JP7087406B2 - ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液、ゴム粒子分散ポリイミドシート、ゴム粒子分散ポリイミドシートの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、ポリイミドまたはポリアミドイミド樹脂にゴム粒子を分散した溶液から摩擦層を設け、これを含む無端ベルトを作製することが開示されている。
特許文献3には、ポリアミドイミドまたはポリイミド前駆体に非シリコーン系ゴム粒子を分散した溶液から無端ベルトを作製することが開示されている。
<2> さらにイミド化触媒を含む<1>に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<4> 前記ゴム粒子の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、5質量%以上50質量%以下である<1>~<3>のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<5> 前記ゴム粒子が、スチレン-ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン系ゴム及びシリコーン系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも一つである<1>~<4>のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<6> 前記ゴム粒子が、スチレン-ブタジエン系ゴム及びアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムの少なくとも一つである<5>に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<8> 前記有機溶剤の含有量が、前記溶媒の合計量に対して、30質量%以上60質量%以下である<7>に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<9> 前記非プロトン性極性溶剤の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、90質量%以上250質量%以下である<7>又は<8>に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<10> 前記有機溶剤の沸点が、前記非プロトン性極性溶剤の沸点よりも20℃以上高い<7>~<9>のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<11> 前記有機溶剤の沸点が、150℃以上250℃以下である<7>~<10>のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<12> 前記有機溶剤が、脂肪族アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、グリコールモノエーテル系溶剤、グリコールジエーテル系溶剤からなる群から選択される少なくとも一つである<7>~<11>のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<14> 前記有機アミン化合物が、3級アミン化合物である<13>に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<15> 前記有機アミン化合物の含有量が、前記ポリイミド前駆体中のカルボキシル基に対して120モル%以上200モル%以下である<13>又は<14>に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<16> 前記水の含有量が、前記溶媒の合計量に対して、50質量%以上である<13>~<15>のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<17> 前記溶媒が、非プロトン性極性溶剤を含む<13>~<16>のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
<18> 前記非プロトン性極性溶剤の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、50質量%以下である<17>記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
前記塗膜を300℃以下で加熱して、ゴム粒子分散ポリイミドシートを形成する工程と、
を有するゴム粒子分散ポリイミドシートの製造方法。
<21> 最大径と最小径との比(最大径/最小径)が1.5以上であるゴム粒子の個数割合がゴム粒子全体に対して、20%以下である<20>に記載のゴム粒子分散ポリイミドシート。
<22> 体積平均粒径に対して50%以上異なるゴム粒子の個数割合がゴム粒子全体に対して、30%以下である<20>又は<21>に記載のゴム粒子分散ポリイミドシート。
<2>に係る発明によれば、ゴム粒子を含むポリイミド樹脂溶液において、ポリイミド樹脂溶液が、ゴム粒子、ゴム粒子に対する貧溶媒となる有機溶剤、ポリイミド前駆体、及び非プロトン性極性溶剤のみを含む場合に比べ、耐屈曲性が向上するゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<4>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂溶液が、ゴム粒子、ポリイミド前駆体、及び非プロトン性極性溶剤のみを含む場合に比べ、前記ゴム粒子の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、5質量%以上50質量%以下であっても、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<5>、<6>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂溶液が、ゴム粒子、ポリイミド前駆体、及び非プロトン性極性溶剤のみを含む場合に比べ、前記ゴム粒子が、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム及びシリコーンゴムからなる群から選ばれる少なくとも一つであっても、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<8>に係る発明によれば、有機溶剤の含有量が、前記溶媒の合計量に対して、30質量%未満又は60質量%を超える場合に比べ、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<9>に係る発明によれば、非プロトン性極性溶剤の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、250質量%を超える場合に比べ、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<10>に係る発明によれば、有機溶剤の沸点が、非プロトン性極性溶剤の沸点よりも0℃以上20℃未満高い場合に比べ、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<11>、<12>に係る発明によれば、ポリイミド樹脂溶液が、ゴム粒子、ポリイミド前駆体、及び非プロトン性極性溶剤のみを含む場合に比べ、表面の傷の発生が抑制される、有機溶剤の沸点が、150℃以上250℃以下である、ゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<15>に係る発明によれば、前記有機アミン化合物の含有量が、ポリイミド前駆体中のカルボキシル基に対して200モル%を超える場合に比べ、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<16>に係る発明によれば、水の含有量が、溶媒の合計量に対して、50質量%未満である場合に比べ、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<17>に係る発明によれば、溶媒が、水のみを含む場合に比べ、耐屈曲性が向上するゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<18>に係る発明によれば、非プロトン性極性溶剤の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、50質量%を超える場合に比べ、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られるゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液が提供される。
<21>に係る発明によれば、ゴム粒子を含むポリイミドシートにおいて、最大径と最小径との比(最大径/最小径)が1.5以上であるゴム粒子の個数割合が、ゴム粒子全体に対して、20%を超える場合に比べ、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが提供される。
<22>に係る発明によれば、体積平均粒径に対して50%以上異なるゴム粒子の個数割合が、ゴム粒子全体に対して、30%を超える場合に比べ、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが提供される。である<20>又は<21>に記載のゴム粒子分散ポリイミドシートが提供される。
本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液は、ポリイミド前駆体及び非プロトン性極性溶剤に対する溶解度が1質量%以上であるポリイミド(以下、「可溶性ポリイミド」と称する場合がある。)から選択される少なくとも1つの樹脂、ゴム粒子、並びに前記ゴム粒子に対する貧溶媒を含む溶媒を含有する。
「非プロトン性極性溶剤に対する溶解度が1質量%以上」は、25℃の非プロトン性極性溶剤における溶解度が1質量%以上であることを表す。また、可溶性ポリイミドの非プロトン性極性溶剤に対する溶解度は、25℃の非プロトン性極性溶剤における溶解度として、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが好ましい。
ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる。具体的には、ポリイミド前駆体一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂(ポリアミック酸)である。
一方、Bが表す2価の有機基としては、原料となるジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基である。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
共重合の組み合わせとしては、例えば、化学構造中に芳香環を1つ有するテトラカルボン酸二無水物および/またはジアミン化合物と、化学構造中に芳香環を2つ以上有するテトラカルボン酸二無水物および/またはジアミン化合物との共重合や、芳香族テトラカルボン酸二無水物および/またはジアミン化合物と、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基などの柔軟な連結基を有するカルボン酸二無水物および/またはジアミン化合物との共重合などが挙げられる。
ポリイミド前駆体の数平均分子量を上記範囲とすると、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性の低下が抑制され、製膜性が確保され易くなる。
・カラム:東ソーTSKgelα-M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
可溶性ポリイミドは、上記の溶解度を示すものであれば、特に限定されず、公知の可溶性ポリイミドが挙げられる。可溶性ポリイミドは、原料であるテトラカルボン酸二無水物成分およびジアミン成分をほぼ等モルで配合し、重合反応させて得られる。具体的には、主鎖に柔軟な屈曲構造を導入するための単量体を必要な量で使用して重合することによって得られる。また、アルキル基、トリフルオロメチル基など、有機溶剤への溶解性を向上する官能基を有する単量体を使用することによっても得られる。
本実施形態におけるゴム粒子とは、室温でゴム弾性を示す樹脂から形成される粒子である。
樹脂の主鎖構造は、室温でゴム弾性を示せば、線状、櫛状(グラフト型)、分岐状(星型)を問わない。またこれらの樹脂が架橋性の単量体により一部架橋された構造であってもよい。
なお、本実施形態の粒子分散ポリイミド樹脂溶液中の粒子の体積平均粒径が、上記方法で測定し難い場合、動的光散乱法等の方法にて測定される。
ゴム粒子に対する貧溶媒は、有機溶剤および水が挙げられる。
まず、ゴム粒子に対する貧溶媒として、有機溶剤を使用する場合について説明する。
本実施形態において、ゴム粒子に対する貧溶媒(以下、単に「貧溶媒」と称する場合がある)とは、ゴム粒子の固形分濃度が5%となるように、ゴム粒子と溶媒とを含む液体を調製したとき、25℃において、ゴム粒子の固形分全量に対する不溶分の質量割合(%)が95%以上となる溶媒を指す。
脂肪族アルコール系溶剤としては、炭素数15以下のものが挙げられる。
グリコール系溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
グリコールモノエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
グリコールジエーテル系溶剤(グライム系溶剤)としては、モノグライム、エチルグライム(エチレングリコールジエチルエーテル)、ジグライム、エチルジグライム(ジエチレングリコールジエチルエーテル)、トリグライム、テトラグライムなどが挙げられる。
これらの貧溶媒のうち、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られる点で、グリコール系、グリコールモノエーテル系、グリコールジエーテル系(グライム系)が好ましい。
これらの中でも、表面の傷の発生が抑制されるゴム粒子分散ポリイミドシートが得られる点で、貧溶媒としては、ジグライム(162℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(193℃)、エチレングリコール(197℃)、トリグライム(216℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(242℃)、ジエチレングリコール(244℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(249℃)が好ましい。また、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(193℃)、エチレングリコール(197℃)、貧溶媒は、トリグライム(216℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(249℃)がより好ましい。なお、括弧内の数字は沸点を指す。
ゴム粒子に対する貧溶媒として、水も使用できる。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。水の含有量は、溶媒の合計量に対して40質量%以上100質量%以下でもよい。ゴム粒子分散ポリイミドシートの表面の傷の発生をより抑制する点で、水の含有量の下限は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましい。なお、溶媒として、後述の水及び非プロトン性極性溶剤の混合溶媒とする場合、ゴム粒子分散ポリイミドシートの表面の傷の発生をより抑制する点で、水の量の上限は、95質量%以下であることがよい。
非プロトン性極性溶剤は、可溶性ポリイミド及びポリイミド前駆体に対する良溶媒として用いられる。ここで、本実施形態において、「良溶媒」とは、25℃において、ポリイミド前駆体の溶解度が5質量%以上を示す溶媒を指す。
本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を用いて、ゴム粒子分散ポリイミドシートを形成するとき、ゴム粒子を熱分解しない温度(つまり、300℃以下)でポリイミド前駆体のイミド化を促進させるために、イミド化触媒を添加してもよい。イミド化反応促進のためのイミド化触媒は、特に限定されず、例えば、酸無水物等の脱水剤;無水酢酸、ピリジン等の縮合剤;フェノール誘導体;スルホン酸誘導体;安息香酸誘導体等の酸触媒;4級アンモニウム塩;カルバメート化合物等の熱により分解して塩基を発生する熱塩基発生剤;などを使用してもよい。
なお、貧溶媒として水を用いて、さらに後述する有機アミン化合物を添加する場合、有機アミン化合物自体が、イミド化促進剤として働く。そのため、貧溶媒として水を用いる場合、有機アミン化合物は、好適なイミド化触媒である。
これらの点から、本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液は、水を貧溶媒として用い、ポリイミド前駆体を樹脂として用い、さらに有機アミンを含有することが好ましい。
有機アミン化合物は、ポリイミド前駆体(そのカルボキシル基)をアミン塩化して、その水性溶剤に対する溶解性を高めると共に、イミド化促進剤としても機能する化合物である。具体的には、有機アミン化合物は、分子量170以下のアミン化合物であることがよい。有機アミン化合物は、ポリイミド前駆体の原料となるジアミン化合物を除く化合物であることがよい。
なお、有機アミン化合物は、水溶性の化合物であることがよい。水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。
有機アミン化合物として、窒素原子上に水素原子を有する1級アミン化合物または2級アミン化合物を適用すると、その一部が前記ポリイミド前駆体または前記可溶性ポリイミドと反応し、さらにゴム粒子とも反応する懸念がある。これにより、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の保存安定性や、得られたゴム粒子分散ポリイミドシート表面の傷の発生を抑制する効果が低減する。
一方、3級アミン化合物を適用すると、1級アミン化合物または2級アミン化合物を適用した場合に懸念される上記反応が起こらない。さらに、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなり、また、ポリイミド前駆体溶液の保存安定性が向上し易くなる。
2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、モルホリンなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどが挙げられる。
有機アミン化合物の含有量を上記範囲とすると、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなる。また、ポリイミド前駆体溶液の保存安定性も向上し易くなる。
本実施形態に係る本実施形態の樹脂粒子分散ポリイミド樹脂溶液の製造方法において、ポリイミド樹脂溶液には、イミド化反応促進のための触媒や、製膜品質向上のためのレベリング材などを含んでもよい。
イミド化反応促進のための触媒には、酸無水物など脱水剤、フェノール誘導体、スルホン酸誘導体、安息香酸誘導体などの酸触媒などを使用してもよい。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック(例えばpH5.0以下の酸性カーボンブラック);金属(例えばアルミニウムやニッケル等);金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等);イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等);等が挙げられる。これら導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の製造方法としては、例えば、下記の(i)、(ii)による方法が挙げられる。
(ii)ゴム粒子の分散液を作製し、その分散液中で可溶性ポリイミドまたはポリイミド前駆体を合成する方法
まず、可溶性ポリイミドまたはポリイミド前駆体を、本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の溶媒の一部または全てに溶解する。合成した可溶性ポリイミドまたはポリイミド前駆体を使用する場合は、あらかじめ本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の溶媒の一部または全てを溶媒として重合することで作製できる。別の溶媒中で合成した場合は、合成後に粉体を取出した後、本実施形態のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の溶媒の一部または全てに溶解する。
次に、得られた可溶性ポリイミドの溶液またはポリイミド前駆体溶液とゴム粒子とを混合および分散する。粉体で入手できるゴム粒子の場合は、そのまま使用できる。水分散液で入手したゴム粒子の場合は、貧溶媒として水を使用する場合はそのまま使用できるが、貧溶媒となる有機溶剤を使用する場合は、ゴム粒子の粉体を取り出して使用する。
貧溶媒となる有機溶剤を用いて、本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を作製する場合は、まず、ゴム粒子に対する貧溶媒と、可溶性ポリイミドまたはポリイミド前駆体が溶解する溶媒に、ゴム粒子が分散された溶液を準備する。次に、ポリイミド前駆体を用いる場合、その溶液中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成させる。ポリイミド前駆体を重合するとき、ゴム粒子の形状変化、凝集、融着、及び分解が発生し難い温度領域で重合させる。樹脂として、可溶性ポリイミドを用いる場合は、重合後にイミド化させる。加熱イミド化の場合は、ゴム粒子の形状変化、凝集、融着、及び分解が起こらない温度領域でイミド化する。必要に応じて、前述のイミド化触媒を添加し、低温でイミド化してもよい。以上により、ゴム粒子を分散した可溶性ポリイミドまたはポリイミド前駆体溶液を得ることができる。
本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミドシートは、本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を塗布して塗膜を形成した後、塗膜を加熱することで得られる。
なお、本実施形態において、「シート」は、一般的に「シート」と呼ばれている膜状物(例えば、膜厚が100μm以上のもの)だけでなく、一般的に「フィルム」と呼ばれている膜状物(例えば、膜厚が100μm以下のもの)も含まれることを意味する。
まず、上述のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を準備する。次に、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を基板上に塗布し、塗膜を形成する。
基板としては、例えば、樹脂製基板;ガラス製基板;セラミック製基板;金属基板;これらの材料が組み合わされた複合材料基板が挙げられる。なお、基板は、剥離処理が施された剥離層を備えていてもよい。
また、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を基板に塗布する方法としては、特に制限はなく、例えば、スプレー塗布、回転塗布法、ロール塗布法、バー塗布法、スリットダイ塗布法、インクジェット塗布法等の各種の方法が挙げられる。
次に、上記の塗膜形成工程で得られた塗膜に対して、加熱処理を行う。この加熱処理により、乾燥被膜を形成する。また、樹脂としてポリイミド前駆体を使用した場合は、この工程でイミド化も完結させる。
本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液から得られる、本実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミドシートは、シート中のゴム粒子の形状変形、凝集、融着等の発生が抑えられ、均一に近い状態で分散している。
なお、本実施形態において、ゴム粒子の「凝集」とは、2個以上のゴム粒子が互いに接触しており、接触したゴム粒子の界面が観察される状態であることを表す。また、ゴム粒子の「融着」とは、2個以上のゴム粒子が融解して接触しており、接触したゴム粒子の界面が観察されない状態であることを表す。
凝集及び融着の少なくとも一方が発生したゴム粒子の割合が上記範囲となることで、ゴム粒子分散ポリイミドシートの表面の傷の発生が抑制される。また、ゴム粒子分散ポリイミドシートの耐屈曲性が向上する。
ここで、ゴム粒子の体積平均粒径に対して、50%以上異なるゴム粒子の個数割合は、ゴム粒子分散ポリイミドシートを作製するために用いたゴム粒子の体積平均粒径に対して、50%以上小さくなる粒径を示すゴム粒子と、50%以上大きくなる粒径を示すゴム粒子との合計量の個数割合を表す。すなわち、実施形態に係るゴム粒子分散ポリイミドシートに含有するゴム粒子は、ゴム粒子分散ポリイミドシートを作製するために用いたゴム粒子の体積平均粒径に対して、-50%超+50%未満の範囲にある粒径の個数割合が70%以下であることが好ましい。
ゴム粒子分散ポリイミドシートの用途は特に限定されるものではない。例えば、複写機やレーザービームプリンター等の転写搬送ベルト、中間転写ベルト、感光体ベルト及び定着ベルト等の電子写真装置に用いられるエンドレスベルト(無端ベルト);コンバータやインバータにおけるバスバーの周辺に巻き付けて使用される電気絶縁用シート;折り曲げられて立体的に加工されて用いられる高耐熱、高密着性の接着層などに好適に使用できる。この他、電子回路の絶縁層、多層配線基板の層間絶縁材料、半導体素子の表層の保護膜、電線、モーター、ヒーターなどの絶縁被覆材、フレキシブルプリント配線板(FPC)、太陽電池用基板、粘着テープ、銅張積層板などの金属積層体、接着シートなども挙げられる。
(保管時の粘度変化)
ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を作製した直後の粘度を測定し、初期粘度とした。その後、溶液を30℃の恒温槽中で2ヶ月静置して保管した後の粘度を測定し、下記式から粘度の変化率(%)を算出した。なお、||は絶対値を表す。
粘度の変化率(%)=|(保管後の粘度)-(初期粘度)|/(初期粘度)×100
-評価基準-
A+: 粘度の変化率が5%未満
A : 粘度の変化率が5%以上10%未満
B : 粘度の変化率が10%以上30%未満
C : 粘度の変化率が30%以上
1)ゴム粒子分散ポリイミド溶液の作製直後に製膜したゴム粒子分散ポリイミドシート、及び2)上述の方法で保管したゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を用いて製膜したゴム粒子分散ポリイミドシート、のそれぞれについて、断面の20μm四方を走査型電子顕微鏡により倍率3万倍で観察し、下記の評価を行った。
上記1)および2)のシートにおいて、観察された全体のゴム粒子の個数に対して、凝集及び融着している粒子数の割合を算出した。
上記1)のシートにおいて、観察された全体のゴム粒子数に対して、ゴム粒子の最大径(長径)と最小径(短径)の比が1.5以上である粒子数の割合を算出した。
上記1)のシートにおいて、観察されたそれぞれのゴム粒子の粒子径を測定し、体積平均粒径を算出した。観察された全体のゴム粒子の個数に対して、この体積平均粒径から±50%以上異なる(体積平均粒径から50%大きい粒径及び体積平均粒径から50%小さい粒径)粒径を示すゴム粒子の合計量の個数割合を算出した。
上記1)、2)のシートにおいて、シートを5cm角にカットし、製膜時に基材と接していた面が外側を向くように、山折りにして4つ折りにし、2.5cm角サイズの試験片とした。この4つ折りにした試験片の外側に向けた面(製膜時に基材と接していた面)から2kgの荷重をかけて1週間静置した。その後、荷重を解き、折れ曲げていた部分を目視で観察し、以下の基準で評価した。
-評価基準-
A+:折り曲げた跡が付かず、膜の破損も見られない。
A :折り曲げた跡が付くが、1時間以内に元に戻る。膜の破損は見られない。
B :折り曲げた跡が付き、1時間経過しても元に戻らない。膜の破損は見られない。
C :折り曲げた部分の一部で膜割れが見られる。
C-:折り曲げた部分に沿って膜が割れる。
後述の円筒状基材の外周面に形成された円筒状基材付きゴム粒子分散ポリイミドシート(A)を準備した。一方、この円筒状基材と同じ材質の円筒状基材の外周面の全面に、粗さ#800のサンドペーパーを貼り付けた円筒状基材(B)を準備した。Aの表面であるゴム粒子分散ポリイミドシートと、Bの表面である粗さ#800のサンドペーパーの表面とを接触させ、Aを100rpm(シートの移動速度 約157mm/sec)で回転させ、この回転に従動してBを回転させた(図1参照;図1に示す符号のうち、1はゴム粒子分散ポリイミドシート、2はサンドペーパー、1A及び2Bは円筒状基材、Aは円筒状基材付きゴム粒子分散ポリイミドシート、及びBはサンドペーパーを貼り付けた円筒状基材を表す。)。そして、Aのゴム粒子分散ポリイミドシートに傷が発生するまでの累積時間を評価した。
-評価基準-
A+: 20時間以上
A : 15時間以上20時間未満
B : 5時間以上15時間未満
C : 1時間以上5時間未満
C-: 1時間未満
外径30mm、長さ450mmのステンレス製円筒状基材(円筒状金型)の外周面にシリコーン系離型剤(信越化学工業(株)製、商品名:KS-700)を塗布・乾燥処理(離型剤処理)を行った。
離型剤処理を施した円筒状金型を周方向に20rpmの速度で回転させながら、円筒状金型の外周面に、円筒状金型の端部から、比較例2及び比較例3、並びに各実施例のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を塗布し、円筒状金型の外周面に塗布物を形成した。具体的には、これらゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を、口径1.0mmのディスペンサーから吐出するとともに、ディスペンサーユニットを円筒状金型の軸方向に移動させ、円筒状金型上に設置した金属ブレードにて、一様に近い状態となるように予め定められた圧力で押し付けながら塗布を行い、円筒状金型上に螺旋状に塗布した。塗布後、ブレードを解除して円筒状金型を2分間回転し続けてレベリングを行った。
その後、円筒状金型の外周面に塗布物を円筒状金型とともに、乾燥炉中で80℃雰囲気下、10rpmで回転させながら、1時間送風乾燥を行った。次いでクリーンオーブン中で、80℃から昇温速度5℃/分で、各表に示す温度まで昇温し、さらにその温度で30分保持し、円筒状基材付きゴム粒子分散ポリイミドシートを得た。ゴム粒子分散ポリイミドシートの膜厚は500μmであった。
また、上述のように、30℃の恒温槽中で2ヶ月保管した溶液についても同様のシートを作製した。
ポリイミド前駆体PAA-1:7質量部、ゴム粒子-1S:3質量部を、設定温度180℃で5分間ロール混練し、単軸押出機から円筒成形によって、外径30mm、長さ450mmのステンレス製円筒状基材(円筒状金型)上に筒状に成形し、円筒状基材付きゴム粒子分散ポリイミドシートを得た。ゴム粒子分散ポリイミドシートの膜厚は500μmであった。
<合成例1>
(ポリイミド前駆体PAA-1の合成)
N-メチルピロリドン:144.81質量部、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):15.02質量部を添加し、50℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):21.18質量部を添加し、反応温度50℃に保持しながら、15時間攪拌して溶解、反応を行い、固形分濃度20質量%のポリイミド前駆体溶液を得た。
なお、上記条件では、テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量のモル比が0
.96/1となるように計算された量である。添加したN-メチルピロリドンの量は、得られるポリイミド前駆体の固形分濃度が20質量%となるように計算された量である。
次に、撹拌したアセトン3000質量部中に、得られたポリイミド前駆体溶液を滴下し、ポリイミド前駆体を析出させた。ろ過により得られた固体を、再度、アセトン500質量部中に添加して撹拌洗浄した。その後、ろ過により得られた固体を30℃で真空乾燥を行い、ポリイミド前駆体PAA-1を得た。
(ポリイミド前駆体PAA-2の合成)
合成例1において、N-メチルピロリドンの量を122.89質量部に変更し、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):21.18質量部の代わりにピロメリット酸二無水物(分子量218.12):15.70質量部に変更する以外は、合成例1と同様にして、ポリイミド前駆体PAA-2を得た。
(ポリイミド前駆体PAA-3の合成)
合成例1において、N-メチルピロリドンの量を118.06質量部に変更し、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):15.02質量部の代わりにp-フェニレンジアミン(分子量108.14):8.11質量部に変更する以外は、合成例1と同様にして、ポリイミド前駆体PAA-3を得た。
(ポリイミド前駆体PAA-4の合成)
合成例1において、N-メチルピロリドンの量を119.94質量部に変更し、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):15.02質量部の代わりに、p-フェニレンジアミン(分子量108.14):7.30質量部および4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):1.50質量部に変更する以外は、合成例1と同様にして、ポリイミド前駆体PAA-4を得た。
(可溶性ポリイミドPI-1の合成)
ソマール社製の溶媒可溶性ポリイミドワニス SPIXAREA HR005(25質量%NMP溶液)100質量部を、撹拌したアセトン1000質量部中に滴下し、ポリイミドを析出させた。ろ過により得られた固体を、再度、アセトン500質量部中に添加して撹拌洗浄した。その後、ろ過により得られた固体を30℃で真空乾燥を行い、可溶性ポリイミドPI-1を得た。
<合成例6>
(ゴム粒子-1の粉体ゴム粒子-1Sの作製)
ゴム粒子-1S:固形分換算で100質量部を凍結乾燥し、ゴム粒子-1(体積平均粒径0.2μm)の粉体である粉体状のゴム粒子-1Sを取り出した。
(粉体状のゴム粒子-2S~ゴム粒子-7Sの作製)
ゴム粒子-1の代わりにゴム粒子-2~ゴム粒子-7に変更する以外は、合成例6と同様にして、粉体状のゴム粒子-2S~ゴム粒子-7Sを取り出した。
<比較例1>
(比較例1用のゴム粒子分散ポリイミドシートの作製)
ポリイミド前駆体PAA-1:7質量部、ゴム粒子-1S:3質量部を、設定温度180℃で5分間ロール混練し、シート化した。得られたシートを、設定温度250℃で熱プレス成形し、膜厚500μmの比較例1用のゴム粒子ポリイミド分散シートを得た。
<実施例A1>
ポリイミド前駆体PAA-1:7.00gに、N,N-ジメチルアセトアミド:13.37g、エチレングリコール:13.37gを添加し、混合した。その後、ゴム粒子-1S:3.00gを添加し、撹拌装置「あわとり練太郎」(シンキー製)を用い、2000rpmで2分間混合撹拌した後、2200rpmで2分間混合撹拌して、有機溶剤系のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を得た。その後、得られた溶液を希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、ゴム粒子-1と同様に体積平均粒径は0.2μmのピークを持ち、良好な分散状態であった。
用いる材料と各種比率を表1に記載した値に変更する以外は、実施例A1と同様にして、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液およびゴム粒子分散ポリイミドシートを作製し、前述の各評価を行った。
用いる材料と各種比率を表1に記載した値に変更し、さらに、ポリイミド前駆体PAA-1:7.00gに、N,N-ジメチルアセトアミド:13.37g、エチレングリコール:13.37gを添加し、さらに、塗布直前にイミド化触媒(無水酢酸/ピリジン(1モル/1モル))をポリイミド前駆体PAA-1に対して5質量%となるように添加し、混合した以外は、実施例A1と同様にして、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を作製した。また、最終の加熱温度を230℃とする以外は、実施例A1と同様にして、ゴム粒子分散ポリイミドシートを作製した。
貧溶媒を用いない以外は、実施例A1と同様にして、比較例2のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液およびゴム粒子分散ポリイミドシートを作製した。
また、ゴム粒子を樹脂粒子に変更した以外は、実施例A1と同様にして、比較例3の樹脂粒子分散ポリイミド樹脂溶液および樹脂粒子分散ポリイミドシートを作製した。
<実施例B1>
ポリイミド前駆体溶液PAA-3:7.00gに、イオン交換水:32.17g、N,N-ジメチルアセトアミド:1.89g、N-メチルモルホリン:5.23gを添加し、50℃に加温しながら混合した。その後、ゴム粒子-5(SBラテックス 0589 固形分50質量% JSR製):固形分換算で3.77g(溶液として7.54g)を添加し、撹拌装置「あわとり練太郎」(シンキー製)を用い、2000rpmで2分間混合撹拌した後、2200rpmで2分間混合撹拌し、水系のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液(ゴム粒子分散ポリイミド前駆体溶液)を得た。得られた溶液を脱イオン水で希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、ゴム粒子-5と同様に体積平均粒径が0.22μmのピークを持ち、良好な分散状態であった。
用いる材料と各種比率を表2に記載した値となるように変更する以外は、実施例B1と同様にして、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液およびゴム粒子分散ポリイミドシートの作製し、前述の各評価を行った。
ゴム粒子-7:固形分換算で13.41g(溶液として25.79g含有)に、イオン交換水:111.69g、N,N-ジメチルアセトアミド:6.53g、p-フェニレンジアミン(分子量108.14):10.81g(0.1モル)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):29.42g(0.1モル)とを添加し、25℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、N-メチルモルホリン(有機アミン化合物):30.35g(0.3モル)をゆっくりと添加し、反応温度60℃に保持しながら、24時間攪拌して溶解、反応を行い、水系のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を得た。得られた溶液を希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、ゴム粒子-7と同様に平均粒径は0.25μmのピークを持ち、良好な分散状態であった。
PAA-1:合成例1のポリイミド前駆体
PAA-2:合成例2のポリイミド前駆体
PAA-3:合成例3のポリイミド前駆体
PAA-4:合成例4のポリイミド前駆体
PI-1 :可溶性ポリイミド、ソマール社製 SPIXAREA HR005
ゴム粒子-1:SR-102(日本エイアンドエル社製) 固形分48%
ゴム粒子-2:Niipol SX1105A(日本ゼオン社製) 固形分45%
ゴム粒子-3:Nipol LX430(日本ゼオン社製) 固形分49%
ゴム粒子-4:Nipol LX531B(日本ゼオン社製) 固形分66%
ゴム粒子-5:SBラテックス 0589(JSR社製) 固形分50%
ゴム粒子-6:SR-104(日本エイアンドエル社製) 固形分48%
ゴム粒子-7:Nipol 2507H(日本ゼオン社製) 固形分52%
PMMA-1:MP-2801(綜研化学社製) 粉体
触媒-1:無水酢酸/ピリジン(1モル/1モル)
MMO :N-メチルモルホリン
DMAEt:ジメチルアミノエタノール
DMIz :1,2-ジメチルイミダゾール
AEt: アミノエタノール
EG :エチレングリコール
DEGME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
TMU :テトラメチル尿素
NMP :N-メチルピロリドン
Claims (20)
- ポリイミド前駆体及び非プロトン性極性溶剤に対する溶解度が1質量%以上であるポリイミドから選択される少なくとも1つの樹脂、ゴム粒子、並びに前記ゴム粒子に対する貧溶媒を含む溶媒を含有し、
前記貧溶媒が、前記ゴム粒子に対する貧溶媒となる有機溶剤であり、前記溶媒が、前記ゴム粒子に対する貧溶媒となる有機溶剤及び非プロトン性極性溶剤の混合溶媒であり、
前記ゴム粒子に対する貧溶媒となる有機溶剤が、脂肪族アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、グリコールモノエーテル系溶剤、グリコールジエーテル系溶剤からなる群から選択される少なくとも一つであり、
前記非プロトン性極性溶剤が、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、テトラメチルウレア、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルプロピレンウレア、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン及びγ-カプロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも一つである、
ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。 - ポリイミド前駆体である樹脂、ゴム粒子、イミド化触媒、及び前記ゴム粒子に対する貧溶媒を含む溶媒を含有し、
前記貧溶媒が、水であり、
前記イミド化触媒が、有機アミン化合物である、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。 - 前記ゴム粒子の体積平均粒径が、0.05μm以上2μm以下である請求項1又は請求項2に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記ゴム粒子の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、5質量%以上50質量%以下である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記ゴム粒子が、スチレン-ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン系ゴム及びシリコーン系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記ゴム粒子が、スチレン-ブタジエン系ゴム及びアクリロニトリル-ブタジエン系ゴムの少なくとも一つである請求項5に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- さらにイミド化触媒を含む請求項1に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記ゴム粒子に対する貧溶媒となる有機溶剤の含有量が、前記溶媒の合計量に対して、30質量%以上60質量%以下である請求項1、又は請求項7に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記非プロトン性極性溶剤の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、90質量%以上250質量%以下である請求項1、請求項7及び請求項8のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記ゴム粒子に対する貧溶媒となる有機溶剤の沸点が、前記非プロトン性極性溶剤の沸点よりも20℃以上高い請求項1、請求項7~請求項9のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記ゴム粒子に対する貧溶媒となる有機溶剤の沸点が、150℃以上250℃以下である請求項1、請求項7~請求項10のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記有機アミン化合物が、3級アミン化合物である請求項2に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記有機アミン化合物の含有量が、前記ポリイミド前駆体中のカルボキシル基に対して120モル%以上200モル%以下である請求項2又は請求項12に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記水の含有量が、前記溶媒の合計量に対して、50質量%以上である請求項2、請求項12及び請求項13のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記溶媒が、非プロトン性極性溶剤を含む請求項2、請求項12~請求項14のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 前記非プロトン性極性溶剤の含有量が、ゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液の固形分に対して、50質量%以下である請求項15に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液。
- 請求項1~請求項16のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を300℃以下で加熱して、ゴム粒子分散ポリイミドシートを形成する工程と、
を有するゴム粒子分散ポリイミドシートの製造方法。 - 請求項1~請求項16のいずれか1項に記載のゴム粒子分散ポリイミド樹脂溶液を塗布して塗膜を形成した後、塗膜を加熱してなる、ゴム粒子を含み、凝集及び融着の少なくとも一方の状態で存在するゴム粒子の個数割合がゴム粒子全体に対して、10%以下であるゴム粒子分散ポリイミドシート。
- 最大径と最小径との比(最大径/最小径)が1.5以上であるゴム粒子の個数割合がゴム粒子全体に対して、20%以下である請求項18に記載のゴム粒子分散ポリイミドシート。
- 体積平均粒径に対して50%以上異なるゴム粒子の個数割合が、ゴム粒子全体に対して、30%以下である請求項18又は請求項19に記載のゴム粒子分散ポリイミドシート。
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