JP5966859B2 - 微細セルロース繊維分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はまた、この微細セルロース繊維分散液の製造方法より得られる微細セルロース繊維分散液と、この微細セルロース繊維分散液を用いて製造される微細セルロース繊維含有ゴム組成物及び該微細セルロース繊維含有ゴム組成物を加硫して得られる、微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物と、この微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を用いてなるタイヤに関する。
しかしながら、通常のセルロース繊維はゴムとの相溶性が悪いために、ゴム組成物として配合した場合に、破断強度や破断伸度等の面で十分な補強効果が得られず、この点を改善しなければ、各種用途への実用化は難しいと考えられる。
本発明の微細セルロース繊維分散液の製造方法は、微細セルロース繊維とゴム成分とを含有する微細セルロース繊維分散液の製造方法であって、N−オキシル化合物を用いて酸化処理されたセルロース繊維とゴム成分とを含有する原料分散液中でセルロース繊維を解繊して、微細セルロース繊維を得る解繊工程を備えることを特徴とする。
本発明では、このように、N−オキシル化合物を用いて酸化処理されたセルロース繊維に対して、ゴム成分の存在下にゴム成分と共に解繊処理を施すことにより、得られる微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物の破断強度および破断伸度の向上を図ることができる。
本発明で使用されるセルロース繊維は、微細セルロース繊維の原料となる材料であり、セルロースを含有する物質(セルロース含有物)またはセルロース含有物の精製等を経たもの(セルロース繊維原料)であればその種類は特に限定はされない。セルロース繊維として、セルロースを使用してもよいし、不純物を一部含むセルロースを使用してもよい。なかでも、本発明で使用されるセルロース繊維は、セルロース含有物から精製を経て不純物を除去されたものであることが好ましい。
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維などの植物由来原料、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。特に、植物由来原料から得られるセルロース繊維が好ましい。木質を本発明のセルロース繊維として使用する場合は、木材チップや木粉などの状態に切断ないし破砕して用いることが好ましい。この場合、セルロース含有物の切断ないし破砕は、精製処理前、処理の途中、精製処理後のいずれのタイミングで行ってもかまわない。
本発明においては、必要に応じて上記のセルロース含有物に精製処理を施して(精製工程)、セルロース含有物中のセルロース以外の物質、例えば、リグニンやヘミセルロース、樹脂(ヤニ)などを除去して用いる。
セルロース含有物の精製方法は特に制限されないが、例えば、脱脂処理、脱リグニン処理、脱ヘミセルロース処理などが挙げられる。一例としては、セルロース含有物をベンゼン−エタノールで脱脂処理した後、ワイズ法で脱リグニン処理を行い、アルカリで脱ヘミセルロース処理を行う方法が挙げられる。
また、必要に応じて、塩素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、二酸化塩素などで漂白処理を行ってもよい。
また、精製方法としては、一般的な化学パルプの製造方法、例えば、クラフトパルプ、サリファイドパルプ、アルカリパルプ、硝酸パルプの製造方法も挙げられる。また、セルロース含有物を蒸解釜で加熱処理して脱リグニン等の処理を行い、更に漂白処理等を行う方法も挙げられる。
セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどを用いてもよい。
本発明に用いられるセルロース繊維は、上記セルロース含有物を精製処理や、切断、破砕等を行うことにより、下記範囲の大きさとして用いることが好ましい。例えば、セルロース含有物のチップ等の数cm大のものを使用する場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、数mm程度にすることが好ましい。前述の如く、セルロース含有物の切断ないし破砕は、セルロース含有物の精製などの処理を行う場合、その処理前、処理中、処理後のいずれの時期に行ってもよい。例えば、精製処理前であれば衝撃式粉砕機や剪断式粉砕機などを用い、また精製処理中、処理後であればリファイナーなどを用いて行うことができる。
本発明において、解繊処理が施されるセルロース繊維は、N−オキシル化合物を用いて酸化処理されたセルロース繊維である。解繊処理を施すセルロース繊維は、上記セルロース含有物であっても、セルロース繊維原料であってもよいが、通常はセルロース繊維原料を用いる。
この分散液に対し、N−オキシル化合物を添加する。
本発明に係るセルロース繊維は、酸化処理の他にも、セルロース中の水酸基を他の基で修飾(置換)する修飾処理が施されたものであってもよい。このようなものとしては、具体的には、化学修飾によって誘導化されたもの(化学修飾セルロース繊維)が挙げられ、例えば、セルロース中の水酸基が化学修飾剤と反応して修飾された(置換された)ものである。尚、本発明における化学修飾とは、化学反応により、セルロース中の水酸基が他の基に誘導または置換されることをいう。
ゴム成分は天然ゴムと合成ゴムに大別できるが、これらのいずれか一方を単独で用いても、天然ゴムと合成ゴムを混合して用いてもよい。合成ゴムとしては公知のものから目的に応じて選択されるが、ジエン系ゴムが好ましく、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、およびブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明において、ゴム成分中でセルロース繊維の解繊を行う原料分散液に用いる溶媒(分散媒)としては、ゴム成分が溶解または分散すれば特に限定されないが、例えば、水、アルコール系溶媒などのプロトン性極性溶媒、ケトン系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、アミド系溶媒、芳香族系炭化水素、非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。好ましくは、水、アミド系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒である。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
非プロトン性極性溶剤としては、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
本発明の製造方法における解繊工程は、上記酸化処理を施したセルロース繊維と、ゴム成分とを含有する原料分散液中で、セルロース繊維の解繊処理を行い、微細セルロース繊維を得る工程である。
原料分散液の製造方法は特に限定されず、使用される各成分を混合することにより調製することができる。通常は、上記酸化処理を施したセルロース繊維を分散した分散液(セルロース繊維分散液)とゴム成分とを混合することにより調製することができる。
溶媒を置換する方法は特に限定されないが、セルロース繊維を含有する水分散液から濾過などにより水を除去し、ここに解繊時使用する有機溶媒を添加し、攪拌混合し、再度濾過により有機溶媒を除去する方法が挙げられる。有機溶媒の添加と濾過を繰り返すことで、分散液中の媒体を水から有機溶媒に置換することができる。
なお、使用する有機溶媒が非水溶性の場合、水溶性の有機溶媒に一度置換した後、非水溶性の有機溶媒に置換してもよい。
なお、上記溶媒置換工程においては、分散媒としてゴム成分を含有する溶媒を使用することもでき、この場合、上記混合工程は実施しなくてもよい。
本発明では、上記のように調製した原料分散液中で、セルロース繊維を解繊する。本発明において、解繊とは、繊維を解すことであり、通常は繊維をより小さなサイズにすることができるものである。
周速(m/sec)=2×回転羽の半径(m)×π×回転数(rpm)/60
よって、半径15mmの回転羽を用いる場合であれば、回転数としては、例えば、10000rpm以上程度が好ましく、20000rpm以上程度が特に好ましい。なお、回転数の上限は特に制限されないが、装置の性能上の観点から、30000rpm以下程度が好ましい。回転数が5000rpm以下ではセルロース繊維の解繊が不十分になる。
また、原料分散液に均一に剪断がかかるように、攪拌または循環することが好ましい。
噴出時の高圧条件が高いほど、圧力差により大きなへき開現象でより一層の微細化を図ることができるが、装置仕様の上限として、通常245MPa以下である。
上記解繊工程を経て得られた微細セルロース繊維分散液中には、微細セルロース繊維が均一に分散しており、微細セルロース繊維の凝集や沈降が抑制され、優れた液安定性を有する。
また、以下詳述する微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物中においては、微細セルロース繊維が加硫ゴム成分中に均一に分散し、高弾性率、低発熱性を示す。
なお、微細セルロース繊維分散液中の分散媒、ゴム成分は、上述した原料分散液の各成分の含有量と同じであり、好適な範囲も同じである。
また、微細セルロース繊維とゴム成分との重量比は、上記原料分散液中のセルロース繊維とゴム成分との重量比と同じである。さらに、ゴム成分と分散媒との重量比も、上述の通りである。
微細セルロース繊維分散液中のセルロース繊維量が少ないと補強効果が充分でなく、逆に多いとゴムの加工性が低下する場合がある。
上記解繊工程によって得られる微細セルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有することが好ましい。セルロースI型結晶は、他の結晶構造より結晶弾性率が高いため、高弾性率、高強度、低線膨張係数であり好ましい。
微細セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近と2θ=22〜23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
上記方法によって得られた微細セルロース繊維分散液中の微細セルロース繊維の数平均繊維径は、分散液中の分散媒を乾燥除去した後、SEMやTEM等で観察することにより計測して求めることができる。
本発明により得られる解繊された微細セルロース繊維の数平均繊維径は、得られる微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物がより優れた低線膨張性を示す点より、400nm以下が好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。尚、この数平均繊維径の下限は通常4nm以上である。
微細セルロース繊維の平均繊維径が上記下限未満の場合は、セルロースのI型結晶が壊れており、繊維自体の強度や弾性率が低下するため、補強効果が得られ難い。また、上記上限を超える場合はゴムとの接触面積が小さくなるため、補強効果が小さくなる。
得られた微細セルロース繊維分散液を以下に詳述する加硫反応に用いる場合は、通常、加熱処理、減圧処理等を行うことにより、該微細セルロース繊維分散液を乾燥、固化などさせ、分散液中の溶媒(分散媒)を除去して微細セルロース繊維含有ゴム組成物とすることができる。溶媒(分散媒)はその後の工程にあわせ、適当な量を除去すればよい。加熱処理の場合、加熱温度は、溶媒(分散媒)が水である場合には、通常100℃程度であり、分散液に含まれる溶媒(分散媒)の種類により適宜変化させることができる。
本発明の微細セルロース繊維分散液またはこの微細セルロース繊維分散液から溶媒(分散媒)を除去して得られる微細セルロース繊維含有ゴム組成物には、必要に応じて微細セルロース繊維、ゴム成分の他に、従来ゴム工業で使用される他の配合剤を添加してもよい。本発明の微細セルロース繊維分散液またはこの微細セルロース繊維分散液から溶媒(分散媒)を除去して得られる微細セルロース繊維含有ゴム組成物に添加し得るその他の添加剤としては、例えば、他の補強剤としてシリカ粒子やカーボンブラック、繊維などの、無機、有機のフィラー、シランカップリング剤、以下に説明する加硫剤、ステアリン酸、アミン類、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの加硫促進剤や加硫促進助剤、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、通常は、解繊処理後の微細セルロース繊維分散液またはこの微細セルロース繊維分散液から溶媒(分散媒)を除去して得られる微細セルロース繊維含有ゴム組成物に添加するが、あらかじめ原料分散液中に添加しておいてもよい。
加硫剤としては、有機過酸化物または硫黄系加硫剤を使用することが可能である。有機過酸化物としては従来ゴム工業で使用される各種のものが使用可能であるが、中でも、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼンおよびジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。また、硫黄系加硫剤としては、例えば硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができ、中でも硫黄が好ましい。これらの加硫剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物は、本発明の微細セルロース繊維分散液の製造方法を経て得られる本発明の微細セルロース繊維分散液から、溶媒(分散媒)を除去して微細セルロース繊維含有ゴム組成物を製造した後、この微細セルロース繊維含有ゴム組成物を加硫して製造される。具体的には、本発明の微細セルロース繊維分散液から溶媒(分散媒)を除去して得られる微細セルロース繊維含有ゴム組成物を加硫反応させ、微細セルロース繊維と加硫ゴム成分とを含有する微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物(以下、本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物と称することがある。)を得る工程である。なお、本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物の製造方法は、必要に応じて、該加硫工程の前に、微細セルロース繊維分散液または微細セルロース繊維含有ゴム組成物に、更にゴム成分を添加する添加工程を備えていてもよい。
加硫工程では、上記の微細セルロース繊維含有ゴム組成物を用いて、微細セルロース繊維と加硫ゴム成分とを含有する微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を得る。すなわち、微細セルロース繊維含有ゴム組成物を加硫反応させることにより(加硫工程)、微細セルロース繊維と加硫ゴム成分とを含有する微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を得ることができる。通常の場合、本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物は、本発明の微細セルロース繊維分散液から、必要に応じて溶媒を除去して微細セルロース繊維含有ゴム組成物とし、更にゴム成分と前述の各種配合剤を、ゴム用混練機等の公知の方法を用いて混合した後、成形し、公知の方法で加硫反応させることにより得られる。
例えば、微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物としての本発明のタイヤを例にとると、本発明のタイヤは、本発明の微細セルロース繊維分散液を用いて、従来公知の方法で製造される。すなわち、ゴム成分中に分散した微細セルロース繊維から水分やその他溶媒を除去し、微細セルロース繊維含有ゴム組成物とし、必要に応じて添加剤を加え、混練りして、未加硫状態でタイヤの所望の適用部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤの他の部材とともにタイヤ成形機上にて通常の方法により成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を用いるタイヤを得ることができる。かかる本発明のタイヤは、転がり抵抗が小さく、良好な操縦安定性と耐久性を有する。
(微細セルロース繊維の数平均繊維径)
上記の方法によって得られた微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物中の微細セルロース繊維の数平均繊維径は、微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を必要に応じて切り出し、SEMやTEM等で観察することにより計測して求めることができる。
微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物中における微細セルロース繊維の含有量は目的に応じて適宜調整されるが、補強の点から、微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物全量に対して、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物中の微細セルロース繊維量が少ないと補強効果が充分でなく、逆に多いとゴムの加工性が低下する場合がある。
このようにして得られる本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物は、数平均繊維径が4〜400nm、好ましくは4〜100nm、更に好ましくは4〜50nmの微細セルロース繊維が凝集塊を作ることなく加硫ゴム成分中に均一に分散しており、微細セルロース繊維による補強効果によって、高い弾性率が達成されると同時に、セルロース繊維の繊維径が細いためにゴム本来の伸びが阻害されないことから、高い破断伸度が達成されると考えられる。即ち、補強ゴムとして、耐久性及び剛性に優れた特性を示し、タイヤ等のゴム製品に好適に用いることができる。
なお、本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物における、微細セルロース繊維の分散状態は、SEM等により断面構造を観察することにより確認することができる。
本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物の好ましいものは、弾性率が15MPa以上、中でも4MPa以上、10GPa以下である。
なお、弾性率は、微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物より2mm厚のゴムスラブシートを作製し、10×40×2mmの測定用試験片を切り出し、SII社製DMS6100等の粘弾性装置を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、E*(複素弾性率)を測定することにより求めることができる。
本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物の好ましいものは、破断伸度が200%以上、中でも400%以上、10000%以下、好ましくは2000%以下である。
また、本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物の好ましいものは、破断強度が15MPa以上、中でも20MPa以上、40MPa以下、好ましくは35MPa以下である。
なお、破断伸度および破断強度は、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に従い、測定することができる。
本発明のタイヤは、上述の本発明の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を用いてなるものであり、例えば、乗用車用、トラック用、バス用、重車両用などの空気入りタイヤなどに適用することができる。
<原料分散液の調製>
セルロース繊維原料として広葉樹クラフトパルプ(以下LBKPと略する)を用いた。このLBKPのカルボキシ基量は、0.06mmol/gであった。
150g(固形分20%、水分80%、絶乾重量換算で30g)のLBKPを、3gの臭化ナトリウム、0.48gの2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)を溶解させたイオン交換水2500mlに分散させた。64.5g/Lの次亜塩素酸ナトリウム水溶液86.5mlを、0.1M塩酸にてpH10に調整し、これを前記イオン交換水に分散させたLBKPに添加して反応を開始した。反応は室温で行った。反応中、pHが低下していったが、随時20g/L水酸化ナトリウム水溶液を添加しながらpHを10に保持した。反応を開始して4時間経過すると、pHが低下しなくなったため、この時点で反応終了とした。反応終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが8以下になるまで懸濁洗浄を繰り返した。ろ紙を用いて減圧ろ過し、固形分濃度20%のTEMPO酸化処理されたセルロース繊維を得た。このTEMPO酸化処理されたセルロース繊維のカルボキシ基量は、1.03mmol/gであった。
このTEMPO酸化処理されたセルロース繊維100g(絶乾重量換算で20g)を採取し、亜塩素酸ナトリウム18g、酢酸60g、イオン交換水700mlを添加し、20g/L水酸化ナトリウム水溶液にてpHを4.5に調整した。室温にて48時間保持して反応させた。反応終了後、イオン交換水で懸濁洗浄し、洗浄水のpHが6以上になるまで懸濁洗浄を繰り返した。ろ紙を用いて減圧ろ過し、固形分濃度20%のセルロース繊維を得た。
得られた原料分散液を回転式高速ホモジナイザー(IKA製バッチ式ホモジナイザー)にて11000rpmで、電流値が5Aを超えない範囲で、25分間処理し、セルロース繊維の解繊を行い、微細セルロース繊維が分散した微細セルロース繊維−天然ゴム分散液(微細セルロース繊維分散液)を得た。
この微細セルロース繊維分散液をバットに入れ、110℃のオーブン中にて乾燥固化(溶媒除去)し、微細セルロース繊維含有ゴム組成物を得た。
微細セルロース繊維含有ゴム組成物のゴム成分100重量部に対して、下記の表1に示す配合に従い、微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を作製した。詳細には、微細セルロース繊維含有ゴム組成物のゴム成分100重量部に対し、ステアリン酸(和光純薬工業社製)3重量部及び酸化亜鉛(1号亜鉛華、浅岡窯業原料社製)3重量部を添加し、140℃で5分間混練した。混練装置は東洋精機社製ラボプラストミルμを使用した。
得られた混練物に、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、和光純薬工業社製)1重量部と硫黄(5%油処理粉末硫黄、鶴見化学工業社製)2重量部を添加し、80℃で3分間混練した。得られた混練物を160℃で10分間加圧プレス加硫し、厚さ2mmの微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を得た。
酸化処理を施したLBKPの代りに、酸化処理を施していないLBKPを用いたこと以外は、実施例1と同様にして微細セルロース繊維分散液および微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を得た。
セルロース繊維を用いず、上記の表1に示す配合に従い、実施例1と同様にして、微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を得た。
実施例1及び比較例1,2で得られた微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を、所定のダンベル形状の試験片にし、破断強度と破断伸度を評価し、結果を表2に示した。
なお、評価方法は以下の通りである。
破断強度および破断伸度は、JIS K6251に準じた引張試験(装置はオリエンテック社製STA−1225を使用)により、加硫ゴム組成物の破断強度および破断伸度を測定し、天然ゴムのみの比較例2の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど補強性に優れることを示す。
Claims (7)
- 微細セルロース繊維とゴム成分とを含有する微細セルロース繊維分散液の製造方法であって、
セルロース繊維の濃度が0.05〜30重量%である水分散液にN−オキシル化合物を添加して、前記N−オキシル化合物を用いて前記セルロース繊維を酸化処理する酸化処理工程と、
酸化処理されたセルロース繊維とゴム成分とを含有する原料分散液中でセルロース繊維を解繊して、微細セルロース繊維を得る解繊工程と、
を備えることを特徴とする、微細セルロース繊維分散液の製造方法。 - 前記微細セルロース繊維が、数平均繊維径が400nm以下のセルロース繊維である、請求項1に記載の微細セルロース繊維分散液の製造方法。
- 前記酸化処理工程において、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸あるいはこれらの塩、過酸化水素、過有機酸のうちの1種または2種以上を含む共酸化剤を前記水分散液に添加する、請求項1又は2に記載の微細セルロース繊維分散液の製造方法。
- 前記酸化処理工程における前記セルロース繊維は、セルロース含有組成物を精製して得られたものである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の微細セルロース繊維分散液の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の微細セルロース繊維分散液の製造方法により得られた微細セルロース繊維分散液から分散媒を除去する、微細セルロース繊維含有ゴム組成物の製造方法。
- 請求項5に記載の微細セルロース繊維含有ゴム組成物の製造方法で得られる微細セルロース繊維含有ゴム組成物を加硫する、微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物の製造方法。
- 請求項6に記載の微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物の製造方法で得られた微細セルロース繊維含有加硫ゴム組成物を用いる、タイヤの製造方法。
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