JP5747535B2 - 円筒状成形体及びその製造方法、円筒状成形体ユニット、画像形成装置用部材、画像形成装置、並びに樹脂組成物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、ポリウレタンからなる基層表面に、ポリフェニルサルホン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリカーボネートなどの熱可塑性エンジニアリングプラスチックに潤滑剤を含ませた表層を形成した中間転写体の発明が提案されている。
また、特許文献2では、ポリイミドからなる基材の外表面に、フッ素樹脂または二硫化モリブデンを吹き付け固着させ離型層を形成した積層構造体を中間転写ベルトとして用いる発明が提案されている。
特許文献3及び4では、フッ素樹脂粒子を熱可塑性樹脂中に混合して表面層を形成した中間転写体の発明が提案されている。
また、特許文献5のでは、ポリイミド基材中に熱伝導性粉体を分散して、ベルトの熱伝導性を高めることが提案されている。
また、特許文献6及び7では、フッ素樹脂、二硫化モリブデンなどの粉末を添加することでベルトに滑り性を付与させることが提案されている。
請求項1に係る発明は、
分子両末端にアミノ基を有し、該分子両末端のアミノ基が末端封止されていないポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂と、層状構造を持つ無機系潤滑性粉末と、を含んで構成される機能層を有し、
2層以上の積層体で構成され、最外層及び最内層の少なくとも一方として前記機能層を有し、又は前記機能層の単層で構成される円筒状成形体。
分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂と、層状構造を持つ無機系潤滑性粉末と、を含んで構成される機能層を有し、
2層以上の積層体で構成され、前記機能層を、最外層として有する円筒状成形体。
前記無機系潤滑性粉末が、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、及び黒鉛から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の円筒状成形体。
前記無機系潤滑性粉末の含有量が、前記機能層を構成する全樹脂成分100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の円筒状成形体。
前記円筒状成形体が、2層以上の積層体で構成され、
前記機能層と接する層が、ポリイミド系樹脂を含んで構成された層である請求項1〜4のいずれか1項に記載の円筒状成形体。
請求項1〜5のいずれか1項に記載の円筒状成形体と、該円筒状成形体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される円筒状成形体ユニット。
請求項1〜5のいずれか1項に記載の円筒状成形体で構成された画像形成装置用部材。
請求項7に記載の画像形成装置用部材を備える画像形成装置。
分子両末端にアミノ基を有し、該分子両末端のアミノ基が末端封止されていないポリイミド樹脂、及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂の前駆体と、
層状構造を持つ無機系潤滑性粉末と、
前記ポリイミド系樹脂の前駆体を溶解する溶媒と、
を含む樹脂組成物。
前記無機系潤滑性粉末が、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、及び黒鉛から選択される少なくとも1種である請求項9に記載の樹脂組成物。
前記無機系潤滑性粉末の含有量が、全樹脂成分100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下である請求項9又は10に記載の樹脂組成物。
請求項9〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物を、被塗布物上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜に対して加熱処理を施して、分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂、及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂と層状構造を持つ無機系潤滑性粉末とを含んで構成される機能層を形成する工程を有する円筒状成形体の製造方法。
請求項2に係る発明によれは、ポリイミド系樹脂として分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂以外の樹脂を適用した場合に比べ、少なくも外周面の離型性が維持される円筒状成形体を提供できる。
請求項3に係る発明によれば、無機系潤滑性粉末として、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、及び黒鉛から選択される少なくとも1種以外の粉末を適用した場合に比べ、外周面及び内周面の少なくとも一方の離型性が維持される円筒状成形体を提供できる。
請求項4に係る発明によれば、無機系潤滑性粉末の含有量が上記範囲外の場合に比べ、外周面及び内周面の少なくとも一方の離型性が維持される円筒状成形体を提供できる。
請求項5に係る発明によれば、機能層と接する層がポリイミド系樹脂を含んで構成されていない場合に比べ、機能層とそれと接する層との剥離が抑制される円筒状成形体が提供できる。
請求項8に係る発明によれば、ポリイミド系樹脂として分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂以外の樹脂を適用した円筒状成形体を備える場合に比べ、円筒状成形体における、外周面及び内周面の少なくとも一方の離型性の低減に起因する画像欠陥が抑制される画像形成装置を提供できる。
請求項10に係る発明によれば、無機系潤滑性粉末として、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、及び黒鉛から選択される少なくとも1種以外の粉末を適用した場合に比べ、離型性が維持される機能層を得る樹脂組成物を提供できる。
請求項11に係る発明によれば、無機系潤滑性粉末の含有量が上記範囲外の場合に比べ、離型性が維持される機能層を得る樹脂組成物を提供できる。
図1は、実施形態に係る円筒状成形体を示す概略斜視図である。図2は、図1のA−A概略断面図である。
そして、最外層11として、分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂と、層状構造を持つ無機系潤滑性粉末と、を含んで構成される機能層(以下、ポリイミド系樹脂層と称することがある)を適用している。
この理由は定かではないが、以下の理由によるものと推測される。
そして、親和性が高まるが故に、層状構造を持つ無機系潤滑剤粉末は、ポリイミド系樹脂で構成される層中に、その主面(厚み方向に対向する面)が層表面に沿って(つまり対向するようにして)配合されるものと考えられる。
また、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子と溶媒に分散させると、溶媒と熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子との間、溶媒とフッ素樹脂粒子との間に相互作用力が生じて、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子は、溶媒中で分散安定化する。分散が安定化している状態で塗布を行うと、その分散安定化された状態にて、塗布膜が形成されることとなる。その後、加熱処理を行うことで、溶媒分が留去されるが、熱可塑性ポリイミド系樹脂粒子とフッ素樹脂粒子通しが密着して、運動性が低下し固定化される。この際に、互いの粒子が混ざり合った状態が形成されるものと考える。
また、最外層11は、樹脂成分よりも硬い無機系潤滑性粉末の主面が露出し易い状態であると共に、無機系潤滑性粉末がポリイミド系樹脂と親和性が高まった状態で層中に配合されていることから、磨耗され難く、磨耗に起因する磨耗粉の発生が抑制されるとも考えられる。
一方、上記ポリイミド系樹脂層が無端ベルト10の外周面ではなく内周面を構成する場合(図3参照)には、内周面の離型性が維持されると考えられる。
そして、当該画像形成装置用部材を備えた画像形成装置では、外周面及び内周面の少なくとも一方の離型性の低下に起因する画像欠陥が抑制される。
まず、最外層11について説明する。
最外層11は、例えば、分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂と、層状構造を持つ無機系潤滑性粉末と、を含んで構成されるポリイミド系樹脂層である。
つまり、ポリイミド系樹脂層は、上記樹脂組成物の塗膜に対して、加熱処理を施し、ポリイミド系樹脂の前駆体のイミド化反応を生じさせ、ポリイミド系樹脂を形成することで得られる層である。
ポリイミド系樹脂(その前駆体)について説明する。
ポリイミド系樹脂としては、分子主鎖繰り返し単位中に、イミド環を有する樹脂であり、分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂が適用される。
そして、これらポリイミド系樹脂の前駆体としては、例えば、イミド化反応を経てイミド環へと変化するアミック酸構造を持つ前駆体が適用される。
分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂としては下記一般式(1)で示されるポリイミド樹脂(但し、一般式(1)中、n/(m+n)≦0.1、又はn=0を示す)が好適に挙げられ、その前駆体としては下記一般式(1)で示されるポリアミック酸樹脂(但し、一般式(1)中、n/(m+n)≧0.5、又はm=0を示す)が好適に挙げられる。
R2、R4、及びR5としては、それぞれ独立に2価の有機基を示す。
m、及びnは、それぞれ独立に0又は1以上の整数を表す。
但し、一般式(1)で示される化合物が、ポリイミド樹脂を示す場合、n/(m+n)≦0.1、又はn=0を示し、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を示す場合、n/(m+n)≧0.5、又はm=0を示す。
これらの中でも、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸が望ましい。
これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンが望ましい。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いる。
ジアミン化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
これらのジアミン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いる。
なお、ポリイミド樹脂(その前駆体)の分子両末端にアミノ基を持たせるには、例えば、重合反応の際に使用するジアミン化合物のモル当量を、テトラカルボン酸のモル当量より過剰に添加することで行われる。ジアミン化合物とテトラカルボン酸とのモル当量の比は、テトラカルボン酸のモル当量を1に対して、1.0001以上1.2以下の範囲とすることがよく、好ましくは1.001以上1.2以下の範囲である。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸とのモル当量の比が、1.0001未満では、分子量末端のアミノ基の効果が小さく、良好な分散性を得ることができないことがある。また、1.2を超える場合、得られるポリアミック酸の分子量が小さく、ベルト強度(引裂き強度、引張り強度、)が低くなってしまうことがある。
化学的にイミド化する反応は、ポリアミック酸溶液中に脱水剤及び/又は触媒を添加し必要に応じて加熱することにより行われる。脱水閉環の反応温度は、通常0℃以上180℃以下、望ましくは60℃以上150℃以下とされる。
分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂としては、分子骨格中に剛直なイミド基と柔軟性を付与するアミド基とを有する樹脂であり、例えば、下記一般式(2)で示されるポリアミドイミド樹脂(但し、一般式(2)中、n1/(m1+n1)≦0.1、又はn1=0を示す)が好適に挙げられ、その前駆体としては下記一般式(2)で示されるポリアミック酸樹脂(但し、一般式(2)中、n1/(m1+n1)≧0.5、又はm1=0を示す)が好適に挙げられる。
R12、R14、及びR15としては、それぞれ独立に2価の有機基を示す。
m1、及びn1は、それぞれ独立に0又は1以上の整数を表す。
但し、一般式(2)で示される化合物が、ポリアミドイミド樹脂を示す場合、n1/(m1+n1)≦0.1、又はn1=0を示し、ポリアミドイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸樹脂を示す場合、n1/(m1+n1)≧0.5、又はm1=0を示す。
これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンが望ましい。
また、得られたポリアミック酸樹脂は、部分的にイミド化反応を行ったポリアミック酸−ポリアミドイミド共重合体であってもよい。
以下、各製造方法の詳細について説明する。
酸クロライド法に用いられる酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体ハライド化合物(誘導体クロライド化合物)としては、例えば、下記一般式(2−1)で示される化合物が挙げられる。
一般式(2−1)中、Xとしては、塩素原子、つまりクロライドが望ましい。
これらのカルボン酸の誘導体ハライド化合物(誘導体クロライド化合物)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いる。
芳香族ジアミンとしては、 m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、オキシジアニリン、メチレンジアミン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアミン、ジアミノ−m−キシリレン、ジアミノ−p−キシリレン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、イソプロピリデンジアニリン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド等が挙げられる。
これらのジアミン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いる。
本有機極性溶媒としては、ポリアミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸樹脂と同様なものが挙げられる。
イソシアネート法に用いられる酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体としては、例えば、下記一般式(2−2)で示される化合物が好適に挙げられる。
これらの芳香族ポリイソシアネートは、単独で又は2種以上組み合わせて用いる。
本有機極性溶媒としては、ポリアミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸樹脂と同様なものが挙げられる。
ジイソシアネート化合物とトリメリット酸とのモル当量の比が、1.0001未満では、分子量末端のアミノ基の効果が小さく、良好な分散性を得ることができないことがある。また、1.2を超える場合、 得られるポリアミドイミドの分子量が小さく、ベルト強度(引裂き強度、引張り強度、)が低くなってしまうことがある。
無機系潤滑性粉末は、層状の粉末、具体的には層状の結晶構造を有するもので、各層面に沿って滑る構造を持つ個体潤滑剤である。
無機系潤滑性粉末として具体的には、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、二硫化タングステン、フッ化黒鉛、黒鉛(グラファイド)等が挙げられる。
これらの無機系潤滑性粉末は、単独で又は2種以上組み合わせて用いる。
無機系潤滑性粉末の平均粒径は、数平均粒子径を示し、10μm以上600μm以下の範囲の粒子については、レーザ回折法を用い、3nm以上10μm未満の粒径については動的散乱方式にて測定した。レーザ回折法を用いた測定装置としては、特に制限はないが例えば、堀場製作所社製LA−300を用いられる。また、動的散乱方式を用いた測定装置としては、堀場製作所社製LB−500を用いられる。いずれの場合も試料粒子を純水に0.1質量%の濃度となるように添加した後、攪拌しながら超音波を印加して分散したものを装置に設置して測定した値である。
無機系潤滑性粉末の含有量を上記範囲とすると、ポリイミド系樹脂層の表面の離型性が維持され易くなる。
なお、無機系潤滑性粉末の含有量が多すぎると、ポリイミド系樹脂層の強度が低下することある。
ポリイミド系樹脂層を形成するための樹脂組成物に使用する溶媒について説明する。
溶媒は、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンの如き芳香族炭化水素も使用可能である。
溶媒は、ポリイミド系樹脂の前駆体を溶解するものであれば特に限定されない。
導電材料について説明する。
導電材料としては、導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)のものが挙げられる。
導電材料として具体的は、例えば、カーボンブラック(例えばケッチエンブラック、アセチレンブラック、表面が酸化処理されたカーボンブラック等)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、酸化金属化合物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)、導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなど)等が挙げられる。
導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
3級アミンは、イミド化反応の触媒と働くものであり、例えば、ピリジン、ピコリン、コリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミンから選ばれる1種又は2種以上を好適に挙げられる。
カルボン酸無水物は、イミド化反応時の脱水剤として働き、イミド化反応を促進するものである。カルボン酸無水物としては、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブタン酸無水物及びシュウ酸無水物などが挙げられ、これらの中でも無水酢酸が好適である。これらは、1種類又は2種類以上用いてもよい。
−分散剤−
ポリイミド系樹脂層を形成するための樹脂組成物に使用する分散剤について説明する。
分散剤としては、無機系潤滑性粉末や導電材料(粒状の導電材料)を分散させるためのものであり、低分子量でも高分子量のものでもよく、またカチオン系、アニオン系、非イオン系から選ばれるいずれの種類の分散剤が挙げられるが、特に、非イオン系高分子が望ましい。
非イオン系高分子としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の非イオン系高分子を添加してもよい。
本分散剤の添加量は、全樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上3質量部以下であることがよい。
樹脂組成物の固形分濃度は、特に規定されるものではないが、無端ベルト製造時の塗工プロセスのしやすさより選択される。塗工上、樹脂組成物の粘度としては、例えば、一般に1Pa・s以上100Pa・s以下が望ましく、その粘度となる樹脂組成物の固形分濃度としては、例えば、塗工溶媒(例えば有機極性溶媒)100質量部に対して10質量%以上40質量%以下が望ましい。
次に、基材層12について説明する。
基材層12は、樹脂材料を含んで構成される。基材層12も、無端ベルト10の用途に応じて(例えば中間転写体[中間転写ベルト]や、搬送転写体[搬送転写ベルト]等の転写ベルトに適用する場合)、導電材料を含んで構成される。
樹脂材料としては、樹脂材料は、そのヤング率が、ベルト厚みによっても異なるが、望ましくは、3500MPa以上、より望ましくは4000MPa以上であればよく、ベルトとしての機械特性が満足される。樹脂としては、上記ヤング率を満たせば、制限はないが、例えば、ポリイミド系樹脂(例えば、熱可塑性、又は熱硬化性のポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエステル樹脂などが挙げられる。
導電材料についても、最外層11を構成する導電材料と同様なものが挙げられる。
次に、本実施形態に係る無端ベルト10の特性について説明する。
本実施形態に係る無端ベルト10が中間転写体(中間転写ベルト)に適用される場合、その外周面の表面抵抗率は、常用対数値で8(LogΩ/□)以上13(LogΩ/□)以下であることが望ましく、8(LogΩ/□)以上12(LogΩ/□)以下であることがより望ましい。表面抵抗率の常用対数値が13(LogΩ/□)を超えると、二次転写時に記録媒体と中間転写体とが静電吸着し、記録媒体の剥離ができなくなる場合がある。一方、表面抵抗率の常用対数値が8(LogΩ/□)未満であると、中間転写体に一次転写されたトナー像の保持力が不足し画質の粒状性や像乱れが発生する場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、導電材料の種類、及び導電材料の添加量により制御される。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
式ρv=19.6×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
以下、本実施形態に係る無端ベルト10の製造方法について説明する。
なお、無端ベルト10として、基材層12の樹脂材料としてポリイミド樹脂、基材層12及び最外層11に導電材料としてカーボンブラックを含ませた形態の製造方法について説明するが、これに限られるわけではない。
具体的には、例えば、有機極性溶媒中にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を溶解させ、これにカーボンブラックを分散させた後、重合してカーボンブラックを分散させたポリアミド酸樹脂の溶液を準備する。
この際、ポリアミド酸樹脂の溶液における、モノマー濃度(溶媒中におけるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の濃度)は種々の条件により設定されるが、5質量%以上30質量%以下が望ましい。また、重合反応温度は80℃以下に設定することが望ましく、特に望ましくは5℃以上50℃以下であり、重合反応時間は5時間以上10時間以下である。
塗布液の円筒状金型への塗布方法は、特に制限はなく、例えば、円筒状金型の外周面に浸漬する方法や、円筒状金型の内周面に塗布する方法、軸を水平にして円筒状金型を回転させながら、その外周面又は内周面に「らせん塗布方法」や「ダイ方式塗布方法」により塗布する方法等が挙げられる。
塗布液の円筒状金型への塗布方法は、特に制限はなく、基材層形成用塗布液の塗布方法と同様である。
本加熱処理は、基材層12となる皮膜のポリアミック酸がイミド化する条件(温度・時間)で行う。
そして、本加熱処理を行った後、皮膜を芯体から抜き取る。これにより、基材層12及び最外層11の積層体である無端ベルト10が得られる。
また、基材層12を複数層としてもよく、基材層12と最外層11との間、基材層12と最内層13との間に、中間層(例えば無端ベルト10を電磁誘導加熱方式の加熱ベルトとして適用する場合、金属発熱層等)等を設けた形態であってもよい。
図5は、本実施形態に係る円筒状成形体ユニットを示す概略斜視図である。
本実施形態に係る円筒状成形体ユニット130(以下、無端ベルトユニットと称する)は、図5に示すように、上記本実施形態に係る無端ベルト10を備えており、例えば、無端ベルト10は対向して配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、「張架」という場合がある。)。
ここで、本実施形態に係る無端ベルトユニット130は、無端ベルト10を中間転写体として適用させる場合、無端ベルト10を張架するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を無端ベルト10上に一次転写させるためのロールと、無端ベルト10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に二次転写させるためのロールが配置される。
なお、無端ベルト10を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の無端ベルトユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って無端ベルト10も張架した状態で回転する。
本実施形態に係る無端ベルトは、画像形成装置用部材(本実施形態に係る画像形成用部材)として利用し得る。
画像形成装置用部材としては、例えば、中間転写体(中間転写ベルト)、記録媒体搬送転写部材(記録媒体搬送ベルト)、記録媒体搬送部材(記録媒体搬送ベルト)、定着部材(定着ベルト:加熱ベルトや加圧ベルト)等が挙げられる。
なお、本実施形態に係る無端ベルトは、画像形成装置用部材以外にも、例えば、搬送ベルト、駆動ベルト、ラミネートベルト、電気絶縁材、配管被覆材、電磁波絶縁材、熱源絶縁体、電磁波吸収フィルム等にも利用し得る。
本実施形態に係る画像形成装置は、本実施形態に係る無端ベルトで構成された画像形成装置用部材(本実施形態に係る画像形成用部材)を備えて構成される。
例えば、本実施形態に係る画像形成装置は、中間転写体(中間転写ベルト)、記録媒体搬送転写部材(記録媒体搬送ベルト)、記録媒体搬送部材(記録媒体搬送ベルト)、定着部材(定着ベルト:加熱ベルトや加圧ベルト)等の画像形成装置用部材として、本実施形態に係る無端ベルト10を備える。
なお、以下に示す具体例において、定着手段としては、一対の定着ロールを備えたものが用いられているが、少なくとも一方の定着ロールを定着ベルトに置き換え、当該定着ベルトとして本実施形態に係る無端ベルトを備えたものでもよい。
従って、例えば、感光体101Yに書き込まれた静電潜像はイエローの画像情報に対応したものであり、この静電潜像はイエロー(Y)のトナーを内包する現像装置105で現像され、感光体101Y上にはイエローのトナー像が形成される。
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中で、五酸化リンによって乾燥した窒素ガスを通じながら、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略する場合もある)1954.0gを注入した。液温度を60℃まで加熱した後に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル200.2g(1.0モル)を添加して溶解させた。溶解の確認後、溶液温度を60℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物288.3g(0.98モル)を添加して、攪拌・溶解した。テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、60℃に保持しながら、攪拌を続けて、ポリアミック酸樹脂の重合反応を行った。24時間反応を行い、固形分濃度20質量%のアミノ基を分子両末端とするポリアミック酸樹脂組成物(PAA−1)を得た。
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中で、五酸化リンによって乾燥した窒素ガスを通じながら、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略する場合も有る)1961.6gを注入した。液温度を60℃まで加熱した後に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル196.2g(0.98モル)を添加して溶解させた。溶解の確認後、溶液温度を60℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物294.2g(1.0モル)を添加して、攪拌・溶解した。テトラカルボン酸二無水物の溶解を確認後、さらに、60℃に保持しながら、攪拌を続けて、ポリアミック酸樹脂の重合反応を行った。24時間反応を行い、固形分濃度20質量%のジカルボン酸無水物基を分子両末端とするポリアミック酸樹脂組成物(PAA−2)を得た。
ポリアミック酸組成物(PAA−1)500g中に、非イオン系高分子としてポリビニル−2−ピロリドン(BASFジャパン社株式会社製、Luvitec(R)K17:以下「PVP」と略する場合もある)0.5gを添加・溶解させた。乾燥した導電材料としての酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%:以下「CB」と略する場合もある)25.0g、無機系潤滑性粉末として、窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)10.0gを添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラック、窒化ホウ素の分散を行い、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−1)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :10.0g
無機系潤滑性粉末を二硫化モリブデン(住鉱潤滑剤(株)製MolyPowderPS:平均粒径0.4μm)に変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・二硫化モリブデン)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−2)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・二硫化モリブデン :10.0g
無機系潤滑性粉末を添加しない以外は調整例1と同様にして、CB分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−3)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
無機系潤滑性粉末(窒化ホウ素)の代わりに、PTFE粒子(旭硝子社製PTFE粒子:FluonPTFEルブリカントI73J:平均粒径7μm)に変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・PTFE)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−4)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・PTFE :10.0g
アミノ基を分子両末端とするポリアミック酸樹脂組成物(PAA−1)の代わりに、ジカルボン酸無水物基を分子両末端とするポリアミック酸樹脂組成物(PAA−2)に変更した以外は調整例1と同様に処理して、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−5)を調整した。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :10.0g
アミノ基を分子両末端とするポリアミック酸樹脂組成物(PAA−1)の代わりに、ジカルボン酸無水物基を分子両末端とするポリアミック酸樹脂組成物(PAA−2)に変更した以外は調整例1と同様に処理して、(CB・二硫化モリブデン)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−6)を調整した。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・二硫化モリブデン :10.0g
無機系潤滑性粉末を黒鉛(日本黒鉛社製鱗状黒鉛粉末J−CPB(平均粒径5μm))に変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・黒鉛)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−7)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・黒鉛 :10.0g
無機系潤滑性粉末である窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)を30.0gに変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−8)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :30.0g
無機系潤滑性粉末である窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)を5.0gに変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−9)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :5.0g
無機系潤滑性粉末である窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)を40.0gに変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−10)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :40.0g
無機系潤滑性粉末である窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)を2.0gに変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−11)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :2.0g
無機系潤滑性粉末である窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)を50.0gに変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−13)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :50.0g
無機系潤滑性粉末である窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)を1.0gに変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−13)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :1.0g
無機系潤滑性粉末である窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)を55.0gに変更した以外は調整例1と同様にして、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−14)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミック酸樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :55.0g
ポリアミドイミド樹脂として、ポリアミドイミド樹脂がNMP溶剤に溶解したワニス(東洋紡社製バイロマックスHR16−NN)に、NMPを加えて5倍に希釈した後、大過剰量のメタノール中に滴下して、ポリアミドイミド樹脂を析出させた。析出物をG3グラスフィルターにて濾別した後、真空下(〜2mmHg)/40℃で12時間乾燥させたポリアミドイミド樹脂を得た。
このポリアミドイミド樹脂100gをNMP400gに溶解したポリアミドイミド樹脂中に、非イオン系高分子としてポリビニル−2−ピロリドン(BASFジャパン社株式会社製、Luvitec(R)K17)0.5gを添加・溶解させた。乾燥した導電材料としての酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%:以下「CB」と略する場合もある)25.0g、無機系潤滑性粉末として、窒化ホウ素(水島合金鉄株式会社製SHP−3:平均粒径4μm以上7μm以下)15.0gを添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラック、窒化ホウ素の分散を行い、(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミドイミド樹脂組成物(A−15)を得た。以下、その組成を示す。
・ポリアミドイミド樹脂:100g
・NMP :400g
・PVP :0.5g
・CB :25.0g
・窒化ホウ素 :15.0g
基材層形成用塗布液として(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−1)を、外径366mm、長さ450mmの円筒状SUS製金型表外面に塗布した。なお、この円筒状金型には、表面にフッ素系の離型剤を予め塗布することで、ベルト成形後の剥離性を向上させておいた。
次に、金型を回転させながら、温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行った。乾燥処理後、クリーンオーブン中で、300℃、30分間焼成処理を行い、イミド化反応を進行させた。その後、金型を室温(25℃)で放冷し、金型から樹脂を取り外し、目的の無端ベルト基材(B−1)を得た。
基材層形成用塗布液として(CB・二硫化モリブデン)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−2)を用いた以外は、無端ベルト(B−1)と同様にして無端ベルト基材(B−2)を作製した。
基材層形成用塗布液としてCB分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−3)を、円筒状SUS製金型表外面に焼成後の膜厚が50μmとなるように塗布した。
次に、金型を回転させながら、温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行い、基材層となる皮膜を形成した。
次に、乾燥処理後、基材層となる皮膜表面に、最外層形成用塗布液として(CB・窒化ホウ素)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−1)を30μm膜厚になるように塗布して、金型を回転させながら、温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行い、最外層となる皮膜を形成した。
次に、乾燥処理後、リーンオーブン中で、300℃、約30分間焼成処理を行い、基材層となる皮膜及び最外層となる皮膜のイミド化反応を進行させた。
その後、金型を室温で放冷し、金型から樹脂を取り外し、積層化された無端ベルト基材(B−3)を作製した。
基材層形成用塗布液としてCB分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−3)を、円筒状SUS製金型表外面に焼成後の膜厚が50μmとなるように塗布した。
次に、金型を回転させながら、温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行い、基材層となる皮膜を形成した。
次に、乾燥処理後、基材層となる皮膜表面に、最外層形成用塗布液として(CB・二硫化モリブデン)分散ポリアミック酸樹脂組成物(A−2)を30μm膜厚になるように塗布して、金型を回転させながら、温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行い、最外層となる皮膜を形成した。
次に、乾燥処理後、リーンオーブン中で、300℃、約30分間焼成処理を行い、基材層となる皮膜及び最外層となる皮膜のイミド化反応を進行させた。
その後、金型を室温で放冷し、金型から樹脂を取り外し、積層化された無端ベルト基材(B−4)を作製した。
基材層形成用塗布液および最外層形成用塗布液として、表2〜表3に従った塗布液を用いた以外は、実施例3と同様にして、積層化された無端ベルト(B−5)〜(B−14)を作製した。
基材層形成用塗布液として,表3に従ったポリアミック酸樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、単層無端ベルト基材(B−15)、(B−16)、(B−17)、(B−18)を作製した。
最外層形成用塗布液として、表4に従ったポリアミック酸樹脂組成物を用いた以外は、実施例3と同様にして、積層無端ベルト(B−19)、(B−20)を作製した。
各例で得られた無端ベルトにつき、以下の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
得られた無端ベルトの作製直後の膜厚について測定した。
無端ベルトの膜厚測定は、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを用い、同一試料ついて5回測定を行い、その平均値をベルト膜厚とした。
得られた無端ベルトから150mm×15mmの試験片を作製した。
JIS−C5016に準じて、試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数を測定した。同一試料について10回の測定を行い、その平均値をもって耐折性の評価結果とした。測定データとした。測定機は、東洋精機MIT耐揉疲労試験機MIT−DAを使用した。
得られた無端ベルトの表面抵抗率を該述の方法により測定した。
富士ゼロックス社製ApeosPort−III C4400改造機(プロセス速度:250mm/sec、一次転写電流:35μAに改造)に、中間転写ベルトとして得られた無端ベルトを装着し、低温低湿(10℃15%RH)で、Cyan、Magentaの50%ハーフトーンを富士ゼロックス社製C2紙に5000枚出力し、5000枚目の出力画像の画質について濃度ムラ及び斑点欠陥を目視で評価した。なお、各評価基準は以下の通りである。
◎:濃度ムラが確認されない。
○:濃度ムラが僅かに確認できたが、問題のないレベルである。
×:濃度ムラがはっきりと確認できた。
◎:斑点欠陥が確認されない。
○:斑点欠陥が僅かに確認できたが、問題のないレベルである。
×:斑点欠陥がはっきりと確認できた。
また、画像出力後、中間転写ベルトとしての無端ベルトを取り出し、ベルト膜厚をベルト作製直後と同様に測定した。
また、本実施例で示した各無端ベルトは、比較例で示した各無端ベルトに比べ、画像出力後の表面故障もなく、かつ、膜厚変化もないことがわかる。
また、本実施例で示した各無端ベルトは、比較例で示した各無端ベルトに比べ、高い耐久性を有し、駆動に際して繰り返し曲げ・伸び応力のかかる中間転写ベルトとしての機械強度を有することがわかる。
また、比較例1に示した、フッ素樹脂粒子を配合した単層無端ベルト(B−5)は、機械強度、出力画像の画質には、優れるものの、駆動に伴い膜厚の摩耗劣化が大きく、長期間の使用に耐えるものではなかった。
また、比較例2、3に示した、分子両末端がジカルボン酸二無水物基であるポリイミド樹脂中に無機系潤滑性粉末を分散した単層無端ベルト(B−6)、(B−7)は、無機系潤滑性粉末の分散性が悪いためか、良好な出力画像の画質を得ることができなかった。
また、比較例2、3に示した、分子両末端がジカルボン酸二無水物基であるポリイミド樹脂中に無機系潤滑性粉末を分散した単層無端ベルト(B−6)、(B−7)は、ポリイミド樹脂と無機系潤滑性粉末との親和性が悪いためか、ベルト駆動に伴い、表面摩耗が生じてしまい、異物付着、表面故障が生じ、さらにはベルト膜厚の減少、膜厚ばらつきの増大を引き起こしてしまった。
11 最外層
12 基材層
12 最内層
100 画像形成装置
101Y、101M、101C、101BK 感光体
102 中間転写ベルト
105〜108 現像器
200 画像形成装置
200Y、200M、200C、200Bk 画像形成ユニット
206 記録媒体搬送転写ベルト
Claims (12)
- 分子両末端にアミノ基を有し、該分子両末端のアミノ基が末端封止されていないポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂と、層状構造を持つ無機系潤滑性粉末と、を含んで構成される機能層を有し、
2層以上の積層体で構成され、最外層及び最内層の少なくとも一方として前記機能層を有し、又は前記機能層の単層で構成される円筒状成形体。 - 分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂と、層状構造を持つ無機系潤滑性粉末と、を含んで構成される機能層を有し、
2層以上の積層体で構成され、前記機能層を、最外層として有する円筒状成形体。 - 前記無機系潤滑性粉末が、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、及び黒鉛から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の円筒状成形体。
- 前記無機系潤滑性粉末の含有量が、前記機能層を構成する全樹脂成分100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の円筒状成形体。
- 前記円筒状成形体が、2層以上の積層体で構成され、
前記機能層と接する層が、ポリイミド系樹脂を含んで構成された層である請求項1〜4のいずれか1項に記載の円筒状成形体。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の円筒状成形体と、該円筒状成形体を張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に対して脱着される円筒状成形体ユニット。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の円筒状成形体で構成された画像形成装置用部材。
- 請求項7に記載の画像形成装置用部材を備える画像形成装置。
- 分子両末端にアミノ基を有し、該分子両末端のアミノ基が末端封止されていないポリイミド樹脂、及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂の前駆体と、
層状構造を持つ無機系潤滑性粉末と、
前記ポリイミド系樹脂の前駆体を溶解する溶媒と、
を含む樹脂組成物。 - 前記無機系潤滑性粉末が、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、及び黒鉛から選択される少なくとも1種である請求項9に記載の樹脂組成物。
- 前記無機系潤滑性粉末の含有量が、全樹脂成分100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下である請求項9又は10に記載の樹脂組成物。
- 請求項9〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物を、被塗布物上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜に対して加熱処理を施して、分子両末端にアミノ基を有するポリイミド樹脂及び分子両末端にアミノ基を有するポリアミドイミド樹脂から選択される少なくも1種のポリイミド系樹脂と層状構造を持つ無機系潤滑性粉末とを含んで構成される機能層を形成する工程を有する円筒状成形体の製造方法。
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