JP2012167186A - ナノカーボン分散ポリイミド溶液及びこれを用いて製造される複合材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 テトラカルボン酸化二無水物及びジアミン化合物との重合体である可溶性ポリイミドと、前記可溶性ポリイミドを溶解する溶媒と、前記溶媒中に分散しているナノカーボンとを含有する、ナノカーボン分散ポリイミド溶液。
【選択図】 図1
Description
前記ジアミン化合物が、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン又はビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンである、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つのナノカーボン分散ポリイミド溶液である。
表面に形成されており、ポリイミドの一次粒子が融着して形成されるスキン層と、
前記スキン層よりも内部に形成されている多孔質構造を有するコア層とを有し、
前記スキン層の前記一次粒子の隙間に1〜50nmの孔を有し、
前記スキン層及びコア層中のポリイミドにカーボンナノチューブが分散している、ポリイミド多孔性ペレットである。
前記析出体の内部及び表面にナノカーボンが分散している、前記発明(14)の製造方法である。
前記ジアミン化合物が、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン又はビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンである、前記発明(13)〜(17)のいずれか一つの製造方法である。
本発明に係る溶液は、可溶性ポリイミドと、前記可溶性ポリイミドを溶解する溶媒と、前記溶媒中に分散しているナノカーボンとを含有する、ナノカーボンが分散しているポリイミド溶液である。本発明に係る溶液は、可溶性ポリイミドを選択することによって、ポリイミド溶液であって、且つ、ナノカーボンが分散している溶液を得ることができた。本発明において使用する可溶性ポリイミドは、テトラカルボン酸化二無水物及びジアミン化合物との重合体である。
本発明に係るナノカーボン分散ポリイミド溶液を用いて複合材料を調製することができる。より具体的には、本発明のポリイミド溶液から溶媒を除去することによって複合材料が得られる。すなわちポリイミド溶液を用いることによって、ナノカーボンがポリイミド中により均一に分散した複合材料を得ることができる。特に、ポリイミドとナノカーボンの比率を自由に設定することができるため、高濃度のナノカーボンをポリイミド中に分散することができる。また本発明に係る溶液を用いることによって、高温での熱処理を行なうことなく高分子量のポリイミドと、ナノカーボンとの複合化が可能となる。
本発明に係るポリイミド溶液を可溶性ポリイミドに対する溶解性の低い貧溶媒中に滴下することによってポリイミド及びナノカーボンが析出した複合体を得ることができる。ここで、滴下する条件を変えることによって、様々な形状の複合材料を得ることができる。
適切な濃度に調整したナノカーボン分散ポリイミド溶液を貧溶媒中に滴下することによって、ナノカーボンが分散した多孔質構造を有するポリイミド多孔性ペレットが得られる。本発明に係るポリイミド多孔体ペレットは、粒子表面に形成されており、ポリイミドの一次粒子が緻密に融着して形成されるスキン層と、前記スキン層よりも内部に形成されている多孔質構造を有するコア層とを有する。当該スキン層の前記一次粒子の隙間に1〜50nmの粒子内部と粒子外部とをつなぐ孔が形成されている。そして、スキン層及びコア層中のポリイミドにカーボンナノチューブが分散している、
ポリイミド溶液から製造される析出体として、粒子を得ようとした場合、特に低分子量のポリイミドを用いた場合には、粉状の粒子が得られやすい。高分子量のポリイミドを用いた場合であっても、ホモジナイザー等で高速攪拌しながら滴下すれば、微粒子状のものが得られる。ここで、ポリイミド粒子の平均粒径は、30nm〜60nmである。このような方法により粒子を調製することによって、粒子の内部又は表面にナノカーボンが存在するナノカーボン―ポリイミド複合体の粒子を得ることができる。当該粒子をプレスして成形して成形体として用いてもよい。
本発明に係る溶液を用いて、キャストすることによって、ナノカーボン―ポリイミド複合フィルムが得られる。
2000mLのセパラブルフラスコに、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を64.44g(0.2mol)と、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)を69.7g(0.2mol)、さらに溶媒としてNMPを1000mL加えて室温で攪拌した。これにより、ポリアミド酸が生成した。これに、さらに触媒としてγ−バレロラクトンを2.5g(0.024mol)とピリジンを5.85g(0.074mol)、さらにキシレンを200mL仕込み、180℃で5時間攪拌して反応させた。その際、環流冷却器とセパラブルフラスコの間にディーンスターク管を取付け、イミド化反応に伴い副生する水をキシレンとの共沸により反応系外のディーンスターク管にトラップし、キシレンはオーバーフローによりフラスコ中に戻した。これにより、イミド化反応が進行し、可溶性ポリイミド(FDA−BTDA)のNMP溶液が得られた。得られた可溶性ポリイミド(FDA−BTDA)のNMP溶液を180℃の減圧下で溶媒を留去したのち水とアセトンで順次洗浄したのち乾燥してポリイミド固形物を得た。
1000mLのセパラブルフラスコに、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を32.22g(0.1mol)と、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン(BAPS−M)を43.25g(0.1mol)、さらに溶媒としてNMPを500mL加えて室温で攪拌した。これにより、ポリアミド酸が生成した。これに、さらに触媒としてγ−バレロラクトンを1.25g(0.012mol)とピリジンを2.93g(0.037mol)、さらにキシレンを100mL仕込み、180℃で5時間攪拌して反応させた。その際、環流冷却器とセパラブルフラスコの間にディーンスターク管を取付け、イミド化反応に伴い副生する水をキシレンとの共沸により反応系外のディーンスターク管にトラップし、キシレンはオーバーフローによりフラスコ中に戻した。これにより、イミド化反応が進行し、可溶性ポリイミド(BAPS‐M−BTDA)のNMP溶液が得られた。得られた可溶性ポリイミド(BAPS‐M−BTDA)のNMP溶液を180℃の減圧下で溶媒を留去したのち水とアセトンで順次洗浄したのち乾燥してポリイミド固形物を得た。
(カーボンナノチューブ(CNT)−ポリイミド複合体溶液の調製)
上記実施例で合成したポリイミドとカーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000)のNMP分散液(濃度:1重量%)を下表の比率で混合しCNT−ポリイミド複合体(複合体中におけるCNT濃度:1wt%)溶液を調製した。
(CNT−ポリイミド複合体の多孔性ペレットの調製)
上記の溶液を、シリンジに吸い取り内径1mmの注射針より水中(多量、2L)へ0.2ml程度滴下してCNT−ポリイミド複合体の多孔性ペレットを調製した(図1)。滴下した液滴が水中に入った瞬間に液滴と水との界面でポリイミドが相分離を起こして膜(緻密な多孔性膜、スキン層)を形成してポリイミドとカーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC−7000)のNMP分散液を内包する。その後、膜を通して、外層の水と内層されたNMPの交換が起こり、膜内のポリイミドが相分離してCNTと複合された多孔体を形成すると考えられる(図1)。調製した多孔性ペレットの物性を下表に記した。得られた多孔性ペレットのSEM写真を図2に示す。図2(a)は本発明に係る多孔性ペレットのSEM写真による全体像であり、図2(b)は多孔性ペレットのSEMによる断面写真であり、図2(c)は多孔性ペレットの断面の拡大写真であり、図2(d)は多孔性ペレットの内部断面の拡大写真であり、図2(e)は多孔性ペレットの内部断面の拡大写真であり、図2(f)は多孔性ペレットの内部断面の拡大写真である。図3は多孔性ペレットの表面の拡大写真である。図2(b)及び図2(c)によれば、多孔性ペレットの表面付近にスキン層が形成されている様子が観察できる。これらの写真によれば、スキン層の厚みは、50〜100nmであった。また、図2(e)及び図2(f)によれば骨格の切断面にカーボンナノチューブが観測される。このように、多孔性ペレットの骨格内部にカーボンナノチューブが分散されている。図3によれば、多孔性ペレットのスキン層を形成する一次粒子が観察され、更に一次粒子の間には、微少な10nm程度の孔が形成されていることが観察できる。
かさ密度:天秤で測定した重量を寸法計測した体積を割ることによって求めた。なお、粒子径は10倍に拡大した写真より、マウンテック社画像解析式粒度分布測定ソフトウェア
マックビューで計測した。また、10粒子の平均値をとった。
ガラス転移温度:エスアイアイナノテクノロジー(株)社DSC6220を用い、昇温速度20度/min、窒素中(50ml/min)で測定した。
熱分解温度:エスアイアイナノテクノロジー(株)社TG/DTA6300を用い、昇温速度10度/min、窒素中(200ml/min)で測定した。
(CNT−ポリイミド複合体の粉末の調製)
実施例13においては、溶液をポリイミドが5%の溶液に希釈して行った事を除けば、実施例7と同様に行った。水中にCNT−ポリイミド複合体の微粒子が沈降した。実施例7と同様に回収し、洗浄と乾燥を行った。
実施例14においては、溶液をポリイミドが5%の溶液に希釈して行った事を除けば、実施例11と同様に行った。水中にCNT−ポリイミド複合体の微粒子が沈降した。実施例11と同様に回収し、洗浄と乾燥を行った。
(CNT−ポリイミド複合体の成型品の製造)
実施例15では、実施例13で得られたCNT−ポリイミド複合体の粉末を、プレス機にて280℃、10MPaの条件で1時間圧縮成型を行い、厚み1mm、直径20mmの円板状サンプルを得た。実施例16では、実施例14で得られたCNT−ポリイミド複合体の粉末を用いた以外は実施例15と同様の条件で円板状サンプルを得た。物性を表5に示す。
(CNT−ポリイミド複合体のフィルム)
ポリイミド(FDA−BTDA)を6g、CNT分散液を30ml、NMPを20ml使用したことを除き、実施例2と同様に調製した溶液を、PETフィルム上にアプリケーター(クリアランス:0.2mm)を用いてコートしたのち、110℃にて10分乾燥して、CNT−ポリイミド複合体の薄膜を調製した。厚みは30μmであった。この塗膜の表面抵抗を、三菱化学製ロレスタにて測定した結果、表面抵抗は4.5×104Ω/□であった。
Claims (18)
- テトラカルボン酸化二無水物及びジアミン化合物との重合体である可溶性ポリイミドと、前記可溶性ポリイミドを溶解する溶媒と、前記溶媒中に分散しているナノカーボンとを含有する、ナノカーボン分散ポリイミド溶液。
- ナノカーボンが、カーボンナノチューブである、請求項1記載のナノカーボン分散ポリイミド溶液。
- 非イオン系、または両性イオン系界面活性剤からなるナノカーボン分散剤を更に含有する、請求項1又は2記載のナノカーボン分散ポリイミド溶液。
- 前記テトラカルボン酸化二無水物が、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物であり、
前記ジアミン化合物が、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン又はビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンである、請求項1〜3のいずれか一項記載のナノカーボン分散ポリイミド溶液。 - 請求項1〜4のいずれか一項記載のカーボン分散ポリイミド溶液の溶媒を除去して得られる、ナノカーボンが分散されたポリイミド複合材料。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のカーボン分散ポリイミド溶液を塗布して得られる、塗膜。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のカーボン分散ポリイミド溶液を塗布して乾燥させて得られる、ポリイミドフィルム。
- 請求項1〜4のいずれか一項記載のナノカーボン分散ポリイミド溶液を、前記溶媒よりも前記可溶性ポリイミドに対する溶解性の低い貧溶媒中に滴下することにより得られる、前記ナノカーボンが分散したポリイミド析出体。
- 前記ポリイミド溶液の溶媒が、N−メチルピロリドン(NMP)であり、前記貧溶媒が水である、請求項8記載のポリイミド析出体。
- 請求項8又は9記載のポリイミド析出体であって、
表面に形成されており、ポリイミドの一次粒子が融着して形成されるスキン層と、
前記スキン層よりも内部に形成されている多孔質構造を有するコア層とを有し、
前記スキン層の前記一次粒子の隙間に1〜50nmの孔を有し、
前記スキン層及びコア層中のポリイミドにカーボンナノチューブが分散している、ポリイミド多孔性ペレット。 - 前記スキン層の厚みが、50〜100nmである、請求項10記載のポリイミド多孔性ペレット。
- 請求項10又は11記載のポリイミド多孔性ペレットをプレス成形して得られる、成型体。
- テトラカルボン酸化二無水物及びジアミン化合物との重合体である可溶性ポリイミド、前記可溶性ポリイミドを溶解する溶媒、及び前記溶媒中に分散しているナノカーボンとを含有する、ナノカーボン分散ポリイミド溶液の前記溶媒を除去する、ナノカーボンが分散されたポリイミド複合材料の製造方法。
- テトラカルボン酸化二無水物及びジアミン化合物との重合体である可溶性ポリイミド、前記可溶性ポリイミドを溶解する溶媒、及び前記溶媒中に分散しているナノカーボンとを含有する、ナノカーボン分散ポリイミド溶液を、前記溶媒よりも前記可溶性ポリイミドに対する溶解性の低い貧溶媒中に滴下することにより、析出体を得る工程を含む、カーボンが分散したポリイミド析出体の製造方法。
- 前記ナノカーボン分散ポリイミド溶液の可溶性ポリイミドの濃度が、2〜20重量%の範囲であり、
前記析出体の内部及び表面にナノカーボンが分散している、請求項14記載の製造方法。 - 前記溶媒がN−メチルピロリドン(NMP)であり、前記貧溶媒が水である、請求項13〜15のいずれか一項記載の製造方法。
- 前記ナノカーボンが、カーボンナノチューブである、請求項13〜16のいずれか一項記載の製造方法。
- 前記テトラカルボン酸化二無水物が、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物であり、
前記ジアミン化合物が、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン又はビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンである、請求項13〜17のいずれか一項記載の製造方法。
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