JP4761183B2 - カーボンナノチューブ分散ポリイミドおよびその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ分散ポリイミドおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4761183B2
JP4761183B2 JP2004318420A JP2004318420A JP4761183B2 JP 4761183 B2 JP4761183 B2 JP 4761183B2 JP 2004318420 A JP2004318420 A JP 2004318420A JP 2004318420 A JP2004318420 A JP 2004318420A JP 4761183 B2 JP4761183 B2 JP 4761183B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon nanotube
dispersed
mixed
solution
polyamic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004318420A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006124613A (ja
Inventor
陽一 榊原
圓 徳本
弘道 片浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2004318420A priority Critical patent/JP4761183B2/ja
Publication of JP2006124613A publication Critical patent/JP2006124613A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4761183B2 publication Critical patent/JP4761183B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

本発明は、カーボンナノチューブが均一に分散されたポリイミドに関する。特に、アミド系極性有機溶媒、非イオン性界面活性剤及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)にカーボンナノチューブを分散させた混合溶液を用いて得られる、カーボンナノチューブが均一に分散されたポリイミドに関する。
ポリイミドは、1963年にデュポン社によって開発された絶縁性及び機械的特性に優れた超耐熱性樹脂であり、また、高機能性も有しており、各種電子材料、機械材料へ応用されている。
一方、カーボンナノチューブは、近年発見された直径がカーボンファイバーよりも細い1ミクロン以下の6角網目状のシート状の構造がチューブの軸に平行になって管を形成したものであり、そのユニークな機械的、電気的、熱的特性が注目されている。
カーボンナノチューブは、6角網目のチューブの数によって、多層のもの(マルチウォール・カーボンナノチューブ、「MWNT」と呼ばれる)から単層のもの(シングルウォール・カーボンナノチューブ、「SWNT」と呼ばれる)まである。このようなカーボンナノチューブは、特に、SWNTはナノコンポジットとして利用した場合、強力な機械的強度の向上が期待され、しかも、導電性が向上するなど極めて有利な特性が期待されている。
したがって、ポリイミドにカーボンナノチューブを均一に分散することができれば、カーボンナノチューブの有する機械的、電気的、熱的特性とポリイミドの有する機械的、熱的、化学的特性の相乗効果により、極めて優れた特性が得られることが期待できる。
しかしながら、一般に、カーボンナノチューブを用いたナノコンポジットは上述した利点を有するにもかかわらず、カーボンナノチューブ相互の凝集力(ファンデルワールスの力)によって、カーボンナノチューブが束状及び縄状になってしまうため、カーボンナノチューブを樹脂に均一に分散させることは極めて困難であった。特に、カーボンナノチューブの原子レベルでの滑らかな表面が基材に対する親和性を低下する要因となっている(特許文献1及び2参照)。
このようなカーボンナノチューブの高分子材料への分散性を改善するために様々な試みが報告されている。従来から行われているフィラーの分散方法としては、攪拌、超音波処理、混練等の機械的な処理と、微粒子表面への化学的処理とを組み合わせるのが主であった。機械的な処理のうちで混練としてはセラミック微粒子を用いたビーズミル装置やボールミル装置、三本ローラーなど様々な装置が用いられる。しかしながら、機械的な処理では、これらの装置が必要となり、また、カーボンナノチューブが損傷しやすいという欠点を有する。
そこで、カーボンナノチューブの凝集を防ぎ安定した分散液を確保した後、この分散液ごと高分子材料マトリックスに混合し分散することが行われている。このような分散液を調整する方法を大別すると、(1)酸処理によってカーボンナノチューブの表面に親水性の官能基を導入することによって各種溶媒への分散性を向上させ、分散液をポリマー溶液と混合することによってコンポジット化する方法と、(2)界面活性剤やカーボンナノチューブに吸着する特定のポリマーによってCNTをコーティングして各種溶媒に分散する方法がある。
前者の例としては、強酸と超音波を利用してSWCNTを短く分断する方法がある。例えば、カーボンナノチューブ表面を化学的に修飾し、エポキシ樹脂に対する親和力の向上を図る試みも報告されているが必ずしも十分な分散性を得ていない。また、化学修飾法については、強力な酸化反応でナノチューブを最初に切断するためナノチューブが損傷してしまうという欠点を有する。(非特許文献1参照)
後者の例として、エポキシ樹脂において、非イオン性の界面活性剤であるポリオキシエチレン8ラウリル(C12EO8)がカーボンナノチューブの分散剤として機能することも報告されている。これは、C12EO8の有するオキシエチレンによる親水性部と炭化水素による疎水性部が炭素の分散性に寄与するというものである。つまり、疎水性部が炭素と相互作用し、同時に、親水性部が水素結合によってエポキシ樹脂と相互作用するというものである。しかしながら、このような界面活性剤の添加によって、カーボンナノチューブの分散性の一定の向上は図れたものの、まだ、十分な分散性は得られていないことが報告されている。(非特許文献2参照)
さらに、別の研究では、エポキシ樹脂基材に対して、カーボンナノチューブを分散させる手法として、非イオン系界面活性剤(Tergitol NP7)を用いて超音波処理することが提案されている。しかし、この場合においても、カーボンナノチューブの配合量を増加させると、カーボンナノチューブが凝集してしまい、均一な分散が得られない旨報告されている。(非特許文献3参照)
以上のような方法によって、ある程度カーボンナノチューブの分散が高められた例もあるが、まだ十分な分散性が得られていないのが現状であった。特に、これらの方法をポリイミドへ応用した場合、カーボンナノチューブの分散は十分でなかった。
一方、従来のポリイミドは、一般的に溶剤に溶解することが困難であり、ナノコンポジットとして利用する際、ナノ粒子を混合、分散させることが困難であるという問題を有する。そこで、本発明者らは、ブロック共重合により製造されたポリイミドが溶剤に可溶である点に着目し、ブロック共重合ポリイミドとカーボンナノチューブを非イオン性界面活性剤及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)をアミド系極性有機溶媒、特に、NMP(Nメチルピロリドン)及び/又はジメチルアセトアミド(DMAC)に分散させた溶液を混合することによって、カーボンナノチューブを溶剤に可溶なポリイミドに均一に分散することを見出し、特願2004−011899号として出願した。
特開平7−102112号 米国特許5,502,143号明細書 NANO LETTERS Vol.3,No.8,2003,1107−1113 Chem.Mater.2000,12,1049−1052 Carbon 41,2003,797−809
しかしながら、溶剤に可溶なポリイミドは、材料として特殊であり、入手が容易でなく、また、価格も高いという問題があった。そこで、溶剤に可溶なポリイミドだけでなく、他のポリイミドについてもカーボンナノチューブを分散することができれば、材料としての汎用性が広がり、コストも低く抑えることができるなどのメリットを有する。特に、含フッ素ポリイミドは光学材料としての有用性が報告されており、可飽和吸収特性を有するカーボンナノチューブを均一に分散することができれば、光学材料としての有用性が期待できる。
ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸とカーボンナノチューブを非イオン性界面活性剤及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)をアミド系極性有機溶媒、特に、NMP(Nメチルピロリドン)及び/又はジメチルアセトアミド(DMAC)に分散させた溶液を混合することによって、カーボンナノチューブが分散したポリアミック酸溶液を得、次いで脱水することによってカーボンナノチューブが均一に分散したポリイミドを得ることができる。
本発明の具体的構成は次のとおりである。
(1)カーボンナノチューブ、アミド系極性有機溶媒並びに非イオン性界面活性剤及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)からなるカーボンナノチューブ分散溶液をポリアミド酸溶液と混合した後、脱水イミド化反応によって製造されたカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
(2)前記脱水イミド化反応は、加熱によって行われる上記(1)に記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
(3)前記アミド系極性有機溶媒がN−メチルピロリドン(NMP)及び/又はイメチルアセトアミド(DMAC)である上記(1)又は(2)に記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
(4)前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン系界面活性剤であることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
(5)アミド系極性有機溶媒及び非イオン性界面界活性剤混合溶液に、超音波処理を行いながらカーボンナノチューブを混合分散し、得られたカーボンナノチューブ分散溶液をポリアミック酸溶液と混合し、脱水イミド化反応を行うカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
(6)アミド系極性有機溶媒及びイオン性界面活性剤混合溶液に、超音波処理を行いながらカーボンナノチューブを混合分散し、さらにポリビニルピロリドリン(PVP)を混合し、得られた分散溶液をポリアミック酸溶液と混合し、脱水イミド化反応を行うことを特徴とするカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
(7)アミド系極性有機溶媒及びポリビニルピロリドリン(PVP)の混合溶液に、超音波処理を行いながらカーボンナノチューブを混合分散し、得られた分散溶液をポリアミック酸溶液と混合し、脱水イミド化反応を行うことを特徴とするカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
(8)カーボンナノチューブ分散溶液をフィルターにより濾過処理した後、ポリアミック酸溶液に混合することを特徴とする上記(5)ないし(7)のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
(9)カーボンナノチューブ分散溶液をポリアミック酸溶液に混合した後フィルターによる濾過処理を行うことを特徴とする上記(5)ないし(7)のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
(10)カーボンナノチューブ分散溶液を超遠心分離機により処理した後、ポリアミック酸溶液に混合することを特徴とする上記(5)ないし(7)のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
(11)カーボンナノチューブ分散溶液をポリアミック酸溶液に混合した後、超遠心分離機により処理を行うことを特徴とする上記(5)ないし(7)のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
ポリアミック酸の一般的な合成方法としては、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを、溶媒中で不活性ガス雰囲気下、常温常圧で反応させる方法がある。例えば、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを溶媒中で攪拌することにより、直ちにポリアミック酸を得ることができる。この際、ジアミンの種類などに応じて、反応溶媒として、NMP(Nメチルピロリドン)、DMAc(ジメチルアセトアミド)のような非プロトン系アミド系極性溶媒、又は、THF(テトラヒドロフラン)、ジグリメ(ジエチレングリコールジメチルエーテル)のようなエーテル系低沸点溶媒を使用することができる。
このように生成したポリアミック酸とカーボンナノチューブを非イオン性界面活性剤及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)をアミド系極性有機溶媒、特に、NMP(Nメチルピロリドン)及び/又はジメチルアセトアミド(DMAc)に分散させた溶液を混合することによって、カーボンナノチューブが分散したポリアミック酸溶液を得ることができる。
得られたポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造するには、混合溶液が適度な粘度となるように真空中で30〜50℃で溶媒を一部蒸発させた後、300℃程度まで加熱する。この際、200℃付近で解重合するため、好ましくは、200℃の滞留時間を短くして昇温する。300℃を過ぎて脱水イミド化反応は完了し、フィルムは収縮して結晶化を始める。
本発明で用いられるアミド系極性有機溶媒としては、具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF),ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)などのいずれも用いることができるが、特に好ましくは、N−メチルピロリドン(NMP)及び/又はジメチルアセトアミド(DMAc)を用いるとよい。これらは、多くの有機物(低級炭化水素を除く)、無機物、極性ガスおよび高分子、特に、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂を溶かすことができる。したがって、カーボンナノチューブをこれらの溶媒に均一に分散することができれば、その分散液にこれらの高分子材料を溶かすことによってカーボンナノチューブが均一に分散したポリマー系ナノコンポジットを得ることができる。
本発明で用いられる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系、多価アルコールと脂肪酸エステル系、この両者を併せ持つ系のいずれであってもよいが、特に好ましくは、ポリオキシエチレン系のものが用いられる。ポリオキシエチレン系界面活性剤の例としては、脂肪酸のポリオキシエチレン・エーテル、高級アルコールのポリオキシエチレン・エーテル、アルキル・フェノール・ポリオキシエチレン・エーテル、ソルビタン・エステルのポリオキシニチレン・エーテル、ヒマシ油のポリオキシエチレン・エーテル、ポリオキシ・プロピレンのポリオキシエチレン・エーテル、脂肪酸のアルキロールアマイドなどがある。多価アルコールと脂肪酸エステル系界面活性剤の例としては、モノグリセライト型界面活性剤、ソルビトール型界面活性剤、ソルタビン型界面活性剤、シュガーエステル型界面活性剤などがある。
これら非イオン性界面活性剤の添加量は、カーボンナノチューブの配合量、配合するアミド系極性有機溶媒の種類によって適宜定めることができるが、一般には、0.005〜10%であれば、カーボンナノチューブの十分な分散効果を得ることができる。0.005%以下であると、カーボンナノチューブに対する界面活性剤の量が不足するために、一部のナノチューブは凝集して沈殿物が生じてしまう。また、10%以上であると、界面活性剤分子の溶媒中での分子回転が困難になるために、疎水性のナノチューブ表面に十分な量の界面活性剤の疎水部が吸着することが出来なくなり、微細なナノチューブの分散には不都合である。また、カーボンナノチューブの配合量を0.005〜0.05%にした場合、非イオン性界面活性剤の配合量は、0.01〜5%がよい。
本発明で用いられるカーボンナノチューブには、多層のもの(マルチウォール・カーボンナノチューブ、「MWNT」と呼ばれる)から単層のもの(シングルウォール・カーボンナノチューブ、「SWNT」と呼ばれる)まで、それぞれ目的に応じて使うことができる。本発明においては、好ましくは、シングルウォール・カーボンナノチューブが用いられる。用いるSWNTの製造方法としては、特に制限されるものではなく、触媒を用いる熱分解法(気相成長法と類似の方法)、アーク放電法、レーザー蒸発法、及びHiPco法(High−pressure carbon monoxide process)等、従来公知のいずれの製造方法を採用しても構わない。
以下に、レーザー蒸着法により、本発明に好適なシングルウォール・カーボンナノチューブを作成する手法について例示する。原料として、グラファイトパウダーと、ニッケルおよびコバルト微粉末混合ロッドを用意した。この混合ロッドを665hPa(500Torr)のアルゴン雰囲気下、電気炉により1,250℃に加熱し、そこに350mJ/PulseのNd:YAGレーザーの第二高調波パルスを照射し、炭素と金属微粒子を蒸発させることにより、シングルウォール・カーボンナノチューブを作製した。
以上の作製方法は、あくまで典型例であり、金属の種類、ガスの種類、電気炉の温度、レーザーの波長等を変更しても差し支えない。また、レーザー蒸着法以外の作製法、例えば、HiPco法、CVD法、アーク放電法、一酸化炭素の熱分解法、微細な空孔中に有機分子を挿入して熱分解するテンプレート法、フラーレン・金属共蒸着法等、他の手法によって作製されたシングルウォールナノチューブを使用しても差し支えない。
また、カーボンナノチューブの配合量は、使用目的によっても異なるが、分散性が得られる限り特に限定されるものではない。SWNTを用いて、NMP及びポリオキシエチレン系の界面活性剤の混合溶液に分散した場合、最大0.05%まで分散することができる。特に好ましくは、0.005から0.05%までがよい。
本発明で使用される超音波は、20kHz,150W及び28kHz,140Wを用い、約1時間処理することによって良好な分散効果を得ることができたが、本発明の超音波の条件はこれに限定されるものではない。配合されるカーボンナノチューブの量、アミド系極性有機溶媒の種類等によって、適宜、定めることが可能である。
本発明で用いられるポリビニルピロリドン(PVP)の配合量は、カーボンナノチューブの配合量によって適宜定めることができるが、好ましくは分散溶媒中0.1〜10%配合するとよい。ポリビニルピロリドンは、カーボンナノチューブの表面に吸着し、カーボンナノチューブを包むいわゆるラッピング効果を有することが知られている。本発明では、ポリビニルピロリドンのこのようなラッピング効果を利用して、アミド系極性有機溶媒及び非イオン性界面活性剤に均一に分散したカーボンナノチューブの再凝集を防止することができる。カーボンナノチューブの配合量に対してポリビニルピロリドンの配合量が低すぎると、十分なラッピング効果が得られず、カーボンナノチューブ同士の再凝集が起きてしまう。
本発明で用いられるポリビニルピロリドン(PVP)の分子量は特に限定されるものではなく、一般には2万〜500万であれば、十分な再凝集防止効果を得ることができるが、好ましくは20万〜200万がよい。カーボンナノチューブの分子量が非常に大きいため、分子量が小さすぎるとPVPが十分にカーボンナノチューブをラッピングすることができない。また、分子量が大きすぎると溶媒中におけるPVPの分子運動が低下し、十分にカーボンナノチューブをラッピングすることができない。
本発明で使用されるフィルターは、ガラス繊維フィルター、メンブランフィルターなどが用いられる。その際、フィルターの保留粒子径は、目的に応じて適宜定めることができる。保留粒子径とは、JIS 3801で規定された硫酸バリウムなどを自然濾過したときの漏洩粒子径により求めたものであるが、実質的には、フィルターの平均孔径に相当する。例えば、光散乱の低減を利用した光学機器に応用する場合、フィルターの保留粒子径は小さいほどよいが、一般には保留粒子径0.1〜3.0μmのものを用いることができる。
本発明にしたがって、カーボンナノチューブを非イオン性界面活性剤、アミド系極性有機溶媒、及びポリビニルピロリドンからなる混合溶液に、超音波を照射しつつ溶解させると、カーボンナノチューブが均一に分散した分散溶媒が得ることができる。
得られた分散溶媒とポリアミック酸を混合した溶液を加熱することによって、きわめて簡便にカーボンナノチューブが均一に分散されたポリイミド薄膜を得ることができる。
以下の実施例に示されるように、単層カーボンナノチューブ0.005〜0.05%を、ポリオキシエチレン系界面活性剤0.01〜5%を添加したNMP溶液に超音波を照射しながら分散させ、さらにポリビニルピロリドンを0.1〜10%混合するか、又はポリピロリドンと混合した後超音波を照射することによって、カーボンナノチューブの分散性に極めて優れた極性有機溶媒を得た。
次に、得られたカーボンナノチューブ分散溶媒と得られた分散溶媒とポリアミック酸を混合した溶液を300℃程度まで、加熱することによって、カーボンナノチューブが均一に分散されたポリイミド薄膜を得た。
カーボンナノチューブ分散液の製造
SWNT(3mg)を、NMP(N−メチルピロリドン)溶媒(30ml)と非イオン性界面活性剤Triton X−100(30mg)の混合溶媒に入れて混合し、超音波(20kHz、220W)で5時間処理した。次に、この混合溶媒に、平均分子量36万のポリビニルピロリドン(PVP)粉末300mgを加え、攪拌溶解した後、50℃で12時間熟成した。次に、この分散溶液をメンブレンフィルター(ミリポア製オムニポアJA、孔径1μm)で濾過し、カーボンナノチューブ分散溶媒 を得た(「カーボンナノチューブ分散液A」という)。
SWNT(3mg)を、DMAC(ジメチルアセトアミド)溶媒(30ml)と非イオン性界面活性剤Triton X−100(30mg)の混合溶媒に入れて混合し、超音波(20kHz、220W)で5時間処理した。次に、この混合溶媒に、平均分子量36万のポリビニルピロリドン(PVP)粉末300mgを加え、攪拌溶解した後、50℃で12時間熟成した。次に、この分散溶液をメンブレンフィルター(ミリポア製オムニポアJA、孔径1μm)で濾過し、カーボンナノチューブ分散溶媒 を得た(「カーボンナノチューブ分散液B」という)。
SWNT(3mg)を、NMP(N−メチルピロリドン)溶媒(30ml)と非イオン性界面活性剤Triton X−100(30mg)の混合溶媒に入れて混合し、超音波(20kHz、220W)で5時間処理した。次に、この混合溶媒に、平均分子量36万のポリビニルピロリドン(PVP)粉末300mgを加え、攪拌溶解した後、50℃で12時間熟成した。次に、この分散溶液を超遠心分離機により処理し(190000G 4hr 20℃)、カーボンナノチューブ分散溶媒を得た(「カーボンナノチューブ分散液C」という)。
SWNT(3mg)を、NMP(N−メチルピロリドン)溶媒(30ml)と非イオン性界面活性剤Tween 60(30mg)の混合溶媒に入れて混合し、超音波(20kHz、220W)で5時間処理した。次に、この混合溶媒に、平均分子量36万のポリビニルピロリドン(PVP)粉末300mgを加え、攪拌溶解した後、50℃で12時間熟成した。次に、この分散溶液を超遠心分離機により処理し(190000G 4hr 20℃)、カーボンナノチューブ分散溶媒を得た(「カーボンナノチューブ分散液D」という)。
SWNT(3mg)を、NMP(N−メチルピロリドン)溶媒(30g)と平均分子量130万のポリビニルピロリドン(150mg)の混合溶媒に入れて混合し、超音波(20kHz、220W)で5時間処理した。次に、この分散溶液をガラス繊維濾紙(GC−50、保留粒子径0.5μm)で濾過し、カーボンナノチューブ 分散溶媒を得た(「カーボンナノチューブ分散液E」という)。
カーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造
上記実施例1ないし5で得られたカーボンナノチューブ分散液AないしE(2g)を、宇部興産のポリイミド用ポリアミック酸ワニス製品であるUワニスAのNMP溶液(2g)に混合攪拌したところ、黒色に着色した均一な溶液を得た。混合溶液が適度な粘度となるように溶媒を真空中で30〜50℃で一部蒸発させた後、混合溶液の一部をガラス基板上に垂らしてべーカーアプリケータにより展開した。これらの試料をオーブン中で、120℃×30分、150℃×10分、200℃×10分、250℃×10分、300℃×60分の条件でキュアし、薄膜を形成した。これらの薄膜を光学顕微鏡で観察したところ、ナノチューブの凝集体は観察されなかった。また、顕微ラマン測定および可視・近赤外光吸収スペクトル測定を行ったところ、ナノチューブのラマンシグナルおよび光吸収が検出された。また赤外吸収スペクトルの測定を行ったところ、イミド化反応により生成される吸収が1780cm-1付近に現れ、ポリアミック酸がポリイミドに変換していることが確認された。このように、SWNTをポリイミドに均一に分散できることが確認できた。
上記実施例1ないし5で得られたカーボンナノチューブ分散液AないしE(2g)を、ユニチカのポリイミド用ポリアミック酸ワニス製品であるUイミドAまたはUイミドBまたはUイミドCのDMAC溶液(2g)に混合攪拌したところ、黒色に着色した均一な溶液を得た。混合溶液が適度な粘度となるように溶媒を真空中で30〜50℃で一部蒸発させた後、混合溶液の一部をガラス基板上に垂らしてべーカーアプリケータにより展開した。これらの試料をオーブン中で、80℃×30分、130℃×30分、200℃×30分、300℃×60分の条件でキュアし、薄膜を形成した。これらの薄膜を光学顕微鏡で観察したところ、ナノチューブの凝集体は観察されなかった。また、顕微ラマン測定および可視・近赤外光吸収スペクトル測定を行ったところ、ナノチューブのラマンシグナルおよび光吸収が検出された。また赤外吸収スペクトルの測定を行ったところ、イミド化反応により生成される吸収が1780cm-1付近に現れ、ポリアミック酸がポリイミドに変換していることが確認された。このように、SWNTをポリイミドに均一に分散できることが確認できた。
上記実施例1ないし5で得られたカーボンナノチューブ分散液AないしE(2g)を、セントラル硝子のフッ素化ポリイミド用ポリアミック酸ワニス製品であるCB2575のDMAC溶液(2g)に混合攪拌したところ、黒色に着色した均一な溶液を得た。混合溶液が適度な粘度となるように溶媒を真空中で30〜50℃で一部蒸発させた後、混合溶液の一部をガラス基板上に垂らしてべーカーアプリケータにより展開した。この試料をイナートオーブン中で窒素雰囲気下で、70℃×60分、2時間かけて350℃に温度上昇、350℃×60分の条件でキュアし、薄膜を形成した。この薄膜を光学顕微鏡で観察したところ、ナノチューブの凝集体は観察されなかった。また、顕微ラマン測定および可視・近赤外光吸収スペクトル測定を行ったところ、ナノチューブのラマンシグナルおよび光吸収が検出された。また赤外吸収スペクトルの測定を行ったところ、イミド化反応により生成される吸収が1780cm-1付近に現れ、ポリアミック酸がポリイミドに変換していることが確認された。このように、SWNTをポリイミドに均一に分散できることが確認できた。

Claims (10)

  1. カーボンナノチューブ、アミド系極性有機溶媒並びに非イオン性界面活性剤及びポリビニルピロリドン(PVP)からなるカーボンナノチューブ分散溶液をポリアミック酸溶液と混合した後、脱水イミド化反応によって製造されたカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
  2. 前記脱水イミド化反応は、加熱によって行われる請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
  3. 前記アミド系極性有機溶媒がN−メチルピロリドン(NMP)及び/又はジメチルアセトアミド(DMAC)である請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
  4. 前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン系界面活性剤であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミド。
  5. アミド系極性有機溶媒及びイオン性界面活性剤混合溶液に、超音波処理を行いながらカーボンナノチューブを混合分散し、さらにポリビニルピロリドリン(PVP)を混合し、得られた分散溶液をポリアミック酸溶液と混合し、脱水イミド化反応を行うことを特徴とするカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
  6. アミド系極性有機溶媒及びポリビニルピロリドリン(PVP)の混合溶液に、超音波処理を行いながらカーボンナノチューブを混合分散し、得られた分散溶液をポリアミック酸溶液と混合し、脱水イミド化反応を行うことを特徴とするカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
  7. カーボンナノチューブ分散溶液を、保留粒子径0.1〜3.0μmのフィルターにより濾過処理した後、ポリアミック酸溶液に混合することを特徴とする請求項5または6に記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
  8. カーボンナノチューブ分散溶液をポリアミック酸溶液に混合した後、保留粒子径0.1〜3.0μmのフィルターによる濾過処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
  9. カーボンナノチューブ分散溶液を超遠心分離機により処理した後、ポリアミック酸溶液に混合することを特徴とする請求項5または6に記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。
  10. カーボンナノチューブ分散溶液をポリアミック酸溶液に混合した後、超遠心分離機により処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載のカーボンナノチューブ分散ポリイミドの製造方法。

JP2004318420A 2004-11-01 2004-11-01 カーボンナノチューブ分散ポリイミドおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP4761183B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004318420A JP4761183B2 (ja) 2004-11-01 2004-11-01 カーボンナノチューブ分散ポリイミドおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004318420A JP4761183B2 (ja) 2004-11-01 2004-11-01 カーボンナノチューブ分散ポリイミドおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006124613A JP2006124613A (ja) 2006-05-18
JP4761183B2 true JP4761183B2 (ja) 2011-08-31

Family

ID=36719648

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004318420A Expired - Fee Related JP4761183B2 (ja) 2004-11-01 2004-11-01 カーボンナノチューブ分散ポリイミドおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4761183B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5131426B2 (ja) * 2006-11-30 2013-01-30 三菱マテリアル株式会社 カーボンナノファイバー分散ポリイミドワニスおよびその塗膜
JP5207351B2 (ja) 2007-03-23 2013-06-12 独立行政法人産業技術総合研究所 溶融混練物、樹脂成形物及びその製造方法
CN101798076B (zh) * 2010-04-02 2012-02-29 上海交通大学 基于玻璃碳和碳纳米管的复合薄板的制备方法
WO2013147087A1 (ja) * 2012-03-28 2013-10-03 宇部興産株式会社 微細カーボン分散組成物およびこれを用いたポリイミド-微細カーボン複合体
US20220404750A1 (en) 2021-06-15 2022-12-22 Canon Kabushiki Kaisha Electrophotographic belt, electrophotographic image forming apparatus, method of producing electrophotographic belt, and varnish

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004107657A (ja) * 2002-08-28 2004-04-08 Du Pont Toray Co Ltd ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2004123867A (ja) * 2002-10-01 2004-04-22 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ポリイミド樹脂組成物、ポリイミドフィルム、及びポリイミド管状物
JP4266752B2 (ja) * 2002-11-01 2009-05-20 三菱レイヨン株式会社 カーボンナノチューブ含有組成物及びその調製方法、またそれを用いた複合体及びその製造方法
WO2005068556A1 (ja) * 2004-01-20 2005-07-28 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology カーボンナノチューブ分散ポリイミド組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006124613A (ja) 2006-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4182215B2 (ja) カーボンナノチューブ分散極性有機溶媒及びその製造方法
US7682590B2 (en) Carbon nanotube dispersed polar organic solvent and method for producing the same
JP5019152B2 (ja) カーボンナノチューブ分散ポリイミド組成物
Park et al. Dispersion of single wall carbon nanotubes by in situ polymerization under sonication
Du et al. Coagulation method for preparing single‐walled carbon nanotube/poly (methyl methacrylate) composites and their modulus, electrical conductivity, and thermal stability
Liu et al. Functionalization of multi-walled carbon nanotubes grafted with self-generated functional groups and their polyamide 6 composites
US11643328B2 (en) Method of producing surface-treated carbon nanostructures
Brown et al. Hierarchical morphology of carbon single-walled nanotubes during sonication in an aliphatic diamine
Hu et al. Efficient dispersion of multi‐walled carbon nanotubes by in situ polymerization
Hegde et al. SWCNT induced crystallization in an amorphous all-aromatic poly (ether imide)
KR101337867B1 (ko) 탄소나노물질-고분자 복합체 및 그 제조 방법
Ben Doudou et al. Hybrid carbon nanotube—silica/polyvinyl alcohol nanocomposites films: preparation and characterisation
Preston et al. Scalable nanomanufacturing of surfactant-free carbon nanotube inks for spray coatings with high conductivity
JP5139717B2 (ja) 多層カーボンナノチューブ分散液およびその製造方法
JP4182214B2 (ja) カーボンナノチューブ分散極性有機溶媒
Yang et al. Noncovalent‐wrapped sidewall functionalization of multiwalled carbon nanotubes with polyimide
Mallakpour et al. Preparation of polystyrene/MWCNT‐Valine composites: Investigation of optical, morphological, thermal, and electrical conductivity properties
Manivannan et al. Fabrication and effect of post treatment on flexible single-walled carbon nanotube films
JP4761183B2 (ja) カーボンナノチューブ分散ポリイミドおよびその製造方法
Cheng et al. Preparation and characterization of polyimide/silane coupling agent modified multiwall carbon nanotubes composites
WO2020195800A1 (ja) 繊維状炭素ナノ構造体、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法、および表面改質繊維状炭素ナノ構造体の製造方法
Rausch et al. Surfactant assisted processing of carbon nanotube/polypropylene composites: Impact of surfactants on the matrix polymer
Li et al. Preparation of multiwall carbon nanotubes/poly (p‐phenylene benzobisoxazole) nanocomposites and analysis of their physical properties
Zhang et al. Preparation and characterization of alkylated carbon nanotube/polyimide nanocomposites
Xu et al. Effects of surface modification of MWCNT on the mechanical and electrical properties of fluoro elastomer/MWCNT nanocomposites

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100525

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100624

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20100624

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110517

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110526

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140617

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140617

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees