JP2014074164A - ゴム改質材、ゴムラテックス分散液、及びゴム組成物 - Google Patents

ゴム改質材、ゴムラテックス分散液、及びゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】分散液中で良好な分散性を示し、ゴム補強性などのゴム改質効果に優れたゴム改質材を提供する。
【解決手段】セルロース繊維からなるゴム改質材であって、該セルロース繊維が、1g当たりの表面積が50m以上の変性セルロース繊維であるゴム改質材、該ゴム改質材を含有するゴム改質材分散液、該ゴム改質材とゴムラテックスとを含有するゴムラテックス分散液、該ゴム改質材とゴムとを含有するゴム組成物、及び該ゴムラテックス分散液を用いて製造されたゴム組成物。本発明のゴム改質材によれば、高い弾性率、高い破壊強度、低発熱性のゴム組成物を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明はゴムの改質材に関し、詳しくはセルロース繊維を用いたゴム改質材に関する。
本発明はまた、このゴム改質材を含むゴム改質材分散液、ゴムラテックス分散液、及びゴム組成物に関する。
ゴムに繊維を混合して硬度やモジュラスなどを改善する技術は既に知られており、径が太い繊維はゴムへ分散しやすいが、耐疲労性などの物性が低下し、径が細いと逆に耐疲労性は向上するが、繊維同士が凝集したり、絡まったりしてゴムへの分散性が悪化する傾向がある。
そこで、特許文献1では、断面が海島構造を持つ混紡糸繊維をゴムに分散させて、混合時の剪断力によってフィブリル化させることによってゴムとの接触面積を増し、分散性と耐疲労性を両立させる方法が提案されている。しかしながら、この繊維は樹脂の相分離によって海島構造を形成するため、太さや長さが不均一であり、直径は1μm及び0.7μmと太く、ゴムとの接触面積が十分大きいとは言えず、大きな補強効果は期待できない。
特許文献2には、耐摩耗性向上を目的として補強剤である澱粉と共に0.1μmと微細な直径をもつバクテリアセルロースをジエン系ゴムに混ぜると、澱粉単独で配合する場合に比べて耐摩耗性指数が向上することが開示されている。しかし、セルロース単体では加工性に問題あるとされ、澱粉をセルロースの5倍以上配合している。バクテリアセルロースは水中ではナノサイズに分散しているが、ゴム中では凝集しやすい傾向があることから、澱粉の配合によって、分散性の向上を図ったものと考えられるが、この澱粉により補強効果が相殺され、補強効果としては未だ十分ではないと予想される。
特開平10−7811号公報 特開2005−133025号公報
本発明は、セルロース繊維を用いたゴム改質材であって、分散液中で良好な分散性を示し、ゴム補強性などのゴム改質効果に優れたゴム改質材を提供することを課題とする。
本発明はまた、高い弾性率、高い破壊強度を有し、低発熱性のゴム組成物を得ることができるゴム改質材を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、ゴム改質材として、1g当たりの表面積が50m以上の変性セルロース繊維を用いることにより、上記課題を解決できることがわかり本発明に到達した。
すなわち、本発明は、セルロース繊維からなるゴム改質材であって、該セルロース繊維は、1g当たりの表面積が50m以上の変性セルロース繊維であるゴム改質材、該ゴム改質材を含有するゴム改質材分散液、該ゴム改質材とゴムラテックスとを含有するゴムラテックス分散液、該ゴム改質材とゴムとを含有するゴム組成物、及び該ゴムラテックス分散液を用いて製造されたゴム組成物、に存する。
本発明のゴム改質材は、ゴムラテックス分散液中において優れた分散性を示し、さらにはゴム組成物中でも良好に分散し、かつ、本発明のゴム改質材を含有するゴム組成物または本発明のゴムラテックス分散液を用いて製造されたゴム組成物は、高い弾性率、高い破壊強度を有し、ゴムの補強効果が高く、また発熱性も低い。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
[ゴム改質材]
本発明のゴム改質材は、セルロース繊維からなるゴム改質材であって、該セルロース繊維が、1g当たりの表面積が50m以上の変性セルロース繊維であることを特徴とする。
<セルロース繊維の表面積>
本発明のゴム改質材として用いるセルロース繊維は、1g当たりの表面積が50m以上の変性セルロース繊維であることを特徴とする。
本発明に係る変性セルロース繊維の表面積は1g当たり50m以上であればよく、この表面積は好ましくは130m以上、更に好ましくは260m以上、特に好ましくは500m以上であり、通常700m以下である。表面積をこの範囲とすることにより、単位重量当たりのセルロース繊維表面とゴムとの界面での相互作用が強くなり、セルロース繊維とゴムとの界面剥離による強度の劣化を抑制することができ、繰り返し伸展した際の破壊強度、耐久性が向上するという効果を得ることができる。
セルロース繊維の1g当たりの表面積は、下記式1によって算出することができる。
Figure 2014074164
ここで、1g当たりのセルロース繊維の表面積の単位はm、繊維の平均直径(平均直径は、後述の平均繊維径である。)の単位はcm、繊維の平均長さ(平均長さは、後述の数平均繊維長である。)の単位はcmを使用する。また、繊維の平均体積(単位cm)は下記の式2によって算出することができる。また、本発明では、セルロースの密度は1.5g/cmとして算出する。
Figure 2014074164
<セルロース繊維の表面積の調整方法>
本発明で用いる変性セルロース繊維の表面積を上記の範囲に調整する方法としては特に制限はなく、いずれの方法で表面積を調整してもよい。例えば、後述するセルロース繊維原料に対して解繊処理を行って表面積を調整してもよいし、該セルロース繊維原料をゴムラテックス中に分散させた状態で解繊処理を行って表面積を調整してもよい。また、セルロース繊維の表面を酸やアルカリで処理して非晶部分を除去するようなエッチング方法を用いて、表面積を調整してもよい。
<セルロース繊維の繊維径>
本発明で用いる変性セルロース繊維の数平均繊維径は好ましくは50nm以下、より好ましくは35nm以下、さらに好ましくは20nm以下、特に好ましくは10nm以下である。また、該変性セルロース繊維の数平均繊維径は、小さい程好ましいが、高い補強効果を発現するためには、セルロースの結晶性を維持することが重要であり、2nm以上が好ましく、実質的にはセルロース結晶単位の繊維径である4nm以上であることがより好ましい。変性セルロース繊維の平均繊維径が上記の下限値未満の場合は、セルロースのI型結晶構造が維持できず、繊維自体の強度や弾性率が低下し、補強効果が得られ難い。また、変性セルロース繊維の平均繊維径が上記上限値を超える場合はゴムとの接触面積が小さくなるため、補強効果が小さくなる。
<セルロース繊維の繊維長>
本発明で用いる変性セルロース繊維の数平均繊維長は、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、更に好ましくは300nm以上であり、また、好ましくは10,000nm以下、より好ましくは5,000nm以下、更に好ましくは2,000nm以下である。
変性セルロース繊維の数平均繊維長が長過ぎると繊維自身が絡まりあい、ゴム中での分散性が低下する、短過ぎると補強効果が低下する恐れがある。
尚、変性セルロース繊維の繊維径及び繊維長は、例えば、ゴム改質材分散液中の変性セルロース繊維の繊維径及び繊維長であれば、ゴム改質材分散液中の分散媒を乾燥除去した後(シート化後)、走査型電子顕微鏡(以下SEM)や透過型電子顕微鏡(以下TEM)、原子間力顕微鏡(以下AFM)、X線小角散乱(以下SAXS)等で観察することにより計測して求めることができる。ゴムラテックス分散液中の変性セルロース繊維についても、ゴムラテックスを除去して同様に観察することにより計測して求めることができる。
<変性セルロース繊維>
本発明で用いるセルロース繊維は、変性セルロース繊維であることを特徴とする。変性セルロース繊維とは、セルロースの有する水酸基やヒドロキシメチル基などの基が、他の基に置き換わっているもの(置換されているもの)をいう。変性セルロースを用いることにより、ゴムとの親和性が向上するなどの効果を得ることができる。
ここで、セルロースの有する水酸基やヒドロキシメチル基などの基に置換される他の基(以下単に「他の基」と称す場合がある。)としては、カルボキシ基、アシル基、イソシアネート基、アルキル基、脂環式化合物由来の基、リン酸由来の基、カルボン酸由来の基、アルキルエステル基、アルキルカルバメート基、アリールカルバメート基、アミノ基、クロル基などの1種または2種以上が挙げられる。
該アシル基として具体的には、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等が挙げられる。
該イソシアネート基として具体的には、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等が挙げられる。
該アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。
該脂環式化合物由来の基として具体的には、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。
該リン酸由来の基として具体的には、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、ポリリン酸基、及びポリホスホン酸基等が挙げられる。
該カルボン酸由来の基としては、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、ピロメリット酸、1,2−シクロヘキサンカルボン酸等のジカルボン酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、無水1,2−シクロヘキサンカルボン酸、酸無水物のイミド化物、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等を反応させてなる基が挙げられる。
他の基としては、中でも、カルボキシ基、アシル基、リン酸由来の基、カルボン酸由来の基が好ましい。
尚、変性セルロース繊維は、上記の他の基が、セルロース繊維に対して好ましくは0.1mmol/g以上、さらに好ましくは0.2mmol/g以上、より好ましくは0.4mmol/g以上導入されていることが好ましく、好ましくは5.0mmol/g以下、より好ましくは4.5mmol/g以下、より好ましくは4.0mmol/g以下、さらに好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.8mmol/g以下、特に好ましくは1.5mmol/g以下、とりわけ好ましくは1.0mmol/g以下導入されていることが好ましい。
セルロース繊維への他の基の導入量を多くすることは後の工程におけるゴムとの複合化の際、ゴムとの親和性が上がり好ましい。他の基の導入量が少な過ぎると、これらの基を導入したことによるゴムとの親和性の向上効果を十分に得ることができない場合がある。
ここで、他の基の導入量を求める方法としては、例えば、TAPPI T237 cm−08(2008) を用いて算出する方法や、窒素測定装置を用いて、JIS−K2609に準じて測定する方法、元素分析により求める方法などが挙げられ、導入した基により最適な方法を選択すればよい。
<変性セルロース繊維の製造方法>
本発明で用いる特定の表面積を有する変性セルロース繊維の製造方法には特に制限はなく、以下のセルロース繊維原料を用いてセルロース繊維を製造するに際し、任意の過程で表面積の調整と前述の他の基の導入を行って製造することができる。
<セルロース繊維原料>
本発明において、セルロース繊維原料としては、下記に示すようなセルロース含有物から一般的な精製工程を経て不純物を除去したものが挙げられる。
(セルロース含有物)
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質(木粉等)、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維などの植物由来原料、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。特に、植物由来原料から得られるセルロース繊維が好ましい。針葉樹や広葉樹等の木質は微細な繊維が得られ、かつ地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源であることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、経済的な点から優位である。
尚、セルロース含有物を木材チップや木粉などの状態に破砕してもよく、この破砕は、精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。
セルロース含有物を精製して得られるセルロース繊維原料の精製度合いは特に定めはないが、油脂、リグニンが少なく、セルロース成分の含有率が高い方がセルロース繊維原料の着色が少なく好ましい。セルロース成分の含有率は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
(その他のセルロース繊維原料)
その他、セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどのパルプを用いてもよい。
セルロース繊維原料は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
(α−セルロース含有率)
セルロース繊維原料のセルロース成分は結晶性のα−セルロース成分と非結晶性のヘミセルロース成分に分類できる。結晶性のα−セルロース含有率が多い方が、ゴム組成物とした際に低線膨張係数、高弾性率、高強度の効果が得られやすいため好ましい。セルロース繊維原料のα−セルロース含有率は好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
(数平均繊維径)
セルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではないが、通常、数平均繊維径としては1μmから1mmである。一般的な精製を経たものは50μm程度である。
<変性セルロース繊維の製造>
変性セルロース繊維を製造するには、例えば、セルロースに対し、化学的または物理的処理により、セルロースの水酸基に他の基を導入する方法が挙げられる。この他の基の導入はセルロース繊維原料に対して行ってもよいし、解繊処理後のセルロース繊維に対して行ってもよい。
化学的処理により上記の他の基を導入する方法としては、特に限定されるものではないが、セルロース繊維原料又は解繊処理後のセルロース繊維と次に挙げるような化学修飾剤とを反応させる方法がある。この反応条件についても特に限定されるものではないが、必要に応じて溶媒、触媒等を用いたり、加熱、減圧等を行うこともできる。
化学修飾剤の種類としては、導入したい基により選択すればよく、例えば、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、イソシアナート、アルコキシシラン、オキシラン(エポキシ)等の環状エーテル、リン酸またはリン酸誘導体等が挙げられる。
また、物理的処理としては、例えば、セルロース繊維原料にオゾン処理を施して、酸化することにより、カルボキシ基を導入したセルロースを得ることができる。この場合、オゾン処理のみでも構わないが、変性セルロース繊維の収率をより高くできることから、オゾン処理後に、オゾン処理した繊維原料をオゾン以外の酸化剤によってさらに酸化処理(以下、「追酸化処理」という。)することが好ましい。追酸化処理に用いるオゾン以外の酸化剤としては、公知の酸化剤(例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物)溶液が使用される。酸化剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
酸化剤溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよいが、極性溶媒(水、アルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
<セルロース繊維原料の前処理>
本発明に係るセルロース繊維は、前記セルロース繊維原料をそのまま解繊しても得られるが、解繊により微細なセルロース繊維を効率よく得るために前処理を行ってもよい。
前処理としては、セルロースの酸化処理、酵素処理などが挙げられる。
<解繊処理>
前述のセルロース繊維原料に、細かく繊維を裂く解繊処理を施すことにより、新たな表面を作り出し、表面積を増大させて、1g当たりの表面積が50m以上の変性セルロース繊維である本発明のゴム改質材を得ることができる。
解繊処理の具体的な方法としては、特に制限はないが、例えば、直径1mm程度のセラミック製ビーズをセルロース繊維原料濃度0.1〜10重量%、例えば1重量%程度のセルロース繊維原料の分散液(以下、「セルロース繊維分散液」と称す場合がある。)に入れ、ペイントシェーカーやビーズミル等を用いて振動を与え、繊維を押しつぶすことで解繊する方法が挙げられ、このような解繊処理で新たな表面を作ることができる。
なお、セルロース繊維分散液の分散媒としては、有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合液を使用することができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコール−モノ−t−ブチルエーテル等のアルコール類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、その他水溶性の有機溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。分散媒は、新たに創出した表面と親和性のよい分散媒が好ましい。特に有機溶媒と水との混合液又は水であることが好ましく、更に好ましくは水である。
また、解繊方法としては、ブレンダータイプの分散機や高速回転するスリットの間に、セルロース繊維分散液を通して剪断力を働かせて解繊し、新しい表面を創出する方法(高速回転式ホモジナイザーを用いる方法)や、高圧から急に減圧することによって、内部に溜まった圧力によりセルロース繊維間に大きな剪断力を発生させて、内部から破壊するように解繊し、新たな表面を創出する方法(高圧ホモジナイザー法を用いる方法)、「マスコマイザーX(増幸産業)」のように、セルロース繊維同士を対向衝突させることで、セルロース繊維を裂解させて新たな表面を創出する様な分散機等を用いる方法などが挙げられる。特に、高速回転式ホモジナイザーや高圧ホモジナイザーによる処理を採用することにより、単位時間当たりの解繊の効率が向上する。
また、超音波ホモジナイザー等を用いて、強力なせん断場を与えることで繊維を裂くことで表面積を増大させる方法も採用することができる。
セルロース繊維にカルボキシ基やアミノ基などの電荷を有する官能基がある場合は、同一電荷による反発力により、より少ないエネルギーでセルロース繊維を解繊して、表面積を増大させることができるので好ましく利用することができる。
これらの処理で解繊する場合は、セルロース繊維原料としての固形分濃度が0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、特に0.3重量%以上、また10重量%以下、特に6重量%以下のセルロース繊維分散液に対して解繊処理を行うことが好ましい。この解繊処理に供するセルロース繊維分散液中の固形分濃度が低過ぎると処理するセルロース繊維原料量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪く、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなるため、解繊処理に供するセルロース繊維分散液は適宜水を添加するなどして濃度調整する。
なお、このような高圧ホモジナイザーによる処理、高速回転式ホモジナイザーによる処理の後に、超音波処理を組み合わせた解繊(微細化)処理を行ってもよい。
また、解繊処理した後は、遠心分離を用いてセルロース繊維分散液中の解繊不良のセルロース繊維を分離、除去してもよい。遠心分離でセルロース繊維分散液中の解繊不良のセルロース繊維を分離、除去することで、より均一で細かい微細セルロース繊維分散液の上澄み液が得られる。遠心分離の条件については、用いる解繊処理によるので特に限定されるものではないが、例えば3000G以上、好ましくは10000G以上の遠心力をかけることが好ましい。また、遠心分離の時間は例えば1分以上、好ましくは5分以上とすることが好ましい。遠心力が小さすぎたり、時間が短すぎたりすると、解繊不良のセルロース繊維の分離・除去が不十分になり、好ましくない。
また、遠心分離を行う際、セルロース繊維分散液の粘度が高いと、分離効率が落ちるため好ましくない。このため、セルロース繊維分散液の粘度としては、25℃において測定されるずり速度10s−1における粘度が500mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下であることが好ましい。
[ゴム改質材分散液]
本発明のゴム改質材分散液は、本発明のゴム改質材が分散媒中に分散したものである。
分散媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、エーテル、グリコールエーテル、環状エーテル、アミド、芳香族系炭化水素、非プロトン性極性分散媒などが挙げられる。これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ゴム改質材の分散媒として使用される溶媒は、後の工程で溶媒を除去する工程があることから沸点が高すぎないことが好ましい。溶媒の沸点は300℃以下が好ましく、200℃以下が好ましく、180℃以下が更に好ましい。また、取扱い性などの点から、70℃以上が好ましい。
分散媒としての芳香族系炭化水素の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。
ケトン(ケトン基を有する液体を指す)としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソプロピルケトン、ジ−tert−ブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルメチルケトン、アセトフェノン、アセチルアセトン、ジオキサン等が挙げられる。この中でも、好ましくは、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノンであり、より好ましくは、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノンである。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、フラン、ジベンゾフラン等が挙げられる。この中でも、好ましくは、ジエチルエーテル、フランである。
非プロトン性極性分散媒としては、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
グリコールエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
本発明のゴム改質材分散液におけるゴム改質材(1g当たりの表面積が50m以上の変性セルロース繊維)の含有量は特に限定されないが、粘度や液安定性が好適なものになるといった取扱い性の点から、分散液全量に対して、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。
なお、この分散液中には、各種添加剤が含まれていてもよい。
[ゴムラテックス分散液]
本発明のゴムラテックス分散液は、本発明のゴム改質材とゴムラテックスとを含有するものである。
本発明のゴムラテックス分散液の調製に際しては、本発明のゴム改質材とゴムラテックスとを混合して得てもよいし、本発明のゴム改質材分散液とゴムラテックスを混合して得てもよい。また、変性したセルロース繊維原料をそのままゴムラテックスと混合させて、この混合液の中で解繊処理を行うことにより、本発明のゴム改質材とゴムラテックスとを含有するゴムラテックス分散液を得てもよい。この場合、本発明のゴム改質材は、セルロース繊維原料が、ゴムラテックス中に分散された状態のものとなり、これをさらに解繊処理することで、高い分散性を有する、本発明のゴム改質材を含有する本発明のゴムラテックス分散液を得ることができる。
この場合の解繊処理について、以下に説明する。
変性したセルロース繊維原料を分散させる分散媒としては、通常水が用いられるが、有機溶媒等、上述したゴム改質材分散液の分散媒を利用してもよい。その場合は、通常、セルロース繊維原料は水分散液の状態にあるので、あらかじめセルロース繊維原料の水分散液中の水を有機溶媒に置換してもよい。溶媒置換工程において溶媒を置換する方法は特に限定されないが、セルロース繊維原料を含有する水分散液から濾過などにより水を除去し、ここに解繊時使用する有機溶媒を添加し、攪拌混合し、再度濾過により有機溶媒を除去する方法が挙げられる。有機溶媒の添加と濾過を繰り返すことで、分散液中の媒体を水から有機溶媒に置換することができる。
なお、使用する有機溶媒が非水溶性の場合、水溶性の有機溶媒に一度置換した後、非水溶性の有機溶媒に置換してもよい。
次に、変性したセルロース繊維原料を含有する、セルロース繊維原料分散液と、ゴムラテックスとを混合する。混合に際しては、分散液にゴムラテックスを直接加えて混合してもよい。
この解繊前のゴムラテックス分散液中における変性したセルロース繊維原料の含有量は特に限定されないが、解繊前のゴムラテックス分散液全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。
解繊前のゴムラテックス分散液中におけるゴムの固形分量は特に限定されないが、解繊前のゴムラテックス分散液全量に対して、2重量%以上が好ましく、2.5重量%以上がより好ましく、95重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましい。
この解繊前のゴムラテックス分散液に対して、解繊処理を施す際の解繊処理の方法は、前記のセルロース繊維原料の解繊処理方法と同様である。
解繊工程を経て得られたゴムラテックス分散液中には、解繊された変性セルロース繊維が均一に分散しており、セルロース繊維の凝集や沈降が抑制され、優れた液安定性を有する。
また、変性セルロース繊維とゴムラテックスとを含有する本発明のゴムラテックス分散液を用いて得られる加硫工程後の複合体中においては、変性セルロース繊維が加硫ゴム成分中に均一に分散し、高弾性率、低損失正接を示す。
本発明のゴムラテックス分散液中における変性セルロース繊維の含有量は、使用される出発原料であるセルロース繊維原料量によって適宜調整されるが、分散液の安定性の点から、分散液全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。
また、ゴムラテックス分散液中の変性セルロース繊維はゴム成分100重量部に対して、通常1重量部以上、好ましくは3重量部以上、更に好ましくは5重量部以上、通常100重量部以下、好ましくは70重量部以下、更に好ましくは50重量部以下である。変性セルロース繊維量が少ないと補強効果が充分でなく、逆に多いとゴムの加工性が低下する。
本発明のゴムラテックス分散液には、変性セルロース繊維、ゴム成分の他に、従来ゴム工業で使用される他の配合剤を添加してもよい。例えば、他の補強材としてシリカ粒子やカーボンブラック、繊維などの、無機、有機のフィラー、シランカップリング剤、加硫剤、ステアリン酸、加硫促進剤、加硫促進助剤、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤などが挙げられる。
このうち、加硫剤としては、有機過酸化物または硫黄系加硫剤を使用することが可能である。有機過酸化物としては従来ゴム工業で使用される各種のものが使用可能であるが、中でも、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン及びジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。また、硫黄系加硫剤としては、例えば硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができ、中でも硫黄が好ましい。これらの加硫剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴムラテックス分散液中の加硫剤の配合量としては、ゴム成分100重量部に対して硫黄の場合、通常7.0重量部以下、好ましくは6.0重量部以下である。また、通常1.0重量部以上、好ましくは3.0重量部以上、中でも4.0重量部以上である。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、本発明のゴム改質材とゴムとを含有することを特徴とする。または、本発明のゴム組成物は、本発明のゴムラテックス分散液を用いて製造される。本発明のゴム組成物は加硫前のものであっても加硫後のものであってもよい。
以下に、本発明のゴム組成物の製造方法について説明する。
なお、本発明のゴム組成物の製造方法は、必要に応じて、以下詳述の複合化工程の前にゴム成分を添加する添加工程を備えていてもよい。
<複合化工程>
複合化工程では、ゴムラテックス分散液を加硫反応させることにより(加硫工程)、変性セルロース繊維と加硫ゴム成分とを含有するゴム組成物を得る。
本発明のゴム組成物は、本発明のゴムラテックス分散液から、必要に応じて溶媒を除去し、更にゴム成分と前述の各種配合剤を、ゴム用混練機等、公知の方法を用いて混合した後、成形して、公知の方法で加硫反応させることにより得られる。
加硫工程に先立つ成形には、各種の方法が可能であり、例えば、ゴムラテックス分散液を、基板上へ塗布して塗膜状としてもよく、型内に流し込んでもよく、或いは押し出し加工してもよい。この際、必要に応じて、乾燥処理を施して、溶媒を除去してもよい。例えば、本発明のゴムラテックス分散液を用いて、ゴムラテックス中に分散したセルロース繊維から水分を除去し、必要な配合剤を加えてゴム組成物とし、混練りして、未加硫状態で所望の適用部材の形状に合わせて押し出し加工し、成形機上にて通常の方法により成形することにより、加硫前ゴム組成物を形成してもよい。この加硫前ゴム組成物を加硫機中で加熱加圧することにより、加硫ゴム組成物を得ることができる。かかる加硫ゴム組成物は、良好な耐久性を有する。
加硫工程の条件は特に限定されず、ゴム成分を加硫ゴムとすることができる温度以上であればよい。なかでも、有機溶媒を揮発させて除去できる点から、加熱温度は、60℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。なお、変性セルロース繊維の分解を抑制する点から、加熱温度は250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。加熱時間は、生産性などの点から、通常3分以上、好ましくは5分以上で、180分以下が好ましい。
加熱処理は複数回にわたって、温度・加熱時間を変更して実施してもよい。
<変性セルロース繊維の含有量>
本発明のゴム組成物における変性セルロース繊維の含有量は目的に応じて適宜調整されるが、補強効果の点から、ゴム組成物全量に対して、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。
<変性セルロース繊維とゴム成分との重量比>
本発明のゴム組成物中に含まれる変性セルロース繊維とゴム成分との重量比は、本発明のゴムラテックス分散液における変性セルロース繊維とゴム成分との重量比と同じである。
変性セルロース繊維はゴム成分100重量部に対して、通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、更に好ましくは5重量部以上、通常100重量部以下、好ましくは70重量部以下、更に好ましくは50重量部以下である。ゴム組成物中の変性セルロース繊維量が少ないと補強効果が充分でなく、逆に多いとゴムの加工性が低下する。
<変性セルロース繊維の分散状態>
本発明のゴム組成物は、変性セルロース繊維が凝集塊を作ることなくゴム成分中に安定に分散しており、変性セルロース繊維による補強効果によって、高い弾性率が達成されると同時に、ゴム本来の伸びが阻害されないことから、高い破断伸び及び発熱性の低さが達成されると考えられる。
なお、本発明のゴム組成物における、変性セルロース繊維の分散状態は、SEM等により断面構造を観察することにより確認することができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
以下において、セルロース繊維の比表面積は、前述の式1,2より算出した。
数平均繊維径及び数平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下のようにして測定した。
手法:原子間力顕微鏡法(タッピングモード)
探針:未修飾のSi製カンチレバー(NCH)
環境:室温・大気中(湿度50%程度)
装置:ブルカー社製DigitalInstrument NanoscopeIII
データサンプリング数:512×512ポイント
AFM像の種別:高さ像,位相像(繊維を1本ずつ認識するため)
画像解析法:AFM観察像から繊維をトレースして、繊維を1本ずつ抽出し、
繊維1本の高さの最高値を繊維の太さとして計測した。
この計測値を平均して数平均繊維径とした。
また、数平均繊維長については観察画像から測長した。
[製造例1:カルボキシセルロース繊維の調製]
容器にセルロース繊維原料として広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP、王子製紙社製:水分30%、フリーネス600mLcsf)をパルプ乾燥重量として20g及び空気2Lを加えた後、オゾン濃度200g/mのオゾン/酸素混合気体を15L加え、25℃で2分間振とう、及び6時間静置を順次行った後、容器内のオゾン及び空気を除去してオゾン処理を行った。この操作を2回行い、イオン交換水で十分に洗浄/脱水してオゾン処理したセルロース繊維を得た。
得られたオゾン処理後のセルロース繊維(固形分濃度20重量%)に対して、塩酸により水溶液pHを4〜5に調整した0.2重量%濃度の亜塩素酸ナトリウム水溶液を200g(セルロース繊維の乾燥重量に対して、亜塩素酸ナトリウムとして3重量%相当)添加して、70℃で3時間処理してカルボキシ基を導入したセルロース繊維原料を得た。得られた繊維のカルボキシ基量は0.438mmol/gであった(セルロース繊維1)。
カルボキシ基量は、米国TAPPIの「Test Method T237 cm−08(2008):Carboxyl Content of pulp」の方法に従って定量した。この時、測定試料とする絶乾セルロース繊維は、加熱乾燥で起こりうる加熱によるセルロースの変質を避けるため、凍結乾燥により得たものを使用した。
[実施例1]
製造例1で得られたセルロース繊維1を固形分濃度が0.6重量%となるように水で希釈し、回転式高速ホモジナイザー(エム・テクニック社製クレアミックス0.8S)にて20000rpmで60分処理し、セルロース繊維の解繊を行った。次に、遠心分離機にて12000Gで10分間遠心分離して上澄み液を採取し、0.5質量%のセルロース繊維1(ゴム改質材1)の分散液を得た。解繊によりナノ繊維化されたセルロース繊維1の数平均繊維径は8nm、数平均繊維長は360nmで、1g当たりの比表面積は333mであった。
次に、天然ゴムラテックス(固形分濃度61重量%)100重量部に対し、上記得られたセルロース繊維1の分散液をセルロースの固形分量で5重量部となるように加え、脱塩水を加えてセルロースとゴムの固形分濃度が0.3重量%となるように調整した。次いで、ホモジナイザーを用いて混合し、ゴムラテックス分散液を得た。得られたゴムラテックス分散液中のセルロース繊維の分散性を目視で評価した結果、分散性は良好であった。
次に、得られたゴムラテックス分散液をバットに入れ、110℃のオーブン中にて乾燥固化し、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物中のセルロース繊維1の分散性を、目視で評価した結果、分散性は良好であった。
得られたゴム組成物(以下、ゴム組成物1という)は、ゴム成分(天然ゴムラテックス)100重量部に対して、セルロース繊維1を5重量部含む。これにさらに、亜鉛華(1号亜鉛華、浅岡窯業原料社製)3重量部、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、和光純薬工業社製)1重量部、硫黄(5%油処理粉末硫黄、鶴見化学工業社製)2重量部、ステアリン酸(和光純薬工業社製)3重量部を配合し、混練を行った。
詳細には、ゴム組成物1に対し、加硫促進剤と硫黄を除く成分を添加し、140℃で3分間混練装置(ラボプラストミルμ、東洋精機社製)を用い混練することによりゴム組成物2を得た。このゴム組成物2に加硫促進剤と硫黄を添加し、80℃で3分間混練することによりゴム組成物3を得た。このゴム組成物3を160℃で10分間加圧プレス加硫し、厚さ1mmのゴム組成物4(加硫ゴム組成物)を得た。
得られた加硫ゴム組成物を所定のダンベル形状の試験片にし、破断強度、M300を評価した。
破断強度及びM300は、JIS K6251に準じた引っ張り試験により、各加硫ゴム組成物の破断強度及び300%伸長時の引張り応力を測定し、天然ゴムのみの比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど補強性に優れることを示す。
この加硫ゴム組成物の破壊強度は171、M300は292であった。
[比較例1]
セルロース繊維(ゴム改質材)を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法で、加硫ゴム組成物を得、同様に破断強度、M300を測定し、破断強度、M300の測定値をそれぞれ100とした。
以上の実施例1及び比較例1の結果を表1にまとめて示す。
Figure 2014074164
表1より、本発明のゴム改質材を用いた実施例1のゴム組成物は、天然ゴムのみである比較例1と比べ、高い弾性率、高い破壊強度を示し、本発明のゴム改質材は補強性に優れることが分かる。
この結果は、本発明のゴム改質材のセルロース繊維が非常に広大な表面積を持つと共に変性されているため、ゴムとの相互作用が強大になることによるものと考えられる。

Claims (6)

  1. セルロース繊維からなるゴム改質材であって、
    該セルロース繊維は、1g当たりの表面積が50m以上の変性セルロース繊維であることを特徴とする、ゴム改質材。
  2. 該セルロース繊維の数平均繊維径が50nm以下である、請求項1に記載のゴム改質材。
  3. 請求項1または2に記載のゴム改質材を含む、ゴム改質材分散液。
  4. 請求項1または2に記載のゴム改質材とゴムラテックスとを含有する、ゴムラテックス分散液。
  5. 請求項1または2に記載のゴム改質材とゴムとを含有することを特徴とする、ゴム組成物。
  6. 請求項4に記載のゴムラテックス分散液を用いて製造された、ゴム組成物。
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