JP2005219986A - 単層カーボンナノチューブ分散液およびその製造方法 - Google Patents

単層カーボンナノチューブ分散液およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 分散性安定性が向上した単層カーボンナノチューブ分散液およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 次の構成要素(A),(B),および(C)を含んでなることを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液。
(A)単層カーボンナノチューブ
(B)非プロトン性極性分散媒
(C)全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤
【選択図】 なし

Description

本発明は、凝集抑制剤として全芳香族ポリアミドを用いることにより分散性安定性が向上した単層カーボンナノチューブ分散液およびその製造方法に関する。
カーボンナノチューブは炭素6員環からなるグラファイトシートが円筒状を形成した物質であり、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。
カーボンナノチューブは、高電気伝導性、機械的性質や化学安定性等、これまでにない優れた特性を有しており、複合材料,半導体素子,導電材料,水素吸蔵材料などの実用化に向けた研究が進められている。
例えば、高強度、高弾性率、高導電性という特徴を生かしてポリマー中にフィラーとして添加して、機械的物性や導電性を向上させようとする試みも行われている。特に、単層カーボンナノチューブは、高いアスペクト比を有することからフィラーとして期待されている。しかし、単層カーボンナノチューブの機能を十分に発現させるためには、単層カーボンナノチューブを高度に分散させる必要がある。しかし、単層カーボンナノチューブ間に働くファンデルワールス相互作用により安定的にカーボンナノチューブを分散させることが困難であり、安定的に高度に分散させるためにさまざまな検討がなされている。
これまで、単層カーボンナノチューブを液中に分散するまたは溶解するために種々の検討が行われている。例えば、強酸中で超音波処理することにより、カルボキシル基、ヒドロキシル基といった官能基を単層カーボンナノチューブの表面に付与し、脂肪族アミンやアルキルアニリンで修飾することで、有機溶媒に可溶な単層カーボンナノチューブを合成する技術を開示している。(例えば非特許文献1〜2)また、カルボキシル基を付与した単層カーボンナノチューブとアミノ基を有するクラウンエーテル、アミノ基を有するポリエチレングリコールや脂肪族アミンをイオン相互作用により修飾することにより有機溶媒に可溶な単層カーボンナノチューブを開示している。(例えば非特許文献3〜5)しかしながら、これらの技術は操作が煩雑であるばかりか、表面修飾するための前処理として強酸処理を行っているため、単層カーボンナノチューブの機械的特性や導電性が損なわれたりする問題があった。
また、化学修飾していない単層カーボンナノチューブを分散させるための良溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミドやN−メチル−2−ピロリドンといったアミド系溶媒が知られている。(非特許文献6〜7)しかし、溶液中における単層カーボンナノチューブの濃度は低く、さらなる高濃度化が切望されている。
一方、化学修飾していない単層カーボンナノチューブをドデシルスルホン酸ナトリウムやドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムといった界面活性剤(例えば非特許文献8〜9、特許文献1)やゼラチン、シクロデキストリン、でんぷんやピレン誘導体といった添加剤(非特許文献10〜14)を用いて水性媒体中に分散させる技術が開示されている。しかしながら、これらの技術は、界面活性剤や添加剤がカーボンナノチューブに対して過剰に必要であった。
また、フェニレンビニレンを主鎖に含むポリマーを用いることにより、単層カーボンナノチューブがクロロホルムやトルエンに分散するという技術が開示されている。(例えば非特許文献15)しかしながら溶液中における単層カーボンナノチューブの濃度は低く、それ以外のポリマーを用いて分散性が向上した単層カーボンナノチューブ分散液については知られていない。
特開2003−238126号公報 Science voi.282 95−97(1998) Adv.Mater.vol.11 834−840(1999) Nano.Lett.vol.2 1215−1218(2002) Nano.Lett.vol.3 565−568(2003) J.Phys.Chem.B vol.105 2525−2528(2001) J.Phys.Chem.B vol.104 8911−815(2000) Chem.Commun 193−194(2001) Science vol.297 593−596(2002) Nano.Lett. vol.3 269−273(2003) Chemistry Letters 690−691(2002) J.Am.Chem.Soc. vol.123 6201−6202(2001) Angew.Chem.Int.Ed. vol.41 2508−2512(2002) J.Am.Chem.Soc.vol.123 3838−3839(2001) Chemistry Letters 638−639 (2002) Angew.Chem.Int.Ed. vol.40 1721−1725(2001)
本発明の目的は、上記問題点を解決するために、単層カーボンナノチューブを簡単に、かつ安定に非プロトン系有機分散媒中に分散させる方法およびその単層カーボンナノチューブ分散液を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、単層カーボンナノチューブ、非プロトン系有機分散媒、および全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤とからなる安定したカーボンナノチューブ分散液が得られることを見出し、本発明に到達した。また単層カーボンナノチューブを分散した状態で、全芳香族ポリアミドを凝集抑制剤として添加することにより単層カーボンナノチューブの分散安定性が向上し、分散性に優れた単層カーボンナノチューブが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1. 次の構成要素(A)、(B)、および(C)を含んでなることを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液。
(A)単層カーボンナノチューブ
(B)非プロトン性極性分散媒
(C)全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤
2. 構成要素(C)の凝集抑制剤が下記式(I)により示される繰り返し単位からなる全芳香族ポリアミドであることを特徴とする上記記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
―NH―Ar―NH―OC―Ar―CO― (1)
Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。
3. 単層カーボンナノチューブの非プロトン性極性分散媒に対する濃度が0.0001〜1重量%である請求項1または2記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
4. 単層カーボンナノチューブに対して、凝集抑制剤が0.1〜500重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
5. 1日放置しても単層カーボンナノチューブの凝集物および沈殿物が観察されないことを特徴とする上記記載の単層カーボンナノチューブ分散液
6. 一般式(I)のAr

及びまたは

であり、Ar

である上記記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
7. 一般式(I)のAr

及び

とからなる共重合体で有って、その共重合比が1:0.8〜1:1.2である上記記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
8. 単層カーボンナノチューブを非プロトン性極性分散媒に分散させた状態で、全芳香族ポリアミドを凝集抑制剤として添加することを特徴とする上記記載の単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法
9. 上記記載の方法で得られた単層カーボンナノチューブ分散液を濃縮することを特徴とする高濃度単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法
本発明により分散性、分散安定性に優れた単層カーボンナノチューブ分散液を得ることができ、これより単層カーボンナノチューブを高度に分散させた複合材料などを好適に提供することができる。
本発明において、単層カーボンナノチューブとは、直径がおよそ0.4〜2nm、長さがおよそ数nm〜数μmのカーボンからなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては炭素の6角網目の面(グラフェンシート)がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管になっているものである。単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ間に働くファンデルワールス力のために凝集力が著しく強く、容易に完全に溶媒およびポリマー中に分散できない。
上記の単層カーボンナノチューブの従来公知の製法として、現在は主に炭素化合物を高温下で触媒金属微粒子に接触させて熱分解する化学気相成長法(以下,CVD法とする)、アーク放電法、およびレーザー蒸発法が用いられている。またこの上記以外にもプラズマ合成法や固相反応法が知られているが、本発明に用いられる単層カーボンナノチューブの製造方法として、これらに限定されるものではない。 篠原らが報告している、多孔性担体に金属触媒を担持した基体に原料炭素源となる炭素化合物気体を接触させて熱分解するCVD法による単層カーボンナノチューブの製造方法は、特に精製することなく、純度が高く、高度にグラファイト化された単層カーボンナノチューブが得られることから好ましい製造方法である。(Chemical Physics Letter 303(1999) 117−124
また、本発明における単層カーボンナノチューブは、不純物としてフラーレン、活性炭、カーボンブラック、アモルファスカーボン、触媒金属等を含んでいても差し支えない。50%以上が単層カーボンナノチューブであることが好ましく、80%以上が単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
通常、化学修飾していない単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ間に働くファンデルワールス力により凝集力が著しく強く、液体中に入れただけでは分散させることが困難であり、分散させることができたとしても極めて低濃度であった。また、超音波等の処理により一時的に液中に単層カーボンナノチューブが分散した状態が形成されたとしても、分散処理をやめると強い凝集力により時々刻々凝集してしまうという問題があった。
そこで本発明において、鋭意検討した結果、単層カーボンナノチューブが液中に分散している状態で、凝集抑制剤として全芳香族ポリアミドを添加することで、単層カーボンナノチューブが液中に分散している状態を安定化でき、極めて良好に単層カーボンナノチューブを分散できることを見出した。
本発明において、構成要素(A)の単層カーボンナノチューブは、例えば上記に記載したとおりの従来公知の方法で合成された単層カーボンナノチューブを使用することができる。また、従来公知の強酸処理や化学修飾された単層カーボンナノチューブも使用することができるが、化学修飾していない単層カーボンナノチューブを使用することが、欠陥構造が少ない点で好ましい。
本発明において、構成要素(B)の非プロトン系極性分散剤は、種類が特に限定されるものではなく、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等があげられる。これらの液体は単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。これらの非プロトン系極性分散媒は、単層カーボンナノチューブを分散させるのに好ましい液体である。また、分散性を阻害しない範囲において水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールといった1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールといった2価アルコール、グリセリンといった3価アルコール、アセトンといったケトン類、テトラヒドロフランといった環状エーテル、1,2−ジクロロベンゼンといったハロゲン化芳香族炭化水素、クロロホルムといったハロアルカン、1−メチルナフタレンといった置換複素環化合物を含んでいてもさしつかえない。
単層カーボンナノチューブを非プロトン系極性分散媒に分散させる方法としては、特に限定されないが超音波や各種攪拌方法を用いることができる。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。
本発明における単層カーボンナノチューブが非プロトン系極性溶媒に分散している状態とは、例えば単層カーボンナノチューブを光学顕微鏡にて400倍で観察した場合、単層カーボンナノチューブの凝集物が観察されない状態のことをいい、単層カーボンナノチューブがバンドルを全く形成していないか、あるいは極少数本からなるバンドルとなって存在している状態をいう。
単層カーボンナノチューブの非プロトン性極性分散媒に対する濃度は特に限定されるものではないが、濃度が薄すぎると利用価値が低く、濃度が高すぎると単層カーボンナノチューブの分散性が低下することもあるので、0.0001〜1重量%が好ましく、0.005〜0.5重量%がより好ましい。
本発明における単層カーボンナノチューブ分散液は全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤を構成要素(C)として含む。
本発明における全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤としては下記式(1)により示される繰り返し単位からなる全芳香族ポリアミドが挙げられる。
―NH―Ar―NH―OC―Ar―CO― (1)
ここでAr,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。また、非プロトン系極性分散媒に溶解する全芳香族ポリアミドが好ましい。
上記Ar,Arは、各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基であるが、その具体例としては、メタフェニレン基、パラフェニレン基、オルトフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ジフェニレンスルフィド基、4,4’−ジフェニレンスルホン基、4,4’−ジフェニレンケトン基、4,4’−ジフェニレンエーテル基、3,4’−ジフェニレンエーテル基、メタキシリレン基、パラキシリレン基、オルトキシリレン基等が挙げられる。
これら芳香族基の水素原子のうち1つまたは複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基で置換されていてもよい。なお、上記式(A)及び/又(B)の構成単位が、2種以上の芳香族基からなる共重合体であっても差し支えない。
これらのうち、Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、3,4’−ジフェニレンエーテル基が好ましく、パラフェニレン基、またはパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用したものがさらに好ましく、パラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用した場合にはそのモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲にあることがさらに好ましい。
Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、が好ましく、パラフェニレン基がさらに好ましい。
すなわち本発明において好適に用いられる全芳香族ポリアミドとして、一般式(I)のAr

及びまたは

であり、Ar

であるものが挙げられる。
なかでも好ましくは、一般式(I)のAr

及び

とからなる共重合体であって、その共重合比が1:0.8〜1:1.2であるものが挙げられる。
すなわち具体的には、Arがパラフェニレン基及び3,4’−ジフェニレンエーテル基であり、Arがパラフェニレン基である共重合体であって、その共重合比(Arのパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基のモル比)が1:0.8〜1:1.2の範囲にある全芳香族ポリアミド、およびArとArがともにパラフェニレン基である全芳香族ポリアミドを挙げることが出来る。
これらの全芳香族ポリアミドは溶液重合法、界面重合法、溶融重合法など従来公知の方法にて製造する事が出来る。重合度は芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分の比率によりコントロールすることが出来、得られるポリマーの分子量としては98重量%濃硫酸に0.5g/100mLの濃度で溶かした溶液を30℃にて測定した特有粘度(inherent viscosity)ηinhが0.05〜20dL/gであることが好ましく、0.1〜10dL/gの間に有るものがより好ましい。
本発明において凝集抑制剤の使用量としては、使用される凝集抑制剤や分子量や、その能力にもよるので、一律に規定できるものではないが、単層カーボンナノチューブに対して、凝集抑制剤が0.1〜500重量%であることが好ましく、0.2〜200重量%であることがより好ましい。
本発明の単層カーボンナノチューブ分散液は、単層カーボンナノチューブが非プロトン系極性分散媒中に分散した状態で、凝集抑制剤を添加することにより得ることができる。分散した状態とは上記に記載したような例えば単層カーボンナノチューブを光学顕微鏡にて400倍で観察した場合、単層カーボンナノチューブの凝集物が観察されない状態、すなわち単層カーボンナノチューブがバンドルを全く形成していないか、あるいは極少数本からなるバンドルとなって存在している状態が少なくとも一時的に形成されている状態のことをいう。また、単層カーボンナノチューブが非プロトン系極性分散媒中に分散が不十分な状態で凝集抑制剤を添加した場合、分散性が優れた単層カーボンナノチューブ分散液を得ることは困難である。
本発明において、単層カーボンナノチューブが非プロトン系極性分散媒中に分散している状態に凝集抑制剤を添加する方法として、固体の状態で添加する方法、または凝集抑制剤を溶解する溶媒に溶解した溶液の状態で添加する方法が挙げられる。凝集抑制剤溶液で添加する場合においては、使用する溶媒として特に限定はされないが、単層カーボンナノチューブを分散させるのに使用している非プロトン系極性分散媒が好ましい。
本発明において得られる単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブが非プロトン極性溶媒中に分散している状態で、凝集抑制剤として全芳香族ポリアミドを添加することで、分散している状態が保持、安定化し、分散性に優れた単層カーボンナノチューブ分散液を得ることができる。これらの作用機構については、明らかではないが分散している単層カーボンナノチューブの間に凝集抑制剤が均一に挿入された状態であり、単層カーボンナノチューブ間のファンデルワールス力を抑制し、凝集を抑制しているものと推定される。
また、本発明における単層カーボンナノチューブ分散液は、一日以上放置した後も分散性が保持され、単層カーボンナノチューブの凝集や沈殿は観察されない。
また、本発明において単層カーボンナノチューブ分散液には必要に応じて塩、pH調整剤、粘度調整剤、キレーター等が含まれていてもかまわない。
本発明における単層カーボンナノチューブの分散液はそのまま使用することも可能であるが、濃縮することにより高濃度の単層カーボンナノチューブ分散液を調製することも可能である。濃縮の方法としては、加熱による溶媒の除去、減圧濃縮による溶媒の除去および凍結乾燥等従来公知の方法を使用することができる。濃縮したときの単層カーボンナノチューブの非プロトン性極性分散媒に対する濃度としては好ましくは0.005〜1wt%である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただしこれらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<単層カーボンナノチューブ分散液の分散性の評価>
単層カーボンナノチューブの分散液をスライドグラス上に1滴とり、カバーグラスでカーバーしたものを光学顕微鏡を用いて400倍で観察し、単層カーボンナノチューブの凝集物の有無を確認した。
[参考例1](単層カーボンナノチューブの合成)
多孔性担体にY型ゼオライト粉末(東ソー製;HSZ−320NAA)を用い、触媒金属化合物に酢酸第二鉄と酢酸コバルトを用いて、Fe/Co触媒をゼオライトに担持した。触媒の担持量はそれぞれ2.5重量%に調製した。その後、石英ボートに触媒粉末を乗せてCVD装置の石英管内に設置して真空排気をおこない、流量10mL/分でArガスを導入しながら室温から800℃まで昇温した。所定の800℃に達した後、エタノール蒸気を流量3000mL/分で導入し、Ar/エタノール雰囲気下で30分間保持した。得られた黒色の生成物をレーザーラマン分光法および透過型電子顕微鏡で分析した結果、単層カーボンナノチューブが生成していることが確認された。ついで、得られた生成物(単層カーボンナノチューブ/ゼオライト/金属触媒)を、フッ化水素酸10%に3時間浸漬後、中性になるまでイオン交換水で洗浄することでゼオライトおよび金属触媒を除去してカーボンナノチューブを精製した。得られたカーボンナノチューブをTEMにて観察したところ、平均直径は1.2nm、平均アスペクト比は100以上であった。ただし多くが幅約10nmほどのバンドル構造をとっていた。
[実施例1]
(全芳香族ポリアミドの合成)
十分に乾燥した攪拌装置付きの三口フラスコにN−メチルピロリドン(以下NMP)1717.38重量部p−フェニレンジアミン18.82重量部及び3、4’−ジアミノフェニルエ−テル34.84重量部を常温下で添加し窒素中で溶解した後、攪拌しながらテレフタル酸ジクロリド70.08重量部を添加した。最終的に80℃、60分反応させたところに水酸化カルシウム12.85重量部を添加し中和反応を行った。得られたポリマ−ド−プを水にて再沈殿することにより析出させたポリマ−の特有粘度は3.5(dl/g)であった。
(単層カーボンナノチューブ分散液の調製)
参考例1で得られた単層カーボンナノチューブ10mgをN−メチル−2−ピロリドン100mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。得られた単層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物をただちに光学顕微鏡にて400倍で観察したところ単層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。続いて、単層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物を、上記で合成した全芳香族ポリアミドのドープ167mgに超音波処理した後ただちに添加し、さらに15分超音波処理することにより単層カーボンナノチューブ分散液を得た。得られた単層カーボンナノチューブ分散液は、1日放置した後に光学顕微鏡にて400倍で観察しても単層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。
[実施例2]
参考例1で得られた単層カーボンナノチューブ10mgをN−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)100mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。得られた単層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物をただちに光学顕微鏡にて400倍で観察したところ単層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。続いて、単層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物に超音波処理した後ただちに、固有粘度1.35dl/gのポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)10mgを添加し、さらに15分超音波処理することにより単層カーボンナノチューブ分散液を得た。得られた単層カーボンナノチューブ分散液は、1日放置した後に光学顕微鏡にて400倍で観察しても単層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。
[比較例1]
参考例1で得られた単層カーボンナノチューブ10mgをN−メチル−2−ピロリドン100mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。ただちに光学顕微鏡にて400倍で観察したところ単層カーボンナノチューブの凝集物は観察されなかった。次いで得られた単層カーボンナノチューブとNMPからなる混合物を1時間放置した後、光学顕微鏡にて400倍で観察したところ、単層カーボンナノチューブの凝集物が観察された。以上のことから、単層カーボンナノチューブだけをNMPに分散させた場合、一時的には分散状態を形成することができても、時々刻々凝集しており、分散性を保持、安定化することができないことを確認した。
[比較例2]
凝集抑制剤としてポリビニルピロリドンを用いた以外は、実施例1と同様にして実験を行った。得られた単層カーボンナノチューブ、NMP、ポリビニルピロリドンからなる混合物を1時間放置した後、光学顕微鏡にて400倍で観察を行ったところ、単層カーボンナノチューブの凝集物が観察された。
[実施例3]
参考例1で得られた単層カーボンナノチューブ10mgと全芳香族ポリアミドのドープ167mgにNMP100mlを添加し、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分超音波処理を行った。得られた単層カーボンナノチューブ、NMPおよび全芳香族ポリアミドからなる混合物を、超音波処理した後、ただちに光学顕微鏡にて光学顕微鏡にて400倍で観察を行ったが、単層カーボンナノチューブの凝集物がわずかに観察された。これより単層カーボンナノチューブが少なくとも一時的に分散している状態で、凝集抑制剤を添加することが好ましいことがわかった。

Claims (9)

  1. 次の構成要素(A)、(B)、および(C)を含んでなることを特徴とする単層カーボンナノチューブ分散液。
    (A)単層カーボンナノチューブ
    (B)非プロトン性極性分散媒
    (C)全芳香族ポリアミドからなる凝集抑制剤
  2. 構成要素(C)の凝集抑制剤が下記式(1)
    ―NH―Ar―NH―OC―Ar―CO― (1)
    Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。
    により示される繰り返し単位からなる全芳香族ポリアミドであることを特徴とする請求項1記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
  3. 単層カーボンナノチューブの非プロトン性極性分散媒に対する濃度が0.0001〜1重量%である請求項1または2記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
  4. 単層カーボンナノチューブに対して、凝集抑制剤が0.1〜500重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
  5. 1日放置しても単層カーボンナノチューブの凝集物および沈殿物が観察されないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
  6. 一般式(I)のAr

    及びまたは

    であり、Ar

    である請求項2〜5のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
  7. 一般式(I)のAr

    及び

    とからなる共重合体で有って、その共重合比が1:0.8〜1:1.2である請求項2〜6のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ分散液。
  8. 単層カーボンナノチューブを非プロトン性極性分散媒に分散させた状態で、全芳香族ポリアミドを凝集抑制剤として添加することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  9. 請求項8の方法で得られた単層カーボンナノチューブ分散液を濃縮することを特徴とする高濃度単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法。
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