JP2010085450A - シームレスベルトおよびシームレスベルトの製造方法 - Google Patents
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【課題】 本発明は、特定の化学的組成を有した極めて高い強靭性を有するポリイミドからなるシームレスベルトおよびシームレスベルトの製造方法を提供することを目的とする。このシームレスベルトは、成形性や強靭性が更に改良されたものであり、より高い強靭性が要求される電子写真装置の中間転写用或いは定着用シームレスベルトとして好適に用いることができる。
【解決手段】 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類に由来する構成単位と、4,4’−オキシジフタル酸類に由来する構成単位と、パラフェニレンジアミンに由来する構成単位とからなり、4,4’−オキシジフタル酸類に由来する構成単位が全テトラカルボン酸成分(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類と4,4’−オキシジフタル酸類)の75〜5モル%であるポリイミドからなることを特徴とするシームレスベルトに関する。
【選択図】 なし
【解決手段】 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類に由来する構成単位と、4,4’−オキシジフタル酸類に由来する構成単位と、パラフェニレンジアミンに由来する構成単位とからなり、4,4’−オキシジフタル酸類に由来する構成単位が全テトラカルボン酸成分(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類と4,4’−オキシジフタル酸類)の75〜5モル%であるポリイミドからなることを特徴とするシームレスベルトに関する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、特定の化学的組成を有した極めて高い強靭性を有するポリイミドからなるシームレスベルトおよびシームレスベルトの製造方法に関する。このシームレスベルトは、より高い強靭性が要求される電子写真装置の中間転写用或いは定着用シームレスベルトとして好適に用いることができる。
芳香族ポリイミドは、耐熱性、耐薬品性、電気的特性、機械的特性などの特性が優れているので、電気・電子部品などに好適に用いられている。なかでも、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなる芳香族ポリイミドフィルムは特に線膨張係数が低く機械的強度が高いことから、寸法安定性や機械的強度が要求されるTAB用フレキシブル基板や複写機の定着ベルトなどの用途として好適に用いられている。
しかしながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなる芳香族ポリイミドフィルムは成形性や強靭性において更に改良の余地があった。
特許文献1は、電気・電子機器、電子複写機などの各種精密機器内の回転運動伝達部材であるシームレス管状体の高速回転化に対応して、従来の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなるシームレスベルトよりも長期耐久性が改良された芳香族ポリイミドを提案している。この芳香族ポリイミドは、ジアミン成分に3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを好ましくは5モル%以上、特に好ましくは20〜80モル%含有したことを特徴とするものであり、破断強度は低いものであった。
特許文献2には、絶縁材料として使用されるポリイミドとして、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)及び3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)と、4,4’−オキシジアニリン(ODA)又はp−フェニレンジアミンとから製造されるポリイミドコポリマーが開示されている。実施例6には、p−フェニレンジアミンと、s−BPDA及びODPA(s−BPDA:75%、ODPA:25%)から製造されるポリイミドが記載されているが、このポリイミドはエンドキャップ剤としてフタル酸を用いて製造されており、また、イミド化のための加熱処理における最高熱処理温度は300℃であり、十分な物性を有するものではない。
特許文献3、4には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなる芳香族ポリイミドフィルムを複写機の定着ベルトに用いる際の製造方法などが記載されている。
しかしながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなる芳香族ポリイミドフィルムは成形性や強靭性において更に改良の余地があった。
特許文献1は、電気・電子機器、電子複写機などの各種精密機器内の回転運動伝達部材であるシームレス管状体の高速回転化に対応して、従来の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなるシームレスベルトよりも長期耐久性が改良された芳香族ポリイミドを提案している。この芳香族ポリイミドは、ジアミン成分に3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを好ましくは5モル%以上、特に好ましくは20〜80モル%含有したことを特徴とするものであり、破断強度は低いものであった。
特許文献2には、絶縁材料として使用されるポリイミドとして、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)及び3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)と、4,4’−オキシジアニリン(ODA)又はp−フェニレンジアミンとから製造されるポリイミドコポリマーが開示されている。実施例6には、p−フェニレンジアミンと、s−BPDA及びODPA(s−BPDA:75%、ODPA:25%)から製造されるポリイミドが記載されているが、このポリイミドはエンドキャップ剤としてフタル酸を用いて製造されており、また、イミド化のための加熱処理における最高熱処理温度は300℃であり、十分な物性を有するものではない。
特許文献3、4には、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとからなる芳香族ポリイミドフィルムを複写機の定着ベルトに用いる際の製造方法などが記載されている。
本発明は、特定の化学的組成を有した極めて高い強靭性を有するポリイミドからなるシームレスベルトおよびシームレスベルトの製造方法に関する。このシームレスベルトは、成形性や強靭性が更に改良されたものであり、より高い強靭性が要求される電子写真装置の中間転写用或いは定着用シームレスベルトとして好適に用いることができる。
本発明は以下の事項に関する。
1. 下記化学式(1)で示される繰返し単位を有するポリイミドからなることを特徴とするシームレスベルトに関する。
1. 下記化学式(1)で示される繰返し単位を有するポリイミドからなることを特徴とするシームレスベルトに関する。
2. 引張り破断強度が400MPa以上であり且つ引張り破断伸度が35%以上であることを特徴とする項1に記載のシームレスベルトに関する。
3. 導電性フィラーを含有し、表面抵抗率が108〜1016Ω/□、体積抵抗率が108〜1016Ω・cmの半導電性を有した電子写真装置の中間転写用であることを特徴とする項1〜2のいずれかに記載のシームレスベルトに関する。
4. 電子写真装置の定着用であることを特徴とする項1〜2のいずれかに記載のシームレスベルトに関する。
5. 下記化学式(5)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸を基材表面に塗布して得られた塗膜を、270℃未満の温度で加熱処理して溶媒残存率[(残存溶媒の重量)/(ポリイミド成分の重量+残存溶媒の重量)]が8重量%以下になるように溶媒除去を行った後で、さらに270℃以上で加熱処理して脱水・イミド化することを特徴とするシームレスベルトの製造方法に関する。
6. 脱水・イミド化の最高加熱処理温度が325℃以上であることを特徴とする項5に記載のシームレスベルトの製造方法に関する。
7. 回転成形法で行うことを特徴とする項5〜6のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法に関する。
8. ポリアミック酸を基材表面に塗布して得られた塗膜を、基材表面で溶媒除去及び脱水・イミド化することを特徴とする項5〜7のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法に関する。
7. 回転成形法で行うことを特徴とする項5〜6のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法に関する。
8. ポリアミック酸を基材表面に塗布して得られた塗膜を、基材表面で溶媒除去及び脱水・イミド化することを特徴とする項5〜7のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法に関する。
9. 前記化学式(5)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸を基材表面に塗布して得られた塗膜を、270℃未満の温度で加熱処理して溶媒残存率[(残存溶媒の重量)/(ポリイミド成分の重量+残存溶媒の重量)]が8重量%以下になるように溶媒除去を行った後で、325℃以上の最高加熱温度で加熱処理によって脱水・イミド化することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法に関する。
本発明によって、特定の化学的組成を有した極めて高い強靭性を有するポリイミドからなるシームレスベルトおよびシームレスベルトの製造方法を提供することができる。このシームレスベルトは、成形性や強靭性が更に改良されたものであり、より高い強靭性が要求される電子写真装置の中間転写用或いは定着用シームレスベルトとして好適に用いることができる。
本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、前記化学式(1)で示される繰返し単位からなる。換言すれば、本発明の芳香族ポリイミドは、テトラカルボン酸成分が、全テトラカルボン酸成分100モル%中、25〜95モル%、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは40〜85モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類、及び75〜5モル%、好ましくは70〜5モル%、より好ましくは60〜15モル%の4,4’−オキシジフタル酸類からなり、ジアミン成分がパラフェニレンジアミン類からなる。
ここで、テトラカルボン酸類とは、テトラカルボン酸、その酸二無水物及びそのエステル化化合物など、ジアミン類とはジアミン及びジイソシアネートなどの、いずれもポリイミドのテトラカルボン酸成分或いはジアミン成分として用いられる誘導体を表す。また、これらの成分は、本発明の効果の範囲内で、他のテトラカルボン酸類やジアミン類を含んでもよいが、いずれの成分も概ね10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。
本発明は、シームレスベルトを構成するポリイミドをこのような特定の化学組成にすることによって、成形性や強靭性において更に改良されたシームレスベルトおよびシームレスベルトの製造方法を提供することができる。
本発明では、強靭性の一つの指標として、フィルムでの引張り破断時における単位体積あたりの破断エネルギーを用いた。すなわち、本発明の芳香族ポリイミドは、単位体積あたりの破断エネルギーが極めて大きい。言い換えれば、本発明の芳香族ポリイミドは、外部から力を受けても容易に破断しない。さらに、本発明では、強靭性の他の指標として、引張り弾性率、引張り破断強度、及び引張り破断伸度を用いた。これらのいずれの機械的特性についても、本発明の芳香族ポリイミドは特に優れたものである。このような特に優れた強靭性は、本発明の特定の化学組成によって達成されたものであり、テトラカルボン酸成分或いはジアミン成分として他のものを用いたのでは達成することはできない。
付言すれば、本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類とパラフェニレンジアミン類とからなるセグメントと、4,4’−オキシジフタル酸類とパラフェニレンジアミン類とからなるセグメントとが特定の比率で共重合した芳香族ポリイミドであるが、驚くべきことに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類とパラフェニレンジアミン類とからなるセグメントだけからなる芳香族ポリイミド、及び4,4’−オキシジフタル酸類とパラフェニレンジアミン類とからなるセグメントだけからなる芳香族ポリイミドのいずれと比較してもより高い強靭性を有している。本発明の芳香族ポリイミドは、前記2種のセグメントがブロック共重合したものでもよく、ランダム共重合したものでもよい。
本発明のポリイミドは、フィルムでの引張り破断強度が400MPa以上、好ましくは450MPa以上、より好ましくは500MPa以上であり、且つ引張り破断伸度が35%以上、好ましくは40%以上である。このような引張り破断強度と引張り破断伸度を有する芳香族ポリイミドは、前記化学式(1)のAが、25〜95モル%、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは40〜85モル%の化学式(2)と、75〜5モル%、好ましくは70〜5モル%、より好ましくは60〜15モル%の化学式(3)とからなるときに好適に得ることができる。
さらに、本発明のポリイミドは、フィルムでの引張り破断エネルギーが好ましくは145MJ/m3以上、より好ましくは150MJ/m3以上である。このような引張り破断エネルギーを有する芳香族ポリイミドは、前記化学式(1)のAが、25〜95モル%、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは30〜85モル%、特に好ましくは40〜85モル%の化学式(2)と、75〜5モル%、好ましくは70〜5モル%、より好ましくは70〜15モル%、特に好ましくは60〜15モル%の化学式(3)とからなるときに好適に得ることができる。
本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、このような極めて高い強靭性を有するので、特に複写機などの電子写真装置の中間転写、定着、或いは搬送用のシームレスベルトなどとして好適に用いることができる。
本発明のシームレスベルトは、本発明のポリイミドからなり、必要に応じて他の添加成分を含有していてもよい。また、本発明のシームレスベルトは、さらに他の樹脂層や金属層を積層したものであってもよい。
本発明のシームレスベルトの厚みは、使用する目的に応じて適宜選択すればよいが、通常20〜200μm程度である。
本発明のシームレスベルトは、本発明のポリイミドからなり、必要に応じて他の添加成分を含有していてもよい。また、本発明のシームレスベルトは、さらに他の樹脂層や金属層を積層したものであってもよい。
本発明のシームレスベルトの厚みは、使用する目的に応じて適宜選択すればよいが、通常20〜200μm程度である。
本発明のシームレスベルトは従来公知の方法、例えば回転成形法、すなわち基材の役割をする円筒形の金型を回転させながら金型(内側乃至外側)表面にポリアミック酸溶液組成物からなる塗膜を形成し、比較的低温で加熱処理して溶媒除去を行って自己支持性膜(皮膜の流動が発生しない状態、溶媒の除去と共に重合及び一部イミド化反応が進んでいる)を形成し、次いで自己支持性膜をそのまま或いは必要に応じて基材から剥がして加熱処理して脱水・イミド化する方法によって好適に得ることができる。ここで用いた「溶媒除去」或いは「脱水・イミド化」は、当該工程で、それぞれ溶媒除去のみ或いは脱水・イミド化のみが進行することを意味しない。溶媒除工程でも相当程度の脱水・イミド化は進行するし、脱水・イミド化工程でも残存溶媒の除去が進行する。
このシ−ムレスベルトを電子写真装置の中間転写用に使用するときには、導電性フィラーを含有させて、表面抵抗率が108〜1016Ω/□、体積抵抗率が108〜1016Ω・cmの半導電性を付与することが好適である。
本発明における導電性フィラーとしては、通常の中間転写シームレスベルトに用いられる導電性もしくは半導電性の微粉末が使用でき、特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。本発明では、カーボンブラックを導電性フィラーとして使用するのが好ましいが、特に、平均一次粒子径が、5〜100nmのものが好ましく、特に10〜50nmのものが好ましい。平均一次粒子径が100nmを超えるものは、機械特性や電気抵抗値の均一性が不十分になり易い傾向がある。
導電性フィラーの配合量はフィラーの種類、粒子径、分散状態によっても異なるが、ポリイミド(固形分)100重量部に対して、1〜50重量部の範囲が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。本発明では、導電性フィラーを選択することと適当な配合量の組み合わせにより、中間転写ベルトに適した表面抵抗率(108〜1016Ω/□)と体積抵抗率(108〜1016Ω・cm)の範囲に調整される。
導電性フィラーの配合量はフィラーの種類、粒子径、分散状態によっても異なるが、ポリイミド(固形分)100重量部に対して、1〜50重量部の範囲が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。本発明では、導電性フィラーを選択することと適当な配合量の組み合わせにより、中間転写ベルトに適した表面抵抗率(108〜1016Ω/□)と体積抵抗率(108〜1016Ω・cm)の範囲に調整される。
また、このシ−ムレスベルトを電子写真装置の定着用に使用するときには、熱伝導性を付与するためにシリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナなどの充填材が添加されたり、ゴム弾性を付与するために例えばフッ素樹脂粉末を添加したり、発熱体である金属箔と好適に積層したりすることが好適である。充填剤の添加量はポリイミド(固形分)100重量部に対して、1〜50重量部の範囲が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。
熱伝導率に関しては、0.15W/mK以上、好ましくは0.20W/mK以上とすることが好適である。
さらに、このシ−ムレスベルトを電子写真装置の定着用に使用するときには、表面にゴム弾性層或いは離型層を積層したシームレスベルトとして好適に用いられる。離型層(剥離層)は、シームレスベルトの表面の剥離性を向上させるものであれば特に限定するものではなく、それ自身公知の、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、もしくはその変性物であるテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体(TFE/VdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体(CTFE/VdF)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニル(PVF)などを用いて好適に構成できる。また、ゴム弾性も同様の材料で構成することが可能であり、それらの表面層に導電性フィラーを含有することも好適である。
熱伝導率に関しては、0.15W/mK以上、好ましくは0.20W/mK以上とすることが好適である。
さらに、このシ−ムレスベルトを電子写真装置の定着用に使用するときには、表面にゴム弾性層或いは離型層を積層したシームレスベルトとして好適に用いられる。離型層(剥離層)は、シームレスベルトの表面の剥離性を向上させるものであれば特に限定するものではなく、それ自身公知の、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、もしくはその変性物であるテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体(TFE/VdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体(CTFE/VdF)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニル(PVF)などを用いて好適に構成できる。また、ゴム弾性も同様の材料で構成することが可能であり、それらの表面層に導電性フィラーを含有することも好適である。
さらに、本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、フィルムでの水蒸気透過性能(40℃、90RH)が0.04g・mm/m2・24hr以下、好ましくは0.03g・mm/m2・24hr以下のガスバリア性を有する。このようなガスバリア性を有するポリイミドは、前記化学式(1)のAが、30〜85モル%、好ましくは40〜85モル%、より好ましくは40〜75モル%の化学式(2)と、70〜15モル%、好ましくは60〜15モル%、より好ましくは60〜25モル%の化学式(3)とからなるときに好適に得ることができる。
本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、水蒸気に限らず、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどの他のガスに対しても従来の樹脂材料では得られなかったような優れたガスバリア性を有している。
本発明のシームレスベルトを構成するポリイミドは、水蒸気に限らず、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどの他のガスに対しても従来の樹脂材料では得られなかったような優れたガスバリア性を有している。
付言すれば、本発明のポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類とパラフェニレンジアミン類とからなるセグメントと、4,4’−オキシジフタル酸類とパラフェニレンジアミン類とからなるセグメントとが特定の比率で共重合した芳香族ポリイミドであるが、驚くべきことに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類とパラフェニレンジアミン類とからなるセグメントだけからなる芳香族ポリイミド、及び4,4’−オキシジフタル酸類とパラフェニレンジアミン類とからなるセグメントだけからなる芳香族ポリイミドのいずれと比較してもより高いガスバリア性を有している。本発明のポリイミドは、前記2種のセグメントがブロック共重合したものでもよく、ランダム共重合したものでもよい。
本発明のシームレスベルトは、下記化学式(5)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸を基材表面に塗布して得られた塗膜を、270℃未満の温度で加熱処理して溶媒残存率[(残存溶媒の重量)/(ポリアミック酸成分の重量+残存溶媒の重量)]が8重量%以下になるように溶媒除去を行った後で、さらに270℃以上で加熱処理して脱水・イミド化することによって、好適に製造することができる。
本発明において、基材とは、表面にポリアミック酸を塗布して塗膜が形成できるものであり、液体及び気体を実質的に透過させることがない緻密構造を有したものであれば、形状や材質で特に限定されるものではない。フィルムを製造する際に用いられるそれ自体公知のベルト、金型、乃至ロールなどのフィルム形成用基材を好適に挙げることができる。
本発明において、基材とは、表面にポリアミック酸を塗布して塗膜が形成できるものであり、液体及び気体を実質的に透過させることがない緻密構造を有したものであれば、形状や材質で特に限定されるものではない。フィルムを製造する際に用いられるそれ自体公知のベルト、金型、乃至ロールなどのフィルム形成用基材を好適に挙げることができる。
基材表面に塗布する方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などのそれ自体公知の方法を適宜採用することができる。
この基材塗布されて形成された塗膜は、270℃未満の温度で加熱処理によって溶媒除去される。その際、例えば減圧下に比較的低温で加熱処理する方法で脱泡処理しても構わないが、通常は常圧下の加熱処理によって溶媒除去される。
270℃未満の温度で溶媒除去することなく、いきなり加熱処理温度を高くして、脱水・イミド化反応を行わせると、発泡などの不具合が生じて好適なシームレスベルトを得ることができない。従って、270℃未満の温度で好ましくは段階的に温度を上げて所定の程度まで溶媒を除去することが重要である。
残存溶媒量が8重量%を越えた状態で270℃以上の温度で加熱処理すると発泡などの不具合が生じるので好適ではない。
次いで、270℃以上の温度、好ましくは325℃以上の最高加熱温度で加熱処理して脱水・イミド化することによって、好適にシームレスベルトを製造することができる。この加熱処理は、0.01〜30時間好ましくは0.01〜10時間より好ましくは0.01〜6時間の加熱処理を行って実質的にアミド酸基が残らないようにイミド化することが好適である。
最高熱処理温度が325℃未満では、得られる芳香族ポリイミドの強靭性が十分に高くならないことがある。特に、最高熱処理温度を325℃以上、より好ましくは350℃以上、更に好ましくは400℃以上、特に好ましくは400℃超にすることにより、非常に高い強靭性を有するポリイミドが得られる。なお、最高加熱処理温度は通常は600℃以下、好ましくは500℃以下である。
270℃未満の温度で溶媒除去することなく、いきなり加熱処理温度を高くして、脱水・イミド化反応を行わせると、発泡などの不具合が生じて好適なシームレスベルトを得ることができない。従って、270℃未満の温度で好ましくは段階的に温度を上げて所定の程度まで溶媒を除去することが重要である。
残存溶媒量が8重量%を越えた状態で270℃以上の温度で加熱処理すると発泡などの不具合が生じるので好適ではない。
次いで、270℃以上の温度、好ましくは325℃以上の最高加熱温度で加熱処理して脱水・イミド化することによって、好適にシームレスベルトを製造することができる。この加熱処理は、0.01〜30時間好ましくは0.01〜10時間より好ましくは0.01〜6時間の加熱処理を行って実質的にアミド酸基が残らないようにイミド化することが好適である。
最高熱処理温度が325℃未満では、得られる芳香族ポリイミドの強靭性が十分に高くならないことがある。特に、最高熱処理温度を325℃以上、より好ましくは350℃以上、更に好ましくは400℃以上、特に好ましくは400℃超にすることにより、非常に高い強靭性を有するポリイミドが得られる。なお、最高加熱処理温度は通常は600℃以下、好ましくは500℃以下である。
前記ポリアミック酸は、テトラカルボン酸成分の25〜95モル%、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは30〜85モル%、特に好ましくは40〜85モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類、及び75〜5モル%、好ましくは70〜5モル%、より好ましくは70〜15モル%、特に好ましくは60〜15モル%の4,4’−オキシジフタル酸類と、ジアミン成分のパラフェニレンジアミン類とを、イミド化を抑制した条件下で反応させることによって容易に得ることができる。
テトラカルボン酸成分としてはテトラカルボン酸二無水物が、ジアミン成分としてはジアミンが、反応が容易であるので好適に採用される。すなわち、所定量の各テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、有機溶媒中で、イミド化を抑制しアミック酸構造が生成する反応条件、具体的には100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下の反応温度で反応させることによって、前記化学式(5)で示される芳香族ポリアミック酸を容易に得ることができる。イミド化が部分的に起こることもあるが、生成物が有機溶媒中に均一に溶解する範囲内でイミド化を抑制することが重要である。イミド化が進み過ぎると生成物が析出して不均一な組成物になるから、本発明の芳香族ポリイミドを得ることが難しくなる。
また、本発明においては、所定量の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類とパラフェニレンジアミン類とを有機溶媒中で反応させてポリアミック酸溶液を調製し、これとは別に、所定量の4,4’−オキシジフタル酸類とパラフェニレンジアミン類とを有機溶媒中で反応させてポリアミック酸溶液を調製した後、この2種類のポリアミック酸溶液を混合し、必要に応じてさらに反応させることによっても、前記化学式(5)で示される芳香族ポリアミック酸を得ることができる。
テトラカルボン酸成分としてはテトラカルボン酸二無水物が、ジアミン成分としてはジアミンが、反応が容易であるので好適に採用される。すなわち、所定量の各テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、有機溶媒中で、イミド化を抑制しアミック酸構造が生成する反応条件、具体的には100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下の反応温度で反応させることによって、前記化学式(5)で示される芳香族ポリアミック酸を容易に得ることができる。イミド化が部分的に起こることもあるが、生成物が有機溶媒中に均一に溶解する範囲内でイミド化を抑制することが重要である。イミド化が進み過ぎると生成物が析出して不均一な組成物になるから、本発明の芳香族ポリイミドを得ることが難しくなる。
また、本発明においては、所定量の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸類とパラフェニレンジアミン類とを有機溶媒中で反応させてポリアミック酸溶液を調製し、これとは別に、所定量の4,4’−オキシジフタル酸類とパラフェニレンジアミン類とを有機溶媒中で反応させてポリアミック酸溶液を調製した後、この2種類のポリアミック酸溶液を混合し、必要に応じてさらに反応させることによっても、前記化学式(5)で示される芳香族ポリアミック酸を得ることができる。
なお、本発明において、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とのモル比[テトラカルボン酸成分/ジアミン成分]が略等モル、具体的には0.95〜1.05、好ましくは0.97〜1.03になるようにすることが重要である。このモル比の範囲外では、得られるポリイミドの強靭性などが劣るので、本発明の芳香族ポリイミドを得ることは難しい。すなわち、本発明においては、エンドキャップ剤を用いることは、得られるポリイミドの強靭性などが劣るので好適ではない。
本発明のポリアミック酸を調製する際に用いる有機溶媒は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムなどのアミド類溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホルムアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどの硫黄原子を含有する溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノールなどのフェノール類溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライムなどのジグライム類溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類溶媒、イソホロン、シクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンなどのケトン類溶媒、ピリジン、エチレングリコール、ジオキサン、テトラメチル尿素などの其の他の溶媒、また必要に応じてベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は単独でも、いくつかの溶媒の混合物であっても構わない。
本発明において、ポリアミック酸は、このようにして得られた前記化学式(5)のポリアミック酸を有機溶媒中に溶解してなる溶液組成物として用いられる。この溶液組成物には、必要に応じて例えばシリカ、窒化ホウ素、アルミナ、カーボンブラックなどの有機又は無機の充填材、添加剤、消泡剤、顔料又は染料などが好適に配合される。
本発明のポリイミドは、有機溶媒中に前記化学式(5)で示される芳香族ポリアミック酸が均一に溶解してなる溶液組成物(本発明の溶液組成物)を基材上に塗布し、これを加熱処理して溶媒除去、重合及びイミド化することによって好適に得ることができる。
さらに、本発明のポリイミドは、有機溶媒中に前記化学式(5)で示されるポリアミック酸が均一に溶解してなる溶液組成物(本発明の溶液組成物)を基材上に塗布した後、200℃以下の温度で加熱処理して溶媒を揮発させて自己支持性膜(皮膜の流動が発生しない状態、溶媒の除去と共に重合及び一部イミド化反応が進んでいる)を形成し、次いで、前記自己支持性膜を、必要に応じて基材から剥がしたり、適度の張力を掛けたりしながら、275℃以上、より好ましくは325℃以上の温度範囲で更に加熱処理することによって好適に得ることができる。
その際の基材は、連続生産するためのベルト基材、電子部品(の表面)、シームレスベルトを形成するために通常用いられる円筒状の金型(内側乃至外側表面)などであってもよい。シームレスベルトの場合には、適度な遠心力を生じさせるために前記円筒状の金型を回転させながら成形される。
その際の基材は、連続生産するためのベルト基材、電子部品(の表面)、シームレスベルトを形成するために通常用いられる円筒状の金型(内側乃至外側表面)などであってもよい。シームレスベルトの場合には、適度な遠心力を生じさせるために前記円筒状の金型を回転させながら成形される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の例で使用した化合物の略号は以下のとおりである。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
a−BPDA:2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物、
PMDA:ピロメリット酸二無水物、
PPD:パラフェニレンジアミン、
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
a−BPDA:2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物、
PMDA:ピロメリット酸二無水物、
PPD:パラフェニレンジアミン、
ODA:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル。
(引張り破断エネルギーの測定)
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。引張り破断エネルギーは、ASTM D882のA2.1 引張り破断エネルギーの決定法に基づいて算出した。
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。引張り破断エネルギーは、ASTM D882のA2.1 引張り破断エネルギーの決定法に基づいて算出した。
(引張り破断強度の測定方法)
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
(引張り破断伸度の測定方法)
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
(引張り弾性率の測定方法)
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
(溶液組成物の対数粘度)
対数粘度(ηinh)は、ポリアミック酸溶液をポリアミック酸濃度が0.5g/100ミリリットル溶媒となるようにN−メチル−2−ピロリドンに均一に溶解した溶液を調製し、その溶液と溶媒との溶液粘度を30℃で測定して次式で算出した。
対数粘度(ηinh)は、ポリアミック酸溶液をポリアミック酸濃度が0.5g/100ミリリットル溶媒となるようにN−メチル−2−ピロリドンに均一に溶解した溶液を調製し、その溶液と溶媒との溶液粘度を30℃で測定して次式で算出した。
(固形分濃度)
ポリアミック酸溶液の固形分濃度は、ポリアミック酸溶液を350℃で30分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから次式によって求めた値である。
固形分濃度(重量%)={(W1−W2)/W1}×100
ポリアミック酸溶液の固形分濃度は、ポリアミック酸溶液を350℃で30分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから次式によって求めた値である。
固形分濃度(重量%)={(W1−W2)/W1}×100
(溶液粘度)
トキメック社製E型粘度計を用いて30℃での溶液粘度を測定した。
トキメック社製E型粘度計を用いて30℃での溶液粘度を測定した。
(水蒸気透過性能の測定)
ポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフィルムについて、JIS K7129Bに準拠し、40℃、90%RHの水蒸気について水蒸気透過度(単位面積、単位時間あたりの水蒸気の透過量)を測定した。この測定値をポリイミドフィルムの厚みを用いて、単位厚みあたりに換算して求めた。
(窒素透過係数の測定)
ポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフィルムについて、JIS K7126−1 GC法に準拠し、23℃にて測定した。
(酸素透過係数の測定)
ポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフィルムについて、JIS K7126−1 B法に準拠し、23℃にて測定した。
(炭酸ガス透過係数の測定)
ポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフィルムについて、PERMATRAN C−IV型(モコン社)を用いパーマトラン法によって、23℃にて測定した。
ポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフィルムについて、JIS K7129Bに準拠し、40℃、90%RHの水蒸気について水蒸気透過度(単位面積、単位時間あたりの水蒸気の透過量)を測定した。この測定値をポリイミドフィルムの厚みを用いて、単位厚みあたりに換算して求めた。
(窒素透過係数の測定)
ポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフィルムについて、JIS K7126−1 GC法に準拠し、23℃にて測定した。
(酸素透過係数の測定)
ポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフィルムについて、JIS K7126−1 B法に準拠し、23℃にて測定した。
(炭酸ガス透過係数の測定)
ポリアミック酸溶液から得られたポリイミドフィルムについて、PERMATRAN C−IV型(モコン社)を用いパーマトラン法によって、23℃にて測定した。
(ポリアミック酸溶液組成物の溶液安定性)
ポリアミック酸溶液の溶液安定性は、モノマー濃度20%に調製したポリアミック酸溶液についてE型粘度計にて30℃で溶液粘度の変化を測定することによって評価した。すなわち、調製直後のポリアミック酸溶液の溶液粘度をP1、5℃の雰囲気下で90日間放置後測定した溶液粘度をP2として、次式によって求めた溶液粘度の変化率が、±10%以下のものを○とし、±10%を越えたものを×とした。
変化率(%)={(P2−P1)/P1}×100
ポリアミック酸溶液の溶液安定性は、モノマー濃度20%に調製したポリアミック酸溶液についてE型粘度計にて30℃で溶液粘度の変化を測定することによって評価した。すなわち、調製直後のポリアミック酸溶液の溶液粘度をP1、5℃の雰囲気下で90日間放置後測定した溶液粘度をP2として、次式によって求めた溶液粘度の変化率が、±10%以下のものを○とし、±10%を越えたものを×とした。
変化率(%)={(P2−P1)/P1}×100
(溶媒残存率の測定)
試料(フィルム状の小片)をマックサイエンス社製TG−DTA2000にて常温から500℃まで20℃/minで昇温させ、その重量減少挙動を確認した。試料の初期重量に対して、120℃から450℃までの間に減少した重量減少量の割合を下記式のとおり溶媒残存率とした。
なお、120℃までの重量減少は試料に吸着した水分によると考えられるので測定に含めなかった。また、試料に充填剤が含まれる場合には、この試料中のポリイミド成分は全てポリイミドになっていると仮定したうえで、仕込み比に基づいて、充填剤の重量を減じた値を用いる。
試料(フィルム状の小片)をマックサイエンス社製TG−DTA2000にて常温から500℃まで20℃/minで昇温させ、その重量減少挙動を確認した。試料の初期重量に対して、120℃から450℃までの間に減少した重量減少量の割合を下記式のとおり溶媒残存率とした。
なお、120℃までの重量減少は試料に吸着した水分によると考えられるので測定に含めなかった。また、試料に充填剤が含まれる場合には、この試料中のポリイミド成分は全てポリイミドになっていると仮定したうえで、仕込み比に基づいて、充填剤の重量を減じた値を用いる。
〔実施例1〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンの所定量を加え、これにPPDの26.77g(0.248モル)と、s−BPDAの65.55g(0.223モル)及びODPAの7.68g(0・025モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.7重量%、溶液粘度97.5Pa・s、対数粘度1.13のポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液組成物の溶液安定性は○であった。
このポリアミック酸溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、80℃で30分間、100℃で20分間、次いで130℃で60分間脱泡および予備乾燥した後で、ガラス板から剥がしてピンテンターにセットし、常圧下の熱風乾燥機に入れて、100℃、150℃、200℃、250℃および400℃で各3分間加熱処理し、厚さが50μmのポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンの所定量を加え、これにPPDの26.77g(0.248モル)と、s−BPDAの65.55g(0.223モル)及びODPAの7.68g(0・025モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.7重量%、溶液粘度97.5Pa・s、対数粘度1.13のポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液組成物の溶液安定性は○であった。
このポリアミック酸溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、80℃で30分間、100℃で20分間、次いで130℃で60分間脱泡および予備乾燥した後で、ガラス板から剥がしてピンテンターにセットし、常圧下の熱風乾燥機に入れて、100℃、150℃、200℃、250℃および400℃で各3分間加熱処理し、厚さが50μmのポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例2〕
PPDの26.67g(0.246モル)と、s−BPDAの58.03g(0.197モル)及びODPAの15.30g(0.049モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
PPDの26.67g(0.246モル)と、s−BPDAの58.03g(0.197モル)及びODPAの15.30g(0.049モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例3〕
PPDの26.56g(0.246モル)と、s−BPDAの50.58g(0.172モル)及びODPAの22.86g(0.074モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
PPDの26.56g(0.246モル)と、s−BPDAの50.58g(0.172モル)及びODPAの22.86g(0.074モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例4〕
PPDの26.46g(0.245モル)と、s−BPDAの43.19g(0.147モル)及びODPAの30.36g(0.098モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
PPDの26.46g(0.245モル)と、s−BPDAの43.19g(0.147モル)及びODPAの30.36g(0.098モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例5〕
PPDの26.36g(0.244モル)と、s−BPDAの35.85g(0.122モル)及びODPAの37.80g(0.122モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
PPDの26.36g(0.244モル)と、s−BPDAの35.85g(0.122モル)及びODPAの37.80g(0.122モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例6〕
PPDの26.15g(0.242モル)と、s−BPDAの21.34g(0.073モル)及びODPAの52.51g(0.169モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
PPDの26.15g(0.242モル)と、s−BPDAの21.34g(0.073モル)及びODPAの52.51g(0.169モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例7〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンの所定量を加え、これにPPDの26.88g(0.249モル)と、s−BPDAの73.12g(0.249モル)を加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.4%、溶液粘度100.0Pa・s、対数粘度1.15のポリアミック酸溶液組成物Aを得た。
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてN-メチル−2−ピロリドンの所定量を加え、これにPPDの25.85g(0.239モル)と、ODPAの74.15g(0.239モル)を加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.5%、溶液粘度105.0Pa・s、対数粘度1.31のポリアミック酸溶液組成物Bを得た。
得られたポリアミック酸溶液組成物AおよびBを重量比で95:5の割合で混合した。混合後の溶液組成物のポリアミック酸は、各成分であるs−BPDA、ODPAおよびPPDのモル比(モル%)がs−BPDA/ODPA/PPD=94.93/5.07/100からなる。
このポリアミック酸溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、80℃で30分間、100℃で20分間、次いで130℃で60分間脱泡および予備乾燥した後で、ガラス板から剥がしてピンテンターにセットし、常圧下の熱風乾燥機に入れて、100℃、150℃、200℃、250℃および400℃で各3分間加熱処理し、厚さが50μmのポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンの所定量を加え、これにPPDの26.88g(0.249モル)と、s−BPDAの73.12g(0.249モル)を加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.4%、溶液粘度100.0Pa・s、対数粘度1.15のポリアミック酸溶液組成物Aを得た。
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてN-メチル−2−ピロリドンの所定量を加え、これにPPDの25.85g(0.239モル)と、ODPAの74.15g(0.239モル)を加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.5%、溶液粘度105.0Pa・s、対数粘度1.31のポリアミック酸溶液組成物Bを得た。
得られたポリアミック酸溶液組成物AおよびBを重量比で95:5の割合で混合した。混合後の溶液組成物のポリアミック酸は、各成分であるs−BPDA、ODPAおよびPPDのモル比(モル%)がs−BPDA/ODPA/PPD=94.93/5.07/100からなる。
このポリアミック酸溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、80℃で30分間、100℃で20分間、次いで130℃で60分間脱泡および予備乾燥した後で、ガラス板から剥がしてピンテンターにセットし、常圧下の熱風乾燥機に入れて、100℃、150℃、200℃、250℃および400℃で各3分間加熱処理し、厚さが50μmのポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例8〕
ポリアミック酸溶液組成物AおよびBを重量比で70:30の割合で混合したこと以外は実施例7と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
ポリアミック酸溶液組成物AおよびBを重量比で70:30の割合で混合したこと以外は実施例7と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例9〕
ポリアミック酸溶液組成物AおよびBを重量比で50:50の割合で混合したこと以外は実施例7と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
ポリアミック酸溶液組成物AおよびBを重量比で50:50の割合で混合したこと以外は実施例7と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例10〕
ポリアミック酸溶液組成物AおよびBを重量比で30:70の割合で混合したこと以外は実施例7と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
ポリアミック酸溶液組成物AおよびBを重量比で30:70の割合で混合したこと以外は実施例7と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表1に示した。
〔実施例11〕
最高加熱処理温度の効果
実施例3で用いたものと同様にして得たポリアミック酸溶液組成物を用い、実施例1と同様の方法で、最高加熱処理温度のみを変更して得られたポリイミドフィルムについて、引張り破断強度、引張り破断伸度、引張り弾性率を測定した。
結果を表2に示した。
最高加熱処理温度の効果
実施例3で用いたものと同様にして得たポリアミック酸溶液組成物を用い、実施例1と同様の方法で、最高加熱処理温度のみを変更して得られたポリイミドフィルムについて、引張り破断強度、引張り破断伸度、引張り弾性率を測定した。
結果を表2に示した。
〔実施例12〕
メチル−2−ピロリドン 25.0gを加え十分混合して希釈した。このポリアミック酸溶液組成物を、内径250mm、幅140mmの円筒金型の内側表面に注入し、40rpmで回転しながらスクレーパーで均一に塗布した。次に、室温下、200rpmで1分間回転し、均一な厚みに流延した後、回転数を保持しながら窒素雰囲気下、遠赤セラミックヒーターで金型表面温度を120℃まで昇温し120℃にて30分間保持した。次いで、金型を熱風乾燥機に移しかえ、120℃で5分間、150℃で5分間、190℃で80分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理 シームレスベルトの製造
実施例3で用いたものと同様にして得たポリアミック酸溶液組成物 30.0gにN−した。冷却後、金型から取り出したシームレスベルトは、発泡(膨れ)などがなく均一で厚みは40μmであった。
メチル−2−ピロリドン 25.0gを加え十分混合して希釈した。このポリアミック酸溶液組成物を、内径250mm、幅140mmの円筒金型の内側表面に注入し、40rpmで回転しながらスクレーパーで均一に塗布した。次に、室温下、200rpmで1分間回転し、均一な厚みに流延した後、回転数を保持しながら窒素雰囲気下、遠赤セラミックヒーターで金型表面温度を120℃まで昇温し120℃にて30分間保持した。次いで、金型を熱風乾燥機に移しかえ、120℃で5分間、150℃で5分間、190℃で80分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理 シームレスベルトの製造
実施例3で用いたものと同様にして得たポリアミック酸溶液組成物 30.0gにN−した。冷却後、金型から取り出したシームレスベルトは、発泡(膨れ)などがなく均一で厚みは40μmであった。
〔比較例1〕
PPDの26.88g(0.249モル)と、s−BPDAの73.12g(0.249モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
なお、この例は前記実施例7のポリアミック酸溶液組成物Aに対応する。
PPDの26.88g(0.249モル)と、s−BPDAの73.12g(0.249モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
なお、この例は前記実施例7のポリアミック酸溶液組成物Aに対応する。
〔比較例2〕
PPDの25.85g(0.239モル)と、ODPAの74.15g(0.239モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
なお、この例は前記実施例7のポリアミック酸溶液組成物Bに対応する。
PPDの25.85g(0.239モル)と、ODPAの74.15g(0.239モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
なお、この例は前記実施例7のポリアミック酸溶液組成物Bに対応する。
〔比較例3〕
PPDの25.95g(0.240モル)と、s−BPDAの7.06g(0.024モル)及びODPAの66.99g(0.216モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
PPDの25.95g(0.240モル)と、s−BPDAの7.06g(0.024モル)及びODPAの66.99g(0.216モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
〔比較例4〕
PPDの26.56g(0.246モル)と、a−BPDAの50.58g(0.172モル)及びODPAの22.86g(0.074モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
PPDの26.56g(0.246モル)と、a−BPDAの50.58g(0.172モル)及びODPAの22.86g(0.074モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
〔比較例5〕
PPDの30.56g(0.283モル)と、PMDAの43.14g(0.198モル)及びODPAの26.30g(0.085モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
PPDの30.56g(0.283モル)と、PMDAの43.14g(0.198モル)及びODPAの26.30g(0.085モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
〔比較例6〕
ODAの40.11g(0.200モル)と、s−BPDAの41.25g(0.140モル)及びODPAの18.64g(0.060モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
ODAの40.11g(0.200モル)と、s−BPDAの41.25g(0.140モル)及びODPAの18.64g(0.060モル)とを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを形成した。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表3に示した。
エンドキャップ剤を用いたポリイミドにおけると最高加熱処理温度の効果
〔比較例7〕
特許文献3の実施例6に準じ、16.34gのp−フェニレンジアミンを348gのジメチルアセトアミドに溶解し、33.10gのs−BPDAと11.63gのODPA及び0.33gのフタル酸を該溶液に添加して反応した。
得られたポリアミック酸溶液は、対数粘度が1.60、固形分濃度が13.9%、30℃における溶液粘度が23.8Pa・sであった。
このポリアミック酸溶液組成物を用いて、特許文献3の実施例6に準じた方法、及び本発明の実施例1の方法に準じた方法(但し最高加熱処理温度は300℃及び400℃)によってポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表4に示した。
表4から明らかなように、エンドキャップ剤を用いたポリイミドでは、最高加熱処理温度を高くしたときでさえ、引張り破断強度と引張り破断伸度などの特性が低いものしか得られなかった。
〔比較例7〕
特許文献3の実施例6に準じ、16.34gのp−フェニレンジアミンを348gのジメチルアセトアミドに溶解し、33.10gのs−BPDAと11.63gのODPA及び0.33gのフタル酸を該溶液に添加して反応した。
得られたポリアミック酸溶液は、対数粘度が1.60、固形分濃度が13.9%、30℃における溶液粘度が23.8Pa・sであった。
このポリアミック酸溶液組成物を用いて、特許文献3の実施例6に準じた方法、及び本発明の実施例1の方法に準じた方法(但し最高加熱処理温度は300℃及び400℃)によってポリイミドフィルムを得た。
このポリイミドフィルムの特性等について結果を表4に示した。
表4から明らかなように、エンドキャップ剤を用いたポリイミドでは、最高加熱処理温度を高くしたときでさえ、引張り破断強度と引張り破断伸度などの特性が低いものしか得られなかった。
溶媒残存率の影響
〔実施例13〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンの所定量を加え、これにPPDの26.56g(0.246モル)と、s−BPDAの50.58g(0.172モル)及びODPAの22.86g(0.074モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.7重量%、溶液粘度97.5Pa・s、対数粘度1.13のポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液組成物の溶液安定性は○であった。
このポリアミック酸溶液組成物45gに対してNMPを30g添加し、自公転ミキサーを用いて自転2000rpm、公転600rpmで)撹拌した後、鏡面処理硬質クロムメッキの円筒金型(内径φ150mm、幅300mm)の内側表面にワニスを注入し、200rpmで5分間金型を回転させて均一流延させて塗膜を形成した。ついで回転数を保持したまま金型表面温度を120℃に昇温して1時間保持し、乾燥させて自己保持性をもつ膜を得た。これを金型ごと熱風乾燥機に移動し、120℃で5分、150℃で30分、190℃で80分、250℃で90分乾燥処理した。この乾燥処理後の溶媒残存率は、3.6重量%であった。これを、さらに270℃で70分、300℃で60分、400℃で10分加熱処理したところ、膨れを生じることなく厚み50μmの高い強靭性を有するシームレスベルトを製造することができた。
〔実施例13〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンの所定量を加え、これにPPDの26.56g(0.246モル)と、s−BPDAの50.58g(0.172モル)及びODPAの22.86g(0.074モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.7重量%、溶液粘度97.5Pa・s、対数粘度1.13のポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液組成物の溶液安定性は○であった。
このポリアミック酸溶液組成物45gに対してNMPを30g添加し、自公転ミキサーを用いて自転2000rpm、公転600rpmで)撹拌した後、鏡面処理硬質クロムメッキの円筒金型(内径φ150mm、幅300mm)の内側表面にワニスを注入し、200rpmで5分間金型を回転させて均一流延させて塗膜を形成した。ついで回転数を保持したまま金型表面温度を120℃に昇温して1時間保持し、乾燥させて自己保持性をもつ膜を得た。これを金型ごと熱風乾燥機に移動し、120℃で5分、150℃で30分、190℃で80分、250℃で90分乾燥処理した。この乾燥処理後の溶媒残存率は、3.6重量%であった。これを、さらに270℃で70分、300℃で60分、400℃で10分加熱処理したところ、膨れを生じることなく厚み50μmの高い強靭性を有するシームレスベルトを製造することができた。
〔比較例8〕
実施例13の乾燥処理において、120℃で5分、150℃で30分、190℃で80分、250℃で10分乾燥処理した。この乾燥処理後の溶媒残存率は、8.7重量%であった。さらに、270℃で70分、300℃で60分、400℃で10分加熱処理したところ、膨れを生じて好適なシームレスベルトを製造することはできなかった。
実施例13の乾燥処理において、120℃で5分、150℃で30分、190℃で80分、250℃で10分乾燥処理した。この乾燥処理後の溶媒残存率は、8.7重量%であった。さらに、270℃で70分、300℃で60分、400℃で10分加熱処理したところ、膨れを生じて好適なシームレスベルトを製造することはできなかった。
本発明によって、特定の化学的組成を有した極めて高い強靭性を有するポリイミドからなるシームレスベルトおよびシームレスベルトの製造方法を提供することができる。このシームレスベルトは、成形性や強靭性が更に改良されたものであり、より高い強靭性が要求される電子写真装置の中間転写用或いは定着用シームレスベルトとして好適に用いることができる。
Claims (9)
- 引張り破断強度が400MPa以上であり且つ引張り破断伸度が35%以上であることを特徴とする請求項1に記載のシームレスベルト。
- 導電性フィラーを含有し、表面抵抗率が108〜1016Ω/□、体積抵抗率が108〜1016Ω・cmの半導電性を有した電子写真装置の中間転写用であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のシームレスベルト。
- 電子写真装置の定着用であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のシームレスベルト。
- 脱水・イミド化の最高加熱処理温度が325℃以上であることを特徴とする請求項5に記載のシームレスベルトの製造方法。
- 回転成形法で行うことを特徴とする請求項5〜6のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法。
- ポリアミック酸を基材表面に塗布して得られた塗膜を、基材表面で溶媒除去及び脱水・イミド化することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のシームレスベルトの製造方法。
- 前記化学式(5)で示される繰返し単位を有するポリアミック酸を基材表面に塗布して得られた塗膜を、270℃未満の温度で加熱処理して溶媒残存率[(残存溶媒の重量)/(ポリイミド成分の重量+残存溶媒の重量)]が8重量%以下になるように溶媒除去を行った後で、325℃以上の最高加熱温度で加熱処理によって脱水・イミド化することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
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