JP2013022812A - 補強性充填剤及びゴム組成物の製造方法 - Google Patents

補強性充填剤及びゴム組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィブリル化されたセルロース繊維の乾燥時における凝集を防止して、優れた補強効果を発揮することができる補強性充填剤を提供する。
【解決手段】フィブリル化されたセルロース繊維と、10℃以上80℃以下に下限臨界共溶温度(LCST)を有する高分子物質と、を含み、前記高分子物質が水中に溶解している水懸濁液を用いて、該水懸濁液をLCST以上の温度で乾燥(好ましくは噴霧乾燥)することにより、補強性充填剤を製造する。該高分子物質としては、ポリビニルアルキルエーテル類、ポリ−N−アルキル(メタ)アクリルアミド類、ポリアルキレングリコール類などが好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィブリル化された繊維を含む補強性充填剤、及び該補強性充填剤を用いたゴム組成物に関するものである。
セルロースは樹脂やゴムに対する補強効果が知られており、例えば、下記特許文献1には、タイヤ用ゴム組成物の高剛性化を目的として、微粉末セルロース繊維を補強剤として用いることが提案されている。しかしながら、このようなセルロース粉末は繊維が絡み合った粒子状であり、セルロースの微細繊維形状を活かした高い補強効果を得るには改善の余地がある。
一方、下記特許文献2に開示されているように、繊維を微細化したフィブリル化セルロースを得る方法として、セルロース懸濁液に機械的剪断力を加えて磨砕処理することにより繊維を解繊する手法が提案されている。しかしながら、得られた懸濁液を乾燥させるとセルロース繊維が凝集するという問題があり、そのため、フィブリル化セルロースは、ゴム成分とのドライ混合への展開が困難である。すなわち、フィブリル化したセルロース繊維は、表面にヒドロキシル基を有するだけでなく、そのささくれ立った形態により絡まり合って凝集しやすい。そのため、取り扱い性のために水分散体として市販されている。従って、ゴム組成物の製造時には、乾燥して水を除去した上でゴム組成物中に分散させる必要があり、均一に分散させることは容易ではない。よって、フィブリル化繊維による補強性を十分に発揮できていないのが実情である。
下記特許文献3には、フィブリル化された繊維と、カーボンブラックやシリカなどのミネラル粒子(粒子状フィラー)とを組み合わせた乾燥物を、ゴム組成物に配合することが開示されており、また、該乾燥物を得るためにフィブリル化繊維と粒子状フィラーを含む水懸濁液を調製してこれを乾燥させることが開示されている。また、下記特許文献4には、フィブリル化された繊維の水分散液に、平均粒径2〜200nmの無機充填剤であるナノフィラーを、比較的少量、即ち繊維質量の0.1〜0.5倍の量にて混合し、乾燥させて、フィブリル化繊維とナノフィラーとの複合体を得ることが開示されている。
特開2005−75856号公報 特開平8−284090号公報 特表2002−503621号公報 特開2011−102451号公報
上記のように従来、フィブリル化繊維の乾燥時における凝集を防止するために無機充填剤を添加することは知られていたが、特定の高分子物質を用いてフィブリル化繊維の乾燥時における凝集を防止し、それにより優れた補強効果を得られることは知られていなかった。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、フィブリル化されたセルロース繊維の乾燥時における凝集を防止して、優れた補強効果を発揮することができる補強性充填剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討していく中で、下限臨界共溶温度を有する高分子物質に着目し、該高分子物質とフィブリル化されたセルロース繊維とを含む水懸濁液を用い、該水懸濁液を下限臨界共溶温度以上の温度で乾燥することにより、乾燥過程でのセルロース繊維の凝集を抑えることができ、フィブリル化されたセルロース繊維による優れた補強性を発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る補強性充填剤の製造方法は、フィブリル化されたセルロース繊維と10℃以上80℃以下に下限臨界共溶温度を有する高分子物質とを含み、前記高分子物質が水中に溶解している水懸濁液を、前記高分子物質の下限臨界共溶温度以上の温度で乾燥するものである。また、本発明に係るゴム組成物の製造方法は、上記方法により得られた補強性充填剤を、ゴム成分に添加し混合することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記水懸濁液中において溶解していた高分子物質が、乾燥時に、下限臨界共溶温度以上の温度での相転移により、セルロース繊維表面に会合する。これにより、乾燥過程におけるセルロース繊維同士の凝集を防ぐことができるので、ゴム組成物の補強に好適な充填剤を得ることができる。また、上記高分子物質の存在によってセルロース繊維のゴム成分への分散性が向上するため、ゴム組成物の機械的強度を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る補強性充填剤を製造するに際しては、フィブリル化されたセルロース繊維と、下限臨界共溶温度を有する高分子物質と、を含む水懸濁液を用いる。
フィブリル化されたセルロース繊維としては、機械的剪断処理によりフィブリル化したセルロース繊維の水分散体を用いることができる。かかるフィブリル化セルロース繊維の水分散体は、微粉末状のセルロースの水分散体に機械的剪断力を加えて解繊処理することによりスラリー化して得られる。機械的剪断処理としては、特に限定されないが、高圧ホモジナイザーや石臼式磨砕装置(ディスクミル、グラインダー)などが用いられる。
フィブリル化された繊維の直径(即ち、繊維径)は、特に限定されないが、平均繊維径が0.003〜10μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1μmである。また、フィブリル化された繊維の長さ(即ち、繊維長)も、特に限定されないが、平均繊維長が1〜1000μmの範囲内であることが好ましい。ここで、平均繊維径は、走査型電子顕微鏡観察(SEM)像より、フィブリル化繊維を10個無作為に抽出し、短径を測定してその相加平均を平均繊維径とする。平均繊維長は、カジャーニ(KAJAANI)社の繊維長測定機(FS−200)を用い、JIS P8121により測定される。
フィブリル化されたセルロース繊維の水分散体として、特に限定するものではないが、例えば、セリッシュPC−110A,PC−110B,PC−110S,PC−110T,FD−100F,FD−100G,KY−100G,KY−100S(いずれもダイセル化学工業(株)製)などが市販されており、これらを用いることができる。
上記高分子物質としては、下限臨界共溶温度を有するものが用いられる。下限臨界共溶温度(LCST:Lower Critical Solution Temperature、以下「LCST」と称する。)は、下限臨界溶液温度や曇点とも称されるものであり、水和している水溶性高分子物質や非イオン性界面活性剤が高温で脱水和して水と相分離を生じる温度である。そのため、LCSTよりも低い温度では、該高分子物質が水に溶解して透明な液体であるが、この温度以上になると、不溶化して白濁し相分離する。
LCSTの測定方法は、一般的に用いられている測定方法を適用することができる。ここでは、高分子物質を1質量%の濃度に溶解させた水溶液を、3±2℃/分の昇温速度で昇温したとき、水溶液が白濁して不均一となる温度をLCSTとする。
本実施形態では、LCSTを有する高分子物質の中でも、10〜80℃の範囲内にLCSTを有するものが用いられる。LCSTが10℃未満の高分子物質では、水に溶解させるために水懸濁液を冷却する必要が生じる。一方、LCSTが80℃を超える高分子物質では、LCSTと水の沸点が近くなるため、乾燥過程における凝集防止効果を得にくくなる。好ましくは25℃以上にLCSTを有する高分子物質を用いることであり、より好ましくは30〜70℃にLCSTを有する高分子物質を用いることである。
このようなLCSTを有する高分子物質としては、例えば、
ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエチルエーテル)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)等のポリビニルアルキルエーテル類;
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−エチルメチルアクリルアミド)等のポリ−N−アルキル(メタ)アクリルアミド類(ここで、「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミドとメタクリルアミドの両者を包含する趣旨で用いている。);及び、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類等が挙げられる。これらは、いずれか1種を用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記水懸濁液は、フィブリル化セルロース繊維と、LCSTを有する高分子物質と、を含むものであり、フィブリル化セルロース繊維が水中に分散し、LCSTを有する高分子物質が水中に溶解した状態のものを用いる。このような水分散液は、フィブリル化されたセルロース繊維の水分散体に、LCSTを有する高分子物質(より詳細には、該高分子物質の水溶液)を、LCST未満の温度で混合攪拌することにより得られる。混合攪拌の方法は、特に限定されず、ホモジナイザーなどの公知の攪拌機を用いて行うことができる。
該水懸濁液中におけるフィブリル化セルロース繊維の濃度は、特に限定されないが、0.1〜10質量%であることが好ましい。また、LCSTを有する高分子物質の使用量としては、特に限定されないが、フィブリル化セルロース繊維100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜30質量部である。該高分子物質の使用量をこのような範囲内に設定することにより、乾燥過程におけるフィブリル化セルロース繊維の凝集防止効果を一層高めながら、フィブリル化セルロース繊維本来の補強効果をより有効に発揮することができる。
本実施形態では、該水懸濁液を、上記高分子物質のLCST以上の温度で乾燥することにより、フィブリル化セルロース繊維と上記高分子物質を含む補強性充填剤が得られる。これにより、フィブリル化セルロース繊維の水分散体中において溶解していた高分子物質が、LCST以上の温度での相転移によりセルロース表面に会合することにより、乾燥過程におけるセルロース繊維同士の凝集を防ぐことができる。そのため、乾燥しても凝集しないフィブリル化セルロース繊維が得られる。
乾燥方法としては、スプレードライ装置による噴霧乾燥が好ましい。噴霧乾燥であると、水懸濁液の微細な液滴を熱風中で瞬間的に乾燥させることができるので、更なるセルロース繊維の凝集防止効果が得られる。乾燥温度としては、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。乾燥温度の上限は、特に限定されないが、通常は200℃以下である。
このようにして得られる補強性充填剤において、フィブリル化セルロース繊維とLCSTを有する高分子物質との比率は、特に限定されないが、フィブリル化セルロース繊維100質量部に対して、高分子物質の含有量が1〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜30質量部である。
上記で得られた補強性充填剤は、樹脂やゴムに対する補強剤として用いることができ、特には、ゴム組成物に配合するゴム用補強剤として好適に用いられる。すなわち、得られた補強性充填剤をゴム成分に添加し混合(混練)することにより、ゴム組成物が得られる。その際の混合には、ゴム組成物の調製において一般に用いられるバンバリーミキサーやオープンロール、ニーダー等の混合機を用いることができる。
上記ゴム成分としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴムなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても2種以上併用してもよい。好ましくは、ジエン系ゴム、特に好ましくは、NR、IR、SBR、BR又はこれらの2種以上のブレンドゴムを用いることである。
ゴム組成物中における上記補強性充填剤の配合量は、特に限定されるものではなく、ゴム組成物の用途に応じて要求される補強性を発揮するように適宜設定すればよい。好ましくは、ゴム成分100質量部に対して、上記フィブリル化セルロース繊維の含有量が1〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部となるように、補強性充填剤を配合することである。
上記ゴム組成物には、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、樹脂、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム工業において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、上記補強性充填剤とともにゴム成分に添加してもよく、また上記補強性充填剤とは異なるステップで添加してもよく、添加順序は特に限定されない。通常は、第1混合段階で、加硫剤や加硫促進剤などの加硫系添加剤を除く薬品を上記補強性充填剤とともにゴム成分に添加し混練しておいて、その後の第2混合段階で、第1混合段階で得られた混練物に加硫系添加剤を添加し混合することによりゴム組成物を製造することができる。なお、一般に充填剤としてゴム組成物に配合されているカーボンブラックやシリカを、上記フィブリル化セルロース繊維からなる補強性充填剤とともに併用して配合することもできる。
上記加硫剤としては、硫黄、硫黄含有化合物等が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量はゴム組成物中の全ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、ゴム組成物中の全ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
このようにして得られるゴム組成物は、常法に従い加硫成形することにより、例えば、トレッドやサイドウォール、ベルトやプライのトッピングゴム、ビードフィラー、リムストリップ等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種用途に用いることができる。好ましくは、該ゴム組成物は、低発熱性の悪化を抑えながら、補強性を高めることができるので、空気入りタイヤのゴム部材として用いることであり、タイヤに要求される補強性と低燃費性のバランスを向上することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
フィブリル化セルロース繊維として、ダイセル化学工業(株)製「セリッシュKY−100G」(平均繊維径=0.1μm、平均繊維長=500μm、セルロース繊維濃度=10質量%)を用い、LCSTを有する高分子物質として、LCSTが34℃であるポリビニルメチルエーテル(PVME)、東京化成工業(株)製「ポリビニルメチルエーテル」を用いた。
上記フィブリル化セルロース繊維の水分散体中に、上記高分子物質を常温(25℃)にて混合し、ホモジナイザーで3000rpm、5分間撹拌することにより水懸濁液を得た。該水懸濁液では、フィブリル化セルロース繊維の濃度が1質量%、高分子物質の濃度が0.05質量%となるように調整した。得られた水懸濁液を、スプレードライ装置(ヤマト科学(株)製「スプレードライヤーADL311S−A」)にて、乾燥温度(ノズル温度)=160℃で噴霧乾燥することにより、フィブリル化セルロース繊維100質量部に対してPVMEを5質量部含有する補強性充填剤Aを得た。得られた補強性充填剤Aは、フィブリル化セルロース繊維が凝集固化することなく、柔らかい綿状の形態であった。
[実施例2]
水懸濁液を調製する際の高分子物質の濃度を0.1質量%とし、その他は実施例1と同様にして、補強性充填剤Bを得た。得られた補強性充填剤Bは、フィブリル化セルロース繊維100質量部に対してPVMEを10質量部含有するものであり、また、フィブリル化セルロース繊維が凝集固化することなく、柔らかい綿状の形態であった。
[実施例3]
水懸濁液を調製する際の高分子物質の濃度を0.2質量%とし、その他は実施例1と同様にして、補強性充填剤Cを得た。得られた補強性充填剤Cは、フィブリル化セルロース繊維100質量部に対してPVMEを20質量部含有するものであり、また、フィブリル化セルロース繊維が凝集固化することなく、柔らかい綿状の形態であった。
[実施例4]
LCSTを有する高分子物質として、LCSTが32℃であるポリーN−イソプロピルアクリルアミド(シグマアルドリッチ社製)を用いた以外は実施例2と同様にして補強性充填剤Dを得た。得られた補強性充填剤Dは、フィブリル化セルロース繊維が凝集固化することなく、柔らかい綿状の形態であった。
[比較例1]
水懸濁液を調製する際に高分子物質を混合せず、従って、フィブリル化セルロース繊維単独の水懸濁液を用い、その他は実施例1と同様にして、補強性充填剤Eを得た。得られた補強性充填剤Eは、フィブリル化セルロース繊維が凝集固化し、ダマ状の固体となった。
[比較例2]
LCSTを有する高分子物質として、LCSTが95℃であるポリエチレングリコール(PEG1000)、ナカライテスク(株)製「ポリエチレングリコール1000」を用い、その他は実施例2と同様にして、補強性充填剤Fを得た。得られた補強性充填剤Fは、フィブリル化セルロース繊維100質量部に対してPEG1000を10質量部含有するものであり、フィブリル化セルロース繊維が凝集固化したものであった。
[ゴム組成物の調製]
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、ゴム組成物を調製した。詳細には、ゴム成分である天然ゴムに対し、硫黄と加硫促進剤を除く配合成分を添加して3分間混練りした後、加硫剤である硫黄及び加硫促進剤を添加して1分間混合することによりゴム組成物を得た。表1中における補強性充填剤A〜Fの配合量について、括弧内の数値はフィブリル化セルロース繊維の量である。表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華3種」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
得られた各ゴム組成物を所定形状に成型後、モールド中において160℃×20分間で加硫して試験片を作製した。得られた試験片を用いて、補強性の指標としての複素弾性率Eと、低発熱性の指標としての損失係数tanδを測定した。測定方法は、以下の通りである。
・E、tanδ:JIS K6394に準じて、温度23℃、周波数10Hz、動歪み2%、静歪み5%の条件で、複素弾性率Eおよび損失係数tanδを測定し、下記式に基づいて、それぞれの指数を算出した。E指数が大きいほど、補強性が高いことを示し、tanδ指数が低いほど、エネルギー損失が小さく、従って低発熱性(低燃費性)に優れることを示す。
指数=100×[(各配合のE)/(比較例4のE)]
tanδ指数=100×[(各配合のtanδ)/(比較例4のtanδ)]
Figure 2013022812
結果は、表1に示す通りであり、LCSTを有する高分子物質を添加せずに噴霧乾燥したフィブリル化セルロース繊維を補強性充填剤として用いた比較例4では、比較例3に対して高剛性化の効果は不十分であった。これに対し、所定のLCSTを有する高分子物質を添加して噴霧乾燥した補強性充填剤A〜Dを用いた実施例5〜8では、フィブリル化セルロース繊維の凝集を防止してゴムへの分散性が向上することにより、低発熱性の大幅な悪化を伴うことなく、ゴム組成物の剛性が大幅に向上した。一方、LCSTが水の沸点付近にあるPEG1000を添加した噴霧乾燥した補強性充填剤Fを用いた比較例5では、乾燥過程におけるセルロース繊維の凝集防止効果が得にくいため、高剛性化の効果が低いものであった。

Claims (8)

  1. フィブリル化されたセルロース繊維と10℃以上80℃以下に下限臨界共溶温度を有する高分子物質とを含み、前記高分子物質が水中に溶解している水懸濁液を、前記高分子物質の下限臨界共溶温度以上の温度で乾燥することを特徴とする補強性充填剤の製造方法。
  2. 前記高分子物質が、ポリビニルアルキルエーテル類、ポリ−N−アルキル(メタ)アクリルアミド類、及び、ポリアルキレングリコール類からなる群より選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の補強性充填剤の製造方法。
  3. フィブリル化されたセルロース繊維の水分散体に、前記高分子物質を、前記下限臨界共溶温度未満の温度で混合攪拌することにより前記水懸濁液を得ることを特徴とする請求項1又は2記載の補強性充填剤の製造方法。
  4. 前記水懸濁液を噴霧乾燥することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の補強性充填剤の製造方法。
  5. 前記セルロース繊維は機械的剪断処理によりフィブリル化されたセルロース繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の補強性充填剤の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により得られた補強性充填剤。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により得られた補強性充填剤を、ゴム成分に添加し混合することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  8. 請求項6記載の補強性充填剤をゴム成分に配合してなり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記セルロース繊維を1〜50質量部含有することを特徴とするゴム組成物。
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