JPWO2014142319A1 - ゴム組成物、その製造方法、加硫ゴムおよびタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、その製造方法、加硫ゴムおよびタイヤ Download PDF

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Abstract

ゴムに繊維を配合するに際し、ゴム成分中での繊維の分散性を良好にすることで、補強性に優れたゴム組成物、その製造方法、加硫ゴムおよびタイヤを提供する。ゴム成分と、短繊維とを含有するゴム組成物であって、短繊維がカチオン化処理されている。このゴム組成物の製造方法であって、カチオン化処理された短繊維とゴムラテックスとを混合して、ゴム−短繊維混合液を調製する混合工程と、ゴム−短繊維混合液を乾燥させてゴム組成物を得る乾燥工程と、を含む。

Description

本発明は、ゴム組成物、その製造方法(以下、単に「製造方法」とも称する)、加硫ゴムおよびタイヤに関し、詳しくは、短繊維を含有するゴム組成物およびその製造方法、加硫ゴム、並びに、これを用いたタイヤの改良に関する。
従来より、タイヤ等のゴム製品に用いられるゴムに対し繊維を混合して、硬度やモジュラス等を改善する技術は知られている。この際、繊維径の太い繊維を用いると、ゴム中への分散性は良好であるものの耐疲労性などのゴム物性を低下させる傾向があり、繊維径の細い繊維を用いると、逆に、耐疲労性は向上するものの、繊維同士が絡まったりしてゴム中への分散性が悪化する傾向がある。
これに対し、断面が海島状である混紡糸繊維であって、ゴム中に分散されて、混合時のせん断力によってフィブリル化してゴムとの接触面積が増大することにより、分散性と耐疲労性とを両立させうる繊維が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この繊維は樹脂の相分離によって海島構造を形成するため、太さや長さが不均一であり、実施例によれば直径は1μmおよび0.7μmと太く、ゴムとの接触面積が十分大きいとは言えないので、大きな補強効果は期待できない。
また、特許文献2の実施例では、耐摩耗性の向上を目的として、補強剤である澱粉とともに、0.1μmの微細な繊維直径をもつバクテリアセルロースをジエン系ゴムに混ぜることで、澱粉を単独で配合する場合に比べて耐摩耗性指数が向上することが開示されている。しかし、特許文献2では、セルロース単体での配合では加工性に問題があるとされており、澱粉をセルロースの5倍以上配合している。これは、バクテリアセルロースは水中ではナノサイズに分散しているものの、ゴム中では凝集しやすい傾向があることから、澱粉の配合によって分散性の向上を図ったものと考えられるが、この場合、澱粉により補強効果が相殺され、補強効果としては未だ十分ではないと予想される。
さらに、特許文献3には、平均粒子径40μmの微粉末セルロース繊維を、乾燥状態で、シランカップリング剤とともにゴム組成物中に投入して、バンバリー型ミキサーで混練する実施例が開示されている。しかし、ミキサーで練る程度では、乾燥状態で生じたセルロース繊維同士の水素結合をほぐして細い径の繊維状にすることは困難であり、この場合、セルロース繊維は平均粒子径40μmの粒子のままゴム中に分散していると思われる。したがって、細くて長い繊維による補強効果は期待できない。
さらにまた、特許文献4には、天然ゴムおよび変性天然ゴムならびに合成ゴムの少なくともいずれかからなるゴム成分と、化学変性ミクロフィブリルセルロースと、を含有する加硫ゴム組成物が開示されており、平均繊維径0.1μmの変性したミクロフィブリルセルロースをゴム成分に混合する実施例が開示されている。ここでは、ミクロフィブリルセルロースをあらかじめ水中で回転式のホモジナイザーを用いて攪拌して分散体を調製しておき、そこにゴムラテックスを投入して、回転数7000rpmにて10分間混合することが示されている。この場合、回転式のホモジナイザーを用いているが、繊維は、水分が除去される際に凝集する傾向があり、この程度の回転数では凝集繊維を解すほどの剪断力は得られない。文献中では、目視により凝集物がないことを確認しているが、実際にはミクロフィブリルセルロースがどの程度の太さでゴム中に分散しているかは不明である。
さらにまた、特許文献5では、セルロース繊維にジエン系ポリマーをグラフト重合した繊維を用いて、ゴム成分との親和性や分散性を高めることが提案されている。しかし、この場合、水中で解繊した繊維に対してテトラヒドロフラン(THF)中でグラフト化処理を施しており、この段階で、一旦は水中で解繊した繊維が再び凝集してしまうと考えられる。一度、分子間で強固に水素結合が形成されると、再びナノサイズまでの解繊を行うことは困難である。
特開平10−7811号公報 特開2005−133025号公報 特開2005−75856号公報 特開2009−84564号公報 特開2009−263417号公報
上記のように、ゴムに対し繊維を配合して得られるゴム組成物、ひいてはこれを用いたゴム製品の物性を改良する技術はこれまでに種々提案されてきているが、いずれも十分なものではなかった。例えば、高い強度を得たりロスの低減を図るためには、ゴム成分中に繊維を均一に分散させることが必要である。しかし、ゴムと繊維とを複合させる際には、混合工程や乾燥工程において繊維同士が凝集してしまいやすく、均一に分散することは困難である。また、ゴムラテックスを用いる場合には、ラテックスの粒子に大きく影響を受ける。よって、これらの問題を解消して、ゴム組成物の補強性をより向上するための技術の確立が求められていた。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、ゴムに繊維を配合するに際し、ゴム成分中での繊維の分散性を良好にすることで、補強性に優れたゴム組成物、その製造方法、加硫ゴムおよびタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、短繊維に、ゴムラテックスとは逆の電荷を持たせることで、短繊維をゴム粒子に結合させて、短繊維の分散性を向上させることができ、これにより上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、短繊維とを含有するゴム組成物であって、該短繊維がカチオン化処理されていることを特徴とするものである。本発明のゴム組成物においては、前記カチオン化処理された短繊維の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対し、0.1〜50質量部であることが好ましい。
また、本発明のゴム組成物の製造方法は、上記本発明のゴム組成物の製造方法であって、前記カチオン化処理された短繊維とゴムラテックスとを混合して、ゴム−短繊維混合液を調製する混合工程と、該ゴム−短繊維混合液を乾燥させてゴム組成物を得る乾燥工程と、を含むことを特徴とするものである。
さらに、本発明の他のゴム組成物の製造方法は、上記本発明のゴム組成物の製造方法であって、前記カチオン化処理された短繊維とゴムラテックスとを混合して、ゴム−短繊維混合液を調製する混合工程において、該ゴム−短繊維混合液を2層に分離した状態とすることを特徴とするものである。この場合、前記混合工程において、前記ゴム−短繊維混合液が2層に分離した状態となった後に、水を主成分として含む層を除去することが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記混合工程に先立って、前記カチオン化処理された短繊維を液体中に添加して短繊維分散液を調製し、該混合工程において、該短繊維分散液と前記ゴムラテックスとを混合することが好ましい。また、前記混合工程において、さらに、カーボンブラックおよび無機化合物よりなる群から選択される少なくとも一種の分散剤を混合することが好ましく、この場合、前記分散剤の配合量は、好適には、前記カチオン化処理された短繊維の配合量の0.1〜100倍とする。さらに、本発明の製造方法においては、前記混合工程において、前記分散剤を、前記カチオン化処理された短繊維と前記ゴムラテックスとの混合物に対し、混合することも好ましい。さらにまた、本発明の製造方法においては、前記混合工程に先立って、前記分散剤を、前記液体と同種または別種の液体中に添加して分散剤分散液を調製し、該混合工程において、該分散剤分散液を混合することも好ましい。
さらに、本発明の加硫ゴムは、上記本発明のゴム組成物を加硫して得られたことを特徴とするものである。さらにまた、本発明のタイヤは、上記本発明の加硫ゴムを用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記構成としたことにより、ゴムに繊維を配合するに際し、ゴム成分中での繊維の分散性を良好にすることができ、これにより、補強性に優れたゴム組成物、その製造方法、加硫ゴムおよびタイヤを実現することが可能となった。
(a),(b)は、カチオン化処理されていない短繊維またはカチオン化処理された短繊維をゴムラテックスと混合した状態を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、短繊維とを含有し、かかる短繊維として、カチオン化処理されているもの(以下、「カチオン化短繊維」とも称する)を用いた点に特徴を有する。
本発明においては、短繊維をあらかじめカチオン化処理した後、ゴム成分に対し混合するものとしたことで、得られるゴム組成物中での短繊維の分散が良好になり、ゴム組成物としての補強性を向上することが可能となったものである。すなわち、図1(a)に示すように、カチオン化処理されていない短繊維1Aをゴムラテックスと混合すると、短繊維1Aは混合物中で凝集してしまい、良好な分散が得られない。これに対し、同図(b)に示すように、短繊維1Bをカチオン化処理してラテックスの電荷と反対の電荷をもつものとすることで、ゴムラテックスと混合した際に、短繊維1Bがゴム粒子にイオン結合するとともに、短繊維1B同士が液中で反発力をもつので、短繊維1Bの凝集が防止され、結果として、良好な分散が得られるものとなる。また、ゴム組成物に後述するような分散剤を配合する場合、カチオン化処理された短繊維はアニオン系の分散剤に対してもイオン結合することから、ゴム組成物中で各成分がより均一に分散しやすくなり、短繊維をアニオン化処理した場合や処理しない場合よりも物性が向上するものと考えられる。さらに、カチオン化短繊維配合ゴムはモジュラスが大きいので、この点からも、ゴム組成物の破壊強度の向上に寄与できる。
<短繊維>
上述したように、本発明においては、短繊維がカチオン化処理されているものであれば所期の効果が得られるので、本発明において用いる短繊維としては、特に制限はなく、例えば、木材セルロース繊維、ウッドパルプ繊維などの再生繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維などの合成繊維、炭化ケイ素繊維や炭素繊維などの無機繊維、および、スチール繊維などが挙げられる。かかる短繊維としては、具体的には、数平均繊維長さが100nm〜1mm、特には100nm〜5μmの範囲、数平均繊維径が4nm〜10μm、特には4nm〜50nmの範囲、アスペクト比が10〜1000、特には20〜250の範囲のものである。中でも、本発明は特に、短繊維として、セルロース繊維を解繊して得られ、数平均繊維径がナノオーダーである微細セルロース繊維(セルロースナノ繊維)を用いた場合に有用である。ここで、本発明において微細セルロース繊維とは、数平均繊維径が1〜1000nmの範囲にあり、数平均繊維長さが0.1〜100μmの範囲内のものである。以下、微細セルロース繊維の原料となるセルロース繊維について、説明する。
<セルロース繊維>
セルロース繊維としては、微細セルロース繊維の原料となる材料であり、セルロースを含有する物質(セルロース含有物)またはセルロース含有物の精製等を経たもの(セルロース繊維原料)であればその種類は特に限定はされない。セルロース繊維として、セルロースを使用してもよいし、不純物を一部含むセルロースを使用してもよい。なかでも、本発明で使用されるセルロース繊維は、セルロース含有物から精製を経て不純物を除去されたものであることが好ましい。
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維などの植物由来原料、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。特に、植物由来原料から得られるセルロース繊維が好ましい。また、バクテリアセルロースは、微細な繊維径のものが得やすい点で好ましい。さらに、コットンも微細な繊維径なものが得やすい点で好ましく、原料が得やすい点でも好ましい。さらにまた、針葉樹や広葉樹等の木質も微細な繊維径のものが得られ、かつ、地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源であることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、経済的な点から優位である。木質を本発明のセルロース繊維として使用する場合は、木材チップや木粉などの状態に破砕して用いることが好ましい。
(精製方法)
本発明においては、セルロース含有物に精製処理を施して(精製工程)、セルロース含有物中のセルロース以外の物質、例えば、リグニンやヘミセルロース、樹脂(ヤニ)などを必要に応じて除去する。
精製方法については特に制限されないが、例えば、脱脂処理、脱リグニン処理、脱ヘミセルロース処理などが挙げられる。一例としては、セルロース含有物をベンゼン−エタノールで脱脂処理した後、ワイズ法で脱リグニン処理を行い、アルカリで脱ヘミセルロース処理をする方法が挙げられる。
また、脱リグニン処理としては、上記ワイズ法の他に、過酢酸を用いる方法(pa法)、過酢酸過硫酸混合物を用いる方法(pxa法)なども利用される。さらに、必要に応じて、塩素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、二酸化塩素などで漂白処理を行ってもよい。
また、精製方法としては、一般的な化学パルプの製造方法、例えば、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、アルカリパルプ、硝酸パルプの製造方法も挙げられる。また、セルロース含有物を蒸解釜で加熱処理して脱リグニン等の処理を行い、更に漂白処理等を行う方法も挙げられる。
精製処理には、分散媒として一般的に水が用いられるが、酸または塩基、その他の処理剤の水溶液であってもよく、この場合には、最終的に水で洗浄処理してもよい。また、セルロース含有物を木材チップや木粉などの状態に破砕してもよく、この破砕は、精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。
セルロース含有物の精製処理には、通常、酸または塩基、その他の処理剤を用いるが、その種類は特に限定されない。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、硫化ナトリウム、硫化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酢酸、シュウ酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、塩素、過塩素酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン、ハイドロサルファイト、アントラキノン、ジヒドロジヒドロキシアントラセン、テトラヒドロアントラキノン、アントラヒドロキノン、また、エタノール、メタノール、2−プロパノールなどのアルコール類およびアセトンなどの水溶性有機溶媒などが挙げられる。これらの処理剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、2種以上の処理剤を用いて、2以上の精製処理を行うこともでき、その場合、異なる処理剤を用いた精製処理間で、水で洗浄処理することが好ましい。
精製処理時の温度、圧力は特に制限はなく、温度は0℃以上100℃以下の範囲で選択されることが好ましく、1気圧を超える加圧下での処理の場合、温度は100℃以上200℃以下とすることが好ましい。
セルロース含有物を精製して得られたセルロース繊維は、通常、含水状態(水分散液)として得られる。セルロース含有物を精製して得られたセルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどが挙げられる。
(繊維径)
本発明に用いられるセルロース繊維は、上記セルロース含有物を精製処理や、切断、破砕等を行うことにより、下記範囲の大きさとして用いることが好ましい。例えば、セルロース含有物のチップ等の数cm大のものを使用する場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、数mm程度にすることが好ましい。セルロース含有物の切断ないし破砕は、後述のセルロース含有物の精製などの処理を行う場合、その処理前、処理中、処理後のいずれの時期に行ってもよい。例えば、精製処理前であれば衝撃式粉砕機や剪断式粉砕機などを用い、また精製処理中、処理後であればリファイナーなどを用いて行うことができる。
本発明に用いられるセルロース繊維の繊維径は特に制限されるものではなく、後述する解繊処理時の解繊効率および取扱い性の点からは、数平均繊維径としては1μm〜1000μmであることが好ましく、5μm〜100μmであることがより好ましい。なお、一般的な精製を経たものは数十μm程度(10〜50μmが好ましい)である。
なお、数平均繊維径の測定方法は特に限定されず、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)や透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)等で観察して、写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点の測定値を平均して求めることができる。
(修飾処理)
本発明において、使用されるセルロース繊維は、セルロース中の水酸基が他の基で修飾された(置換された)ものを使用することが好ましい。具体的には、化学修飾によって誘導化されたもの(化学修飾セルロース繊維)であり、例えば、セルロース中の水酸基が化学修飾剤と反応して修飾された(置換された)ものである。なお、本発明における化学修飾とは、化学反応により、セルロース中の水酸基が他の基に誘導または他の基に置換されることをいう。化学修飾は、上述した精製処理の前に行っても、後に行ってもよいが、化学修飾剤の効率的な反応の観点で、精製処理後のセルロース(セルロース繊維原料)に対して化学修飾することが好ましい。
化学修飾によってセルロースの水酸基に導入する置換基(水酸基中の水素原子と置換して導入される基)は特に制限されず、用いるゴム成分との親和性を考慮して、ゴム成分の骨格に近い構造の基等を選択すればよい。例えば、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基、カルボキシ基等が挙げられる。これらの中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の炭素数2〜12のアシル基やカルボキシ基が好ましい。
より具体的には、以下の式(1)で表されるX、XおよびXが、上記列挙した置換基であることが好ましい。
Figure 2014142319
上記X、XおよびXの他の態様として、芳香環含有置換基が挙げられる。芳香環含有置換基とは、炭化水素芳香族化合物、複素環芳香族化合物、または非ベンゼノイド芳香族化合物由来の置換基である。炭化水素芳香族化合物とは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等のベンゼン環の単環化合物、またはその2〜12個が縮合した化合物である。縮合数は、好ましくは6個以下である。複素環芳香族化合物とは、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール等の5〜10員環の複素環の単環化合物、またはその2〜12個が縮合した化合物である。縮合数は好ましくは6個以下である。非ベンゼノイド芳香族化合物とは、アヌレン等、シクロペンタジエニルアニオン等、シクロヘプタトリエニルカチオン等、トロポン等、メタロセン等、アセブレイアジレン等が挙げられる。
これらの中では、炭化水素芳香族化合物、複素環芳香族化合物由来の置換基が好ましく、さらには炭化水素芳香族化合物由来の置換基が好ましい。また、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン由来の置換基が好ましい。これらの芳香環含有置換基は、置換基中の水素原子が炭素数1〜12のアルキル基で置換されていても構わない。また、芳香環含有置換基は、上記炭化水素芳香族化合物、複素環芳香族化合物、および非ベンゼノイド芳香族化合物からなる群から選ばれる2個以上が、単結合または炭素数1〜3のアルキレン基で連結されていても構わない。
芳香環含有置換基において、芳香環とセルロースとを結合する連結基としては、セルロースの水酸基と反応した結果得られたものであれば特に限定されるものではない。例えば、上記式中のO(酸素原子)と芳香環が直接結合してもよいし、連結基として−CO−、−CONH−を介してセルロースのO(酸素原子)と結合してもよく、中でも−CO−が特に好ましい。
セルロース繊維中のセルロースに導入される置換基の芳香環含有置換基としては、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントロイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基が好ましく、とりわけベンゾイル基が好ましい。また、セルロースへの置換基の導入方法として、セルロースの6位の1級水酸基にアルデヒドあるいはカルボキシ基を導入する方法も挙げられる。
(修飾剤)
修飾方法は、特に限定されるものではないが、セルロースと次に挙げるような化学修飾剤とを反応させる方法がある。
化学修飾剤の種類としては、例えば、エステル基を形成させる場合は、酸、酸無水物、およびハロゲン化試薬等が挙げられ、エーテル基を形成させる場合は、アルコール、フェノール系化合物、アルコキシシラン、フェノキシシラン、およびオキシラン(エポキシ)等の環状エーテル化合物等が挙げられ、カルバマート基を形成させる場合は、イソシアナート化合物等が挙げられ、カルボキシ基を形成させる場合は、オゾン、塩素ガス、フッ素ガス、二酸化塩素、亜酸化窒素、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)などのN−オキシル化合物等が挙げられる。また、ジカルボン酸を反応させてもよい。ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。これらの化学修飾剤は、1種または2種以上を用いても構わない。
エステル基を形成させる化学修飾剤である酸としては、例えば、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸、ペンタン酸、安息香酸、ナフタレンカルボン酸等が挙げられ、酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2−ブタン酸、無水ペンタン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸等が挙げられる。ハロゲン化試薬としては、例えば、アセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライド、塩化ステアロイル等が挙げられる。
エーテル基を形成させる化学修飾剤であるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。フェノール系化合物としては、フェノール、ナフトール等が挙げられる。アルコキシシランとしては、例えば、メトキシシラン、エトキシシラン等が、また、フェノキシシラン等が挙げられる。環状エーテルとしては、例えば、エチルオキシラン、エチルオキセタン、オキシラン(エポキシ)、フェニルオキシラン(エポキシ)が挙げられる。カルバマート基を形成させる化学修飾剤であるイソシアナート化合物としては、メチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート、フェニルイソシアナートが挙げられる。これらの中では、特に、無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド、ナフトイルハライドが好ましい。
これらの化学修飾剤は、セルロースの水酸基と反応する部位以外にゴム成分と反応する官能基を有していてもよい。このような官能基としては、例えばメルカプト基、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの化学修飾剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(化学修飾方法)
化学修飾は、公知の方法によって実施することができる。すなわち、常法に従って、セルロースと化学修飾剤とを反応させることによって、化学修飾を実施できる。この際、必要に応じて溶媒や触媒を使用してもよく、加熱、減圧等を行ってもよい。
なお、精製後のセルロース繊維(セルロース繊維原料)を用いる場合、このセルロース繊維は通常含水状態であるので、この水を反応溶媒と置換して、化学修飾剤と水との反応を極力抑制することが好ましい。また、水を除去するためにセルロース繊維の乾燥を行うと、後述する解繊工程でのセルロース繊維の微細化が進行しにくくなるため、乾燥工程を入れることは好ましくない。
化学修飾剤の量は特に限定されず、化学修飾剤の種類によっても異なるが、セルロースの水酸基のモル数に対して、0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましい。
溶媒としては、エステル化を阻害しない水溶性有機溶媒を用いることが好ましい。水溶性有機溶媒としては、例えば、アセトン、ピリジン等の有機溶媒や、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸が挙げられ、特に酢酸等の有機酸が好ましい。酢酸等の有機酸を用いることで、化学修飾がセルロースに均一に進行するため、後述する解繊がしやすくなり、得られるセルロース繊維複合体が高耐熱性、高生産性を示すと考えられる。また、上記溶媒以外のものを併用しても構わない。使用される溶媒の量は特に限定されないが、通常、セルロース質量に対して、0.5倍以上が好ましく、1倍以上がより好ましく、200倍以下が好ましく、100倍以下がより好ましい。
触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や、酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。触媒の量は特に限定されず、種類によっても異なるが、通常、セルロースの水酸基のモル数に対して、0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましい。
温度条件は特に制限されないが、高すぎるとセルロースの黄変や重合度の低下等が懸念され、低すぎると反応速度が低下することから、10〜130℃が好ましい。反応時間も特に制限されず、化学修飾剤や化学修飾率にもよるが、数分から数十時間である。また、ガスとセルロース繊維を接触させることにより、化学修飾を行ってもよい。例えば、セルロース繊維をオゾンなどの酸化性ガスが存在する雰囲気に所定時間保持したり、酸化性ガスの気流中に暴露させたりして酸化処理を行うことにより、セルロース中の水酸基を置換することができる。
このようにして化学修飾を行った後は、反応を終結させるために有機溶剤や水で十分に洗浄することが好ましい。未反応の化学修飾剤が残留していると、後で着色の原因になったり、樹脂と複合化する際に問題になったりするので好ましくない。
(化学修飾率)
化学修飾率とは、セルロース中の全水酸基のうちの化学修飾されたものの割合を示し、例えば、1価の酸がエステル結合を介してセルロースと結合している場合、化学修飾率は下記の滴定法によって測定することができる。
(測定方法)
乾燥した化学修飾セルロース0.05gを精秤し、これにメタノール6ml、蒸留水2mlを添加する。これを60〜70℃で30分攪拌した後、0.05N水酸化ナトリウム水溶液10mlを添加する。これを60〜70℃で15分攪拌し、さらに室温で一日攪拌する。ここにフェノールフタレインを用いて0.02N塩酸水溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.02N塩酸水溶液の量Z(ml)から、化学修飾により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)={0.05(N)×10(ml)/1000}−{0.02(N)×Z(ml)/1000}
この置換基のモル数Qと、化学修飾率X(mol%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14),繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3,OHの分子量=17)。なお、以下においてTは、上記置換基の分子量に酸素原子量(16)を足した値である。
Figure 2014142319
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2014142319
本発明において、上記の化学修飾率は特に制限されないが、セルロースの全水酸基に対して、1mol%以上が好ましく、5mol%以上がより好ましく、10mol%以上が特に好ましい。また、65mol%以下が好ましく、50mol%以下がより好ましく、40mol%以下がさらに好ましい。上記範囲内であれば、分散液中における微細セルロース繊維の分散安定性がより向上し、また、ゴム成分と複合化した際、低線膨張係数を示すゴム組成物が得られる。
セルロース繊維を分散させる分散媒としては、通常水が用いられるが、有機溶媒(分散媒)を利用してもよい。有機溶媒を利用する場合、セルロース繊維原料のようなセルロース繊維の水分散液をセルロース繊維として用いるには、あらかじめ水分散液中の水を有機溶媒に置換してもよい(溶媒置換工程)。溶媒を置換する方法は特に限定されないが、セルロース繊維(好ましくは、精製後または化学修飾後のセルロース繊維)を含有する水分散液から濾過などにより水を除去し、ここに解繊時使用する有機溶媒を添加し、攪拌混合し、再度濾過により有機溶媒を除去する方法が挙げられる。有機溶媒の添加と濾過を繰り返すことで、分散液中の媒体を水から有機溶媒に置換することができる。なお、使用する有機溶媒が非水溶性の場合、水溶性の有機溶媒に一度置換した後、非水溶性の有機溶媒に置換してもよい。
(解繊方法)
上記セルロース繊維を解繊することにより、本発明における短繊維として好適な微細セルロース繊維を得ることができる。本発明において、解繊とは、繊維を解すことであり、通常は繊維をより小さなサイズにすることができるものである。この解繊処理の際には、水、アルコール系溶媒などのプロトン性極性溶媒、ケトン系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、アミド系溶媒、芳香族系炭化水素などの非プロトン性極性溶媒等の1種または2種以上を添加してもよい。好ましくは、水、アミド系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒等である。かかる溶媒は、後の工程で溶媒を除去する工程があることから沸点が高すぎないことが好ましい。溶媒の沸点は300℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、180℃以下が更に好ましい。また、取扱い性などの点から、70℃以上が好ましい。解繊工程の具体的な方法については、特に制限されないが、例えば、直径1mm程度のセラミック製ビーズを、セルロース繊維濃度0.5〜50質量%、例えば、1質量%程度のセルロース繊維分散液に入れ、ペイントシェーカーやビーズミル等を用いて振動を与えて、セルロース繊維を解繊する方法などが挙げられる。
また、ブレンダータイプの分散機や高速回転するスリットの間に、このような原料分散液を通して剪断力を働かせて解繊する方法(高速回転ホモジナイザー)や、高圧から急に減圧することによって、セルロース繊維間に剪断力を発生させて解繊する方法(高圧ホモジナイザー法)、マスコマイザーXのような対向衝突型の分散機(増幸産業(株)製)等を用いる方法などが挙げられる。つまり、ビーズミルによる解繊処理、噴出による解繊(微細化)処理、回転式解繊方法による解繊処理、または超音波処理による解繊処理などが挙げられる。特に、高速回転ホモジナイザーおよび高圧ホモジナイザーによる処理は、解繊の効率がより向上する。
これらの処理で解繊する場合、セルロース繊維分散液の固形分濃度は特に制限されないが、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、また、99質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。この解繊工程に供するセルロース繊維分散液の固形分濃度が低過ぎると、処理するセルロース量に対して液量が多くなり過ぎて効率が悪くなり、固形分濃度が高過ぎると、流動性が悪くなる。
高速回転ホモジナイザーの場合、周速が速い方が、剪断が掛かり、解繊効率が高くなる。周速としては15m/s以上、好ましくは30m/s以上であり、100m/s以下、好ましくは50m/s以下である。なお、周速と回転数には以下の関係が成り立つ。
周速(m/sec)=2×回転羽の半径(m)×π×回転数(rpm)/60
よって、半径15mmの回転羽を用いる場合であれば、回転数としては、例えば、10000rpm以上程度が好ましく、20000rpm以上程度が特に好ましい。なお、回転数の上限は特に制限されないが、装置の性能上の観点から、30000rpm以下程度が好ましい。回転数が5000rpm以下ではセルロース繊維の解繊が不十分になる。また、処理時間は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上が特に好ましい。処理時間は、生産性の点からは、6時間以下が好ましい。剪断により発熱が生じる場合は、液温が50℃を越えない程度に冷却することが好ましい。また、原料分散液に均一に剪断がかかるように、攪拌または循環することが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いる場合、セルロース繊維分散液を増圧機で好ましくは30MPa以上、より好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは150MPa以上、特に好ましくは220MPa以上に加圧し、細孔直径50μm以上のノズルから噴出させ、圧力差が好ましくは30MPa以上、より好ましくは80MPa以上、さらに好ましくは90MPa以上となるように減圧する。この圧力差で生じるへき開現象により、セルロース繊維を解繊する。ここで、高圧条件の圧力が低い場合や、高圧から減圧条件への圧力差が小さい場合には、解繊効率が下がり、所望の繊維径とするための繰り返し噴出回数が多く必要となるため好ましくない。また、セルロース繊維分散液を噴出させる細孔の細孔直径が大き過ぎる場合にも、十分な解繊効果が得られず、この場合には、噴出処理を繰り返し行っても、所望の繊維径のセルロース繊維が得られないおそれもある。
原料分散液の噴出は、必要に応じて複数回繰り返すことにより、微細化度を上げて所望の繊維径のセルロース繊維を得ることができる。この繰り返し回数(パス数)は、通常1回以上、好ましくは3回以上で、通常20回以下、好ましくは15回以下である。パス数が多い程、微細化の程度を上げることができるが、過度にパス数が多いとコスト高となるため好ましくない。
高圧ホモジナイザーの装置は特に制限されないが、例えば、ガウリン社製や、スギノマシン社製の「スターバーストシステム」を用いることができる。噴出時の高圧条件が高いほど、圧力差により大きなへき開現象でより一層の微細化を図ることができるが、装置仕様の上限として、通常245MPa以下である。同様に、高圧条件から減圧下への圧力差も大きいことが好ましいが、一般的には、増圧機による加圧条件から大気圧下に噴出することで、圧力差の上限は通常245MPa以下である。
また、セルロース繊維分散液を噴出させる細孔の直径は小さければ容易に高圧状態を作り出せるが、過度に小さいと噴出効率が悪くなる。この細孔直径は、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、150μm以上がさらに好ましく、800μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、350μm以下がさらに好ましい。噴出時の温度(分散液温度)には特に制限はないが、通常5℃以上100℃以下である。温度が高すぎると、装置、具体的には送液ポンプや高圧シール部等の劣化を早める恐れがあるため好ましくない。
また、噴出ノズルは1本でも2本でもよく、噴出させた原料分散液を噴出先に設けた壁やボール、リングにぶつけてもよい。さらに、ノズルが2本の場合には、噴出先でセルロース繊維分散液同士を衝突させてもよい。
なお、このような高圧ホモジナイザーによる処理のみでも、微細セルロース繊維を含む分散液を得ることは可能であるが、その場合には、十分な微細化度とするための繰り返し回数が多くなり、処理効率が悪いことから、1〜5回程度の高圧ホモジナイザー処理後に後述の超音波処理を行って微細化することが好ましい。
本発明において、超音波処理が施される、解繊処理が施されたセルロース繊維分散液中のセルロース濃度は、液全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。超音波を照射するセルロース繊維分散液中のセルロース濃度が低過ぎると非効率であり、高過ぎると粘度が高くなり解繊処理が不均一になる。
上記解繊工程を経て得られたセルロース繊維分散液中には、微細セルロース繊維が均一に分散しており、微細セルロース繊維の凝集や沈降が抑制され、優れた液安定性を有する。
(セルロースI型結晶)
上記解繊工程によって得られる微細セルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有することが好ましい。セルロースI型結晶は、他の結晶構造より結晶弾性率が高いため、高弾性率、高強度、低線膨張係数であり好ましい。微細セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
(微細セルロース繊維の数平均繊維径、数平均繊維長およびアスペクト比)
上記方法によって得られたセルロース繊維分散液中の微細セルロース繊維の数平均繊維径、数平均繊維長およびアスペクト比は、セルロース繊維分散液中の分散媒を乾燥除去した後、SEMやTEM等で観察することにより、計測して求めることができる。本発明により得られる解繊された微細セルロース繊維の数平均繊維径は、得られる複合体がより優れた低線膨張性を示す点より、400nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。更に好ましくは50nm以下である。尚、この数平均繊維径の下限は通常4nm以上である。数平均繊維径が上記の範囲未満の場合は、セルロースのI型結晶が壊れており、繊維自体の強度や弾性率が低下するため、補強効果が得られ難い。また、上記範囲を超える場合はゴムとの接触面積が小さくなるため、補強効果が小さくなる。ここで、上記数平均繊維径、数平均繊維長およびアスペクト比は、SEMやTEM等で観察して、写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに14点抽出し、最も太い繊維および最も細い繊維、並びに、最も長い繊維および最も短い繊維を除去した10点以上の繊維についてそれぞれ繊維径、繊維長およびアスペクト比を測定して、平均した値である。
セルロース繊維分散液中における微細セルロース繊維の含有量は、使用される出発原料であるセルロース繊維量によって適宜調製されるが、分散液の安定性の点から、セルロース繊維分散液の全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
<カチオン化処理>
本発明におけるカチオン化の反応方法としては、例えば、特開2011−162608号公報に記載の方法が挙げられる。カチオン化剤は、セルロースの水酸基と反応し、共有結合を形成する反応基およびアンモニウム基を有する構造であれば特に限定されないが、セルロースとの反応性が高く、また、構造中に4級アンモニウム基を有し、ゴムラテックス中での良好な分散状態が得られることから、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等のグリシジルトリアルキルアンモニウムハライドまたはそのハロヒドリン型のカチオン化剤を用いることが、特に好ましい。
<ゴム成分>
ゴム成分は、天然ゴムと合成ゴムに大別できるが、本発明においては、両者を単独で用いても、混合して用いてもよい。合成ゴムとしては、公知のものから目的に応じて選択することができ、例えば、ブチルゴム(IIR)、臭化ブチルゴム(Br−IIR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。
また、カチオン化短繊維の配合量は、ゴム成分100質量部に対し、好適には0.1〜50質量部、より好適には0.1〜10質量部である。カチオン化短繊維の配合量が、少なすぎると十分な短繊維の分散性向上効果が得られないおそれがあり、多すぎると繊維同士の凝集が進み、いずれも好ましくない。
本発明におけるゴム組成物の製造は、具体的には、以下の手順で行うことができる。まず、上記カチオン化短繊維とゴムラテックスとを混合して、ゴム−短繊維混合液を調製する(混合工程)。ゴム−短繊維混合液の調製方法については特に限定されず、使用される各成分を混合することにより調製することができる。具体的には例えば、ホモジナイザーを用いて、短繊維とゴムラテックスとの混合物を攪拌することにより、ゴム−短繊維混合液を調製することができる。ホモジナイザーによる攪拌時の条件としては、例えば、10000〜20000rpmで5〜20分間とすることができる。
上記により得られたゴム−短繊維混合液中には、カチオン化された短繊維が均一に分散しているので、かかるゴム−短繊維混合液は、短繊維の凝集や沈降が抑制されて、優れた液安定性を有するものとなっている。また、後述するように、カチオン化短繊維とゴム成分とを含有するかかるゴム−短繊維混合液を用いて得られるゴム組成物および加硫ゴムにおいては、短繊維がゴム成分中に均一に分散しているために、高弾性率および低損失正接を示すものとなる。
上記混合工程に際しては、あらかじめカチオン化短繊維を液体中に添加して短繊維分散液を調製しておき、この短繊維分散液とゴムラテックスとを混合するものとしてもよい。これにより、繊維の分散とゴムの分散との両立により、通常、ゴムに投入する場合より高い分散性の向上効果を得ることができる。短繊維分散液の調製方法については特に限定されず、使用される各成分を混合することにより調製することができる。短繊維、特にはセルロース繊維を添加する液体としては、上述した解繊処理に使用されるのと同様の水または有機溶剤を、適宜用いることが可能である。また、短繊維として微細セルロース繊維を用いる場合には、上記解繊処理により得られたセルロース繊維分散液中の微細セルロース繊維をカチオン化処理することにより、そのまま、短繊維分散液として用いることができる。
本発明においては、上記混合工程において、ゴムラテックスとカチオン化短繊維とともに、さらに、カーボンブラックおよび無機化合物よりなる群から選択される少なくとも一種の分散剤を混合することが好ましい。カチオン化短繊維はこれら分散剤とも結合するので、これにより、さらに破壊強度を高めることができるとともに、短繊維同士の間に分散剤が入り込んで、短繊維同士の凝集を防止する効果が得られるので、ゴム成分に対する短繊維の分散性をより向上して、結果として、得られるゴム組成物において補強性を一層向上することができる。
上記分散剤は、ゴムラテックスより先に、カチオン化短繊維と混合することが好ましい。これはカチオン化剤が分散剤と結合し、さらに、ゴムラテックスに結合および吸着するためである。また、混合工程に先立って、上記分散剤をあらかじめ液体中に添加して分散剤分散液を調製しておき、これを、ゴムラテックスと短繊維分散液との混合過程後に混合するものとしてもよい。分散剤を、分散液として混合することで、短繊維の分散性をより向上することができる。なお、分散剤分散液の調製に用いる液体としては、短繊維分散液の調製に用いる液体と同種のものであっても別種のものであってもよい。
<分散剤>
本発明に用いる分散剤としては、それ自体が水などの液体中で凝集せず、かつ、短繊維間に分散可能な材料として、カーボンブラックおよび無機化合物よりなる群から選択される少なくとも一種を用いる。このうちカーボンブラックとしては、特に制限はなく、通常ゴム業界で用いられるもののうちから適宜選択することができ、例えば、SRF、GPF、FER、HAF、ISAF、SAF等を挙げることができる。また、無機化合物についても、特に制限はなく、例えば、シリカ、珪酸ナトリウム、クレイ、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、珪酸マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、アルミナ水和物等を挙げることができる。分散剤は、短繊維の表面基に結合可能なものであることがより好ましい。本発明においては、上記のうちでも特に、分散剤としてカーボンブラックを好適に用いることができる。
分散剤の配合量は、好適には、カチオン化処理された短繊維の配合量の0.1〜100倍、より好適には、5〜30倍とする。分散剤の配合量が、少なすぎると、十分な短繊維の分散性向上効果が得られないおそれがあり、多すぎると、破壊特性やロスに影響をあたえる可能性があるので、いずれにおいても好ましくない。
(その他添加剤)
上記ゴム−短繊維混合液には、必要に応じて、カチオン化短繊維およびゴム成分、並びに、任意成分である分散剤の他に、従来ゴム業界で使用されている他の配合剤を添加してもよい。例えば、他の補強剤として、シリカ粒子やカーボンブラック、繊維などの、無機、有機のフィラー、シランカップリング剤、以下に説明する加硫剤、ステアリン酸、アミン類、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの加硫促進剤や加硫促進助剤、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤などが挙げられる。
(加硫剤)
加硫剤としては、有機過酸化物または硫黄系加硫剤を使用することが可能である。有機過酸化物としては従来ゴム業界で使用されている各種のものが使用可能であるが、中でも、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼンおよびジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。また、硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができ、中でも硫黄が好ましい。これらの加硫剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ゴム−短繊維混合液中の加硫剤の配合量としては、ゴム成分100質量部に対し、硫黄の場合、7.0質量部以下程度、好ましくは6.0質量部以下であり、また、1.0質量部以上、好ましくは3.0質量部以上、中でも4.0質量部以上である。
その後、上記ゴム−短繊維混合液を乾燥させることで、本発明のゴム組成物を得ることができる(乾燥工程)。乾燥工程においては、上記ゴム−短繊維混合液を、例えば、真空オーブン中で、50〜150℃、1〜16時間にて乾燥させればよい。また、本発明においては、上記混合工程において、上記ゴム−短繊維混合液を2層に分離した状態とすることによっても、本発明のゴム組成物を得ることができる。この場合、ゴム−短繊維混合液が2層に分離した状態となった後に、水を主成分として含む層を除去すればよい。
本発明においては、上記乾燥工程で得られたゴム組成物に対し、所望に応じ、さらにゴム成分および前述の各種配合剤を、ゴム用混練機等、公知の方法を用いて混合した後、成形して、常法に従い加硫することにより、微細セルロース繊維と加硫ゴム成分とを含有する加硫ゴムを得ることができる。ここで、加硫工程に先立つ成形には、各種の方法を用いることができ、例えば、ゴム組成物を、基板上へ塗布して塗膜状としてもよく、型内に流し込んでもよく、あるいは押し出し加工してもよく、特に制限はない。
例えば、上記加硫ゴムをタイヤに用いる場合には、上記ゴム組成物を適宜混練りして、未加硫状態で、タイヤの所望の適用部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤの他の部材とともに、タイヤ成形機上にて通常の方法により成形することにより、未加硫タイヤ(生タイヤ)を成形する。この未加硫タイヤを加硫機内で加熱加圧することにより、本発明のゴム組成物を加硫してなる加硫ゴムを用いたタイヤを得ることができる。かかる加硫ゴムは破壊特性に優れるので、これを用いたタイヤは、転がり抵抗が小さく、良好な操縦安定性、耐久性を有するものとなる。
加硫ゴムを得る際の加硫条件については、特に限定されず、ゴム成分を加硫ゴムとできる温度および時間であればよい。中でも、有機溶媒を揮発させて除去できる点から、加熱温度は、60℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。また、微細セルロース繊維の分解を抑制する点から、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。加熱時間は、生産性などの点から、5分以上、好ましくは10分以上、さらに好ましくは15分以上であり、また、180分以下が好ましい。ゴム組成物の加硫は、複数回にわたって、温度・加熱時間を変更して実施してもよい。
<加硫ゴム>
(微細セルロース繊維の数平均繊維径)
上記方法によって得られた加硫ゴム中の微細セルロース繊維の数平均繊維径は、加硫ゴムを必要に応じて切り出し、SEMやTEM等で観察して計測することにより、求めることができる。
上記微細セルロース繊維の数平均繊維径は、得られる加硫ゴムがより優れた低線膨張性を示す点より、400nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、さらに好ましくは50nm以下である。また、この数平均繊維径の下限は通常4nm以上である。数平均繊維径が上記の範囲未満の場合は、セルロースのI型結晶構造が維持できず、繊維自体の強度や弾性率が低下し、補強効果が得られにくい。また、上記範囲を超える場合は、ゴムとの接触面積が小さくなるため、補強効果が小さくなる。なお、上記数平均繊維径は、SEMやTEM等で観察して、写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点を測定して、平均した値である。
(微細セルロース繊維の含有量)
加硫ゴム中における微細セルロース繊維の含有量は、目的に応じて適宜調整されるが、補強性の観点から、加硫ゴム全量に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、また、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
なお、加硫ゴム中に含まれる微細セルロース繊維とゴム成分との質量比は、上記ゴム−短繊維混合液におけるセルロース繊維とゴム成分との質量比と同様である。繊維量が少ないと、補強効果が充分でなく、逆に多いとゴムの加工性が低下する場合がある。
(微細セルロース繊維の分散状態)
このようにして得られる本発明の加硫ゴムにおいては、数平均繊維径が4〜400nm、好ましくは4〜100nm、さらに好ましくは4〜50nm以下の微細セルロース繊維が、加硫ゴム成分中で、凝集塊を作ることなく安定に分散している。そのため、かかる加硫ゴムにおいては、微細セルロース繊維による補強効果によって、高い弾性率が達成されると同時に、繊維径が細いためにゴム本来の伸びが阻害されないことから、高い破断伸びが達成されると考えられる。すなわち、本発明の加硫ゴムは、補強ゴムとして、耐久性および剛性に優れた特性を示し、タイヤ等のゴム製品に好適に用いられる。なお、本発明の加硫ゴムにおける、微細セルロース繊維の分散状態は、SEM等により断面構造を観察することによって、確認することができる。
本発明のタイヤは、その構成部材の一部として、本発明の上記加硫ゴムを用いたものであればよく、それ以外の、具体的構造や他部材に用いる材料等については、特に制限されるものではない。具体的には例えば、本発明のタイヤにおいて、上記加硫ゴムは、ベルト、トレッド、サイドウォール、ビードフィラー、カーカス、チェーファー等の部材に好適に適用することができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
以下において、カチオン基のセルロースへの導入量は、前述した方法で求めた。また、微細セルロース繊維の数平均繊維径および繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、以下に示すようにして測定した。
手法:原子間力顕微鏡法(タッピングモード),
探針:未修飾のSi製カンチレバー(NCH),
環境:室温・大気中(湿度50%程度),
装置:ブルカー社製Digital Instrument NanoscopeIII,
データサンプリング数:512×512ポイント,
AFM像の種別:高さ像,位相像(繊維一つひとつを認識するため),
画像解析法:AFM観察画像から繊維をトレースして、繊維を1本ずつ抽出し、繊維1本の高さの最高値を繊維の太さとして計測した。この計測値を平均して、数平均繊維径とした。さらに、AFM観察画像から繊維をトレースして周囲長を計測し、周囲長の半分を繊維長とした。
[製造例1:カチオン化微細セルロース繊維分散液(1)の調製]
水400mlに水酸化ナトリウム30gを溶解させた水溶液に、3−クロロ−2−ヒドロキシ−プロピルトリメチルアンモニウムクロリドの65質量%水溶液(カチオマスターC(登録商標)、四日市合成(株)製)177gを添加した水溶液を調製した。この水溶液を撹拌しながら、セルロース繊維原料として広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙(株)製、固形分濃度34質量%)29gを少量ずつ添加し、3時間撹拌した。撹拌後、濾別し、濾液が中性になるまで水で洗浄した。以上のようにして、カチオン基を導入したセルロース繊維(1)を得た。このカチオン化セルロース繊維(1)の窒素導入量は0.36質量%であり、カチオン基の導入量は0.24mmol/gであった。
得られたカチオン化セルロース繊維(1)を、固形分濃度が0.5質量%となるように水で希釈し、回転式高速ホモジナイザー(エム・テクニック(株)製クレアミックス0.8S)にて20,000rpmで60分間、解繊処理した。さらに、解繊後のカチオン化微細セルロース繊維(1)を含む分散液について、遠心分離器(日立工機社製)を用いて、10,000rpm(12,000G)、10分間の遠心分離処理を行い、カチオン化微細セルロース繊維分散液(1)を得た。AFM観察の結果、分散液中のカチオン化微細セルロース繊維(1)の数平均繊維径は4.2nm、数平均繊維長は800nmであった。
[製造例2:カチオン化微細セルロース繊維分散液(2)の調製]
フラスコに広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙(株)製、固形分濃度34質量%)28.3gおよび25%水酸化ナトリウム水溶液8gを入れ、パルプに水酸化ナトリウム水溶液が十分浸み込むまで20分程度撹拌した。次いで、イソプロピルアルコール100g、3−クロロ−2−ヒドロキシ−プロピルトリメチルアンモニウムクロリドの65質量%水溶液(カチオマスターC(登録商標)、四日市合成(株)製)8.54gを入れ、窒素シール状態を保ちながら、70℃、90分間撹拌した。冷却後、酢酸で中和し、イソプロピルアルコールおよび水で洗浄を繰り返し、カチオン基を導入したセルロース繊維分散液(2)を得た。このカチオン化セルロース繊維(2)の窒素導入量は0.9質量%であり、カチオン基の導入量は0.64mmol/gであった。
得られたカチオン化セルロース繊維(2)について、製造例1と同様にして、解繊処理および遠心分離処理を行い、カチオン化微細セルロース繊維分散液(2)を得た。AFM観察の結果、分散液中のカチオン化微細セルロース繊維(2)の数平均繊維径は3.8nm、数平均繊維長は480nmであった。
[比較例1]
天然ゴム(NR)ラテックス(フィールドラテックス,pH10.8,固形分濃度20質量%)50gを、真空オーブン中で60℃、6時間にて乾燥させて、乾燥ゴム組成物を得た。この乾燥ゴム組成物に対し、下記表中に示す他の配合成分を混合して、ラボ混練機により通常の混練を行い、得られた混合物を加圧プレス加硫して、比較例1の加硫ゴムシートを得た。
[比較例2]
未変性微細セルロース繊維分散液(液体:水,平均繊維径:16nm,固形分濃度0.25質量%)200gに、天然ゴム(NR)ラテックス(フィールドラテックス,pH10.8,固形分濃度20質量%)50gを投入し、ホモジナイザー(IKA社製,ULTRA−TURRAX)を用いて、11000rpm、10分間の条件にて撹拌した。その後、真空オーブン中で60℃、6時間にて乾燥させて、乾燥ゴム組成物を得た。この乾燥ゴム組成物に対し、下記表中に示す他の配合成分を混合して、ラボ混練機により通常の混練を行い、得られた混合物を加圧プレス加硫して、比較例2の加硫ゴムシートを得た。
[実施例1]
未変性微細セルロース繊維分散液に代えてカチオン化微細セルロース繊維分散液(1)(液体:水,数平均繊維径4.2nm,数平均繊維長800nm,アスペクト比190,固形分濃度0.09質量%,カチオン導入量0.24mmol/g)556gを使用したこと以外は比較例2と同様に行い、実施例1の加硫ゴムシートを得た。
[比較例3]
天然ゴム(NR)ラテックス(フィールドラテックス,pH10.8,固形分濃度20質量%)50gを、真空オーブン中で60℃、6時間にて乾燥させて、乾燥ゴム組成物を得た。この乾燥ゴム組成物に対し、カーボンブラック4.2gおよび下記表中に示す他の配合成分を混合して、ラボ混練機により通常の混練を行い、得られた混合物を加圧プレス加硫して、比較例3の加硫ゴムシートを得た。
[実施例2]
カチオン化微細セルロース繊維分散液(1)556gを天然ゴム(NR)ラテックス(フィールドラテックス,pH10.8,固形分濃度20質量%)50gに添加し、ホモジナイザーを用いて、11000rpm、10分間撹拌した。得られたマスターバッチを、真空オーブン中で60℃、6時間にて乾燥させて、乾燥ゴム組成物を得た。この乾燥ゴム組成物に対し、カーボンブラック4.2gおよび下記表中に示す他の配合成分を混合して、ラボ混練機により通常の混練を行い、得られた混合物を加圧プレス加硫して、実施例2の加硫ゴムシートを得た。
[比較例4]
カーボンブラック4.2gと蒸留水500mlをホモジナイザーを用いて、11000rpm、10分間撹拌した。このカーボンブラックスラリーに、天然ゴム(NR)ラテックス(フィールドラテックス,pH10.8,固形分濃度20質量%)50gを加え、ホモジナイザーを用いて、11000rpm、10分間撹拌した。得られたマスターバッチを、真空オーブン中で60℃、6時間にて乾燥させて、乾燥ゴム組成物を得た。この乾燥ゴム組成物に対し、下記表中に示す他の配合成分を混合して、ラボ混練機により通常の混練を行い、得られた混合物を加圧プレス加硫して、比較例4の加硫ゴムシートを得た。
[実施例3]
カーボンブラック4.2gと蒸留水500mlを、ホモジナイザーを用いて、11000rpm、10分間撹拌した。このカーボンブラックスラリーに、カチオン化微細セルロース繊維分散液(1)556gを添加し、ホモジナイザーを用いて、11000rpm、10分間撹拌した。さらに、この混合物に対し、天然ゴム(NR)ラテックス(フィールドラテックス,pH10.8,固形分濃度20質量%)50gを加え、ホモジナイザーを用いて、11000rpm、10分間撹拌した。その後、得られたマスターバッチを、真空オーブン中で60℃、6時間にて乾燥させて、乾燥ゴム組成物を得た。この乾燥ゴム組成物に対し、下記表中に示す他の配合成分を混合して、ラボ混練機により通常の混練を行い、得られた混合物を加圧プレス加硫して、実施例3の加硫ゴムシートを得た。
得られた加硫ゴムシートにつき、温度23℃において、ASTM D412に準じて引張り試験を行い、各加硫ゴムシートの300%伸長時の引張り応力(300%モジュラス(M300))および破断強度(Tb)を測定した。また、レオメトリックス(株)製の粘弾性試験機ARESを用いて、温度50℃、湿度10%RH、測定周波数15Hzにて、動的歪10%における貯蔵弾性率G’(MPa)および損失正接(tanδ)を測定した。測定結果は、比較例1の値を100とする指数値にて示した。いずれの値も、大なる程良好であることを示す。この結果を、下記の表中に併せて示す。
Figure 2014142319
*1)加硫促進剤:(大内新興化学製、ノクセラーNS−P)
*2)老化防止剤:(大内新興化学製、ノクラック6C)
上記表中に示すように、本発明に係る実施例のゴム組成物においては、セルロース繊維の分散性が良好であって、従来方法により得られた各比較例のゴム組成物と比較して、各物性値につき、バランス良く良好な値が得られていることが確かめられた。
[実施例4]
カチオン化微細セルロース繊維分散液(1)の添加量を1112gとした以外は実施例3と同様にして、実施例4の加硫ゴムシートを得た。
[比較例5]
カチオン化微細セルロース繊維分散液(1)に代えて未変性微細セルロース繊維分散液(液体:水,平均繊維径:16nm,固形分濃度0.25質量%)400gを用いた以外は実施例3と同様にして、比較例5の加硫ゴムシートを得た。
得られた加硫ゴムシートにつき、実施例1等と同様にして、300%伸長時の引張り応力(300%モジュラス(M300))、破断強度(Tb)、貯蔵弾性率G’(MPa)および損失正接(tanδ)を測定した。測定結果は、比較例1の値を100とする指数値にて示した。300%モジュラス、破断強度および貯蔵弾性率の指数値は、大なる程良好であり、tanδの指数値は小さいほど良好である。この結果を、下記の表中に併せて示す。
Figure 2014142319
上記表中に示すように、本発明に係る実施例4のゴム組成物においては、カチオン化微細セルロース繊維の添加量を増やすことで、300%モジュラスおよび貯蔵弾性率の値が大幅に向上することが確かめられた。一方、実施例4のカチオン化微細セルロース繊維を未処理の微細セルロース繊維に変えた比較例5のゴム組成物においては、300%モジュラスおよび貯蔵弾性率の値は向上しているものの、破断強度が大幅に悪化する結果となった。
[実施例5]
天然ゴム(NR)ラテックス(固形分濃度61質量%)16gに対し、カチオン化微細セルロース繊維分散液(1)556gを加えた。次いで、ホモジナイザー(IKA社製 ULTRA−TURRAX T25)を用いて、11,000rpm、10分間撹拌・混合し、ゴム−セルロース分散液(1)を得た。このゴム−セルロース分散液(1)を分液ロートに入れ、60分間静置した後、分散液が2層に分離したことを確認した。透明な下層を除去・回収して質量を量ったところ、水分の40%が回収できた。
次に、上層を回収して、バットに入れ、110℃のオーブン中にて乾燥し、残りの水分を除去し、ゴム組成物(1)を得た。このゴム組成物(1)に対し、他の配合成分としての、亜鉛華(1号亜鉛華、浅岡窯業原料(株)製)3質量部、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、和光純薬工業(株)製)1質量部、硫黄(5%油処理粉末硫黄、鶴見化学工業(株)製)2質量部、ステアリン酸(和光純薬工業(株)製)3質量部を混合して、ラボ混練機により通常の混練を行った。具体的には、ゴム組成物(1)に対し、ステアリン酸および亜鉛華を添加し、140℃で3分間、混練装置(ラボプラストミルμ、(株)東洋精機製作所製)を用いて混練し、さらに加硫促進剤および硫黄を添加して、80℃で3分間混練した。得られた混合物を160℃で10分間加圧プレス加硫して、厚さ1mmの加硫ゴム組成物(1)を得た。加硫ゴム組成物(1)の分散性を、光学顕微鏡(400倍)で観察した結果、分散性は良好であった。
[実施例6]
カチオン化微細セルロース繊維分散液(1)とゴムラテックスとの混合条件を11,000rpm、60分間に変えた以外は実施例5と同様にして、ゴム−セルロース分散液(2)を得た。このゴム−セルロース分散液(2)を分液ロートに入れたところ、速やかに分散液が2層に分離したことを確認した。透明な下層を除去・回収して質量を量ったところ、水分の56%が回収できた。
さらに、実施例5と同様にして、分散液の上層を乾燥し(ゴム組成物(2))、他の配合成分を混練によって混合してから加圧プレス加硫を行い、加硫ゴム組成物(2)を得た。加硫ゴム組成物(2)の分散性を、光学顕微鏡(400倍)で観察した結果、分散性は良好であった。
[実施例7]
カチオン化微細セルロース繊維分散液(2)(液体:水,数平均繊維径3.8nm,数平均繊維長480nm,アスペクト比190,固形分濃度0.09%,カチオン導入量0.64mmol/g)を使用した以外は実施例5と同様にして、ゴムラテックスと混合し、ゴム−セルロース分散液(3)を得た。このゴム−セルロース分散液(3)を分液ロートに入れ、5分後、2層に分離していることを確認した。透明な下層を除去・回収して質量を量ったところ、水分の67%が回収できた。
さらに、実施例5と同様にして、分散液の上層を乾燥し(ゴム組成物(3))、他の配合成分を混練によって混合してから加圧プレス加硫を行い、加硫ゴム組成物(3)を得た。
[参考例1]
実施例5で用いた天然ゴムラテックスをバットに入れ、110℃で乾燥し、ゴム組成物(4)を得た。次に、実施例5と同様にして、他の配合成分を混練によって混合してから加圧プレス加硫を行い、加硫ゴム組成物(4)を得た。
得られた加硫ゴム組成物(1)〜(4)を所定のダンベル形状の試験片に打ち抜き、JIS K6251に準じた引張試験により、破断伸度、破断強度(Tb)および300%伸長時の引張り応力(300%モジュラス(M300))を測定した。測定結果は、参考例1の値を100とする指数値にて示した。いずれの値も、大なるほど補強性に優れ、良好であることを示す。この結果を、下記の表中に併せて示す。
Figure 2014142319
上記表中に示すように、本発明の製造方法により得られた加硫ゴム組成物は、本発明の製造方法を用いない参考例により得られた加硫ゴム組成物と比べ、良好な機械的性質を有していることがわかる。また、本発明の製造方法によれば、分散液中の水分を効率よく除去することができるので、製造コストの低減に寄与することが期待できる。
1A カチオン化処理されていない短繊維
1B カチオン化処理された短繊維
2 ゴム粒子

Claims (12)

  1. ゴム成分と、短繊維とを含有するゴム組成物であって、該短繊維がカチオン化処理されていることを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記カチオン化処理された短繊維の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対し、0.1〜50質量部である請求項1記載のゴム組成物。
  3. 請求項1記載のゴム組成物の製造方法であって、
    前記カチオン化処理された短繊維とゴムラテックスとを混合して、ゴム−短繊維混合液を調製する混合工程と、該ゴム−短繊維混合液を乾燥させてゴム組成物を得る乾燥工程と、を含むことを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  4. 請求項1記載のゴム組成物の製造方法であって、
    前記カチオン化処理された短繊維とゴムラテックスとを混合して、ゴム−短繊維混合液を調製する混合工程において、該ゴム−短繊維混合液を2層に分離した状態とすることを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  5. 前記混合工程において、前記ゴム−短繊維混合液が2層に分離した状態となった後に、水を主成分として含む層を除去する請求項4記載のゴム組成物の製造方法。
  6. 前記混合工程に先立って、前記カチオン化処理された短繊維を液体中に添加して短繊維分散液を調製し、該混合工程において、該短繊維分散液と前記ゴムラテックスとを混合する請求項3または4記載のゴム組成物の製造方法。
  7. 前記混合工程において、さらに、カーボンブラックおよび無機化合物よりなる群から選択される少なくとも一種の分散剤を混合する請求項3または4記載のゴム組成物の製造方法。
  8. 前記分散剤の配合量を、前記カチオン化処理された短繊維の配合量の0.1〜100倍とする請求項7記載のゴム組成物の製造方法。
  9. 前記混合工程において、前記分散剤を、前記カチオン化処理された短繊維と前記ゴムラテックスとの混合物に対し、混合する請求項7記載のゴム組成物の製造方法。
  10. 前記混合工程に先立って、前記分散剤を、前記液体と同種または別種の液体中に添加して分散剤分散液を調製し、該混合工程において、該分散剤分散液を混合する請求項7記載のゴム組成物の製造方法。
  11. 請求項1記載のゴム組成物を加硫して得られたことを特徴とする加硫ゴム。
  12. 請求項11記載の加硫ゴムを用いたことを特徴とするタイヤ。
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