JP5157087B2 - 帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末およびそれを用いたポリイミド成形体 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、ポリイミド本来の特性を大幅に損なうことなく帯電防止機能を備えたポリイミド成形体を与える帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末、それを用いたポリイミド成形体の製法およびそのような優れた特性を有するポリイミド成形体を提供することである。
本発明は、芳香族テトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られたポリイミド粉末にDBP吸油量が300ml/100g以上の導電性カ−ボンブラックをポリイミド粉末に対して0.75〜5質量%の割合で添加してなる帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末に関する。
また、本発明は、前記に記載の帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を金型内に充填し、圧力および熱を同時あるいは別々に加えて成形することを特徴とする帯電防止ポリイミド成形体の製法に関する。
さらに、本発明は、前記に記載の製法によって得られる帯電防止ポリイミド成形体に関する。
また、本発明によれば、少量のカ−ボンブラックを添加した帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末によって、充分な帯電防止性能を有するポリイミド成形体を製造することができる。
さらに、本発明によれば、少量のカ−ボンブラックを添加した帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末によって、充分な帯電防止性能を有するポリイミド成形体を得ることができる。
1)ASTM D2414に従って測定したDBP吸油量が300ml/100g以上の導電性カ−ボンブラックの添加量が、ポリイミド粉末に対して1〜3質量%である帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末。
2)ポリイミド粉末が、芳香族テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いたものである帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末。
3)ポリイミド粉末が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる芳香族テトラカルボン酸成分およびパラフェニレンジアミンを80モル%以上含む芳香族ジアミン成分とからなり、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が全芳香族テトラカルボン酸成分中0.5モル%以上30モル%未満の範囲である上記に記載の帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末。
5)前記帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末の成形を成形温度350〜600℃および成形圧力30〜2000MPaで加熱圧縮成形、または室温〜350℃および成形圧力30〜2000MPaにて得た予備成形体を非圧縮下350〜600℃にて後焼結を行う帯電防止ポリイミド成形体の製法。
6)前記帯電防止ポリイミド成形体の製法で得られる、JIS K6911に従って測定した表面抵抗率が104〜107Ω/□である帯電防止ポリイミド成形体。
本発明におけるポリイミド粉末は、平均粒子径(一次粒子)が0.5〜100μmの粉末が好ましい。
本発明においては、導電性カ−ボンブラックとして、DBP吸油量が300ml/100g以上の導電性カ−ボンブラックを添加することが必要であり、DBP吸油量が300ml/100g未満の導電性カ−ボンブラックを添加してもポリイミド粉末成形体の表面抵抗率を104〜107Ω/□程度とするためには大量の添加が必要となり却ってポリイミド粉末成形体の物性が低下するとか均一混合が困難である。
ポリイミド粉末に所定量のケッチェンブラックを添加した後、それ自体公知の混合方法、好適にはボ−ルミルを用いて1〜50時間程度混合して、本発明の帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を得ることができる。
前記製法において、成形温度350〜600℃および成形圧力30〜2000MPaで加熱圧縮成形、または室温〜350℃および成形圧力30〜2000MPaにて得た予備成形体を非圧縮下350〜600℃にて後焼結を行うことによって、帯電防止ポリイミド成形体を得ることが好ましい。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PPD:パラフェニレンジアミン
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル
NMP2987.89gと、ジアミン成分としてPPD140.58g(1.300モル)とを、攪拌機と還流冷却管(水分離器付き)、温度計および窒素導入管を装着した5Lの4つ口セパラブルフラスコに60℃において添加し、その混合液に窒素ガス流通と攪拌しながら、テトラカルボン酸成分としてa−BPDA26.77g(0.091モル)およびs−BPDA355.71g(1.209モル)をほぼ同時に添加し、2時間攪拌して各モノマ−成分をNMPに均一に溶解した溶液を調製した。次いで、その溶液を窒素ガス流通と攪拌を継続しながら、溶媒と生成水とを還流させ、生成水を除去しながら、約60分間で190℃まで昇温した。ポリイミド粉末の析出は内温165℃付近から始まった。内温が190℃に達した後、その温度で3時間継続し反応を完結させた。その後、反応液を冷却しポリイミド粉末を濾別し、その粉末をアセトンで洗浄し、さらに真空乾燥機により150℃で10時間乾燥し、次いで300℃にて常圧乾燥30分行いポリイミド粉末を得た。
上記で得られたポリイミド粉末400gにケッチェンブラック(ライオン社製EC−600JD、DBP吸油量が495ml/100g)を8g添加しボ−ルミルで24時間混合して、帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を得た。
円形の金型に実施例1で得た帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を詰め、押し蓋をしないで300℃で6時間かけて予備加熱した後、直ちに金型に押し蓋を重ね、300℃に加熱したプレス機にセットして200MPaの圧力で押しながら450℃まで6時間かけて昇温した。その後、450℃になったら直ちに冷却を開始し12時間かけ室温まで下げ、金型から直径100mm、厚み25mmの帯電防止ポリイミド成形体を取り出した。この帯電防止ポリイミド成形体は全体が黒色で色斑は見られず分散性は良好であった。また、表面抵抗率は5×104Ω/□であった。
ケッチェンブラック(ライオン社製EC−600JD、DBP吸油量が495ml/100g)の添加量を4gとした以外は、実施例1と同様に行って、帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を得た。そして、この帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を使用した他は実施例2と同様にして、帯電防止ポリイミド成形体を得た。
得られた帯電防止ポリイミド成形体は、全体が黒色で色斑は見られず分散性は良好であった。また、表面抵抗率は3×104Ω/□であった。
テトラカルボン酸成分としてs−BPDAのみを382.49g(1.300モル)使用してポリイミド粉末を合成した以外は、実施例1と同様に行って、帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を得た。そして、この帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を使用した他は実施例2と同様にして、帯電防止ポリイミド成形体を得た。
得られた帯電防止ポリイミド成形体は、全体が黒色で色斑は見られず分散性は良好であった。また、表面抵抗率は5×104Ω/□であった。
テトラカルボン酸成分としてs−BPDAを382.49g(1.300モル)ジアミン成分としてODAを260.31g(1.300モル)使用してポリイミド粉末を合成した以外は、実施例1と同様に行なって、帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を得た。そして、この帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を使用した他は実施例2と同様にして、帯電防止ポリイミド成形体を得た。
得られた帯電防止ポリイミド成形体は、全体が黒色で色斑は見られず分散性は良好であった。また、表面抵抗率は5×104Ω/□であった。
カ−ボンブラックとして導電性カ−ボンブラック(三菱化学社、3350B、DBP吸油量が165ml/100g))を用いた他は、実施例1と同様に行なって、帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を得た。そして、この帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を使用した他は実施例2と同様にして、ポリイミド成形体を得た。
得られたポリイミド成形体は、部分的に斑点が見られ分散性は不良であった。また、表面抵抗率は4×1015Ω/□であった。
カ−ボンブラックとしてグラファイト(日本黒鉛工業社製ACP、DBP吸油量が100ml/100g)を用い、添加量を40gとした以外は、実施例1と同様に行なって、帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を得た。そして、この帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を使用した他は実施例2と同様にして、ポリイミド成形体を得た。
得られたポリイミド成形体は、部分的に斑点が見られ分散性はやや不良であった。また、表面抵抗率は4×108Ω/□であった。
また、本発明によって、少量のカ−ボンブラックを添加した帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末によって、充分な帯電防止性能を有するポリイミド成形体を製造することができる。
さらに、本発明によって、少量のカ−ボンブラックを添加した帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末によって、充分な帯電防止性能を有するポリイミド成形体を得ることができる。
Claims (6)
- 芳香族テトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られたポリイミド粉末に、ASTM D2414に従って測定したDBP吸油量が300ml/100g以上の導電性カーボンブラックをポリイミド粉末に対して0.75〜3質量%の割合で添加し、均一に混合してなる帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末。
- ポリイミド粉末が、芳香族テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いたものである請求項1に記載の帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末。
- ポリイミド粉末が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる芳香族テトラカルボン酸成分およびパラフェニレンジアミンを80モル%以上含む芳香族ジアミン成分とからなり、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が全芳香族テトラカルボン酸成分中0.5モル%以上30モル%未満の範囲である請求項1に記載の帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末。
- ポリイミド粉末が、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミンあるいは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いたものである請求項1に記載の帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末。
- 請求項1〜4のいずれかにに記載の帯電防止ポリイミド成形体用ポリイミド粉末を金型内に充填し、圧力および熱を同時あるいは別々に加えて成形することによって得られる帯電防止ポリイミド成形体。
- JIS K6911に従って測定した表面抵抗率が104〜107Ω/□である請求項5に記載の帯電防止ポリイミド成形体。
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