明細書
カーボンナノチューブ分散ポリイミド組成物
技術分野
本発明は、 力一ボンナノチューブが均一に分散されたポリイミドに関する。 特 に、 アミド系極性有機溶媒、 非イオン性界面活性剤及び Z又はポリビニルピロリ ドン (P V P) にカーボンナチューブを分散させた混合液を用いて得られる、 力
—ボンナノチューブが均一に分散されたポリイミドに関する。
背景技術
ポリイミドは、 1 , 9 6 3年にデュポン社によって開発された絶縁性及び機械 的特性に優れた超耐熱性樹脂であり、 また、 高機能性も有しており、 各種電子材 料、 機械材料へ応用されている。
一方、 カーボンナノチューブは、 近年発見された直径が力一ボンファイバ一よ りも細い 1ミクロン以下の 6角網目状のシート状の構造がチューブの軸に平行に なって管を形成したものであり、 そのユニークな機械的、 電気的、 熱的特性が注 目されている。
力一ポンナノチューブは、 6角網目のチューブの数によって、 多層のもの (マ ルチウオール ·力一ボンナノチューブ、 「MWNT」 と呼ばれる) から単層のも の (シングルウォール ·力一ボンナノチューブ、 「S WNT」 と呼ばれる) まで ある。 このような力一ボンナノチューブは、 特に、 S WNTはナノコンポジット として利用した場合、 強力な機械的強度の向上が期待され、 しかも、 導電性が向 上するなど極めて有利な特性が期待されている。
したがって、 ポリイミドにカ一ボンナノチューブを均一に分散することができ れば、 力一ボンナノチューブの有する機械的、 電気的、 熱的特性とポリイミドの 有する機械的、 熱的、 化学的特性の相乗作用により、 極めて優れた特性が得られ ることが期待できる。
しかしながら、 一般に、 カーボンナノチューブを用いたナノコンポジットは上 述した利点を有するにもかかわらず、 カーボンナノチューブ相互の凝集力 (ファ ンデルワールスの力) によって、 カーボンナノチューブが束状及び縛状になって
しまうため、 カーボンナノチューブを樹脂に均一に分散させることは極めて困難 であった。 特に、 カーボンナノチューブの原子レベルでの滑らかな表面が基材に 対する親和性を低下する要因となっている (特開平 7— 102112号及び米国 特許 5, 502, 143号明細書参照) 。
このようなカーボンナノチューブの高分子材料への分散性を改善するために 様々な試みが報告されている。 従来から行われているフイラ一の分散方法として は、 攪拌、 超音波処理、 混練等の機械的な処理と、 微粒子表面への化学的処理と を組み合わせるのが主であった。 機械的な処理のうちで混練としてはセラミック スの微粒子を用いたビ一ズミル装置やポールミル装置、 三本口一ラーなど様々な 装置が用いられる。 しかしながら、 機械的な処理では、 これらの装置を用いた混 練が必要となり、 また、 力一ボンナノチューブが損傷しやすいという欠点を有す る。
そこで、 カーボンナノチューブの凝集を防ぎ安定した分散液を確保した後、 こ の分散液ごと高分子材料マトリックスに混合し分散することが行われている。 こ のような分散液を調製する方法を大別すると、 (1) 酸処理によって力一ポンナ ノチューブの表面に親水性の官能基を導入することによつて各種溶媒への分散性 ; を向上させ、 分散液をポリマー溶液と混合することによってコンポジット化する 方法と、 (2) 界面活性剤やカーボンナノチューブに吸着する特定のポリマ一に よって CNTをコ一ティングして各種溶媒に分散する方法がある。
前者の例としては、 強酸と超音波を利用して SWCNTを短く分断する方法が ある。 例えば、 カーボンナノチューブ表面を化学的に修飾し、 エポキシ樹脂に対 する親和力の向上を図る試みも報告されているが必ずしも十分な分散性を得てい ない。 また、 化学修飾法においては、 強力な酸化反応でナノチューブを最初に切 断するためナノチューブが損傷してしまうという欠点を有する (NAN〇 LE TTERS Vo l. 3, No. 8, 2003, 1107— 1113参照) 。 後者の例として、 エポキシ樹脂において、 非イオン性の界面活性剤であるポリ ォキシエチレン 8ラウリル (C12E〇8) がカーボンナノチューブの分散剤として 機能することも報告されている。 これは、 C12E〇8の有するォキシエチレンに よる親水性部と炭化水素による疎水性部が炭素の分散性に寄与するというもので
ある。 つまり、 疎水性部が炭素と相互作用し、 同時に、 親水性部が水素結合によ つてエポキシ樹脂と相互作用するというものである。 しかしながら、 このような 界面活性剤の添加によって、 カーボンナノチューブの分散性の一定の向上は図れ たものの、 まだ、 十分な分散性は得られていないことが報告されている (Che m. Ma t e r. 2000, 12, 1049— 1052参照) .。
さらに、 別の研究では、 エポキシ樹脂基材に対して、 力一ボンナノチューブを 分散させる手法として、 非イオン系界面活性剤 (Te r g i t o l NP 7) を 用いて超音波処理することが提案されている。 しかし、 この場合においても、 力 —ボンナノチューブの配合量を増加させると、 力一ボンナノチューブが凝集して しまい、 均一な分散が得られない旨報告されている (Ca r bon 41, 20 03, 797-809参照) 。
以上のような方法によって、 ある程度カーボンナノチューブの分散が高められ た例もあるが、 まだ十分な分散性が得られていないのが現状であった。 特に、 こ れらの方法をポリイミドへ応用した場合、 カーボンナノチューブの分散は十分で なかった。
一方、 従来のポリイミドは、 一般的に溶剤に溶解することが困難であり、 ナノ コンポジットとして利用する際、 ナノ粒子を混合、 分散させることが困難である という問題を有する。 最近では、 このようなポリイミドの溶剤に対する難溶性を 改善するために、 3成分系、 4成分系のポリイミドが開発されてきている。 例え ば、 ラクトンを利用する 2成分系触媒を用いる方法が開発された。 溶媒は N—メ チルピロリドンと少量のトルエンを用い、 180°Cで加熱重合される方法である。 また、 ブロック共重合により製造されたポリイミドは溶媒に可溶であることが 知られている。 すなわち、 ポリイミドは酸ジ無水物と芳香族ジァミンの縮合物で あるが、 酸ジ無水物と芳香族ジァミンの組み合わせ方法、 分子量及び分子量分布 等を調整することによって、 溶剤に可溶なものとすることができる。 例えば、 低 沸点を有する 2成分系触媒の存在下で溶媒を加熱することにより、 有機溶媒に溶 解するポリイミドが製造できる。 この方法では、 ポリイミドと 2成分系触媒の特 別な除去処理をすることなく、 継続的な添加技術に基づくイミド化反応によって 4以上の構成要素を有する溶剤に可溶なポリイミドが製造できる (米国特許 5,
5 0 2 , 1 4 3号明細書参照) 。
発明の開示
カーボンナノチューブを分散したポリイミドは、 その優れた特性が期待されつ つも、 力一ボンナノチューブ相互の凝集力、 及び表面の親和力の低さから、 十分 な分散性が得られない。 また、 カーボンナノチューブ表面を化学的に修飾して親 和性を高める方法では、 強力な酸化反応によってナノチューブが損傷してしまい、 期待されたナノチューブの機能が得られないという欠点が存する。
一方、 ポリイミドは機械的性質、 絶縁性、 耐熱性に優れた有用な樹脂であり、 そのナノコンポジットへの応用も期待されるにもかかわらず、 一般に、 有機溶媒 に難溶であるため、 ナノ微粒子を混合、 分散することが困難であり、 特に、 力一 ボンナノチューブを均一に分散させることは困難であった。 また、 通常、 ポリイ ミドは熱可塑性でないため他の高分子材料によるナノコンポジッ卜の製造の際に 行われる混練によるカーボンナノチューブの分散も採用することは困難である。 したがって、 本発明の目的は、 力一ボンナノチューブを損傷することなく、 力 —ボンナノチューブがポリイミドに均一に分散した力一ボンナノチューブ分散高 分子材料を提供することにある。
本発明は、 非イオン性界面活性剤のカーボンナノチューブに対する分散剤とし ての機能及びポリビエルピロリドン (P V P) のカーボンナノチューブに対する ラッピング効果に着目しつつ、 該非イオン性界面活性剤及び/又はポリビニルビ 口リドン (P V P) をアミド系極性有機溶媒、 特に、 NMP (Nメチルピロリド ン) 及び/又はジメチルァセトアミド (DMA C) に溶解させると、 アミド系極 性溶媒を単独で用いた塲合に比較して、 はるかに優れた分散剤としての機能を発 揮し、 溶剤に可溶なポリイミドにカ一ボンナノチューブを均一に分散できること を見出したものである。
ポリイミドは、 2成分系、 3成分系、 4成分系等のポリイミドがあるが、 一般 に、 3成分系のポリイミドは溶剤に可溶なものが多く、 さらに 4成分系のものは 溶解度が増加する。 溶剤に可溶なポリイミドとしては、 芳香族ポリイミドが好ま しい。 また、 ブロック共重合ポリイミドは、 一般的に溶剤に可溶である。 したが つて、 本発明においては、 好ましくは、 芳香族系のブロック共重合ポリイミドの
有機溶媒に溶解する性質を利用して力一ボンナノチューブの分散を行う。
本発明は、 具体的には、 次の構成からなる。
(1) カーボンナノチューブ、 アミド系極性有機溶媒、 並びに非イオン性界面活 性剤及び z又はポリビエルピロリドン (PVP) からなるカーボンナノチューブ 分散溶液を溶剤に可溶なポリイミドの有機溶媒に混合することにより得られた力 一ボンナノチューブ分散ポリイミド。
(2) アミド系極性有機溶媒が N—メチルピロリドン (NMP) 及び Z又はジメ チルァセトアミド (DMAC) であることを特徴とする上記 (1) に記載のカー ボンナノチューブ分散ポリイミド。
(3)非ィオン性界面活性剤がポリォキシエチレン 界面活性剤であることを特 徴とする上記 (1) 又は (2) のに記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
(4)溶剤に可溶なポリイミドが、 芳香族ジァミン又は脂肪族ジァミンから得ら れる 3成分系以上のポリイミドであることを特徴とする上記 (1) ないし (3) のいずれかに記載の力一ボンナノチューブ分散ポリイミド。
(5) カーボンナノチューブ分散液中の非イオン性界面活性剤の配合量が 0. 0
05〜5重量%であることを特徴とする上記 (1) ないし (4) のいずれかに記 載の力一ボンナノチューブ分散ポリイミド。
(6) カーボンナノチューブ分散液中のポリビエルピロリドン (PVP) の配合 量が 0. 1〜10重量%であることを特徴とする上記 (1) ないし (5) のいず れかに記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
(7) アミド系極性有機溶媒及び非イオン系界面活性剤混合溶液に、 強攪拌処理 を行いながらカーボンナノチューブを混合分散し、 得られた分散溶液をポリイミ ド混合有機溶媒に混合することを特徴とする、 カーボンナノチューブ分散ポリィ ミドの製造方法。
(8) アミド系極性有機溶媒及び非イオン系界面活性剤混合溶液に、 強攪拌処理 を行いながらカーボンナノチューブを混合分散し、 さらにポリビエルピロリドリ ン (PVP) を混合し、 得られた分散溶液をポリイミド混合有機溶媒に混合する ことを特徴とするカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
(9) アミド系極性有機溶媒及びポリビニルピロリドン (PVP) の混合溶液に、
0
6 強攪拌処理を行いながらカーボンナノチューブを混合分散し、 得られた分散溶液 をポリイミド混合有機溶媒に混合することを特徴とする力一ボンナノチューブ分 散ポリイミドの製造方法。
( 1 0 ) 力一ボンナノチューブ分散液をフィルターによりろ過処理した後、 ポリ イミド混合有機溶媒に混合することを特徴とする上記 (8 ) ないし (1 0 ) のい ずれかに記載の力一ボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
( 1 1 ) カーボンナノチューブ分散液をポリイミド混合有機溶媒に混合した後フ ィルターによるろ過処理を行うことを特徵とする上記 (8 ) ないし (1 0 ) のい ずれかに記載の力一ボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
本発明で用いられるアミド系極性有機溶媒としては、 具体的には、 ジメチルホ ルムアミド (DM F) 、 ジェチルホルムアミド、 ジメチルァセトアミド (DMA C) 、 N—メチルピロリドン (NM P ) などのいずれも用いることができるが、 特に好ましくは、 N—メチルピロリドン (NM P) 及び/又はジメチルァセトァ ミド (DMA C) を用いることができる。 これらは、 多くの有機物 (低級炭化水 素を除く) 、 無機物、 極性ガス、 天然および高分子樹脂を溶かすことができる。 本発明で使用される溶剤可溶ポリイミドは、 これらのアミド系極性有機溶媒に溶 解することができる。 したがって、 力一ボンナノチューブをこれらの溶媒に均一 に分散することができれば、 その分散液に溶剤可溶ポリイミドを溶かすことによ つてカーボンナノチューブが均一に分散した溶剤可溶ポリイミドを得ることがで きる。
本発明で用いられる非イオン性界面活性剤としては、 ポリォキシエチレン系、 多価アルコールと脂肪酸エステル系、 この両者を併せ持つ系のいずれであっても よいが、 特に好ましくは、 ポリオキシエチレン系のものが用いられる。 ポリオキ シエチレン系界面活性剤の例としては、 脂肪酸のポリオキシエチレン ·エーテル、 高級アルコールのポリオキシエチレン ·エーテル、 アルキル ·フエノール'ポリ ォキシエチレン ·エーテル、 ソルビ夕ン ·エステルのポリオキシニチレン ·エー テル、 ヒマシ油のポリオキシエチレン ·エーテル、 ポリオキシ 'プロピレンのポ リオキシエチレン ·エーテル、 脂肪酸のアルキロールアマイドなどがある。 多価 アルコールと脂肪酸エステル系界面活性剤の例としては、 モノグリセライト型界
面活性剤、 ソルビ卜一ル型界面活性剤、 ソル夕ビン型界面活性剤、 シュガーエス テル型界面活性剤などがある。
これら非イオン性界面活性剤の添加量は、 カーボンナノチューブの配合量、 配 合するアミド系極性有機溶媒の種類によって適宜定めることができるが、 一般に は、 0. 005〜10重量%であれば、 カーボンナノチューブの十分な分散効果 を得ることができる。 0. 005%以下であると、 カーボンナノチューブに対す る界面活性剤の量が不足するために、 一部のナノチューブは凝集して沈殿物が生 じてしまう。 また、 10重量%以上であると、 界面活性剤分子の溶媒中での分子 回転が困難になるために、 疎水性のナノチューブ表面に十分な量の界面活性剤の 疎水部が吸着することが出来なくなり、 微細なナノチューブの分散には不都合で ある。 また、 カーボンナノチューブの配合量を 0. 005〜0. 05%にした場 合、 非イオン性界面活性剤の配合量は、 0. 01〜5重量%がょぃ。
本発明で用いられる力一ボンナノチューブには、 多層のもの (マルチウォー ル'カーボンナノチューブ、 「MWNT」 と呼ばれる) から単層のもの (シング ルウォール '力一ボンナノチューブ、 「SWNT」 と呼ばれる) まで、 それぞれ 目的に応じて使うことができる。
本発明においては、 好ましくは、 シングルウォール ·力一ボンナノチューブが 用いられる。 用いる SWNTの製造方法としては、 特に制限されるものではなぐ 触媒を用いる熱分解法 (気相成長法と類似の方法) 、 アーク放電法、 およびレー ザ一蒸発法、 H i Pc o法 (H i gh— P r e s uu r e c a r bon mo nox i de p r o c e s s) 等、 従来公知のいずれの製造方法を採用しても 構わない。
以下に、 レーザ一蒸着法により、 本発明に好適なシングルウォール'カーボン ナノチューブを作成する手法について例示する。 原料として、 グラフアイ卜パゥ ダ一と、 ニッケルおよびコバルト微粉末混合ロッドを用意した。 この混合ロッド を 665hPa (500To r r) のアルゴン雰囲気下、 電気炉により 1 , 25 0°Cに加熱し、 そこに 350mJ/Pll l s eのNd : YAGレーザ一の第二高 調波パルスを照射し、 炭素と金属微粒子を蒸発させることにより、 シングルゥォ ール ·カーボンナノチューブを作製した。
05 001030
8 以上の作製方法は、 あくまで典型例であり、 金属の種類、 ガスの種類、 電気炉 の温度、 レーザーの波長等を変更しても差し支えない。 また、 レーザー蒸着法以 外の作製法、 例えば、 C VD法やアーク放電法、 一酸化炭素の熱分解法、 微細な 空孔中に有機分子を揷入して熱分解するテンプレート.法、 フラーレン ·金属共蒸 着法等、 他の手法によって作製されたシングルウォールナノチューブを使用して も差し支えない。
また、 カーボンナノチューブの配合量は、 使用目的によっても異なるが、 分散 性が得られる限り特に限定されるものではない。 S WN Tを用いて、 NM P及び ポリオキシエチレン系の界面活性剤の混合溶液に分散した場合、 最大 0. 0 5 % まで分散することができる。
本発明でいう強力攪拌とは、 超音波処理、 超振動処理などによって行う攪拌を いう。 好ましくは、 超音波処理が用いられる。 本発明で使用される超音波は、 2 0 k H z , 1 5 0 W及び 2 8 k H z, 1 4 0 Wを用い、 約 1時間処理することに よって良好な分散効果を得ることができたが、 本発明の超音波の条件はこれに限 定されるものではない。 配合されるカーボンナノチューブの量、 アミド系極性有 機の種類等によって、 適宜、 定めることが可能である。
本発明に用いられるポリイミドは、 溶剤に可溶なものでなければならない。 一 般に、 ポリイミドは溶剤に難溶であり、 通常のポリイミドでは、 カーボンナノチ ユーブを均一に分散することは困難である。 したがって、 本発明では、 酸ジ無水 物と芳香族ジァミンの組み合わせ方法、 分子量及び分子量分布によって溶剤に対 する溶解性を調整することによって、 あらかじめ溶剤に可溶なポリイミドを準備 することが重要である。 一般に、 3成分系のポリイミドは溶剤に可溶なものが多 く、 更に 4成分系にすると溶解度が増す。 このような溶剤に可溶なポリイミドと しては、 芳香族ポリイミド又は脂肪族ジァミンから得られる 3成分以上のポリイ ミドが用いられる。 芳香族ポリイミドとしては、 好ましくは、 ブロック共重合芳 香族ポリイミドが用いられる。
ブロック共重合ポリイミドを製造する方法としては、 例えば、 米国特許明細書 第 5, 5 0 2, 1 4 3に開示されているように、 低沸点を有する 2成分系触媒の 存在下で極性溶媒中の酸ジ無水物と芳香族ジァミンを加熱反応させ、 さらにジァ
ミンを添加して継続的にィミド化反応行うことによつてプロック共重合ポリイミ ドが製造できる。 その際、 触媒と極性溶媒は加熱蒸発によって自然に除去するこ とができる。
例えば、 使用する酸ジ無水物と芳香族ァミンがそれぞれ 5種、 1 0種である場 合、 下式で表記される 4成分系ポリイミドは理論上 2 , 5 0 0種生成することが 可能である。
(A 1—: B l ) (A 2 - B 2 ) (A:酸ジカルボン酸、 B:ジァミン) このようなブロック共重合ポリイミドは、 有機溶媒に可溶であるというだけで なく、 分子量、 分子量分布の測定が G P Cによって測定可能であり、 ポリマ一の 再現性が良い。 その溶液は室温で長時間保存できるという利点も有する。 また、 4成分系にして、 溶媒を用い、 逐次反応によって規則的に配列したブロック共重 合体となり、 改質が可能であり、 感光性、 低誘電性、 接着性、 電着性、 寸法安定 性など用途に応じて、 多種多様のブロック共重合ポリイミドを提供することがで きる。
この際、 2成分系触媒としては、 ?"一バレロラクトン一ピリジン、 ァ一バレロ ラクトン一 N—メチルモルホリン、 クロトン酸 N—メチルモルホリン及びク口ト ン酸ピリジンが挙げられるが、 好ましくは、 ァ一バレロラクトン一ピリジン又は クロトン酸 N—メチルモルホリンが使用される。
本発明のポリイミドの好ましい製造方法は、 例えば、 ラクトンと塩基の複合触 媒の存在下、 テトラカルボン酸ジ無水物とジァミンとを反応させてイミドオリゴ マ一とし、 ついでテトラカルボン酸ジ無水物及び/又はジァミンを添加して (全 テトラカルボン酸ジ無水物とジァミンのモル比は、 1 . 0 5— 0 . 9 5である) 反応する方法である。 このようにして合成したブロック共重合ポリイミド溶液は、 保存安定性が良い。 密閉容器中では、 室温で数ケ月から数ケ年安定的に保存が可 能である。
この際、 芳香族ジァミンとテトラカルボン酸ジ無水物との重縮合反応は、 通常、 有機溶媒中で実施される。 この反応系の有機溶媒としては、 例えば N, N—ジメ チルホルムアミド、 N, N—ジメチルメトキシァセトアミド、 N, N—ジメチル エトキシァセトアミド、 N—メチルー 2—ピロリドン、 N—メチルカプロラクタ
ム、 ジメチルスルホキシド、 ジメチルスルホン、 テトラメチル尿素、 1一ォキシ ド (スルホランともいう) 等を挙げることができる。 前記重縮合反応における反 応原料の濃度は、 通常、 5— 40重量%である。
また、 ラクトンとしては、 通常バレロラクトン、 塩基としてはピリジン又は N 一メチルモルホリンが使用される。 ラクトンは、 酸ジ無水物に対して 0. 05— 0. 3モル使用する (上記米国特許 5502143号明細書) 。
本発明に用いられる芳香族テトラ力ルポン酸ジ無水物としては、 ピロメリット 酸ジ無水物、 3, 4, 3' , 4' ービフエニルテトラ力ルポン酸ジ無水物、 3, 4, 3' , 4' —ベンゾフエノンテトラ力ルポン酸ジ無水物、 2, 3, 2' , 3, 一べンゾフエノンテトラ力ルポン酸ジ無水物、 2, 3, 3, , 4' ーピフエ ニルテトラ力ルポン酸ジ無水物、 2, 2—ビス (3, 4ージカルポキシフエ二 ル) プロパンジ無水物、 2, 2—ビス (2, 3—ジカルポキシフエニル) プロパ ンジ無水物、 ビス (3, 4ージカルボキシフエニル) ェ一テルジ無水物、 ビス (2, 3—ジカルポキシフエニル) エーテルジ無水物、 ビス (3, 4ージカルポ キシフエニル) スルホンジ無水物、 ビス (2, 3—ジカルポキシフエニル) スル ホンジ無水物、 4, 4' - {2, 2, 2—トリフルオロー 1— (トリフルォロメ チル) ェチリデン} ビス (1, 2—ベンゼンジカルボン酸無水物) 、 9, 9ービ ス {4一 (3, 4ージカルポキシフエノキシ) フエ二ル} フルオレンジ無水物、 1, 2, 5, 6—ナフタレンテトラ力ルポン酸ジ無水物、 2, 3, 6, 7—ナフ 夕レンテトラカルボン酸ジ無水物、 1, 4, 5, 8一ナフ夕レンテトラカルボン 酸ジ無水物、 3, 4, 9, 10—ペリレンテトラ力ルポン酸ジ無水物、 2, 3, 5, 6—ピリジンテトラ力ルポン酸ジ無水物、 ビシクロ [2, 2, 2]—ォクトー 7—ェンー 2, 3, 5, 6—テトラカルボン酸ジ無水物、 5— (2, 5—ジォキ ソテトラヒドロフリル) 一3—メチル一3—シクロへキセン一 1, 2—ジカルポ ン酸無水物、 1, 2, 3, 4ーシクロペン夕ンテトラ力ルポン酸ジ無水物を用い ることができる。
本発明で用いられる芳香族ジァミンとしては、 4, 4'—ジアミノジフエニルメ タン、 3, 4'—ジアミノジフエ二ルェ一テル、 4, 4'ージアミノジフエニルエー テル、 3, 3'—ジアミノジフエニルスルホン、 4, 4'ージアミノジフエニルスル
ホン、 2, 2—ビス(4ーァミノフエ二ノレ)プロパン、 1, 2—ビスァニリノエタン、 3, 3'—ジメチルベンジジン、 3, 3'—ジメチルー 4, 4 '—ジアミノジフエニル ェ一テル、 3, 3'—ジメチルー 4, 4'ージアミノジフエニルメタン、 4, 4'ービ ス(4一アミノフエノキシ)ピフエ二ル、 4, 4'一ビス(3—アミノフエノキシフ ェニル)スルホン、 1, 3—ビス(3—アミノフエノキシ)ベンゼン、 1, 3—ビス (4一アミノフエノキシ)ベンゼン、 2, 2—ビス [4— (4一アミノフエノキシ)フ ェニル]プロパン、 2, 2—ビス [4— (4—アミノフエノキシ)フエニル]へキサフ ルォロプロパン、 2—ニトロ一 1, 4—ジァミノベンゼン、 3, 3, ージニトロ _3, 3, ージメ卜キシー 4, 4' ージアミノビフエニル、 3, 3, ージヒドロ キシ一 4、 4' ージアミノビフエニル、 2, 4—ジァミノフエノール、 0—トリ ジンスルホン、 1, 3—ジァミノベンゼン、 1, 4ージァミノベンゼン、 2, 5 ージァミノトルエン、 3, 3 ' ージメチル一 4, 4' ージアミノビフエニル、 2, 2—ビス (トリフルォロ) 一メチルベンジジン、 2、 2—ビス一 (4一アミノフ ェニル) プロパン、 2、 2—ビス— (3—アミノー 4ーヒドロキシフエニル) へ キサフルォロプロパン、 1, 1, 1, 3, 3, 3—へキサフルオロー 2—ビス— (4—ァミノフエニル) プロパン、 1, 5—ジァミノナフタレン、 9, 9一ビス (4—ァミノフエニル) フルオレン、 9, 10 -ビス (4ーァミノフエニル) ァ ントラセン、 3, 3, —ジァミノ一 4, 4' ージヒドロキシビフエニルスルホン等 を用いることができる。
本発明で用いられる脂肪族ジァミンとしては、 N—メチルー 2, 2' ジァミノ ジェチルァミン、 3, 9一ビス (3—ァミノプロピル) —2, 4, 8, 10—テ トラォキサスピロ [5, 5] ゥンデカン、 シス夕ミン、 1, 2—ビス (2—アミ ノエトキシ) ェタン、 1, 3—ビス (アミノメチル) シクロへキサン、 1, 3— ビス (3—ァミノプロピル) —1, 1, 3, 3—テトラメチルジシロキサン、 ビ ス (4一アミノシクロへキシル) メタンを用いることができる。
本発明で使用されるフィルタ一は、 ガラス繊維フィルター、 メンブランフィル 夕一などが用いられる。 その際、 保留粒子径は、 目的に応じて適宜定めることが できる。 保留粒子径とは、 J I S 3801で規定された硫酸バリウムなどを自 然ろ過したときの漏洩粒子径により求めたものであるが、 実質的には、 フィルタ
01030
12 一の平均孔径に相当する。 例えば、 光散乱の低減を利用した光学機器に応用する 場合、 フィルターの保留粒子径は小さいほどよいが、 一般には保留粒子径 0. 1 〜2. 0 / m、 好ましくは 0 . 1〜1 . 0 mのものを用いることができる。 本発明で用いられるカーボンナノチューブ分散溶媒には、 ポリビニルピロリド ン (P V P) を混合してもよい。 ポリビエルピロリドンは、 カーボンナノチュー ブの表面に吸着し、 力一ボンナノチューブを包むいわゆるラッピング効果を有す ることが知られている。 したがって、 本発明におけるカーボンナノチューブ分散 液に混合することにより、 カーボンナノチューブの凝集及び再凝集が防止される 効果を有するものと考えられる。
カーボンナノチューブ分散溶媒中のポリビニルピロリドンの配合量は、 力一ポ ンナノチューブの配合量によって適宜定めることができるが、 好ましくは 0 . 1 〜1 0重量%とするとよい。
以上のように製作されたカーボンナノチューブを、 NMP (N—メチルピロリ ドン) 溶媒並びに非ィォン系界面活性剤混合溶媒及び Z又はポリビニルピ口リド ン(P V P)混合溶媒に入れて混合し、 超音波で処理して、 力一ボンナノチューブ 分散溶媒を作製する。 次に、 これらのカーボンナノチューブ分散溶液を超遠心分 離機又はガラス繊維ろ紙でろ過して、 微細なカーボンナノチューブのみが分散し た溶媒とする。 ろ過は、 カーボンナノチューブ分散液の段階で行ってもよいし、 分散液をポリイミド混合有機溶媒と混合した後に行うこともできる。
ここで、 ポリビニルピロリドリンは力一ボンナノチューブの表面に吸着し、 力 一ボンナノチューブが凝集及び再凝集するのを防ぐ効果を有する。 この分散溶媒 をブロック共重合ポリイミドの有機溶媒、 例えば、 NMP溶液に混合する。 得ら れた混合溶液は、 例えば、 基板上にスピンコートなどにより塗布した後、 溶媒を 蒸発させることによって薄膜化することができる。 このようにして、 本発明の力 一ボンナノチューブ分散ブロック共重合ポリイミドが得られる。
本発明のカーボンナノチューブ分散ポリイミドには、 目的に応じて、 さらに充 填剤を配合することが可能である。 充填材としては、 炭素繊維、 金属被覆炭素繊 維、 力一ボン粉末、 ガラス繊維、 モンモリナイトなどがあげられる。
本発明の力一ボンナノチューブ分散ポリイミドには、 目的に応じて、 さらに、
01030
13 その他の成分として、 導電性付与材、 難燃剤、 顔料、 染料、 滑剤、 離型剤、 相溶 化剤、 分散剤、 可塑剤、 熱安定化剤、 酸化防止剤などを添加することができる。 発明にしたがって、 カーボンナノチューブが均一に分散されたポリイミドを得 ることができる。 このような力一ボンナンチューブ分散ポリイミドは、 マトリツ クス中での凝集等によって均一な分散が損なわれることがないために、 機械的特 性、 透明性、 耐熱性に優れ、 各種用途への応用が可能となる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、 具体的な実施例により、 本発明のカーボンナノチューブ分散ポリイミ ドの作製方法を示す。
A. 溶剤に可溶なポリイミドの製造
まず、 本発明で用いられる溶剤可溶ポリイミドの製造方法は、 芳香族テトラ力 ルポン酸ジ無水物と芳香族ァミンとをほぼ等量用い、 有機極性溶媒中でラクトン 系触媒の存在下に 150— 220° (:、 好ましくは 160— 180°Cに加熱して重 縮合する。 この重縮合反応時に生成する水は、 トルエン、 キシレン等と共に共沸 によって反応系外に除かれる。 以下に、 その具体的実施例を示す。
実施例 1
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコを使用し、 これに攪拌機、 窒素導入管お よび冷却管の下部にストップコックを備えた水分受容器を取り付けた。 窒素を流 通させ、 さらに攪拌しながら反応器をシリコーン油浴中に漬けて加熱し反応を行 つた。 反応温度はシリコーン油浴の温度で表した。 まず、 フラスコにビス一 (3, 4ージカルポキシフエニル) エーテルジ酸ニ無水物 (ODPA) 62. 04 g (200ミリモル) 、 2, 4ージァミノトルエン (DAT) 12.22 g (10 0ミリモル) 、 バレロラクトン 3 g (30ミリモル) 、 ピリジン 4.7 g (60 ミリモル) 、 NMP (N—メチル— 2—ピロリドン) 300 gおよびトルエン 4 0 gを入れ、 室温で 30分間攪拌し、 次いで昇温し、 180 において 1時間、 20 Orpmで攪拌しながら反応を った。 反応後、 トルエン一水留出分 30m 1を除いた。 残留物を空冷して、 3, 3, , 4, 4, ービフエニルテトラ力ルポ ン酸ニ無水物 (B PDA) 、 29. 42 g (100ミリモル) 、 9, 9一ビス (4—ァミノフエ二ル) フルオレン (FDA) 、 69. 69 g (200ミリモ
05001030
14 ル) 、 NMP 350 gおよびトルエン 40 gを添加し、 室湿で 1時間攪拌 (20 Orpm) し、 次いで昇温して 180°Cで 1時間、 加熱攪拌した。 トルエン一水留 出分 15mlを除き、 以後は留出分を系外に除きながら、 180°Cで 3時間、 加 熱および攪拌を行って反応を終了した。 これにより 20%ポリイミドワニスを得 た。
実施例 2
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコを使用し、 これに攪拌機、 窒素導入管お よび冷却管の下部にス卜ップコックを備えた水分受容器を取り付けた。 窒素を流 通させ、 さらに攪拌しながら反応器をシリコーン油浴中に漬けて加熱し反応を行 つた。 反応温度はシリコーン油浴の温度で表した。 まず、 フラスコに 3, 3' , 4, 4, ービフエニルテトラカルボン酸二無水物 (BPDA) 、 58. 84 g (200ミリモル) 9, 9一ビス (4—ァミノフエニル) フルオレン (FDA) 、 104. 53 g (300ミリモル) 、 バレロラクトン 4 g (40ミリモル) 、 ピ リジン 6. 3 g (80ミリモル) 、 NMP (N—メチルー 2—ピロリドン) 40 0 gおよびトルエン 40 gを入れ、 室温で 30分間攪拌し、 次いで昇温し、 18 0°Cにおいて 1時間、 20 Orpmで攪拌しながら反応を行った。 反応後、 トル ェン—水留出分 3 Omlを除いた。 残留物を空冷して、 3, 3' , 4, 4' 一 ビフエニルテトラカルボン酸二無水物 (BPDA) 、 58. 84 g (200ミリ モル) 、 3,3, ージアミノー 4,4, ージヒドロキシビフエニルスルホン、 28. 03 g (100ミリモル) 、 NMP 543 gおよびトルエン 40 gを添加し、 室 温で 1時間攪拌 (20 Orpm) し、 次いで昇温して 180 °Cで 1時間、 加熱攪拌 した。 トルエン一水留出分 15mlを除き、 以後は留出分を系外に除きながら、 180 で 3時間、 加熱および攪拌を行って反応を終了した。 これにより 20% ポリイミドワニスを得た。
実施例 3
ガラス製のセパラブル三つ口フラスコを使用し、 これに攪拌機、 窒素導入管お よび冷却管の下部にストップコックを備えた水分受容器を取り付けた。 窒素を流 通させ、 さらに攪拌しながら反応器をシリコーン油浴中に漬けて加熱し反応を行 つた。 反応温度はシリコーン油浴の温度で表した。 まず、 フラスコに (ビシクロ
〔2, 2, 2〕 ォク夕一 7—ェンテトラカルボン酸二無水物 (BCD) 、 49. 6 g (200ミリモル) 、 4,4'ージアミノジフエ二ルェ一テル (p— DAD E) 、 20. 02 g (100ミリモル) 、 ノ レロラクトン 3 g (30ミリモル) 、 ピリジン 4. 7 g (60ミリモル) 、 NMP (N—メチルー 2—ピロリドン) 3 00 gおよびトルエン 40 gを入れ、 室温で 30分間攪拌し、 次いで昇温し、 1 80°Cにおいて 1時間、 20 Orpmで攪拌しながら反応を行った。 反応後、 ト ルェン—水留出分 3 Omlを除いた。 残留物を空冷して、 3, 3, , 4, 4, ービフエニルテトラカルボン酸二無水物 (BPDA) 、 29. 42 g (100ミ リモル) 、 3,4'ージアミノジフエニルエーテル (m— DADE) 、 20. 02 g (100ミリモル) 、 2, 2—ビス一 (3—ァミノ一 4ーヒドロキシフエ二 ル) へキサフルォロプロパン (B i s— AP— AF) 、 36. 63 g (100ミ リモル) NMP 280 gおよびトルエン 40 gを添加し、 室温で 1時間攪拌 (2 0 Orpm) し、 次いで昇温して 180°Cで 1時間、 加熱攪拌した。 トルエン一水 留出分 15mlを除き、 以後は留出分を系外に除きながら、 180°Cで 3時間、 加熱および攪拌を行って反応を終了した。 これにより 20%ポリイミドワニスを 得た。
実施例 4
実施例 1と同様の装置に 5— (2, 5—ジォキソテトラヒドロフリル) —3— メチルー 3—シクロへキセン一 1, 2—ジカルボン酸無水物 52. 85 g (20 0ミリモル) 、 N—メチルー 2, 2 ' ジアミノジェチルァミン 11. 72 g (1 00ミリモル) 、 3, 9—ビス (3—ァミノプロピル) 一2, 4, 8, 10—テ トラォキサスピロ [5, 5] ゥンデカン 27. 44 g (100ミリモル) 、 パレ ロラクトン 3 g (30ミリモル) 、 ピリジン 4. 7 g (60ミリモル) 、 Ύ—づ チロラタトン 340 g及びトルエン 40 gを入れ、 室温で 30分攪拌した。 次い で昇温して、 180°Cで 3時間、 200 r pmで攪拌しながら反応を行った。 反 応後、 共沸した水及びトルエンを除いた。 これにより 20%のポリイミドワニス を得た。
実施例 5
実施例 1と同様の装置に 5— (2, 5—ジォキソテトラヒドロフリル) —3—
メチルー 3—シクロへキセン— 1, 2—ジカルボン酸無水物 52. 85 g (20 0ミリモル) 、 3, 9—ビス (3—ァミノプロピル) 一 2, 4, 8, 10—テト ラオキサスピロ [5, 5] ゥンデカン 27. 44 g (100ミリモル) 、 バレロ ラクトン 3 g (30ミリモル) 、 ピリジン 4. 7 g (60ミリモル) 、 Ύ—づチ ロラクトン 200 g及びトルエン 40 gを入れ、 室温で 30分攙拌し、 次いで昇 温して、 180 で1時間、 200 r pmで攪拌しながら反応を行った。 反応後 トルエン及び水を除き、 室温まで冷却した。 次いで、 1, 2—ビス (2—ァミノ エトキシ) ェ夕ン 14. 82 g (100ミリモル) 、 ァープチロラクトン 150 g及びトルエン 40 gを入れ、 180°Cで 3時間、 加熱攪拌し、 生成した水及び トルエンを除去した。 これにより 20%のポリイミドワニスを得た。
実施例 6
実施例 1と同様の装置に 1, 2, 3, 4ーシクロペンタンテトラ力ルポン酸ジ 無水物 42. 02 g (200ミリモル) 、 1, 3—ビス (アミノメチル) シクロ へキサン 14. 22 g (100ミリモル) 、 1, 2—ビス (2—アミノエトキ シ) ェ夕ン 14. 82 g (100ミリモル) 、 バレロラクトン 3 g (30ミリモ ル) 、 ピリジン 4. 7 g (60ミリモル) 、 ァープチロラクトン 255 g及びト ルェン 40 gを入れ、 室温で 30分攪拌した。 次いで昇温して、 180°Cで 3時 間、 200 r pmで攪拌しながら反応を行った。 反応後、 共沸した水及びトルェ ンを除いた。 これにより 20%のポリイミドワニスを得た。
B. カーボンナノチューブ分散液の製造
次に、 本発明で用いられるカーボンナノチューブ分散液の製造方法の実施例を 示す。
実施例 7
SWNT (3mg) を、 NMP (N—メチルピロリドン) 溶媒 (30 g) と非 イオン性界面活性剤 Tr i t on X-100 (3 Omg) の混合溶媒に入れて 混合し、 超音波 (20kHz) で 1時間処理した。 次に、 この分散溶液をガラス 繊維濾紙 (GC— 50、 保留粒子径 0. 5 m) で濾過し、 力一ボンナノチュー ブ分散溶媒を得た ( 「カーボンナノチューブ分散液 A」 という) 。
実施例 8
SWNT (3mg) を、 DMAC (ジメチルァセトアミド) 溶媒 (30 g) と 非イオン性界面活性剤 T r i t on X— 100 (3 Omg) の混合溶媒に入れ て混合し、 超音波 (20 kHz) で 1時間処理した。 次に、 この分散溶液をガラ ス繊維濾紙 (GC—50、 保留粒子径 0. 5 μ,πύ で濾過し、 カーボンナノチュ —ブ分散溶媒を得た ( 「力一ボンナノチューブ分散液 Β」 という) 。
実施例 9
SWNT (3mg) を、 NMP (N—メチルピロリドン) 溶媒 (30 g) と非 イオン性界面活性剤 T r i t on X- 100 (3 Omg) の混合溶媒に入れて 混合し、 超音波 (20 kHz) で 1時間処理した。 次に、 この混合溶媒に、 平均 分子量 36万のポリビニルピロリドン (PVP) 粉末 20 Omgを加え、 攪拌溶 解した後、 50°Cで 12時間熟成した。 次に、 この分散溶液をガラス繊維濾紙 (GC— 50、 保留粒子径 0. b m) で濾過し、 力一ボンナノチューブ分散溶 媒を得た ( 「カーボンナノチューブ分散液 C」 という) 。
実施例 10
SWNT (3mg) を、 NMP (N—メチルピロリドン) 溶媒 (30 g) と非 イオン性界面活性剤 Twe e n 60 (3 Omg) の混合溶媒に入れて混合し、 超音波 (20 kHz) で 1時間処理した。 次に、 この分散溶液を超遠心分離機に より処理し、 力一ボンナノチューブ分散溶媒を得た ( 「力一ボンナノチューブ分 散液 D」 という) 。
実施例 1 1
SWNT (3mg) を、 NMP (N—メチルピロリドン) 溶媒 (30 g) と平 均分子量 130万のポリビニルピロリドン (15 Omg) の混合溶媒に入れて混 合し、 超音波 (20kHz) で 1時間処理した。 次に、 この分散溶液をガラス繊 維濾紙 (GC— 50、 保留粒子径 0. 5 m) で濾過し、 カーボンナノチューブ 分散溶媒を得た ( 「カーボンナノチューブ分散液 E」 という) 。
実施例 12
上記実施例 7ないし 1 1で得られたカーボンナノチューブ分散液 Aないし E (30 g) と、 上記実施例 1ないし 6で得られた溶剤可溶ポリイミドの有機溶媒 混合溶液 (30 g) を混合攪拌したところ、 それぞれ黒色に着色した均一な溶液
を得た。 混合溶液が適度な粘度となるように NMP溶媒を真空中で一部蒸発させ た後、 混合溶液の一部をガラス基板上に垂らしてドク夕一ブレード法により展開 し、 NMP溶媒を蒸発させることにより薄膜を形成した。 それぞれの薄膜を光学 顕微鏡で観察したところ、 ナノチューブの凝集体は観察されなかった。 また、 顕 微ラマン測定および可視'近赤外光吸収スペクトル測定を行ったところ、 ナノチ ユーブのラマンシグナルおよび光吸収が検出された。 このように、 SWNTを溶 剤可溶ポリイミドに均一に分散できることが確認できた。
以上のように、 上記実施例 4ないし 8で得られたカーボンナノチューブ分散液 Aないしに Eは溶剤に可溶なポリイミドに均一に分散することは可能であった。 しかしながら、 同様のカーボンナノチューブ分散液 Aないし Eを用いても、 溶剤 に不溶なポリイミドではカーボンナノチューブ分散液を混合することはできない。 このような溶剤に不溶なポリイミドの場合、 前駆体であるポリアミック酸が溶剤 に可溶な場合がある。 そこで、 次の比較例 1では、 ポリイミド状態では溶剤に不 溶であるが、 溶剤に可溶な前,駆体であるポリアミック酸へのカーボンナノチュー ブの分散を試みたが、 均一に分散することはできなかった。
比較例 1
力一ボンナノチューブ分散液 A ( 3 0 g) と、 ポリアミック酸ワニス P y e r -ML (R C 5 0 1 9 ) (無水ピロメリット酸 PMDAとビス (4—ァミノフエ ニル) エーテル ODAの化合物) 1 5 %NMP溶液 ( 3 0 g) を混合攪拌したが、 溶液中でカーボンナノチューブが凝集し、 均一な溶液を得ることができなかった。 この溶液の NMP溶媒を蒸発させ、 さらにポリアミック酸が脱水反応によりポリ イミドに変化するまで加熱したが、 カーボンナノチュ一ブをこのポリイミド中に 均一に分散することは困難であった。
次に、 本発明のカーボンナノチューブ分散液以外の組成の分散液を用いて、 溶 剤に可溶なポリイミドに対する混合を試みたが、 比較例 2〜4のように、 分散液 自体カーボンナノチューブが均一に分散されていないため、 やはり均一に分散す ることは困難であった。
比較例 2
SWNT ( l m g) を、 アセトン 1 0 gおよびアセトン 1 0 gと非イオン系界
面活性剤 T r i t on X— 100 (1 Omg) の混合溶媒それぞれに入れて混 合し、 超音波 (20kHz) で 1時間処理したところ、 超音波処理終了後、 両者 とも溶液は黒濁せず力一ボンナノチューブが凝集した沈殿物が生じてしまい、 上 記実施例 1〜 3で得られたいずれの溶剤に可溶なポリイミドに分散することは困 難であった。
比較例 3
SWNT (lmg) を、 ジメチルスルフォキシド 10 gおよびジメチルスルフ ォキシド 10 gと非イオン系界面活性剤 Tr i t on X- 100 (1 Omg) の混合溶媒それぞれに入れて混合し、 超音波 (20kHz) で 1時間処理したと ころ、 超音波処理終了後、 両者とも溶液は黒濁せずカーボンナノチューブが凝集 した沈殿物が生じてしまい、 上記実施例 1〜 3で得られたいずれの溶剤に可溶な ポリイミドに分散することは困難であった。
比較例 4
SWNT (lmg) を、 2—プロパノール 10 gおよび 2—プロパノール 10 gと非イオン系界面活性剤 T r i t on X— 100 (1 Omg) の混合溶媒そ れぞれに入れて混合し、 超音波 (20 kHz) で 1時間処理したところ、 超音波 処理終了後、 両者とも溶液は黒濁せず力一ボンナノチューブが凝集した沈殿物が 生じてしまい、 上記実施例 1〜3で得られたいずれの溶剤に可溶なポリイミドに 分散することは困難であった。
以上のように、 本発明で特定されるカーボンナノチューブ分散溶液を溶剤に可 溶なポリイミド、 特にブロック共重合芳香族ポリイミドに混合することによって、 はじめてカーボンナノチューブが均一に分散したポリイミドが得ることができる。