JP2007138037A - 芳香族ポリアミド成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)および1〜2000重量部の下記式(1)
―NH―Ar1―NH―OC―Ar2―CO― (1)
(式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す)
で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミド(X)を含む成形体である。
【選択図】なし
Description
一方、熱可塑性樹脂の耐熱性、機械特性を向上させるため、カーボンナノチューブをナノスケールで分散させた組成物が提案されている(特許文献1参照)。
また近年、カーボンナノチューブと、構造的な類似性を有する窒化ホウ素ナノチューブも、従来にない特性を有する材料として注目を浴びている(特許文献2参照)。しかし、窒化ホウ素ナノチューブとポリマーからなる複合材料については報告されていない。
すなわち本発明は、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)および1〜2000重量部の下記式(1)
―NH―Ar1―NH―OC―Ar2―CO― (1)
(式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す)
で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミド(X)を含む成形体である。
(ii)混合液に芳香族ポリアミド(C)を、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対して0.01〜100重量部添加して分散液を得る工程、および
(iii)分散液に式(1)で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミド(X)を添加する工程からなる組成物の製造方法を包含する。
本発明の成形体は、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)および1〜2,000重量部の下記式(1)
―NH―Ar1―NH―OC―Ar2―CO― (1)
(式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す)
で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミド(X)から構成される。
本発明において、窒化ホウ素ナノチューブとは、平均直径が0.4nm〜1μm、平均長さが数nm〜数μmの窒化ホウ素からなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管もしくは多重管になっているものである。ここでいう平均直径とは、チューブが一重管の場合、その外径を意味し、チューブが多重管の場合、その最外管の外径を意味する。窒化ホウ素ナノチューブの平均直径およびアスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることが出来る。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)測定を行い、その画像から直接窒化ホウ素ナノチューブの平均直径および長手方向の平均長さを測定することが可能である。また組成物中の窒化ホウ素ナノチューブの形態は例えば繊維軸と平行に切断した繊維断面のTEM(透過型電子顕微鏡)測定により把握することが出来る。
また、窒化ホウ素ナノチューブは、不純物として窒化ホウ素フレーク、触媒金属等を含んでいても差し支えない。50%以上が窒化ホウ素ナノチューブであることが好ましく、80%以上が窒化ホウ素ナノチューブであることがより好ましい。窒化ホウ素ナノチューブは、強酸処理や化学修飾された窒化ホウ素ナノチューブも使用することができる。
(芳香族ポリアミド(X))
芳香族ポリアミド(X)は、下記式(1)で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミドである。
式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す。Ar1、Ar2の具体例として、メタフェニレン基、パラフェニレン基、オルトフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ジフェニレンスルフィド基、4,4’−ジフェニレンスルホン基、4,4’−ジフェニレンケトン基、4,4’−ジフェニレンエーテル基、3,4’−ジフェニレンエーテル基、メタキシリレン基、パラキシリレン基、オルトキシリレン基等が挙げられる。
また芳香族ポリアミド(X)を重合する際の溶媒として、(i)N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム等の有機極性アミド系溶媒、(ii)テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性エーテル化合物、(iii)メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、(iv)アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、(v)アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物等があげられる。これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されることはない。該溶媒は脱水されていることが望ましい。
また、芳香族ポリアミドを製造する際、これらのジアミン成分と酸クロライド成分は、ジアミン成分対酸クロライド成分のモル比として好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05で、用いることが好ましい。
本発明の組成物は、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)、1〜2,000重量部の下記式(1)
―NH―Ar1―NH―OC―Ar2―CO― (1)
(式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す)
で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミド(X)および1〜100,000重量部の有機溶剤(B)を含有する。
本発明の組成物において、窒化ホウ素ナノチューブ(A)、芳香族ポリアミド(X)は、成形体の項で説明したものと同じである。
該組成物は、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対し、芳香族ポリアミド(X)を1〜2,000重量部、好ましくは4〜1,000重量部含有する。
本発明の組成物は、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対して、有機溶剤(B)を、1〜100,000重量部、好ましくは4〜50,000重量部、さらに好ましくは9〜10,000重量部含有する。
本発明の組成物(ドープ)は、例えば、(i)芳香族ポリアミド(X)の溶媒溶液に、固体の窒化ホウ素ナノチューブ(A)を添加する、(ii)芳香族ポリアミド(X)の溶媒溶液と窒化ホウ素ナノチューブ(A)の溶媒溶液とを混合する、(iii)窒化ホウ素ナノチューブ(A)の溶媒溶液に固体の芳香族ポリアミド(X)を添加する、(iv)窒化ホウ素ナノチューブ(A)の溶媒溶液中で、芳香族ポリアミド(X)のIn-situ重合を行う等の方法により製造することができる。
しかし、単に窒化ホウ素ナノチューブ(A)と芳香族ポリアミド(X)とを混合するだけでは、分散性に優れた組成物を得ることは困難である。
すなわち、本発明によれば、(1)1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(i)と、1〜100,000重量部の有機溶剤(B)とを混合して混合液を得る工程、
(ii)混合液にポリマー(C)を、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対して0.01〜100重量部添加して分散液を得る工程、
(iii)分散液に芳香族ポリアミド(X)を添加する工程、
からなる上記記載の組成物の製造方法が提供される。
1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)と、1〜100,000重量部の有機溶剤(B)とを混合して混合液を得る工程である。窒化ホウ素ナノチューブ(A)、有機溶剤(B)は、組成物の項で説明したものと同じである。
窒化ホウ素ナノチューブ(A)を有機溶剤(B)に混合する際には、特に限定されないが超音波や各種攪拌方法を用いることができる。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。なかでも超音波処理装置が好ましい。
有機溶剤(B)は、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対して1〜100,000重量部、好ましくは4〜50,000重量部、より好ましくは9〜10,000重量部使用する。
混合液に芳香族ポリアミド(C)を、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対して0.01〜100重量部添加して分散液を得る工程である。
芳香族ポリアミド(C)は、窒化ホウ素ナノチューブ(A)の有機溶剤(B)中での分散剤として作用し、少量の芳香族ポリアミド(C)添加するによって窒化ホウ素ナノチューブ(A)の分散性が極めて向上する。また分散している状態を長期にわたって保持することができる。この理由については、明らかではないが窒化ホウ素ナノチューブ(A)の間に分散剤が均一に挿入された状態となり、窒化ホウ素ナノチューブ(A)の凝集が抑制されるものと推定される。
―NH―Ar1―NH―OC―Ar2―CO― (1)
(式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す)
で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミドが挙げられる。
上記Ar1、Ar2は、各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基であるが、その具体例としては、メタフェニレン基、パラフェニレン基、オルトフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ジフェニレンスルフィド基、4,4’−ジフェニレンスルホン基、4,4’−ジフェニレンケトン基、4,4’−ジフェニレンエーテル基、3,4’−ジフェニレンエーテル基、メタキシリレン基、パラキシリレン基、オルトキシリレン基等が挙げられる。
Ar1として、メタフェニレン基、パラフェニレン基または3,4’−ジフェニレンエーテル基が好ましい。Ar2として、メタフェニレン基またはパラフェニレン基が好ましい。
これらの芳香族ポリアミドは溶液重合法、界面重合法、溶融重合法など従来公知の方法にて製造することが出来る。重合度は芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分の比率によりコントロールすることが出来、得られるポリマーの分子量としては98重量%濃硫酸に0.5g/100mLの濃度で溶かした溶液を30℃にて測定した固有粘度(η)が0.05〜20dL/gであることが好ましく、1.0〜10dL/gの間に有るものがより好ましい。
芳香族ポリアミド(C)は、芳香族ポリアミド(X)と同じであることが好ましい。芳香族ポリアミド(C)は、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対して、0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部添加する。
分散液に芳香族ポリアミド(X)を添加する工程である。芳香族ポリアミド(X)は1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対して、1〜2,000重量部から(ii)で添加した分を引いた量、好ましくは4〜1,000重量部添加する。芳香族ポリアミド(X)は成形体の項で説明したものと同じである。
芳香族ポリアミド(X)は分散液に、溶融若しくは固体の状態で添加しても、また溶媒に溶解した状態で添加してもよい。溶媒に溶解して添加する場合には、使用する溶媒として、有機溶剤(B)と同じものが好ましい。
芳香族ポリアミド(X)は、超音波や各種攪拌方法を用いて分散液中で均一にさせることが好ましい。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。なかでも超音波処理を行うことが好ましい。分散液と芳香族ポリアミド(X)とを混合する方法としては、特に限定はされないが、超音波や各種攪拌方法を使用することができる。
本発明は、前述の組成物を成形したのち、溶媒を除去することからなる成形体の製造方法を包含する。例えばフィルムの場合、ガラス、金属といった基板上にキャストして成形したのち、乾式製膜あるいは湿式製膜、乾式製膜と湿式製膜の併用によりフィルムを作製することが可能である。また繊維の場合は、湿式、乾式、乾式湿式の併用いずれを用いても良い。紡糸工程において、流動配向、液晶配向、せん断配向、又は延伸配向させる事により芳香族ポリアミドおよび窒素ホウ素ナノチューブの配向を高め機械特性を向上させる事が出来る。得られた成形体を延伸または、熱処理することによりさらに物性が向上する。
透過型電子顕微鏡(TEM)により50点以上窒化ホウ素ナノチューブを観察し、その直径と長さの平均をとることで窒化ホウ素ナノチューブの平均直径および平均長さとした。
(2)強伸度測定
強伸度は、50mm×10mmのサンプルを用い、引張速度5mm/分で行いオリエンテックUCT−1Tによって測定した。
(3)TEM(Transmission Electron Microscopy)
TEMは日立製作所 H−800を用いて測定した。またTEM写真から窒化ホウ素ナノチューブの径を測定しその平均を平均径として算出した。
(4)熱膨張係数
熱膨張係数は、TAインストルメント製TA2940を用いて50〜200℃の範囲で測定し、セカンドスキャンの値を熱膨張係数とした。
窒化ホウ素製のるつぼに、1:1のモル比でホウ素と酸化マグネシウムを入れ、るつぼを高周波誘導加熱炉で1300℃に加熱した。ホウ素と酸化マグネシウムは反応し、気体状の酸化ホウ素(B2O2)とマグネシウムの蒸気が生成した。この生成物をアルゴンガスにより反応室へ移送し、温度を1100℃に維持してアンモニアガスを導入した。酸化ホウ素とアンモニアが反応し、窒化ホウ素が生成した。1.55gの混合物を十分に加熱し、副生成物を蒸発させると、反応室の壁から310mgの白色の固体が得られた。続いて得られた白色固体を濃塩酸で洗浄、イオン交換水で中性になるまで洗浄後、60℃で減圧乾燥を行い窒化ホウ素ナノチューブ(以下、BNNTと略すことがある)を得た。得られたBNNTは、平均直径が27.6nm、平均長さが2,460nmのチューブ状であった。
(分散液の調製)
参考例1で得られたBNNT100mgをN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略すことがある)50mlに添加して、3周波超音波洗浄器(アズワン製、出力100W、28Hz)で30分間、超音波処理を行い混合液を調製した。続いて、混合液に固有粘度1.35dl/gのポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)(以下、PMPIAと略すことがある)100mgに添加し、さらに1時間、超音波処理し、分散液を得た。
上記で調製した分散液をアイスバスで冷却し、固有粘度1.35dl/gのPMPIA 10gを冷却下添加し、分散させた後、熱をかけてPMPIAを溶解し、PMPIA、BNNTおよびNMPを含有するドープを調製した。
得られたドープを、ドクターブレード200μを用いて、ガラス基板上にキャストした後、80℃で1時間、130℃で1時間乾燥させ、ガラス基板上に乾燥フィルムを得た。乾燥フィルムを氷水に浸漬し、ガラス基板から剥離させ、金枠に固定し、80℃で1時間、130℃で1時間乾燥することでフィルムを得た。フィルムの厚みは20μm、熱膨張係数は42ppm、引張弾性率は4.1GPa、強度は57.8MPaであった。フィルムの光学顕微鏡写真を図1に示す。窒化ホウ素ナノチューブの分散性が非常に高いことがいえる。
NMP50gをアイスバスで冷却し、固有粘度1.35dl/gのPMPIA 10gを冷却下添加し、分散させた後、熱をかけてPMPIAを溶解し、ドープを調製した。ドープをドクターブレード200μを用いて、ガラス基板上にキャストした後、80℃で1時間、130℃で1時間乾燥させガラス基板上に乾燥フィルムを得た。乾燥フィルムを氷水に浸漬し、ガラス基板から剥離させ、金枠に固定し、80℃で1時間、130℃で1時間乾燥させフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは20μm、熱膨張係数は49.0ppm、引張弾性率は3.7GPa、強度は43.7MPaであった。
Claims (7)
- 1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)および1〜2,000重量部の下記式(1)
―NH―Ar1―NH―OC―Ar2―CO― (1)
(式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す)
で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミド(X)を含む成形体。 - 式(1)のAr1が、
Ar2が、
- フィルム状である請求項1記載の成形体。
- 1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)、1〜2,000重量部の下記式(1)
―NH―Ar1―NH―OC―Ar2―CO― (1)
(式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す)
で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミド(X)および1〜100,000重量部の有機溶剤(B)を含有する組成物。 - (i)1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)と、1〜100,000重量部の有機溶剤(B)とを混合して混合液を得る工程、
(ii)混合液に芳香族ポリアミド(C)を、1重量部の窒化ホウ素ナノチューブ(A)に対して0.01〜100重量部添加して分散液を得る工程、および
(iii)分散液に下記式(1)
―NH―Ar1―NH―OC―Ar2―CO― (1)
(式(1)中、Ar1、Ar2は同一または異なり、炭素数6〜20の2価の芳香族基を示す)
で表される繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリアミド(X)添加する工程からなる請求項4に記載の組成物の製造方法。 - 芳香族ポリアミド(C)が、芳香族ポリアミド(X)と同じ芳香族ポリアミドである請求項5記載の製造方法。
- 請求項4記載の組成物を成形したのち、溶媒を除去することからなる成形体の製造方法。
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