JP5275721B2 - グラファイトフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、熱拡散性フィルム、導電性フィルムとして使用されるグラファイトフィルム、およびグラファイトフィルムの製造方法に関する。
グラファイトフィルムは、優れた耐熱性、耐薬品性、熱伝導性、電気伝導性、低ガス透過性のため放熱材料、耐熱シール材、ガスケット、などとして広く使用されている。特に近年、グラファイトフィルムは、アルミや銅と同等以上の熱伝導性や低密度を有するという、高熱伝導性・軽量・薄膜という特徴から、携帯電話やポータブルゲーム機の放熱フィルムとしての採用が増加している。
一般に入手可能なグラファイトフィルムの製造方法としては、高分子熱分解法、およびエキスパンド法が知られている。
高分子熱分解法は、高分子フィルムを直接炭素化およびグラファイト化してグラファイトフィルムを作製する。高分子熱分解法では、高分子フィルムを窒素やアルゴンなどの不活性ガス中、あるいは真空中で加熱・分解して炭素化させたのち、さらなる加熱によってグラフェン構造への再配向により、グラファイトフィルムを作製する(特許文献1)。良好なグラファイトフィルムが得られる高分子としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、ポリオキサゾ−ル、などを例示できる。高分子フィルムから直接、グラファイトフィルムに転化しているために、結晶性が非常に高く熱伝導性にも優れると言う特徴がある。
一方で、エキスパンド法によるグラファイトフィルムは、粉状、燐片状の天然黒鉛を原料として、これを酸で処理後、高圧プレス加工によりフィルム形状に作製する。厚さの制御が比較的自由でると言う特徴があり柔軟性は有するものの、熱伝導性は高分子熱分解法により得られるグラファイトより劣り、またフィルムの強度も弱く脆いものであった。
この様なグラファイトフィルムの機械的強度の不足は大きな欠点であり、その応用範囲を著しく限定するものである。例えば、エキスパンド法によって得られたグラファイトシートの引っ張り強度は1.96MPaと報告されており、一方、高分子熱分解法によって得られたグラファイトシートの引っ張り強度は19.6MPaと報告されている(非特許文献1)。一方、例えばポリイミドフィルムの場合の引っ張り強度は245MPaであると報告されている(非特許文献2)。したがって、高分子熱分解法によって得られたグラファイトフィルムの機械的強度はポリイミドフィルムの1/10以下、エキスパンド法によって得られたグラファイトフィルムの強度は1/100以下である。
このため、グラファイトフィルム単体においては取り扱い方法によっては、破損や破れが生じることがあるために、ハンドリング性に問題があり、慎重な取り扱いが必要であった。これら問題は、グラファイトフィルムがグラフェン構造が面方向に発達した層状構造を持つことに由来する。一方で、グラファイトフィルムの端部に細かな欠陥起点(破れ、亀裂など)が生じると容易にフィルム全体に破損・破れが進展する。
また、グラファイトフィルムの機械的強度の第二の課題は厚み方向に容易に層間剥離を起こすと言う点である。グラファイトはL殻電子の内3個が同一平面内でとなりのσ電子と共有結合して六角網平面を構成し、残りの1個は面と垂直方向にπ軌道を形成する。六角網平面構造は弱いvan del Waals’ 力である。すなわち、グラファイト構造の良く発達したフィルムにおける層間剥離現象はグラファイトフィルムの構造に由来するものであり、層間剥離強度の改善は特に困難であった。
特に、この様なグラファイトフィルムが過酷な環境下において使用される場合、例えば、航空宇宙分野、重機分野、自動車分野などに使用するには、現在、一般に入手可能なグラファイトフィルムでは、機械的強度が不十分であり長期信頼性が低かった。これらの問題はグラファイトフィルム単体での強度が不足していることが原因であり、グラファイトフィルムの実用上、さらなる強度向上が望まれていた。
さらに、グラファイトフィルムを実際に放熱フィルムとして電子機器などに使用する場合においてもグラファイトフィルム自体の機械的強度の不足は大きな問題となっている。すなわち、熱拡散目的でグラファイトフィルムを電子機器の筐体へ固定する場合、グラファイトフィルムに粘着材および/または接着材の付与が必要である。しかしながら、現在入手可能なグラファイトフィルムは単体での強度が不十分であるために、粘着材や接着剤と複合化した場合において、リワーク性に問題があった。すなわち、グラファイトフィルムの粘着材や接着剤との複合体を任意の箇所に張り直す場合などに、グラファイトフィルムが面方向の破壊・引き裂き、厚み方向に層間剥離する場合があった。
気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブに代表されるようなナノカーボン素材は、その優れた機能、物理的特性、機械的強度のため、高分子材料のフィラーとして用いる検討が、近年、盛んに試みられている。例えば、単層カーボンナノチューブでは、弾性率1TPa以上、引張り強さ500〜1000GPaという優れた力学的特性が報告されている。カーボンナノチューブを樹脂中に添加して特性改善する検討が、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメタアクリル(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン12、ポリエステル、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)など種々の樹脂を対象としてこれまでにも数多く行なわれており、ベースポリマーの弾性率や強度を大きく向上できることが知られている。
特開昭61−275116号公報 National Technical Report Vol.40 No.1,74(1994) (株)カネカ カタログ APICAL(登録商標) AHタイプ
本発明は、従来よりもフィルム面方向の引っ張り強度、あるいは/およびフィルム厚さ方向の剥離強度に優れたグラファイトフィルムを提供することを目的としている。
我々は、上記の問題を解決するために、原料フィルムに種々の高分子フィルム複合材料を用い、高分子熱分解法によってグラファイトフィルムを作製して、グラファイトフィルムの強度向上を試みた。その結果、繊維状炭素または/および繊維状グラファイトからなる複合フィルムを用いた場合、フィラーが原料フィルムのグラファイト化を妨げる事無くグラファイト化が進行し、同時に従来のグラファイトフィルムに比べ、著しく強度が向上したグラファイトフィルムを得ることが可能となった。特に上記添加物が気相成長炭素繊維である場合には添加効果は顕著であり、その添加方法により、フィルム面方向の引っ張り強度、あるいは/およびフィルム厚さ方向の剥離強度の向上に高い効果がある事が明らかになり、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明の第1は、フィルム面方向の引張り強度が50MPa以上、および/または90°ピールにおけるフィルム厚さ方向の層間剥離強度が0.08N/5mm以上、および/または面方向の熱伝導率が400W/(m・K)以上であることを特徴とする、グラファイトフィルムである。
フィルム面方向の熱伝導度が400W/(m・K)以上である事は、このフィルムのグラファイト化が良く発達している事を示し、このようなフィルムにおいて層間剥離強度が0.08N/5mm以上、フィルム面方向の引っ張り強度が50MPa以上であるようなグラファイトフィルムは知られていない。現在、一般に入手可能なグラファイトフィルムの機械強度特性は、例えば特開2007−204301の比較例1および比較例2に例示されている。本発明のグラファイトフィルムは、これらに比べ、著しく強度が向上しており、グラファイトフィルム単体、また粘着材や接着剤と複合化した場合においても、十分なリワーク性、ハンドリング性を持っている。
本発明の第2は、平面状のグラファイト構造と円筒状のグラファイト構造から形成されている事を特徴とするグラファイトフィルムである。通常、良くグラファイト構造の発達したフィルムは(図1)に示すような構造を持っている。
一方、単層カーボンナノチューブは円筒状のグラファイト構造が一層である構造、また気相成長炭素繊維では(図2)に示す様な円筒状のグラファイト構造が多層に重なった構造をもっており、いずれの場合もその基本構造単位は円筒状のグラファイト構造である。本発明において、その円筒状のグラファイト構造の層数は限定されない。
熱伝導度と、機械的強度・層間剥離強度が両立出来るようなグラファイトフィルムでは平面状のグラファイト構造と円筒状のグラファイト構造から形成されている事を特徴とするが、この様な二つのグラファイト構造が共存するグラファイトフィルムは知られていない。
本発明の第3は、高分子と前記高分子中に分散した繊維状炭素または/および繊維状グラファイトからなる複合フィルムを、真空中または不活性ガス中2000℃以上の温度で熱処理する事を特徴とする前記のグラファイトフィルムの製造方法である。
本発明の第4は、前記高分子が、ポリイミド、ポリオキサジアゾ−ル、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、から選ばれた少なくとも一種類であるグラファイトフィルムの製造方法である。前記の高分子はいずれもすぐれたグラファイトに転化でき、これらは本発明の目的に好ましく用いる事が出来る。
本発明の第5は、以下の工程を実施することを特徴とする、上記本発明の第1、2のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法である。
(1)ポリイミド100重量部に対して、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維から選ばれる少なくとも1つ以上を、0.01〜200重量部含有したポリイミド複合材料を製造する工程
(2)(1)で製造されたポリイミド複合材料を、真空中および/または不活性雰囲気中において2000℃以上の温度で熱処理する工程
通常、樹脂フィルムに要求する特性を付与するためには、金属、金属化合物、酸化および/または非酸化系セラミックスを材料とする粒子状やウィスカー状、繊維状のフィラーが用いられるが、本発明のような不活性雰囲気下で2000℃以上までに熱処理を行なう場合には、不活性雰囲気下で金属系やセラミックス系よりも優れた耐熱性を有する、カーボンナノチューブに代表されるような炭素同素体を用いることが好ましい。また、均一分散や、添加効果をより得るためには、ナノスケール材料が好ましいことが知られている。
本発明の第6は、前記ポリイミド複合材料におけるベースポリマーのポリイミドが、100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が32×10-6-1以下であることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法である。
本発明の第7は、前記ポリイミド複合材料におけるベースポリマーのポリイミドの複屈折が0.08以上であることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法である。
本発明の特徴は、ポリイミド複合材料のベースポリマーとして、100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が32×10-6-1以下、および/または複屈折が0.08以上であるポリイミドフィルムを用いる事である。この様なポリイミドをベースポリマーとして用いることで、結晶性に優れたグラファイトフィルムを得る事が出来る。我々は様々な観点から、繊維状炭素または/および繊維状グラファイト素材を添加物として用いた場合に、強度に優れたグラファイトフィルに転化できるポリイミドと、脆いグラファイトしか得られないポリイミドを検討し、出発原料のどの様な物性値が最終的なグラファイトフィルムの強靭性に影響を与えるかを検討した。その結果、直接的に繊維状炭素または/および繊維状グラファイト素材を添加物として用いた場合には、線膨張係数および/または複屈折率で表現できるポリイミドの物性がグラファイトフィルムの強靭性の指標となる事が分った。ここで言う線膨張係数はフィルム面方向の線膨張係数である。線膨張係数はフィルム面方向の分子の配向性を良く表す物性値であり、分子の配向が高いと熱の影響による膨張・収縮を受けにくく、その結果線膨張係数が小さくなる。また、複屈折の値はポリイミドフィルム面方向の分子の配向性をより直接的に表す物性値であることが知られている。つまり、複屈折率の値が高いほうが、ポリイミドフィルム面方向の配向性が高いことを示している。種々の検討の結果、100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が32×10-6-1以下、および/または複屈折が0.08以上であれば、繊維状炭素または/および繊維状グラファイト素材を含有した、優れた強度を有するグラファイトフィルムへ転化できる事が分った。本発明のような、フィルム面方向の分子配向性の高いポリイミドをベースポリマーとして用いることで、グラファイトフィルム単体の強靭性が向上するばかりか、繊維状炭素または/および繊維状グラファイト素材を添加物として用いた場合も、添加物が良く分散した高強度のグラファイトフィルムが作製可能であることがわかった。一方で、フィルム面方向の分子配向性が低いポリイミドをベースポリマーとして用いた場合には、繊維状炭素または/および繊維状グラファイト素材を添加しグラファイト化した場合、十分なグラファイト化が進行しないばかりか、部分的に破損した、強度の低いグラファイトフィルムしか得られなかった。
本発明の第8は、ポリイミド複合材料におけるベースポリマーのポリイミドは、以下の一般式(I)、(II)、(III)および(IV)
で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種類の繰り返し単位を有するポリイミドで形成されているフィルムであることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法である。
この様なポリイミドを出発原料のベースポリマーとして用いる事によって繊維状炭素または/および繊維状グラファイト素材を添加物とした良質のグラファイトフィルムへ転化することが出来ることがわかった。
本発明により、優れた機械的強度と熱伝導性を有するグラファイトフィルムを提供することができる。
(1)目的とするグラファイトフィルムの物性 グラファイトフィルムは、優れた耐熱性、耐薬品性、熱伝導性、電気伝導性、低ガス透過性のため放熱材料、耐熱シール材、ガスケット、などとして広く使用されている。しかしながら、優れた上記特性を有するものの、現在一般に入手可能なグラファイトフィルムは、特にエキスパンド法で作製されたグラファイトはもちろん、高分子熱分解法によって得られたグラファイトにおいても、機械的強度が不十分であることが多く、使用中に破損、破れる場合があった。したがって、グラファイトフィルム単体として用いる場合はもちろん、粘着材・接着剤と複合化した場合においてのリワーク性、ハンドリング性が十分であるためには、引っ張り強度および/または層間剥離強度が優れていることが好ましい。本発明のグラファイトは引張り強度が50MPa以上、層間剥離強度が0.08N/5mm以上、面方向の熱伝導度が400W/(m・K)以上であることを特徴とするグラファイトフィルムである。引張り強度は50MPa以上であり、好ましくは100MPa以上、より好ましくは150MPa以上である。また、層間剥離強度は0.08N/5mmN以上、好ましくは0.15N/5mm以上、より好ましくは0.20N/5mm以上である。さらに、面方向の熱伝導率は400W/(m・K)以上であり、600W/(m・K)以上である事が好ましく、800W/(m・K)以上である事がより好ましい。高い熱伝導度が得られるためにはグラファイト構造が発達する事が必要で、その事はグラファイト層間の剥離が起こりやすくなる事を意味している。
上記の機械的特性を有したグラファイトフィルムであれば、実用使用上において十分な強度を確保することができ、ハンドリング性も向上する。
(2)原料高分子
本発明では、上記の様な機械的強度特性と熱伝導特性を両立させる手段として高分子と炭素・グラファイト繊維からなる複合材料を出発原料として用いる。
本発明のような、高分子分解法によるグラファイトフィルム作製において、原料となる高分子フィルムとしては、熱分解後に炭素原子が炭素質フィルムとして残存する事が必要である。そのためには熱分解と同時に再結合して炭素前駆体と呼ばれる高分子と炭素の中間的な状態を形成する必要がある。従って、熱分解の過程でそのほとんどが分解・ガス化して炭素質フィルムが得られない様な高分子は本発明の目的には適さない。例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステルなどの高分子では熱分解工程でほとんどがガス状となって散逸し炭素質フィルムが得られない。良好なグラファイトフィルムを得るためには、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド、ポリオキサゾ−ル、ポリパラフェニレンビニレン、等を用いるとよい。
これらの高分子の中でもポリイミドフィルムからは高結晶性のグラファイトフィルムを得る事ができるために、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維を含有させるベースポリマーとして用いるには、最も好ましい高分子素材の一つである。また、ポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができることからも、本発明にはポリイミドが特に好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を、エンドレスベルト、ステンレスドラムなどの支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。 本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができる。
ポリイミド重合の適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独または、任意の割合の混合物が好ましく用い得る。
これらのうち、本発明において用いられるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において最も適当な酸二無水物はピロメリット酸二無水物及びまたはp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)であり、これら単独もしくは2者の合計モルが全酸二無水物に対して40モル%以上、更には50モル%以上、また更には70モル%以上用いるのが好ましい。
本発明にかかるポリイミド前駆体ポリアミド酸組成物において使用し得る適当なジアミンとしては、4,4‘−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン及びそれらの類似物などが挙げられる。また、これらジアミン化合物の中で、4,4‘−オキシジアニリン及びp−フェニレンジアミンをモル比で9/1〜4/6の範囲で用いるのが好ましい。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用い得る。
これらポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。化学キュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表されるイミド化触媒とを作用させる方法である。化学イミド化法に熱イミド化法を併用してもよい。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。
この様にして100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が32×10-6-1以下、好ましくは20×10-6-1以下、更に好ましくは15×10-6-1以下、であるポリイミドフィルムを得ることができる。フィルムの線膨張係数はTMA(熱機械分析装置)を用いて、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させたのち一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時から100℃〜200℃の平均線膨張係数とした。また更にポリイミドフィルムの弾性率については、200kg/mm2以上であり、更には250kg/mm2以上、より好ましくは300kg/mm2以上である事が好ましい。
ポリイミドフィルムの線膨張係数、あるいは弾性率の値は、グラファイトフィルムの作成に大きな影響を与える。これらは出発原料フィルム内部での分子の配向性を反映したものであり、線膨張係数は出来る限り小さいほうが、弾性率はその値が大きいほどすぐれた配向性を持つという事によっている。
また、本発明に用いられるポリイミドは、面内配向性を示す複屈折Δ(デルタ)nが0.08以上、好ましくは0.10以上、最も好ましくは0.13以上であることが好ましい。ここでいう複屈折とはフィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率の差であり、下式で与えられる。
複屈折Δn=(面内方向の屈折率Nx)−(厚み方向の複屈折Nz)
具体的測定方法を簡単に例示すると、フィルム試料をくさび形に切り出してナトリウム光を用いて厚み方向から光を当て、偏光顕微鏡で観察すると干渉縞がみられる。この干渉縞の数をnとすると、複屈折Δnは、
Δn=n×λ/d
で表される。ここで、λはナトリウム光の波長589nm、dは試料の巾(nm)である。詳しくは「新実験化学講座」第19巻(丸善株式会社)などに記載されてい
る。
また、本発明のようにポリイミドに単層もしくは多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維から選ばれる少なくとも1つを含有させる場合においては、ベースポリマーであるポリイミドが、100〜200℃の範囲におけるフィルム面方向の平均線膨張係数が32×10-6-1以下であること、および/もしくはベースポリマーのポリイミドは複屈折が0.08以上であることが好ましい。これは、カーボンナノチューブ、および/または気相成長炭素繊維をポリイミド中に含有させると、その靭性が低下してしまうためである。面方向の分子配向性が低い(線膨張係数が大きい、複屈折率が小さい)ポリイミドをベースポリマーとして用いると、カーボンナノチューブ、および/または気相成長炭素繊維を含有させた場合に、靭性が低下し実用に供することができなくなる場合があるばかりか、高温熱処理によってグラファイト化した場合においても、脆く、低強度でグラファイト化が十分に進行していないグラファイトフィルムしか得られない場合がある。
(3)炭素・グラファイト繊維
本発明において、ベースポリマーのポリイミドに添加することのできる炭素同素体としては、グラファイト、炭素繊維、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、球状カーボンブラック、ケッチェンブラックなどが代表されるが、いずれもグラファイト構造を一部有する炭素の同素体である。本発明においては、繊維状グラファイトを用いることが特に好ましく、具体的には単層および多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、グラファイト化された炭素繊維を用いることが好ましく、短軸径が好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下であることが好ましい。これは、短軸径が小さいほど同重量添加する場合における単層および多層カーボンナノチューブ、もしくは気相成長炭素繊維の本数が増え、強度向上の改善効果が優れるためである。
カーボンナノチューブは、6角網目のチューブの数によって、多層のもの(マルチウォール・カーボンナノチューブ、「MWNT」と呼ばれる)から単層のもの( シングルウォール・カーボンナノチューブ、「SWNT」と呼ばれる)まである。このようなカーボンナノチューブは、特に、SWNT はナノコンポジットとして利用した場合、強力な機械的強度の向上が期待され、しかも、導電性が向上するなど極めて有利な特性が期待されている。本発明におけるカーボンナノチューブとは、グラファイトの1枚面(グラフェンあるいはグラフェンシートと呼ぶ)をまいて円筒状にした形状を持つものを意味し、例えば、底のあいたコップ状カーボン材料が幾重にも重なったカップ型カーボンナノチューブも含まれる。
一方で、本発明における気相成長炭素繊維は、カーボンナノファイバーとも呼ばれ、鉄などの金属触媒粒子に炭化水素などを反応させて生成させる気相成長法によって作製されたものであり、カーボンナノチューブが同心円状に幾重にも重なった構造をしている。本発明におけるカーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維は炭素のみからなるもの、もしくは構造の一部を他の元素で置換したもの、または化学的に修飾したもののいずれであっても良いが、グラファイト化工程において、高温熱処理を行なうことから、より好ましいものは、炭素のみからなることが好ましい。カーボンナノチューブの製造方法は特に限定されないが、アーク放電法、CVD法、レーザーアブレーション法、プラズマ合成法、電解法、電子線照射法、などがある。特に、CVD法、アーク放電法、レーザーアブレーション法にて作製されたカーボンナノチューブは、径や長さなどの形状を制御しやすいために本発明に好ましく用いられるが、これらに制限されるものではない。また、気相成長法においても、気相成長炭素繊維の径や長さなどの形状を制御することが可能である。
つまり、本発明でいう繊維状グラファイトとは、その基本構造単位にグラファイト構造を有した繊維状ものであり、そのグラファイト構造はカーボンナノチューブや気相成長炭素繊維のように円筒状であっても、炭素繊維のようにグラファイト端部が閉じていない平面状であってもよく、特にグラファイト化されたものであればそのグラファイト構造の様態は限定されるものではない。
また、本発明における、繊維状炭素とはポリアクリロニトリルなどの有機繊維を不活性雰囲気下で600℃以上、好ましくは800℃以上、さらに好ましくは1000℃以上で熱処理し炭素化されたものをいう。
これら、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維は、例えば、昭和電工(株)、GSIクレオス(株)、日機装(株)、(株)名城ナノカーボンなどから入手可能である。
(4)複合材料の作製
本発明におけるポリイミド複合材料の作製方法は以下の通りである。
上記、説明したようなポリイミドをベースポリマーとして、単層もしくは多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維を含有させたポリイミド複合材料を作製する。一般に、ポリイミドは溶剤に溶解することが困難であるために、粒子系、繊維系材料を混合、分散させることが困難であるという問題を有する。一方で、溶剤に可溶なポリイミドは、現在では、材料として特殊であり、入手が容易でなく、また、価格も高いという問題があった。
したがい、一般的には、ポリイミドに粒子系、繊維系材料を混合、分散させるには、次の方法がよく用いられる。ここでは、カーボンナノチューブをポリイミドに混合、分散させる方法を例示するが、カーボンナノチューブに限定されるものではなく、気相成長炭素繊維を用いた場合も同様である。
1.ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の重合に用いる溶媒に予めカーボンナノチューブを添加してカーボンナノチューブの分散溶液を調整し、その後、ポリアミド酸の原料であるジアミンと酸二無水物を添加してポリアミド酸を重合し、イミド化させる方法。
2.予め重合して得たポリアミド酸溶液とカーボンナノチューブの分散溶液を混合し、イミド化させる方法。
上記のいずれの場合も、カーボンナノチューブの分散溶液を調整する必要がある。
本発明におけるカーボンナノチューブまたは気相成長繊維のポリイミドへの含有量は、ポリイミド100重量部に対して、0.01〜200重量部含有することが好ましい。グラファイト化した場合に、0.01重量部未満では単層および多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維の添加効果が少なく、一方で、200重量部をこえるとポリイミド複合体の靭性が低下し脆くなるうえ、グラファイト化した場合にも、熱処理後に破損、ピンホールが生じている場合があるためである。
上記の様なカーボンナノチューブや気相成長炭素繊維はポリイミド樹脂、あるいはポリイミド前駆体溶液中に完全に分散されている事が好ましい。例えばカーボンナノチューブが完全に分散した複合体はナノコンポジットと呼ばれるが、一般に良質のナノコンポジット材料を製造することは容易ではない。それは、フィラーがナノメートルサイズになるとその表面積が急激に増加するためにフィラーと媒質の間の界面エネルギーが大きくなって、フィラーどうしが凝縮して媒質から分離した方が安定となる場合が多いからである。そこでフィラーと樹脂の分離が起きないように、適切なフィラー素材と樹脂素材を組みあわせる必要がある。そのための具体的な手段としてカーボンナノチューブや気相成長炭素繊維を界面活性剤と混合し、超音波を当てる事で凝集を解く事が好ましい。ポリイミド樹脂は水に溶けないため、例えばポリアミド系有機溶媒に非イオン性界面活性剤を添加し、超音波を当てることで分散を行なう事が好ましい。
上記アミド系有機溶媒としては、具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF),ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)などのいずれも用いることができるが、特に好ましくは、N−メチルピロリドン(NMP)及び/又はジメチルアセトアミド(DMAc)を用いるとよい。これらは、多くの有機物(低級炭化水素を除く)、無機物、極性ガスおよび高分子、特に、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂を溶かすことができる。したがって、カーボンナノチューブや気相成長炭素繊維をこれらの溶媒に均一に分散することができれば、その分散液にこれらの高分子材料を溶かすことによってカーボンナノチューブや気相成長炭素繊維が均一に分散したポリマー系ナノコンポジットを得ることができる。
また、上記非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系、多価アルコールと脂肪酸エステル系、この両者を併せ持つ系のいずれであってもよいが、特に好ましくは、ポリオキシエチレン系のものが用いられる。ポリオキシエチレン系界面活性剤の例としては、脂肪酸のポリオキシエチレン・エーテル、高級アルコールのポリオキシエチレン・エーテル、アルキル・フェノール・ポリオキシエチレン・エーテル、ソルビタン・エステルのポリオキシニチレン・エーテル、ヒマシ油のポリオキシエチレン・エーテル、ポリオキシ・プロピレンのポリオキシエチレン・エーテル、脂肪酸のアルキロールアマイドなどがある。多価アルコールと脂肪酸エステル系界面活性剤の例としては、モノグリセライト型界面活性剤、ソルビトール型界面活性剤、ソルタビン型界面活性剤、シュガーエステル型界面活性剤などがある。
上記超音波は、20kHz,150W及び28kHz,140W程度の超音波で
約1時間処理することによって良好な分散効果を得ることができるが、超音波の条件はこれに限定されるものではない。配合されるカーボンナノチューブや気相成長炭素繊維の量、アミド系極性有機溶媒の種類等によって、適宜、定めることが可能である。
(5)グラファイトフィルムの作製
本発明のグラファイトフィルムは上記のポリイミド/炭素・グラファイト複合材の2000℃以上の温度での処理によって作製する。
具体的な方法としては、(1)単層および多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維から選ばれる少なくとも1つ以上をポリイミド100重量部に対して、0.01〜200重量部含有したポリイミド複合材料の作製工程と、(2)前記のポリイミド複合材料を原料フィルムとして、真空中および/または不活性雰囲気中において熱処理することによってグラファイト化する工程と、により作製されることを特徴とする。
本発明のグラファイト化は、2000℃以上の温度で熱処理して行う。熱処理は、高分子フィルムを炭素化させる工程と黒鉛化させる工程の二つの工程からなる。炭素化と黒鉛化は、別々に行っても良いし、連続的に行っても良い。
炭素化は、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは窒素ガス中で予備加熱処理して行う。この予備加熱は通常800〜1500℃の温度で行われる。また、炭化の最高温度に達した時点で30分から1時間程度、最高温度のまま温度の保持を行っても良い。例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度の保持を行っても良い。昇温の段階では、出発原料フィルムの分子配向性が失われないように、フィルムの破損が起きない程度に膜面に垂直方向に圧力を加えてもよい。
次に、黒鉛化は、炭素化した高分子フィルムを一度取り出した後、黒鉛化用の炉に移し変えてからおこなっても良いし、炭素化から黒鉛化を連続的におこなっても良い。黒鉛化は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適当である。熱処理温度としては、2000℃以上が必要で、最終的には2400℃以上、より好ましくは、2600℃以上さらに好ましくは2800℃以上で熱処理することが、熱伝導性、表面硬度、密度、表面の接着性、外観に優れたグラファイトを得るためにはよい。
熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒーターに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒーターの消耗は2700℃以上で進行し、2800℃ではその消耗速度が約10倍になり、2900℃ではさらにその約10倍になる。したがって、原料フィルムの改善によって、良質のグラファイトへの転化が可能な温度を例えば2800℃から2700℃に下げることは大きな経済的効果を生じる。なお、一般に入手可能な工業的炉において、熱処理可能な最高温度は3000℃が限界である。
本発明の熱処理では、容器に原料フィルムを固定して行われてもよい。本発明のような2000℃の温度領域まで加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さ等を勘案すると、黒鉛製の容器が、特に好ましい。ここでいう黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、等方性黒鉛、押出製黒鉛、C/Cコンポジットが挙げられ、電気伝導性、熱伝導性に優れ、均質性にも優れる等方性黒鉛が、繰り返し用いる場合には好ましい。容器の形状は、特に制約を受けず、単純な平板などの形状でよい。また容器は円筒状容器に原料フィルムを容器に巻きつける方法でも良い。容器の形状は、原料フィルムを接触させることができる限りにおいて、特に制約を受けない。なお、黒鉛製容器内に、原料フィルムを接触させる方法(例えば、保持する方法・固定する方法を含む)とは、例えば、原料フィルムをグラファイト板で挟んだ上で、グラファイト板の自重以外には特には加圧しない状態で容器壁や容器底に接するように接触させる方法(保持させたり、固定させたりしてもよい)や円筒の黒鉛容器に巻きつける方法が有るが、必ずしもこれらの方法だけに制約を受けるものではない。
本発明により、上記したような単層もしくは多層カーボンナノチューブ、もしくは気相成長炭素繊維を含有したポリイミド複合体のフィルムを熱処理することで従来よりも高強度で層間剥離し難い、グラファイトフィルムを得ることが可能となった。さらには、高強度、層間剥離し難いグラファイトフィルムとなったことで、リワーク性、ハンドリング性が大幅に向上したグラファイトフィルムを提供することが可能となった。
以下において、本発明の種々の実施例がいくつかの比較例と共に説明される。実施例および比較例で得られたグラファイトフィルムの物性データを、以下の表1にまとめた。
なお、グラファイトフィルムの引張強度の測定には、(株)東洋精機製作所製のストログラフVES1Dを用い、ASTM−D−882に準拠して測定を行った。測定は、チャック間距離100mm、引張速度50mm/分、室温下で行い、3回測定した際の平均値を使用した。
グラファイトフィルム層間剥離強度の90°ピール強度測定は、(株)東洋精機製作所製のストログラフVES1Dを用い、次の通りに実施した。
(1)グラファイトフィルムを長さ100mm×幅5mmにカットした。
(2)グラファイトフィルムの片面に(1)と同サイズの(株)寺岡製作所製10μm厚み両面テープ(No.707)と、もう片面に(1)と同サイズの(株)寺岡製作所製10μmPETテープ(No.631S#12)をハンドローラーを用いて圧着させ、
10μm厚PETテープ/グラファイトフィルム/10μm厚両面テープ
の構成からなる測定サンプルを作製した。
(3)2Kg圧着ローラーを一往復させ、両面テープ側を被着体である2mm厚アクリル板に圧着させた。
(4)引張り起点(チャックでつかむ部分)を得るために、PETテープとグラファイトフィルムの界面を手で軽く引っ掻いて引き剥がし、初期層間剥離を施したグラファイトフィルムを作製した。
(5)試験機のチャックにグラファイトフィルムが初期層間剥離したPETテープ/グラファイトフィルムを挟み、グラファイトフィルム面方向に対して引張り方向90°、引張りスピード100mm/分、室温23℃の条件で90°ピール強度を測定し、グラファイトフィルムの層間剥離強度を得た。
なお、PETテープの粘着力に比べ、グラファイトフィルム層間剥離強度が低いために、すべてのサンプルにおいてPETテープ/グラファイトフィルム間の粘着剤の剥離は見られず、グラファイトフィルムの層間剥離のみの評価が可能であった。
熱伝導率は、(熱拡散率×密度×比熱)で求められることが知られている。
今回、熱拡散率はアルバック理工(株)製LaserPitを用い、室温、レーザー周波数10Hzで測定した。密度は、フィルムを5cm角にプレスカッターでカットし、面積、厚み、重さの測定から密度を実測した。比熱は、日本化学界編、化学便覧基礎編、(株)丸善(1984)に記載の文献値(黒鉛:8.527J/(K・mol)(298.15K(絶対温度)での値))を用いた。今回、これらの測定結果と文献値より、熱伝導率を算出した。
実施例1
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を75g準備した。一方、気相成長炭素繊維(VGCF:昭和電工株:繊維径0.15μm、繊維長:10〜20μm)2.09gを気相成長炭素繊維重量の8倍量のDMFに分散させて分散液を調整した。

上記ポリアミド酸溶液に気相成長炭素繊維の分散液を添加し、攪拌機を用いて混練した。この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥された。
出来上がり厚みが50μmの場合におけるフィルム作製用の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において160秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにされた。そのゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がされ、フレームに固定された。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で20秒、275℃で27秒、400℃で29秒、450℃で33秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で15秒段階的に加熱されて乾燥された。
以上のようにして、厚さ50μmのポリイミドフィルム複合体が製造された。該フィルム中の気相成長炭素繊維の量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して15重量部である。得られたポリイミドフィルム複合体をPI−Aとする。
一方で、気相成長炭素繊維を含有しない厚み50μmのポリイミドフィルムPI−A‘を同様にして作製し、種々特性を評価したところ、弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.08、線膨張係数3.0×10-5/℃であることがわかった。
なお、その他厚みのフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間が調整された。例えば厚さ75μmのフィルムの場合には、50μmの場合よりも焼成時間を1.5倍に設定した。また、厚みが厚い場合には、ポリイミドフィルムの溶媒やイミド化触媒蒸発による発泡を防ぐために低温での焼成時間を十分とる必要がある。
得られたPI−Aを150mm×150mmにカットした。このPI−Aを230mm×320mmの大きさの一般に入手可能な黒鉛シート〔例えば、東洋炭素(株)製膨張黒鉛シート(商品名:PERMA−FOIL(グレードPF−UHPL)など〕に挟み、黒鉛製の箱(内寸:縦250mm、横340mm、高さ30mm)の中に保持した。
PI−Aが保持された黒鉛容器を炉内にセットし、アルゴン雰囲気下で昇温させ、最高温度(HTT)2800℃で10分間程度の保持を行いグラファイト化した。得られたグラファイトフィルムをGF−Aとする。得られたGF−Aは破損・破れなどなかった。
実施例2
実施例1と同様にしてポリアミド酸を準備し、多層カーボンナノチューブ(日機装(株))1.0g(ポリイミド樹脂100重量部に対して7重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムGF−Bを作製した。得られたGF−Bは破損・破れなどなかった。
実施例3
実施例1と同様にしてポリアミド酸を準備し、単層カーボンナノチューブ(名城カーボン(株))1.0g(ポリイミド樹脂100重量部に対して7重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムGF−Cを作製した。得られたGF−Cは破損・破れなどなかった。
実施例4
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマが合成された後、そのプレポリマを含む溶液にp−フェニレンジアミンの1当量を溶解することによって得られたポリアミド酸を用いた以外は、実施例1と同様にして、気相成長炭素繊維を15重量部含有したPI−Dを作製した。
一方で、気相成長炭素繊維を含有しない厚み50μmのポリイミドフィルムPI−B‘を同様にして作製し、種々特性を評価したところ、弾性率4.1GPa、吸水率2.1%、複屈折0.14、線膨張係数1.6×10-5/℃であることがわかった。
得られたPI−Dを実施例1と同様にしてグラファイト化させ、グラファイトフィルムGF−Dを作製した。得られたGF−Dは破損・破れなどなかった。
実施例5
実施例1と同様にしてポリアミド酸を準備し、気相成長炭素繊維(VGCF:昭和電工(株):繊維径0.15μm、繊維長:10〜20μm)13.9g(ポリイミド樹脂100重量部に対して100重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムGF−Eを作製した。得られたGF−Eは破損・破れなどなかった。
実施例6
実施例1と同様にしてポリアミド酸を準備し、気相成長炭素繊維(VGCF:昭和電工(株):繊維径0.15μm、繊維長:10〜20μm)27.8g(ポリイミド樹脂100重量部に対して200重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムGF−Fを作製した。得られたGF−Fは破損・破れなどなかった。
実施例7
単層カーボンナノチューブ(10mg)を、DMF溶媒(100ml)と非イオン性界面活性剤Triton X−100( 100mg )の混合溶媒に入れて混合し、超音波(20kHz 、220W)で5時間処理した。次に、この混合溶媒に、平均分子量36万のポリビニルピロリドン(PVP)粉末1gを加え、攪拌溶解した後、50℃で12時間熟成した。次に、この分散溶液をメンブレンフィルター( ミリポア製オムニポアJA 、孔径1μm)で濾過し、単層カーボンナノチューブ分散溶媒を得た。
実施例1と同様のポリアミド酸溶液(18.5wt%)5gを準備した以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムGF−G(ポリイミド樹脂100重量部に対して単層カーボンナノチューブ1重量部)を得た。
比較例1
実施例1と同様にしてポリアミド酸を準備し、ポリイミドフィルムPI−A‘を作製した以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムGF−Hを作製した。比較例1においては、単層および多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維のいずれも含有していない。つまり、従来の公知であるグラファイトフィルムと同様である。得られたGF−Hの引張り強度の値は、気相成長炭素繊維を含有した実施例1やカーボンナノチューブを含有した実施例2、3に比べ、低かった。実施例1、2、3と比較例1との比較より、従来のグラファイトフィルムに比べ、本発明より強度が向上したグラファイトフィルムが得られたことがわかった。
比較例2
実施例1と同様にしてポリアミド酸を準備し、気相成長炭素繊維(VGCF:昭和電工(株):繊維径0.15μm、繊維長:10〜20μm)を29.1g用いた以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムGF−Iが得られた。比較例2では、気相成長炭素繊維をポリイミド210重量部に対して、210重量部含まれている。気相成長炭素繊維を210重量部含有したポリイミドは脆く、簡単に破れ、また靭性の低いものであった。また、得られたGF−Iも破損・破れが生じており、脆く、強度の低いものであった。
比較例3
実施例1と同様にしてポリアミド酸を準備し、気相成長炭素繊維(VGCF:昭和電工(株):繊維径0.15μm、繊維長:10〜20μm)0.007g(ポリイミド樹脂100重量部に対して0.05重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムGF−Jを作製した。得られたGF−Jは破損・破れなどなかった。一方で、得られたGF−Jの機械的強度は、気相成長炭素繊維を添加していない比較例1と同程度であり、気相成長炭素繊維の添加効果が得られなかった。
グラファイト構造が発達したグラファイトフィルム断面SEM像 気相成長炭素繊維の断面SEM像

Claims (3)

  1. 90°ピールにおけるフィルム厚さ方向の層間剥離強度が0.08N/5mm以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム。
  2. フィルム面方向の引張り強度が50MPa以上、および面方向の熱伝導率が400W/(m・K)以上であることを特徴とする、請求項1に記載のグラファイトフィルム。
  3. 平面状のグラファイト構造と円筒状のグラファイト構造から形成されている事を特徴とする、請求項1または2に記載のグラファイトフィルム。
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