JP2005289754A - 樹脂溶液を用いた炭素繊維の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 炭素繊維をその粒径サイズの違いによって分離精製する方法を提供する。
【解決手段】 平均直径が300nm以下の炭素繊維と溶媒とからなる分散液中に、芳香環あるいは複素環を含有しかつかかる溶媒に溶解可能な樹脂を加えて樹脂溶液を得た後、樹脂溶液の上下層を形成させ、上層成分と下層成分とを分取して炭素繊維の分離を行うことを特徴とする炭素繊維の精製方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素繊維の精製方法に関するものである。より詳しくは樹脂溶液中での樹脂との相互作用を利用することにより該炭素繊維をその粒径サイズの違いによって分離することを特徴とする精製方法である。
近年炭素繊維、特に直径の小さいカーボンナノチューブが注目を集めている。かかるカーボンナノチューブを樹脂に混ぜてコンポジットとすることにより、導電性の付与あるいは力学特性の向上など樹脂の物性を改善する研究が盛んである。
かかる炭素繊維は従来公知の様々な方法で製造される。例えば気相流動法、触媒担持型気相流動法、レーザーアブレーション法、高圧一酸化炭素法、アーク放電法等があるが、いずれにしても繊維のサイズ、特に長さを制御するのは概して困難である。また繊維長が長い場合、絡まりあいによる凝集が起こっていることも多い。従って一般に炭素繊維においては、その粒径サイズがかなりの分布を持っていることになる。炭素繊維の用途展開を考えた場合、繊維の粒径サイズがその効果に影響を与える場合が多い。例えば樹脂とのコンポジットにより導電性を向上させたい場合には、炭素繊維によるネットワーク構造を形成させるためその長さがある程度長いほうが好ましい。また樹脂とのコンポジットにより該樹脂の力学物性を向上させようとする場合、あまり長さが長すぎると繊維の絡み合いが顕著になり炭素繊維の分散性や配向性に劣る可能性が高くなり物性向上効果を期待しにくくなる。
かかる背景から炭素繊維を長さ、より大きくはその粒径サイズにより分離する技術があれば好ましいのであるが、有力な方法が見出されていないのが現状である。例えば溶媒に分散した分散液を遠心分離あるいは静置して上下層に分けて分取しようとしても、一般に炭素繊維は溶媒に対する溶解性に極めて乏しくいずれにしても分散状態として存在するため粒径サイズの違いによる分離が起こりにくい。一方、界面活性化剤等の添加剤を加える、あるいは樹脂を加えいわばポリマー包装により炭素繊維の溶媒分散性を改善する技術もいくつか報告されているが(特許文献1,2参照)、いずれもそれをさらに炭素繊維の分離精製にまで用いようとした例はない。
特開2004−2849号公報 特開2004−2850号公報
本発明の課題は、炭素繊維の精製方法についてである。より詳しくは炭素繊維をその粒径サイズの違いによって分離精製することにより、様々な用途展開においてより効果的な粒径サイズの制御された炭素繊維を提供する技術を開発することである。
本発明者らは、溶媒中に分散させた炭素繊維の挙動に着目した。炭素繊維は溶媒に対する溶解性は極めて低く分散性も悪いが、ある樹脂との相互作用によって溶媒に対する溶解性を変化させ、次いで分散液を上下2層に分離させた場合に、その上層、下層とで炭素繊維の粒径サイズが異なることを見出した。すなわち本方法により炭素繊維の粒径サイズの違いによって分離し得ることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、平均直径が300nm以下の炭素繊維と溶媒とからなる分散液中に、芳香環あるいは複素環を含有しかつかかる溶媒に溶解可能な樹脂を固体あるいは溶液状態で加えて樹脂溶液を得た後、樹脂溶液の上下層を形成させ、上層成分と下層成分とを分取して炭素繊維の分離を行うことを特徴とする炭素繊維の精製方法である。本発明における好ましい溶媒として非プロトン性極性溶媒、好ましい樹脂として全芳香族ポリアミドを挙げることが出来る。かかる分離精製の際には、炭素繊維100重量部に対して樹脂10〜1000重量部用いることが好ましい。
本発明の精製方法により、炭素繊維をその粒径サイズに従って分離することが可能となり、様々な応用分野により効果的な炭素繊維を提供することが出来る。
以下、本発明について詳述する。
本発明で用いる炭素繊維とは、平均直径が300nm以下、好ましくは0.3〜250nm、より好ましくは0.3〜200nmのサイズものである。好ましい炭素繊維として具体的にはカーボンナノチューブを挙げることが出来る。直径が0.3nm以下のものは実質的に製造が困難であり、300nm以上のものは溶媒中での分散が困難であり、本発明の精製方法には適さない。
また平均アスペクト比の好ましい値として上限の制限はないが下限としては5.0以上、好ましくは10.0以上である。平均アスペクト比が5.0より小さいと、樹脂とのコンポジットによる導電性向上、力学特性向上等の応用面で効果が得られにくくなり好ましくない。炭素繊維の平均直径および平均アスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることが出来る。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)測定を行い、その画像から直接炭素繊維の直径および長手方向の長さを測定することが可能である。
好ましい炭素繊維としてカーボンナノチューブが挙げられるが、その形状としてはグラフェンシートが円筒状に巻かれたもので、この円筒が単層のものでも複数の層からなるものでも構わない。またグラフェンシートがカップ状に積み重なったものでも構わない。すなわち本発明におけるカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カップスタック型カーボンナノチューブが好ましく挙げられる。
これらカーボンナノチューブは従来公知の方法で製造され、気相流動法、触媒担持型気相流動法、レーザーアブレーション法、高圧一酸化炭素法、アーク放電法等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明にて用いる溶媒は、該溶媒のみでも炭素繊維をある程度分散させるものであり、かつ本発明で用いる樹脂を溶解し得るものである。かかる観点から本発明の好ましい溶媒として、非プロトン性極性溶媒が挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ヘキサメチルりん酸トリアミド(HMPA)等を挙げることが出来きる。かかる溶媒は単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。また炭素繊維の分散性を妨げない範囲で少量の他成分を含有していてもよい。他成分としては例えば水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール、グリセリン等の3価アルコール、アセトン、MEK等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等の界面活性剤等が挙げられる。
本発明で用いる樹脂としては、炭素繊維との何らかの相互作用を有し該炭素繊維の溶媒に対する分散性、溶解性を向上させるという点から芳香環あるいは複素環を含有しかつ溶媒に対する溶解性に優れたものである。好ましい樹脂として例えばポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンビニレン、全芳香族ポリアミド、熱可塑性ポリイミド等を挙げることが出来る。かかる樹脂は単独で用いても2種類以上混合して用いてもよい。
本発明で用いられる溶媒と樹脂の好ましい組み合わせとして、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドあるいはN−メチル−2−ピロリドンといったアミド系溶媒と全芳香族ポリアミドが挙げられる。さらに好ましくはN−メチル−2−ピロリドンと全芳香族ポリアミドである。
かかる際に用いられる全芳香族ポリアミドとは、実質的に下記式(A)及び(B)
―NH―Ar―NH― (A)
―OC―Ar―CO― (B)
上記一般式(A)、(B)において、Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。
の2つの構成単位が交互に繰り返された構造からなる全芳香族ポリアミドである。
上記Ar,Arは、各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基であるが、その具体例としては、メタフェニレン基、パラフェニレン基、オルトフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ジフェニレンスルフィド基、4,4’−ジフェニレンスルホン基、4,4’−ジフェニレンケトン基、4,4’−ジフェニレンエーテル基、3,4’−ジフェニレンエーテル基、メタキシリレン基、パラキシリレン基、オルトキシリレン基等が挙げられる。
これらの芳香族基の水素原子のうち1つまたは複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基で置換されていてもよい。なお、上記式(A)及び/又は(B)の構成単位が、2種以上の芳香族基からなる共重合体であっても差し支えない。また上記式(A)及び(B)以外にも物性を損なわない範囲で少量の他成分が含まれていても差し支えない。
これらのうち、Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、3,4’−ジフェニレンエーテル基が好ましく、メタフェニレン基、またはパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用したものがさらに好ましく、パラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用した場合にはそのモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲にあることがさらに好ましい。Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基が好ましい。
本発明において好適に用いられるものとして、Arがパラフェニレン基及び3,4’−ジフェニレンエーテル基でありそのモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲にあり、Arがパラフェニレン基である全芳香族ポリアミド、およびAr、Arがともにメタフェニレン基である全芳香族ポリアミドを挙げることが出来る。
これらの全芳香族ポリアミドは溶液重合法、界面重合法、溶融重合法など従来公知の方法にて製造する事が出来る。重合度は芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分の比率によりコントロールすることが出来、得られるポリマーの分子量としては98重量%濃硫酸に0.5g/100mLの濃度で溶かした溶液を30℃にて測定した特有粘度(inherent viscosity)ηinhが0.05〜20dL/gであることが好ましく、1.0〜10dL/gの間に有るものがより好ましい。
本発明で用いる樹脂の量は、用いる樹脂の種類や分子量、用いる溶媒、炭素繊維の濃度や分散性等により異なるが、炭素繊維100重量部に対して、樹脂10〜1000重量部用いることが好ましい。炭素繊維に対して樹脂量が少なすぎると、樹脂の添加により炭素繊維の分散性、溶解性が向上して結果的に粒径サイズの違いにより上下層に分離されるという本発明の効果が発揮されにくく、逆に樹脂量が多すぎても溶媒の粘性が上がりかかる効果が発揮されにくくなる。
本発明での溶媒に対する炭素繊維の濃度としては、0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。濃度が0.01重量%以下と薄い場合は、本発明の効果は得られるものの上下層の分離に時間がかかりまた得られる炭素繊維量も少なくなる懸念がある。また濃度が10重量%以上と濃い場合には、炭素繊維の分散性が悪くなり本発明の効果が得られにくくなる。
本発明では炭素繊維を溶媒に分散させた後、樹脂を添加することになるが、最初に炭素繊維を溶媒に分散させる段階で出来る限り充分に分散させることが好ましい。そのための手段の一つとして超音波処理することが好ましく推奨される。また炭素繊維を用いる用途にもよるが、より分散性を高めるために強酸処理等による炭素繊維の表面改質処理、さらには表面修飾処理等を行っても良い。かくして得られた炭素繊維の溶媒分散液に樹脂を添加して樹脂を溶解させる。かかる際、樹脂単体を固体状態で加えても良いし、樹脂溶液を加えても良い。また樹脂を完全に溶解させるために樹脂添加後昇温しても良いし、また超音波処理することも好ましい。
かくして溶解した樹脂が炭素繊維と何らかの相互作用することで、炭素繊維に対して一種の分散安定剤あるいは凝集抑制剤として働くことになる。本発明はこの樹脂による分散性向上効果が働いている炭素繊維の分散液挙動を利用するものである。すなわち樹脂溶液を得た後、炭素繊維の分散性が良く外観上溶液状態に近い上層と、次第に沈殿物が溜まってゆきいわば泥状の様相を呈する下層を形成させ分離する。該下層は炭素繊維のみの沈殿物ではなく樹脂も含有して沈殿しているためかかる泥状を呈するものである。かかる上層と下層とを例えば上澄み成分を取り出すことにより分離し、さらに含有する樹脂を除去すればそれぞれ粒度分布の異なる炭素繊維が得られる。含有する樹脂の除去の手法については特に制限はなく、公知の方法で行えば良い。上層成分、下層成分とも例えば樹脂に対する溶解性の高い溶媒で充分に洗浄、ろ過して洗い流すといった方法を用いることが出来る。
炭素繊維分散液の上下層を形成させるためには、樹脂を添加して超音波処理する等して樹脂溶解後静置する、あるいは遠心分離する等を行えば良い。静置することにより泥状の下層が徐々に沈殿して分散性の良い上層と分離可能となるが分離にはある程度の時間が必要である。また遠心分離では短時間で下層に沈殿物が溜まり分離可能となる一方、条件によっては分散性の良い炭素繊維成分まで下層に沈殿して本発明の目的とする粒径サイズの違いによる効率的な分離が難しくなる場合もある。従って本発明では、樹脂共存下での炭素繊維の分散状態、目的とする炭素繊維収量や粒径サイズを勘案して最適な方法を選択すれば良い。
本発明で言及している炭素繊維の粒径サイズとは、希薄濃度下での溶媒分散状態で動的光散乱測定にて測定される粒径サイズのことを示す。かかる溶媒分散状態で炭素繊維それぞれが単独に分散しているとすると、動的光散乱測定では該炭素繊維の直径と長さの平均値が、つまりアスペクト比が高く長さが直径に対して極めて大きい場合にはほぼ長さの半分の値として計測されることが多い。一方、溶媒中で炭素繊維の分散性が悪く絡み合いが顕著な場合は、単独の長さ以上のより大きなサイズとして測定されることになる。すなわち炭素繊維の粒径サイズとは、溶媒中での分散状態も含めた炭素繊維のサイズを反映しており、本発明の精製方法により、かかる粒径サイズ、粒径分布の異なる炭素繊維を得ることが出来る。例えば広い粒径分布を有する炭素繊維から、粒径サイズの小さくまた粒径分布の狭い炭素繊維を選択的に取り出すことが可能となる。
以下に実施例により本発明を詳述する。但し、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(1)炭素繊維の平均直径および平均アスペクト比:(株)日立製作所製TEM(透過型電子顕微鏡、H−800型)を用いて測定した。炭素繊維を濃度0.1mg/mLでN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略する。)に超音波処理下で分散させた後、TEM測定用グリッドにその分散液を滴下し、減圧乾燥して得られたサンプルを観察した。画像から直径および長さを直接測定して、それぞれ平均値を求めた。
(2)炭素繊維の動的光散乱測定:大塚電子(株)製ダイナミック光散乱光度計DLS−7000を使用した。濃度0.01mg/mLの炭素繊維のNMP分散液を調製し、それを1時間超音波処理した後、Arレーザーにて25℃で動的光散乱測定を行い、ヒストグラム法解析により粒度分布および平均粒径を算出した。
[参考例1:アラミド樹脂溶液の作成]
十分に乾燥した攪拌装置付きの三口フラスコに、脱水精製したNMP2150g、p−フェニレンジアミン27.04g及び3、4’―ジアミノジフェニルエーテル50.06gを常温下で添加し窒素中で溶解した後、氷冷し攪拌しながらテレフタル酸ジクロリド101.51gを添加した。その後徐々に昇温して最終的に80℃、80分反応させたところで水酸化カルシウム37.04gを添加して中和反応を行い、NMPのアラミド樹脂溶液を得た。得られたドープを水にて再沈殿することにより得たアラミド樹脂の濃度0.5g/100mLの濃硫酸溶液を30℃で測定した特有粘度ηinhは3.7dL/gであった。
[参考例2:アラミド樹脂、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)の作成]
十分に乾燥した攪拌装置付きの三口フラスコに、脱水精製したNMP200g、メタフェニレンジアミン16.34gを常温下で添加し窒素中で溶解した後、氷冷し攪拌しながらイソフタル酸ジクロリド30.68gを添加した。その後徐々に昇温して最終的に80℃、80分反応させたところで水酸化カルシウム11.20gを添加して中和反応を行い、NMPのアラミド樹脂溶液を得た。得られたドープにイオン交換水を入れて沈殿、ろ過して乾燥することによりアラミド樹脂粉末を得た。かかるアラミド樹脂の濃度0.5g/100mLの濃硫酸溶液を30℃で測定した特有粘度ηinhは1.46dL/gであった。
[参考例3:多層カーボンナノチューブの合成]
多孔性担体にY型ゼオライト粉末(東ソー製;HSZ−320NAA)を用い、触媒金属化合物に酢酸第二鉄と酢酸コバルトを用いて、Fe/Co触媒をゼオライトに担持した。触媒の担持量はそれぞれ2.5重量%に調製した。その後、石英ボートに触媒粉末を乗せてCVD装置の石英管内に設置して真空排気をおこない、流量10mL/分でArガスを導入しながら室温から600℃まで昇温した。所定の600℃に達した後、エタノール蒸気を流量3000mL/分で導入し、Ar/エタノール雰囲気下で30分間保持した。得られた黒色の生成物をレーザーラマン分光法および透過型電子顕微鏡で分析した結果、多層カーボンナノチューブが生成していることが確認された。ついで、得られた生成物(多層カーボンナノチューブ/ゼオライト/金属触媒)を、フッ化水素酸10%に3時間浸漬後、中性になるまでイオン交換水で洗浄することでゼオライトおよび金属触媒を除去した後、電気焼成炉(倉田技研(株)製、SCC−U−90/150)を用いて黒鉛化処理を行った。まず真空下室温から1000℃まで30分かけて昇温し、次いでアルゴン雰囲気下、圧力5atmで1000℃から2000℃まで30分で昇温、さらに2000℃から2800℃まで1時間かけて昇温して焼成することにより、黒鉛化処理された多層カーボンナノチューブを得た。得られたカーボンナノチューブをTEMで観察したところ、平均直径が58nm、平均アスペクト比が36であった。
[実施例1]
NMP50gに昭和電工(株)製炭素繊維(商品名VGCF、TEM測定から平均直径172nm、平均アスペクト比42)0.15gを加え、発振周波数38kHzの超音波により温度50℃にて16時間超音波処理を行った。このNMP分散液に参考例1で作成した濃度6%のアラミド樹脂溶液2.5g(アラミド樹脂量0.15g)を加えてさらに温度50℃にて8時間超音波処理を行った。この分散液を室温にて24時間静置したところ、底部に泥状の沈殿物が観察された。かかる下層の沈殿物を避けながら上澄みを分取して、さらにその上澄み分散液を孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製メンブレンフィルター(ミリポア製)を用いてろ過しNMPおよび水で充分に洗浄、乾燥したところ炭素繊維43mgが得られた。該炭素繊維の動的光散乱測定を行ったところ、平均粒径は324nmであった。その粒度分布を図1に示す。未処理のVGCFでは平均粒径1085nm、粒度分布は図2であった。従ってこの精製方法により粒径が小さくかつ粒度分布の狭い炭素繊維が選択的に得られたことが分かった。
[実施例2]
NMP50gに参考例3で作成した多層カーボンナノチューブ0.25gを加え、発振周波数38kHzの超音波により温度50℃にて16時間超音波処理を行った。このNMP分散液に参考例2で作成したポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)0.125gを加えてさらに温度50℃にて8時間超音波処理を行った。この分散液を室温にて24時間静置したところ、実施例1と同様に底部に泥状の沈殿物が観察された。実施例1と同様にして底部の泥状成分を避けながら上澄み成分を分取してろ過、洗浄および乾燥を行いカーボンナノチューブ88mgを得た。動的光散乱測定から該カーボンナノチューブの平均粒径は480nm、粒度分布は図3のようであった。精製前の多層カーボンナノチューブの平均粒径は1150nm、粒度分布は図4であった。従って粒径が小さくかつ粒度分布の狭い多層カーボンナノチューブが選択的に得られたことが分かった。
[比較例1]
実施例2と同様にしてNMP50gに多層カーボンナノチューブ0.25gを加え、発振周波数38kHzの超音波により温度50℃にて16時間超音波処理を行った。このNMP分散液を室温で24時間静置したところ、底部に粒状の沈殿物が観察された。実施例2と同様に上澄みを分取して35mgの多層カーボンナノチューブを取り出した。その動的光散乱測定を行ったが平均粒径は1082nmと処理前とほぼ同じであり、粒径サイズの違いによる分離を行うことは出来なかった。
実施例1、精製後の昭和電工(株)製炭素繊維VGCFの粒度分布。 実施例1、未処理の昭和電工(株)製炭素繊維VGCFの粒度分布。 実施例2、精製後の多層カーボンナノチューブの粒度分布。 実施例2、未処理の多層カーボンナノチューブの粒度分布。

Claims (4)

  1. 平均直径が300nm以下の炭素繊維と溶媒とからなる分散液中に、芳香環あるいは複素環を含有しかつかかる溶媒に溶解可能な樹脂を固体あるいは溶液状態で加えて樹脂溶液を得た後、樹脂溶液の上下層を形成させ、上層成分と下層成分とを分取して炭素繊維の分離を行うことを特徴とする炭素繊維の精製方法。
  2. 溶媒が非プロトン性極性溶媒である請求項1に記載の炭素繊維の精製方法。
  3. 加える樹脂が全芳香族ポリアミドである請求項1または2に記載の炭素繊維の精製方法。
  4. 炭素繊維100重量部に対して、樹脂10〜1000重量部用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維の精製方法。
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