JP2005241600A - カーボンナノチューブの物性評価方法 - Google Patents

カーボンナノチューブの物性評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 カーボンナノチューブ自体の特性を損なうことなく、カーボンナノチューブが本来有する物性を簡易に評価することができるカーボンナノチューブの物性評価方法を提供する。
【解決手段】 基材表面に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜の導電性を評価するカーボンナノチューブの物性評価方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブの物性評価方法に関する。
カーボンナノチューブが1991年に飯島等によってはじめて発見されて以来(S.Iijima,Nature,354,56(1991))(非特許文献1)、その物性評価、機能解明が行われており、その応用に関する研究開発も盛んに実施されている。しかしながら、カーボンナノチューブは、絡まった状態で製造されるため、取り扱いが非常に煩雑になる。特に、樹脂や溶液に混合した場合は、カーボンナノチューブはさらに凝集してしまう。そのため、カーボンナノチューブ本来の特性が発揮できないという問題がある。つまり、導電性材料としてカーボンナノチューブを適用した場合における、カーボンナノチューブの導電性等の物性を評価しようとしても、カーボンナノチューブが溶媒や樹脂に均一に分散又は溶解しないため、カーボンナノチューブ自体の正確な物性を評価出来ていない。
また、カーボンナノチューブの物性評価方法としてはラマン分光等の分光分析が知られている。しかしながら、カーボンナノチューブの導電性を直接評価することはできないので、導電性材料としてカーボンナノチューブを適用する場合においては、有効な評価方法とは言い難い。
この為、カーボンナノチューブを物理的に処理したり、化学的に修飾したりして、溶媒や樹脂に均一に分散又は溶解する試みがなされている。
例えば、単層カーボンナノチューブを強酸中で超音波処理することにより単層カーボンナノチューブを短く切断して分散する方法が提案されている(R.E.Smalley等,Science,280,1253(1998))(非特許文献2)。しかしながら、強酸中で処理を実施するため、操作が煩雑となり、工業的には適した方法ではなく、その分散化の効果も十分とはいえない。
そこで、上記提案のように切断された単層カーボンナノチューブは、その両末端が開いており、カルボン酸基等の含酸素官能基で終端されていることに着目し、カルボン酸基を酸塩化物にした後、アミン化合物と反応させ長鎖アルキル基を導入し、溶媒に可溶化することが提案されている(J.Chen等,Science,282,95(1998))(非特許文献3)。しかしながら、本方法では単層カーボンナノチューブに共有結合によって長鎖アルキル基を導入しているため、カーボンナノチューブのグラフェンシート構造の損傷やカーボンナノチューブ自体の特性に影響を与えるなどの問題点が残されている。
他の試みとしては、ピレン分子が強い相互作用によってカーボンナノチューブ表面上に吸着することを利用して、ピレン分子にアンモニウムイオンを含有する置換基を導入し、これを単層カーボンナノチューブとともに水中で超音波処理し、単層カーボンナノチューブに非共有結合的に吸着させることにより水溶性の単層カーボンナノチューブを製造する方法が報告されている(Nakajima等,Chem.Lett.,638(2002))(非特許文献4)。この方法によれば、非共有結合型の化学修飾のためグラフェンシートの損傷などは抑制されるが、非導電性のピレン化合物が存在するため、カーボンナノチューブの導電性能を低下させるという課題がある。
S.Iijima,Nature,354,56(1991) R.E.Smalley等,Science,280,1253(1998) J.Chen等,Science,282,95(1998) Nakajima等,Chem.Lett.,638(2002)
よって、本発明の目的は、カーボンナノチューブ自体の特性を損なうことなく、カーボンナノチューブが本来有する物性を簡易に評価することができるカーボンナノチューブの物性評価方法を提供することにある。
本発明者は、これらの課題を解決するため鋭意研究をした結果、導電性ポリマーを共存させることにより、カーボンナノチューブが溶媒に分散化した分散液あるいは可溶化した溶液を得ることができること、そして、これを基材に塗工して形成される塗膜はカーボンナノチューブ自体の性能を示すことを見出して、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、基材表面に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜の導電性を評価することを特徴とするカーボンナノチューブの物性評価方法である。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物は、さらに高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)及び/またはコロイダルシリカ(h)を含有することで、カーボンナノチューブ(c)が本来有する物性をより引き出すことができる。
また、導電性ポリマー(a)は、水溶性導電性ポリマーであることが望ましく、さらには、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーであることが望ましい。
さらに、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を混合し、超音波を照射して得られたカーボンナノチューブ含有組成物を用いることにより、効率よくカーボンナノチューブを溶媒に分散化あるいは可溶化することができ、カーボンナノチューブ(c)が本来有する物性をさらに引き出すことができる。
本発明のカーボンナノチューブの物性評価方法によれば、カーボンナノチューブ自体の特性を損なうことなく、カーボンナノチューブが本来有する導電性等の物性を簡易に評価することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<導電性ポリマー(a)>
導電性ポリマー(a)は、カーボンナノチューブ(c)を溶媒(b)に分散化あるいは可溶化するためものであり、導電性ポリマー(a)自体の溶媒(b)への溶解性が良好なほど、カーボンナノチューブ(c)の溶媒(b)への分散化あるいは可溶化が促進され、カーボンナノチューブ(c)が本来有する物性を引き出すことができる。
導電性ポリマー(a)は、フェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、カルバゾリレン等を繰り返し単位として含むπ共役系高分子である。
中でも、溶媒への溶解性の点で、いわゆる水溶性導電性ポリマーが本発明では好ましく用いられる。ここで、水溶性導電性ポリマーとは、π共役系高分子の骨格または該高分子中の窒素原子上に、酸性基、あるいは酸性基で置換されたアルキル基またはエーテル結合を含むアルキル基を有している導電性ポリマーである。
また、本発明においては、水溶性導電性ポリマーの中でも、溶媒への溶解性、導電性、成膜性の点で、スルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが好適に用いられる。
スルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーとしては、例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平01−301714号公報、特開平05−504153号公報、特開平05−503953号公報、特開平04−32848号公報、特開平04−328181号公報、特開平06−145386号公報、特開平06−56987号公報、特開平05−226238号公報、特開平05−178989号公報、特開平06−293828号公報、特開平07−118524号公報、特開平06−32845号公報、特開平06−87949号公報、特開平06−256516号公報、特開平07−41756号公報、特開平07−48436号公報、特開平04−268331号公報、特開平09−59376号公報、特開2000−172384号公報、特開平06−49183号公報、特開平10−60108号公報に示された水溶性導電性ポリマーが好ましく用いられる。
スルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーとしては、具体的には、無置換及び置換されたフェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン及びカルバゾリレンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上を繰り返し単位として含むπ共役系高分子の骨格または該高分子中の窒素原子上に、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基、あるいはスルホン酸基及び/またはカルボキシル基で置換されたアルキル基またはエーテル結合を含むアルキル基を有している水溶性導電性ポリマーが挙げられる。この中でも特にチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、イソチアナフテンを含む骨格を有する水溶性導電性ポリマーが好ましく用いられる。
好ましいスルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーは、下記式(2)〜(10)から選ばれた少なくとも一種以上の繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する水溶性導電性ポリマーである。
Figure 2005241600
(式(2)中、R1 、R2 は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR1 、R2 のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
Figure 2005241600
(式(3)中、R3 、R4 は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR3 、R4 のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
Figure 2005241600
(式(4)中、R5 〜R8 は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR5 〜R8 のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
Figure 2005241600
(式(5)中、R9 〜R13は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR9 〜R13のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
Figure 2005241600
(式(6)中、R14は、−SO3 -、−SO3 H、−R42SO3 -、−R42SO3 H、−COOH及び−R42COOHからなる群より選ばれ、ここで、R42は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。)
Figure 2005241600
(式(7)中、R52〜R57は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR52 〜R57のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Htは、NR82、S、O、Se及びTeよりなる群から選ばれたヘテロ原子基であり、R82は水素及び炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、もしくは置換、非置換のアリール基を表し、R52〜R57の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよく、このように形成される環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよく、nはヘテロ環と置換基R53〜R56を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
Figure 2005241600
(式(8)中、R58〜R66は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR58〜R66のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R58及びR59を有するベンゼン環と置換基R61〜R64を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
Figure 2005241600
(式(9)中、R67〜R76は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR67〜R76のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R67〜R69を有するベンゼン環とベンゾキノン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
Figure 2005241600
(式(10)中、R77〜R81は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR77〜R81のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Xa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、pはドープ率であり、その値は0.001〜1である。)
また、好ましいスルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーとして、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルフェートも用いられる。この水溶性導電性ポリマーは、導電性ポリマーの骨格にはスルホン酸基は導入されていないが、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸が付与している構造を有している。このポリマーは、3,4−エチレンジオキシチオフェン(バイエル社製 Baytron M)をトルエンスルホン酸鉄(バイエル社製 Baytron C)などの酸化剤で重合することにより製造することが可能である。また、このポリマーは、バイエル社製 Baytron Pとして入手可能である。
以上のスルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーのうち、下記式(11)で表される繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含む水溶性導電性ポリマーが更に好ましく用いられる。
Figure 2005241600
(式(11)中、yは0<y<1の任意の数を示し、R15〜R32は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R15〜R32のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
ここで、ポリマーの繰り返し単位の総数に対するスルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する繰り返し単位の含有量が50%以上の水溶性導電性ポリマーは、水、含水有機溶媒等の溶媒への溶解性が非常に良好なため、好ましく用いられる。スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する繰り返し単位の含有量は、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。
また、芳香環に付加する置換基は、導電性及び溶解性の面からアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等が好ましく、特にアルコキシ基を有する水溶性導電性ポリマーが最も好ましい。これらの組み合わせの中で最も好ましい水溶性導電性ポリマーを下記式(12)に示す。
Figure 2005241600
(式(12)中、R33は、スルホン酸基、カルボキシル基、及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれた1つの基であり、R34は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ドデシル基、テトラコシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘクソオキシ基、オクトキシ基、ドデコキシ基、テトラコソキシ基、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基からなる群より選ばれた1つの基を示し、Xは0<X<1の任意の数を示し、nは重合度を示し3以上である。)
ここで、 R33は、少なくともその一部が、遊離酸型のスルホン酸基及び/またはカルボキシル基であることが導電性向上の点から好ましい。
本発明における水溶性導電性ポリマーとしては、化学重合または電解重合などの各種合成法によって得られるポリマーを用いることができる。例えば、本発明者らが提案した特開平7−196791号公報、特開平7−324132号公報に記載の合成方法が適用される。すなわち、下記式(13)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーである。
Figure 2005241600
(式(13)中、R36〜R41は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R36〜R41のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
特に好ましい水溶性導電性ポリマーとしては、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーが用いられる。
本発明における水溶性導電性ポリマーに含有される酸性基は、導電性向上の観点から少なくともその一部が遊離酸型であることが望ましい。また、本発明における水溶性導電性ポリマーとしては、その質量平均分子量が、GPCのポリエチレングリコール換算で、2000以上、300万以下のものが導電性、成膜性及び膜強度に優れており好ましく用いられ、質量平均分子量3000以上、100万以下のものがより好ましく、5000以上、50万以下のものが最も好ましい。
導電性ポリマー(a)はこのままでも使用できるが、公知の方法によって酸によるドーピング処理方法を実施して、外部ドーパントを付与したものを用いることができる。例えば、酸性溶液中に、導電性ポリマー(a)を含む導電体を浸漬させるなどの処理をすることによりドーピング処理を行うことができる。ドーピング処理に用いる酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの有機酸;ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの高分子酸を含む水溶液、あるいは、水−有機溶媒の混合溶液である。これらの無機酸、有機酸、高分子酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
<溶媒(b)>
本発明における必須構成成分である溶媒(b)は、導電性ポリマー(a)、カーボンナノチューブ(c)、高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)、及びコロイダルシリカ(h)を溶解または分散するものであれば特に限定されない。溶媒(b)としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、 N−エチルピロリドン等のピロリドン類;ジメチルスルオキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類等;アニリン、N−メチルアニリン等のアニリン類が好ましく用いられる。
導電性ポリマー(a)として水溶性導電性ポリマーを用いる場合には、水溶性導電性ポリマーの溶解性、カーボンナノチューブ(c)の分散性の点で、溶剤(b)としては、水または含水有機溶剤が好ましく用いられる。
<カーボンナノチューブ(c)>
本発明のカーボンナノチューブの物性評価方法に適用可能なカーボンナノチューブ(c)は、特に限定されるものではなく、カーボンナノチューブ(c)としては、単層カーボンナノチューブ、何層かが同心円状に重なった多層カーボンナノチューブ、これらがコイル状になったものを用いることができる。
カーボンナノチューブ(c)について更に詳しく説明すると、厚さ数原子層のグラファイト状炭素原子面を丸めた円筒が、複数個入れ子構造になったものであり、nmオーダーの外径が極めて微小な物質が例示される。また、カーボンナノチューブの片側が閉じた形をしたカーボンナノホーンやその頭部に穴があいたコップ型のナノカーボン物質なども用いることができる。
また、カーボンナノチューブ(c)の類縁体であるフラーレン、カーボンナノファイバーなども用いることができる。
本発明に適用できるカーボンナノチューブ(c)の製造方法は、特に限定されるものではない。具体的には、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等が挙げられる。
以上の製造方法によって得られるカーボンナノチューブ(c)としては、洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノチューブの方が、各種機能を十分に発現し、正確な物性評価をすることから、好ましく用いられる。
また、カーボンナノチューブ(c)としては、ボールミル、振動ミル、サンドミル、ロールミルなどのボール型混練装置等を用いて粉砕しているものや、化学的、物理的処理によって短く切断されているものも用いることができる。
<高分子化合物(d)>
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物において、高分子化合物(d)を用いることにより塗膜の基材密着性、強度は更に向上し、カーボンナノチューブの物性評価がより正確かつ容易になる。
本発明における高分子化合物(d)としては、本発明に用いる溶媒(b)に溶解または分散(エマルション形成)可能であれば特に限定されるものではなく、具体的にはポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール類;ポリアクリルアマイド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアマイド)、ポリアクリルアマイドメチルプロパンスルホン酸などのポリアクリルアマイド類;ポリビニルピロリドン類、ポリスチレンスルホン酸及びそのソーダ塩類、セルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、スチレン樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合樹脂、フッ素樹脂及びこれらの共重合体などが用いられる。また、これらの高分子化合物(d)は2種以上を任意の割合で混合したものであってもよい。
これら高分子化合物(d)の中でも、水溶性高分子化合物または水系でエマルジョンを形成する高分子化合物が溶媒への溶解性、組成物の安定性、導電性の点で、好ましく用いられ、特に好ましくはアニオン基を有する高分子化合物が用いられる。また、その中でも、水系アクリル樹脂、水系ポリエステル樹脂、水系ウレタン樹脂および水系塩素化ポリオレフィン樹脂のうちの1種または2種以上を混合して使用することが好ましい。
<塩基性化合物(e)>
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物を構成する塩基性化合物(e)は、カーボンナノチューブ含有組成物中に添加することにより水溶性導電性ポリマーを脱ドープし、溶媒(b)への溶解性をより向上させる効果がある。また、スルホン酸基及びカルボキシル基と塩を形成することにより水への溶解性が特段に向上するとともに、カーボンナノチューブ(c)の溶媒(b)への可溶化あるいは分散化が促進され、カーボンナノチューブ(c)が本来有する物性をより引き出すことができ、カーボンナノチューブ(c)の評価がより正確に実施可能となる。
塩基性化合物(e)としては、特に限定されるものではないが、例えば、アンモニア、脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類やアンモニウム塩類、無機塩基などが好ましく用いられる。
塩基性化合物(e)として用いられるアミン類の構造式を下記式(14)に示す。
Figure 2005241600
(式(14)中、R45〜R47は各々互いに独立に、水素、炭素数1〜4(C1 〜C4 )のアルキル基、CH2OH 、CH2CH2OH、CONH2 またはNH2 を表す。)
塩基性化合物(e)として用いられるアンモニウム塩類の構造式を下記式(15)に示す。
Figure 2005241600
(式(15)中、R48〜R51は各々互いに独立に、水素、炭素数1〜4(C1 〜C4 )のアルキル基、CH2OH 、CH2CH2OH、CONH2 またはNH2 を表し、X- はOH- 、1/2・SO4 2-、NO3 -、1/2CO3 2-、HCO3 -、1/2・(COO)2 2-、またはR’COO- を表し、R’は炭素数1〜3(C1 〜C3 )のアルキル基である。)
環式飽和アミン類としては、ピペリジン、ピロリジン、モリホリン、ピペラジン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが好ましく用いられる。
環式不飽和アミン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピロリン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが好ましく用いられる。
無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化物塩が好ましく用いられる。
塩基性化合物(e)は2種以上を混合して用いても良い。例えば、アミン類とアンモニウム塩類を混合して用いることにより更に導電性を向上させることができる。具体的には、NH3 /(NH42CO3 、NH3 /(NH4)HCO3、NH3 /CH3COONH4 、NH3 /(NH42SO4 、N(CH33/CH3COONH4、N(CH33/(NH42SO4 などが挙げられる。またこれらの混合比は任意の割合で用いることができるが、アミン類/アンモニウム塩類=1/10〜10/0が好ましい。
<界面活性剤(f)>
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物は、前記導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、カーボンナノチューブ(c)、高分子化合物(d)及び塩基性化合物(e)のみでもカーボンナノチューブ(c)が可溶化あるは分散化して、長期保存においても分離や凝集せず、性能の良い膜を形成することが可能であるが、界面活性剤(f)を加えると更に可溶化あるは分散化が促進するとともに、平坦性、塗布性及び導電性などが向上し、カーボンナノチューブの評価がより正確に実施可能となる。
界面活性剤(f)の具体例としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α−スルホン化脂肪酸、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物およびこれらの塩などのアニオン系界面活性剤;第一〜第三脂肪アミン、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウムアルキルピリジニウム、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N−ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウムおよびこれらの塩などのカチオン系界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどのベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩などのアミノカルボン酸類などの両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイドなどの非イオン系界面活性剤;およびフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどのフッ素系界面活性剤;ラウリル酸、ミリスチン酸、バルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸などの脂肪酸系界面活性剤が用いられる。ここで、アルキル基は炭素数1〜24が好ましく、炭素数3〜18がより好ましい。なお、界面活性剤は二種以上用いても何らさしつかえない。
<シランカップリング剤(g)>
本発明においては、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、カーボンナノチューブ(c)、高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)の成分を含むカーボンナノチューブ含有組成物に、更にシランカップリング剤(g)を併用することができる。シランカップリング剤(g)を併用したカーボンナノチューブ含有組成物から得られる塗膜の耐水性は著しく向上する。シランカップリング剤(g)としては、下記式(1)で示されるシランカップリング剤(g)が用いられる。
Figure 2005241600
(式(1)中、R42、R43、R44は各々独立に、水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、アミノ基、アセチル基、フェニル基、ハロゲン基よりなる群から選ばれた基であり、Xは、
Figure 2005241600
を示し、l及びmは0〜6までの数であり、Yは、水酸基、チオール基、アミノ基、エポキシ基及びエポキシシクロヘキシル基よりなる群から選ばれた基である。)
具体的に、エポキシ基を持つものとしては、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ基を持つものとしては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロポキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チオール基を持つものとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
水酸基を持つものとしてはβ−ヒドロキシエトキシエチルトリエトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシクロヘキシル基を持つものとしては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
<コロイダルシリカ(h)>
本発明においては、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、カーボンナノチューブ(c)、高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)の成分を含む架橋性カーボンナノチューブ含有組成物に、更にコロイダルシリカ(h)を併用することができる。コロイダルシリカ(h)を併用したカーボンナノチューブ含有組成物から得られる塗膜は、表面硬度や耐候性が著しく向上し、カーボンナノチューブの物性評価がより正確かつ容易になる。
本発明におけるコロイダルシリカ(h)は、特に限定されないが、水、有機溶剤または水と有機溶剤との混合溶媒に分散されているものが好ましく用いられる。有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類等が好ましく用いられる。
また、コロイダルシリカ(h)としては、粒子径が1nm〜300nmのものが用いられ、好ましくは1nm〜150nm、更に好ましくは1nm〜50nmの範囲のものが用いられる。ここで粒子径が大きすぎると硬度が不足し、またコロイダルシリカ自体の溶液安定性も低下してしまう。
<カーボンナノチューブ含有組成物>
前記導電性ポリマー(a)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して導電性ポリマー(a)が0.001〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量部である。導電性ポリマー(a)が0.001質量部未満では、導電性が劣ったり、カーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化の効率が低くなったりする。一方、50質量部を超えると導電性はピークに達して大きく増加しないし、高粘度化して、カーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化の効率が低くなったりする。
前記カーボンナノチューブ(c)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対してカーボンナノチューブ(c)が0.0001〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量部である。カーボンナノチューブ(c)が0.0001質量部未満では、導電性等のカーボンナノチューブ(c)による性能が低下する。一方、20質量部を超えると、カーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化の効率が低下する。
前記高分子化合物(d)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して高分子化合物(d)が0.1〜400質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜300質量部である。高分子化合物(d)が0.1質量部以上であれば成膜性、成形性、強度がより向上し、一方、400質量部以下の時、水溶性導電性ポリマー(a)やカーボンナノチューブ(c)の溶解性の低下が少なく、高い導電性が維持される。
前記塩基性化合物(e)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して塩基性化合物(e)が0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。塩基性化合物(e)がこの範囲にあるとき、水溶性導電性ポリマーの溶解性が良くなり、カーボンナノチューブ(c)の溶媒(b)への可溶化あるいは分散化が促進され、導電性が向上する。
前記界面活性剤(f)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して界面活性剤(f)が0.0001〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部である。界面活性剤(f)が10質量部を超えると、塗布性は向上するが、導電性が劣るなどの現象が生じるとともに、カーボンナノチューブ(c)の可溶化あるいは分散化の効率が低下する。
前記シランカップリング剤(g)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対してシランカップリング剤(g)が0.001〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜15質量部である。シランカップリング剤(g)0.001質量部未満では、耐水性及び/または耐溶剤性の向上幅が比較的小さく、一方、20質量部を超えると溶解性、平坦性、透明性、及び導電性が悪化することがある。
前記コロイダルシリカ(h)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対してコロイダルシリカ(h)が0.001〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜50質量部である。コロイダルシリカ(h)が0.001質量部以上であれば、耐水性、耐侯性及び硬度の向上幅が大きくなる。一方、100質量部を超えると溶解性、平坦性、透明性、及び導電性が悪化することがある。
更に本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物には、必要に応じて、可塑剤、分散剤、塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存安定剤、接着助剤、増粘剤などの公知の各種物質を添加して用いることができる。
また、本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物には、その導電性を更に向上させるために導電性物質を含有させることができる。導電性物質としては、炭素繊維、導電性カーボンブラック、黒鉛等の炭素系物質、酸化錫、酸化亜鉛等の金属酸化物、銀、ニッケル、銅等の金属が挙げられる
<カーボンナノチューブ含有組成物の製造方法>
これらの構成成分を混合する際、超音波、ホモジナイザー、スパイラルミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパーサー、ハイブリットミキサーなどの撹拌又は混練装置が用いられる。特に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、カーボンナノチューブ(c)、および他の成分を混合し、これに超音波を照射することが好ましく、この際、超音波照射とホモジナイザーを併用(超音波ホモジナイザー)して処理をすることが好ましい。
超音波照射処理の条件は、特に限定されるものではないが、カーボンナノチューブ(c)を溶媒(b)中に均一に分散あるいは溶解させるだけの十分な超音波の強度と処理時間があればよい。例えば、超音波発振機における定格出力は、超音波発振機の単位底面積当たり0.1〜2.0ワット/cm2 が好ましく 、より好ましくは0.3〜1.5ワット/cm2 の範囲であり、発振周波数は、10〜200KHzが好ましく、より好ましくは20〜100KHzの範囲である。また、超音波照射処理の時間は、1分〜48時間が好ましく、より好ましくは5分から48時間である。この後、更にボールミル、振動ミル、サンドミル、ロールミルなどのボール型混練装置を用いて分散あるいは溶解を徹底化することが望ましい。
<カーボンナノチューブの物性評価方法>
カーボンナノチューブ(c)の物性評価は、基材表面に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜の導電性を評価することによって行われる。
(塗膜形成)
本発明において、カーボンナノチューブ含有組成物を塗工し塗膜を形成する基材としては、高分子化合物、プラスチック、木材、紙材、セラミックス、繊維、不織布、炭素繊維、炭素繊維紙、及びこれらのフィルム、発泡体、多孔質膜、エラストマー、そしてガラス板などが用いられる。
例えば、高分子化合物、プラスチック及びフィルムとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、これらのフィルム、発泡体及びエラストマーなどが挙げられる。これらのフィルムは、少なくともその一つの面上に塗膜を形成させるため、該塗膜の密着性を向上させる目的で、その表面をコロナ表面処理またはプラズマ処理することが好ましい。
本発明における塗膜は、一般の塗工に用いられる方法によって基材の表面に形成される。例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の塗布方法、エアスプレー、エアレススプレー等のスプレーコーティング等の噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等が用いられる。
基材の表面にカーボンナノチューブ含有組成物を塗工した後は、常温で放置することもできるが、塗膜を加熱処理することもできる。加熱処理によりカーボンナノチューブ(c)、高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)と、導電性ポリマー(a)との架橋反応が更に促進して、耐水性をより短時間で付与でき、また残留する溶媒(b)の量をより低下することができ、導電性がさらに向上するため好ましい。加熱処理温度は、20℃以上、250℃以下が好ましく、特に40℃〜200℃の加熱が好ましい。250℃より高いと導電性ポリマー(a)自体が分解してしまい導電性が著しく低下することがある。
塗膜の膜厚は、0.01〜100μmの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜50μmの範囲である。
本発明における塗膜は、このままでも優れた導電性を有するものであるが、基材の少なくとも一つの面上に、カーボンナノチューブ含有組成物を塗工して塗膜を形成した後に、酸によりドーピング処理を行い、次いで常温で放置あるいは加熱処理をすることにより、さらに導電性を向上させることができる。
酸によるドーピング処理方法は、特に限定されるものではなく公知の方法を用いることができる。例えば、酸性溶液中に導電体を浸漬させるなどの処理をすることによりドーピング処理を行うことができる。酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの有機酸や、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの高分子酸を含む水溶液、あるいは、水−有機溶媒の混合溶液である。なお、これらの無機酸、有機酸、高分子酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
(物性評価)
このようにして得られた塗膜の導電性の評価は、具体的には、塗膜の表面抵抗値を測定することにより行うことができる。
<作用>
以上説明した本発明のカーボンナノチューブ評価方法にあっては、以下の理由により、カーボンナノチューブ自体の特性を損なうことなく、カーボンナノチューブが本来有する物性を十分に引き出せているものと考えられる。
まず、カーボンナノチューブ含有組成物にあっては、カーボンナノチューブ(c)を導電性ポリマー(a)とともに溶剤(b)に加えているので、カーボンナノチューブ(c)自体の特性を損なうことなく、カーボンナノチューブ(c)が溶媒(b)に分散化あるいは可溶化することが可能であり、長期保存においても分離、凝集しない。この理由ははっきりわかっていないが、導電性ポリマー(a)がカーボンナノチューブ(c)に吸着もしくはらせん状にラッピングすることにより、カーボンナノチューブ(c)が導電性ポリマー(a)とともに分散化あるいは可溶化してるものと推測される。
そして、このようなカーボンナノチューブ含有組成物から形成される塗膜においては、カーボンナノチューブ(c)が凝集せずに、均一に分散しており、カーボンナノチューブが本来有する物性が十分に発揮されているものと考えられる。
また、このようなカーボンナノチューブ含有組成物にあっては、導電性ポリマー(a)とカーボンナノチューブ(c)とを併用しているので、導電性、成膜性に優れた塗膜を得ることができ、カーボンナノチューブ(c)の評価を正確に、かつ容易に行うことができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<導電性ポリマーの製造>
(製造例1、導電性ポリマー(A−1))
ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)の合成:
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを25℃で4mol/Lのトリエチルアミン水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、ポリマー粉末15gを得た。この導電性ポリマー(A−1)の体積抵抗値は9.0Ω・cmであった。
(製造例2、導電性ポリマー(A−2))
ポリ(2−スルホ−1,4−イミノフェニレン)の合成:
m−アミノベンゼンスルホン酸100mmolを25℃で4モル/リットルのトリメチルアミン水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、ポリマー粉末10gを得られた。この導電性ポリマー(A−2)の体積抵抗値は12.0Ω・cmであった。
(製造例3、導電性ポリマー(A−3))
スルホン化ポリアニリンの合成:
ポリ(2−スルホ−1,4−イミノフェニレン)を既知の方法「J.Am.Chem.Soc.,(1991),113,2665−2666」に従って合成した。得られた重合体のスルホン酸含有量は、芳香環に対して52%であった。また、この導電性ポリマー(A−3)の体積抵抗値は50Ω・cmであった。
(製造例4、導電性ポリマー(A−4))
脱ドープ状態のポリアニリンの合成:
アニリン100mmolを25℃で1mol/L 硫酸水溶液に攪拌溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末8gを得た。得られたドープ状態の重合体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、1.0S/cm以下であった。この重合体を25℃で1時間で1mol/Lアンモニア水中で分散攪拌した後に濾別洗浄後乾燥し、脱ドープ状態の重合体粉末5gを得た。
<カーボンナノチューブ含有組成物の調製>
(実施例1)カーボンナノチューブ含有組成物1:
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)5質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物1を調製した。
(実施例2)カーボンナノチューブ含有組成物2:
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)5質量部、カーボンナノチューブ0.1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製、樹脂分40 質量%)20質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物2を調製した。
(実施例3)カーボンナノチューブ含有組成物3:
上記製造例2の導電性ポリマー(A−2)3質量部、カーボンナノチューブ0.1質量部、アンモニア1質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物3を調製した。
(実施例4)カーボンナノチューブ含有組成物4:
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)1質量部、カーボンナノチューブ0.2質量部、トリエチルアミン1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物4を調製した。
(実施例5)カーボンナノチューブ含有組成物5:
上記製造例3の導電性ポリマー(A−3)1質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.5質量部を、水/メタノール混合溶媒(質量比9/1)100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物5を調製した。
(実施例6)カーボンナノチューブ含有組成物6:
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)3質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物6を調製した。
(実施例7)カーボンナノチューブ含有組成物7:
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)1質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部、コロイダルシリカ(粒子径:10nm)5質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)10質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物7を調製した。
(実施例8)カーボンナノチューブ含有組成物8:
上記製造例4の導電性ポリマー(A−4)0.5質量部、カーボンナノチューブ0.1質量部をN−メチルピロリドン100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物8を調製した。
(比較例1)カーボンナノチューブ含有組成物8:
カーボンナノチューブ0.1質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物8を調製した。
(比較例2)カーボンナノチューブ含有組成物9:
カーボンナノチューブ0.1質量部、アンモニア1質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物9を調製した。
(比較例3)カーボンナノチューブ含有組成物10:
カーボンナノチューブ0.1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物10を調製した。
<カーボンナノチューブ>
CNT1:ILJIN社製、CVD法により製造された多層カーボンナノチューブ。
CNT2:シンセンナノテクポート社製 CVD法により製造された多層カーボンナノチューブ。
<評価方法>
(超音波処理なし)
上記カーボンナノチューブ含有組成物1〜10の状態を目視で観察した後、該組成物をガラス基板にバーコーター法(バーコートNo.5使用)により塗布し、80℃で5分間乾燥させ、塗膜を形成し、外観観察後、表面抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
但し、カーボンナノチューブ含有組成物8は、該組成物をガラス基板にバーコーター法(バーコートNo.5使用)により塗布し、150℃で5分間乾燥させ、塗膜を形成し、1mol/Lの硫酸水溶液中に5分間浸漬後、80℃で5分間乾燥後させ、外観観察後、表面抵抗値を測定した。
(超音波処理あり)
上記カーボンナノチューブ含有組成物1〜10に超音波処理(神明台工(株)社製、UA100、36KHz)を1時間実施し、状態を目視で観察した後、該組成物をガラス基板にバーコーター法(バーコートNo.5使用)により塗布し、80℃で5分間乾燥させ、塗膜を形成し、外観観察後、表面抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
但し、カーボンナノチューブ含有組成物8は、該組成物をガラス基板にバーコーター法(バーコートNo.5使用)により塗布し、150℃で5分間乾燥させ、塗膜を形成し、1mol/Lの硫酸水溶液中に5分間浸漬後、80℃で5分間乾燥後させ、外観観察後、表面抵抗値を測定した。
(溶液状態)
カーボンナノチューブ含有組成物の調製後、24時間経過した溶液状態を目視により観察した。
○:均一に分散あるいは溶解。
×:不均一に分散。
(表面抵抗値)
25℃、15%RHの条件下で表面抵抗値の測定には、表面抵抗値が108Ω以上の場合は二探針法(電極間距離:20mm)を用い、表面抵抗値が107Ω以下の場合は四探針法(各電極間距離:5mm)を用いた。
(塗膜面外観)
目視により塗膜の状態を観察した。
○:均一な塗膜が形成された。
×:カーボンナノチューブが不均一に存在する塗膜が観察された。
Figure 2005241600
表1の結果から明らかなように、導電性ポリマー(a)を含有しないカーボンナノチューブ含有組成物を用いた比較例1〜3では、カーボンナノチューブが塗膜中に不均一に存在するため、表面抵抗値は測定限界を超え、導電性の評価自体を行うことができなかった。これに対し、実施例1〜8では、カーボンナノチューブ含有組成物の組成の違いにより、表面抵抗値にバラツキが見られたものの、カーボンナノチューブが均一に存在する塗膜が得られ、カーボンナノチューブが本来有している導電性の評価を行うことができた。また、カーボンナノチューブのみが異なる同一組成のカーボンナノチューブ含有組成物で比較した場合、すべての実施例においてCNT2よりもCNT1の方が導電性に優れている結果が得られ、カーボンナノチューブの比較評価が行うことができた。
本発明のカーボンナノチューブの物性評価方法は、塗布、スプレー、キャスト、ディップ等の簡便な塗工手法を用いることにより、各種帯電防止剤、コンデンサー、電池、燃料電池及びその高分子電解質膜、電極層、触媒層、ガス拡散層、ガス拡散電極層、セパレーターなどの部材、EMIシールド、化学センサー、表示素子、非線形材料、防食剤、接着剤、繊維、紡糸用材料、帯電防止塗料、防食塗料、電着塗料、メッキプライマー、静電塗装用導電性プライマー、電気防食、電池の蓄電能力向上、半導体、電器電子部品などの工業用包装材料、オーバーヘッドプロジェクタ用フィルム、スライドフィルムなどの電子写真記録材料等の帯電防止フィルム、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータ用テープ、フロッピィディスクなどの磁気記録用テープの帯電防止、電子デバイスのLSI配線、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)の電子銃(源)及び電極、水素貯蔵剤、更に透明タッチパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイなどの入力及び表示デバイス表面の帯電防止や透明電極、有機エレクトロルミネッセンス素子を形成する発光材料、バッファ材料、電子輸送材料、正孔輸送材料及び蛍光材料、熱転写シート、転写シート、熱転写受像シート、受像シート等の用途に、カーボンナノチューブを利用する際の物性評価に適用可能である。

Claims (16)

  1. 基材表面に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工して塗膜を形成し、該塗膜の導電性を評価することを特徴とするカーボンナノチューブの物性評価方法。
  2. さらに、カーボンナノチューブ含有組成物が高分子化合物(d)を含有することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  3. さらに、カーボンナノチューブ含有組成物が塩基性化合物(e)を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  4. さらに、カーボンナノチューブ含有組成物が界面活性剤(f)を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  5. さらに、カーボンナノチューブ含有組成物が下記式(1)で示されるシランカップリング剤(g)を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
    Figure 2005241600
    (式(1)中、R42、R43、R44は各々独立に、水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、アミノ基、アセチル基、フェニル基、ハロゲン基よりなる群から選ばれた基であり、Xは、
    Figure 2005241600
    を示し、l及びmは0〜6までの数であり、Yは、水酸基、チオール基、アミノ基、エポキシ基及びエポキシシクロヘキシル基よりなる群から選ばれた基である。)
  6. さらに、カーボンナノチューブ含有組成物がコロイダルシリカ(h)を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  7. 導電性ポリマー(a)が、水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  8. 水溶性導電性ポリマーが、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有するものであることを特徴とする請求項7記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  9. スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(2)〜(10)から選ばれた少なくとも一種以上の繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項8記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
    Figure 2005241600
    (式(2)中、R1 、R2 は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR1 、R2 のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
    Figure 2005241600
    (式(3)中、R3 、R4 は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR3 、R4 のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
    Figure 2005241600
    (式(4)中、R5 〜R8 は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR5 〜R8 のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
    Figure 2005241600
    (式(5)中、R9 〜R13は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR9 〜R13のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
    Figure 2005241600
    (式(6)中、R14は、−SO3 -、−SO3 H、−R42SO3 -、−R42SO3 H、−COOH及び−R42COOHからなる群より選ばれ、ここで、R42は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。)
    Figure 2005241600
    (式(7)中、R52〜R57は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR52 〜R57のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Htは、NR82、S、O、Se及びTeよりなる群から選ばれたヘテロ原子基であり、R82は水素及び炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、もしくは置換、非置換のアリール基を表し、R52〜R57の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよく、このように形成される環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよく、nはヘテロ環と置換基R53〜R56を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
    Figure 2005241600
    (式(8)中、R58〜R66は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR58〜R66のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R58及びR59を有するベンゼン環と置換基R61〜R64を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
    Figure 2005241600
    (式(9)中、R67〜R76は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR67〜R76のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R67〜R69を有するベンゼン環とベンゾキノン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
    Figure 2005241600
    (式(10)中、R77〜R81は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR77〜R81のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Xa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、pはドープ率であり、その値は0.001〜1である。)
  10. スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(11)で表される繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含むことを特徴とする請求項8記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
    Figure 2005241600
    (式(11)中、yは0<y<1の任意の数を示し、R15〜R32は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R15〜R32のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
  11. スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(12)で表されるものであることを特徴とする請求項8記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
    Figure 2005241600
    (式(12)中、R33は、スルホン酸基、カルボキシル基、及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれた1つの基であり、R34は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ドデシル基、テトラコシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘクソオキシ基、オクトキシ基、ドデコキシ基、テトラコソキシ基、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基からなる群より選ばれた1つの基を示し、Xは0<X<1の任意の数を示し、nは重合度を示し3以上である。)
  12. スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(13)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項8記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
    Figure 2005241600
    (式(13)中、R36〜R41は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R36〜R41のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOH及び−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
  13. スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項8記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  14. スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルフェートであることを特徴とする請求項8記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  15. 導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を混合し、超音波を照射して得られたカーボンナノチューブ含有組成物を用いることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
  16. 塗膜を形成する際に、常温から250℃の温度範囲の加熱処理を行うことを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの物性評価方法。
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