである、と考えられる。
そのうえ、セルロースナノファイバーによる低発熱性の悪化の程度を和らげることもできる。これは、長さ20μm以下、かつL/D2000以下であることによって、セルロースナノファイバースラリーの粘度が過度に高くなることを防止でき、セルロースナノファイバーを高度に分散させることができるためである、と考えられる。
本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いて作製されたタイヤである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<1.マスターバッチの製造方法>
本実施形態のマスターバッチの製造方法は、少なくとも、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を作製する工程(以下、「工程A」ということがある。)と、混合液を凝固させる工程(以下、「工程B」ということがある。)とを含む。本実施形態のマスターバッチの製造方法は、工程Aおよび工程Bを含むため、セルロースナノファイバーを天然ゴムに添加してバンバリーミキサーで混練りする場合に比べて、セルロースナノファイバーを高度に分散することができ、加硫ゴムの剛性を向上することができる。本実施形態のマスターバッチの製造方法は、凝固物を脱水する工程(以下、「工程C」ということがある。)をさらに含むことができる。
本実施形態のマスターバッチの製造方法は、少なくとも、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を作製する工程(以下、「工程A」ということがある。)と、混合液を凝固させる工程(以下、「工程B」ということがある。)とを含む。本実施形態のマスターバッチの製造方法は、工程Aおよび工程Bを含むため、セルロースナノファイバーを天然ゴムに添加してバンバリーミキサーで混練りする場合に比べて、セルロースナノファイバーを高度に分散することができ、加硫ゴムの剛性を向上することができる。本実施形態のマスターバッチの製造方法は、凝固物を脱水する工程(以下、「工程C」ということがある。)をさらに含むことができる。
<1.1.工程A(混合液を作製する工程)>
工程Aでは、少なくとも、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を作製する。この混合では、分散機、たとえば高せん断ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどを使用できる。
工程Aでは、少なくとも、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を作製する。この混合では、分散機、たとえば高せん断ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどを使用できる。
セルロースナノファイバースラリーは、セルロースナノファイバーと水とを含んでいることができる。セルロースナノファイバースラリーでは、セルロースナノファイバーが水中に分散していることができる。セルロースナノファイバースラリーは、必要に応じて、他の添加剤、たとえば有機溶媒、界面活性剤を含んでいてもよい。
セルロースナノファイバーの原料として、たとえば、木材、もみ殻、藁、竹などを挙げることができる。原料がパルプである場合、たとえば、パルプに、化学処理および/または酵素処理したうえで水中で解繊する、という手順を含む方法によって、セルロースナノファイバーを得ることができる。パルプを、化学処理や酵素処理なしで、水中で機械的に解繊する、という手順を含む方法によっても、セルロースナノファイバーを得ることができる。なかでも、後者の手順が好ましい。
セルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、長さの直径に対する比、すなわちL/Dが1000~2000である。この構成によって、加硫ゴムの剛性をいっそう向上することができる。これは、長さ20μm以下、かつL/D2000以下であることによって、セルロースナノファイバースラリーの粘度が過度に高くなることを防止でき、セルロースナノファイバーを高度に分散させることができるためである、と考えられる。これに加えて、長さ10μm以上、かつL/D1000以上であることによって、セルロースナノファイバーの補強作用が効果的に発揮されるためである、と考えられる。そのうえ、セルロースナノファイバーによる低発熱性の悪化の程度を和らげることもできる。これは、長さ20μm以下、かつL/D2000以下であることによって、セルロースナノファイバースラリーの粘度が過度に高くなることを防止でき、セルロースナノファイバーを高度に分散させることができるためである、と考えられる。
セルロースナノファイバーの少なくともその一部について、長さは、13μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。L/Dは、1300以上であってもよく、1500以上であってもよい。L/Dは、2000未満であってもよい。セルロースナノファイバーの長さや直径、L/Dは、後述の実施例に記載の方法で測定される値である。
天然ゴムラテックスとして、たとえば、濃縮天然ゴムラテックス、フィールドラテックスを挙げることができる。天然ゴムラテックスでは、ゴム粒子が、コロイド状に分散媒に分散していることができる。具体的には、天然ゴムラテックスでは、ゴム粒子が、コロイド状に水に分散していることができる。天然ゴムラテックスは有機溶媒を含んでいてもよい。このように、分散媒は、たとえば有機溶媒を含有する水であってもよい。
天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。天然ゴムラテックスにおける乾燥ゴム分の上限は、たとえば60質量%、50質量%である。
天然ゴムラテックスとセルロースナノファイバースラリーとの混合は、セルロースナノファイバーが、天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上となるようにおこなうことができる。この混合は、セルロースナノファイバーが、天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下となるようにおこなうことができる。
工程Aでは、天然ゴムラテックスおよびセルロースナノファイバースラリーとともに、カーボンブラックスラリーを混合することが好ましい。天然ゴムラテックスおよびセルロースナノファイバースラリーとともに、カーボンブラックスラリーを混合することによって、セルロースナノファイバーによる低発熱性の悪化の程度をいっそう低減することができるとともに、加硫ゴムの剛性をいっそう向上することができる。これは、これらの混合によって、カーボンブラックの凝集塊にセルロースナノファイバーを取り込ませながら、カーボンブラックおよびセルロースナノファイバーの分散を進めることができ、その結果、カーボンブラックを高度に分散させることができるためである、と考えられる。
カーボンブラックスラリーは、カーボンブラックと水とを含んでいることができる。カーボンブラックスラリーでは、カーボンブラックが水中に分散していることができる。カーボンブラックスラリーは、カーボンブラックを水に添加し、撹拌することで得ることができる。撹拌では、分散機、たとえば高せん断ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどを使用できる。カーボンブラックスラリーは、必要に応じて、他の添加剤、たとえば有機溶媒、界面活性剤を含んでいてもよい。
カーボンブラックとしては、たとえばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなどのファーネスブラックのほか、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。これらのうち一種または二種以上を使用することができる。
カーボンブラックスラリーにおけるカーボンブラックの量は、カーボンブラックスラリー100質量%において、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。カーボンブラックスラリーにおけるカーボンブラックの量は、カーボンブラックスラリー100質量%において、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
カーボンブラックスラリーの混合は、カーボンブラックが、天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上となるようにおこなうことができる。この混合は、カーボンブラックが、天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下となるようにおこなうことができる。
<1.2.工程B(混合液を凝固させる工程)>
工程Bでは混合液を凝固させる。すなわち、混合液中の、ゴム粒子やセルロースナノファイバーを共凝固させる。混合液がカーボンブラックを含む場合、ゴム粒子やセルロースナノファイバーとともにカーボンブラックも共凝固させることができる。混合液を凝固するために、混合液に凝固剤を添加してもよい。凝固剤は、たとえば酸である。酸としてギ酸、硫酸などを挙げることができる。凝固剤の添加は、混合液を撹拌しながらおこなってもよく、混合液を加熱しながらおこなってもよく、これら(すなわち撹拌や加熱)を任意に組み合わせた状態でおこなってもよい。もちろん、凝固剤を使用せずに、混合液を凝固してもよい。
凝固後は、必要に応じて、凝固物を廃液から分離する。凝固物は、たとえば小片状をなすことができる。なお、小片状の凝固物をクラムということがある。凝固物を廃液から分離するために、たとえばフィルターを利用することができる。
<1.3.工程C(凝固物を脱水する工程)>
工程Cでは凝固物を脱水する。凝固物を脱水するために、たとえば、押出機、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤーを使用することができる。なかでも押出機が好ましい。押出機を使用することによって、圧搾などの作用で凝固物を脱水し、この脱水後の凝固物を乾燥させながら可塑化することができる。押出機として、たとえば単軸押出機を挙げることができる。
工程Cでは凝固物を脱水する。凝固物を脱水するために、たとえば、押出機、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤーを使用することができる。なかでも押出機が好ましい。押出機を使用することによって、圧搾などの作用で凝固物を脱水し、この脱水後の凝固物を乾燥させながら可塑化することができる。押出機として、たとえば単軸押出機を挙げることができる。
<1.4.その他の工程>
押し出された凝固物、すなわち脱水された凝固物を、必要に応じて切断し、必要に応じて任意の形状(たとえばベール状)に圧縮成形する。切断のために、たとえばペレタイザーを使用することができる。
押し出された凝固物、すなわち脱水された凝固物を、必要に応じて切断し、必要に応じて任意の形状(たとえばベール状)に圧縮成形する。切断のために、たとえばペレタイザーを使用することができる。
このようにして得られたマスターバッチはベール状をなすことができる。マスターバッチは、ベール状に限られず、たとえばペレット状をなしていてもよく、棒状をなしていてもよく、シート状をなしていてもよい。
マスターバッチは、天然ゴムを含むゴム成分を含む。マスターバッチ中のゴム成分100質量%中、天然ゴムの量は、たとえば、80質量%以上であることができ、90質量%以上であることができ、100質量%であることもできる。
マスターバッチはセルロースナノファイバーを含むことができる。マスターバッチがセルロースナノファイバーを含むため、加硫ゴムの剛性を向上することができる。セルロースナノファイバーの量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。セルロースナノファイバーの量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
マスターバッチはカーボンブラックを含むことができる。カーボンブラックの量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。カーボンブラックの量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
<2.タイヤの製造方法>
本実施形態のタイヤの製造方法は、上述の方法でマスターバッチを作製する工程と、マスターバッチを用いてゴム組成物を作製する工程と、ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程とを含む。
<2.タイヤの製造方法>
本実施形態のタイヤの製造方法は、上述の方法でマスターバッチを作製する工程と、マスターバッチを用いてゴム組成物を作製する工程と、ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程とを含む。
<2.1.マスターバッチを用いてゴム組成物を作製する工程>
この工程(具体的には、マスターバッチを用いてゴム組成物を作製する工程)は、少なくともマスターバッチおよび配合剤を混練りしてゴム混合物を作製することと、少なくともゴム混合物および加硫系配合剤を混練りしてゴム組成物を得ることとを含むことができる。
この工程(具体的には、マスターバッチを用いてゴム組成物を作製する工程)は、少なくともマスターバッチおよび配合剤を混練りしてゴム混合物を作製することと、少なくともゴム混合物および加硫系配合剤を混練りしてゴム組成物を得ることとを含むことができる。
この工程では、少なくともマスターバッチおよび配合剤を混練りしてゴム混合物を作製する。配合剤としては、充てん剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、ワックス、老化防止剤、シランカップリング剤、加硫系配合剤など挙げることができる。配合剤は、これらから、一つまたは任意の組み合わせを選択して、使用することができる。ただし、この段階では、加硫系配合剤を添加しないことが好ましい。充てん剤として、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどを挙げることができる。充てん剤は、これらから、一つまたは任意の組み合わせを選択して、使用することができる。この段階でカーボンブラックを添加する場合、そのカーボンブラックの特性は、カーボンブラックスラリーで使用されるカーボンブラックの特性と同じであってよく、異なっていてもよい。たとえば、この段階で添加するカーボンブラックのグレードが、ASTM(American Society for Testing and Materials)で、カーボンブラックスラリーで使用されるカーボンブラックのグレードと同じであってよく、異なっていてもよい。老化防止剤として、芳香族アミン系老化防止剤、アミン-ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などを挙げることができる。老化防止剤は、これらから、一つまたは任意の組み合わせを選択して、使用することができる。マスターバッチおよび配合剤とともに、ほかのゴムを混練りしてもよい。このようなゴムとして、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどを挙げることができる。これらから、一つまたは任意の組み合わせを選択して、使用することができる。混練りは、混練機でおこなうことができる。混練機として密閉式混練機、オープンロールなどを挙げることができる。密閉式混練機としてバンバリーミキサー、ニーダーなどを挙げることができる。
この工程では、少なくともゴム混合物および加硫系配合剤を混練りしてゴム組成物を得る。加硫系配合剤として硫黄、有機過酸化物などの加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤などを挙げることができる。加硫系配合剤は、これらから、一つまたは任意の組み合わせを選択して、使用することができる。硫黄として粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを挙げることができる。硫黄は、これらから、一つまたは任意の組み合わせを選択して、使用することができる。加硫促進剤としてスルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などを挙げることができる。加硫促進剤は、これらから、一つまたは任意の組み合わせを選択して、使用することができる。混練りは、混練機でおこなうことができる。混練機として密閉式混練機、オープンロールなどを挙げることができる。密閉式混練機としてバンバリーミキサー、ニーダーなどを挙げることができる。
ゴム組成物は、マスターバッチに由来するゴム成分を含む。マスターバッチに由来するゴム成分の量は、ゴム組成物中のゴム100質量%に対して、たとえば、20質量%以上であることができ、40質量%以上であることができ、60質量%以上であることができ、80質量%以上であることができ、100質量%であることもできる。
ゴム組成物はセルロースナノファイバーを含む。ゴム組成物がセルロースナノファイバーを含むため、加硫ゴムの剛性を向上することができる。セルロースナノファイバーの量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。セルロースナノファイバーの量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
ゴム組成物はカーボンブラックを含むことができる。カーボンブラックの量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。カーボンブラックの量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
ゴム組成物は、酸化亜鉛、ステアリン酸、ワックス、老化防止剤、シリカ、シランカップリング剤、硫黄、加硫促進剤などをさらに含むことができる。これらのうち、一つまたは任意の組み合わせをゴム組成物は含むことができる。硫黄の量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、硫黄分換算で好ましくは0.5質量部~5質量部である。加硫促進剤の量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~5質量部である。
ゴム組成物は、タイヤの作製に使用できる。具体的には、タイヤを構成するタイヤ部材の作製に使用可能である。たとえば、トレッドゴム、サイドウォールゴム、チェーハーゴム、ビードフィラーゴムなどの作製にゴム組成物を使用できる。これらのタイヤ部材のうち、一つまたは任意の組み合わせを作製するためにゴム組成物を使用できる。
<2.2.ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程>
本実施形態のタイヤの製造方法は、ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程を含む。この工程は、ゴム組成物を含むタイヤ部材を作製すること、およびタイヤ部材を備える未加硫タイヤを作製することを含むことができる。タイヤ部材として、たとえば、トレッドゴム、サイドウォールゴム、チェーハーゴム、ビードフィラーゴムを挙げることができる。なかでも、トレッドゴムが好ましい。
本実施形態のタイヤの製造方法は、ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程を含む。この工程は、ゴム組成物を含むタイヤ部材を作製すること、およびタイヤ部材を備える未加硫タイヤを作製することを含むことができる。タイヤ部材として、たとえば、トレッドゴム、サイドウォールゴム、チェーハーゴム、ビードフィラーゴムを挙げることができる。なかでも、トレッドゴムが好ましい。
<2.3.その他の工程>
本実施形態のタイヤの製造方法は、未加硫タイヤを加硫成型する工程をさらに含むことができる。本実施形態の方法で得られたタイヤは、空気入りタイヤであることができる。
本実施形態のタイヤの製造方法は、未加硫タイヤを加硫成型する工程をさらに含むことができる。本実施形態の方法で得られたタイヤは、空気入りタイヤであることができる。
<3.上述の実施形態には種々の変更を加えることができる>
上述の実施形態には、種々の変更を加えることができる。たとえば、以下の変形例から、一つまたは複数を選択して、上述の実施形態に変更を加えることができる。
上述の実施形態には、種々の変更を加えることができる。たとえば、以下の変形例から、一つまたは複数を選択して、上述の実施形態に変更を加えることができる。
上述の実施形態では、カーボンブラックスラリーを作製するために水を使用する、という構成を説明した。しかしながら、上述の実施形態は、この構成に限定されない。たとえば、水に代えて希薄ゴムラテックスを使用してもよい。具体的には、希薄ゴムラテックスにカーボンブラックを添加し、撹拌するという手順でカーボンブラックスラリーを作製してもよい。希薄ゴムラテックスでは、ゴム粒子が,コロイド状に水に分散していることができる。水は、たとえば有機溶媒を含有する水であってもよい。希薄ゴムラテックスの乾燥ゴム分は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。乾燥ゴム分の上限は、好ましくは5質量%、より好ましくは2質量%である。希薄ゴムラテックスは、たとえば天然ゴムラテックスを水で薄めるという手順で作製することができる。天然ゴムラテックスに代えて、合成ゴムラテックスを使用してもよい。
上述の実施形態では、マスターバッチが、工程Aおよび工程Bを含む方法によって作製される、という構成を説明した。しかしながら、上述の実施形態は、この構成に限定されない。たとえば、少なくともセルロースナノファイバーと天然ゴムとを混練りする、という方法によってマスターバッチが作製されてもよい。
上述の実施形態では、マスターバッチおよび配合剤を混練りしてゴム混合物を作製する、という構成を説明した。しかしながら、上述の実施形態は、この構成に限定されない。たとえば、ゴム混合物をマスターバッチとみなしてもよい。
上述の実施形態では、タイヤが空気入りタイヤである、という構成を説明した。しかしながら、上述の実施形態は、この構成に限定されない。
以下に、本発明の実施例を説明する。
実施例で使用した原料および薬品を次に示す。
濃縮天然ゴムラテックス(乾燥ゴム分60質量%)レヂテックス社製
天然ゴム RSS#3
カーボンブラック 「シースト3」(N330)東海カーボン社製
CNF1 「IMa-10002」スギノマシン社製
2wt%濃度、繊維径10~50nm、繊維長10~20μm、
粘度7,000mPa・s(条件:25℃、60rpm(B型粘度計))
CNF2 「WFo-10002」スギノマシン社製
2wt%濃度、繊維径10~50nm、繊維長1~9μm、
粘度6,000mPa・s(条件:25℃、60rpm(B型粘度計)
CNF3 「レオクリスタ」第一工業製薬社製
2wt%濃度、繊維径3nm、
粘度10,000mPa・s以上(1.0wt%濃度の結果、
測定条件:BM型粘度計、6rpm、3min、20℃)
酸化亜鉛 「酸化亜鉛2種」三井金属鉱業社製
ステアリン酸 「ルナックS-20」花王社製
ワックス 「OZOACE0355」日本精蝋社製
老化防止剤A 「ノクラック6C」(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)大内新興化学工業社製
老化防止剤B 「ノクラック224」(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体)大内新興化学工業社製
硫黄 「5%油入微粉末硫黄」鶴見化学工業社製
加硫促進剤 「サンセラーCM」(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)三新化学工業社製
濃縮天然ゴムラテックス(乾燥ゴム分60質量%)レヂテックス社製
天然ゴム RSS#3
カーボンブラック 「シースト3」(N330)東海カーボン社製
CNF1 「IMa-10002」スギノマシン社製
2wt%濃度、繊維径10~50nm、繊維長10~20μm、
粘度7,000mPa・s(条件:25℃、60rpm(B型粘度計))
CNF2 「WFo-10002」スギノマシン社製
2wt%濃度、繊維径10~50nm、繊維長1~9μm、
粘度6,000mPa・s(条件:25℃、60rpm(B型粘度計)
CNF3 「レオクリスタ」第一工業製薬社製
2wt%濃度、繊維径3nm、
粘度10,000mPa・s以上(1.0wt%濃度の結果、
測定条件:BM型粘度計、6rpm、3min、20℃)
酸化亜鉛 「酸化亜鉛2種」三井金属鉱業社製
ステアリン酸 「ルナックS-20」花王社製
ワックス 「OZOACE0355」日本精蝋社製
老化防止剤A 「ノクラック6C」(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)大内新興化学工業社製
老化防止剤B 「ノクラック224」(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体)大内新興化学工業社製
硫黄 「5%油入微粉末硫黄」鶴見化学工業社製
加硫促進剤 「サンセラーCM」(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)三新化学工業社製
セルロースナノファイバーの長さや直径の測定
セルロースナノファイバー、具体的には、CNF1、2および3は、スラリー状の製品である。この製品を蒸留水で希釈した。希釈液(すなわち、希釈されたCNF分散液)をグリッドに滴下し、乾燥させた上で、電界放出形走査電子顕微鏡、つまりFE-SEMでセルロースナノファイバーを観察した。観察条件は次の通りであった。
観察倍率 2000倍
作動距離 WD=2mm
検出器 InLens
電子ビームの加速電圧 1kV
FE-SEM画像に映ったセルロースナノファイバーの長さ、および直径を測定した。この測定値から、長さの直径に対する比、すなわちL/Dを算出した。
セルロースナノファイバーの長さやL/Dは、次の通りであった(代表値)。
CNF1 長さ19μm L/D 1727
CNF2 長さ8μm L/D 258
CNF3 長さ30μm L/D 2500
セルロースナノファイバー、具体的には、CNF1、2および3は、スラリー状の製品である。この製品を蒸留水で希釈した。希釈液(すなわち、希釈されたCNF分散液)をグリッドに滴下し、乾燥させた上で、電界放出形走査電子顕微鏡、つまりFE-SEMでセルロースナノファイバーを観察した。観察条件は次の通りであった。
観察倍率 2000倍
作動距離 WD=2mm
検出器 InLens
電子ビームの加速電圧 1kV
FE-SEM画像に映ったセルロースナノファイバーの長さ、および直径を測定した。この測定値から、長さの直径に対する比、すなわちL/Dを算出した。
セルロースナノファイバーの長さやL/Dは、次の通りであった(代表値)。
CNF1 長さ19μm L/D 1727
CNF2 長さ8μm L/D 258
CNF3 長さ30μm L/D 2500
比較例4~6および10~12と、実施例1~3とにおけるマスターバッチの作製
表1および2に示すセルロースナノファイバーを、ミキサー(「スーパーミキサーSM-20」カワタ社製)で、1000rpm、30分間攪拌し、セルロースナノファイバースラリーを得た。表1および2に示す配合にしたがって、セルロースナノファイバースラリーに濃縮天然ゴムラテックスを加え、これをミキサー(「スーパーミキサーSM-20」カワタ社製)で、1000rpm、30分間攪拌し、混合液を得た。混合液をオーブンに入れ、70℃で一晩乾燥させた。このような手順でマスターバッチを得た。
表1および2に示すセルロースナノファイバーを、ミキサー(「スーパーミキサーSM-20」カワタ社製)で、1000rpm、30分間攪拌し、セルロースナノファイバースラリーを得た。表1および2に示す配合にしたがって、セルロースナノファイバースラリーに濃縮天然ゴムラテックスを加え、これをミキサー(「スーパーミキサーSM-20」カワタ社製)で、1000rpm、30分間攪拌し、混合液を得た。混合液をオーブンに入れ、70℃で一晩乾燥させた。このような手順でマスターバッチを得た。
比較例7~9および13~15と、実施例4~12とにおけるマスターバッチの作製
カーボンブラックを水に添加し撹拌し、カーボンブラックスラリーを得た。表1および2に示すセルロースナノファイバーを、ミキサー(「スーパーミキサーSM-20」カワタ社製)で、1000rpm、30分間攪拌し、セルロースナノファイバースラリーを得た。表1および2に示す配合にしたがって、セルロースナノファイバースラリーに、濃縮天然ゴムラテックスとカーボンブラックスラリーとを加え、これをミキサー(「スーパーミキサーSM-20」カワタ社製)で、1000rpm、30分間攪拌し、混合液を得た。混合液をオーブンに入れ、70℃で一晩乾燥させた。このような手順でマスターバッチを得た。
カーボンブラックを水に添加し撹拌し、カーボンブラックスラリーを得た。表1および2に示すセルロースナノファイバーを、ミキサー(「スーパーミキサーSM-20」カワタ社製)で、1000rpm、30分間攪拌し、セルロースナノファイバースラリーを得た。表1および2に示す配合にしたがって、セルロースナノファイバースラリーに、濃縮天然ゴムラテックスとカーボンブラックスラリーとを加え、これをミキサー(「スーパーミキサーSM-20」カワタ社製)で、1000rpm、30分間攪拌し、混合液を得た。混合液をオーブンに入れ、70℃で一晩乾燥させた。このような手順でマスターバッチを得た。
比較例1~3以外の各例(すなわち、比較例4~15および実施例4~12)における未加硫ゴムの作製
硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を、表1および2にしたがってマスターバッチに添加し、バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を得た。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをバンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を、表1および2にしたがってマスターバッチに添加し、バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を得た。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをバンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
比較例1~3における未加硫ゴムの作製
硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を、表1および2にしたがって天然ゴムに添加し、バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を得た。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをバンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を、表1および2にしたがって天然ゴムに添加し、バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を得た。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをバンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
加硫ゴムの作製
未加硫ゴムを150℃、30分間で加硫し、加硫ゴムを得た。
未加硫ゴムを150℃、30分間で加硫し、加硫ゴムを得た。
E’(貯蔵弾性率)
加硫ゴムのE’、すなわち貯蔵弾性率を、JIS K-6394に準じて測定した。具体的には、粘弾性試験機を用いて、室温、周波数10Hz、静歪み5%、動歪み1%の条件で測定した。比較例6のE’を100とした指数で、各例のE’を表1および2に示す。指数が大きいほどE’が大きく、剛性に優れることを示す。
加硫ゴムのE’、すなわち貯蔵弾性率を、JIS K-6394に準じて測定した。具体的には、粘弾性試験機を用いて、室温、周波数10Hz、静歪み5%、動歪み1%の条件で測定した。比較例6のE’を100とした指数で、各例のE’を表1および2に示す。指数が大きいほどE’が大きく、剛性に優れることを示す。
tanδ
加硫ゴムのtanδを、JIS K-6394に準じて測定した。具体的には、粘弾性試験機を用いて、温度70℃、周波数10Hz、静歪み5%、動歪み1%の条件で測定した。比較例6のtanδを100とした指数で、各例のtanδを表1および2に示す。指数が小さいほど発熱性が低く、タイヤ低燃費性能に優れることを示す。
加硫ゴムのtanδを、JIS K-6394に準じて測定した。具体的には、粘弾性試験機を用いて、温度70℃、周波数10Hz、静歪み5%、動歪み1%の条件で測定した。比較例6のtanδを100とした指数で、各例のtanδを表1および2に示す。指数が小さいほど発熱性が低く、タイヤ低燃費性能に優れることを示す。
CNF1で作製した加硫ゴムは、CNF2で作製した加硫ゴムやCNF3で作製した加硫ゴムに比べて、E’すなわち貯蔵弾性率が優れていた(たとえば、実施例3、比較例6および比較例12参照)。
しかも、CNF1で作製した加硫ゴムは、CNF2で作製した加硫ゴム(CNF2で作製した加硫ゴムは、CNF3で作製した加硫ゴムよりも小さなtanδを示した。)と大差ないtanδを示した(たとえば、実施例3および比較例6参照)。
このような結果によれば、CNF1によって、低発熱性および剛性のバランスに優れた加硫ゴムの原料となるマスターバッチを製造することができたと言える。
ところで、CNF1によるE’の向上効果は、セルロースナノファイバースラリー、濃縮天然ゴムラテックス、およびカーボンブラックスラリーの三者を混合するという操作によって、いっそう引き出された。たとえば、セルロースナノファイバースラリー、および濃縮天然ゴムラテックスの二者を混合するという操作では、CNF1で作製した実施例3の加硫ゴムは、CNF2で作製した比較例6の加硫ゴムに比べて52ポイント優れ、CNF3で作製した比較例12の加硫ゴムに比べて33ポイント優れていた。いっぽう、セルロースナノファイバースラリー、濃縮天然ゴムラテックス、およびカーボンブラックスラリーの三者を混合するという操作では、CNF1で作製した実施例6の加硫ゴムは、CNF2で作製した比較例9の加硫ゴムに比べて55ポイント優れ、CNF3で作製した比較例15の加硫ゴムに比べて36ポイント優れていた。このように、三者を混合するという操作によって、CNF1で作製した加硫ゴムのE’と、CNF2で作製した加硫ゴムのE’との差が広がり、この操作によって、CNF1で作製した加硫ゴムのE’と、CNF3で作製した加硫ゴムのE’との差も広がった。
これに加えて、CNF1では、セルロースナノファイバースラリー、濃縮天然ゴムラテックス、およびカーボンブラックスラリーの三者を混合するという操作によって、セルロースナノファイバー添加による発熱性の悪化をいっそう抑えることもできた。たとえば、セルロースナノファイバースラリー、および濃縮天然ゴムラテックスの二者を混合するという操作では、CNF1で作製した実施例3の加硫ゴムは、CNF2で作製した比較例6の加硫ゴムに比べて3ポイント悪く(すなわち3ポイント差)、CNF3で作製した比較例12の加硫ゴムに比べて18ポイント優れていた。いっぽう、セルロースナノファイバースラリー、濃縮天然ゴムラテックス、およびカーボンブラックスラリーの三者を混合するという操作では、CNF1で作製した実施例6の加硫ゴムは、CNF2で作製した比較例9の加硫ゴムと同ポイントを示し、CNF3で作製した比較例15の加硫ゴムに比べて20ポイント優れていた。
Claims (6)
- 天然ゴムと、
セルロースナノファイバーとを含み、
前記セルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比が1000~2000である、
タイヤ用マスターバッチ。 - 少なくとも、セルロースナノファイバースラリー、および天然ゴムラテックスを混合し、混合液を作製する工程と、
前記混合液を凝固させる工程とを含み、
前記セルロースナノファイバースラリー中のセルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比が1000~2000である、
タイヤ用マスターバッチの製造方法。 - 前記混合液を作製する前記工程では、少なくとも、前記セルロースナノファイバースラリー、前記天然ゴムラテックス、およびカーボンブラックスラリーを混合する、請求項2に記載のタイヤ用マスターバッチの製造方法。
- 請求項2または3に記載のタイヤ用マスターバッチの製造方法でタイヤ用マスターバッチを作製する工程と、
前記タイヤ用マスターバッチを用いてゴム組成物を作製する工程と、
前記ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程とを含む、
タイヤの製造方法。 - 天然ゴムと、
セルロースナノファイバーとを含み、
前記セルロースナノファイバーの少なくとも一部は、長さが10μm~20μmであり、前記長さの直径に対する比が1000~2000である、
タイヤ用ゴム組成物。 - 請求項5に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021114398A JP2023010333A (ja) | 2021-07-09 | 2021-07-09 | タイヤ用マスターバッチ、タイヤ用ゴム組成物、タイヤ、およびそれらの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7346692B1 (ja) | 2022-10-21 | 2023-09-19 | 株式会社スギノマシン | ゴム複合物 |
WO2024009850A1 (ja) * | 2022-07-07 | 2024-01-11 | 日本製紙株式会社 | ゴム組成物の製造方法 |
-
2021
- 2021-07-09 JP JP2021114398A patent/JP2023010333A/ja active Pending
-
2022
- 2022-06-22 US US17/846,463 patent/US20230018935A1/en active Pending
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