JP6798364B2 - 転写ベルト、転写ベルトユニット、画像形成装置及び転写ベルトの製造方法 - Google Patents

転写ベルト、転写ベルトユニット、画像形成装置及び転写ベルトの製造方法 Download PDF

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本発明は、転写ベルト、転写ベルトユニット、画像形成装置及び転写ベルトの製造方法に関する。
画像形成装置に用いられるベルト部材(中間転写ベルト等)として、二層構造を成すベルト部材が提案されている。
例えば、特許文献1には、いずれもポリイミド系樹脂を樹脂成分とする外層と内層とからなり、少なくとも前記外層を構成する外層ポリイミド系樹脂は導電性物質を含有していると共に、前記外層ポリイミド系樹脂の弾性率が前記内層を構成する内層ポリイミド系樹脂の弾性率よりも小さいことを特徴とする半導電性シームレスベルトが開示されている。
また、特許文献2には、導電材を分散させたポリイミド樹脂層を積層して、内周面層と、該内周面層よりも高抵抗の外周面層とを有する中間転写ベルトにおいて、上記内周面層と上記外周面層のポリイミド樹脂層は、樹脂材料とポリイミド樹脂中の導電材の比率が同一で、各層形成時の乾燥温度が異なるものであり、500V印加時の該外周面層の表面抵抗率の常用対数値、該内周面層の表面抵抗率の常用対数値、及び100V印加時の該ベルトの体積抵抗率の常用対数値が特定の関係であることを特徴とする中間転写ベルトが開示されている。
また、特許文献3には、ポリアミド樹脂を含む基層と、芳香族ポリイミド系樹脂を含む表層とを有する導電性エンドレスベルトが開示されている。
特開2002−162836号公報 特開2013−125201号公報 特開2012−215659号公報
本発明の課題は、内面側から順に、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂Aを含む第1の樹脂層と、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂Bを含む第2の樹脂層と、を有する転写ベルトにおいて、第1の樹脂層及び第2の樹脂層が共に溶媒として溶媒A1のみを含む場合に比べ、優れたクリーニング性及び高い耐屈曲性が両立される転写ベルトを提供することである。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、
ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂A、並びに、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1を含む第1の樹脂層と、
前記第1の樹脂層の外周面に配置され、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂B、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒B1を含む第2の樹脂層と、
を有する転写ベルトである。
請求項2に係る発明は、
前記第1の樹脂層に含まれる前記樹脂Aの少なくとも1種及び前記第2の樹脂層に含まれる前記樹脂Bの少なくとも1種が、同じ構造の構成単位のみからなる請求項1に記載の転写ベルトである。
請求項3に係る発明は、
前記溶媒B1が、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、及び3−nブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒である請求項1又は請求項2に記載の転写ベルトである。
請求項4に係る発明は、
前記溶媒B1が、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転写ベルトである。
請求項5に係る発明は、
前記第1の樹脂層の平均膜厚が、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層の平均膜厚の和に対して、50%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトである。
請求項6に係る発明は、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の転写ベルトと、
前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、
を備え、画像形成装置に脱着される転写ベルトユニットである。
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の転写ベルトと、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を、前記転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、
前記転写ベルトの外周面に一次転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に二次転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
前記転写ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置である。
請求項8に係る発明は、
ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、並びに、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1を含む組成物を硬化させて第1の樹脂層を形成する工程と、
ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒B1を含む組成物を硬化させて、前記第1の樹脂層の外周面に第2の樹脂層を形成する工程と、
を有する転写ベルトの製造方法である。
請求項1又は3に係る発明によれば、内面側から順に、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂Aを含む第1の樹脂層と、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂Bを含む第2の樹脂層と、有する転写ベルトにおいて、第1の樹脂層及び第2の樹脂層が共に溶媒として溶媒A1のみを含む場合に比べ、優れたクリーニング性及び高い耐屈曲性が両立される転写ベルトが提供される。
請求項2に係る発明によれば、樹脂Aの少なくとも1種及び樹脂Bの少なくとも1種が同じ構造の構成単位のみからなる樹脂を含まない場合に比べて、反りが抑制された転写ベルトが提供される。
請求項4に係る発明によれば、溶媒B1が、テトラメチル尿素、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、又は3−nブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドである場合に比べて、耐屈曲性が向上する転写ベルトが提供される。
請求項5に係る発明によれば、第1の樹脂層の平均膜厚が、第1の樹脂層及び第2の樹脂層の平均膜厚の和に対して、50%未満である場合に比べて、耐屈曲性が向上する転写ベルトが提供される。
請求項6又は7に係る発明によれば、内面側から順に、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂Aを含む第1の樹脂層と、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂Bを含む第2の樹脂層と、有する転写ベルトにおいて、第1の樹脂層及び第2の樹脂層が共に溶媒A1を含む転写ベルトを適用する場合に比べ、優れたクリーニング性及び高い耐屈曲性が両立される転写ベルトを備える転写ベルトユニット、又は画像形成装置が提供される。
請求項8に係る発明によれば、ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、並びに、溶媒を含む組成物を硬化させて第1の樹脂層及び第2の樹脂層を順に形成する態様において、第1の樹脂層を形成するための組成物における溶媒及び第2の樹脂層を形成するための組成物における溶媒のいずれにも、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも溶媒のみを含む場合に比べ、優れたクリーニング性及び高い耐屈曲性が両立される転写ベルトの製造方法が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る転写ベルトユニットの一例を示す概略斜視図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
<転写ベルト>
本実施形態に係る転写ベルトは、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂A、並びに、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1を含む第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層の外周面に配置され、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂B、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒B1を含む第2の樹脂層と、を有する。
ここで、画像形成装置に備えられる転写ベルトとしては、例えば、中間転写方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルト;中間転写方式の画像形成装置において中間転写体に接触して配置され、中間転写体上のトナー画像が記録媒体に転写される転写位置まで記録媒体を搬送する二次転写ベルト;直接転写方式の画像形成装置において像保持体に接触して配置され、像保持体上のトナー画像が記録媒体に転写される転写位置まで記録媒体を搬送する記録媒体搬送ベルト(直接転写ベルト)が用いられている。
これらの転写ベルトは、張力がかかった状態で複数のロールに掛け渡されて回転されるため、この回転の際に、ロールに接触して屈曲した状態(ロール表面に沿って折れ曲がった状態)と、ロール間で真っ直ぐに伸ばされた状態とが交互に繰り返される(例えば4つのロールに掛け渡された転写ベルトであれば、1回転する間に屈曲(折れ曲がり)とこの屈曲からの解放とが計4回繰り返される)。そして、長期にわたる回転駆動に伴う、屈曲(ベルト回転方向への屈曲)した状態と真っ直ぐに伸ばされた状態との繰り返しにより耐屈曲性が低下しやすくなる。
また、転写ベルトには、回転の際にロール軸方向の一方側に寄っていく蛇行(ウォーク)現象が起こることがあり、この蛇行抑制の観点でロールの軸方向端に蛇行補正部を設けることがある。しかし、蛇行した状態で回転駆動する転写ベルトでは、ロール表面に内周面が接触しかつ蛇行補正部に一端側が接触した状態と、ロール間に存在し、ロールにも蛇行補正部にも接触していない状態とが繰り返される。この際、蛇行補正部に接触しているときには転写ベルトの一部(ロール軸方向における一部)に屈曲が生じ、一方蛇行補正部に接触していない状態では屈曲は生じず真っ直ぐに伸ばされる。そのため、長期にわたる回転駆動に伴って、転写ベルトの一部が屈曲(ロール軸方向への屈曲)した状態と真っ直ぐに伸ばされた状態とが繰り返され、これにより転写ベルトが破断することもある。
また、二次転写後、ベルト表面に残留したトナーや紙粉などの異物を除去するため、ベルト表面に接触するクリーニング手段(例えばクリーニングブレード、クリーニングブラシ等)を設けることがある。上記画像形成装置では、繰り返しの画像形成に伴いベルト表面の異物をクリーニング手段によって掻き取る動作も繰り返され、これによってもベルト表面に傷つきが生じることがある。ベルト表面が傷付くと、その傷に残留トナー(特にトナーの表面に添加された外添剤)等の異物が埋まり込みやすくなる。これにより、クリーニング不良が発生しやすくなる。
なお、クリーニング不良の発生は、二次転写ベルトや、直接転写方式の画像形成装置における記録媒体搬送ベルトおいても、ベルト表面の傷つきに起因して起こり得る課題である。
これに対し、本実施形態に係る転写ベルトは、内面側から順に、樹脂Aを含む第1の樹脂層と、樹脂Bを含む第2の樹脂層と、を有し、第1の樹脂層が溶媒A1を含み、第2の樹脂層が溶媒B1を含む構成とする。
これにより、優れたクリーニング性及び高い耐屈曲性が両立される転写ベルトが実現される。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
まず、第2の樹脂層が溶媒B1を含むことの意義について説明する。
第2の樹脂層は、樹脂B(ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂)の前駆体等(例えばポリイミドの前駆体であるポリアミック酸)が溶媒B1に溶解した組成物を塗布して塗布層(塗膜)を形成し、この塗布層を加熱して硬化させることで得られる。この組成物を加熱し硬化する過程において、溶媒B1の極性基と樹脂Bの極性基との間で相互作用が生じると考えられる。
ここで、溶媒B1は、従来からポリイミドの前駆体やポリアミドイミド樹脂やその前駆体を溶解させる溶媒として広く用いられている溶媒A1よりも極性基(例えば、−O−、3級窒素原子(−N< ))を多く持つため、上記相互作用は、溶媒A1の極性基と樹脂Aの極性基との間の相互作用に比べ、より強く生じると考えられる。この相互作用に起因して、第2の樹脂層では、溶媒B1の分子と樹脂Bの分子鎖とで、分子鎖が密に充填された状態(以下、「パッキング状態」と称する)が形成されると考えられる。
このパッキング状態によって、第2の樹脂層の硬度(つまり外層の硬度)は高まり、長期にわたり画像形成を繰り返してもベルト表面に傷が生じにくくなり、結果、クリーニング性が向上すると考えられる。
次に、第1の樹脂層が溶媒A1を含むことの意義について説明する。
転写ベルトを回転駆動させた際には、前述の通り転写ベルトが屈曲した状態と真っ直ぐに伸ばされた状態とが繰り返されるが、この屈曲は特にロールと接する転写ベルトの内層側ほどきつくなる。これに対し本実施形態では、上述の理由により、第1の樹脂層(内層)は、第2の樹脂層(外層)に比べて硬度の高まりが抑制され易く、柔軟な層となり易い。つまり、本実施形態では、よりきつく屈曲される内層側に位置する第1の樹脂層が柔軟性を有することによって、耐屈曲性が担保され、結果、転写ベルト全体の耐屈曲性が確保されると考えられる。
したがって、本実施形態の転写ベルトによれば、優れたクリーニング性及び高い耐屈曲性が両立される。
なお、溶媒B1の極性基は、溶媒B1がウレア系溶媒の場合、ウレア基が該当し、溶媒B1がアルコキシ基含有アミド系溶媒の場合、アルコキシ基及びアミド基が該当し、溶媒B1がエステル基含有アミド系溶媒の場合、エステル基及びアミド基が該当する。
また、ポリイミド前駆体及びポリイミド樹脂の極性基は、アミド基又はカルボキシル基が該当し、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂の極性基は、アミド基又はイミド基が該当する
本実施形態に係る転写ベルトについて詳細に説明する。
本実施形態に係る転写ベルトは、第1の樹脂層と、第1の樹脂層の外周面に配置された第2の樹脂層と、を有する。
なお、本実施形態では、(a)第1の樹脂層及び第2の樹脂層のみからなる二層の転写ベルトであっても、(b) 第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び他の層が積層された転写ベルトであってもよい。ただし、(a)であることが好ましい。
他の層としては、例えばロール等の各種部材との摺動性向上のために第1の樹脂層の内周面側に形成される摺動層;表面凹凸の大きな記録媒体(例えば用紙)に対する追従性向上のために第1の樹脂層の内面に形成される弾性層;等が挙げられる。
<第1の樹脂層(内層)>
第1の樹脂層は、樹脂A(ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂)と、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1とを含む。
第1の樹脂層は、ポリイミド前駆体組成物、ポリアミドイミド前駆体組成物、及びポリアミドイミド樹脂組成物の少なくとも一種を用いて得られる。
以下、ポリイミド前駆体組成物(以下、「ポリイミド前駆体組成物A1」とも称する)、ポリアミドイミド前駆体組成物(以下、「ポリアミドイミド前駆体組成物A2」とも称する)ポリアミドイミド樹脂組成物(以下、「ポリアミドイミド樹脂組成物A3」とも称する)について順に説明する。
(ポリイミド前駆体組成物A1)
ポリイミド前駆体組成物A1は、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有する樹脂(以下、「特定ポリイミド前駆体」と称する)と、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1とを含むものが挙げられる。なお、ポリイミド前駆体組成物A1は、必要に応じて、後述する導電性粒子、その他の添加剤を含んでもよい。
−ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)−
ポリイミド前駆体は、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。

(一般式(I)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。)
ここで、一般式(I)中、Aが表す4価の有機基としては、原料となるテトラカルボン酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基である。
一方、Bが表す2価の有機基としては、原料となるジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基である。
つまり、一般式(I)で表される繰り返し単位を有する特定ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体である。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。つまり、一般式(I)中、Aが表す4価の有機基は、芳香族系有機基であることがよい。
芳香族系テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物がよく、具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、更に、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物がよい。
なお、テトラカルボン酸二無水物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
一方、ジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物である。ジアミン化合物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることがよい。つまり、一般式(I)中、Bが表す2価の有機基は、芳香族系有機基であることがよい。
ジアミン化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
これらの中でも、ジアミン化合物としては、芳香族系ジアミン化合物がよく、具体的には、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンがよく、特に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンがよい。
なお、ジアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族ジアミン化合物、又は脂肪族ジアミン化合物を各々併用しても、芳香族ジアミン化合物と脂肪族ジアミン化合物とを組み合わせてもよい。
特定ポリイミド前駆体は、一部がイミド化された樹脂であってもよい。
具体的には、特定ポリイミド前駆体としては、例えば、一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)中、Aは4価の有機基を示し、Bは2価の有機基を示す。なお、A及びBは、一般式(I)中のA及びBと同義である。
lは1以上の整数を示し、m及びnは、各々独立に0又は1以上の整数を示す。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量は、5000以上100000以下であることがよく、より好ましくは7000以上50000以下、更に好ましくは10000以上30000以下である。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量を上記範囲とすると、組成物中のポリイミド前駆体の溶解性と製膜後の膜の機械特性が良好になる。
なお、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とのモル当量の比を、調整することで、目的とする数平均分子量の特定ポリイミド前駆体が得られる。
特定ポリイミド前駆体の数平均分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)法で測定される。
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
特定ポリイミド前駆体の含有量(濃度)は、全ポリイミド前駆体組成物A1に対して、0.1質量%以上40質量%以下であることがよく、好ましくは0.5質量%以上25質量%以下、より好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
(ポリアミドイミド前駆体組成物A2及びポリアミドイミド樹脂組成物A3)
ポリアミドイミド前駆体組成物A2は、ポリアミドイミド前駆体と、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1とを含む。ポリアミドイミド樹脂組成物A3は、ポリアミドイミド樹脂と、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1とを含む。なお、ポリアミドイミド前駆体組成物A2及びポリアミドイミド樹脂組成物A3は、必要に応じて、後述する導電性粒子、その他の添加剤を含んでもよい。
−ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂−
ポリアミドイミド前駆体は、トリカルボン酸とジアミン化合物とからの縮合物であるポリアミド−ポリアミック酸が挙げられる。このポリアミドイミド前駆体であるポリアミド−ポリアミック酸をイミド化反応(脱水閉環反応)させると、ポリアミドイミド樹脂が得られる。
具体的には、ポリアミドイミド前駆体は、例えば、(1)トリカルボン酸無水物とジアミンとの当モル量を有機極性溶媒中、脱水触媒存在下、高温で重縮合する方法、(2)無水トリカルボン酸モノクロリドとジアミンとの当モル量を有機極性溶媒中、低温で重縮合及びイミド化反応をさせる方法、(3)トリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを有機極性溶媒中、高温で重縮合させる方法、等によって得られるポリアミド−ポリアミック酸が挙げられる。そして、得られたポリアミドイミド前駆体であるポリアミド−ポリアミック酸をイミド化反応(脱水閉環反応)させると、ポリアミドイミド樹脂が得られる。
トリカルボン酸無水物としては、トリメリット酸無水物又は無水トリメリット酸モノクロリドが挙げられる。
ジアミン化合物としては、前述のポリイミド前駆体の説明において、ポリアミック酸の合成に用いられるジアミン化合物として例示したもの(以下、「DA−1」とも称する)と同様のものが挙げられる。また、ジアミン化合物としては、以下に示す芳香族ジアミン化合物(以下、「DA−2」とも称する)も挙げられる。
中でも、芳香族ジアミン化合物が好適であり、特にDA−2がより好ましい。
芳香族ジアミン化合物(DA−2)の具体例は、3,3’―ジアミノベンゾフエノン、p―フエニレンジアミン、4,4’―ジアミノジフエニル、4,4’―ジアミノジフエニルアミド、4,4’―ジアミノジフエニルメタン、4,4’―ジアミノジフエニルエーテル、ビス[4―{3―(4―アミノフエノキシ)ベンゾイル}フェニル]エーテル、4,4’―ビス(3―アミノフエノキシ)ビフェニル、ビス[4―(3―アミノフエノキシ)フェニル]スルホン2,2’―ビス[4―(3―アミノフエノキシ)フェニル]プロパンである。
ジイソシアネート化合物としては、ポリアミック酸の合成に用いられるジアミン化合物(前記DA−1)中の2つのアミノ基がイソシアネート基に置換されたものが挙げられる。また、ジイソシアネート化合物としては、以下に示すジイソシアネート化合物(以下、「DI−1」とも称する)も挙げられる。中でも、DI−1が好ましい。
ジイソシアネート化合物(DI−1)の具体例は、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネートである。
ジイソシアネート化合物としては、ブロック剤でイソシアナト基を安定化したものも挙げられる。ブロック剤としてはアルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
<第2の樹脂層(外層)>
第2の樹脂層は、樹脂B(ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂)と、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒B1を含む。
第2の樹脂層は、ポリイミド前駆体組成物A1に含まれる溶媒A1を溶媒B1に変えたもの(以下、「ポリイミド前駆体組成物B1」とも称する)、ポリアミドイミド前駆体組成物A2に含まれる溶媒A1を溶媒B1に変えたもの(以下、「ポリアミドイミド前駆体組成物B2」とも称する)、及びポリアミドイミド樹脂組成物A3に含まれる溶媒A1を溶媒B1に変えたもの(以下、「ポリアミドイミド樹脂組成物B3」とも称する)の少なくとも一種を用いて、第1の樹脂層と同様の方法で得られる。
また、ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド前駆体、及びポリアミドイミド樹脂は、前述のものと同義である。
(溶媒B1)
第2の樹脂層に含まれる溶媒B1は、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種である。
以下、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒、エステル基含有アミド系溶媒について順に説明する。
−ウレア系溶媒−
ウレア系溶媒とは、ウレア基(N−C(=O)−N)を有する溶媒である。具体的には、ウレア系溶媒は、「*−N(Ra)−C(=O)−N(Ra)−*」構造を有する溶媒がよい。ここで、Ra、及びRaは、各々独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基、又はフェニルアルキル基を示す。2つのN原子の両末端*は、前記構造の他の原子団との結合部位を示す。ウレア系溶媒は、2つのN原子の両末端*同士が、例えば、アルキレン、−O−、−C(=O)−、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して連結した環構造を有する溶媒であってもよい。
Ra、及びRaを示すアルキル基は、鎖状、分岐状、及び環状いずれでもよく、置換基を有していてもよい。アルキル基の具体例としては、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上4以下)のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基など)が挙げられる。
アルキル基の置換基としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基)、水酸基、ケトン基、エステル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
ケトン基の具体例としては、メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基などが挙げられる。エステル基の具体例としては、メトキシカルボニル基(−COOMe)、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、アセトキシ基(−OC(=O)Me)などが挙げられる。アルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、メチルカルボニルオキシ基(アセチルオキシ基)、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基などが挙げられる。
Ra、及びRaを示すフェニル基及びフェニルアルキル基のフェニル骨格には、置換基を有していてもよい。フェニル骨格の置換基としては、上記アルキル基の置換基と同じものが挙げられる。
なお、ウレア系溶媒が上記2つのN原子の両末端*が連結した環構造を有する場合、その環員数としては5または6がよい。
ウレア系溶媒としては、例えば、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジフェニル尿素、1,3−ジシクロへキシル尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、2−イミダゾリジノン、プロピレン尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N´−ジメチルプロピレン尿素などが挙げられる。
−アルコキシ基含有アミド系溶媒、エステル基含有アミド系溶媒−
アルコキシ基含有アミド系溶媒は、アルコキシ基とアミド基とを有する溶媒である。一方、エステル基含有アミド系溶媒は、エステル基とアミド基とを有する溶媒である。アルコキシ基、エステル基としては、ウレア系溶媒の説明において、「Ra、及びRaを示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同様な基が挙げられる。なお、アルコキシ基含有アミド系溶媒がエステル基を有していてもよいし、エステル基含有アミド系溶媒はアルコキシ基を有していてもよい。
以下、アルコキシ基含有アミド系溶媒、及びエステル基含有アミド系溶媒の双方を「アルコキシ基又はエステル基含有アミド系溶媒」と称して説明する。
アルコキシ基又はエステル基含有アミド系溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、下記一般式(Am1)で示されるアミド系溶媒、下記一般式(Am2)で示されるアミド系溶媒等が好適に挙げられる。
一般式(Am1)中、Rb、Rb、Rb、Rb、Rb、及びRbは、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を示す。Rbは、アルコキシ基、又はエステル基を示す。
Rb〜Rbを示すアルキル基は、ウレア系溶媒の説明で記載した「Ra、及びRaを示すアルキル基」と同義である。
Rbを示すアルコキシ基及びエステル基は、ウレア系溶媒の説明において、「Ra、及びRaを示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同義である。
以下、一般式(Am1)で示されるアミド系溶媒の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。
なお、一般式(Am1)で示されるアミド系溶媒の具体例において、Me=メチル基、Et=エチル基、nPr=n−プロピル基、nBu=n−ブチル基である。
一般式(Am2)中、Rc、Rc、Rc、Rc、Rc、Rc、Rc、及びRcは、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を示す。Rcは、アルコキシ基、又はエステル基を示す。
Rc〜Rcを示すアルキル基は、ウレア系溶媒の説明で記載した「Ra、及びRaを示すアルキル基」と同義である。
Rcを示すアルコキシ基及びエステル基は、ウレア系溶媒の説明において、「Ra、及びRaを示すアルキル基の置換基」として例示したアルコキシ基、エステル基と同義である。
以下、一般式(Am2)で示されるアミド系溶媒の具体例を示すが、これに限られるわけではない。
なお、一般式(Am2)で示されるアミド系溶媒の具体例において、Me=メチル基、Et=エチル基、nPr=n−プロピル基である。
以上に説明した溶媒群B(ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒、及びエステル基含有アミド系溶媒)の中でも、ウレア系溶媒としては、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素が好ましく、アルコキシ基又はエステル基含有アミド系溶媒としては、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(例示化合物B−4)、3−nブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(例示化合物B−7)が好ましい。これらの中でも1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)が特に好ましい。
これらのテトラメチル尿素、テトラエチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、又は3−nブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド(以下、「特定溶媒B1」と称する)は、1分子中に極性基を2つ有している。具体的には、特定溶媒B1は、−O−及び3級窒素原子(−N< )の少なくとも一方を2つ有している。一方、従来からポリイミド前駆体やポリアミドイミド前駆体、ポリアミドイミド樹脂を溶解させる溶媒として広く用いられている、例えばN−メチルピロリドンは1分子中に3級窒素原子(−N< )を1つしか有さない。 このため、特定溶媒B1(好ましくは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)を第2の樹脂層に含ませることにより、特定溶媒B1の極性基と樹脂Bの極性基との間の相互作用は、溶媒A1の極性基と樹脂Aの極性基との間の相互作用に比べてより強く生じやすく、即ち、第2の樹脂層では、前述のパッキング状態がより形成されやすくなると考えられる。これにより、ベルト表面に傷がより生じにくくなり、結果、クリーニング性がより向上すると考えられる。
本実施形態に係る転写ベルトにおいて、第1の樹脂層に含まれる樹脂Aの少なくとも1種及び第2の樹脂層に含まれる樹脂Bの少なくとも1種が、同じ構造の構成単位を含むことが好ましい。つまり、樹脂Aの少なくとも1種と、樹脂Bの少なくとも1種とが、各々原料として同じ分子構造のモノマーを少なくとも1種を用いた樹脂であることが好ましい。
但し、第1の樹脂層及び第2の樹脂層ともに、同じ構造の構成単位を含む樹脂の割合がそれぞれの樹脂層に含まれる全樹脂に対して50質量%以上であることが好ましい。
また、第1の樹脂層に含まれる樹脂Aの少なくとも1種及び第2の樹脂層に含まれる樹脂Bの少なくとも1種が、同じ構造の構成単位のみからなる樹脂であることがより好ましい。この場合、第1の樹脂層及び第2の樹脂層ともに、同じ構造の構成単位のみからなる樹脂の割合がそれぞれの樹脂層に含まれる全樹脂に対して50質量%以上であることが好ましい。また、樹脂A及び樹脂Bがいずれも1種の樹脂のみを含み、この樹脂A及び樹脂Bが同じ構造の構成単位のみからなる樹脂であることが更に好ましい。
これにより、転写ベルトの反りが抑制される。即ち、寸法安定性が向上する。この理由は、第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる樹脂の少なくとも1種が、同じ構造の構成単位を含むことによって、第1の樹脂層及び第2の樹脂層間の接着性が向上すると共に、第1の樹脂層及び第2の樹脂層間の熱収縮の差、並びに、熱膨張の差が生じにくくなるためと考えられる。
第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる樹脂の少なくとも1種が、同じ構造の構成単位を含むか否かは、以下の方法で確認することができる。
転写ベルトから第1の樹脂層及び第2の樹脂層をそれぞれ採取し、各樹脂層について赤外線吸収スペクトルを測定する。その結果、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が有する特徴的なピーク(アミド結合由来のピーク、イミド結合由来のピーク)が同一波長域に存在する場合は同じ構造の構成単位を含むと判断することができる。
なお、赤外線吸収スペクトルの測定で同じ構造の構成単位を含むか否かを判断し難い場合は、H−NMR(H−核磁気共鳴法)の測定結果を必要に応じて用いるとよい。
本実施形態の転写ベルトにおいて、第1の樹脂層の平均膜厚は、転写ベルト全体の耐屈曲性を向上させる観点から、第1の樹脂層及び第2の樹脂層の平均膜厚の和に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上である。
なお、上限値は、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、更に好ましくは80%以下である。
第1の樹脂層及び第2の樹脂層の平均膜厚は以下の方法で測定する。
転写ベルトから第1の樹脂層及び第2の樹脂層をそれぞれ採取し、各樹脂層の断面をキーエンス社製カラー3Dレーザ顕微鏡(型式VK8550)を用いて観察する。そして、断面における、任意の10箇所の厚みを測定し、これらの厚みの平均値を、各樹脂層の平均膜厚とする。
(導電性粒子)
樹脂層(第1の樹脂層及び第2の樹脂層の少なくとも一方をいう、以下同様)は、導電性付与のため添加される導電性粒子を含んでいてもよい。導電性粒子としては、導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)のものが挙げられ、使用目的により選択される。
導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)等が挙げられる。
これら導電性粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。導電性粒子の一次粒径は10μm未満(好ましくは1μm以下)の粒子であることがよい。
これらの中でも、導電性粒子としては、カーボンブラックがよく、特に、pH5.0以下の酸性カーボンブラックがよい。
酸性カーボンブラックとしては、経時での電気抵抗安定性の観点から、pH4.5の酸性カーボンブラック以下がより好ましく、pH4.0以下の酸性カーボンブラックが更に好ましい。
酸性カーボンブラックとしては、表面が酸化処理されたカーボンブラック、例えば、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して得られたカーボンブラックが挙げられる。
なお、酸性カーボンブラックのpHは、JIS Z8802(2011)規定のpH測定方法によって測定される値である。
カーボンブラックとしては、具体的には、オリオンエンジニアドカーボンズ社製の「スペシャルブラック350」、「スペシャルブラック100」、「スペシャルブラック250」、「スペシャルブラック5」、「スペシャルブラック4」、「スペシャルブラック4A」、「スペシャルブラック550」、「スペシャルブラック6」、「カラーブラックFW200」、「カラーブラックFW1」、「カラーブラックFW2」、「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、「MONARCH1400」、「MOGUL−L」、「REGAL400R」等が挙げられる。
導電性粒子の含有量は、特に限定されるものではないが、転写ベルトの外観的・機械的・電気的品質の点から、樹脂層に含まれる樹脂全体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下(好ましくは10質量部以上30質量部以下)であることがよい。なお、導電性粒子は、上記樹脂層を得るための組成物(ポリイミド前駆体組成物A1,B1、ポリアミドイミド前駆体組成物A2,B2、又はポリアミドイミド樹脂組成物A3,B3)に含ませればよい。
(その他の添加剤)
樹脂層は、機械強度などの各種機能を付与することを目的として、各種フィラーなどを含んでもよい。また、イミド化反応促進のための触媒、製膜品質向上のためのレベリング剤、転写ベルトの熱劣化を防止するための酸化防止剤、流動性を向上させるための界面活性剤などを含んでもよい。
その他の添加剤の含有量は、上記樹脂層の目的とする特性に応じて選択すればよい。なお、その他の添加剤は、上記樹脂層を得るための組成物に含ませればよい。
〔転写ベルトの特性等〕
本実施形態に係る転写ベルトにおいて、優れたクリーニング性及び高い耐屈曲性を両立する観点から、第1の樹脂層のヤング率、第2の樹脂層のヤング率、並びに、第2の樹脂層及び第1の樹脂層のヤング率の差(第2の樹脂層のヤング率−第1の樹脂層のヤング率)の好ましい範囲は以下の通りである。
第2の樹脂層及び第1の樹脂層のヤング率の差は、好ましくは300MPa以上2000MPa以下、より好ましくは400MPa以上1000MPa以下、である。
ヤング率の測定方法については、実施例の項で説明する。
本実施形態に係る転写ベルトを、例えば中間転写ベルトに適用した場合、中間転写ベルトの総厚み(平均厚み)は、0.05mm以上0.5mm以下(好ましくは、0.06mm以上0.30mm以下)であることがよい。
また、本実施形態に係る転写ベルトを、例えば記録媒体搬送ベルト(直接転写ベルト)に適用した場合、記録媒体搬送ベルトの総厚み(平均厚み)は、0.05mm以上0.5mm以下(好ましくは0.06mm以上0.30mm以下)であることがよい。
〔転写ベルトの製造方法〕
本実施形態に係る転写ベルトの製造方法は、ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、並びに、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1を含む組成物を硬化させて第1の樹脂層を形成する工程と、ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒B1を含む組成物を硬化させて、前記第1の樹脂層の外周面に第2の樹脂層を形成する工程と、を有する。
本実施形態に係る転写ベルトの製造方法の一例としては、例えば、各層(第1の樹脂層、第2の樹脂層)を形成するための組成物をそれぞれ調製する工程(組成物の調製工程)と、第1の樹脂層が内層、第2の樹脂層が外層となるように、それぞれ調製した組成物を円筒状の基材(例えば円筒状金型)上に塗布して塗膜を形成する工程(以下、「塗膜の形成工程」とも称する)と、基材上に形成された塗膜を乾燥させる工程(以下、「乾燥工程」とも称する)と、を有する方法が挙げられる。なお、さらに乾燥した塗膜(乾燥膜)を更に加熱して樹脂皮膜を形成する工程(以下、「樹脂皮膜の形成工程」とも称する)を有していてもよい。
なお、「塗膜の形成工程」は、上述の「第1の樹脂層を形成する工程」及び「第2の樹脂層を形成する工程」に該当する。
以下では、転写ベルトの製造方法の一例として、転写ベルトが第1の樹脂層及び第2の樹脂層からなり、かつ第1の樹脂層及び第2の樹脂層が、ポリイミド樹脂を含む場合について説明する。なお、第1の樹脂層及び第2の樹脂層がポリアミドイミド樹脂を含む場合も以下の方法に準じて、転写ベルトを製造することができる。
<組成物の調製工程>
組成物の調製工程では、各樹脂層(第1の樹脂層、第2の樹脂層)を形成するためのポリイミド前駆体組成物A1、ポリイミド前駆体組成物B1(以下、単に「前駆体組成物」とも称する)をそれぞれ調製する
前駆体組成物には、目的に応じて、カーボンブラック等の導電性粒子を分散させてもよく、必要に応じてその他の添加剤を分散させてもよい。これらを前駆体組成物中に分散する方法としては、例えば、セラミックビーズ、ボール等のメディアの衝突力を利用して粉砕するメディアミル、高圧でオリフィスを通過させ高せん断力をかけるとともに衝突させたときの衝撃力を利用する湿式ジェットミル、ホモジナイザ等の一般的に用いられる分散方法が挙げられる。
<塗膜の形成工程>
次に、第1の樹脂層が内層、第2の樹脂層が外層となるように、前駆体組成物をそれぞれ円筒状の基材の内面又は外面に塗布して、塗膜を形成する。円筒状の基材としては、例えば、円筒状の金属製基材が好適に用いられる。金属製の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、他の素材の基材を用いてもよい。また、基材の表面にガラスコート、セラミックコート等を設けてもよく、シリコーン系、フッ素系等の剥離剤を塗布してもよい。
ここで、前駆体組成物を精度よく塗布するには、塗布する前に、前駆体組成物を脱泡する工程を実施することがよい。前駆体組成物を脱泡することで、塗布時の泡かみ及び塗膜の欠陥発生が抑制される。
前駆体組成物を脱泡する方法としては、減圧状態にする方法、遠心分離する方法などが挙げられるが、減圧状態とする脱泡が簡便で脱泡能が大きいため適している。
円筒状の基材の表面に前駆体組成物を塗布する方法としては、例えば、前駆体組成物をノズルから吐出させながら、回転する円筒状の基材を回転軸方向に移動させることによって、円筒状の基材の外周面に前駆体組成物を塗布する方法や、円筒状の基材を前駆体組成物に浸漬して引き上げる浸漬塗布法、前駆体組成物を円筒状の基材の内周面に軸方向に流し込む方法等が挙げられる。
<乾燥工程>
続いて、形成した塗膜を乾燥させ、乾燥膜を形成する。
塗膜の乾燥は、例えば基材を回転させながら加熱して溶媒を揮発させることにより行う。基材を回転させなくても前駆体組成物が垂れ流れない状態になるまで塗膜を乾燥させることがよい。
乾燥条件としては、例えば50℃以上180℃以下(好ましくは60℃以上150℃以下)の範囲の乾燥温度で15分間以上60分間以下(好ましくは20分間以上40分間以下)の範囲の乾燥時間とすることがより好ましい。
なお、乾燥膜中の溶媒含有量は、乾燥膜の全質量に対して、50質量%以下(好ましくは、30質量%以下)であることが好ましい。
<樹脂皮膜の形成工程>
続いて、形成された乾燥膜を更に高い温度で加熱する(本実施形態ではイミド化処理を行う)工程を有していてもよい。
更に高い温度で加熱することにより、乾燥膜は、更に溶媒が揮発されて、ポリイミド樹脂を含む樹脂皮膜(第1の樹脂層及び第2の樹脂層)が形成される。
イミド化処理の加熱条件としては、例えば150℃以上400℃以下(好ましくは200℃以上300℃以下)で、20分間以上60分間以下加熱することで、イミド化反応が起こり、樹脂皮膜が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。イミド化の温度は、例えば原料として用いたテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類によって異なり、イミド化が不充分であると機械的特性及び電気的特性に劣るため、イミド化が完結する温度に設定する。
その後、円筒状の基材から、樹脂皮膜を、円筒状の基材と上記樹脂皮膜との間隙に空気を吹き込む等の公知の方法によって剥離する。
以上の工程を経ることによって、本実施形態の転写ベルトが得られる。
〔転写ベルトの使用例〕
本実施形態に係る転写ベルトは、例えば、電子写真方式の画像形成装置用の転写ベルトとして利用し得る。電子写真方式の画像形成装置用の転写ベルトとしては、例えば、中間転写方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルト;中間転写方式の画像形成装置において中間転写体に接触して配置され、中間転写体上のトナー画像が記録媒体に転写される転写位置まで記録媒体を搬送する二次転写ベルト;直接転写方式の画像形成装置において像保持体に接触して配置され、像保持体上のトナー画像が記録媒体に転写される転写位置まで記録媒体を搬送する記録媒体搬送ベルト;等のベルト部材が挙げられる。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、上記実施形態の転写ベルトを備える。転写ベルトが、中間転写ベルト、記録媒体搬送ベルト等のベルト部材に適用される場合、本実施形態に係る画像形成装置としては、例えば、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された潜像をトナー画像として現像する現像手段と、トナー画像を本実施形態に係る転写ベルトを有し、トナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、とを備えるものが挙げられる。
なお、転写手段は、後述する転写ベルトユニットを有していてもよい。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が中間転写体と、像保持体に形成されたトナー画像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と、中間転写体に転写されたトナー画像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、を備え、当該中間転写体として上記本実施形態に係る転写ベルトを備える構成が挙げられる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が記録媒体を搬送するための記録媒体搬送体(記録媒体搬送ベルト)と、像保持体に形成されたトナー画像を記録媒体搬送体により搬送された記録媒体に転写するための転写手段と、を備え、当該記録媒体搬送体として上記本実施形態に係る転写ベルトを備える構成であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像保持体上に保持されたトナー画像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、上記本実施形態に係る転写ベルトを中間転写体(中間転写ベルト)に適用した画像形成装置である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、例えば、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
中間転写ベルト107が、支持ロール106a〜106d、駆動ロール111および対向ロール108により張力を付与しつつ支持され、中間転写ベルトユニット107bを形成している。これらの支持ロール106a〜106d、駆動ロール111および対向ロール108により、中間転写ベルト107は、各像保持体101a〜101dの表面に接触しながら各像保持体101a〜101dと一次転写ロール105a〜105dとを矢印Aの方向に移動し得る。一次転写ロール105a〜105dが中間転写ベルト107を介して像保持体101a〜101dに接触する部位が一次転写部となり、像保持体101a〜101dと一次転写ロール105a〜105dとの接触部には一次転写電圧が印加される。
二次転写装置として、中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108と二次転写ロール109が対向配置されている。二次転写ベルト116は、二次転写ロール109と支持ロール106eとによって支持されている。紙等の記録媒体115が中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と二次転写ロール109とで挟まれる領域を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置110を通過する。二次転写ロール109が中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して対向ロール108に接触する部位が二次転写部となり、二次転写ロール109と対向ロール108との接触部には二次転写電圧が印加される。更に、転写後の中間転写ベルト107と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置112および113が配置されている。
この構成の多色の画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Cの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって帯電された後、レーザ光等の露光装置114aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーを含む現像剤で現像(顕像化)されてトナー画像が形成される。なお、現像装置103a〜103dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
像保持体101a上に形成されたトナー画像は、一次転写部を通過する際に、一次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(一次転写)される。以降、第1色目のトナー画像を保持した中間転写ベルト107上に、一次転写ロール105b〜105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー画像が順次重ね合わせられるよう一次転写され、最終的に多色の多重トナー画像が得られる。
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー画像は、二次転写部を通過する際に、記録媒体115に静電的に一括転写される。トナー画像が転写された記録媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱および加圧、または加熱、若しくは加圧により定着処理された後、機外に排出される。
一次転写後の像保持体101a〜101dは、像保持体クリーニング装置104a〜104dにより残留トナーが除去される。一方、二次転写後の中間転写ベルト107は、中間転写ベルトクリーニング装置112および113により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
−像保持体−
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状またはプレート状等、公知の形状が採用される。
−帯電装置−
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、帯電装置における「導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ωcm未満を意味する。)または半導電性(ここで、帯電装置における「半導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ωcm以上1013Ωcm以下を意味する。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器が広く適用される。これらの中でも接触型帯電器が望ましい。
帯電装置102a〜102dは、像保持体101a〜101dに対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
−露光装置−
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)光、または液晶シャッタ光等の光源、またはこれらの光源からポリゴンミラーを介して定められた像様に露光し得る光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
−現像装置−
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択され。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、またはローラ等を用い接触または非接触で現像する公知の現像器などが挙げられる。
−一次転写ロール−
一次転写ロール105a〜105dは単層または多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
−像保持体クリーニング装置−
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、一次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
−二次転写ロール−
二次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆する塗布層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。塗布層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはパーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は10Ωcm以下であることが望ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
−対向ロール−
対向ロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。対向ロール108の層構造は、単層または多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。
対向ロール108と二次転写ロール109の芯体とには、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。対向ロール108の芯体への電圧印加に代えて、対向ロール108に接触させた電気良導性の電極部材と二次転写ロール109とに電圧を印加してもよい。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、または導電性樹脂プレート等が挙げられる。
−定着装置−
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器、加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
−中間転写ベルトクリーニング装置−
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等が用いられる、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが望ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
次に、本実施形態の転写ベルトを、記録媒体搬送体(用紙搬送ベルト)として用いた画像形成装置について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、上記本実施形態に係る転写ベルトを記録媒体搬送体に適用した画像形成装置である。
図2に示す画像形成装置において、ユニットY、M、C、BKは、矢印の時計方向に回転するように、それぞれ感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKが備えられる。感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの周囲には、帯電器202Y、202M、202C、202BKと、露光器203Y、203M、203C、203BKと、各色現像装置(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)と、感光体ドラム清掃部材205Y、205M、205C、205BKとがそれぞれ配置されている。
ユニットY、M、C、BKは、用紙搬送ベルト206に対して4つ並列に、ユニットBK、C、M、Yの順に配置されているが、ユニットBK、Y、C、Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序が設定される。
用紙搬送ベルト206は、ベルト支持ロール210、211、212、213によって内面側から張力を付与しつつ支持され、用紙搬送ベルトユニット220を形成している。該用紙搬送ベルト206は、矢印の反時計方向に感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと同じ周速度をもって回転するようになっており、ベルト支持ロール212、213の中間に位置するその一部が感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとそれぞれ接するように配置されている。用紙搬送ベルト206は、ベルト用清掃部材214が備えられている。
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、用紙搬送ベルト206の内側であって、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと、用紙搬送ベルト206を介してトナー画像を用紙(被転写体)216に転写する転写領域を形成している。転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、図2に示すとおり、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、直下からずれた位置に配置してもよい。
定着装置209は、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとのそれぞれの転写領域を通過した後に搬送されるように配置されている。
用紙搬送ロール208により、用紙216は用紙搬送ベルト206に搬送される。
図2に示す画像形成装置において、ユニットBKにおいては、感光体ドラム201BKを回転駆動させる。これと連動して帯電器202BKが駆動し、感光体ドラム201BKの表面を目的の極性・電位に帯電させる。表面が帯電された感光体ドラム201BKは、次に、露光器203BKによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
続いて上記静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像される。すると、感光体ドラム201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときの現像剤は一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
このトナー画像は、感光体ドラム201BKと用紙搬送ベルト206との転写領域を通過し、用紙216が静電的に用紙搬送ベルト206に吸着して転写領域まで搬送され、転写ロール207BKから印加される転写バイアスによって形成される電界により、用紙216の表面に順次転写される。
この後、感光体ドラム201BK上に残存するトナーは、感光体ドラム清掃部材205BKによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム201BKは、次の画像転写に供される。
以上の画像転写は、ユニットC、MおよびYでも上記の方法によって行われる。
転写ロール207BK、207C、207Mおよび207Yによってトナー画像を転写された用紙216は、さらに定着装置209に搬送され、定着が行われる。
以上により用紙上に目的とする画像が形成される。
<転写ベルトユニット>
本実施形態に係る転写ベルトユニットとしては、本実施形態に係る転写ベルトと、転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備えるものが挙げられる。
なお、本実施形態の転写ベルトユニットとしては、例えば、図1に示す中間転写ベルトユニット107b、及び図2に示す用紙搬送ベルトユニット220のように、転写ベルトと、転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールとを備えている。
例えば、本実施形態に係る転写ベルトユニットの一例として、図3に示す転写ベルトユニットであってもよい。
図3は、本実施形態に係る転写ベルトユニットを示す概略斜視図である。
本実施形態に係る転写ベルトユニット130は、図3に示すように、上記本実施形態に係る転写ベルト30を備えており、例えば、転写ベルト30は対向して配置された駆動ロール131および従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている。
ここで、本実施形態に係る転写ベルトユニット130は、転写ベルト30を中間転写体として適用させる場合、転写ベルト30を支持するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を転写ベルト30上に1次転写させるためのロールと、転写ベルト30上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に二次転写させるためのロールが配置されていてもよい。
なお、転写ベルト30を支持するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。上記構成の転写ベルトユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131、従動ロール132の回転に伴って転写ベルト30も支持した状態で回転する。
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<実施例1>
(転写ベルトの製造)
3,3’,4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとをN−メチルピロリドン(NMP)中で反応させてイミド化後の固形分濃度が18質量%のポリアミック酸溶液を調製した。得られたポリアミック酸溶液100質量部に対してカーボンブラック(オリオンエンジニアドカーボンズ社製、商品名:Special Black4)を80質量部添加し、ジェットミル分散機(Geanus社製、商品名:Geanus PY、衝突部の最小断面積0.032mm)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行い、分散液Aを得た。得られた分散液Aに対して、カーボンブラックがポリアミック酸固形分に対し26質量部になるように先に調製したポリアミック酸溶液を添加し、プラネタリー式ミキサー(愛工社製作所製、商品名: アイコーミキサー)を用いて攪拌・混合し、内層用ポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体組成物A1)を得た。
次に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを反応させる溶媒として、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)を用いたこと以外は上記と同様の手順で分散液を得て、外層用ポリアミック酸溶液(ポリイミド前駆体組成物B1)を得た。
次に、内層用ポリアミック酸溶液を、円筒状の基体の外周面に注入し、円筒型を軸線の回りに50rpmで回転させさせながら塗膜を形成した後、塗膜を145℃で18分間乾燥させて厚さ70μmの乾燥膜1を形成した。
次に、乾燥膜1の作製と同様にして、遠心成形型を軸線の回りに50rpmで回転させながら、乾燥膜1上に外層用ポリアミック酸溶液を塗布して塗膜を形成した後、塗膜を145℃で18分間加熱乾燥させて厚さ30μmの乾燥膜2を形成した。これにより、乾燥膜1上に乾燥膜2を積層した円筒成形体を得た。
次に、この円筒成形体を200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、ポリイミド樹脂皮膜(PI樹脂皮膜)を形成した。 その後、円筒成形体の温度が室温(30℃)にまで 冷えたところで、遠心成形型からPI樹脂皮膜を剥離してPI樹脂皮膜の中央部を369mmの幅で切断した。これにより、第1の樹脂層(内層)上に第2の樹脂層(外層)を積層した転写ベルトを得た。
<実施例2〜6、比較例1〜3>
実施例1において、内層用ポリアミック酸溶液中の成分及び溶媒種、外層用ポリアミック酸溶液中の成分及び溶媒種を表1に示すように変更したこと、並びに、膜厚(外層/内層)が表1に示す厚さになるように内層用ポリアミック酸溶液及び外層用ポリアミック酸溶液の注入量(塗布量)を変更したこと以外は、実施例1と同様の手順で実施例2〜6、比較例1〜3の転写ベルトを得た。
各例で得られた転写ベルトを用いて、以下の測定及び評価を行った。
(第1の樹脂層及び第2の樹脂層の平均膜厚の測定)
各例で得られた転写ベルトから第1の樹脂層及び第2の樹脂層をそれぞれ採取し、既述の方法により、第1の樹脂層及び第2の樹脂層の平均膜厚をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。なお、表1中の膜厚は「平均膜厚」を表す。
(ヤング率の測定)
ヤング率はJIS K7127に基づく引張試験により計測した値とした。具体的には、測定対象の転写ベルトから第1の樹脂層及び第2の樹脂層をそれぞれ切り出し、試験片(5mm×40mm)を準備した。この試験片を用いて各層のヤング率の測定を10回行ない、その平均値を測定データとした。測定機は、アイコーエンジニアリング社製引張試験機MODEL−1605Nを使用し、なお、測定条件を22℃、55%RH環境下、引っ張り速度20mm/minとした。結果を表1に示す。
〔評価〕
<クリーニング性>
各例で得られた転写ベルトを中間転写体として富士ゼロックス社製のフルカラープリンター(DocuPrint C5450)に組み込み、低温低湿(10℃、15%RH)環境下において、富士ゼロックス社製C2紙A4紙を使用し、文字とパッチのある総合パターンを20,000枚出力した。
クリーニング性の評価は、出力した紙にクリーニング不良による筋が発生しているか否かを判定すること、及び、出力後にベルト表面傷部に外添剤等がはまり込んでいるか否か(外添剤等のはまり込み状態)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察すること、の双方で行った。評価基準を以下に示す。
−評価基準−
G1(○):筋が未発生であり、かつ外添剤等の付着がない。
G2(×):筋が発生しており、かつSEM観察からベルト表面に外添剤等の付着(はまり込み)が見られる。
<耐屈曲性>
MIT試験機(株式会社 上島製作所社製:MODEL FT−701)を用いて、JIS−P8115(2001)に準拠して、試料幅15mm、引張り荷重1kgにおける破断までの耐折回数を測定した。
具体的には、各例で得られた転写ベルトを、周方向に幅15mm、長さ200mmの短冊状サンプルに切り取り、両端を固定し1kgfの引張張力をかけて、曲率形状R0.38mmの端子を支点として左右90°方向に繰返し屈曲(折り曲げ)させた。このときにサンプルが破断するまでの耐折回数を測定し、この耐折回数に基づき耐屈曲性を評価した。「破断」とは、ベルトが幅方向全体に切れた状態のことをいう。
なお、測定は、常温常湿(22℃、45%RH)環境下で行った。評価基準を以下に示す。G3以上であれば実用上許容範囲内である。
G1(◎):3000回を超えても破断なし
G2(○):1500回以上2999回以下で破断
G3(△):500回以上1499回以下で破断
G4(×):499回以下で破断
<寸法安定性>
各例で得られた転写ベルトを、2本の平行に配置されたロールで転写ベルトの内部から張力を付与しつつ支持し、転写ベルトに対して張力F(F=19.6N)を作用させた状態とする。この状態で、2本のロールの中心位置において、転写ベルトの幅全域に対してレーザ変位計(キーエンス社製LK−030)をベルト幅方向にスキャンさせる。
これにより、ベルト外周面とレーザ変位計との距離が測定され、ベルト幅方向における転写ベルトの凹凸量が得られる。なお、この測定は、転写ベルトの周方向8箇所(周方向に45°毎離れた位置)で行う。そして、得られた凹凸量の最大値Maxと最小値Minの差分Δhを平面度(mm)として算出し、この平面度に基づき寸法安定性を評価した。
G1(○):端部を含む凹凸最大量Δhが1.2mm以下
G2(×):端部を含む凹凸最大量Δhが1.2mm超え
表1中の略号は、以下のとおりである。
・BPDA: 3,3’,4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
・ODA : 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
・PPD : p−フェニレンジアミン
・DMI : 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
・NMP : N−メチルピロリドン
表1に示すように、第1の樹脂層が溶媒A1を含み且つ第2の樹脂層が溶媒B1を含む各実施例は、第1の樹脂層が溶媒B1を含み且つ第2の樹脂層が溶媒A1を含む比較例1、並びに、第1の樹脂層及び第2の樹脂層が共に溶媒A1を含む比較例3に比べ、クリーニング性に優れていることがわかる。また、各実施例は、単層からなる樹脂層が溶媒B1を含む比較例2に比べ、耐屈曲性が向上していることがわかる。
即ち、各実施例では、優れたクリーニング性及び高い耐屈曲性が両立された転写ベルトが得られていることがわかる
また、第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる樹脂が同じ構造の構成単位のみからなる実施例1〜4、6は、上記樹脂が異なる構成単位を含む実施例5に比べて、寸歩安定性が良好であることがわかる。
また、第2の樹脂層が溶媒B1として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)を含む実施例1は、第2の樹脂層がDMI以外の溶媒B1を含む実施例2〜4、6に比べて、耐屈曲性が向上していることがわかる。
更に、第1の樹脂層の膜厚が、第1の樹脂層及び第2の樹脂層の総厚に対して、50%以上である実施例1〜3、5、6は、第1の樹脂層の膜厚が50%未満である実施例4に比べて、耐屈曲性が向上していることがわかる。
30 転写ベルト、100 画像形成装置、101a〜101d 像保持体、102a〜102d 帯電装置(帯電手段)、103a〜103d、204Y、204M、204C、204BK 現像装置(現像手段)、104a〜104d 像保持体クリーニング装置、105a〜105d 一次転写ロール、106a〜106e 支持ロール、107b、220 中間転写ベルトユニット、108 対向ロール、109 二次転写ロール、110 定着装置(定着手段)、111 駆動ロール、112,113 中間転写ベルトクリーニング装置、114a〜114d 露光装置、115 記録媒体、116 二次転写ベルト、130 転写ベルトユニット、131 駆動ロール、132 従動ロール、201Y、201M、201C、201BK 感光体ドラム(像保持体)、202Y、202M202C、202BK 帯電器(帯電手段)、203Y、203M、203C、203BK 露光器(潜像形成手段)、205Y、205M、205C、205BK 感光体ドラム清掃部材、206 用紙搬送ベルト、207Y、207M、207C、207BK 転写ロール(転写手段)、208 用紙搬送ロール、209 定着装置、210 ベルト支持ロール、212 ベルト支持ロール、214 ベルト用清掃部材、216 用紙(記録媒体)

Claims (8)

  1. ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂A、並びに、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1を含む第1の樹脂層と、
    前記第1の樹脂層の外周面に配置され、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂B、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒B1を含む第2の樹脂層と、
    を有する転写ベルト。
  2. 前記第1の樹脂層に含まれる前記樹脂Aの少なくとも1種及び前記第2の樹脂層に含まれる前記樹脂Bの少なくとも1種が、同じ構造の構成単位のみからなる請求項1に記載の転写ベルト。
  3. 前記溶媒B1が、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、及び3−nブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒である請求項1又は請求項2に記載の転写ベルト。
  4. 前記溶媒B1が、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転写ベルト。
  5. 前記第1の樹脂層の平均膜厚が、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層の平均膜厚の和に対して、50%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルト。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の転写ベルトと、
    前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、
    を備え、画像形成装置に脱着される転写ベルトユニット。
  7. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の転写ベルトと、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を、前記転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、
    前記転写ベルトの外周面に一次転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
    前記記録媒体に二次転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    前記転写ベルトの外周面をクリーニングするクリーニング手段と、
    を備えた画像形成装置。
  8. ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、並びに、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンからなる溶媒群Aより選択される少なくとも1種の溶媒A1を含む組成物を硬化させて第1の樹脂層を形成する工程と、
    ポリイミド前駆体、ポリアミドイミド前駆体及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種、並びに、ウレア系溶媒、アルコキシ基含有アミド系溶媒及びエステル基含有アミド系溶媒からなる溶媒群Bより選択される少なくとも1種の溶媒B1を含む組成物を硬化させて、前記第1の樹脂層の外周面に第2の樹脂層を形成する工程と、
    を有する転写ベルトの製造方法。
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