JP2003165905A - 芳香族ポリイミドフィルム、製造方法及びその用途 - Google Patents

芳香族ポリイミドフィルム、製造方法及びその用途

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JP2003165905A JP2001363729A JP2001363729A JP2003165905A JP 2003165905 A JP2003165905 A JP 2003165905A JP 2001363729 A JP2001363729 A JP 2001363729A JP 2001363729 A JP2001363729 A JP 2001363729A JP 2003165905 A JP2003165905 A JP 2003165905A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機微細粒子を添加することにより、表面に微
細な突起を発生させ、表面粗大突起を少なくし、フィル
ムの走行性及びレーザーエッチング性を改良したポリイ
ミドフィルム及びそれを用いたフレキシブルプリント配
線板用ベースフィルムを提供する。 【解決手段】芳香族二無水物とジアミンとの反応から誘
導された芳香族ポリイミドフィルムからなり、平均粒子
径が0.1μm以上2μm未満であり、粒径比(長径/
短径)が1.0〜2.0であるポリイミド以外の有機高
分子粒子を0.01〜2体積%含有した芳香族ポリイミ
ドフィルム及びそれからなるフレキシブルプリント配線
板用ベースフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高密度印刷回路基板
用に適した芳香族ポリイミドフィルムに関する、更に詳
しくは、有機微細粒子を添加することにより、表面に微
細な突起を発生させ、表面粗大突起を少なくし、フィル
ムの走行性及びレーザーエッチング性を改良したポリイ
ミドフィルム及びそれを用いたフレキシブルプリント配
線板用ベースフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドフィルムは、耐熱性、機械的
強度その他優れた諸特性を有することが知られており、
電機絶縁フィルム、特にフレキシブルプリント配線板
(FPC)のベースフィルム等に広く利用されている。
ポリイミドフィルムがFPC用途に用いられる際の重要
な実用特性の一つは走行性(易滑性)である。様々なフ
ィルム加工工程において、フィルム支持体(例えば回転
ロール)とフィルムの易滑性、またはフィルム同士の易
滑性が確保されることにより、各工程における操作性、
取り扱い性を向上させ、更にはフィルムの巻き時の皺な
どの発生が抑制できる。
【0003】そこで従来は二酸化珪素、カルシウム系な
どの無機系微細粒子が使用されてきた。これらの問題点
として、表面の自由エネルギーが大きいこと、比重が大
きいことなどの理由のため、凝集しやすかった。また、
ポリイミドフィルムは溶媒を乾燥させると共に自己収縮
に抗した延伸操作が行われるため、粒子に起因する突起
面積は粒子直径の数倍〜10倍になる場合が多かった。
このためフィルム中に添加した場合、粗大突起が生じや
すかった。
【0004】一方、ポリイミドフィルムの主要用途であ
るFPCにおいて、近年急速に成長しているプリント基
板製品に高密度フレキシブル基板がある(http://www2.
hitachi-cable.co.jp/H#cable/news/970821/microbga.h
tm、またはhttp://www.dnp.co.jp/jis/news99/991012.h
tmlなど)。これは配線幅・配線間距離(以下配線間距離
と略)が25〜40μm以下となり、従来の100ミク
ロンに比べて著しく回路密度(配線間距離の逆数で配線
ピッチが小さいほど回路密度が高い)が高まっている。
2004年までに高密度フレキシブル基板の市場は50
〜60億ドルの規模になる(エレクトロニクス実装技
術、2001年10月、Vol.17、No.10)ことが予想さ
れている。
【0005】一般に絶縁帯幅と導電線幅は等しくなるよ
うに印刷・加工されるので、配線間距離が30ミクロン
幅の高密度フレキシブル基板の線幅は15ミクロンとな
る。従って、配線間距離が30μ以下の基板に粗大突起
があると蒸着金属の薄化より起因する導通不良となる場
合があった。
【0006】またフィルムを加熱オーブン中で乾燥する
ポリイミドフィルム製造工程において、フィルムよりフ
ィルム由来の揮発成分またはポリイミド由来のオリゴマ
ーが蒸発することがある。これらの気化成分又は混合物
は乾燥オーブンまたはステンター内では、温度が高く、
蒸気圧が低いためにこれらの大部分は気体として存在し
ている。しかしながら加熱オーブン内部は、気体滞留部
分、温度斑または強制冷却部分がある。このような低温
部分においては強制的に気化された気体成分が冷却され
オリゴマーまたは熱変成物として析出し、逐次堆積が進
み、ついには機械振動などにより剥離し、加熱オーブン
中を走行するフィルム表面に付着し、異物などの欠点を
生じさせる場合がある。高密度フレキシブル基板として
使用される場合、これらの異物による蒸着金属の薄化が
生じ、ひいては導通不良となる場合があった。従って、
加熱オーブン中のオリゴマーを減少させることが重要で
あった。また、これらの落下する異物を後工程で除去す
ることは工程数を付与することになり、製造費が高くな
ってしまうことさえあった。
【0007】また近年CSP、多層基板用途では貫通孔
をドリル、ピン、レーザー光、アルカリエッチングなど
で加工する技術開発が行われており、そのためどの孔加
工法にも対応できる素材の供給が必要となっている。特
にレーザー光では800℃以上の高熱により分解する組
成物が望まれてきており、即ち、特公平6−6570
7、特公平6−11800などで開示される無機系粒子
などでは残留物が残るので問題があった。
【0008】これらで開示された技術内容にはレーザー
エッチングおよび高密度回路基板に対応できるフィルム
を大きな欠点を伴わないで製造するのに適した教示は存
在しない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これらの課題、問題点
を鋭意検討し、凝集しにくく、微細かつ特殊な形状を持
つ有機高分子粒子を添加することにより、レーザーエッ
チングにより貫通孔加工でき、粗大突起の少ない表面を
有する高密度FPC基板用ベースフィルムが得られるこ
とを見いだした。また加熱オーブン中で発生する異物の
少ない表面を有する高密度FPC基板用ベースフィルム
の製造方法を見いだした。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は次の手段をと
る。 (1)芳香族二無水物とジアミンとの反応から誘導され
た芳香族ポリイミドフィルムからなり、平均粒子径が
0.1μm以上2μm未満であり、粒径比(長径/短
径)が1.0〜2.0であるポリイミド以外の有機高分
子粒子を0.01〜2体積%含有した芳香族ポリイミド
フィルム。 (2)有機高分子粒子の平均粒子径が0.1μm以上
1.0μm未満、粒径比(長径/短径)が1.0〜1.
5、含有量が0.01〜1体積%である上記(1)の芳
香族ポリイミドフィルム。 (3)有機高分子粒子がビニル系高分子粒子である上記
(1)、(2)の芳香族ポリイミドフィルム。 (4)フィルムを加熱オーブン中で乾燥するフィルム製
造工程において、該加熱オーブンが金属触媒が組み込ま
れたことを特徴とする上記(1)に記載された芳香族ポ
リイミドフィルムの製造方法。 (5)上記(1)〜(4)のポリイミドフィルムが少な
くとも一層配置されて成る積層ポリイミドフィルム (6)上記(1)〜(5)の芳香族ポリイミドフィルム
からなるフレキシブルプリント配線板用ベースフィル
ム。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、基層として使用
される芳香族ポリイミドは、米国特許3,179,63
0および3,179,634に開示されているように一
般に酸二無水物とジアミンとの反応から誘導されるポリ
アミド酸の化学的または熱的変換によって製造すること
ができる。
【0012】ポリアミック酸は、実質上少なくとも1個
の芳香族酸二無水物と少なくとも1個のジアミンの概略
等モル量とを溶媒中で反応させ、生成した溶液を抑制し
た温度条件下、酸二無水物とジアミンとの重合が完了す
るまで攪拌することによって製造される。
【0013】ポリイミドに使用されるための適切な酸二
無水物は、ピロメリット酸2無水物、2,3,6,7−
ナフタレンテトラカルボン酸2無水物、3,3′,4,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物、1,2,
5,6−ナフタレンテトラカルボン酸2無水物、2,
2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸2無水
物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸2無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)プロパン2無水物、ビス(3,4−ジカルボキ
シフェニル)スルホン2無水物、3,4,9,10−ペ
リレンテトラカルボン酸2無水物、ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニル)プロパン2無水物、1,1−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン2無水物、
1,1ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン2
無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン
2無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタ
ン2無水物、オキシジフタル酸2無水物、ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)スルホン2無水物を包含す
る。好ましくはピロメリット酸2無水物および/または
3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸2無
水物である。
【0014】ポリイミド用の適切なジアミンには4,
4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミ
ノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニル
メタン、3,3′−ジクロロベンジジン、4,4′−ジ
アミノジフェニルサルフィド、3,3′−ジアミノジフ
ェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホ
ン、4,4′−ジアミノジフェニルエ−テル、1,5−
ジアミノナフタレン、4,4′−ジアミノジフェニルエ
チルシラン、4,4′−ジアミノジフェニルシラン、
4,4′−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシ
ド、4,4′−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、
4,4′−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、
1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミ
ン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベ
ンゼンがある。好ましいジアミンは、4,4′−ジアミ
ノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニル
エーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタンおよび
/または1,3−ジアミノベンゼンである。
【0015】また上記の任意のジアミンおよび酸2無水
物から誘導されたコポリイミドも使用できる。好ましい
組み合わせは、ピロメリット酸2無水物、3,3′,
4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物から選
択される少なくとも1つの酸2無水物および4,4′−
ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフ
ェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタ
ン、1,3−ジアミノベンゼンから選択される少なくと
も1つのジアミンとの組み合わせである。特に好ましい
コポリイミドは、0〜70モル%のビフェニルテトラカ
ルボン酸2無水物、30〜100モル%のピロメリット
酸2無水物、10〜40モル%のp−フェニレンジアミ
ンおよび60〜90モル%の4,4′−ジアミノジフェ
ニルエ−テルから誘導されたランダムポリマー、ブロッ
クポリマーまたは混交ポリマーである。このようなコポ
リイミドは米国特許4,778,872または特開20
01−240744号公報に開示されている。
【0016】溶媒は重合する反応物の1つまたは両方に
可溶性であり、好ましくはポリアミック酸重合反応生成
物を溶解しなければならない。勿論、溶媒は実質的に全
ての重合する反応物およびポリアミック酸重合反応生成
物に反応しないものでなければならない。
【0017】一般に好ましい溶媒は、通常の液体のN
N′−ジアルキルカルボキシルアミドを包含する。これ
らの好ましい溶媒にはカルボキシルアミド、特にN,
N′−ジメチルホルアミドおよびN,N′−ジメチルア
セトアミドのような低分子量の物質がある。この種類の
溶媒の他の有用な化合物はN,N′−ジエチルホルムア
ミドおよびN,N′−ジエチルアセトアミドである。使
用しうる他の溶媒としてはジメチルスルホキシド、N−
メチル−2−ピロリジン、テトラメチル尿素、ジメチル
スルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレ
ンスルホン等がある。溶媒は、単独で、他の1つと組み
合わせて、または貧溶媒、例えば、ベンゼン、ベンゾニ
トリル、ジオキサン等と組み合わせて使用することがで
きる。使用される溶媒の量は、ポリアミック酸の70〜
90重量%の範囲にあるのが好ましい。この濃度によっ
て最適分子量が得られるからである。
【0018】一般にポリアミック酸溶液は、不活性雰囲
気中で攪拌および抑制された温度条件下、ジアミンを乾
燥溶媒中に溶解し、酸二無水物を徐々に加えることによ
り製造される。ジアミンは慣用的には溶媒中に5〜15
重量%溶媒として存在し、ジアミンおよび酸二無水物は
通常概略均等モル量で使用される。
【0019】かくして得られたポリアミド酸溶液を押出
機やギヤポンプで加圧して、ポリアミド酸フィルムの製
造工程に送液する。積層フィルムの場合、2台以上の押
出機、ミキサー、定量フィーダーまたはポンプ、2層以
上のマニホールドまたは合流ブロックを用いて、ポリア
ミド酸溶液を積層する。
【0020】ポリアミド酸溶液は、フィルム成形用の口
金やコーチングヘッドを通してフィルム状に成形され、
回転または移動する支持体上に押出され、支持体から加
熱されて、ポリアミド酸が一部イミド転化したポリアミ
ド酸−ポリイミドゲルフィルムが生成され、このゲルフ
ィルムが自己支持性となり、支持体から剥離可能となっ
た時に支持体から剥離され、乾燥機に導入され、乾燥機
で加熱されて、溶剤を乾燥し、イミド転化を完了するこ
とにより、ポリイミドフィルムが製造される。
【0021】ポリアミック酸のポリイミドへの変換は熱
的変換または化学的変換のいずれかのプロセスにより達
成される。熱的変換プロセスによれば、ポリアミック酸
溶液は加熱した変換表面、例えば金属ドラムまたはベル
ト上にキャスチングされ、約50℃以上の温度に加熱さ
れてポリマ−の固形分が60重量%以上に増加して剥離
可能な自立のフィルムを生成すると共にポリアミック酸
がポリイミドに部分的に変換される。ポリアミック酸変
換の程度は、使用した温度、露出した時間にもよるが一
般にアミック酸基の15〜30%がイミド基に変換す
る。ついで部分的に変換したポリアミック酸は約300
℃以上に加熱され、完全にポリイミドに変換させられ
る。
【0022】化学的変換プロセスにおいては、ポリアミ
ック酸溶液はフィルムに成形される直前に変換用化学物
質と混合される。ポリアミック酸変換化学物質は第3ア
ミン溶媒および無水物脱水物質である。好ましい無水物
脱水物質は無水酢酸であり、ポリアミック酸中のアミッ
ク酸基の僅かモル過剰の量、典型的にはポリアミック酸
の1当量当り約2〜2.5モルの量で使用される。第3
アミン触媒の匹敵する量が用いられる。無水酢酸に加え
て、他の使用しうる低級脂肪酸無水物はプロピオン酸、
酪酸、吉草酸の無水物、これら相互の混合無水物および
芳香族モノカルボン酸の無水物、例えば安息香酸、ナフ
トン酸等の無水物との混合無水物および炭酸およびギ酸
の無水物との混合無水物ならびに脂肪族ケテン(ケテン
およびジメチルケテン)を包含する。ケテンはカルボン
酸の徹底的な脱水反応により誘導されたカルボン酸の無
水物とみなすことができる。
【0023】好ましい第3アミン溶媒(触媒)は、ピリ
ジンおよびβ−ピコリンであり、それらは無水物脱水物
質の1モルに対し約1モルの量で用いられる。また好ま
しいピリジンおよびβ−ピコリンとほぼ同一の活性を有
する第3アミンも使用することができる。これらには、
3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、4−メチルピリ
ジン、4−イソプロピルピリジン、N−ジメチルベンジ
ルアミン、イソキノリン、4−ベンジルピリジンおよび
N−ジメチルドデシルアミンがある。トリメチルアミン
およびトリエチルアミンは上述したアミンより一層活性
であり、より少量で用いることができる。
【0024】処理されたポリアミック酸溶液は加熱した
変換表面に、キャストされるかまたは押し出されると溶
媒のいくらかは溶液から蒸発し、ポリアミック酸は部分
的に化学変換されてポリイミドになりそして溶液はポリ
アミック酸−ポリイミドゲルの形になる。アミック酸基
のイミド基への変換率は接触時間および温度に依存する
が通常は約25〜95%である。ゲルは高い溶媒含量に
もかかわらず自己形態保持性がある。
【0025】次いで、ゲルを乾燥させて残留溶媒および
残存する変換用化学物質を除去し、そしてポリアミック
酸は完全にポリイミドに変換される。乾燥は、その時点
でポリアミック酸からポリイミドに完全に変換しないよ
うな比較的温和な条件で行うことができる。あるいは乾
燥と変換は高い温度を用い同時に実施することができ
る。ゲルは乾燥および変換工程の間に除去しなければな
らない多くの液体を含有しているので、乾燥中にゲルを
抑制して望ましくない収縮を回避しなければならない。
連続的な製法では、フィルムの両端を例えばクリップを
用いて幅出機中に保持して抑制することができる。乾燥
および変換の間に過度に収縮されたポリイミドフィルム
は脆くてポリイミドフィルム材料の期待される優れた性
能特性に欠けている。
【0026】高温を使用してフィルムを乾燥し、そして
同一工程でそれをポリイミドに変換するのが好ましい。
フィルムを200〜450℃の温度に15〜400秒加
熱するのが好ましい。勿論、薄いフィルムについては、
より厚いフィルムより少ない加熱および時間が必要であ
る。
【0027】上述したように、この高温での乾燥および
変換の間にフィルムよりフィルム由来の揮発成分または
ポリイミド由来のオリゴマーが蒸発することがある。ま
た使用する有機高分子粒子の種類によっては、更に粒子
の気化成分由来の物が加わる。これらの成分又は混合物
は乾燥用の加熱オーブンまたはステンター内の壁に析出
する場合がある。この析出成分および熱などによるそれ
らの変成物が落下し製造中のフィルム表面に付着し、異
物などの欠点を生じさせる場合がある。これらの落下す
る異物を後工程で除去することは工程数を付与すること
になり、製造費が高くなってしまうことさえある。この
原因となるフィルム由来の揮発成分またはポリイミド由
来のオリゴマー蒸発成分を、金属触媒または赤熱ヒータ
ーで分解することが好ましい。金属触媒として、金系、
銀系、パラジウム系、白金系、ルテニウム系、ロジウム
系、イリジウム系、レニウム系などの触媒が挙げられ
る。またこれらの二元触媒または多元触媒でも良い。金
属触媒は低温で使用でき、高温雰囲気中でも金属触媒部
分に凝縮させ易いため好ましい。特に好ましくは貴金属
系触媒で、白金系が良い。
【0028】赤熱ヒーターの材質としてタングステン、
モリブデン、窒化硼素、炭化チタン、炭化珪素、白金、
イリジウム、イットリウム、酸化イットリウム、アルミ
ナ、酸化珪素、酸化ベリリウム、酸化ジルコニウム、酸
化ナトリウム、ニッケル/クロム合金がある。これらの
赤熱ヒータを使用する場合、ヒータ温度は、800℃以
上、好ましくは1100℃以上、更に好ましくは130
0℃以上がよい。表面温度の上限は2500℃が良い。
これを超えて用いる際には、ヒーターの寿命が短くなり
実用的でない。気化物分解用の金属触媒または赤熱ヒー
ターを設置する場所は、加熱オーブン中に設置されるこ
とが好ましい。特には、最高加熱温度領域の前方または
後方の場所が好ましい。また、加熱オーブン中で有れ
ば、フィルムが走行する上方および下方でも、フィルム
が走行する脇に設置されても良い。
【0029】気化成分の定量化方法は後述するが、異物
の原因となる気化成分を定量化することが良い。分解有
効性の簡便法として、加熱オーブン雰囲気中の重合用溶
媒濃度を定量することも良い。
【0030】この乾燥および変換の間にフィルムが過度
の収縮をしないように抑制され、実際に乾燥および変換
が完了する前に幾分延伸することさえできる。延伸は任
意の寸法で行ってもよい。フィルム製造において、延伸
は縦方向または横方向のいずれであってもよい。所望に
より、抑制を与えてある限られた収縮度にすることもで
きる。25%程度の収縮により十分な寸法安定性を有す
る製品が得られる。
【0031】ポリイミドフィルム基層の厚さは約7マイ
クロメ−タ−(0.3ミル)から約125マイクロメ−
タ−(5ミル)へ、好ましくは、約17マイクロメ−タ
−(0.7ミル)から約36マイクロメ−タ−(1.5
ミル)へ変換させることができる。
【0032】ポリイミドフィルムは、芳香族ポリイミド
に有機高分子粒子を含有した物である。微少な有機高分
子粒子は、平均粒子径が0.1μm以上2μm未満であ
り、粒径比(長径/短径)が1.0〜2.0である。含
有量は有機高分子粒子が0.01〜2体積%である。
【0033】好ましい平均粒子径は0.1μm以上1.
0μm未満である。更に好ましくは0.6μm未満であ
る。平均粒径0.1μm未満の有機高分子粒子は、圧縮
弾性率が小さくなるため突起形成能が十分でなく。2μ
m以上では最大突起の直径が20μmを超えるようにな
り、25〜40μm以下の高密度印刷回路基板に用いら
れる用途には不適である。
【0034】本発明に於ける有機高分子粒子はフィルム
の滑り性の観点から、好ましい粒径比(長径/短径)は
1.0〜1.5である。粒径比が2を超えた粒子は、扁
平または棒状であり、そのためフィルム中では長軸方向
が平面方向と一致するように高分子粒子が配向するた
め、高さは低いが突起面積の大きい粗大突起となり易
い。この様な粗大突起は高密度印刷回路基板用途には好
ましくない。
【0035】好ましい添加量は0.1〜1体積%であ
る。0.01体積%以下では滑り性の効果が十分でな
く、2体積%を超えると製膜後の各種工程の走行時に表
面が削れて異物となり、高密度印刷回路の絶縁性または
導通性に悪影響を及ぼす。
【0036】本発明に於ける有機高分子粒子は、少なく
とも一部がポリアミド酸の重合に使用される溶媒に不溶
の粒子で有れば如何なる粒子でも良い。レーザー光によ
り40重量%以上が消失することが必須であるが、更に
耐熱性の高い物が好ましい。また、ポリアミド酸重合用
溶媒である液体のNN′−ジアルキルカルボキシルアミ
ドに分散が容易である理由で、有機高分子粒子の比重は
0.8〜1.8が好ましい。
【0037】空気中で10%加熱減量温度が350℃以
上で、かつ空気中での30%加熱減量温度が800℃以
下である。
【0038】このような粒子の素材としては、芳香族ア
ミド、ベンゾグアナミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
エステル樹脂、液晶ポリマー、ポリベンゾオキサゾール
など種々の物を使用することが出来る。(5行ほど移動
しました) このため、ビニル系架橋高分子粒子またはガラス転移温
度が300℃以上の芳香族ポリエステルまたは芳香族ア
ミドが好ましい。特に耐熱性が高くかつ粒度分布の均一
な粒子が得られやすく、加熱減量を調整しやすいビニル
系架橋高分子粒子が特に好ましい。
【0039】ビニル系架橋高分子粒子は分子中に唯一個
の脂肪族の不飽和結合を有するモノビニル化合物(A)
と、架橋成分として分子中に2個以上の脂肪族の不飽和
結合を有する化合物(B)との共重合体である。
【0040】上記共重合物における化合物(A)の例と
しては、スチレン、α−メチルスチレン、フルオロスチ
レン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族モノビニル化
合物などがある。
【0041】化合物(B)としてはジビニルベンゼン、
エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロール
プロパントリメタクリレートなどがある。
【0042】ビニル系架橋高分子粒子の組成として好ま
しい物を例示すると、ジビニルベンゼン重合体、エチル
ビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン
−ジビニルベンゼン共重合体、エチレングリコールジメ
タクリレート共重合体、スチレン−エチレングリコール
ジメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−ジ
ビニルベンゼン共重合体などが挙げられる。但し、これ
らの例示に限定されるわけでなく例えば3成分以上の共
重合体であっても良い。
【0043】このようなビニル系高分子架橋粒子は、例
えば、化合物(A)、(B)を混合し、以下のような乳
化重合により製造する方法がある。 (a)ソープフリー重合法、すなわち乳化剤を使用しな
いか、あるいは極めて少量の乳化剤を使用して重合する
方法。 (b)乳化重合に先立って重合系内へ重合体粒子を添加
しておいて、乳化重合させるシード重合法。 (c)単量体成分の一部を乳化重合させ、その重合系内
で、残りの単量体を重合させるコアーシェル重合法。 (d)特開昭54−97582号公報に示されているユ
ーゲルスタット等による重合法。 (e)(d)の方法において膨潤助剤を用いない重合
法。
【0044】好ましいビニル系架橋高分子粒子は粒子を
構成する全有機成分に対して式(1)で定義される架橋
度が30重量%以上であると粒子の耐熱性が高くなり好
ましく、より好ましくは50重量%以上である。
【0045】 架橋度=(原料モノマー中の架橋成分の重量)×100/(原料モノマーの全重量) ・・・(1) 他の好ましい有機粒子の作り方として、ポリマーを良溶
媒に溶解させ、貧溶媒および界面活性剤を順番に高速で
撹拌しながら添加し粉末として析出させる方法である。
この時、ポリエーテル系などの界面活性剤を添加するこ
とは、析出粒径を均一微少化する作用があるので好まし
く用いられる。
【0046】具体例として、好ましい芳香族アミド粒子
は、ケブラー(デュポン社製)、テクノーラ(帝人社
製)などを硫酸などの溶媒に溶解させた溶液を、高速で
希硫酸などの貧溶媒中に撹拌しながら添加し粉末として
析出させる方法である。この時、ジメチルシリコーン、
ポリエーテル系などの界面活性剤を添加し、析出粒径を
均一微少化する方法も好ましく用いられる。
【0047】本発明に於ける有機高分子粒子はフィルム
中に均一に含有させても良いが、好ましくは積層され少
なくとも1つの最外層に添加される方法が、突起高さを
均一化できるおよび全フィルム当たり添加量を低減でき
る理由で好ましい。
【0048】本発明の有機粒子を添加させる方法は、ポ
リアミド酸重合前後に添加される。口金押出部前のスタ
チックミキサーで混練りしながら添加する方法も好まし
い。
【0049】またゲルフィルム上に別途用意した有機高
分子粒子を添加させたポリアミド酸を噴霧上に吹き付け
た後イミド化反応を完結させても良い。
【0050】
【実施例】次の実施例においては、別記しない限りすべ
ての部とパ−セントは重量による。DMAcはジメチル
アセトアミド、34’−ODAは34’−オキシジアニ
リン、44’−ODAは44’−オキシジアニリン、P
PDはパラフェニレンジアミン、PMDAはピロメリッ
ト酸二無水物、BPDAはビフェニルテトラカルボン酸
二無水物の略である。 (1)平均粒子径 フィルム中の粒子を直接測定するが、粒子とポリマーと
の界面が明確でない場合は、染色するか添加する前の粉
体またはスラリーから求める。
【0051】A.粉体またはスラリーから測定する場合 電子顕微鏡の試料台にできるだけ粒子が重ならないよう
に載せ、走査型顕微鏡で1万〜10万倍の倍率で粒子を
観察する。走査型電子顕微鏡の場合は、予め試料表面に
蒸着装置で、金属蒸着膜を形成させる。画像あるいは写
真像から少なくとも100個の粒子の長径、短径および
面積相当径を測定し、粒径比の個数平均値および面積相
当径から計算される個々の粒子の体積をもとに体積基準
の平均粒子径を計算した。
【0052】B.フィルムから測定する場合 フィルムをカッティングして約0.1μm厚みの超薄切
片を作成し、透過型電子顕微鏡で断面を1万〜10万倍
の倍率で観察する。画像あるいは写真像から少なくとも
100個の粒子の長径、短径および面積相当径を測定
し、粒径比の個数平均値および面積相当径から計算され
る個々の粒子の体積をもとに体積基準の平均粒子径を計
算した。 (2)粒子の含有量 粒子配合量から計算するか、あるいは得られたフィルム
の断面積の電子顕微鏡で観察し、画像あるいは写真像か
ら式(2)で体積%を計算する。
【0053】体積含有量=(粒子相当断面積/フィルム
断面積)1.5×100(%) (3)表面粗さ 走査型レーザー顕微鏡(型式1LM15、レーザーテッ
ク(株)社製)で測定した。He-Neレーザー(波長:63
2.8nm、CW:0.1mW)、顕微鏡倍率200倍、測
定長0.6mm、断面曲線から粗さ曲線作成のカットオ
フ値0.025mm、断面曲線からろ波うねり曲線作成
のカットオフ値0.25μm、ろ波うねり曲線からろ波
中心線うねり曲線を作成するカットオフ値0.8μm、
測定回数5回を平均した値を言う。
【0054】RaおよびRmax(Ryとも記述される)の定
義は例えば、奈良治郎著「表面粗さ評価法」(総合技術
センター、1983)に示されているものである。 (4)摩擦係数 TECHNO NEEDS Co., Ltd社製摩擦測定器(スリップテス
ター)を使用し動摩擦係数および静止摩擦係数を、AS
TM D−1894−63に順じ測定した。
【0055】フィルムより、長さ100mm、幅70m
mのサンプルを2枚切り出し、表面と裏面とが平行に重
なるように置き、荷重(6.5cm角、重さ200g)
を掛けn=5で測定し平均値を取る。 (5)レーザーエッチング性 Tokyo Instruments, Inc.社製 Nd/YAGレーザー
(NL132/SH型、波長1064nm)でフィルム
に直径2mmの貫通孔を10個以上空ける。その後、マ
コー(株)社製ウェットブラスト処理装置(XY2軸式
小型ウェットブラスト加工セル、マルチサフェースJ
r.)でデスミアを行う。
【0056】貫通孔壁を電子顕微鏡で観察し、貫通孔1
0個当たりの残留粒子に起因する凹凸の数で評価する。
凹凸があると硫酸銅などでメッキした場合、スルーホー
ル中のメッキ均一性が不良となるため、導通不良などの
問題が生じる。貫通孔10個当たりの残留粒子起因凹凸
が1個未満が実用レベルである。
【0057】 残留粒子起因凹凸が0個 ・・・○ 残留粒子起因凹凸が1個未満・・・△ 残留粒子起因凹凸が1個以上・・・× (6)積層フィルムの積層厚み 走査型プローブ顕微鏡の横振動摩擦力観察モードまたは
電子顕微鏡などによる断面観察で粒子濃度の変化状態や
ポリマーの違いによるコントラストの差から界面を認識
し積層厚みを求めることが出来る。また複数台のギアポ
ンプなどを使用し均一積層厚さが保てる場合、積層構
成、ポリマー固形分およびポリマー供給量などから推定
することもできる。 (7)フィルム気化分の評価 加熱オーブン中のDMAc濃度で簡便評価した。
【0058】気体のサンプリングが出来る熱風循環型オ
ーブン(タバイエスペック(株)社製、スーパーテンプ
オーブンSTPH-101)中にフィルム(10g相当分)また
は白金触媒(10g、エヌ・イー・ケムキャット社製、
製品名0.5%白金触媒アルミナペレット、粒径3m
m、比表面積100m2/g)をそれぞれシャーレに入れ、
400℃1時間加熱後、オーブン中の気体500ccを捕集
剤(TENAX GC)を用い濃縮サンプリングし、ガスクロ法
で定量した。ガスクロ装置は島津製作所(株)製GC1
4Aを使用した。 〔実施例1〕有機高分子粒子としてエチルビニルベンゼ
ン−ジビニルベンゼン共重合体粒子、平均粒径0.5μ
m、粒径比1.1、比重1.0(JSR社製、SX87
42)を用いた。この粒子は空気中での10%加熱減量
温度は350℃以上で、かつ空気中での30%加熱減量
温度が800℃以下であった。
【0059】SX8742を用い5重量%DMAc分散
体(A)を予め調整した。極めて分散性は良好であっ
た。
【0060】500ccのガラス製フラスコに、DMA
c150mlを入れ、34’ODAをDMAc中に供給
して溶解させ、続いて44’ODA及びPMDAを順次
供給し、室温で、約1時間攪拌する。最終的にテトラカ
ルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%
化学量論で表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸
濃度20重量%の溶液を調製した。
【0061】このポリアミド酸溶液30gと予め調整し
た5重量%DMAc分散液(A)1gとを撹拌した後、
12.7mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び
3.6mlのβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製
し、この混合溶液をガラス板上にキャストした後、15
0℃に加熱したホットプレート上で約4分間加熱して、
自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを
形成し、これをガラス板から剥離した。
【0062】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温
しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、
厚さ約25μmのポリイミドフィルムを得た。このポリ
イミドフィルムの粒子含有量は計算により、0.8重量
%、1.2体積%であった。
【0063】得られたポリイミドフィルム(A)の特性
値評価結果を表1に示した。フィルム(A)を目視観察
したところ粒子の凝集に起因する粗大突起は観察されな
かった。また顕微鏡観察では粒子は一つ一つ均一に分散
していることが観察された。
【0064】フィルム気化分の評価は加熱オーブン中の
DMAc濃度で簡便評価した。熱風循環型オーブン中に
得られたフィルム(Aを10g相当分)および白金触媒
(10g)をそれぞれシャーレに入れ、400℃1時間
加熱後、オーブン中の気体500ccを捕集剤(TENAX GC)
を用い濃縮サンプリングし、ガスクロ法で定量した。D
MAc濃度は10ppmであった。このブランクとして熱
風循環型オーブン中にフィルム(Aを10g相当分)の
みをシャーレに入れ、400℃1時間加熱後、オーブン
中の気体500ccを捕集剤(TENAX GC)を用い濃縮サンプ
リングし、ガスクロ法で定量した。DMAc濃度は40
ppmであった。 〔実施例2〕市販のポリパラフェニレンテレフタルアミ
ド(比重1.44、アラミド系繊維、商品名KevlerR)
を濃硫酸に溶解させた溶液(B)を用意した。高速で希
硫酸を撹拌しながら、(B)を添加し粉末を析出させ
た。アドバンテック東洋(株)製濾紙(定性濾紙No.2)
を用い濾液を採取し、その濾液を日本Millipore(株)
社製オムニポアメンブレン(JGWP02500)で濾取し水洗
した。平均粒径1.9μm、粒径比1.3であった。こ
の粒子を用い1重量%DMAc分散溶液(C)を予め調
整した。極めて分散性は良好であった。この市販のポリ
パラフェニレンテレフタルアミドは空気中での10%加
熱減量温度は350℃以上で、かつ空気中での30%加
熱減量温度が800℃以下であった。
【0065】500ccのガラス製フラスコに、DMA
c150mlを入れ、34’ODAをDMAc中に供給
して溶解させ、続いて44’ODA及びPMDAを順次
供給し、室温で、約1時間攪拌する。最終的にテトラカ
ルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%
化学量論で表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸
濃度20重量%の溶液を調製した。
【0066】このポリアミド酸溶液30gと予め調整し
た1重量%DMAc分散液(C)2gとを撹拌した後、
12.7mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び
3.6mlのβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製
し、この混合溶液をガラス板上にキャストした後、15
0℃に加熱したホットプレート上で約4分間加熱して、
自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを
形成し、これをガラス板から剥離した。
【0067】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温
しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、
厚さ約25μmのポリイミドフィルムを得た。このポリ
イミドフィルムの粒子含有量は計算により、0.3体積
%であった。
【0068】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に示した。フィルムを目視観察したところ粒
子の凝集に起因する粗大突起は観察されなかった。また
顕微鏡観察では粒子は一つ一つ均一に分散していること
が観察された。 〔比較例1〕実施例1に於いて、粒子を添加しない他は
実施例1と同様に実施しポリイミドフィルムを得た。
【0069】得られたポリイミドフィルム(B)の特性
値評価結果を表2に示した。
【0070】フィルム気化分の評価は加熱オーブン中の
DMAc濃度で簡便評価した。熱風循環型オーブン中に
得られたフィルム(Bを10g相当分)および白金触媒
(10g)をそれぞれシャーレに入れ、400℃1時間
加熱後、オーブン中の気体500ccを捕集剤(TENAX GC)
を用い濃縮サンプリングし、ガスクロ法で定量した。D
MAc濃度は5ppmであった。このブランクとして熱風
循環型オーブン中にフィルム(Bを10g相当分)のみ
をシャーレに入れ、400℃1時間加熱後、オーブン中
の気体500ccを捕集剤(TENAX GC)を用い濃縮サンプリ
ングし、ガスクロ法で定量した。DMAc濃度は25pp
mであった。 〔実施例3〕 (1)ポリアミック酸(E)溶液の調整 有機高分子粒子としてエチルビニルベンゼン−ジビニル
ベンゼン共重合体粒子、平均粒径0.9μm、粒径比
1.1、比重1.0(JSR社製、SX8704)を用
いた。この粒子は空気中での10%加熱減量温度は35
0℃以上で、かつ空気中での30%加熱減量温度が80
0℃以下であった。
【0071】SX8704を用いた5重量%DMAc分
散体(D)を予め調整した。極めて分散性は良好であっ
た。
【0072】500ccのガラス製フラスコに、SX8
704DMAc分散体(D)239mlを入れ窒素雰囲
気下、PPD2.77g(25mmol)室温で撹拌し
た。引き続きPMDA5.46g(25mmol)を数
回に分けて投入し、更に1時間撹拌する。その後、4
4’−ODA23.34g(116mmol)、引き続
きBPDA14.64g(49mmol)を数回に分け
て投入し、更に1時間撹拌する。その後PMDA13.
77g(63mmol)を数回に分けて投入し、更に1
2時間撹拌する。PMDAの6重量%DMAC溶液1
5.50gを滴下し粘度3500ポイズのポリアミック
酸(E)溶液を得た。
【0073】得られたポリアミック酸の一部をポリエス
テルフィルム上に取り、スピンコーターを用いて均一な
ポリアミック酸(E)フィルムを形成する。 (2)ポリアミック酸(F)溶液の調整 粒子を添加しない他はポリアミック酸(E)溶液と同様
の方法でポリアミック酸(F)溶液を調整した。
【0074】得られたポリアミック酸の一部をポリエス
テルフィルム上に取り、スピンコーターを用いて均一な
ポリアミック酸(F)フィルムを形成する。
【0075】2枚のポリアミック酸フィルム同士が重な
るように積層させ真空オーブン中で減圧脱泡し10分放
置した後、βーピコリン/無水酢酸混合溶液(50/5
0)に5分浸漬しイミド化させた。得られた積層ポリイ
ミドゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定
枠に固定し、250℃から330℃に昇温しながら30
分間、その後400℃で約5分間加熱し、厚さ約50μ
mの二層積層ポリイミドフィルムを得た。このポリイミ
ドフィルムの粒子含有層側の粒子含有量は計算により、
0.8重量%、1.2体積%であった。
【0076】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表3に示した。フィルムを目視観察したところ粒
子の凝集に起因する粗大突起は観察されなかった。また
顕微鏡観察では粒子は一つ一つ均一に分散していること
が観察された。 〔比較例2〕実施例2で調整した粒子の代わりにアルミ
ナ粒子(住友化学(株)社製、AM−27、平均粒子径
1.0μm、比重3.9)を用いた。この粒子の空気中
での10%加熱減量温度はおよび30%加熱減量温度は
共に800℃以下であった。DMAc中での分散性は極
めて悪かったので、ポリアミド酸溶液には粉体で添加し
た。
【0077】即ち、実施例2で調整した粒子無添加のポ
リアミド酸濃度20重量%の溶液を調製した。このポリ
アミド酸溶液30gの中にアルミナ粒子 0.05g添
加し十分撹拌した後、12.7mlのDMAc、3.6
mlの無水酢酸及び3.6mlのβ−ピコリンと混合し
た混合溶液を調製し、この混合溶液をガラス板上にキャ
ストした後、150℃に加熱したホットプレート上で約
4分間加熱して、自己支持性のポリアミド酸−ポリイミ
ドゲルフィルムを形成し、これをガラス板から剥離し
た。
【0078】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温
しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、
厚さ約25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0079】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表2に示した。フィルムを目視観察したところ粒
子の凝集に起因する直径1mm程度の粗大突起が観察さ
れた。また顕微鏡で粗大突起付近を観察すると、アルミ
ナ粒子が凝集していることが観察された。
【0080】表1,2に記載された結果から明らかなよ
うに、本発明で示される有機高分子粒子を添加したポリ
イミドフィルムは走行性およびレーザーエッチング性に
優れ、CSP、COF、BGAなどの可とう性の高密度
印刷回路基板に好適な性質を有するものである。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリイミ
ドフィルムは無機粒子または無機系粒子を添加するポリ
イミドフィルムに比しても、CSP、COF、BGAな
どの可とう性の高密度印刷回路基板に適応した場合に、
走行性およびレーザーエッチング性に優れた性質を有す
るものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族二無水物とジアミンとの反応から誘
    導された芳香族ポリイミドフィルムからなり、平均粒子
    径が0.1μm以上2μm未満であり、粒径比(長径/
    短径)が1.0〜2.0であるポリイミド以外の有機高
    分子粒子を0.01〜2体積%含有した芳香族ポリイミ
    ドフィルム。
  2. 【請求項2】有機高分子粒子の平均粒子径が0.1μm
    以上1.0μm未満、粒径比(長径/短径)が1.0〜
    1.5、含有量が0.01〜1体積%である請求項1記
    載の芳香族ポリイミドフィルム。
  3. 【請求項3】有機高分子粒子がビニル系高分子粒子であ
    る請求項1または2に記載の芳香族ポリイミドフィル
    ム。
  4. 【請求項4】フィルムを加熱オーブン中で乾燥するフィ
    ルム製造工程において、該加熱オーブンが金属触媒が組
    み込まれたことを特徴とする請求項1に記載された芳香
    族ポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4記載のポリイミドフィルムが
    少なくとも一層配置されて成る積層ポリイミドフィルム
  6. 【請求項6】請求項1〜5に記載の芳香族ポリイミドフ
    ィルムからなるフレキシブルプリント配線板用ベースフ
    ィルム。
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