JP2001026411A - 炭素フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

炭素フィルムおよびその製造方法

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JP2001026411A
JP2001026411A JP11197595A JP19759599A JP2001026411A JP 2001026411 A JP2001026411 A JP 2001026411A JP 11197595 A JP11197595 A JP 11197595A JP 19759599 A JP19759599 A JP 19759599A JP 2001026411 A JP2001026411 A JP 2001026411A
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film
aromatic polyamide
carbon film
aromatic
gpa
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Jun Sakamoto
純 坂本
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Tetsuya Machida
哲也 町田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特性が良好な炭素フィルムを提供すること。 【解決手段】芳香族ポリアミドを焼成し、炭素フィルム
を得るものであり、引張弾性率が30GPa以上、引張
強度が200MPa以上であり、面方向の熱伝導率が1
00W/m・K以上であることを特徴とする炭素フィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械特性や熱伝導
性に優れた炭素フィルムおよびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】炭素素材は、その優れた耐熱性、耐薬品
性、電気・熱伝導性から電極、発熱体、ガスケット、放
射線部品等に使用されおり、特に繊維状物は高強度、高
弾性率を有することから構造材料として使用されてい
る。近年、フィルム状炭素素材が新たな工業材料として
期待されてきており、特開昭62−91414号公報、
特開平1−18003号公報では各種高分子フィルムを
焼成する方法が、特開平5−170536号公報ではポ
リイミドフィルムを焼成した炭素フィルムが、特開平8
−171918号公報ではポリカルボジイミドフィルム
を焼成した電極が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】炭素フィルムの特性
は、焼成前の前駆体フィルムの構造や特性に大きく依存
する。従来から使用されてきた前駆体フィルムを焼成し
て得られる炭素フィルムは、アモルファスカーボンであ
れば機械強度が高いものの熱伝導率が小さくなり、グラ
ファイト化されたフィルムであれば熱伝導率が大きいも
のの機械強度が不十分であった。
【0004】すなわち、本発明は、上記従来技術の欠点
を解消し、機械強度、熱伝導性に優れた炭素フィルムお
よびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題に鑑み、鋭意検討した結果、芳香族ポリアミドを焼
成した炭素フィルムによって前記問題が解決出来ること
を見出し本発明に至った。
【0006】すなわち、本発明の炭素フィルムは、引張
弾性率が30GPa以上、引張強度が200MPa以上
であり、面方向の熱伝導率が100W/m・K以上であ
ることを特徴とする炭素フィルムであり、引張弾性率が
8GPa以上かつ引張強度が350MPa以上であり、
不活性雰囲気下、500℃における重量減少率が20%
未満である芳香族ポリアミドフィルムを前駆体とし、該
フィルムを焼成することで得られることを特徴とする炭
素フィルムであり、また、本発明の炭素フィルムの製造
方法は、前記芳香族ポリアミドフィルムを不活性雰囲気
下、重量減少率が20%以上となるまで重量減少速度が
0.5%/分以下となるように加熱処理を行い炭素化す
る炭素フィルムの製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい実施の
形態を説明する。
【0008】本発明の炭素フィルムは、引張弾性率が3
0GPa以上、引張強度が200MPa以上、面方向の
熱伝導率が100W/m・K以上である特性のバランス
した炭素フィルムである。このような炭素フィルムは引
張弾性率が8GPa以上かつ引張強度が350MPa以
上であり、不活性雰囲気下、500℃における重量減少
率が20%未満である芳香族ポリアミドフィルムを前駆
体フィルムとし、これを焼成することで得ることができ
る。良好に作られた本発明に係る炭素フィルムは、引張
弾性率が300GPa程度まで、あるいは、引張強度は
3000MPa程度まで、また、面方向の熱伝導率は1
000W/m・K程度までの各特性を示す、高性能かつ
各特性がバランスした優れた炭素フィルムである。
【0009】なお、焼成前の芳香族ポリアミドフィルム
の不活性雰囲気下、500℃における重量減少率が20
%以上である場合、焼成過程においてフィルムが変形し
やすく、さらにフィルム中に気泡が発生して機械強度が
低下することがある。また、焼成前の芳香族ポリアミド
フィルムの引張弾性率が8GPa未満、引張強度が35
0MPa未満である場合、芳香環の面配向が十分でな
く、得られる炭素フィルムの機械強度と熱伝導率の両立
が難しくなる。
【0010】焼成する芳香族ポリアミドフィルムの厚み
は、2〜200μmの範囲であることが好ましく、20
0μmを越えるフィルムでは焼成時に発生するガスで変
形が起こりやすく、2μm未満のフィルムでは取り扱い
が困難になる。
【0011】本発明における芳香族ポリアミドは、その
構成成分である芳香族ジアミン成分の50モル%以上が
パラフェニレンジアミンおよび/またはその誘導体、メ
タフェニレンジアミンおよび/またはその誘導体に由来
し、芳香族ジカルボン酸成分の50モル%以上がテレフ
タル酸および/またはその誘導体、イソフタル酸および
/またはその誘導体に由来する。さらにこれら芳香環上
の水素原子の一部がフッ素、塩素、臭素などのハロゲン
基やニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基等のア
ルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イ
ソプロポキシ基などのアルコキシ基など、置換基で置換
されているものも含み、また、重合体を構成するアミド
結合中の水素が他の置換基によって置換されているもの
も含む。置換基としては特に塩素、メチル基が得られる
炭素フィルムの特性上好ましい。
【0012】炭素フィルムの特性面からは、芳香族ポリ
アミドの芳香環がパラ配向位で結合されたものが全芳香
族環の50モル%以上、好ましくは75モル%以上を占
めることが好ましい。なお、ここでいうパラ配向位と
は、結合位が直線となるものである。一方、置換基に関
しては、芳香環上の水素原子の一部がハロゲン基(特に
塩素)で置換されたものが全体の30%以上であること
が炭素フィルムの特性面から好ましい。
【0013】本発明における芳香族ポリアミドフィルム
は、次に示す方法(ショッテン−バウマン法)で製造す
ることができる。
【0014】モノマーとしてジ酸クロリドとジアミンを
用い、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセ
トアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DM
F)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、溶液重合し
たり、ジアミンを水系溶媒に溶かす界面重合などで合成
される。このとき、低分子量物の生成を抑制するため、
反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避ける
べきであり、さらに効率的な撹拌手段をとることが好ま
しい。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損
なう恐れのあるときは、適当に調整することができる。
また、溶解助剤として塩化カリウム、塩化マグネシウ
ム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを
添加してもよい。
【0015】モノマーとして芳香族ジ酸クロリドと芳香
族ジアミンを用いると、塩化水素が副生するが、これを
中和する場合には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸リチウムなどの周期律表I族かII族カチオンと
水酸化物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩
に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミ
ン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの
有機の中和剤が使用される。また、塩化ベンゾイル、無
水フタル酸、酢酸クロリド、アニリン、安息香酸クロリ
ド等を重合の完了した系に添加し、ポリマーの末端を封
鎖してもよい。
【0016】芳香族ポリアミドを得るための添加物は上
記のとおりであるが、これを焼成した際に黒鉛化を促進
する黒鉛化触媒を加えることができる。黒鉛化触媒とし
ては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化ニッケル、塩化コ
バルトなどの金属塩化物やホウ素化合物を挙げることが
できる。
【0017】このように重合された芳香族ポリアミドの
固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶
液とし、30℃で測定した値)は、0.5以上であるこ
とが好ましい。
【0018】上記のように調整された製膜原液は、異物
を取り除くためにフィルターで濾過し、溶液製膜法によ
りフィルム化できる。溶液製膜法には、ポリマー溶液を
ドラムやエンドレスベルトなどの支持体にキャストした
後乾燥させて湿式浴に導く方法(乾湿式法)、ポリマー
溶液をドラムやエンドレスベルトなどの支持体にキャス
トした後乾燥させる方法(乾燥法)、ポリマー溶液キャ
ストを湿式浴で行う方法(湿式法)があるが、いずれの
方法を用いてもかまわない。なお、湿式浴ではフィルム
中に含有されている塩類、溶媒の抽出が行われ、この段
階のフィルムには十分な硬度が無い。このため、湿式浴
にコンタミが存在すればフィルム表面に付着して表面が
荒れてしまう。そこで湿式浴の媒体もフィルターで濾過
しておくことが好ましい。
【0019】このように形成された芳香族ポリアミドフ
ィルムは、乾燥および/または熱処理される。該フィル
ムはその製膜工程の間に延伸が行われ、延伸倍率は、面
倍率として0.8以上(面倍率とは延伸後のフィルム面
積を延伸前のフィルム面積で除した値で定義する。1以
下はリラックスを意味する。)であることが好ましい。
面倍率が0.8倍未満では、引張強度と引張弾性率をが
満足させることが難しい。
【0020】本発明の炭素フィルムの製造方法は、上記
のようにして得られた芳香族ポリアミドフィルムを焼成
する方法であり、具体的には芳香族ポリアミドフィルム
を不活性雰囲気下、重量減少率が20%以上となるまで
重量減少速度が0.5%/分以下となるように加熱処理
を行い炭素化することを特徴とする炭素フィルムの製造
方法である。不活性雰囲気としてはアルゴン、ヘリウム
などの希ガス雰囲気や窒素ガス雰囲気、真空雰囲気(1
mmHg以下)を挙げることができる。
【0021】芳香族ポリアミドフィルムを炭化させる際
は、重量減少率が20%以上となるまでは発生ガス量も
比較的多く、この領域の反応を重量減少速度が0.5%
/分以下となるように穏やかに炭化を進めることが高品
位な炭素フィルムを得るために必要である。重量減少率
が20%以上となれば芳香族ポリアミドフィルムの炭化
が進み、さらに高温度(1000℃)以上で焼成するこ
とでグラファイト化が進行する。このような炭化(焼
成)条件は、不活性雰囲気下、芳香族ポリアミドフィル
ムを室温から800℃まで2℃/分以下の速度で加熱処
理し、次いで1000℃以上、好ましくは2000℃以
上の温度で1時間以上加熱処理することで実現できる。
なお、平面性の良好な炭素フィルムを得るには、加熱中
にフィルムに圧力を加える方法や張力を与える方法が有
効である。
【0022】次に、本発明の炭素フィルムの製造方法を
例により具体的に示す。
【0023】N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に
芳香族ジアミンとして2−クロルパラフェニレンジアミ
ンを溶解させ、芳香族酸ジクロリドとして2−クロルテ
レフタル酸ジクロリドを添加して重合する。これに水酸
化リチウムを添加して中和させ、塩化第一鉄を黒鉛化触
媒として添加する。
【0024】このようにして調製したポリマーNMP溶
液を1μmフィルターで濾過しのちエンドレスベルト上
にキャストする。キャストフィルムはエンドレスベルト
上で熱風乾燥し、ベルトから剥離させて水浴させた後テ
ンターに導入して長手方向、幅方向に延伸して熱処理す
る。
【0025】得られた芳香族ポリアミドフィルムは希ガ
ス、窒素ガス、真空下などの不活性雰囲気下1000℃
以上の温度で焼成する。このとき、フィルムに圧力を加
えたり張力を与えることが平面性の良好な炭素フィルム
を得る上で好ましい。
【0026】このようにして得られた炭素フィルムは、
機械強度や熱伝導性に優れ、工業材料として有用であ
る。
【0027】
【物性の測定法】次に、本発明で使用した測定法につい
て以下に述べる。 1.熱減量特性 島津製作所製熱重量測定装置TGA−50を用い、サン
プルを20mg秤量し、窒素ガス雰囲気下、室温から2
0℃/分の速度で1000℃まで昇温して熱減量特性を
測定した。 2.熱伝導率の測定 長さ50ミリ、幅5ミリのサンプルを用い、光交流加熱
法によって面方向の熱伝導率を測定した。 3.機械特性 積層フィルムの引張強度は、JIS K7127に規定
された方法により、弾性率(ヤング率)はJIS Z1
702に規定された方法により、インストロンタイプの
引張試験機を用いて25℃、65%RH雰囲気で測定し
た。
【0028】
【実施例】実施例により、本発明をさらに詳細に説明す
る。 実施例1 (芳香族ポリアミドの重合)N−メチル−2−ピロリド
ンに芳香族ジアミン成分として85モル%に相当する2
−クロルパラフェニレンジアミンと、15モル%に相当
する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解さ
せ、これに99モル%に相当する2−クロルテレフタル
酸ジクロリドを添加し、2時間撹拌して重合を完了し
た。これを水酸化リチウムで中和した後、塩化第一鉄を
ポリマーに対して0.1重量%添加した。このようにし
てポリマー濃度10重量%、粘度3000ポイズの芳香
族ポリアミド溶液(溶液A)を得た。 (芳香族ポリアミドフィルムの製膜)溶液Aを1μmカ
ットフィルターで濾過した後、エンドレスベルト上に6
0℃の温度で流延した。次いでエンドレスベルト上のフ
ィルムに160℃の熱風を吹き付けて乾燥を進め、自己
支持性を有したフィルムはベルトから剥離して40℃の
水槽へ10分間浸漬した。浸漬したフィルムは次いでテ
ンターへ導き、160℃で10秒乾燥を行い、300℃
の熱風を16m/秒で吹き付けて熱処理をおこない、厚
さ30μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。また、
製膜中に長手方向、幅方向へそれぞれ1.5倍の延伸を
行った。
【0029】このフィルムの引張弾性率は、長手方向1
7GPa、幅方向15GPaであり、引張強度は長手方
向500MPa、幅方向に490MPaであった。さら
に窒素ガス雰囲気下、500℃における熱減量率は13
%であった。また、20%減量する温度は550℃であ
った。 (焼成処理)芳香族ポリアミドフィルムをグラファイト
板の間にはさみ、炭化炉へ設置した。炭化炉の内部には
窒素ガスを充満させ、不活性雰囲気とした。
【0030】昇温は室温から200℃まで2℃/分の速
度でおこない、200℃から800℃までは0.5℃/
分の速度で行った。このような昇温パターンとすること
で焼成フィルムの熱減量速度は0.03%/分程度とな
る。次いで温度が800℃に達したらそのまま30分温
度を維持し、その後2500℃まで1℃/分の速度で昇
温した。2500℃に達したらそのまま2時間温度を維
持し、その後徐冷して室温まで冷却した。
【0031】得られた炭素フィルムは、厚みが20μm
であり、引張弾性率が長手方向45GPa、幅方向42
GPa、引張強度が長手方向240MPa、幅方向22
0MPa、面方向の熱伝導率が400W/m・Kであっ
た。結果を表1に示す。 実施例2 芳香族ジアミンとしてm−フェニレンジアミンとp−フ
ェニレンジアミンをそれぞれ1:1の割合で、芳香族ジ
カルボン酸ジクロリドとしてテレフタル酸ジクロリドと
イソフタル酸ジクロリドを1:1の割合で用いる以外は
実施例1と同様の方法によって芳香族ポリアミドを得、
さらに延伸倍率を長手方向、幅方向それぞれ1.7倍と
する以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。
【0032】該フィルムの引張弾性率は、長手方向に
8.4GPa、幅方向に8.5GPaであり、引張強度
は長手、幅方向ともに360MPaであった。また50
0℃における熱減量率は10%であり、20%減量する
温度は570℃であった。そこでこのフィルムをさらに
実施例1と同様の条件によって焼成し、炭素フィルムを
得た。得られた炭素フィルムの厚みは25μmであり、
引張弾性率が長手、幅方向ともに38GPa、引張強度
が長手、幅方向ともに200MPa、面方向の熱伝導率
が250W/m・Kであった。結果を表1に示す。 比較例1 芳香族ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルメ
タン、芳香族ジカルボン酸ジクロリドとしてテレフタル
酸ジクロリドを用い、延伸倍率を長手方向に2.2倍、
幅方向に1.2倍延伸する以外は実施例1と同様の方法
によって芳香族ポリアミドフィルムを得た。該フィルム
の引張弾性率は長手方向に8.3GPa、幅方向に5G
Paであり、引張強度は長手方向に350MPa、幅方
向に250MPaであり、500℃における重量減少率
は30%であった。
【0033】このフィルムをさらに実施例1と同様の条
件によって焼成し、炭素フィルムを得た。得られた炭素
フィルムの厚みは30μmであり、引張弾性率が長手方
向に32GPa、幅方向に25GPa、引張強度が長手
方向に200MPa、幅方向に190MPa、面方向の
熱伝導率が90W/m・Kであった。結果を表1に示
す。 実施例3 芳香族ジアミンとしてパラフェニレンジアミンを、芳香
族ジカルボン酸ジクロリドとしてテレフタル酸ジクロリ
ドを用い、実施例1と同様の方法で芳香族ポリアミドを
重合し、得られたポリマー溶液に水を添加してポリマー
を沈殿させた。
【0034】沈殿させたポリマーは、濃度98.5%の
濃硫酸に溶解し、12重量%のポリマー溶液を調製し
た。該溶液はタンタル製エンドレスベルトに流延し、相
対湿度25%、温度120℃の空気を吹き付けて等方化
させた後エンドレスベルトと共に15℃の57%硫酸水
溶液中へ浸漬した。
【0035】得られたフィルムは、ベルトから剥離し、
室温水中を10分間、次いで2重量%の水酸化ナトリウ
ム水溶液中を10分間浸漬し、さらに室温水中を10分
浸漬し、その後水で洗浄した。得られたフィルムは長手
方向に1.1倍、幅方向に1.2倍延伸した。フィルム
は次いでテンターへ導き、200℃で10秒乾燥を行
い、450℃の熱風を16m/秒で吹き付けて熱処理を
行い、厚さ50μmの芳香族ポリアミドフィルムを得
た。
【0036】該フィルムの引張弾性率は、長手方向、幅
方向ともに15GPaであり、引張強度は長手、幅方向
ともに400MPaであった。さらに500℃における
熱減量率は5%であり、20%減量する温度は600℃
であった。
【0037】このフィルムは、実施例1と同様の条件に
よって焼成し、炭素フィルムを得た。得られた炭素フィ
ルムの厚みは41μmであり、引張弾性率が長手、幅方
向ともに50GPa、引張強度が長手、幅方向ともに2
10MPa、面方向の熱伝導率が420W/m・Kであ
った。結果を表1に示す。 比較例2 前駆体フィルムとして東レ・デュポン社製“カプトン3
00H”を用いた。引張弾性率は長手方向、幅方向とも
に3.2GPa、引張強度は長手、幅方向ともに200
MPaであり、500℃における熱減量率は10%であ
った。実施例1と同様に焼成したところ、厚み50μm
の炭素フィルムが得られた。炭素フィルムの特性は、引
張弾性率が長手、幅方向ともに28GPa、引張強度が
長手、幅方向ともに140MPa、面方向の熱伝導率が
180W/m・Kであった。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】特定の熱減量特性と機械特性を有する芳
香族ポリアミドを焼成することで優れた機械特性、高い
熱伝導率を有した炭素フィルムが得られる。このような
炭素フィルムは工業材料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/00 301 C08J 7/00 301 7/12 7/12 B // C08L 79:08 Fターム(参考) 4F071 AA56 AA56X AF20 AF45 AF53 AG28 AH19 BA02 BB02 BB08 BC01 4F073 AA12 AA32 BA30 BB01 GA01 HA05 HA08 HA09 HA15 4G046 CA04 CB03 CC01 CC02 CC03 DA01 EA03 EB01 EC03 4J001 DA01 DA02 DB01 DB02 DB04 DC05 DC16 EB36 EB37 EC45 EC46 EC54 EC67 FB03 FB05 FC03 FC05 FD01 GA13 HA10 JA12 JB18 JB23 JC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】引張弾性率が30GPa以上、引張強度が
    200MPa以上であり、面方向の熱伝導率が100W
    /m・K以上であることを特徴とする炭素フィルム。
  2. 【請求項2】引張弾性率が8GPa以上かつ引張強度が
    350MPa以上であり、不活性雰囲気下、500℃に
    おける重量減少率が20%未満である芳香族ポリアミド
    フィルムを前駆体とし、該フィルムを焼成することで得
    られることを特徴とする請求項1に記載の炭素フィル
    ム。
  3. 【請求項3】芳香族ポリアミドフィルムの、芳香族ポリ
    アミドを構成する芳香族ジアミン成分の50モル%以上
    がパラフェニレンジアミンおよび/またはその誘導体、
    メタフェニレンジアミンおよび/またはその誘導体に由
    来し、芳香族ジカルボン酸成分の50モル%以上がテレ
    フタル酸および/またはその誘導体、イソフタル酸およ
    び/またはその誘導体に由来するものであることを特徴
    とする請求項2に記載の炭素フィルム。
  4. 【請求項4】芳香族ポリアミドフィルムを不活性雰囲気
    下、重量減少率が20%以上となるまで重量減少速度が
    0.5%/分以下となるように加熱処理を行い炭素化す
    ることを特徴とする炭素フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】不活性雰囲気下、芳香族ポリアミドフィル
    ムを室温から800℃まで2℃/分以下の速度で加熱処
    理し、次いで1000℃以上の温度で1時間以上加熱処
    理することを特徴とする請求項4に記載の炭素フィルム
    の製造方法。
  6. 【請求項6】芳香族ポリアミドフィルムが、引張弾性率
    が8GPa以上かつ引張強度が350MPa以上であ
    り、不活性雰囲気下、500℃における重量減少率が2
    0%未満である芳香族ポリアミドフィルムであることを
    特徴とする請求項4または5に記載の炭素フィルムの製
    造方法。
  7. 【請求項7】芳香族ポリアミドフィルムが、芳香族ポリ
    アミドを構成する芳香族ジアミン成分の50モル%以上
    がパラフェニレンジアミンおよび/またはその誘導体、
    メタフェニレンジアミンおよび/またはその誘導体に由
    来し、芳香族ジカルボン酸成分の50モル%以上がテレ
    フタル酸および/またはその誘導体、イソフタル酸およ
    び/またはその誘導体に由来するものであることを特徴
    とする請求項4〜6のいずれかに記載の炭素フィルムの
    製造方法。
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