JP6950169B2 - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Description
(第1の本発明)
第1の本発明のゴム組成物は、ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び乳化剤を含む。乳化剤を添加することで、ゴム成分とミクロフィブリル化植物繊維との相溶性が向上し、エネルギーロスの増大を抑制しながら、剛性及び破断伸びを両立できる。従って、上記ゴム組成物をタイヤに用いることで、良好な低燃費性を維持しながら、剛性と破断伸びとを両立でき、破壊特性、操縦安定性及び低燃費性の性能バランスを顕著かつ、相乗的に改善されたタイヤを提供できる。この効果は、乳化剤の乳化作用によるものと推察される。
工程(I)では、ミクロフィブリル化植物繊維及び乳化剤を混合する。このように、予めミクロフィブリル化植物繊維及び乳化剤を混合することで、後述する工程(II)でゴム成分と工程(I)で得られた混合物とを混合した際、ゴム成分中にミクロフィブリル化植物繊維を充分に分散できる。ミクロフィブリル化植物繊維及び乳化剤を容易に混合できるという点から、工程(I)では、ミクロフィブリル化植物繊維及び乳化剤を水等の溶媒中で混合することが好ましい。
上記乳化剤としては、特に制限されないが、例えば、アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、分散安定剤、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、レシチン誘導体(例えばリゾレシチン)、サポニン、サポニン誘導体、カゼイン、カゼイン誘導体などを挙げることができる。上記乳化剤としては、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
より好ましくは、レシチン、サポニン、カゼイン、ポリグリセリン脂肪酸エステルであり、更に好ましくは、レシチン、サポニン、カゼインであり、特に好ましくは、レシチン、サポニンである。すなわち、上記乳化剤が、レシチン及び/又はサポニンであることもまた、第1の本発明の好適な実施形態の1つである。
なお、レシチンに含まれるリン脂質含有量は、該レシチンにおけるアセトン不溶分を測定することにより求めることができる。
工程(II)では、工程(I)で得られた混合物にゴム成分を添加して更に混合する。この工程で、ミクロフィブリル化植物繊維とゴム成分とが複合化される。
また、ミクロフィブリル化植物繊維とゴム成分とを短時間で均一に混合できるという点から、上記ゴム成分は、ラテックスの状態で使用することが好ましい。ゴムラテックス中、ゴム成分の含有量(固形分)は、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
なお、石油外資源の含有量は、ゴム組成物を燃焼させた排気ガス中の二酸化炭素の炭素同位体14Cの存在量を計測し、石油外資源由来材料と石油資源由来材料の14Cの差異を比較する等の方法により判別可能である。
第2の本発明のゴム組成物は、ゴム成分、及び、平均繊維径が1nm以上20nm未満のミクロフィブリル化植物繊維を含む。ゴム組成物に配合するミクロフィブリル化植物繊維として、平均繊維径1nm以上20nm未満、と解繊度合いが大きく平均繊維径の小さいものを用いることで、ミクロフィブリル化植物繊維がゴム中で凝集塊となるのが低減され、ゴム中でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性がより高められることを本発明者らは初めて見出した。よって、ゴム組成物に平均繊維径が1nm以上20nm未満のミクロフィブリル化植物繊維を配合することで、ゴム中でのミクロフィブリル化植物繊維の分散性がより高められ、その結果、耐摩耗性、及び、補強性を改善することができる。従って、上記ゴム組成物をタイヤに用いることで、耐摩耗性、及び、補強性の改善したタイヤを提供できる。
第2の本発明において用いられるゴム成分としては、ゴム工業において用いられる一般的なゴムを使用することができるが、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム、脱タンパク天然ゴムなどの改質天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、イソプレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリルスチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン等のジエン系ゴムを用いることが好ましい。また、上記ゴム成分としては上記ジエン系ゴム以外の他のゴム成分を含んでいてもよく、該他のゴム成分としては、例えば、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、ブチルゴム(IIR)などのブチル系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
これらのゴム成分は、単独で使用してもよく、2種類以上をブレンドして用いてもよく、また、縮合、変性されていてもよい。ブレンドする場合のブレンド比においても、各種用途に応じて適宜配合すればよい。
なお、本明細書において、BRのシス含量(シス1,4結合含有率)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
第2の本発明において用いられるミクロフィブリル化植物繊維としては、より良好な補強性が得られるという点から、セルロースミクロフィブリルが好ましい。セルロースミクロフィブリルとしては、天然物由来のものであれば特に制限されず、例えば、果実、穀物、根菜などの資源バイオマス、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、及びこれらを原料として得られるパルプや紙、布、農作物残廃物、食品廃棄物や下水汚泥などの廃棄バイオマス、稲わら、麦わら、間伐材などの未使用バイオマスの他、ホヤ、酢酸菌等の生産するセルロースなどに由来するものが挙げられる。
なお、本明細書において、セルロースミクロフィブリルとは、セルロース分子が束になって集合してミクロフィブリルを形成しているセルロース繊維を意味している。
これら変性化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(I)予め溶媒置換された上記ミクロフィブリル化植物繊維又は上記セルロース原料を分散させた分散液中に、変性化剤(環状カルボン酸無水物)や必要に応じて炭酸カリウム等のエステル化触媒を逐次あるいは一括で添加し、反応させる。
(II)変性化剤(環状カルボン酸無水物)、上記ミクロフィブリル化植物繊維又は上記セルロース原料、更に必要に応じて炭酸カリウム等のエステル化触媒を混合し、反応させる。
なお、上記変性化剤の、上記ミクロフィブリル化植物繊維又は上記セルロース原料に対する付加率は、後述する実施例において行われる算出方法により算出することができる。
第2の本発明のゴム組成物には、上記した成分以外に、従来ゴム工業で使用される他の配合剤、例えば、補強剤(カーボンブラック、シリカ等)、シランカップリング剤、加硫剤、ステアリン酸、加硫促進剤、加硫促進助剤、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤等が挙げられる。
第2の本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、上記ミクロフィブリル化植物繊維と、その他の必要な配合剤とを、例えば、ゴム用混練機等を用いて従来公知の方法で混合し、従来公知の方法で加硫することにより製造することができ、ゴム成分と、上記ミクロフィブリル化植物繊維とを混合する工程を含むゴム組成物の製造方法もまた第2の本発明の1つであるが、例えば、上記ミクロフィブリル化植物繊維とゴム成分とを予め混合した後、その他の必要な配合剤を混合して製造することが好ましい。なお、上記ミクロフィブリル化植物繊維とゴム成分とを予め混合した後、その他の必要な配合剤を混合する際、更にゴム成分を混合してもよい。
なお、該マスターバッチは、第2の本発明の効果を阻害しない範囲で、ゴム成分、上記ミクロフィブリル化植物繊維以外の他の成分を含んでもよい。
天然ゴムラテックス:HYTEX HA(Golden Hope Plantations(ゴールデン・ホープ・プランテーションズ)社製の天然ゴムラテックス、固形分:60質量%、平均粒径:1μm)
ミクロフィブリル化植物繊維:ダイセル化学工業(株)製のセリッシュKY−100G(平均繊維長:0.5mm、平均繊維径:0.02μm、固形分:10質量%)
レシチン:辻製油(株)製のSLP−ホワイト(大豆由来の高純度レシチン、リン脂質(アセトン不溶物)含有量:96〜98質量%)
サポニン:米山薬品工業(株)製のサポニン
マスターバッチ1−1〜1−10:下記製造例で調製
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B
オイル:出光興産(株)製のミネラルオイルPW−380(パラフィン系プロセスオイル)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN220
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
表1−1の配合に従い、高速ホモジナイザー(IKA社製のバッチ式ホモジナイザーT65Dウルトラタラックス(Ultraturrax T25))を用いて、24,000rpmの条件でミクロフィブリル化植物繊維及びレシチンを水中で1時間撹拌分散させ、ついで天然ゴムラテックスを添加し、更に30分撹拌分散させた。得られた混合液を5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ1−1〜1−3を得た。
表1−1の配合に従い、高速ホモジナイザー(IKA社製のバッチ式ホモジナイザーT65Dウルトラタラックス(Ultraturrax T25))を用いて、24,000rpmの条件でミクロフィブリル化植物繊維及びサポニンを水中で1時間撹拌分散させ、ついで天然ゴムラテックスを添加し、更に30分撹拌分散させた。得られた混合液を5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ1−4〜1−6を得た。
レシチンを配合しなかった点以外はマスターバッチ1−1と同様の方法でマスターバッチ1−7を得た。
天然ゴムラテックスをそのまま5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ1−8を得た。
ミクロフィブリル化植物繊維を配合しなかった点以外はマスターバッチ1−2と同様の方法でマスターバッチ1−9を得た。
ミクロフィブリル化植物繊維を配合しなかった点以外はマスターバッチ1−5と同様の方法でマスターバッチ1−10を得た。
表1−2及び1−3の配合に従い、135℃に加熟した250ccインターナルミキサーを用いて、88rpmの条件で加硫促進剤及び硫黄以外の薬品と各種マスターバッチとを3分間混練りした後、混練りしたゴムを排出して、60℃、24rpmの条件で6インチオープンロールにより加硫促進剤と硫黄を添加、5分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃でプレス加熱することで、加硫ゴム組成物を得た。
上記の方法で作製した加硫ゴム組成物を用い、以下に示す評価を行った。なお、表1−2及び1−3に示す特性データ中の各指数については、参考例1−1を基準配合とし、下記記載の計算式で算出した。表1−2において、石油外資源の含有量とは、ゴム組成物100質量%中の石油外資源の含有量(質量%)である。
JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて3号ダンベルを用いて引張試験を実施し、100%引張応力、300%引張応力、引張強度、破断伸び、破壊エネルギーを測定した。下記の計算式、
100%引張応力指数=(各配合の100%引張応力)/(基準配合の100%引張応力)×100
300%引張応力指数=(各配合の300%引張応力)/(基準配合の300%引張応力)×100
引張強度指数=(各配合の破断応力)/(基準配合の破断応力)×100
破断伸び指数=(各配合の破断伸び)/(基準配合の破断伸び)×100
破壊エネルギー指数=(各配合の破壊エネルギー)/(基準配合の破壊エネルギー)×100
により100%引張応力指数、300%引張応力指数、引張強度指数、破断伸び指数、破壊エネルギー指数を算出した。指数が大きい程、加硫ゴム組成物が良好に補強されており、ゴムの機械強度が大きく、破壊特性に優れることを示す。
前述の方法で調製された加硫ゴム組成物の2mmゴムスラブシートから測定用試験片を切り出し、粘弾性スペクトロメータVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、各測定用試験片のE*(複素弾性率)及びtanδ(損失正接)を測定した。下記の計算式、
操縦安定性指数=(各配合のE*)/(基準配合のE*)×100
転がり抵抗指数=(各配合のtanδ)/(基準配合のtanδ)×100
により操縦安定性指数、転がり抵抗指数を算出した。操縦安定性指数が大きい程、空気入りタイヤとして用いた場合に良好な操縦安定性を与え、転がり抵抗指数が小さい程、空気入りタイヤとして用いた場合に良好な転がり抵抗特性(低燃費性)を与えることを示す。
更に、表1−3より、ミクロフィブリル化植物繊維を含有し、乳化剤を含有しない場合(比較例1−1)、及び、レシチンを含有し、ミクロフィブリル化植物繊維を含有しない場合(比較例1−2)に比べて、ミクロフィブリル化植物繊維及びレシチンを含有する場合(実施例1−2)には、引張応力、引張強度、破断伸び、破壊エネルギー、操縦安定性、及び転がり抵抗を相乗的に顕著に改善でき、破壊特性、操縦安定性及び低燃費性の性能バランスを顕著かつ、相乗的に改善できた。
また同様に、ミクロフィブリル化植物繊維を含有し、乳化剤を含有しない場合(比較例1−1)、及び、サポニンを含有し、ミクロフィブリル化植物繊維を含有しない場合(比較例1−3)に比べて、ミクロフィブリル化植物繊維及びサポニンを含有する場合(実施例1−5)には、引張応力、引張強度、破断伸び、破壊エネルギー、操縦安定性、及び転がり抵抗を相乗的に顕著に改善でき、破壊特性、操縦安定性及び低燃費性の性能バランスを顕著かつ、相乗的に改善できた。
表1−4の配合に従い、135℃に加熟した250ccインターナルミキサーを用いて、88rpmの条件で加硫促進剤及び硫黄以外の薬品と各種マスターバッチとを3分間混練りした後、混練りしたゴムを排出して、60℃、24rpmの条件で6インチオープンロールにより加硫促進剤と硫黄を添加、5分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃でプレス加熱することで、加硫ゴム組成物を得た。
上記の方法で作製した加硫ゴム組成物を用い、以下に示す評価を行った。なお、表1−4に示す特性データ中の各指数については、参考例1−11を基準配合とし、下記記載の計算式で算出した。
前述の方法で調製された加硫ゴム組成物の2mmゴムスラブシートから測定用試験片を切り出し、粘弾性スペクトロメータVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%、周波数10Hzの条件下で、各測定用試験片のE*(複素弾性率)及びtanδ(損失正接)を測定した。下記の計算式、
操縦安定性指数=(各配合のE*)/(基準配合のE*)×100
転がり抵抗指数=(各配合のtanδ)/(基準配合のtanδ)×100
により操縦安定性指数、転がり抵抗指数を算出した。操縦安定性指数が大きい程、スタッドレスタイヤとして用いた場合に良好な操縦安定性を与え、転がり抵抗指数が小さい程、スタッドレスタイヤとして用いた場合に良好な転がり抵抗特性(低燃費性)を与えることを示す。
−5℃に温度制御された恒温室内に設置された−2℃の氷面上に、前記加硫ゴム試験片を2kg/cm2で押しつけ、20km/時間で滑らせるときの摩擦係数(氷上摩擦係数)を測定し、参考例1−11の氷上摩擦性能指数を100とし、下記計算式により、各配合の氷上摩擦係数を指数表示した。氷上摩擦性能指数が大きいほど、氷上摩擦性能が高く、スタッドレスタイヤとして用いた場合に氷上性能に優れることを示す。
(氷上摩擦性能指数)=(各配合の氷上摩擦係数)/(参考例1−11の氷上摩擦係数)×100
水を含んだ針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙(株)製)250.00g(固形分:50.00g)を入れた容積2000mLの容器に、セルラーゼ(Cellic Ctec2、ノボザイム社製、0.5mL)を添加し、50℃、震とう速度100rpmにて3時間、反応を行った。
酵素反応終了後の溶液を固形分濃度2.0質量%に調製し、その後、バッチ内の塩酸濃度が0.6%になるように塩酸を添加し、75℃で3時間撹拌した。得られた混合物を水でpHがおよそ7.0になるまで水で洗浄を繰り返した後、固形分濃度が30質量%になるように脱水処理した。ついで得られた含水パルプを400rpm、0℃の操業条件の二軸混練押出機で処理することで、ミクロフィブリル化植物繊維2−1を調製した。下記方法にて平均繊維径、平均繊維長を算出したところ、平均繊維径は4.7nm、平均繊維長は83.5μmであった。
ミクロフィブリル化植物繊維2−1の0.001質量%水分散液を調製した。この希釈分散液をマイカ製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成した。原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス製、製品名「走査型プローブ顕微鏡 SPI3800N」)にて試料を観察し、形状像の断面高さを計測することにより、平均繊維径、平均繊維長を算出した。
表2−1の配合に従い、高速ホモジナイザー(IKA社製のバッチ式ホモジナイザーT65Dウルトラタラックス(Ultraturrax T25))を用いて、24,000rpmの条件でミクロフィブリル化植物繊維2−1を水中で1時間撹拌分散させ、ついで天然ゴムラテックス(HYTEX HA(Golden Hope Plantations(ゴールデン・ホープ・プランテーションズ)社製の天然ゴムラテックス、固形分:60質量%、平均粒径:1μm))を添加し、更に30分撹拌分散させた。得られた混合液を5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ2−1〜2−2を得た。
天然ゴムラテックスをそのまま5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ2−3を得た。
以下、実施例2−1〜2−2、比較例2−1で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
マスターバッチ2−1〜2−3:上記製造例2−1〜2−3で調製
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
表2−2の配合に従い、135℃に加熟した250ccインターナルミキサーを用いて、88rpmの条件で加硫促進剤及び硫黄以外の薬品と各種マスターバッチとを3分間混練りした後、混練りしたゴムを排出して、60℃、24rpmの条件で6インチオープンロールにより加硫促進剤と硫黄を添加、5分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃でプレス加熱することで、加硫ゴム組成物を得た。
上記の方法で作製した加硫ゴム組成物を用い、以下に示す評価を行った。結果を表2−2に示す。
JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、加硫ゴム組成物の破断時伸び(引張伸び;EB〔%〕)及び破断時の引張強度(引張破断強度;TB〔MPa〕)を測定した。得られた値より、以下の式で破壊強度を求め、比較例2−1を100としたときの指数で表示した(破壊強度指数)。指数が大きいほど、破壊強度に優れることを示す。
破壊強度=EB×TB/2
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で摩耗量を測定した。得られた摩耗量の逆数を、比較例2−1を100としたときの指数で表示した(耐摩耗性指数)。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
水を含んだ針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙(株)製)250.00g(固形分:50.00g)を入れた容積2000mLの容器に、セルラーゼ(Cellic Ctec2、ノボザイム社製、0.5mL)を添加し、50℃、震とう速度100rpmにて3時間、反応を行った。
酵素反応終了後の溶液を固形分濃度2.0質量%に調製し、その後、バッチ内の塩酸濃度が0.6%になるように塩酸を添加し、75℃で3時間撹拌した。得られた混合物を水でpHがおよそ7.0になるまで水で洗浄を繰り返した後、固形分濃度が30質量%になるように脱水処理した。ついで得られた含水パルプを400rpm、0℃の操業条件の二軸混練押出機で処理することで、未変性ミクロフィブリル化植物繊維を調製した。
付加率は下記式(I)の通り、ミクロフィブリル化植物繊維の変性前後の質量変化から算出した。付加率を評価するサンプルは十分な量の溶剤で洗浄した上で測定に供した。
Wp=(W−Ws)×100/Ws・・・(I)
Wp:ヘキサデセニルコハク酸無水物の未変性ミクロフィブリル化植物繊維に対する付加率(質量%)
W:変性後のミクロフィブリル化植物繊維(ミクロフィブリル化植物繊維2−11)の乾燥質量(g)
Ws:変性前の未変性ミクロフィブリル化植物繊維の乾燥質量(g)
ミクロフィブリル化植物繊維2−11の0.001質量%水分散液を調製した。この希釈分散液をマイカ製試料台に薄く延ばし、50℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成した。原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス製、製品名「走査型プローブ顕微鏡 SPI3800N」)にて試料を観察し、形状像の断面高さを計測することにより、平均繊維径、平均繊維長を算出した。
表2−3の配合に従い、高速ホモジナイザー(IKA社製のバッチ式ホモジナイザーT65Dウルトラタラックス(Ultraturrax T25))を用いて、24,000rpmの条件でミクロフィブリル化植物繊維2−11を水中で1時間撹拌分散させ、ついで天然ゴムラテックス(HYTEX HA(Golden Hope Plantations(ゴールデン・ホープ・プランテーションズ)社製の天然ゴムラテックス、固形分:60質量%、平均粒径:1μm))を添加し、更に30分撹拌分散させた。得られた混合液を5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ2−11〜2−12を得た。
天然ゴムラテックスをそのまま5質量%ギ酸水溶液で凝固し、水洗後、40℃の加熱オーブン中で乾燥させることでマスターバッチ2−13を得た。
以下、実施例2−11〜2−12、比較例2−11で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
マスターバッチ2−11〜2−13:上記製造例2−11〜2−13で調製
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
表2−4の配合に従い、135℃に加熟した250ccインターナルミキサーを用いて、88rpmの条件で加硫促進剤及び硫黄以外の薬品と各種マスターバッチとを3分間混練りした後、混練りしたゴムを排出して、60℃、24rpmの条件で6インチオープンロールにより加硫促進剤と硫黄を添加、5分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃でプレス加熱することで、加硫ゴム組成物を得た。
上記の方法で作製した加硫ゴム組成物を用い、以下に示す評価を行った。結果を表2−4に示す。
JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、加硫ゴム組成物の破断時伸び(引張伸び;EB〔%〕)及び破断時の引張強度(引張破断強度;TB〔MPa〕)を測定した。得られた値より、以下の式で破壊強度を求め、比較例2−11を100としたときの指数で表示した(破壊強度指数)。指数が大きいほど、破壊強度に優れることを示す。
破壊強度=EB×TB/2
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で摩耗量を測定した。得られた摩耗量の逆数を、比較例2−11を100としたときの指数で表示した(耐摩耗性指数)。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
以下、実施例2−21〜2−22、比較例2−21で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
マスターバッチ2−1〜2−3:上記製造例2−1〜2−3で調製
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
表2−5の配合に従い、135℃に加熟した250ccインターナルミキサーを用いて、88rpmの条件で加硫促進剤及び硫黄以外の薬品と各種マスターバッチとを3分間混練りした後、混練りしたゴムを排出して、60℃、24rpmの条件で6インチオープンロールにより加硫促進剤と硫黄を添加、5分間混練し、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃でプレス加熱することで、加硫ゴム組成物を得た。
上記の方法で作製した加硫ゴム組成物、試験用タイヤを用い、以下に示す評価を行った。結果を表2−5に示す。
JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、加硫ゴム組成物の破断時伸び(引張伸び;EB〔%〕)及び破断時の引張強度(引張破断強度;TB〔MPa〕)を測定した。得られた値より、以下の式で破壊強度を求め、比較例2−21を100としたときの指数で表示した(破壊強度指数)。指数が大きいほど、スタッドレスタイヤとして用いた場合に破壊強度に優れることを示す。
破壊強度=EB×TB/2
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で摩耗量を測定した。得られた摩耗量の逆数を、比較例2−21を100としたときの指数で表示した(耐摩耗性指数)。指数が大きいほど、スタッドレスタイヤとして用いた場合に耐摩耗性に優れることを示す。
(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。上記加硫ゴム組成物からなる幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片をサンプルとして用い、速度20km/時間、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜70%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読み取った。比較例2−21を100として、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど、スタッドレスタイヤとして用いた場合にウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能指数)=(各配合の摩擦係数の最大値)/(比較例2−21の摩擦係数の最大値)×100
試験用タイヤを用いて、下記の条件で氷上で実車性能を評価した。試験用タイヤを国産2000ccのFR車に装着した。試験場所は住友ゴム工業株式会社の北海道旭川テストコース(氷上)で行い、氷上気温は−1〜−6℃であった。
制動性能(氷上制動停止距離):時速30km/hでロックブレーキを踏み停止させるまでに要した氷上の停止距離を測定した。比較例2−21を100として、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど、スタッドレスタイヤとして用いた場合に氷上での制動性能(氷上性能)が良好であることを示す。
(氷上性能指数)=(比較例2−21の停止距離)/(各配合の停止距離)×100
粘弾性スペクトロメータVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪み10%及び動歪み2%の条件下で、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定した。比較例2−21を100として、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど、スタッドレスタイヤとして用いた場合に転がり抵抗性に優れ、低発熱性(低燃費性)に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例2−21のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
Claims (11)
- ゴム成分、ミクロフィブリル化植物繊維、及び天然由来の乳化剤を含み、
前記ミクロフィブリル化植物繊維の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、5〜100質量部であり、
前記乳化剤の含有量が、前記ミクロフィブリル化植物繊維の固形分100質量部に対して、30〜500質量部であるタイヤ用ゴム組成物。 - 前記ゴム成分が、天然ゴム、改質天然ゴム、合成ゴム、及び変性合成ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ミクロフィブリル化植物繊維が、セルロースミクロフィブリルである請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が1〜100nmである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記乳化剤が、レシチン及び/又はサポニンである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて作製したタイヤ。
- ゴム成分、及び、ミクロフィブリル化植物繊維を含み、
前記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が、1nm以上18nm以下である
ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物(但し、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、脂肪族系、飽和炭化水素系、アクリル系もしくは植物由来系の重合体または共重合体であり、且つ、水酸基、シラン官能基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、カルボキシ基、酸無水物基およびエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つ以上の反応性官能基を有する架橋性成分を含むゴム組成物を除く)を用いて作製したスタッドレスタイヤ。 - 前記ミクロフィブリル化植物繊維が、セルロースミクロフィブリルである請求項7記載のスタッドレスタイヤ。
- 前記ミクロフィブリル化植物繊維の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1〜30質量部である請求項7又は8記載のスタッドレスタイヤ。
- 前記ミクロフィブリル化植物繊維が、セルロースミクロフィブリル中の一部の水酸基の水素原子が環状カルボン酸無水物のカルボキシル基含有基によって置換された構造を有する請求項7〜9のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ。
- 前記ミクロフィブリル化植物繊維の平均繊維径が、1nm以上8nm以下である請求項7〜10のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ。
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