JP5347842B2 - 微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物及びそれを用いたポリイミド膜 - Google Patents

微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物及びそれを用いたポリイミド膜 Download PDF

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Description

本発明は、微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法、微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物、及び微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物から製造されるポリイミド膜に関する。この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は、微細な炭素繊維の分散安定性が極めて良好であり、この組成物を用いれば、優れた電気的特性及び機械的特性を有するポリイミド膜を、安定的かつ容易に得ることができる。また、このようにして得られるポリイミド膜は、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタやファクシミリ等の電子写真画像形成装置の定着ベルト、中間転写ベルト、リチウムイオン二次電池の結着剤、被覆剤、及び集電体等に使用することができる。
一般的に、ポリイミド膜は、優れた耐熱性や機械的特性を有している。フィルム形状に加工されたポリイミド膜は、フレキシブル絶縁基板や耐熱性テープ基材として、また管状形状に加工されたポリイミド膜は、加熱物品の搬送用ベルト、電子写真方式の定着ベルト、あるいは中間転写ベルトなどとして好適に用いられている。また、高い電解液耐性よりリチウムイオン二次電池の結着剤、被覆剤、及び集電体等にも好適に用いられている。
これらのいずれの用途においても、ポリイミド膜に導電性あるいは熱伝導性を付与するために、微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ等をポリイミド前駆体溶液組成物に添加している。
特許文献1には、カーボンナノチューブ、アミド系極性有機溶媒並びに非イオン性界面活性剤及び/又はポリビニルピロリドンからなるカーボンナノチューブ分散溶液を、溶剤に可溶なポリイミドの有機溶媒混合溶液に混合することにより得られるカーボンナノチューブ分散ポリイミドが記載されている。しかし、非イオン性界面活性剤を使用すると発泡しやすくなるという問題点があり、また、ポリアミック酸から得られるポリイミドでは熱処理温度が高くなるため、ポリビニルピロリドンを使用すると分解が生じるという問題点がある。その結果、最終的に得られるポリイミド膜の物理的特性も劣ってしまう。
さらに、特許文献1のポリイミドは有機溶媒に可溶である組成に限定されており、リチウムイオン二次電池の結着剤、被覆剤、及び集電体等として用いる場合に電解液耐久性が劣るという問題点がある。その結果、充放電サイクルに伴う容量保持率が劣ってしまう。
特許文献2には、両イオン性界面活性剤を分散剤として用いた、カーボンブラックを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の分散液が記載されている。この分散液を安定させようとする場合、両イオン性界面活性剤の使用量が多くなり、分散液中に気泡が多く存在することとなる。その結果、この分散液を用いて得られるポリイミド膜は、成形時に発泡が生じ、物理的特性が劣るという問題点がある。
特許文献3には、アミノ化合物を分散剤として用いた、カーボンブラックを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の分散液が記載されている。しかし、この分散液はカーボンブラックが沈降、凝集しやすく不安定であり、この分散液を用いて得られるポリイミド膜は、機械特性、熱伝導率及び抵抗率などの安定性が悪いため、複写機などに用いられるベルトとして問題があり、また、リチウムイオン二次電池の結着剤、被覆剤、及び集電体等として耐久性が劣るという問題点がある。
特開2007−23149号公報 特開2007−146042号公報 特開2007−302769号公報
以上のように、例えば、カーボンブラックのように凝集性及び沈降性が高く、導電性及び熱伝導性を有するフィラーを、ポリイミド前駆体溶液組成物に分散させようとすると、凝集物が多く残存したり、あるいは沈降したりすることなどにより、フィラーの分散安定性が良好なポリイミド前駆体溶液組成物を得るのが困難であった。
本発明の目的は、微細な炭素繊維の分散安定性が極めて良好な微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法、微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物、及び微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物から製造されるポリイミド膜を提供することである。
本発明は、以下の事項に関する。
1.気相成長法により製造される微細な炭素繊維であって、
炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位を形成し、前記胴部の母線と繊維軸とのなす角θが15°より小さく、
前記釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して2〜30個積み重なって集合体を形成し、
前記集合体が、Head−to−Tail様式で間隔をもって連結して繊維を形成していることを特徴とする微細な炭素繊維を、
ポリイミド前駆体溶液を用いて溶媒に分散させたことを特徴とする、前記微細な炭素繊維を含有する分散溶液。
2.微細な炭素繊維の濃度が、微細な炭素繊維を含有する分散溶液全体の質量に対して1〜7質量%であることを特徴とする項1記載の微細な炭素繊維を含有する分散溶液。
3.微細な炭素繊維を含有する分散溶液中のポリイミド前駆体溶液の濃度が、微細な炭素繊維濃度に対して50〜300質量%であることを特徴とする項1または2記載の微細な炭素繊維を含有する分散溶液。
4.項1〜3記載の微細な炭素繊維を含有する分散溶液に、テトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体と、ジアミン化合物とを溶解し、重合させて得られる微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物。
5.項4記載の微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られるポリイミド膜。
6.気相成長法により製造される微細な炭素繊維であって、
炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位を形成し、前記胴部の母線と繊維軸とのなす角θが15°より小さく、
前記釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して2〜30個積み重なって集合体を形成し、
前記集合体が、Head−to−Tail様式で間隔をもって連結して繊維を形成していることを特徴とする微細な炭素繊維
を含有する分散溶液にテトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体と、ジアミン化合物とを溶解し、重合して得られる前記微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を用いるポリイミド膜の製造方法において、ポリイミド前駆体溶液を用いて前記微細な炭素繊維を溶媒に分散して前記微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得ることを特徴とするポリイミド膜の製造方法。
本発明の微細な炭素繊維を含有する分散溶液は、溶媒と微細な炭素繊維との親和性を高めるため、ポリイミド前駆体溶液を含有する。この分散溶液は、微細な炭素繊維にポリイミド前駆体溶液がコーティングされる。このため、微細な炭素繊維の分散性が極めて高く、さらに、分散安定性にも優れるため、長期保管しても微細な炭素繊維の凝集及び沈降を生じにくい。このように、ポリイミド前駆体溶液中に微細な炭素繊維が均一に分散されているため、この分散溶液に、さらに、テトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体と、ジアミン化合物とを加えて得られる微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を用いて製造したポリイミド膜は、安定した電気特性及び熱伝導性を発現することができる。
本発明の微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を用いて製造したポリイミド膜は、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタやファクシミリ等の電子写真画像形成装置の定着ベルト、中間転写ベルト、及びリチウムイオン二次電池の結着剤、被覆剤、集電体等に使用することができる。
(a)微細な炭素繊維を構成する最小構造単位(釣鐘状構造単位)を模式的に示す図である。(b)釣鐘状構造単位が、2〜30個積み重なった集合体を模式的に示す図である。 (a)集合体が間隔を隔てて連結し、繊維を構成する様子を模式的に示す図である。(b)集合体が間隔を隔てて連結する際に、屈曲して連結した様子を模式的に示す図である。 微細な炭素繊維のTEM写真像の一例である。
本発明は、以下の4つの工程からなる。
(第1工程) 溶媒に、テトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体と、ジアミン化合物とを加え、ポリイミド前駆体溶液を得る工程。
(第2工程) 溶媒に、微細な炭素繊維と、第1工程で得られるポリイミド前駆体溶液とを加え、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得る工程。
(第3工程) 溶媒に、第2工程で得られる微細な炭素繊維を含有する分散溶液を加え、さらに、テトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体と、ジアミン化合物とを加え、微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得る工程。
(第4工程) 第3工程で得られる微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を加熱することにより溶媒を除去し、ポリイミド膜を得る工程。
本発明の第1工程では、テトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体と、ジアミン化合物を溶媒の存在下で反応させ、ポリイミド前駆体溶液が得られる。なお、このポリイミド前駆体溶液は、使用する溶媒を含有する概念である場合もある。
ポリイミド前駆体溶液の調整は、ポリイミド前駆体溶液を重合する公知の方法や条件を好適に採用することができる。
ポリイミド前駆体溶液の調製に用いられる溶媒は、ポリイミド前駆体溶液を溶解し得るものであって、常圧での沸点が300℃以下の有機極性溶媒が好ましい。例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタムなどの窒素原子を分子内に含有する溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ヘキサメチルスルホルアミドなどの硫黄原子を分子内に含有する溶媒、例えば、クレゾール、フェノール、キシレノールなどフェノール類からなる溶媒、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)などの酸素原子を分子内に含有する溶媒、その他として、アセトン、ジメチルイミダゾリン、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、テトラメチル尿素などを挙げることができる。これらの溶媒は、単独で又は複数を混合して好適に使用される。
本発明に用いられる微細な炭素繊維は、図1(a)に示すような釣鐘状構造を最小構造単位として有する。釣鐘(temple bell)は、日本の寺院で見られ、比較的円筒形に近い胴部を有しており、円錐形に近いクリスマスベルとは形状が異なる。図1(a)に示すように、構造単位11は、釣鐘のように、頭頂部12と、開放端を備える胴部13とを有し、概ね中心軸の周囲に回転させた回転体形状となっている。構造単位11は、炭素原子のみからなるグラファイト網面により形成され、胴部開放端の円周状部分はグラファイト網面の開放端となる。なお、図1(a)において、中心軸および胴部13は、便宜上直線で示されているが、必ずしも直線ではなく、後述する図3のように曲線の場合もある。
胴部13は、開放端側に緩やかに広がっており、その結果、胴部13の母線は釣鐘状構造単位の中心軸に対してわずかに傾斜し、両者のなす角θは、15°より小さく、より好ましくは1°<θ<15°、更に好ましくは2°<θ<10°である。θが大きくなりすぎると、該構造単位から構成される微細繊維が魚骨状炭素繊維様の構造を呈してしまい、繊維軸方向の導電性が損なわれてしまう。一方θが小さいと、円筒チューブ状に近い構造となり、構造単位の胴部を構成するグラファイト網面の開放端が繊維外周面に露出する頻度が低くなるため、隣接繊維間の導電性が悪化する。
本発明に用いられる微細な炭素繊維には、欠陥、不規則な乱れが存在するが、このような不規則性を排除して、全体としての形状を捉えると、胴部13が開放端側に緩やかに広がった釣鐘状構造を有していると言える。この微細な炭素繊維は、すべての部分においてθが上記範囲を示すことを意味しているのではなく、欠陥部分や不規則な部分を排除しつつ、構造単位11を全体的に捉えたときに、総合的にθが上記範囲を満たしていることを意味している。そこで、θの測定では、胴部の太さが不規則に変化していることもある頭頂部12付近を除くことが好ましい。より具体的には、例えば、図1(b)に示すように釣鐘状構造単位集合体21の長さをLとすると、頭頂側から(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点においてθを測定してその平均を求め、その値を、構造単位11についての全体的なθとしてもよい。また、Lについては、直線で測定することが理想であるが、実際は胴部13が曲線であることも多いため、胴部13の曲線に沿って測定した方が実際の値に近い場合もある。
頭頂部の形状は、胴部と滑らかに連続し、上側(図において)に凸の曲面となっている。頭頂部の長さは、典型的には、釣鐘状構造単位集合体について説明するD(図1(b))以下程度であり、d(図1(b))以下程度であるときもある。
さらに、後述するように活性な窒素を原料として使用しないため、窒素等の他の原子は、釣鐘状構造単位のグラファイト網面中に含まれない。このため繊維の結晶性が良好である。
本発明に用いられる微細な炭素繊維は、図1(b)に示すように、このような釣鐘状構造単位が中心軸を共有して2〜30個積み重なって釣鐘状構造単位集合体21(以下、単に集合体という場合がある。)を形成している。積層数は、好ましくは2〜25個であり、より好ましくは2〜15個である。
集合体21の胴部の外径Dは、5〜40nm、好ましくは5〜30nm、更に好ましくは5〜20nmである。Dが大きくなると形成される微細繊維の径が太くなるため、例えばポリマーとのコンポジットにおいて導電性能等の機能を付与するためには、多くの添加量が必要となってしまう。一方、Dが小さくなると形成される微細繊維の径が細くなって繊維同士の凝集が強くなり、例えばポリマーとのコンポジット調製において、分散させることが困難になる。胴部外径Dの測定は、集合体の頭頂側から、(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点で測定して平均することが好ましい。なお、図1(b)に胴部外径Dを便宜上示しているが、実際のDの値は、上記3点の平均値が好ましい。
また、集合体胴部の内径dは、3〜30nm、好ましくは3〜20nm、更に好ましくは3〜10nmである。胴部内径dの測定についても、釣鐘状構造単位集合体の頭頂側から、(1/4)L、(1/2)Lおよび(3/4)Lの3点で測定して平均することが好ましい。なお、図1(b)に胴部内径dを便宜上示しているが、実際のdの値は、上記3点の平均値が好ましい。
集合体21の長さLと胴部外径Dから算出されるアスペクト比(L/D)は、2〜150、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜10である。アスペクト比が大きいと、形成される繊維の構造が円筒チューブ状に近づき、1本の繊維における繊維軸方向の導電性は向上するが、構造単位胴部を構成するグラファイト網面の開放端が繊維外周面に露出する頻度が低くなるため、隣接繊維間の導電性が悪化する。一方、アスペクト比が小さいと構造単位胴部を構成するグラファイト網面の開放端が繊維外周面に露出する頻度が高くなるため、隣接繊維間の導電性は向上するが、繊維外周面が、繊維軸方向に短いグラファイト網面が多数連結して構成されるため、1本の繊維における繊維軸方向の導電性が損なわれる。
本発明に用いられる微細な炭素繊維における、釣鐘状構造単位および釣鐘状構造単位集合体については、本質的に同じ構成を有しているが、以下ように繊維長が異なる。
本発明に用いられる微細な炭素繊維は、図2(a)に示すように、前記集合体がさらにHead−to−Tailの様式で連結することにより形成される。Head−to−Tailの様式とは、微細な炭素繊維の構成において、隣り合った前記集合体どうしの接合部位が、一方の集合体の頭頂部(Head)と他方の集合体の下端部(Tail)の組合せで形成されていることを意味する。具体的な接合部分の形態は、第一の集合体21aの下端開口部において、最内層の釣鐘状構造単位の更に内側に、第二の集合体21bの最外層の釣鐘状構造単位の頭頂部が挿入され、さらに、第二の集合体21bの下端開口部に、第三の集合体21cの頭頂部が挿入され、これがさらに連続することによって繊維が構成される。
本発明に用いられる微細な炭素繊維の1本の微細繊維を形成する各々の接合部分は、構造的な規則性を有しておらず、例えば第一の集合体と第二の集合体の接合部分の繊維軸方向の長さは、第二の集合体と第三の集合体の接合部分の長さと必ずしも同じではない。また、図2(a)のように、接合される二つの集合体が中心軸を共有して直線状に連結することもあるが、図2(b)の釣鐘状構造単位集合体21bと21cのように、中心軸が共有されずに接合して、結果として接合部分において屈曲構造を生じることもある。前記釣鐘状構造単位集合体の長さLは繊維ごとにおおむね一定である。しかしながら、気相成長法では、原料及び副生のガス成分と触媒及び生成物の固体成分が混在するため、発熱的な炭素析出反応の実施においては、前記の気体及び固体からなる不均一な反応混合物の流動状態によって一時的に温度の高い局所が形成されるなど、反応器内に温度分布が生じ、その結果、長さLにある程度のばらつきが生じることもある。
このようにして構成される微細な炭素繊維は、前記釣鐘状構造単位下端のグラファイト網面の開放端の少なくとも一部が、前記集合体の連結間隔に応じて、繊維外周面に露出する。この結果、1本の繊維における繊維軸方向の導電性を損なうことなく、前記π電子の飛び出しによるジャンピング効果(トンネル効果)によって隣接する繊維間の導電性を向上させることができる。以上のような微細な炭素繊維の構造は、TEM画像によって観察できる。また、本発明の微細な炭素繊維の効果は、集合体自体の曲がり、集合体の連結部分における屈曲が存在しても、ほとんど影響がないと考えられる。従って、TEM画像の中で、比較的直線に近い形状を有する集合体を観察して、構造に関する各パラメータを求め、その繊維についての構造パラメータ(θ、D、d、L)としてよい。
本発明に用いられる微細な炭素繊維の学振法によるXRDにおいて、測定される002面のピーク半価幅W(単位:degree)は、2〜4の範囲である。Wが4を超えると、グラファイト結晶性が低く導電性も低い。一方、Wが2未満ではグラファイト結晶性は良いが、同時に繊維径が太くなり、ポリマーに導電性等の機能を付与するためには多くの添加量が必要となってしまう。
本発明に用いられる微細な炭素繊維の学振法によるXRD測定によって求められるグラファイト面間隔d002は、0.350nm以下、好ましくは0.341〜0.348nmである。d002が0.350nmを超えるとグラファイト結晶性が低くなり、導電性が低下する。一方、0.341nm未満の繊維は、製造の際に収率が低い。
本発明に用いられる微細な炭素繊維に含有される灰分は、4質量%以下であり、通常の用途では、精製を必要としない。通常、0.3質量%以上4質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。尚、灰分は、繊維を0.1グラム以上燃焼して残った酸化物の重量から決定される。
次に、本発明に用いられる微細な炭素繊維の製造方法について説明する。
コバルトのスピネル型結晶構造を有する酸化物に、マグネシウムが固溶置換した触媒を用いて、CO及びHを含む混合ガスを触媒粒子に供給して気相成長法により、微細な炭素繊維を製造する。
Mgが置換固溶したコバルトのスピネル型結晶構造は、MgCo3−xで表される。ここで、xは、MgによるCoの置換を示す数であり、形式的には0<x<3である。また、yはこの式全体が電荷的に中性になるように選ばれる数で、形式的には4以下の数を表す。即ち、コバルトのスピネル型酸化物Coでは、2価と3価のCoイオンが存在しており、ここで、2価および3価のコバルトイオンをそれぞれCoIIおよびCoIIIで表すと、スピネル型結晶構造を有するコバルト酸化物はCoIICoIII で表される。Mgは、CoIIとCoIIIのサイトの両方を置換して固溶する。MgがCoIIIを置換固溶すると、電荷的中性を保つためにyの値は4より小さくなる。但し、x、y共に、スピネル型結晶構造を維持できる範囲の値をとる。
触媒として使用できる好ましい範囲として、Mgの固溶範囲は、xの値が0.5〜1.5であり、より好ましくは0.7〜1.5である。xの値が0.5未満の固溶量では、触媒の活性は低く、生成する微細な炭素繊維の量は少ない。xの値が1.5を超える範囲では、スピネル型結晶構造を調製することが困難である。
触媒のスピネル型酸化物結晶構造は、XRD測定により確認することが可能であり、結晶格子定数a(立方晶系)は、0.811〜0.818nmの範囲であり、より好ましくは0.812〜0.818nmである。aが小さいとMgの固溶置換が充分でなく、触媒活性が低い。また、0.818nmを超える格子定数を有する前記スピネル型酸化物結晶は調製困難である。
このような触媒が好適である理由として、コバルトのスピネル構造酸化物にマグネシウムが置換固溶した結果、あたかもマグネシウムのマトリックス中にコバルトが分散配置された結晶構造が形成されることにより、反応条件下においてコバルトの凝集が抑制されていると推定される。
また、触媒の粒子サイズは、適宜選ぶことができるが、例えばメジアン径として、0.1〜100μm、好ましくは、0.1〜10μmである。
触媒粒子は、一般に基板または触媒床等の適当な支持体に、散布するなどの方法により載せて使用する。基板または触媒床への触媒粒子の散布は、触媒粒子を直接散布して良いが、エタノール等の溶媒に懸濁させて散布し、乾燥させることにより所望の量を散布しても良い。
触媒粒子は、原料ガスと反応させる前に、活性化させることも好ましい。活性化は通常、HまたはCOを含むガス雰囲気下で加熱することにより行われる。これらの活性化操作は、必要に応じて、HeやNなどの不活性ガスで希釈することにより実施することができる。活性化を実施する温度は、好ましくは400〜600℃、より好ましくは450〜550℃である。
気相成長法の反応装置に特に制限はなく、固定床反応装置や流動床反応装置といった反応装置により実施することができる。
気相成長の炭素源となる原料ガスは、CO及びHを含む混合ガスが利用される。
ガスの添加濃度{H/(H+CO)}は、好ましくは0.1〜30vol%、より好ましくは2〜20vol%である。添加濃度が低すぎると円筒状のグラファイト質網面が繊維軸に平行したカーボンナノチューブ様の構造を形成してしまう。一方、30vol%を超えると釣鐘状構造体の炭素側周面の繊維軸に対する傾斜角が大きくなり、魚骨形状を呈するため繊維方向の導電性の低下を招く。
また、原料ガスは不活性ガスを含有していてもよい。不活性ガスとしては、CO、N、He、Ar等が挙げられる。不活性ガスの含有量は、反応速度を著しく低下させない程度が好ましく、例えば80vol%以下、好ましくは50vol%以下の量である。また、HおよびCOを含有する合成ガスまたは転炉排出ガス等の廃棄ガスを、必要により適宜処理して使用することもできる。
気相成長を実施する反応温度は、好ましくは400〜650℃、より好ましくは500〜600℃である。反応温度が低すぎると繊維の成長が進行しない。一方、反応温度が高すぎると収量が低下してしまう。反応時間は、特に限定されないが、例えば2時間以上であり、また12時間程度以下である。
気相成長を実施する反応圧力は、反応装置や操作の簡便化の観点から常圧で行うことが好ましいが、Boudouard平衡の炭素析出が進行する範囲であれば、加圧または減圧の条件で実施しても差し支えない。
本発明に用いられる微細な炭素繊維の製造方法によれば、触媒単位重量あたりの微細な炭素繊維の生成量は、従来の製造方法、例えば非特許文献(Carbon 2003(41)2949−2959(Gadelle P.ら))記載の方法に比べて格段に大きいことが示された。この微細な炭素繊維の製造方法による微細な炭素繊維の生成量は、触媒単位重量あたり40倍以上であり、例えば40〜200倍である。その結果、前述のような不純物、灰分の少ない微細な炭素繊維の製造が可能である。
本発明に用いられる微細な炭素繊維の製造方法により製造される微細な炭素繊維に特有な接合部の形成過程は明らかではないが、発熱的なBoudouard平衡と原料ガスの流通による除熱とのバランスから、前記触媒から形成されたコバルト微粒子近傍の温度が上下に振幅するため、炭素析出が断続的に進行することにより形成されるものと考えられる。即ち、[1]釣鐘状構造体頭頂部形成、[2]釣鐘状構造体の胴部成長、[3]前記[1]、[2]過程の発熱による温度上昇のため成長停止、[4]流通ガスによる冷却、の4過程が触媒微粒子上で繰り返されることにより、微細な炭素繊維構造特有の接合部が形成されると推定される。
本発明において、微細な炭素繊維を溶媒、あるいはポリイミド前駆体溶液に分散させる方法としては、公知の方法が適用でき、3本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、超音波分散などを好適に挙げることができる。
微細な炭素繊維を含有する分散溶液全量に対する微細な炭素繊維濃度は、1〜7質量%程度が好適である。1質量%よりも添加量が少ないと微細な炭素繊維の沈降あるいは凝集が発生しやすくなり、また、7質量%を超えると微細な炭素繊維分散液の粘度が著しく上昇し、分散が困難となる。
微細な炭素繊維を含有する分散溶液中のポリイミド前駆体溶液の濃度は、微細な炭素繊維濃度に対して50〜300質量%が好適である。50質量%よりも添加量が少ないと微細な炭素繊維の沈降、あるいは凝集が発生しやすくなり、また、300質量%を超えると微細な炭素繊維を含有する分散溶液の粘度が著しく上昇し、分散が困難となる。
微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物から得られるポリイミド膜中の微細な炭素繊維濃度は、限定するものではないが、ポリイミドの質量に対して3〜30質量%程度が好適である。3質量%よりも少ないと微細な炭素繊維の添加効果がなく、また、30質量%を超えるとポリイミドの機械特性などが著しく低下することになる。
本発明の微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物から製造されるポリイミド膜は、前記微細な炭素繊維を含有する分散溶液を用いて次のように作製することができる。まず、前記微細な炭素繊維を含有する分散溶液にテトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体とジアミン化合物を溶解し、重合させて本発明のフィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物を作製する。
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコール ビスアンヒドロトリメリテート、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、ジアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ジアミノトルエン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,4−ビス(β−アミノ−第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−6−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、へキサメチレンジアミン、へプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。
第3工程における重合反応の際のモノマー濃度、すなわち、溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体、及びジアミン化合物の合計の濃度は、種々の条件に応じて設定されるが、通常、5〜30質量%程度が好ましい。この濃度が5質量%よりも低いとテトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体、及びジアミン化合物の反応性が悪く、反応が進行するまでに時間がかかりすぎる、あるいは製膜時に除去する溶媒量が増えるなど経済的でなくなり、30質量%を超えると重合時の粘度が高くなりすぎる、あるいは析出などの問題が生じてくる。また反応温度は80℃以下、特に5〜50℃に設定することが好ましい。反応温度が5℃よりも低いと反応が進行しない、あるいは反応が進行するまでに時間がかかりすぎ、80℃を超えるとイミド化が進行してしまうなどの問題が生じてくる。
本発明において、以下記載する基材とは、表面にポリイミド前駆体溶液組成物(微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を含む)を塗布して膜状物(塗膜)が形成できるものをいう。この基材は、液体や気体を実質的に透過させない程度の緻密構造を有していれば、形状や材質で特に限定されるものではない。通常のフィルムを製造する際に用いられるそれ自体公知のベルト、金型、ロールなどのフィルム形成用基材、その表面にポリイミド膜を絶縁保護膜として形成する回路基板などの電子部品や電線、表面に皮膜が形成される摺動部品や製品、ポリイミド膜を形成して多層化フィルムや銅張積層基板を形成する際の一方のフィルムや銅箔などを好適に挙げることができる。
基材にポリイミド前駆体溶液組成物を塗布する方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などのそれ自体公知の方法を適宜採用することができる。
この基材に塗布されて形成されたポリイミド前駆体溶液組成物からなる膜状物は、例えば、減圧下又は常圧下で室温以下など比較的低温で加熱する方法で脱泡しても構わない。
基材上に形成されたポリイミド前駆体溶液組成物からなる膜状物は、加熱処理することによって、溶媒を除去し、かつイミド化されてポリイミド膜が形成される。加熱処理は、いきなり高温で加熱処理するよりも最初に140℃以下の比較的低温で溶媒を除去し、次いで最高加熱処理温度まで温度を上げてイミド化する加熱処理が好適である。最高加熱処理温度は200〜600℃の温度範囲が採用できるが、より好ましくは250〜450℃の温度範囲で加熱処理して、膜厚が0.1〜200μm、好ましくは3〜150μm、より好ましくは5〜130μmのポリイミド膜を好適に得ることができる。加熱温度が250℃よりも低い場合イミド化が十分に進行せず、450℃を超えると熱分解などにより機械特性の低下などの問題が生じてくる。また、膜厚が200μmを超えると溶媒を十分に揮発させることができずに機械特性の低下、あるいは熱処理中に発泡を生じるなどの問題が起こる場合がある。
また、本発明のポリイミド前駆体溶液組成物(微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を含む)は、回転成形法にて管状物に成形し、この管状物を前記と同じように脱泡したり、加熱処理したりすることで、容易に無端管状ポリイミド膜を得ることができる。例えば、回転成形法は、基材の役割を有する円筒状の金型を回転させながら、金型(内側乃至外側)表面にポリイミド前駆体溶液組成物からなる塗膜を形成し、200℃以下の比較的低温で加熱処理して溶媒を揮発させて、自己支持性膜(溶媒が除去され被膜の流動が発生しない状態、つまり、完全ではないが重合及びイミド化反応が進んでいる状態)を形成する。次いで、前記自己支持性膜をそのまま、あるいは必要に応じて基材から剥がしたり、裏返したり、適度の張力を掛けたりしながら、最高熱処理温度まで直接乃至段階的に昇温する手順で加熱処理することによって、無端管状ポリイミド膜を好適に得ることができる。本発明においては、最高加熱処理温度は200〜600℃の温度範囲が採用できるが、好ましくは250〜450℃、より好ましくは300〜450℃、更に好ましくは340〜450℃の温度範囲である。200℃以下では、十分な重合イミド化反応が達成できなくなって良好な機械的強度が得られなくなることがあり、また、450℃を超えた温度まで加熱すると、脆くなって機械的な特性が低下するためである。
以下に本発明の実施例を比較例とともに説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例で用いた化合物の略号や測定方法について説明する。
<化合物の略号>
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODA:オキシジアニリン(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)
PPD:p−フェニレンジアミン
BAPP:2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン
MBAA:ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMAc:N,N−ジエチルアセトアミド
PVP:ポリビニルピロリドン
<引張り破断強度の測定方法>
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
<引張り破断伸度の測定方法>
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
<引張り弾性率の測定方法>
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
<表面及び体積抵抗率の測定方法>
ロレスタGP(三菱化学製)に接続した4探針プローブ(MCP−TP03P)を用いて、JIS K 7194に準拠して測定した。
<固形分濃度>
ポリイミド前駆体溶液組成物のポリイミド換算した固形分濃度は、ポリイミド前駆体溶液組成物を350℃で30分間乾燥し、乾燥前の質量W1と乾燥後の質量W2とから次式によって求めた値である。
固形分濃度(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
<溶液粘度>
トキメック社製E型粘度計を用いて、30℃での溶液粘度を測定した。
<溶液安定性>
微細な炭素繊維及び微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ等を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、25℃の温度に調整された雰囲気中に保管し、1ヶ月後の溶液粘度変化が±10%以内のものを○、±10%を超えたものを×とした。
<分散性評価>
微細な炭素繊維及び微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ等を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の凝集物のサイズを、グラインドメーター線条法により観測した。
<分散安定性(再凝集確認)>
微細な炭素繊維及び微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ等を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、25℃の温度に調整された雰囲気中に保管し、1ヶ月後の凝集物をグラインドメーター線条法により観測した。
<分散安定性(微細な炭素繊維及び微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ等の沈降確認)>
微細な炭素繊維及び微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ等を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、25℃の温度に調整された雰囲気中に14日間静置し、上層部及び下層部の固形分濃度を測定し、固形分濃度の差が±5%以内のものを○、±5%を超えたものを×とした。
<実施例1>
(a)微細な炭素繊維を含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.0質量%、溶液粘度50.2Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
NMP745gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維分散液)。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液166.7g及びNMP275.8gを加え、これにODA37.46g(総量0.202モル)と、s−BPDA55.04g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は、固形分濃度19.4質量%、溶液粘度52.5Pa・sで、溶液安定性は○であった。
また、初期凝集物サイズは15μm、1ヶ月後の凝集物サイズは15μmであり、再凝集は見られなかった。さらに14日間静置後の分散安定性も○であった。
(d)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理をして、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
<実施例2>
(a)微細な炭素繊維を含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.3質量%、溶液粘度50.8Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
NMP745gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維分散液)。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は、固形分濃度20.4質量%、溶液粘度49.5Pa・sで、溶液安定性は○であった。
また、初期凝集物サイズは20μm、1ヶ月後の凝集物サイズは22μmであり、再凝集は見られなかった。さらに14日間静置後の分散安定性も○であった。
(d)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
<実施例3>
(a)微細な炭素繊維を含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.2質量%、溶液粘度50.2Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
NMP745gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維分散液)。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA31.39g(総量0.202モル)と、s−BPDA46.11g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維15質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維15質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度21.2質量%、溶液粘度50.8Pa・sで、溶液安定性は○であった。
また、初期凝集物サイズは24μm、1ヶ月後の凝集物サイズは24μmであり、再凝集は見られなかった。さらに14日間静置後の分散安定性も○であった。
(d)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
<実施例4>
(a)微細な炭素繊維を含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてDMAc400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.1質量%、溶液粘度50.1Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
DMAc895gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液75gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維分散液)。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液333.3g及びDMAc83.0gを加え、これにODA39.89g(総量0.202モル)と、s−BPDA58.61g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度20.5質量%、溶液粘度49.7Pa・sで、溶液安定性は○であった。
また、初期凝集物サイズは12μm、1ヶ月後の凝集物サイズは13μmであり、再凝集は見られなかった。さらに14日間静置後の分散安定性も○であった。
(d)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
<実施例5>
(a)微細な炭素繊維を含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてDMAc400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.1質量%、溶液粘度50.2Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
DMAc575gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」50g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液375gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(5質量%微細な炭素繊維分散液)。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液200.0g及びDMAc225.0gを加え、これにODA37.46g(総量0.202モル)と、s−BPDA55.04g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度20.7質量%、溶液粘度50.4Pa・sで、溶液安定性は○であった。
また、初期凝集物サイズは27μm、1ヶ月後の凝集物サイズは29μmであり、再凝集は見られなかった。さらに14日間静置後の分散安定性も○であった。
(d)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
<実施例6>
(a)微細な炭素繊維を含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてDMAc400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度17.8質量%、溶液粘度48.7Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
DMAc745gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維分散液)。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液166.7g及びDMAc245.8gを加え、これにBAPP53.88g(0.131モル)と、s−BPDA38.62g(総量0.146モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度19.6質量%、溶液粘度124.3Pa・sで、溶液安定性は○であった。
また、初期凝集物サイズは4μm、1ヶ月後の凝集物サイズは5μmであり、再凝集は見られなかった。さらに14日間静置後の分散安定性も○であった。
(d)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
<実施例7>
(a)微細な炭素繊維を含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてDMAc400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.1質量%、溶液粘度50.3Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
DMAc745gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維分散液)。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液166.7g及びDMAc245.8gを加え、これにODA24.92g(総量0.140モル)及びMBAA15.27g(0.053モル)と、s−BPDA52.31g(総量0.193モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度19.3質量%、溶液粘度115.6Pa・sで、溶液安定性は○であった。
また、初期凝集物サイズは5μm、1ヶ月後の凝集物サイズは5μmであり、再凝集は見られなかった。さらに14日間静置後の分散安定性も○であった。
(d)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、300℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
<比較例1>
(a)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gと、微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」10gとを加え、1時間撹拌後、ODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維を10質量%含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度20.5質量%、溶液粘度51.0Pa・sで、溶液安定性は×であった。
また、初期凝集物サイズは55μm、1ヶ月後の凝集物サイズは100μm以上であり、再凝集が見られたが、14日間静置後の分散安定性は○であった。
(b)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下に熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
<比較例2>
(a)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.5質量%、溶液粘度207.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物に微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」5gを添加後、3本ロールで処理し、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度19.4質量%、溶液粘度255.0Pa・sで、溶液安定性は×であった。
また、初期凝集物サイズは85μm、1ヶ月後の凝集物サイズは100μm以上であり、再凝集が見られたが、14日間静置後の分散安定性は○であった。
(b)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
<比較例3>
(a)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
NMP400gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」10g及びODA(分子量:200.26)40.50g(0.202モル)を添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(2.2質量%微細な炭素繊維分散液)。
(b)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記で得られた微細な炭素繊維分散液450.5gにs−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度19.8質量%、溶液粘度48.9Pa・sで、溶液安定性は×であった。
また、凝集物サイズは100μm以上、1ヶ月後の凝集物サイズも100μm以上であり、14日間静置後の分散安定性も×であった。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
<比較例4>
(a)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
NMP400gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」22.76g及びラウリルジメチルアミンオキシド(花王社製、アンヒトール20N、有効成分35%)32.51gとを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(5質量%微細な炭素繊維分散液)。
(b)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液400gにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度20.4質量%、溶液粘度50.3Pa・sで、溶液安定性は×であった。
また、初期凝集物サイズは5μm、1ヶ月後の凝集物サイズは100μm以上であり、再凝集が見られ、14日間静置後の分散安定性も×であった。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
<比較例5>
(a)微細な炭素繊維を含有する分散溶液の製造方法
NMP925gに微細な炭素繊維「AMC(宇部興産社製)」30g及びPVP(日本触媒社製、K−30)45gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維分散液)。
(b)微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維分散液333.3g及びNMP91.7gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度20.3質量%、溶液粘度50.1Pa・sで、溶液安定性は○であった。
また、初期凝集物サイズは5μm、1ヶ月後の凝集物サイズは75μmであり、再凝集が見られた。しかし14日間静置後の分散安定性は×であった。
(c)微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
<比較例6>
(a)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.2質量%、溶液粘度50.1Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する分散溶液の製造方法
NMP745gに微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ「NC7000(ナノシル社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ分散液)。
(c)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度20.1質量%、溶液粘度51.5Pa・sで、溶液安定性は×であった。
また、初期凝集物サイズは80μm、1ヶ月後の凝集物サイズは100μm以上であり、再凝集が見られ、14日間静置後の分散安定性も×であった。
(d)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
<比較例7>
(a)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.4質量%、溶液粘度49.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する分散溶液の製造方法
NMP745gに微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ「BN1100(ハイペリオン社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ分散液)。
(c)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度20.5質量%、溶液粘度50.1Pa・sで、溶液安定性は×であった。
また、初期凝集物サイズは45μm、1ヶ月後の凝集物サイズは80μmであり、再凝集が見られ、14日間静置後の分散安定性も×であった。
(d)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
<比較例8>
(a)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.2質量%、溶液粘度49.8Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する分散溶液の製造方法
NMP745gに微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ「C−tube100(CNT社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ分散液)。
(c)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度20.3質量%、溶液粘度49.4Pa・sで、溶液安定性は×であった。
また、初期凝集物サイズは15μm、1ヶ月後の凝集物サイズは65μmであり、再凝集が見られ、14日間静置後の分散安定性も×であった。
(d)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
<比較例9>
(a)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する前のポリイミド前駆体溶液の調整
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.3質量%、溶液粘度50.2Pa・sのポリイミド前駆体溶液を得た。
(b)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する分散溶液の製造方法
NMP745gに微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ「VGCF−X(昭和電工社製)」30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有する分散溶液を得た(3質量%微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ分散液)。
(c)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。この微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は固形分濃度19.8質量%、溶液粘度62.5Pa・sで、溶液安定性は×であった。
また、初期凝集物サイズは5μm、1ヶ月後の凝集物サイズは50μmであり、再凝集が見られ、14日間静置後の分散安定性も×であった。
(d)微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド膜の製造方法
この微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理して、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
Figure 0005347842
Figure 0005347842
実施例1〜7の結果より、分散剤としてポリイミド前駆体溶液を用いた微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は溶液安定性が高く、さらに再凝集、沈降などが見られず良好な分散安定性を示した。また分散安定性が高い微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物から得られた微細な炭素繊維を含有するポリイミド膜は良好な機械特性、電気特性などを示した。
また、比較例1〜9においては、実施例と比べて、下記のとおり悪い結果を有している。
比較例1及び2:微細な炭素繊維を含有する分散溶液を製造しない場合、溶液安定性が悪く、初期に比べて1ヶ月後の凝集物サイズが大きくなっている。また、ポリイミド膜の機械特性が劣っている。
比較例3〜5:微細な炭素繊維を含有する分散溶液を製造する際に、ポリイミド前駆体溶液を添加しない場合、比較例5の溶液安定性を除き、溶液安定性、分散安定性が共に悪く、凝集物サイズが初期から大きいか、あるいは初期に比べて1ヶ月後の凝集物サイズが大きくなっている。また、いずれもポリイミド膜の機械特性が劣っている。
比較例6〜9:微細な炭素繊維とは異なるカーボンナノチューブを使用した場合、溶液安定性、分散安定性が共に悪く、初期に比べて1ヶ月後の凝集物サイズが大きくなっている。また、ポリイミド膜の機械特性が一部劣っている。
本発明の微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物から製造されるポリイミド膜は、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタやファクシミリ等の電子写真画像形成装置の定着ベルト、中間転写ベルト、リチウムイオン二次電池の結着剤、被覆剤、及び集電体等に使用することができる。
11 構造単位
12 頭頂部
13 胴部
21、21a、21b、21c 集合体

Claims (6)

  1. 気相成長法により製造される微細な炭素繊維であって、
    炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位を形成し、前記胴部の母線と繊維軸とのなす角θが15°より小さく、
    前記釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して2〜30個積み重なって集合体を形成し、
    前記集合体が、Head−to−Tail様式で間隔をもって連結して繊維を形成していることを特徴とする微細な炭素繊維を、
    ポリイミド前駆体溶液を用いて溶媒に分散させたことを特徴とする、前記微細な炭素繊維を含有する分散溶液。
  2. 微細な炭素繊維の濃度が、微細な炭素繊維を含有する分散溶液全体の質量に対して1〜7質量%であることを特徴とする請求項1記載の微細な炭素繊維を含有する分散溶液。
  3. 微細な炭素繊維を含有する分散溶液中のポリイミド前駆体溶液の濃度が、微細な炭素繊維濃度に対して50〜300質量%であることを特徴とする請求項1または2記載の微細な炭素繊維を含有する分散溶液。
  4. 請求項1〜3いずれか1項記載の微細な炭素繊維を含有する分散溶液に、テトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体と、ジアミン化合物とを溶解し、重合させて得られる微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物。
  5. 請求項4記載の微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を用いて得られるポリイミド膜。
  6. 気相成長法により製造される微細な炭素繊維であって、
    炭素原子のみから構成されるグラファイト網面が、閉じた頭頂部と、下部が開いた胴部とを有する釣鐘状構造単位を形成し、前記胴部の母線と繊維軸とのなす角θが15°より小さく、
    前記釣鐘状構造単位が、中心軸を共有して2〜30個積み重なって集合体を形成し、
    前記集合体が、Head−to−Tail様式で間隔をもって連結して繊維を形成していることを特徴とする微細な炭素繊維
    を含有する分散溶液にテトラカルボン酸二無水物及び/またはその誘導体と、ジアミン化合物とを溶解し、重合して得られる前記微細な炭素繊維を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を用いるポリイミド膜の製造方法において、ポリイミド前駆体溶液を用いて前記微細な炭素繊維を溶媒に分散して前記微細な炭素繊維を含有する分散溶液を得ることを特徴とするポリイミド膜の製造方法。
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