JP2005263951A - 全芳香族ポリアミドと炭素系材料からなる樹脂組成物およびコンポジットファイバー - Google Patents

全芳香族ポリアミドと炭素系材料からなる樹脂組成物およびコンポジットファイバー Download PDF

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Abstract

【課題】 全芳香族ポリアミド繊維の力学特性を改善する。
【解決手段】 下記式(A)及び(B)
―NH―Ar―NH― (A)
―OC―Ar―CO― (B)
(Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。)
の構成単位から主としてなる全芳香族ポリアミド100重量部と炭素系材料0.1〜5重量部からなる樹脂組成物であって、該炭素系材料が平均直径300nm以下の炭素繊維およびフラーレン化合物からなる混合物であることを特徴とする全芳香族ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、全芳香族ポリアミドの樹脂組成物およびコンポジットファイバーに関するものである。より詳しくは炭素繊維にさらにフラーレン化合物を加えコンポジット化することにより全芳香族ポリアミド繊維の力学特性を改善する技術に関する。
近年炭素繊維、特に直径の小さいカーボンナノチューブが注目を集めている。かかるカーボンナノチューブを樹脂に混ぜてコンポジットとすることにより、導電性の付与あるいは力学特性の向上など樹脂の物性を改善する研究が盛んである。
一方、同じ炭素系材料としてフラーレン化合物は1985年の発見以来、多くの科学技術分野から注目を集めている物質である。特に炭素原子60個からなるC60はサッカーボール構造として広く知られており、また近年ではナノテクノロジーを構成する基本物質として盛んに研究され、実用化が試みられている。かかる分野としては二次電池や燃料電池などのエネルギー関連、医薬品、化粧品、リソグラフィーや光記録媒体などの光学分野、半導体などの電気・電子分野、潤滑剤、センサー、触媒など多岐にわたる。しかしながら同じくナノ材料として注目を集めるカーボンナノチューブとは異なり、これを例えば樹脂とコンポジット化して構造材料へ適用しようという研究は極めて少ないのが現状である。かかる原因の一つにはその構造にあるものと思われる。すなわちカーボンナノチューブが高いアスペクト比を有し、強靭な力学特性を有する剛直フィラーあるいはネットワークを形成して導電性を高めるフィラーとして注目されているのに対して、球状物質のフラーレン化合物はいわばアスペクト比=1の物質であり、コンポジット化したとしても力学特性の補強効果あるいは導電性の向上効果は乏しいと一般に考えられているためである。このようにフラーレン化合物は機能性素材として広範な注目を集めながらも、構造材料としてはこれまであまり着目されておらず研究実績に乏しかった。
全芳香族ポリアミド樹脂(一般にアラミド樹脂と呼ばれる)は剛直な芳香族環を連結させた構造をとり、耐熱性、力学特性、耐薬品性等に優れた素材として、主として繊維の形で防弾繊維、電気絶縁材料、各種補強剤等に広く利用されており工業的に重要性が高いものであるが、使用される用途に応じてアラミド繊維により高度な特性が要求されるようになってきている。
そのような要求に応える手段の一つとして、我々はカーボンナノチューブを用いたアラミド繊維のコンポジットファイバーが力学特性、特に繊維の引っ張り特性を改善することを見出し、既に報告している(特願2002−352178号)。
一方、フラーレン化合物を用いたアラミド繊維のコンポジットファイバーの例として、液晶紡糸から得られるポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)とフラーレンとのコンポジットが報告されている(特許文献1参照)。実施例においてフラーレンを約5.4重量%含有するポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)のコンポジットファイバーではねじれ弾性率(torsional modulus)が向上するという例のみが報告されているが、引っ張り特性等その他の力学物性についての記載はなかった。我々はフラーレン化合物を用いた場合、その組成がある一定範囲にあるコンポジットファイバーは、引っ張り特性が理論的な予測を超えて大幅に向上することを見出し報告した(特願2004−057403号)。炭素繊維を用いた場合と比べ物性向上効果、特に弾性率の向上効果が高い。しかしながら一般にフラーレン化合物は炭素繊維と比べて極めて高価であり、事業性を考慮するとより経済性に優れたコンポジットファイバーが求められていた。
米国特許第5296543号明細書 第4−5項:実施例1〜2
本発明の課題は、経済性に優れかつ物性改善効果が高いコンポジット化によりアラミド繊維の力学特性、特に繊維の引っ張り特性を改善することにある。
本発明者らは炭素系材料と全芳香族ポリアミドのコンポジット化について検討した結果、炭素繊維にさらにフラーレン化合物を加えコンポジット化することにより優れた力学物性改善効果があることを見出した。
さらには炭素繊維にフラーレン化合物を併用させた場合コンポジットファイバーにおいては、炭素繊維あるいはフラーレン化合物それぞれをコンポジットファイバーに用いた結果を基にした加成性から推定される以上の力学物性改善効果がある、すなわち両者を併用することにより力学物性に対する何らかの特別な寄与効果があることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、全芳香族ポリアミド100重量部と炭素系材料0.1〜5重量部からなる樹脂組成物であって、該炭素系材料が平均直径300nm以下の炭素繊維およびフラーレン化合物からなる混合物であることを特徴とする全芳香族ポリアミド樹脂組成物であり、経済性も考慮すると炭素系材料に占めるフラーレン化合物の割合が1〜60重量%であることが好ましい。またかかる樹脂組成物からなるコンポジットファイバーである。本発明に用いられる好ましい全芳香族ポリアミドとして、特定の成分からなる全芳香族ポリアミドを好ましく挙げることが出来る。
本発明の樹脂組成物より力学特性、特に繊維軸方向の引っ張り特性が大幅に向上したアラミド繊維のコンポジットファイバーを提供できる。また本発明の樹脂組成物においては、高価なフラーレン化合物だけを用いることなく比較的ローコストの炭素繊維を主として用いることから、物性向上の効果が高いコンポジットファイバーを経済性に優れた方法で提供することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いられる全芳香族ポリアミドは、実質的に下記式(A)及び(B)
―NH―Ar―NH― (A)
―OC―Ar―CO― (B)
上記一般式(A)、(B)において、Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。
の2つの構成単位が交互に繰り返された構造からなる全芳香族ポリアミドである。
上記Ar,Arは、各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基であるが、その具体例としては、メタフェニレン基、パラフェニレン基、オルトフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ジフェニレンスルフィド基、4,4’−ジフェニレンスルホン基、4,4’−ジフェニレンケトン基、4,4’−ジフェニレンエーテル基、3,4’−ジフェニレンエーテル基、メタキシリレン基、パラキシリレン基、オルトキシリレン基等が挙げられる。
これらの芳香族基の水素原子のうち1つまたは複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基で置換されていてもよい。なお、上記式(A)及び/又(B)の構成単位が、2種以上の芳香族基からなる共重合体であっても差し支えない。また上記式(A)及び(B)以外にも物性を損なわない範囲で少量の他成分が含まれていても差し支えない。
これらのうち、Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、3,4’−ジフェニレンエーテル基が好ましく、パラフェニレン基、またはパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用したものがさらに好ましく、パラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用した場合にはそのモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲にあることがさらに好ましい。
Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、が好ましく、パラフェニレン基がさらに好ましい。
本発明において好適に用いられるものの一つとして、Arがパラフェニレン基及び3,4’−ジフェニレンエーテル基でありそのモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲にあり、Arがパラフェニレン基である全芳香族ポリアミドを挙げることが出来る。
すなわち全芳香族ポリアミドが、Ar
Figure 2005263951
及び/または
Figure 2005263951
であり、Ar
Figure 2005263951
であることが好ましい。
さらには全芳香族ポリアミドが、Ar
Figure 2005263951
及び
Figure 2005263951
からなり、両者のモル比が1:0.8〜1:1.2であり、Ar
Figure 2005263951
であることが好ましい。
これらの全芳香族ポリアミドは溶液重合法、界面重合法、溶融重合法など従来公知の方法にて製造する事が出来る。重合度は芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分の比率によりコントロールすることが出来、得られるポリマーの分子量としては98重量%濃硫酸に0.5g/100mLの濃度で溶かした溶液を30℃にて測定した特有粘度(inherent viscosity)ηinhが0.05〜20dL/gであることが好ましく、1.0〜10dL/gの間に有るものがより好ましい。
本発明の組成物における炭素繊維とは、平均直径が300nm以下、好ましくは0.3〜250nm、より好ましくは0.3〜200nmのサイズものである。好ましい炭素繊維として具体的にはカーボンナノチューブを挙げることが出来る。直径が0.3nm以下のものは実質的に製造が困難であり、300nm以上のものは溶媒中での分散が困難であり本発明のアラミド繊維とのコンポジットには好ましくない。
また平均アスペクト比の好ましい値として上限の制限はないが下限としては5.0以上、好ましくは10.0以上である。平均アスペクト比が5.0より小さいと、本発明のフラーレン化合物との混合物の場合でも繊維の力学特性に対する改善効果が充分でなくなるため好ましくない。
炭素繊維の平均直径およびアスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることが出来る。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)測定を行い、その画像から直接炭素繊維の直径および長手方向の長さを測定することが可能である。
好ましい炭素繊維としてカーボンナノチューブが挙げられるが、その形状としてはグラフェンシートが円筒状に巻かれたもので、この円筒が単層のものでも複数の層からなるものでも構わない。またグラフェンシートがカップ状に積み重なったものでも構わない。すなわち本発明におけるカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カップスタック型カーボンナノチューブが好ましく挙げられる。
これらカーボンナノチューブは従来公知の方法で製造され、気相流動法、触媒担持型気相流動法、レーザーアブレーション法、高圧一酸化炭素法、アーク放電法等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明で用いるフラーレン化合物とは、一般にフラーレンと呼ばれC60、C70等のように炭素の6員環と5員環の組み合わせにより球状あるいは楕円球状に形成された炭素原子数20個以上500個以下のかご型分子とその誘導体の総称である。フラーレンとして具体的にはC60、C70、C76、C78、C84などが挙げられるが、製造の容易さ、コストなどの面からC60、C70、あるいはそれらの混合物が好ましく用いられる。またフラーレンの誘導体としては、炭素環に水素原子、フッ素原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキル基などの他原子や官能基を導入したもの、フラーレンと他物質との会合体、フラーレン同士の結合体等を挙げることが出来る。
かかるフラーレンは従来公知の方法で製造され、アーク放電法、マイクロ波法、燃焼法、レーザー法、熱分解法等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。一般にフラーレンの製造においては触媒金属や副生成物としてすすが多く含まれるため、出来る限り純度の高いフラーレンを用いることが好ましい。
本発明の全芳香族ポリアミド樹脂組成物およびそのコンポジットファイバーの組成としては、全芳香族ポリアミド100重量部に対して、炭素繊維とフラーレン化合物との混合物である炭素系材料が0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜4重量部、より好ましくは0.3〜3重量部である。炭素系材料が0.1重量部未満だとコンポジットファイバーの力学特性の向上効果が観察されにくく、逆に5重量部以上であっても力学物性を向上させることが困難となり、またコストの面からも実用性に乏しくなる。
また炭素系材料の組成として、炭素系材料に占めるフラーレン化合物の割合が1〜60重量%であることが好ましく、5〜50重量%がより好ましい。フラーレン化合物の割合が1重量%未満では、本発明の特徴である両者の併用によるプラス効果が得られにくく、また60重量%より多いのは経済性の面で厳しくなる。
本発明のコンポジットファイバーの製造法としては、全芳香族ポリアミド、炭素繊維およびフラーレン化合物の混合溶液を調製し、その混合溶液から紡糸する方法が好ましい。かかる際に用いられる溶媒としては、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、あるいは100%硫酸、りん酸、ポリりん酸、メタンスルホン酸等の酸溶媒が挙げられる。
該混合溶液を調製する方法としては公知のいかなる方法でも適用できるが、いずれにしても炭素繊維およびフラーレン化合物が均一に分散するよう混合溶液を調製することが望ましい。一般に炭素繊維は溶媒に対する分散性に乏しく、逆にフラーレン化合物は分散性に優れている。本発明では炭素繊維を事前にミル処理、超音波処理、強酸処理、表面修飾等何らかの前処理を行って溶媒分散性を高めることが好ましく推奨されるが、かかる場合にはフラーレン化合物は共存させないことが好ましい。従って具体的な好ましい溶液調製方法としては例えば、1)全芳香族ポリアミド溶液、炭素繊維分散液およびフラーレン化合物溶液の3者を混合する、2)炭素繊維分散液にフラーレン化合物を添加してフラーレンを溶解させた炭素材料系混合液と全芳香族ポリアミド溶液とを混合する、3)フラーレン化合物溶液に固体の全芳香族ポリアミドを添加して溶解させた混合溶液と炭素繊維分散液とを混合する、4)フラーレン化合物溶液中で、全芳香族ポリアミドのIn-situ重合を行って調製した混合溶液と炭素繊維分散液とを混合する、5)炭素繊維分散液中で、全芳香族ポリアミドのIn-situ重合を行って調製した混合溶液とフラーレン化合物溶液とを混合する、6)炭素繊維分散液にフラーレン化合物を添加してフラーレンを溶解させた炭素材料系混合液中で、全芳香族ポリアミドのIn-situ重合を行う、などを挙げることが出来る。
かくして得られた混合溶液から、湿式、乾式、乾式湿式の併用いずれかを用いてコンポジットファイバーの紡糸を行うことが出来る。ArとArがともにパラフェニレン基であるポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の場合は、100%硫酸、りん酸、ポリりん酸、メタンスルホン酸等の酸溶媒を混合溶媒として、液晶紡糸によりコンポジットファイバーを得ることが出来る。液晶紡糸では通常、高いドラフト比でキャップから溶液を紡糸することにより配向させることができる。
また全芳香族ポリアミドが例えば、Arがパラフェニレン基及び3,4’−ジフェニレンエーテル基でありそのモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲にあり、Arがパラフェニレン基である全芳香族ポリアミドの場合は、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒を混合溶媒として乾湿式紡糸を行った後、高温下、高倍率で延伸配向させることによりコンポジットファイバーを得ることが出来る。かかる際の好ましい延伸倍率としては2〜40倍、より好ましくは5〜30倍であるが、最大延伸倍率(MDR)になるべく近づけて延伸することが力学物性の面で望ましい。好ましい延伸配向時の温度としては100℃〜800℃、より好ましくは200℃〜600℃である。
以下に実施例により本発明を詳述する。但し、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(1)カーボンナノチューブの平均直径および平均アスペクト比:(株)日立製作所製TEM(透過型電子顕微鏡、H−800型)を用いて測定した。カーボンナノチューブを濃度0.1mg/mLでN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略する。)に超音波処理下で分散させた後、TEM測定用グリッドにその分散液を滴下し、減圧乾燥して得られたサンプルを観察した。画像から直径および長さを直接測定して、その平均値を求めた。
(2)繊維の力学特性:オリエンテック株式会社製テンシロン万能試験機1225Aを用い、得られた繊維の単糸での引っ張り試験を行って弾性率、伸度および強度を求めた。
[参考例1:アラミド樹脂溶液の作成]
十分に乾燥した攪拌装置付きの三口フラスコに、脱水精製したNMP2150g、p−フェニレンジアミン27.04g及び3、4’―ジアミノジフェニルエーテル50.06gを常温下で添加し窒素中で溶解した後、氷冷し攪拌しながらテレフタル酸ジクロリド101.51gを添加した。その後徐々に昇温して最終的に80℃、80分反応させたところで水酸化カルシウム37.04gを添加して中和反応を行い、NMPのアラミド樹脂溶液を得た。得られたドープを水にて再沈殿することにより得たアラミド樹脂の濃度0.5g/100mLの濃硫酸溶液を30℃で測定した特有粘度ηinhは3.7dL/gであった。
[参考例2:多層カーボンナノチューブの合成]
多孔性担体にY型ゼオライト粉末(東ソー製;HSZ−320NAA)を用い、触媒金属化合物に酢酸第二鉄と酢酸コバルトを用いて、Fe/Co触媒をゼオライトに担持した。触媒の担持量はそれぞれ2.5重量%に調製した。その後、石英ボートに触媒粉末を乗せてCVD装置の石英管内に設置して真空排気をおこない、流量10mL/分でArガスを導入しながら室温から600℃まで昇温した。所定の600℃に達した後、エタノール蒸気を流量3000mL/分で導入し、Ar/エタノール雰囲気下で30分間保持した。得られた黒色の生成物をレーザーラマン分光法および透過型電子顕微鏡で分析した結果、多層カーボンナノチューブが生成していることが確認された。ついで、得られた生成物(多層カーボンナノチューブ/ゼオライト/金属触媒)を、フッ化水素酸10%に3時間浸漬後、中性になるまでイオン交換水で洗浄することでゼオライトおよび金属触媒を除去した後、電気焼成炉(倉田技研(株)製、SCC−U−90/150)を用いて黒鉛化処理を行った。まず真空下室温から1000℃まで30分かけて昇温し、次いでアルゴン雰囲気下、圧力5atmで1000℃から2000℃まで30分で昇温、さらに2000℃から2800℃まで1時間かけて昇温して焼成することにより、黒鉛化処理された多層カーボンナノチューブを得た。得られたカーボンナノチューブをTEMで観察したところ、平均直径が58nm、平均アスペクト比が36であった。
[参考例3:C60単独使用のコンポジットファイバー]
NMP50gに、和光純薬工業(株)より入手したフラーレンC60(Strem Chemicals, Inc.製、純度99.9%以上)0.15gを加え、室温で攪拌してフラーレンを溶解させた。このフラーレンのNMP溶液に参考例1で作成したアラミド樹脂溶液247.5gを加えて温度80℃で4時間攪拌することにより、アラミド樹脂/C60=99/1(重量比)の混合溶液を得た。かくして得られたポリマードープを孔径0.3mm、L/D=1、孔数5個のキャップを用いて、シリンダー温度50℃にてNMP30重量%の水溶液である温度50℃の凝固浴中に速度3m/分にて押出した。キャップ面と凝固浴面との距離は10mmとした。凝固浴から取り出した繊維を50℃の水浴中にて水洗し、120℃の乾燥ローラーで乾燥後、500℃の熱板上にて延伸させた。先にこの延伸工程における最大延伸倍率(MDR)を求め、実際はその0.9倍の倍率(20.1倍、速度60.3m/分)で延伸を行いコンポジットファイバーを得た。得られたコンポジットファイバーの単繊維径は1.73dtexであった。また繊維の引っ張り試験より、弾性率は101.6GPaであった。
[参考例4:ミックスフラーレン単独使用のコンポジットファイバー]
参考例3で用いたフラーレンC60を、和光純薬工業(株)より入手したC60/C70混合物(Strem Chemicals, Inc.製、C70約20%、その他高次フラーレン約1%)に変更した他は参考例3と同様にして混合溶液の調製および紡糸を行い、アラミド樹脂/ミックスフラーレン=99/1(重量比)のコンポジットファイバーを得た。弾性率は91.8GPaであった。
[参考例5:炭素繊維単独使用のコンポジットファイバー]
NMP50gに昭和電工(株)製カーボンナノチューブ(商品名VGCF)0.15gを加え、発振周波数38kHzの超音波により温度50℃にて24時間超音波処理を行った。TEM測定から処理後のカーボンナノチューブの平均直径172nm、平均アスペクト比42と求められた。このNMP分散液に参考例1で作成したアラミド樹脂溶液247.5gを加え、その後は参考例3と同様にして混合溶液の調製および紡糸を行い、アラミド樹脂/炭素繊維=99/1(重量比)のコンポジットファイバーを得た。このコンポジットファイバーの各種物性を表1に示した。
[参考例6:炭素繊維単独使用のコンポジットファイバー]
NMP1kgに参考例2で作成した多層カーボンナノチューブ3gを加え、そのNMP分散液を湿式分散機DYNO−MILL(TYPE KDL)にて、0.3mmφのジルコニア製ビーズを用い周速10m/sにて循環させて30分間ビーズミル処理を行った。TEM測定から処理後のカーボンナノチューブの平均直径は29nm、平均アスペクト比は58と求められた。かかるNMP分散液50gを参考例5と同様に24時間超音波処理を行った後、参考例1で作成したアラミド樹脂溶液247.5gを加え、その後は参考例3と同様にして混合溶液の調製および紡糸を行い、アラミド樹脂/炭素繊維=99/1(重量比)のコンポジットファイバーを得た。このコンポジットファイバーの各種物性を表1に示した。
[参考例7:炭素系材料を用いないアラミドファイバー]
参考例1で作成したNMPのアラミド樹脂溶液247gに、さらにNMP50gを加えて温度80℃で4時間攪拌することにより、参考例3とほぼ同じポリマー濃度のアラミド樹脂溶液を得た。この溶液から参考例3と同様にして紡糸を行いアラミドファイバーを得た。このファイバーの各種物性を表1に示した。
[実施例1]
NMP50gに参考例5で用いたのと同じ昭和電工(株)製カーボンナノチューブ(商品名VGCF)0.12gを加え、発振周波数38kHzの超音波により温度50℃にて24時間超音波処理を行った。このNMP分散液に参考例3で用いたフラーレンC600.03gを加えて室温で4時間攪拌した後、参考例1で作成したアラミド樹脂溶液247.5gを加え、その後は参考例3と同様にして混合溶液の調製および紡糸を行い、アラミド樹脂/炭素繊維/C60=99/0.8/0.2(重量比)のコンポジットファイバーを得た。このコンポジットファイバーの各種物性を表1に示した。参考例3および5の結果から、単に加成性が成り立つとすると弾性率=101.6×0.2+85.0×0.8=88.3GPaと計算されるが、実際の弾性率の結果はそれを上回っていることが分かった。
[実施例2]
参考例6で得たビーズミル処理したカーボンナノチューブのNMP分散液25gにさらにNMP25gを加え、発振周波数38kHzの超音波により温度50℃にて24時間超音波処理を行った。このNMP分散液に参考例4で用いたC60/C70混合物0.075gを加えて室温で4時間攪拌した後、参考例1で作成したアラミド樹脂溶液247.5gを加え、その後は参考例3と同様にして混合溶液の調製および紡糸を行い、アラミド樹脂/炭素繊維/ミックスフラーレン=99/0.5/0.5(重量比)のコンポジットファイバーを得た。
このコンポジットファイバーの各種物性を表1に示した。参考例4および6の結果から、単に加成性が成り立つとすると弾性率=91.8×0.5+83.2×0.5=87.5GPaと計算されるが、実際の弾性率の結果はそれを上回っていることが分かった。
Figure 2005263951

Claims (5)

  1. 下記式(A)及び(B)
    ―NH―Ar―NH― (A)
    ―OC―Ar―CO― (B)
    (Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。)
    の構成単位から主としてなる全芳香族ポリアミド100重量部と炭素系材料0.1〜5重量部からなる樹脂組成物であって、該炭素系材料が平均直径300nm以下の炭素繊維およびフラーレン化合物からなる混合物であることを特徴とする全芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  2. 炭素系材料に占めるフラーレン化合物の割合が1〜60重量%である請求項1の全芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  3. 全芳香族ポリアミドが、Ar
    Figure 2005263951
    及び/または
    Figure 2005263951
    であり、Ar
    Figure 2005263951
    である請求項1または2に記載の全芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  4. 全芳香族ポリアミドが、Ar
    Figure 2005263951
    及び
    Figure 2005263951
    からなり、両者のモル比が1:0.8〜1:1.2であり、Ar
    Figure 2005263951
    である請求項1〜3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなるコンポジットファイバー。
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