JP2013035903A - 補強性充填剤及びゴム組成物の製造方法 - Google Patents

補強性充填剤及びゴム組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィブリル化されたセルロース繊維を含む補強性充填剤を、セルロース繊維を凝集させることなく、効率よく製造することができ、ゴム組成物に対する補強効果を向上する。
【解決手段】セルロース繊維と無機充填剤(シリカなど)を含む水懸濁液に機械的剪断力を与える磨砕処理により前記セルロース繊維をフィブリル化し、得られた水懸濁液を噴霧乾燥することにより、フィブリル化セルロース繊維と無機充填剤からなる複合フィラーとしての補強性充填剤を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィブリル化された繊維を含む補強性充填剤、及び該補強性充填剤を用いたゴム組成物に関するものである。
セルロースは樹脂やゴムに対する補強効果が知られており、例えば、下記特許文献1には、タイヤ用ゴム組成物の高剛性化を目的として、微粉末セルロース繊維を補強剤として用いることが提案されている。しかしながら、このようなセルロース粉末は繊維が絡み合った粒子状であり、セルロースの微細繊維形状を活かした高い補強効果を得るには改善の余地がある。
一方、下記特許文献2に開示されているように、繊維を微細化したフィブリル化セルロースを得る方法として、セルロース懸濁液に機械的剪断力を加えて磨砕処理することにより繊維を解繊する手法が提案されている。しかしながら、同文献の手法では、十分にフィブリル化するために非常に多くの磨砕処理回数を要し、処理効率が低いという問題がある。また、得られた懸濁液を乾燥させるとセルロース繊維が凝集するという問題があり、そのため、フィブリル化セルロースは、ゴム成分とのドライ混合への展開が困難である。すなわち、フィブリル化したセルロース繊維は、表面にヒドロキシル基を有するだけでなく、そのささくれ立った形態により絡まり合って凝集しやすい。そのため、取り扱い性のために水分散体として市販されている。従って、ゴム組成物の製造時には、乾燥して水を除去した上でゴム組成物中に分散させる必要があり、均一に分散させることは容易ではない。よって、フィブリル化繊維による補強性を十分に発揮できていないのが実情である。
下記特許文献3には、フィブリル化された繊維と、カーボンブラックやシリカなどのミネラル粒子(粒子状フィラー)とを組み合わせた乾燥物を、ゴム組成物に配合することが開示されており、また、該乾燥物を得るためにフィブリル化繊維と粒子状フィラーを含む水懸濁液を調製してこれを乾燥させることが開示されている。また、下記特許文献4には、フィブリル化された繊維の水分散液に、平均粒径2〜200nmの無機充填剤であるナノフィラーを、比較的少量、即ち繊維質量の0.1〜0.5倍の量にて混合し、乾燥させて、フィブリル化繊維とナノフィラーとの複合体を得ることが開示されている。
特開2005−75856号公報 特開平8−284090号公報 特表2002−503621号公報 特開2011−102451号公報
上記のように従来、フィブリル化繊維の乾燥時における凝集を防止するために無機充填剤を添加することは知られていたが、上記従来技術では、予めフィブリル化されたセルロース繊維に無機充填剤を加えて乾燥するものであり、無機充填剤の存在下でセルロース繊維をフィブリル化することは知られていなかった。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、フィブリル化されたセルロース繊維を含む補強性充填剤を、セルロース繊維を凝集させることなく、効率よく製造することができ、これにより、優れた補強効果を発揮することができる補強性充填剤を提供することを目的とする。
本発明に係る補強性充填剤の製造方法は、セルロース繊維と無機充填剤を含む水懸濁液に機械的剪断力を与えて前記セルロース繊維をフィブリル化し、得られた水懸濁液を噴霧乾燥することを特徴とするものである。また、本発明に係るゴム組成物の製造方法は、上記方法により得られた補強性充填剤を、ゴム成分に添加し混合することを特徴とするものである。
本発明によれば、無機充填剤の存在下でセルロース繊維をフィブリル化することにより、セルロース繊維の解繊が促進され、処理効率を上げることができる。そして、このようにしてフィブリル化したセルロース繊維を含む水懸濁液を噴霧乾燥することにより、セルロース繊維の凝集を抑えることができる。そのため、フィブリル化されたセルロース繊維を含む補強性充填剤を、セルロース繊維を凝集させることなく、効率よく製造することができ、ゴム組成物に配合した場合に優れた補強効果を発揮することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る補強性充填剤の製造方法においては、セルロース繊維と無機充填剤を含む水懸濁液に機械的剪断力を与える解繊処理により該セルロース繊維を微細化、即ちフィブリル化する。
解繊処理対象となる上記セルロース繊維としては、木材やもみ殻、藁、竹などの各種天然植物繊維から調製されるセルロース繊維(パルプ)を用いることができる。好ましくは、天然植物繊維を水酸化ナトリウム等の薬品やオゾン等により化学的に処理することで得られた粉末状セルロース繊維を用いることである。かかる粉末状セルロース繊維の平均粒子径は特に限定されないが、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。本明細書において、平均粒子径は、レーザ回折・散乱法により求められる値であり、後述する実施例では、株式会社島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD−2100」により測定される粒度分布の平均値を平均粒子径としている。
上記無機充填剤としては、例えば、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩などの金属化合物からなる各種の無機粒子を用いることができる。具体的には、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムカルシウム、クレー(カオリナイト、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイトなど)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、酸化アルミニウムマグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、タルク、アタパルジャイト等が挙げられる。これらはいずれか1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、セルロース繊維の水素結合を阻害することができる水酸基等の表面官能基を有する無機充填剤であり、解繊処理工程や乾燥工程におけるセルロース繊維の再凝集を防止することができる。そのような無機充填剤としては、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、酸化チタン等が好ましいものとして挙げられる。
無機充填剤としては、BET比表面積が50〜250m/gであるものが好ましく用いられる。このような微粒子状の無機充填剤を用いることにより、セルロース繊維の解繊を促進することができる。また、無機充填剤はフィブリル化されたセルロース繊維とともに補強性充填剤を構成するものであるため、上記範囲内のBET比表面積を持つものを用いることにより、ゴム組成物中での補強性と分散性を両立することもできる。BET比表面積は、より好ましくは130〜220m/gである。BET比表面積は、BET法による窒素吸着比表面積であり、ISO 5794に記載のBET法に準拠し測定される。
無機充填剤は、セルロース繊維の質量に対し、0.5〜25倍の範囲内の質量にて使用されることが好ましい。すなわち、水懸濁液は、無機充填剤をセルロース繊維の0.5〜25倍の質量にて含有するように調製されることが好ましい。無機充填剤の使用量をセルロース繊維の0.5倍以上とすることにより、解繊処理でのセルロース繊維の微細化効率をより一層高めることができ、ゴム組成物に配合したときの補強効果にも優れる。セルロース繊維の微細化効率は、無機充填剤の使用量が多いほど向上する傾向にあるが、セルロース繊維の25倍を超えるような量では微細化効果は頭打ちとなる。また、そのような使用量では、得られた補強性充填剤中に占めるセルロース繊維の比率が低くなることから、フィブリル化セルロースによる優れた補強効果を得にくくなり、また多量に含まれる無機充填剤によりエネルギー損失(ヒステリシスロス)も大きくなる。そのため、無機充填剤の使用量はセルロース繊維の量の25倍以下であることが好ましい。より好ましくは、無機充填剤の使用量は、セルロース繊維の量に対して0.5〜18倍であり、更に好ましくは1〜15倍であり、特に好ましくは1〜10倍である。
解繊処理に用いる水懸濁液は、セルロース繊維と無機充填剤を含有するものであり、即ち、セルロース繊維と無機充填剤が水中に分散してなるスラリーである。該水懸濁液中におけるセルロース繊維の濃度は特に限定されないが、0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。
該水懸濁液に機械的剪断力を与える解繊処理としては、無機充填剤によるセルロース繊維の解繊効果を高めることができることから、磨砕処理が好ましい。磨砕処理としては、石臼法(別称:ディスクミル、グラインダー)が好適に利用できる。石臼法では、複数枚の砥粒板を対向させて配置した擦り合せ部に、上記水懸濁液を通過させることにより、セルロース繊維が微細化(即ち、フィブリル化)される。その際、水懸濁液に無機充填剤が含まれることにより、セルロース繊維に対してより効果的に剪断力を付与することができ、解繊効率を高めることができる。なお、解繊処理としては、このような磨砕処理に限定されるものではなく、例えば、高圧ホモジナイザー、ジェットミル、ボールミル等を利用してもよい。
このようにして解繊処理した水懸濁液においては、セルロース繊維がフィブリル化(ミクロフィブリル化)された状態で水中に分散するとともに、無機充填剤が上記機械的剪断力の作用でフィブリル化された繊維間に入り込む等して、両者が複合一体化して分散した状態にあると考えられる。
本実施形態に係る補強性充填剤の製造方法においては、上記のようにしてフィブリル化したセルロース繊維を含む水懸濁液を、スプレードライ装置により噴霧乾燥する。これにより、フィブリル化セルロース繊維と無機充填剤とからなる複合フィラーとしての補強性充填剤が得られる。フィブリル化セルロース繊維と無機充填剤とは上記のように複合一体化しているものと考えられ、セルロース繊維を凝集させることなく補強性充填剤を製造することができる。また、噴霧乾燥することにより、得られた補強性充填剤のゴム成分への分散性を向上することができる。なお、該水懸濁液の乾燥方法としては、例えばオーブン中で乾燥することも可能であるが、オーブン中の乾燥で得られたものでは、ゴム成分に対する混合不良が生じるおそれがある。ここで、噴霧乾燥する場合の乾燥温度としては、特に限定されないが、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。乾燥温度の上限は、特に限定されないが、通常は200℃以下である。
得られた補強性充填剤において、フィブリル化セルロース繊維と無機充填剤の含有比率は特に限定されないが、フィブリル化セルロース繊維の質量に対し、無機充填剤の質量が0.5〜25倍の範囲内にあることが好ましい。また、該補強性充填剤の平均粒子径については、特に限定されないが、0.1〜100μmであることが好ましくは、より好ましくは0.5〜20μmである。
また、フィブリル化されたセルロース繊維について、その直径(即ち、繊維径)は、特に限定されないが、平均繊維径が0.003〜10μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜50nmである。また、フィブリル化された繊維の長さ(即ち、繊維長)も、特に限定されないが、平均繊維長が1〜1000μmの範囲内であることが好ましい。ここで、平均繊維径は、走査型電子顕微鏡観察(SEM)像より、フィブリル化繊維を10個無作為に抽出し、短径を測定してその相加平均を平均繊維径とする。平均繊維長は、カジャーニ(KAJAANI)社の繊維長測定機(FS−200)を用い、JIS P8121により測定される。
該複合フィラーとしての補強性充填剤は、樹脂やゴムに対する補強剤として用いることができ、特には、ゴム組成物に配合するゴム用補強剤として好適に用いられる。すなわち、得られた補強性充填剤をゴム成分に添加し混合(混練)することにより、ゴム組成物が得られる。該補強性充填剤をゴム組成物に配合することにより、セルロース繊維の微細繊維形状を活かした補強効果が顕著に現れ、剛性ないし機械的強度に優れるゴム組成物を得ることができる。なお、ゴム成分への混合には、ゴム組成物の調製において一般に用いられるバンバリーミキサーやオープンロール、ニーダー等の混合機を用いることができる。
上記ゴム成分としては、特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴムなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても2種以上併用してもよい。好ましくは、ジエン系ゴム、特に好ましくは、NR、IR、SBR、BR又はこれらの2種以上のブレンドゴムを用いることである。
ゴム組成物中における上記補強性充填剤の配合量は、特に限定されるものではなく、ゴム組成物の用途に応じて要求される補強性を発揮するように適宜設定すればよい。好ましくは、ゴム成分100質量部に対して、上記フィブリル化セルロース繊維の含有量が0.5〜50質量部、より好ましくは1〜50質量部、更に好ましくは5〜30質量部となるように、補強性充填剤を配合することである。
上記ゴム組成物には、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、公知の種々の硫黄含有シランカップリング剤を用いることができ、特に限定されないが、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン; 3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン; 3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシラン(即ち、メルカプト基がアシル基で保護されたチオールエステル構造を持つシラン化合物)などが挙げられる。これらはいずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、特に限定されないが、上記補強性充填剤100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。
上記ゴム組成物には、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、樹脂、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム工業において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、上記補強性充填剤とともにゴム成分に添加してもよく、また上記補強性充填剤とは異なるステップで添加してもよく、添加順序は特に限定されない。通常は、第1混合段階で、加硫剤や加硫促進剤などの加硫系添加剤を除く薬品を上記補強性充填剤とともにゴム成分に添加し混練しておいて、その後の第2混合段階で、第1混合段階で得られた混練物に加硫系添加剤を添加し混合することによりゴム組成物を製造することができる。なお、一般に充填剤としてゴム組成物に配合されているカーボンブラックやシリカを、上記フィブリル化セルロース繊維からなる補強性充填剤とともに併用して配合することもできる。
上記加硫剤としては、硫黄、硫黄含有化合物等が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量はゴム組成物中の全ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、ゴム組成物中の全ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
このようにして得られるゴム組成物は、常法に従い加硫成形することにより、例えば、トレッドやサイドウォール、ベルトやプライのトッピングゴム、ビードフィラー、リムストリップ等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種用途に用いることができる。好ましくは、該ゴム組成物は、低発熱性の悪化を抑えながら、補強性を高めることができるので、空気入りタイヤのゴム部材として用いることであり、タイヤに要求される補強性と低燃費性のバランスを向上することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜7]
セルロース繊維として粉末セルロース(日本製紙ケミカル株式会社製「KCフロックW−400G」)と、無機充填剤としてシリカ(デグサ社製「Ultrasil VN3」、BET比表面積=175m/g)を、下記表1に示す配合(質量部)にて水と混合攪拌して水懸濁液(スラリー)を調製した。得られた水懸濁液に対して表1に示す条件で磨砕処理を行った。磨砕処理において石臼法は、増幸産業株式会社製「スーパーマスコロイダーMKCA6−2」(砥粒板:MKG、砥粒の粒度:120番)を用いて、砥粒板のクリアランス:0μm(接触運転)、砥粒板の回転数:1500rpmに設定し、表1に記載のパス回数にて、水懸濁液を装置の摺り合わせ部に複数回通過させることにより行った。
そして、磨砕処理後に、上記水懸濁液を、スプレードライ装置(ヤマト科学株式会社製「スプレードライヤーADL311S−A」)にて、乾燥温度(ノズル温度)=160℃で噴霧乾燥することにより、複合フィラーとしての補強性充填剤を得た。得られた補強性充填剤の平均粒子径と平均繊維径は表1に示す通りである(なお、平均粒子径は噴霧乾燥前に測定)。
[比較例1〜3]
無機充填剤としてのシリカを配合せずに、表1に示す配合に従い水懸濁液を調製し、得られた水懸濁液を用いて、表1に従い、磨砕処理をした後、噴霧乾燥して補強性充填剤を得た(表1に示す条件以外は上記実施例1と同様とした)。
[比較例4〜6]
表1に示す配合に従い水懸濁液を調製し、得られた水懸濁液を磨砕処理することなく、噴霧乾燥して補強性充填剤を得た(表1に示す条件以外は上記実施例1と同様とした)。
[比較例7]
無機充填剤としてのシリカを配合せずに粉末セルロースの水懸濁液を調製し、得られた水懸濁液を用いて、表1に従い磨砕処理をした。その後、シリカを混合攪拌してフィブリル化されたセルロース繊維とシリカを含む水懸濁液を調製した後、該水懸濁液を噴霧乾燥して補強性充填剤を得た(表1に示す条件以外は上記実施例1と同様とした)。
Figure 2013035903
結果は表1に示す通りであり、セルロース繊維とともにシリカを含む水懸濁液を用いて磨砕処理した実施例1〜7であると、十分に微細化されたセルロース繊維を含む複合フィラーを、セルロース繊維を凝集させることなく、効率よく製造することができた。詳細には、磨砕処理時におけるシリカの存在により、セルロース繊維の解繊が促進され、少ないパス回数でもセルロース繊維を微細化でき、生産性が向上していた。また、磨砕処理時におけるパス回数の増加によってセルロース繊維の解繊が進み、平均粒子径や平均繊維径が小さくなる傾向が見られた(実施例1〜3参照)。また、シリカ量の増加により微細化効率が向上する傾向が見られたが、シリカ量がセルロース繊維の10倍量を超えると微細化効果はほぼ頭打ちとなった(実施例1,4〜7参照)。
これに対し、磨砕処理時にシリカを配合しなかった比較例1〜3では、実施例1〜3に対し、同じパス回数同士で比較すると、セルロース繊維の解繊効果が明らかに劣っており、平均粒子径及び平均繊維径ともに大きいものであった。また、比較例1〜3では、乾燥時に凝集したことにより、乾燥後の形態はダマ状の固体であった。なお、比較例4,5では、セルロース繊維を磨砕処理していないため、解繊されておらず、平均繊維径は測定できなかった。比較例7では、乾燥時には水懸濁液中にシリカが配合されるため、乾燥時におけるセルロース繊維の凝集は回避できたものの、磨砕処理時にシリカを配合していないため、微細化効果に劣っていた。
[ゴム組成物の調製]
バンバリーミキサーを使用し、下記表2,3に示す配合(質量部)に従い、ゴム組成物を調製した。詳細には、ゴム成分である天然ゴムに対し、硫黄と加硫促進剤を除く配合成分を添加して3分間混練りした後、加硫剤である硫黄及び加硫促進剤を添加して1分間混合することによりゴム組成物を得た。表2中の補強性充填剤E1〜E7は、それぞれ上記実施例1〜7で得られたものであり、表3中の補強性充填剤C1〜C7は、それぞれ上記比較例1〜7で得られたものである。これらE1〜E7及びC1〜C7の配合量について、括弧内の数値は補強性充填剤中に含まれるセルロース繊維の量である。表2,3中の各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華3種」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・シランカップリング剤:デグサ社製「Si75」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
得られた各ゴム組成物を所定形状に成型後、モールド中において160℃×20分間で加硫して試験片を作製した。得られた試験片を用いて、補強性の指標としての複素弾性率Eと、破断時伸びEBと、低発熱性の指標としての損失係数tanδを測定した。測定方法は、以下の通りである。
・EB:JIS K6251に準じた引張り試験(ダンベル状3号形)により、破断時の伸びを測定し、下記式に基づいて指数を算出した。EB指数が大きいほど、伸びが大きく補強性に優れることを示す。
・E、tanδ:JIS K6394に準じて、温度23℃、周波数10Hz、動歪み2%、静歪み5%の条件で、複素弾性率Eおよび損失係数tanδを測定し、下記式に基づいて、それぞれの指数を算出した。E指数が大きいほど、補強性が高く、高剛性化効果に優れることを示し、また、tanδ指数が低いほど、エネルギー損失が小さく、従って低発熱性(低燃費性)に優れることを示す。
EB指数=100×[(各配合のEB)/(比較例8のEB)]
指数=100×[(各配合のE)/(比較例8のE)]
tanδ指数=100×[(各配合のtanδ)/(比較例8のtanδ)]
Figure 2013035903
Figure 2013035903
結果は、表2,3に示す通りであり、実施例8〜16に示すように、解繊が進んだセルロース繊維を含む補強性充填剤をゴム成分に配合することにより、ゴム組成物の補強性を向上することができ、とりわけ優れた高剛性化を図ることができた。実施例8〜10に示すように、解繊が進んだ補強性充填剤を使用するほど、高剛性化の改良効果が高い。また、実施例8,11〜14から明らかなように、シリカ量が多くなるほどセルロース繊維の解繊効果は向上して微細化されていたものの(実施例1,4〜7参照)、その分、フィブリル化セルロース繊維の比率が低くなって、高剛性化の効果に減少傾向が見られ、またシリカ量が増加することでエネルギー損失も増大傾向にあった。但し、それでもセルロース繊維の比率に応じた優れた高剛性化の効果が得られた。また、実施例15,16に示されたように、補強性充填剤の配合量を増量することにより、顕著な高剛性化を図ることができた。この場合、エネルギー損失も大きくなり、低発熱性については悪化傾向となるが、それを補って余りある高剛性化が得られた。
これに対し、比較例9〜11では、実施例8〜10に対して各補強性充填剤の解繊効果が劣るものであったため、高剛性化の効果にも劣っていた。また、これら比較例9〜11では、上記のように各補強性充填剤の製造時における製造効率が劣るものであるため、ゴム組成物の製造効率としても、実施例8〜10に対して劣るものであった。比較例12,13では、磨砕処理による解繊を行っていない補強性充填剤を用いたので、セルロースの微細繊維構造を活かした物性向上効果は得られなかった。セルロース繊維を配合していない比較例14についても同様であり、シリカによる補強効果しか得られなかった。比較例15,16は、比較例9,11に対し、シリカを後添加で(即ち、ゴム混練時に)配合したものであるが、この場合、単にシリカを追加した分の補強効果の向上しかみられなかった。比較例17では、磨砕処理後にシリカを添加して作製した補強性充填剤を用いており、比較例9に対しては改善効果は見られたものの、実施例8のような優れた補強効果は得られなかった。

Claims (7)

  1. セルロース繊維と無機充填剤を含む水懸濁液に機械的剪断力を与えて前記セルロース繊維をフィブリル化し、得られた水懸濁液を噴霧乾燥することを特徴とする補強性充填剤の製造方法。
  2. 前記セルロース繊維と無機充填剤を含む水懸濁液に機械的剪断力を与える磨砕処理により前記セルロース繊維をフィブリル化することを特徴とする請求項1記載の補強性充填剤の製造方法。
  3. 前記水懸濁液は前記無機充填剤を前記セルロース繊維の0.5〜25倍の質量にて含有することを特徴とする請求項1又は2記載の補強性充填剤の製造方法。
  4. 前記無機充填剤はBET比表面積が50〜250m/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の補強性充填剤の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により得られた補強性充填剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により得られた補強性充填剤を、ゴム成分に添加し混合することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  7. 請求項5記載の補強性充填剤をゴム成分に配合してなり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記セルロース繊維を0.5〜50質量部含有することを特徴とするゴム組成物。
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