JP5139717B2 - 多層カーボンナノチューブ分散液およびその製造方法 - Google Patents
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Description
1.次の構成要素(A)、(B)、および(C)を含んでなることを特徴とする多層カーボンナノチューブ分散液。
(A)チューブの平均直径が3−30nm、平均層数が2〜10層かつ平均チューブ長が200nm〜10μmでありアーク放電法により調製され、非晶性炭素と金属の含有量の合計が1wt%以下の多層カーボンナノチューブ
(B)アミド系非プロトン性極性分散媒
(C)全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤
―NH―Ar1―NH―CO―Ar2―CO― (1)
Ar1,Ar2は各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。
により示される繰り返し単位からなる全芳香族ポリアミドであることを特徴とする上記記載の多層カーボンナノチューブ分散液。
本発明における多層カーボンナノチューブ分散液は全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤を構成要素(C)として含む。
―NH―Ar1―NH―CO―Ar2―CO― (1)
ここでAr1,Ar2は各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。また、アミド系非プロトン系極性分散媒に溶解する全芳香族ポリアミドが好ましい。
Ar2はメタフェニレン基、パラフェニレン基、が好ましく、パラフェニレン基がさらに好ましい。
また、本発明において多層カーボンナノチューブ分散液には必要に応じて塩、pH調整剤、粘度調整剤、キレーター等が含まれていてもかまわない。
<多層カーボンナノチューブ分散液の分散性の評価>
多層カーボンナノチューブの分散液をスライドグラス上に1滴とり、カバーグラスでカーバーしたものを光学顕微鏡を用いて400倍で観察し、多層カーボンナノチューブの凝集物の有無を確認した。
金属陽極電極として外径40mm、内径10mmの銅製中空電極を用い、大気圧下・大気雰囲気中にて8リットル/分の流量で4vol%の水素を含有するアルゴンガスを送給しながら電極内部の孔から黒鉛陰極電極に向けて電流150A、電圧30V(アーク長約4mm)にて2分間アーク放電を行った。放電後、陰極中央部に堆積した生成物を採取することにより高純度の多層カーボンナノチューブ15mgを得た。TEM観察よりこのカーボンナノチューブは平均層数8、平均チューブ直径20nmおよび平均チューブ長が2μmであり、チューブ以外の炭素成分は形態的に確認されなかった。更に元素分析、ラマン分析を行うことで、D/G=0.11であり、TEM観察によるナノチューブ形態観察の結果と併せて考慮すると非晶質炭素をほとんど含有しない高結晶の多層カーボンナノチューブであることが確認された。また元素分析の結果、金属含有率は0.1wt%以下であり、カーボンナノチューブとしての純度も非常に高いことが確認された。該放電操作を繰り返すことにより、実施例での使用に必要な量の多層カーボンナノチューブを調製した。
多孔性担体にY型ゼオライト粉末(東ソー製;HSZ−320NAA)を用い、触媒金属化合物に酢酸第二鉄と酢酸コバルトを用いて、Fe/Co触媒をゼオライトに担持した。触媒の担持量はそれぞれ2.5重量%に調製した。その後、石英ボートに触媒粉末を乗せてCVD装置の石英管内に設置して真空排気をおこない、流量10mL/分でArガスを導入しながら室温から800℃まで昇温した。所定の800℃に達した後、エタノール蒸気を流量3000mL/分で導入し、Ar/エタノール雰囲気下で30分間保持した。得られた黒色の生成物をレーザーラマン分光法および透過型電子顕微鏡で分析した結果、単層カーボンナノチューブが生成していることが確認された。ついで、得られた生成物(単層カーボンナノチューブ/ゼオライト/金属触媒)を、フッ化水素酸10%に3時間浸漬後、中性になるまでイオン交換水で洗浄することでゼオライトおよび金属触媒を除去してカーボンナノチューブを精製した。得られたカーボンナノチューブをTEMにて観察したところ、平均直径は1.2nm、平均アスペクト比は100以上であった。ただし多くが幅約10nmほどのバンドル構造をとっていた。
(全芳香族ポリアミドの合成)
十分に乾燥した攪拌装置付きの三口フラスコにN−メチルピロリドン(以下NMP)17.38重量部p−フェニレンジアミン18.82重量部及び3、4’−ジアミノフェニルエ−テル34.84重量部を常温下で添加し窒素中で溶解した後、攪拌しながらテレフタル酸ジクロリド70.08重量部を添加した。最終的に80℃、60分反応させたところに水酸化カルシウム12.85重量部を添加し中和反応を行った。得られたポリマ−ド−プを水にて再沈殿することにより析出させたポリマ−の特有粘度は3.5(dl/g)であった。
参考例1で得られた多層カーボンナノチューブ100mgをN−メチル−2−ピロリドン100mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。得られた多層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物をただちに光学顕微鏡にて400倍で観察したところ多層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。続いて、多層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物を、上記で合成した全芳香族ポリアミドのドープ900mgに超音波処理した後ただちに添加し、さらに15分超音波処理することにより多層カーボンナノチューブ分散液を得た。得られた多層カーボンナノチューブ分散液は、1日放置した後に光学顕微鏡にて400倍で観察しても多層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。
参考例1で得られた多層カーボンナノチューブ100mgをN−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)100mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。得られた多層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物をただちに光学顕微鏡にて400倍で観察したところ多層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。続いて、多層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物に超音波処理した後ただちに、固有粘度1.35dl/gのポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)100mgを添加し、さらに15分超音波処理することにより多層カーボンナノチューブ分散液を得た。得られた多層カーボンナノチューブ分散液は、1日放置した後に光学顕微鏡にて400倍で観察しても多層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。
参考例1で得られた多層カーボンナノチューブ100mgをN−メチル−2−ピロリドン100mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。ただちに光学顕微鏡にて400倍で観察したところ多層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。次いで得られた多層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物を1日放置した後、光学顕微鏡にて400倍で観察したところ、多層カーボンナノチューブの凝集物が観察された。以上のことから、多層カーボンナノチューブだけをNMPに分散させた場合、一時的には分散状態を形成することができても、時々刻々凝集しており、分散性を保持、安定化することができないことを確認した。
凝集抑制剤としてポリビニルピロリドンを用いた以外は、実施例1と同様にして実験を行った。得られた多層カーボンナノチューブ、NMP、ポリビニルピロリドンからなる混合物を24時間放置した後、光学顕微鏡にて400倍で観察を行ったところ、多層カーボンナノチューブの凝集物が観察された。
参考例1で得られた多層カーボンナノチューブ100mgと全芳香族ポリアミドのドープ1670mgにNMP100mlを添加し、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。得られた多層カーボンナノチューブ、NMPおよび全芳香族ポリアミドからなる混合物を、1日放置後に光学顕微鏡にて400倍で観察を行ったが、多層カーボンナノチューブの凝集物がわずかに観察された。これより多層カーボンナノチューブが少なくとも一時的に分散している状態で、凝集抑制剤を添加することが好ましいことがわかった。
参考例2で得られたCVD法による単層カーボンナノチューブ100mgをN−メチル−2−ピロリドン100mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。得られた単層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物を、上記で合成した全芳香族ポリアミドのドープ900mgに超音波処理した後ただちに添加し、さらに15分超音波処理することにより単層カーボンナノチューブ分散液を得た。得られた単層カーボンナノチューブ分散液は、1日放置した後に光学顕微鏡にて400倍で観察すると単層カーボンナノチューブが会合することによる凝集物が観察された。
参考例2で得られたCVD法による単層カーボンナノチューブ100mgのかわりに、CVD法により製造された市販の多層カーボンナノチューブ(MWNT 外径60〜100nm シンセンナノテクポート社製)を用いた以外は比較例4と同様に多層カーボンナノチューブ分散液を得た。得られた多層カーボンナノチューブ分散液は、1日放置した後に光学顕微鏡にて400倍で観察すると多層カーボンナノチューブや不純物による凝集構造が形成されていた。
Claims (9)
- 次の構成要素(A)、(B)、および(C)を含んでなることを特徴とする多層カーボンナノチューブ分散液。
(A)チューブの平均直径が3−30nm、平均層数が2〜10層かつ平均チューブ長が200nm〜10μmでありアーク放電法により調製され、非晶性炭素と金属の含有量の合計が1wt%以下の多層カーボンナノチューブ
(B)アミド系非プロトン性極性分散媒
(C)全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤 - 構成要素(C)の凝集抑制剤が下記式(1)
―NH―Ar1―NH―CO―Ar2―CO― (1)
Ar1,Ar2は各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。
により示される繰り返し単位からなる全芳香族ポリアミドであることを特徴とする請求項1記載の多層カーボンナノチューブ分散液。 - 多層カーボンナノチューブのアミド系非プロトン性極性分散媒に対する濃度が0.001〜2重量%である請求項1または2記載の多層カーボンナノチューブ分散液。
- 多層カーボンナノチューブに対して、凝集抑制剤が0.1〜500重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の多層カーボンナノチューブ分散液。
- 1日放置しても多層カーボンナノチューブの凝集物および沈殿物が観察されないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層カーボンナノチューブ分散液。
- 多層カーボンナノチューブを非プロトン性極性分散媒に分散させた状態で、全芳香族ポリアミドを凝集抑制剤として添加することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の多層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
- 請求項8の方法で得られた多層カーボンナノチューブ分散液を濃縮することを特徴とする高濃度多層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
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