JP6036355B2 - カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物、無端ベルト及びその製造方法、並びに、画像形成装置 - Google Patents
カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物、無端ベルト及びその製造方法、並びに、画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
また、特許文献2には、「数平均分子量が20000〜27000の耐熱性樹脂(A)と、数平均分子量が35000〜40000の耐熱性樹脂(B)とが含有され、前記耐熱性樹脂(B)が前記耐熱性樹脂(A)100質量部に対して150〜220質量部含有され、引張弾性率が3500〜8000MPaである樹脂層を有することを特徴とする樹脂ベルト」が開示されている。
また、特許文献3には、「特定構造を有するポリイミド系高分子と溶媒とを含む溶液中に、pH7未満のカーボンブラックが分散され、ジアミン化合物に対するテトラカルボン酸二無水物のモル比(α=(テトラカルボン酸二無水物の当量数)/(ジアミン化合物の当量数))は、0.90以上1.00未満であるポリイミド系高分子組成物」が開示されている。
請求項1に係る発明は、
末端カルボキシ基の総モル量(Y)に対する末端アミノ基の総モル量(X)の割合X/Yが、0.1≦X/Y<0.4であるポリアミック酸であって、分子鎖の両末端がカルボキシ基であるポリアミック酸及び分子鎖の両末端がアミノ基であるポリアミック酸のみからなるポリアミック酸、並びに溶媒を含み、且つ粘度が20Pa・s以下であるポリアミック酸溶液と、
pH7未満のカーボンブラックと、
を含むカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物。
請求項1に記載のカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物と、
末端アミノ基の総モル量(X)に対する末端カルボキシ基の総モル量(Y)の割合Y/Xが、0≦Y/X<0.4であるポリアミック酸あって、分子鎖の両末端がアミノ基であるポリアミック酸のみからなるポリアミック酸、又は、分子鎖の両末端がカルボキシ基であるポリアミック酸及び分子鎖の両末端がアミノ基であるポリアミック酸のみからなるポリアミック酸、並びに溶媒を含み、且つ粘度が100Pa・s以上200Pa・s以下であるポリアミック酸溶液と、
を含むカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物。
請求項2に記載のカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物を用いて形成されたポリイミド樹脂層を有する無端ベルト。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写ベルトであって、請求項3に記載の無端ベルトで構成された中間転写ベルトと、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトの表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写ベルトの表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
末端カルボキシ基の総モル量(Y)に対する末端アミノ基の総モル量(X)の割合X/Yが、0≦X/Y<0.4であるポリアミック酸、及び溶媒を含み、且つ粘度が20Pa・s以下である第1ポリアミック酸溶液と、pH7未満のカーボンブラックと、を含有するカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物を準備する工程と、
末端アミノ基の総モル量(X)に対する末端カルボキシ基の総モル量(Y)の割合Y/Xが、0≦Y/X<0.4であるポリアミック酸、及び溶媒を含み、且つ粘度が100Pa・s以上200Pa・s以下である第2ポリアミック酸溶液を準備する工程と、
前記第1ポリアミック酸溶液を含むカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物と、前記第2ポリアミック酸溶液と、を混合し、塗布液を準備する工程と、
前記塗布液を芯体に塗布して、塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を乾燥した後、イミド化して、ポリイミド樹脂層を形成する工程と、
を有する無端ベルトの製造方法。
請求項2に係る発明によれば、0≦Y/X<0.4、且つ粘度が100Pa・s以上200Pa・s以下であるポリアミック酸溶液を含まない場合に比べ、機械的強度に優れ、且つ面内抵抗ムラが抑制された無端ベルトが得られるカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物が提供される。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、機械的強度に優れ、且つ面内抵抗ムラが抑制された無端ベルトを中間転写ベルトとして備える画像形成装置が提供される。
[第1実施形態]
第1実施形態に係るカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物は、末端カルボキシ基の総モル量(Y)に対する末端アミノ基の総モル量(X)の割合X/Yが、0≦X/Y<0.4で溶媒を含み、且つ粘度が20Pa・s以下である第1ポリアミック酸溶液(以下、「末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液」と称する)と、pH7未満のカーボンブラック(以下、「酸性カーボンブラック」と称する)と、を含んで構成されてる。
この理由は定かではないが、次の理由によるものと考えられる。
つまり、ポリアミック酸は、主として、両末端がアミノ基であるポリアミック酸(以下「DA」と称する)と、両末端がカルボキシ基であるポリアミック酸(以下「DC」と称する)と、一方の末端がアミノ基であり他方の末端がカルボキシ基であるポリアミック酸(以下「AC」と称する)とに分けられる。
そして、この状態では、酸性カーボンブラックの酸性基とポリアミック酸の末端アミノ基とが経時により強固な構造をつくると考えられ、経時でポリアミック酸組成物の粘度が上昇し易くなると考えられる。
末端カルボキシル基過多低粘度ポリアミック酸溶液は、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸と、溶媒と、を含んで構成されている。
但し、末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液の粘度は、カーボンブラックを含まない状態での粘度である。
この粘度は、ポリアミック酸の重量平均分子量、及び溶媒量等により調整される。
−測定条件−
・槽:循環恒温槽
・回転ローター:3°×R14
・回転ローターの回転数:50rpm
・測定温度:22±0.5℃の範囲
末端カルボキシ基過多ポリアミック酸は、末端カルボキシ基の総モル量(Y)に対する末端アミノ基の総モル量(X)の割合X/Yが、0≦X/Y<0.4であるポリアミック酸である。
なお、「末端カルボキシ基」には、2つのカルボキシ基が脱水した末端無水カルボキシ基を含む。
末端アミノ基の総モル量(X)は、酸(例えば、塩酸等)を用いて中和滴定することにより測定される。
末端カルボキシ基の総モル量(Y)は、塩基(例えば、水酸化ナトリウム等)を用いて中和滴定することにより測定される。
末端カルボキシ基過多ポリアミック酸は、少なくとも1種が、アミド結合とカルボキシ基とを有する繰り返し単位を含む分子鎖(主鎖)の末端にカルボキシ基を有していればよく、かつ、ポリアミック酸溶液中の全ポリアミック酸における末端カルボキシ基の総モル量(Y)に対する末端アミノ基の総モル量(X)の割合X/Yが、0≦X/Y<0.4となる範囲であれば、アミド結合とカルボキシ基とを有する繰り返し単位を含む分子鎖(主鎖)の末端にアミノ基を有していてもよい。
なお、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸の主鎖部分は、アミド結合とカルボキシ基とが並存する繰り返し単位を含む構造であれば、特に制限されない。
このように、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸は、例えば、一般に、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミン化合物との重合比(モル比)を調整することで得られる。
また、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸は、例えば、両端基がアミノ基であるポリアミック酸(DA)と両末端がカルボキシ基であるポリアミック酸(DC)とを混合して得てもよい。
下記スキームにおいては、まず、例えば、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミン化合物とを、ジアミン化合物を過剰に反応させ、全アミン末端ポリアミック酸を合成する。次に、カルボン酸モノ無水物と末端アミノ基と反応させ、末端アミノ基を封止する。このようにして、末端アミノ基のカルボン酸モノ無水物封止末端とする。
カルボン酸モノ無水物として具体的には、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル酸無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物等が挙げられ、これらの中でも、無水フタル酸、無水マレイン酸がよい。
なお、カルボン酸無水物は、上記X/Yが上記範囲となる範囲で使用量(封止量)が調整される。
テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体としては、分子構造中にカルボン酸無水物に由来する構造(−CO−O−CO−)を2つ有する化合物であれば、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用してもよい。
例えば、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体としては、下記の一般式(I)で示されるものが挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
ジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
ジアミン化合物は、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
ポリアミック酸の合成に用いる、好ましいテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体とジアミン化合物との組み合わせは、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとの組合せが好ましい。
ポリアミック酸を合成する際の重合温度としては、0℃以上80℃以下の範囲が好ましい。
溶媒は、ポリアミック酸を溶解する溶媒として機能すると共に、ポリアミック酸組成物中で酸性カーボンブラックが分散する分散媒としても機能する。
溶媒としては、例えば、有機極性溶媒が挙げられ、具体的には、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ブチルセロソルブ等のセロソルブ系;及びヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げられる。
中でも、ピロリドン系溶媒が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう)がより好ましい。
酸性カーボンブラックは、例えば、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシ基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造される。この酸化処理は、高温(例えば、300℃以上800℃以下)雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温(例えば25℃、以下同様)下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温(例えば300℃以上800℃以下)下での空気酸化後、低い温度(例えば20℃以上200℃以下)下でオゾン酸化する方法などにより行われる。
なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造され得るが、密閉式のファーネス法によって製造するのが一般的である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整してもよい。このためファーネス法による製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが7未満となるように調節されたカーボンブラックも、適用し得る。
ここで、酸性カーボンブラックのpHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整される。
その他添加剤としては、酸性カーボンブラックの分散性を高めるための分散剤が挙げられる。
非イオン系高分子としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられる。
これらの非イオン系高分子は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)が好ましい。
ポリアミック酸組成物中の非イオン系高分子の配合量は、ポリアミック酸100質量部に対して、0.2質量部以上3質量部以下であることが好ましい。
第1実施形態に係るポリアミック酸組成物は、例えば、次のようにして調製すればよい。
まず、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを、溶媒中で重合反応させて、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸溶液を得る。かかるポリアミック酸溶液は、メタノールなどの貧溶媒中に添加して、一旦、ポリアミック酸を貧溶媒中に析出させ、再沈殿させて精製する。析出したポリアミック酸をろ別した後、γ−ブチロラクトン等のポリアミック酸が溶解する溶媒に再溶解させ、ポリアミック酸溶液を得る。
ここで、酸性カーボンブラックの分散性を高めるため、ミキサーや攪拌子による攪拌、平行ロール、超音波分散などの物理的手法を用いて、ポリアミック酸溶液中の成分を混合してもよい。さらに酸性カーボンブラックの分散性を高める手法として、ポリアミック酸溶液中への分散剤の導入などの化学的手法が例示されるが、これらに限定されるものではない。
第2実施形態に係るポリアミック酸組成物は、第1実施形態に係るカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物と、末端アミノ基の総モル量(X)に対する末端カルボキシ基の総モル量(Y)の割合Y/Xが、0≦Y/X<0.4であるポリアミック酸及び溶媒を含み、且つ粘度が100Pa・s以上200Pa・s以下であるポリアミック酸溶液(以下、「末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液」と称する)と、を含むカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物である。
この理由は定かではないが、次の理由によるものと考えられる。
そして、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸の如く、ポリアミック酸の全末端がカルボキシ基である又はポリアミック酸が末端カルボキシ基過多である状態では、酸性カーボンブラック(その表面の酸性基)が水素結合を生じ難い状態となっている。このため、酸性カーボンブラックとポリアミック酸とが互いになじみ難い状態なっており、酸性カーボンブラックの分散性が低くい状態となっていると考えられる。
このため、酸性カーボンブラックとポリアミック酸とが互いになじみ易い状態となり、酸性カーボンブラックの分散性が高まるものと考えられる。
第2実施形態に係るポリアミック酸組成物は、末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液と、カーボンブラックと、必要に応じて他の添加剤と、を含んで構成されたポリアミック酸組成物に対して、さらに、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液を含んで構成されている。
末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液は、末端アミノ基過多ポリアミック酸と、溶媒と、必要に応じて、他の添加剤と、を含んで構成されている。但し、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液は、カーボンブラックを含まない。
この粘度は、ポリアミック酸の重量平均分子量、及び溶媒量等により調整される。
なお、「末端カルボキシ基」には、2つのカルボキシ基が脱水した末端無水カルボキシ基を含む。
なお、ポリアミック酸の主鎖部分は、アミド結合とカルボキシ基とが並存する繰り返し単位を含む構造であれば、特に制限されない。
具体的には、末端アミノ基過多ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体と、ジアミン化合物とを、ジアミン化合物過剰で重合させて合成することで得られる。
また、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸は、全末端基がアミノ基であるポリアミック酸と全末端がカルボキシ基であるポリアミック酸とを混合して得てもよい。
また、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸は、例えば、両端基がアミノ基であるポリアミック酸(DA)と両末端がカルボキシ基であるポリアミック酸(DC)とを混合して得てもよい。
一方で、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸は、例えば、ポリアミック酸の末端アミノ基を、カルボン酸モノ無水物で封止して得てもよい。
溶媒は、末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液の溶媒と同様なものが挙げられる。
溶媒含有量は、酸性カーボンブラックの分散性の観点から、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液全量に対し70質量%以上80質量%以下であることが好ましく、76質量%以上78質量%以下であることがより好ましい。
その他添加剤としては、例えば、酸性カーボンブラックの分散性を高めるための分散剤が挙げられる。
末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸は、例えば、第1実施形態に係るカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物に添加したの後のカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物のカーボンブラックの含有量が15質量%以上35質量%以下で、粘度が30Pa・s以上80Pa・sとなるように添加することがよい。
つまり、第1及び第2実施形態に係るポリアミック酸組成物を利用することで、ポリアミック酸組成物の保存時間によって、得られるベルト特性(機械的強度、電気抵抗)のバラツキも抑えられる。
本実施形態に係る無端ベルトは、第2実施形態(以下、本実施形態)に係るポリアミック酸組成物を用いて形成されたポリイミド樹脂層を有する。
本実施形態に係る無端ベルトは、当該ポリイミド樹脂層を有していれば、当該ポリイミド樹脂層の単層体であってもよいし、当該ポリイミド樹脂層を有する2層以上の積層体であってもよい。2層以上の積層体としては、当該ポリイミド樹脂層を基材層として、当該基材層の内周面又は外周面に機能層(例えば弾性層、離型層)等を設けた構成が挙げられる。
−表面抵抗率−
本実施形態に係る無端ベルトは、表面抵抗率が、常用対数値で9(LogΩ/□)以上13(LogΩ/□)以下であることが望ましく、10(LogΩ/□)以上12(LogΩ/□)以下であることがより望ましい。無端ベルトを画像形成装置の中間転写ベルトとして用いるとき、電圧印加の10sec後の表面抵抗率の常用対数値が13(LogΩ/□)を超えると、一次転写時に一次転写部材と中間転写ベルトとの間で放電が発生し画質欠陥が生じる場合がある。一方、電圧印加の10sec後の表面抵抗率の常用対数値が9(LogΩ/□)未満であると、中間転写ベルトに一次転写されたトナー像の保持力が不足し画質の粒状性や像乱れが発生する場合がある。
円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「UR-100プローブ」)を用い、JIS K6911に従って測定した。表面抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図1は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図1に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間にベルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出する。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
本実施形態に係る無端ベルトは、その全体の体積抵抗率は、常用対数値で8(LogΩcm)以上13(LogΩcm)以下であることが望ましい。無端ベルトを中間転写ベルトとして用いるとき、前記体積抵抗率の常用対数値が8(LogΩcm)未満であると、像保持体から中間転写ベルトに転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジのフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい、ノイズの大きい画像が形成される場合がある。一方、前記体積抵抗率の常用対数値が13(LogΩcm)を超えると、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で転写ベルト表面が帯電するために除電機構が必要となる場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、後述する導電剤の種類、及び導電剤の添加量により制御される。
円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのUR−100プローブ)を用い、JIS K6911に従って測定する。前記体積抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。測定は表面抵抗率と同一の装置で測定する。但し、図1に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’を備えた構成とする。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間にベルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印加した時に流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出する。ここで、下記式中、tは、ベルトTの厚さを示す。
式 ρv=19.6×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
画像形成装置用の各種ベルトとしては、例えば、中間転写ベルト、用紙搬送ベルト、定着ベルト等が挙げられる。
本実施形態に係る無端ベルトの製造方法は、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸及び溶媒を含み、且つ粘度が20Pa・s以下である末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液と、酸性カーボンブラックと、を含有するポリアミック酸組成物を準備する工程と、末端アミノ基過多ポリアミック酸及び溶媒を含み、且つ粘度が100Pa・s以上200Pa・s以下である末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液を準備する工程と、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸を含むポリアミック酸組成物と末端アミノ基過多ポリアミック酸溶液とを混合し、塗布液を準備する工程と、塗布液を芯体に塗布して、塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥した後、イミド化して、ポリイミド樹脂層を形成する工程と、を有する。
本工程は、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸及び溶媒を含み、且つ粘度が20Pa・s以下である末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液と、酸性カーボンブラックと、を含有するポリアミック酸組成物を準備する。
次に、例えば、末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液に、酸性カーボンブラックを添加し、混合しして、ポリアミック酸組成物を調整する。
ここで、末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液と酸性カーボンブラックとを混合する方法(カーボンブラックを末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液に分散させる方法)としては、セラミックビーズやボールといったメディアの衝突力を利用して粉砕するメディアミル、高圧でオリフィスを通過させ高せん断力をかけるとともに衝突させた際の衝撃力を利用する湿式ジェットミルやホモジナイザといった一般的に用いられる方法が挙げられる。
本工程では、末端アミノ基過多ポリアミック酸及び溶媒を含み、且つ粘度が100Pa・s以上200Pa・s以下である末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液を準備する。
具体的には、例えば、溶媒に末端アミノ基過多ポリアミック酸を溶解させ、目的とする粘度の末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液を調製する。
本工程では、末端カルボキシ基過多ポリアミック酸を含むポリアミック酸組成物と末端アミノ基過多ポリアミック酸溶液とを混合し、塗布液を準備する。
具体的には、例えば、ポリアミック酸組成物と末端アミノ基過多ポリアミック酸溶液とを、プラネタリー方式等の周知の攪拌装置により攪拌することにより混合して、塗布液を調製する。
本工程では、塗布液を芯体に塗布して、塗膜を形成する。
塗布液の芯体上への塗布方法は、特に制限はなく、例えば、塗布液に、円柱状芯体の外周面に浸漬する方法や、円柱状の芯体の外周面又は外周面に回転塗布する方法などを利用して、塗布液の塗膜を形成する。なお、ベルトの形成に際しては、芯体に、型の離型処理を施すことがよい。
芯体は、例えば、内部が空洞でない円柱状の芯体、または、内部が空洞になっている円筒状の芯体が用いられる。
本工程では、塗布液の塗膜を乾燥した後、イミド化して、ポリイミド樹脂層を形成する。
具体的には、例えば、まず、塗膜から溶媒を除去する目的で、20℃以上120℃以下の温度で、10分以上60分以下加熱することで、塗膜の乾燥を行う、この乾燥温度は、段階的に又は一定速度で上昇させてもよい。
また、乾燥を芯体の長手方向を縦にして行うと、塗膜の一部分に筋やむらが生じることもある。そのような場合には、芯体の長手方向を縦にして、さらに回転させることが有効である。回転速度は、10rpm以上100rpm以下がよいが、回転装置によってはこれより速くても遅くてもかまわない。
なお、イミド化の際、溶媒が残留しているとポリイミド樹脂層に膨れが生じることがあるため、イミド化前には、完全に残留溶媒を除去することがよく、具体的には、例えば、イミド化前に200℃以上250℃以下の温度で10分間以上30分間以下加熱乾燥することがよく、続けて、温度を段階的、または一定速度で上昇させて、ポリアミック酸をイミド化を行うことがよい。
なお、得られた無端ベルトは、芯体から抜き取り、必要に応じて、開け加工やリブ付け加工などの各種の後加工が施される。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写ベルトと、像保持体の表面に形成された前記トナー像を中間転写ベルトの表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写ベルトの表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
そいて、中間転写ベルトとして、本実施形態に係る無端ベルトが適用される。
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体を広く適用することができる。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などを用いることができる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、「導電性」とは例えば体積抵抗率が107Ω・cm未満を意味する。本明細書においては、特記がない限り同様である。)又は半導電性(ここで、「半導電性」とは例えば体積抵抗率が107〜1013Ωcmを意味する。本明細書においては、特記がない限り同様である。)のローラ、ブラシ、フィルム、又はゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器を広く適用することができる。これらの中でも、オゾンの発生が少なく、効率的な帯電を行うことができる接触型帯電器が好ましい。
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザー光、LED光、又は液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光できる光学系機器など、公知の露光装置を広く適用することができる。
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択することができる。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
1次転写ロール105a〜105dは単層或いは多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡又は無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。その抵抗値は105Ω以上1010Ω以下の範囲にあることが好ましい。1次転写ロール105a〜105dには1.0kV以上5.5kV以下の電圧が印加され、像保持体101a〜101dとの間に発生する電界により、トナーを転写する。
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、1次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、又はロールクリーニング等を用いることができる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、又はシリコーンゴム等が挙げられる。
2次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆するコーティング層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。コーティング層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。2次転写ロール109の体積抵抗率は107Ωcm以下であることが好ましい。また、中間層を除いた2層構造とすることも可能である。
バックアップロール108は、2次転写ロール109の対向電極を形成する。バックアップロール108の層構造は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のようなゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。バックアップロール108の表面抵抗率は107Ω/□以上1011Ω/□以下の範囲にあることが好ましい。
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器や加圧ローラ定着器、又はフラッシュ定着器など公知の定着器を広く適用することができる。
中間転写ベルトクリーニング装置112及び113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができ、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、又はシリコーンゴム等が挙げられる。
(ポリアミック酸溶液DA−1の調製)
分子鎖の両末端がアミノ基であるポリアミック酸として、ポリアミック酸DAを次のようにして合成した。
まず、NMP800g中に、ジアミン化合物として、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下「ODA」と略す)83.48g(416.9ミリモル)を加え、常温(25℃)で攪拌させながら溶解した。次いで、テトラカルボン酸二無水物として、3,3’,4,4’ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下「BPDA」と略す)116.52g(396.0ミリモル)を徐々に添加した。テトラカルボン酸二無水物の添加・溶解後、反応液の温度を60℃まで加熱して、その後反応液温度を保持したまま20時間重合反応を行い、ポリアミック酸DA及びNMPを含む反応液を得た。
得られた反応液を、#800のステンレスメッシュを用いてろ過して室温(25℃)まで冷却をして25℃における溶液粘度2.0Pa・s(東機産業社製、E型回転粘度計、TV−20Hを用い、標準ローター(1°34“×R24)で、測定温度:25℃、回転数:0.5rpm(100Pa・s以上)、1rpm(100Pa・s未満)の条件にて測定、以下の合成例も同様)のポリアミック酸溶液DA−1を得た。
得られたポリアミック酸DAの組成は、BPDA/ODA=95/100(モル/モル)となった。
分子鎖の両末端がカルボキシ基であるポリアミック酸として、ポリアミック酸DCを次のようにして合成した。
ODAを79.57g(397.4ミリモル)、BPDAを120.43g(409.3ミリモル)とした以外は、合成例1と同様にして、ポリアミック酸DC及びNMPを含む溶液粘度6.0Pa・sのポリアミック酸溶液DC−1を得た。
得られたポリアミック酸DCの組成は、BPDA/ODA=103/100(モル/モル)となり、下記構造を有するものであった。
・ポリアミック酸DAを含むポリアミック酸溶液DA−1 300g
・ポリアミック酸DCを含むポリアミック酸溶液DC−1 700g
上記組成を混合して、溶媒NMP量を調節することで粘度を調整して、粘度6Pa・sの末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液A1(イミド転化後の固形分率が18質量%)を調製した。
末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液A1中の全ポリアミック酸における末端カルボキシ基の総モル量(Y)に対する末端アミノ基の総モル量(X)の割合X/Yは0.3であった。
・ポリアミック酸DAを含むポリアミック酸溶液DA−1 700g
・ポリアミック酸DCを含むポリアミック酸溶液DC−1 300g
上記組成を混合して、溶媒NMP量を調節することで粘度を調整して、粘度130Pa・sの末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液B1(イミド転化後の固形分率が18質量%)を調製した。
末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液B1中の全ポリアミック酸における末端アミノ基の総モル量(X)に対する末端カルボキシ基の総モル量(Y)の割合Y/Xは0.3であった。
末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液A1に、カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製:pH3.0、揮発分14.0%)をポリアミック酸の固形分100質量部に対して80質量部となる量で添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm2]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行い、CB分散ポリアミック酸組成物C1の調製を調製した。
まず、調製後、温度22℃、湿度55%RHの環境下で2週間保管したCB分散ポリアミック酸組成物C1、及び末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液B1を用いて、次のように、塗布液を調製した。
CB分散ポリアミック酸組成物C1に、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液B2を混合後の全ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが21.2質量部となる量で添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、塗布液を調製した。
次に、調製した塗布液をアルミニウム製円筒体の内面に塗布し、塗布後は回転させ、厚み0.625mmの均一な塗膜を形成した。
次に、アルミニウム製円筒体を水平のまま、15rpmで回転させながら145℃で30分間加熱乾燥させ、乾燥膜を得た。このときの乾燥膜中の残留NMP率は20%であった。乾燥膜を320℃で30分間加熱させて、イミド化し、ポリイミド樹脂層を形成した。得られたポリイミド樹脂層を362mmの幅で切断し、外径366mm、幅369mm、膜厚100μmの無端ベルトを得た
表1に従った組成とした以外は、末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液A1と同様にして、粘度を調整した各末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸A2〜A10を調製した。
表1に従った組成とした以外は、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液B1と同様にして、粘度を調整した各末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸B2〜B9を調製した。
各末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸A2〜A10を用いた以外は、CB分散ポリアミック酸組成物C1と同様にして、CB分散ポリアミック酸組成物C2〜C10を調製した。
そして、各CB分散ポリアミック酸組成物C2〜C10、及び各ポリアミック酸B2〜B9を用いた以外は、実施例1と同様にして、無端ベルトを作製した。
但し、実施例12では、カーボンブラックとして、商品名「Special Black5(製造元:Degussa社製、pH3、揮発分15%)用いた。なお、実施例12で調製したCB分散ポリアミック酸組成物、塗布液の含有量は、ポリアミック酸に対して27質量%とした。
表2に従った組成とした以外は、末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液A1と同様にして、粘度を調整した各末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸CA1〜CA2を調製した。
表2に従った組成とした以外は、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液B1と同様にして、粘度を調整した各末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸CB1〜CB2を調製した。
各末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸CA1〜CA2を用いた以外は、CB分散ポリアミック酸組成物C1と同様にして、CB分散ポリアミック酸組成物CC1〜CC2を調製した。
そして、各CB分散ポリアミック酸組成物CC1〜CC2、及び各ポリアミック酸CB1〜CB2を用いた以外は、実施例1と同様にして、無端ベルトを作製した。
(粘度)
各例で用いた末端カルボキシ基過多低粘度ポリアミック酸溶液の「X/Y」値及び粘度、並びに、末端アミノ基過多高粘度ポリアミック酸溶液の「Y/X」値及び粘度を既述の方法により調べた。
また、各例で用いた各CB分散ポリアミック酸組成物の調製直後の初期粘度、及び温度22℃、湿度55%RHの環境下で2週間保管した経時粘度を既述の方法により調べた。
但し、比較例2については、混合不良のため、CB分散ポリアミック酸組成物の粘度については測定しなかった。
各例で得られた無端ベルトのヤング率を次のようにして測定した。
まず、無端ベルトから試料(1mm×10mm×10mm)を切り出した。
この試料を用いて、押し込み試験機(商品名:MODEL−1605N、製造元 アイコーエンジニアリング社製)により1mm/minの速度で試料全体を押し込み、そのときの荷重(N)と変位量(mm)の関係により求める。横軸に試料の変位量(mm)、縦軸にそのときの荷重(N)を取り、その傾きをヤング率(MPa)として求める。
但し、実施例7〜8、比較例2については、無端ベルトの成型不良のため、測定を行わなかった。
各例で得られた無端ベルトの面内抵抗ムラを次のようにして測定した。
無端ベルトの表面抵抗率を、ベルト1本につき、幅方向に3点、周方向に8点の計24点測定したときの最大値と最小値との差を求め、面内抵抗ムラを評価した。なお、表面抵抗率は、既述の方法に従って測定した。
但し、実施例7〜8、比較例2については、無端ベルトの成型不良のため、測定を行わなかった。
また、本実施例では、比較例に比べ、ヤング率が高く、面内抵抗ムラが抑制された無端ベルトが得られたことがわかる。
101Y、101M、101C、101BK 感光体ドラム
102 中間転写ベルト
105〜108 現像器
200 画像形成装置
200Y、200M、200C、200Bk 画像形成ユニット
206 転写搬送ベルト
Claims (5)
- 末端カルボキシ基の総モル量(Y)に対する末端アミノ基の総モル量(X)の割合X/Yが、0.1≦X/Y<0.4であるポリアミック酸であって、分子鎖の両末端がカルボキシ基であるポリアミック酸及び分子鎖の両末端がアミノ基であるポリアミック酸のみからなるポリアミック酸、並びに溶媒を含み、且つ粘度が20Pa・s以下であるポリアミック酸溶液と、
pH7未満のカーボンブラックと、
を含むカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物。 - 請求項1に記載のカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物と、
末端アミノ基の総モル量(X)に対する末端カルボキシ基の総モル量(Y)の割合Y/Xが、0≦Y/X<0.4であるポリアミック酸あって、分子鎖の両末端がアミノ基であるポリアミック酸のみからなるポリアミック酸、又は、分子鎖の両末端がカルボキシ基であるポリアミック酸及び分子鎖の両末端がアミノ基であるポリアミック酸のみからなるポリアミック酸、並びに溶媒を含み、且つ粘度が100Pa・s以上200Pa・s以下であるポリアミック酸溶液と、
を含むカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物。 - 、
請求項2に記載のカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物を用いて形成されたポリイミド樹脂層を有する無端ベルト。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写ベルトであって、請求項3に記載の無端ベルトで構成された中間転写ベルトと、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトの表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写ベルトの表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。 - 末端カルボキシ基の総モル量(Y)に対する末端アミノ基の総モル量(X)の割合X/Yが、0≦X/Y<0.4であるポリアミック酸、及び溶媒を含み、且つ粘度が20Pa・s以下である第1ポリアミック酸溶液と、pH7未満のカーボンブラックと、を含有するカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物を準備する工程と、
末端アミノ基の総モル量(X)に対する末端カルボキシ基の総モル量(Y)の割合Y/Xが、0≦Y/X<0.4であるポリアミック酸、及び溶媒を含み、且つ粘度が100Pa・s以上200Pa・s以下である第2ポリアミック酸溶液を準備する工程と、
前記第1ポリアミック酸溶液を含むカーボンブラック分散ポリアミック酸組成物と、前記第2ポリアミック酸溶液と、を混合し、塗布液を準備する工程と、
前記塗布液を芯体に塗布して、塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を乾燥した後、イミド化して、ポリイミド樹脂層を形成する工程と、
を有する無端ベルトの製造方法。
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