JP2003246927A - ポリイミド樹脂組成物、ポリイミドフィルム、ポリイミド管状物及び電子写真用管状物 - Google Patents

ポリイミド樹脂組成物、ポリイミドフィルム、ポリイミド管状物及び電子写真用管状物

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JP2003246927A
JP2003246927A JP2002050437A JP2002050437A JP2003246927A JP 2003246927 A JP2003246927 A JP 2003246927A JP 2002050437 A JP2002050437 A JP 2002050437A JP 2002050437 A JP2002050437 A JP 2002050437A JP 2003246927 A JP2003246927 A JP 2003246927A
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polyimide
polyimide resin
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carbon nanotubes
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English (en)
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Taiji Nishikawa
泰司 西川
Hitoshi Nojiri
仁志 野尻
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温常湿から高温高湿において安定な様々な
中抵抗値を容易に調整でき、サンプル間、電圧変化、環
境変化による抵抗値の変動が少なく、光学系機器に隣接
しても画像形成に悪影響を及ぼさないように黒色である
ポリイミド樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物、ポリイ
ミドフィルム、ポリイミド管状物及び電子写真用管状物
を得る。 【解決手段】 ポリイミド樹脂100重量部に対し、カ
ーボンナノチューブを0.1〜40重量部含有し、体積
抵抗値が1×106〜1×1013Ω・cmの範囲内にあ
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミドが本来
有する優れた機械特性、耐熱性等の特性を損なうことな
く、中間抵抗値を有するポリイミド樹脂組成物、ポリイ
ミドフィルム及びポリイミドフィルム状管状物に関す
る。またこれらを用いた転写ベルト、中間転写ベルト、
転写定着ベルトおよび定着ベルト等の電子写真用管状物
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、その優れた耐熱性、
耐薬品性、電気絶縁性などの特性を活かし、フィルム、
チューブ、ベルト、成形体などの形状で幅広く利用され
ている。例えば、フィルム状としてFPCやTABのベ
ース基材あるいは電線などの絶縁被膜、またチューブ、
ベルト形状として複写機等のOA機器のパーツ、成形体
として複写機の分離爪やベアリング等、様々な用途に用
いられている。また、近年は半導体周辺でもその特性を
活かして接着剤などとしても様々な用途にも用いられつ
つある。
【0003】しかしながら、ポリイミド樹脂は絶縁性が
高すぎるために、FPCや半導体周辺の製造においては
搬送や巻き取りで樹脂が帯電したり、近年の高密度回路
においては静電気により配線間で絶縁破壊したりすると
いった問題が顕在化している。その一方で、導通が起こ
らない程度に抵抗は高く、優れた絶縁性を保たなければ
ならない。この場合求められる抵抗値は1010〜1015
Ω・cm、さらに好ましくは1010〜1013Ω・cmで
ある。
【0004】また、プリンター等の電子写真用途におけ
る転写ベルト・中間転写ベルト・定着ベルト等において
は、中間抵抗値を有することがトナーの転写、定着のた
めの機能として重要な品質課題となる事が良く知られて
いる。この場合求められる抵抗値は106〜1013Ω・
cmである。このように様々な分野において絶縁性を保
持でき、中程度の抵抗値(106〜1013Ω・cm)に
制御することが強く求められている。また、プリンター
は光学機器を含み、光学処理及び光学色補整をする部分
に使用される部品は光を反射しないように有色、特に黒
色であることが望まれる。
【0005】このような要求に鑑み、ポリイミド樹脂に
対し各種の導電性物質を添加して抵抗値を下げる試みが
様々なされている。例えば特開平2−110138号公
報では、芳香族ポリイミド母体と微分割電気伝導性粒子
材料とを含み、該粒子材料が均一に分散し、全体の10
〜45重量%存在する製品が示されている。また特開昭
63−311263号公報においては、カーボンブラッ
クを5〜20wt%含有し、表面抵抗(Ω/□)が10
7≦Rs≦1015の範囲にある芳香族ポリアミドフィル
ム又は芳香族ポリイミドフィルムからなる事を特徴とす
る電子写真記録装置用中間転写体が示されている。ま
た、特許第2783537号公報では、芳香族ポリイミ
ドと導電性を有する無機フィラーとを含有する組成物か
らなるフィルムであって、体積抵抗値が10-2〜1012
Ω・cm、全光線透過率が20%以上であることを特徴
とする透明導電性フィルムが示されている。
【0006】しかし上記のように、ポリイミドにカーボ
ンブラック、グラファイト、金属粒子、酸化インジウム
等の導電性充填剤を有するフィラーを混合する方法は機
械特性に劣ったものであることが多く、また、これらの
方法で用いられている充填剤は、その抵抗率が非常に低
い(1.0×103Ω・cm以下)ため半導電性領域で
の抵抗制御は非常に困難であり、特に抵抗値を再現性良
くかつ面内ばらつきを小さくすることが困難であった。
また更にはその抵抗率の測定電圧依存性が大きいものし
か得られなかった。
【0007】またさらに、こういった方法の欠点を改善
すべく、ポリアニリンとポリイミドのポリマーブレンド
により導電性を付与する方法が特開平8−259810
号公、特開平8−259709号公報に開示されてい
る。しかしポリアニリンはイオン導電性を含むためその
抵抗値の環境依存性が大きく、さらに工業的な生産性は
確立されておらず、ポリマーブレンドとして使用するに
は非常に高価であるという問題点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように種々の試み
にも関わらず、依然としてポリイミドの抵抗値を中間的
な値に安定して制御し、高絶縁性を保持することは非常
に困難な課題である。
【0009】特にカーボンブラックを添加してポリイミ
ドの抵抗を制御する場合、ポリイミドの成型に特有の次
のような課題がある。ポリイミドの成型は押出法、カレ
ンダ成型といった熱溶融による単純な成型ではなく、前
駆体のポリアミド酸溶液を加熱し、溶媒乾燥とイミド化
反応を伴う非常に複雑なものである。この乾燥及び反応
中、材料のモルフォロジー、極性、溶解性は大幅に変化
する。特に、ケミカルキュアでは変化はさらに劇的であ
る。カーボンブラックは元来凝集し易い材料である。抵
抗制御のために添加されたカーボンブラックは乾燥及び
反応過程で凝集を起こし、わずかな成型条件の変化で大
幅な抵抗変化が生じ、成型条件の設定は非常に注意を要
するものであった。また、ポリイミド樹脂、中でも全芳
香族のポリイミド樹脂は体積抵抗値が1016Ω・cmと
非常に高く、ポリアミドやポリ塩化ビニルのような体積
抵抗値が低い樹脂に比べて、導電性フィラーを大量に添
加する必要があり、大量であるがために、混錬・分散不
足による体積抵抗値のばらつきが大きかった。
【0010】また、カーボンブラックや導電性粒子を添
加して抵抗を制御する場合、これらの材料は抵抗値が低
いため、添加量のわずかな違いや分散状態の違いによっ
て抵抗値が大幅に変化したり、全く同じ配合であっても
サンプル間で抵抗値が異なったりするという問題があっ
た。さらに、ベルトのように成型体の厚みが薄いと、部
分的なばらつきが大きくなり、顕著な絶縁信頼性の低下
につながるため、抵抗制御はより困難なものとなった。
【0011】また、転写ベルトや中間転写ベルトに用い
る抵抗値が制御されたベルトは、あらゆる環境下で抵抗
値は一定であることが好ましい。具体的には常温常湿時
と高温高湿時の抵抗値の比が100倍以下、さらには3
0倍以下であることが好ましい。しかし、特に、カーボ
ンブラックや導電性粒子等の導電材を添加した樹脂材料
では、高温高湿下では、導電材と樹脂の界面に水が浸透
し、電気抵抗が大幅に低下する。またベース樹脂が吸湿
膨張すると、添加剤の分散状態が変化し、抵抗値が大幅
に変動する。
【0012】転写ベルトや中間転写ベルトに用いる場
合、画像の種類や環境に応じて、電圧や電流を制御する
必要がある。電圧に応じて抵抗値に変動があっては制御
が難しくなり、抵抗値の電圧依存性は小さいほど好まし
い。100Vと1000Vの抵抗値の比が100倍以
下、さらに好ましくは30倍以下である。
【0013】さらに、転写ベルトや中間転写ベルト等は
光学処理部付近に用いられるために、有色、特に黒色で
あることが望まれる。しかし、カーボン添加系ベルトは
前述の通り抵抗値の制御が難しく、添加量の最適化も難
しい。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決すべく種々の導電材の効果を比較検討した
結果、カーボンナノチューブを特定量だけポリイミド系
樹脂中に分散・混合することで、中抵抗値を有し、高温
高湿時での抵抗値と絶縁性の変動が少なく、抵抗値の電
圧依存性が少なく、サンプル間のばらつきが小さく、光
学処理及び光学色補整部に使用できる黒色のポリイミド
樹脂組成物を得る方法を見出し、本発明を完成するに至
った。
【0015】すなわち本発明の第一は、ポリイミド樹脂
100重量部に対し、カーボンナノチューブを0.1〜
40重量部含有し、体積抵抗値が1×106〜1×10
13Ω・cmの範囲内にあることを特徴とするポリイミド
樹脂組成物を内容とする。
【0016】さらに好ましくは、カーボンナノチューブ
の短軸径は0.3μm以下であり、カーボンナノチュー
ブは気相成長法で作成されるとよい。
【0017】また、本発明の樹脂組成物の一つは、前記
カーボンナノチューブの他に、ポリイミド樹脂100重
量部に対し、0.01〜40重量部の導電性物質を含み
得る。前記導電性物質がカーボンブラック、金属、導電
性セラミックスからなる群より選択される1種類または
2種類以上の組み合わせであるとよい。
【0018】また、本発明のポリイミド樹脂は、反応硬
化型直鎖状ポリイミド樹脂であり、イミド化促進剤とし
て酸無水物および/または三級アミンを添加後、加熱焼
成して得られるものであるとよい。
【0019】また、本発明のポリイミド樹脂組成物にお
いて常温常湿時の抵抗値Rnと高温高湿の体積抵抗値Rh
の比(Rn/Rh)が0.03〜30の範囲内にあるとよ
く、100V印加時の体積抵抗値R100Vと1000V印
加時の体積抵抗値R1000Vの比(R100V/R1000V)が
0.03〜30の範囲内にあるとよい。
【0020】さらに、本発明の第二は、前記ポリイミド
樹脂組成物からなるポリイミドフィルムおよびポリイミ
ド管状物を提供する。
【0021】本発明のポリイミド管状物における実施態
様の一つとして、電子写真装置の転写ベルト、中間転写
ベルト、転写定着ベルトまたは定着ベルトのいずれかに
使用されるポリイミド管状物が挙げられる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリイミド樹脂と
は、その構造中にイミド結合を有する樹脂全般を差し、
ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド
イミドなどの一般名称で呼ばれる樹脂はもちろん、他樹
脂との共重合系やブレンド物も含むものである。特には
カーボンナノチューブの表面活性基と強く結合すること
ができる反応硬化型の直鎖状ポリイミド樹脂が好まし
い。ここで、反応硬化型の直鎖状ポリイミド樹脂とは、
前駆体である直鎖状ポリアミド酸を経由し、アミド酸部
位が脱水閉環することで得られるポリイミド樹脂のこと
を指し、ピロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノ
ジフェニルエーテルとの反応で得られる直鎖状のポリア
ミド酸を、加熱、触媒添加等することで得られるポリイ
ミド樹脂が代表例として挙げられる。直鎖状のポリアミ
ド酸は、カルボン酸基やアミノ基等の官能基を有し、こ
れら官能基はカーボンナノチューブと強く相互作用し、
カーボンナノチューブと強固な結合を形成することがで
きるため、反応硬化型のポリイミド樹脂が好ましく用い
られる。さらに、イミド化促進剤として酸無水物および
/または三級アミンを使用すると、熱キュアの場合と比
較して、成形中や成形後において引き裂きの強いものが
得られ、成形時間も大幅に短縮される。
【0023】一般的ポリイミドとして、ジアミン化合物
とテトラカルボン酸二無水物をモノマーとして用いるの
が通常である。ジアミン化合物としては、例として
【0024】
【化1】
【0025】(式中、Xは同一または異なって、ハロゲ
ン、−CH3、−OCH3、−O(CH 2nCH3、−
(CH2nCH3、−CF3、−OCF3からなる群から
選ばれる少なくとも一種の基を表す。また、Aは同一ま
たは異なって、O、S、C=O、(CH2n、SO2
N=Nからなる群から選ばれる少なくとも一種の基を表
す。nは1以上の整数。)に示す種々のモノマーを用い
る事ができる。またテトラカルボン酸二無水物としては
【0026】
【化2】
【0027】(式中、nは1以上の整数。)に示す種々
のモノマーを用いる事ができる。これらの組み合わせに
より様々な特徴を出す事が可能であり、用途や加工法な
どの状況に応じて選択することができる。
【0028】例えば屈曲鎖を多く(好ましくは2つ以
上)含む、および/またはアミノ基をメタ位に有する芳
香族ジアミンを用い、2環以上のテトラカルボン酸二無
水物を用いる事で、熱可塑性のポリイミドとすることが
でき、加熱溶融成型が可能な樹脂組成物を提供可能であ
る。例えば、2、2´−ビス(4−アミノフェノキシフ
ェニル)プロパンと、オキシジフタル酸二無水物の組み
合わせや、ビス(2−(4−アミノフェノキシ)エトキ
シ)エタンと3,3´,4,4´ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物の組み合わせ等を例示することがで
きる。
【0029】また、ポリイミドはイミド基の存在により
通常高吸水率であるが、特定のモノマーの組み合わせに
より比較的低吸水率の樹脂組成物とすることもできる。
例として、テトラカルボン酸二無水物として2つ以上の
エステル結合で複数のベンゼン核が結合された構造を持
つものを使用するポリイミドが挙げられる。具体的に
は、
【0030】
【化3】
【0031】(式中、nは1以上の整数。)
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】に示されるような酸二無水物が挙げられ
る。この場合用いられるジアミン化合物としては、イミ
ド基含有率を下げるために比較的長鎖のモノマーを用い
ることが好ましい。例えば、1,4−ビス(4−アミノ
フェノキシ)ベンゼンやその結合位置異性体、2,2´
−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン等を
挙げることができる。ただし、酸二無水物についてもジ
アミンについても、長鎖でかつ屈曲鎖を多数有する構造
は、同時に前述の熱可塑性発現の条件でもあり、十分な
耐熱性を要求する場合には不適当である。この場合は長
鎖でありかつ直線的構造を全体的または部分的に有する
モノマーが適当である。例えばテトラカルボン酸二無水
物としては、
【0035】
【化6】
【0036】で示す構造のモノマー(TMHQ)が例と
して挙げられる。このモノマーは、屈曲鎖を含むものの
全体としては概ね直線的なコンフォメーションを取りう
る構造であり、その結合数の多さのわりには比較的剛直
なポリイミドを形成することを見出している。この原料
を用いれば線膨張係数15ppm以下、吸水率1.5%
以下、吸湿膨張係数10ppm以下の加熱や吸湿による
寸法変化が少ないポリイミド樹脂を容易に得ることがで
きる。またジアミンとしても例えばビフェニル構造やナ
フタレン構造をエーテル結合でつなぐような構造が、長
鎖でありながら比較的剛直な構造として選択できる。例
えば4,4´−ビスアミノフェノキシビフェニルなどで
ある。これら酸二無水物とジアミンの組み合わせによ
り、比較的低吸水率であり、かつ顕著な熱軟化性を有さ
ないポリイミドを得ることができる。またこれらモノマ
ーのみでなく汎用のピロメリット酸二無水物、ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物、パラフェニレンジア
ミン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル等を適宜
共重合する事により、任意の特性のポリイミドを設計可
能である。
【0037】また、ポリイミドの線膨張係数は銅といっ
た金属に比べて線膨張係数が大きい。しかし、モノマー
の種類や組成比が同じでも、モノマーの組み合わせを制
御(シーケンスコントロール)することにより比較的小
さな線膨張係数を有する樹脂組成物とすることができ
る。例えば、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、
パラフェニレンジアミン、ピロメリット酸二無水物をラ
ンダム共重合する場合に比べて、4,4´−ジアミノジ
フェニルエーテルとピロメリット酸二無水物を予め反応
させておき、その後パラフェニレンジアミンを添加する
手順を取ると低線膨張係数のポリイミドを得ることがで
きる。
【0038】本発明はポリイミド樹脂に、カーボンナノ
チューブを配合するため、ポリイミドに対しては、ポリ
イミド単体で用いる場合に比較してより高い靭性が求め
られる。ポリイミド自身の靭性が十分でないと、カーボ
ンナノチューブの配合により必然的に靭性が低下するた
め、実用に供する事ができなくなる場合がある。その点
で最も好ましいのは、ピロメリット酸二無水物と4,4
´−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリイミドで
ある。本構造は、十分な耐熱性と高い靭性を兼ね備え、
なおかつ広い範囲の加工条件でその特性を維持できるバ
ランスの取れた構造である。
【0039】上記ポリイミド樹脂の抵抗を中抵抗に制御
する材料としては、カーボンナノチューブが良い。カー
ボンブラックは不定形状であるが、カーボンナノチュー
ブは繊維状であるため互いに接触しやすく、カーボンブ
ラックに比べてポリイミドの成形加工時に凝集しにく
い。そのため、カーボンブラック、金属、金属酸化物等
の導電性物質にくらべて、少量添加で中抵抗領域への制
御が可能となる。また、カーボンナノチューブには、繊
維径が0.3μm以下のカーボンナノファイバー、底の
空いたコップ状カーボン材料が幾重にも重なったカーボ
ンナノチューブも含まれる。カーボンナノチューブの製
造法にはアーク放電法、レーザーアブレーション法、プ
ラズマ合成法、電解法、電子線照射法、気相成長法があ
り、中でも気相成長法が最も量産が出来る方法と言われ
ている。とくに、アーク放電法、レーザーアブレーショ
ン法、気相成長法にて作製されたカーボンナノチューブ
は径や長さ等の形状を制御しやすいために本発明に好ま
しく用いられる。中でも気相成長法にて作製されたもの
が最も好ましく用いられる。というのは、気相成長法を
用いれば、ナノチューブの径や長さを、加熱温度、原料
投入量や触媒添加量等の作製条件を変更することで制御
することができ、大量生産も可能になるからである。ま
た、カーボンナノチューブの層数が少なくなるほど、単
位重量あたりのチューブ本数が増え、少量添加で抵抗を
下げることができ、気相成長法は、この層数制御にも優
れているために好ましい。また、カーボンナノチューブ
の電気伝導は電子伝導であり、配合材料の抵抗の環境依
存性は非常に小さいものとなる。また、繊維状であるた
め、機械強度の増加、線膨張係数や吸湿膨張係数の低減
の効果が高く、引き裂き等による断裂や張力による寸法
変化を防ぎ、高耐久かつ高寸法安定性で長期の搬送特性
にすぐれたベルトを得ることができる。また、配合部数
は少量ですむため高い表面平滑性を有するベルトを得る
ことができる。また、カーボンナノチューブはカーボン
ブラック、黒鉛と同じく炭素からなるため、色は黒色で
ある。このため、カーボンナノチューブを添加するだけ
で樹脂は黒色となり、カーボンナノチューブ配合材料は
光の反射を嫌う光学機器周りへの使用にも適している。
このような気相成長法によって作製されるカーボンナノ
チューブとしては、ハイペリオンキャタリシスインター
ナショナル、昭和電工(株)、日機装(株)カーボン・
ナノテク・インスティチュート、GSIクレオス(株)
等よって製造されるものが挙げられる。
【0040】カーボンナノチューブの短軸径は0.3μ
m以下、好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは
0.05μm以下である。短軸径が小さいほど、同質量
添加に対するチューブの本数が増え、抵抗の低減効果に
優れるために好ましい。また、カーボンナノチューブに
は、単層から多層まで幅広く種類が存在する。短軸径が
同じ場合でも、単層であるほど一本あたりのカーボンナ
ノチューブの重量は小さくなり、同質量に対するチュー
ブの本数が増え、抵抗の低減効果に優れるために好まし
い。さらに、100μm以下といった厚みが薄い成形体
においては、短軸径が0.3μmよりも大きい材料の場
合、分散不良による局部的な凝集によって絶縁破壊が起
こるために好ましくない。一方0.3μm以下であれ
ば、多少の凝集であっても絶縁性が悪化しないために好
ましい。カーボンナノチューブの長軸径は特に限定され
ないが、50μm以下、好ましくは40μm以下、更に
は30μm以下である。100μm以下といった厚みが
薄い成形体においては、長軸径が50μmよりも大きい
材料の場合、分散不良による局部的な凝集によって絶縁
破壊が起こるために好ましくない。一方50μm以下で
あれば、多少の凝集であっても絶縁性が悪化しないため
に好ましい。また、短軸径と長軸径がこの範囲を外れる
と抵抗値と機械的強度のバランスもとりにくくなる。
【0041】これらカーボンナノチューブの配合量はポ
リイミド樹脂100重量部に対し0.1〜40重量部で
あり、好ましく0.5〜35重量部、さらに好ましくは
1〜30重量部である。カーボンナノチューブの種類は
径、長さ、層数の異なる2種以上を用いることも可能で
ある。上記範囲よりも多いと、抵抗が中抵抗よりも低下
しすぎて絶縁性が悪化する。また、機械特性、表面性も
悪化し、もろい材料となるので好ましくない。また、配
合量が上記範囲よりも少ないと、抵抗が下がらず、目的
の中抵抗領域に制御することができないために好ましく
ない。また、イミド化促進剤を添加して反応を促進させ
る場合、カーボンナノチューブが凝集しやすいので、熱
キュアの場合に比べて、カーボンナノチューブの添加量
を増やす方が好ましい。これらの配合部数であれば、カ
ーボンブラックや黒鉛といった有色導電材を添加するこ
となしに、黒色化が容易に実現できる。また、カーボン
ナノチューブは、繊維状であり、添加部数が少なくて抵
抗を中抵抗領域に制御することができるため、添加によ
る機械強度の低下は引き起こさない。例えば、引っ張り
伸びは35%、引き裂き伝播強度は250g/mm以上
で、フィラー未添加品に対して50%以上の保持率を有
するポリイミド樹脂組成物が得やすい。また、吸水率も
5%以下に保つことができ、吸水率増加量はポリイミド
元来の吸水率並に抑えることができる。また他の導電材
と複合すると、カーボンナノチューブが他の導電材の分
散を助け、より均一な分散状態を実現することができ
る。これら配合量よりも少ないと目的の中抵抗領域に抵
抗を下げることができない。
【0042】これらをもちいて適切に配合を行うことで
安定して体積抵抗値1×105〜1×1015Ω・cm、
好ましくは1×105〜1×1014Ω・cm、さらに好
ましくは1×106〜1×1013Ω・cm、表面抵抗値
が105〜1015Ω/□、好ましくは1×105〜1×1
14Ω/□、さらに好ましくは1×106〜1×1013
Ω/□の中間的抵抗値を実現することができる。また、
常温常湿時の抵抗値Rnと高温高湿の体積抵抗値Rhの
比(Rn/Rh)が0.03〜30、さらに好ましくは
0.1〜10の範囲内に制御でき、環境安定性の優れた
材料を調整することができる。また、100V印加時の
体積抵抗値R100Vと1000V印加時の体積抵抗値R
1000Vの比(R100V/R1000V)が0.03〜30の範囲
内に制御でき、電圧依存性の少ない材料を調整すること
ができる。
【0043】また、ポリイミド樹脂組成物の体積抵抗値
を106〜1013Ω・cmの中抵抗領域に制御すること
は、従来の方法では困難であったが、本発明によれば容
易に得られ、これらは、電子写真装置の転写ベルト、中
間転写ベルト、転写定着ベルトおよび定着ベルトの構成
部材として有用なフィルム及び管状物を与える。
【0044】カーボンナノチューブを添加することで、
中抵抗値と高絶縁性を有し、抵抗値の電圧依存性が少な
く、高温高湿時での抵抗値と絶縁性の変動が少なく、機
械強度および寸法安定性に優れるベルトが得られるのは
次のような理由からである。
【0045】まず、カーボンナノチューブを添加するこ
とで、中抵抗値と高絶縁性を有する複合材料が得られや
すい理由について説明する。
【0046】カーボンナノチューブの形状はカーボンブ
ラックのように不定形状ではなく、繊維状である。また
単体で1×103Ω・cm以下と抵抗が非常に小さく、
硬度も金属や金属酸化物に比べると低い。これらの特徴
を有するために、カーボンナノチューブはカーボンブラ
ックや金属、金属酸化物系導電性フィラーよりも低配合
量で、バラツキがなく、以下に示す中抵抗値と高絶縁性
を発現する分散状態を効果的に形成することができる。
【0047】まずはじめに、樹脂と導電材料(カーボン
ナノチューブ、カーボンブラック、金属、金属酸化物
等)からなる複合材料の導電機構について、導電材料の
配合量と分散状態にもとづいて説明する。(1)導電材
料の配合部数が少ないときは、導電材料同士が接触する
ことが少なく、複合材料内に電気伝導経路が形成されな
いために抵抗は高抵抗値を示す。(2)次に、導電材料
の配合部数が増加し、導電材料同士がトンネル効果を発
現する領域にまで近づいたり、部分的に接触したりする
ようになると、電気が微小に流れるようになり、複合材
料の抵抗値は中抵抗値を示す。(3)さらに、導電材料
の配合部数が増え、導電材同士が接触することが多くな
ると、完全に電気伝導経路が形成され、抵抗値は低抵抗
値を示す。つまり中抵抗値を示すためには、(2)の分
散状態、すなわち、導電材料間でトンネル電流が流れる
ようにする必要がある。
【0048】しかし、実際に(2)のような導電材料の
分散状態を実現させることは困難な課題である。例え
ば、カーボンブラックのように柔らかく、不定形状であ
り、凝集しやすい導電材料を用いた場合、混錬方法や成
形方法によって分散状態に大きな差がでやすい。例え
ば、混錬条件を厳しくすると、カーボンブラックそのも
のが破壊し、(2)の状態から(1)の状態へ移行して
しまう。逆に、混錬条件を弱くすると、カーボンブラッ
ク同士の凝集を解くことができずに、(2)の状態より
も(3)の状態になってしまう。また、混錬後も、成形
途中に熱を加えたり、触媒を添加したりすることで、樹
脂の流動状態、溶解パラメータが変化し、カーボンブラ
ックが再凝集を起こし、分散状態が劇的に変化する。ま
た、金属や金属酸化物等といった無機導電材料は、カー
ボンブラックにくらべて硬く、様々な形状のものがあ
り、凝集を起こしにくいとはいえ、カーボンブラックと
同じ課題がある。さらに無機導電材料にはカーボンブラ
ックとは異なる次のような課題がある。粒状の無機導電
材料を添加する場合は、(2)の状態を実現するために
は、多量のフィラーを添加しなければならず、絶縁性の
弱い部分が存在しやすくなる。また、多量のフィラーを
含むため複合材料は脆くなる。また、針状や鱗片状の無
機導電材料を添加して、フィルムのような薄い形状のも
のを成形した場合、無機材料が面方向に配向し、たとえ
面内で(2)の状態を形成したとしても、厚み方向では
(1)の状態を形成することが難しくなり、厚み方向と
面方向で抵抗に異方性が生じ、体積抵抗及び表面抵抗の
両方を中抵抗に制御することが難しくなる。また、無機
導電材料は硬度が高すぎ、添加量も多く必要なため、表
面を粗し、中間転写や転写定着ベルトに使用した場合、
トナーのかき取りが難しくなるために好ましくない。ま
た混錬時に無機材料同士が過度接触して破壊し、抵抗が
ばらつくこともある。
【0049】一方、カーボンナノチューブは、上記のよ
うな問題がなく、簡単に(2)の分散状態を得ることが
でき、中抵抗と高絶縁性を有する複合材料を得ることが
できる。また、サンプル間のばらつきも小さくできる。
【0050】次に、カーボンナノチューブを添加するこ
とで、抵抗の電圧依存性を小さくかつ絶縁性に優れる複
合材料が得られやすい理由について説明する。
【0051】ポリイミドと導電材料からなるフィルムの
抵抗を測定するために、フィルムに電圧を印加すると、
電圧はポリイミドと導電材料に分圧される。電圧は導電
材料よりも高抵抗であるポリイミドの部分にかかると考
えられる。カーボンナノチューブ添加の系では、添加量
が少なく、繊維状であるため、カーボンナノチューブ同
士の接触が少なく、樹脂であるポリイミド部分に局所的
に高電圧がかかることを防ぐことができ、ポリイミドに
おける絶縁破壊が低減されるものと考える。
【0052】また、一般に樹脂に高電圧(例えば厚み1
00μmに対して1kV以上の電圧を印加)を印加した
場合、樹脂は絶縁破壊に近づき、抵抗値の電圧依存性は
急激に悪化する。つまり、破壊直前には大電流が流れ
る。このことから抵抗値の電圧依存性は、樹脂に高電圧
がかかることで樹脂が破壊に近づくために生じる現象と
考えられる。しかし、カーボンナノチューブ添加の系で
は、添加量が少なく、繊維状であるため、カーボンナノ
チューブ同志の接触が少なく、樹脂であるポリイミド部
分に局所的に高電圧がかかることを防ぐことができ、抵
抗値の電圧依存性を改善できると考える。
【0053】次に、カーボンナノチューブを添加するこ
とで、抵抗の環境依存性が小さい複合材料が得られやす
い理由について記載する。
【0054】抵抗の環境依存性悪化すなわち吸湿時の電
気特性悪化の原因は、吸湿で樹脂とフィラーの界面に水
からなるスキン層が形成され、電気の流れやすい流路が
形成されるためだと考えられる。しかし、カーボンナノ
チューブを用いれば、添加量が少なくても中抵抗制御が
可能となるため、界面のスキン層が少なくなり、高温高
湿時の抵抗値と絶縁性悪化は少なくなる。
【0055】次に、カーボンナノチューブを添加するこ
とで、機械強度および寸法安定性に優れる複合材料が得
られやすい理由について記載する。
【0056】一般にこれらを改善するためにフィラーの
表面処理がおこなわれる。しかし、樹脂にポリイミド特
に反応活性のある反応硬化型の直鎖状ポリイミドを用い
た場合、カーボンナノチューブと強固な複合材料を作る
ため、機械強度および寸法安定性に優れる複合材料が得
られ、また、スキン層が少ないため、環境変化による抵
抗値と絶縁性の大幅な変化も生じにくい。さらにカーボ
ンナノチューブの表面は基本的には炭素のみからなって
いるが、表面を酸化処理すると、部分的に水酸基や活性
な酸素が形成され、表面処理をおこなわずともイミド化
の際に樹脂と強い相互作用を起こし、強固な複合材料と
なる。このために、強い引き裂き伝播強度と伸びをもつ
材料となり、十分な機械特性、絶縁耐性を保持すること
ができる。高温高湿時の抵抗値低下と絶縁性悪化も防ぐ
ことができる。さらに、カーボンナノチューブとポリイ
ミドの強固な結合を作るためには、表面処理をおこなっ
てもよい。表面処理剤としては、カップリング剤を用い
るとことができるシラン系カップリング剤、チタン系カ
ップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、アミノ
酸系カップリング剤等を用いることができる。樹脂は反
応硬化型の直鎖状ポリイミド樹脂の場合には、表面処理
をすることで結合はより強固なものとなるが、処理をお
こなわずとも十分な強度を得ることができる。
【0057】ポリアミド酸とカーボンナノチューブを混
合する場合、主に次のような二つの方法がある。一つ目
は、ポリアミド酸重合溶媒に予めカーボンナノチューブ
を添加してカーボンナノチューブの分散溶液を調整し、
その後ポリアミド酸の原料であるジアミンと酸二無水物
を添加してポリアミド酸を重合する方法がある。別の方
法としては、予め重合して得たポリアミド酸とカーボン
ナノチューブの分散溶液を混合する方法がある。このよ
うなどちらの方法を用いるにしてもカーボンナノチュー
ブの分散溶液を調整する必要がある。カーボンナノチュ
ーブは比重が樹脂に近く、中空状であるため、かさ比重
はさらに小さい。また、繊維状であるため、分散状態に
優れ、沈降しにくく貯蔵安定性に優れた分散溶液を得る
ことができる。
【0058】カーボンナノチューブは分散性に優れる
が、分散溶液を作成するのに際し、分散材を配合しても
良い。分散材としては、金属塩や界面活性剤といったも
のが挙げられる。特に金属塩が好ましく、Li塩、Na
塩、K塩、Rb塩、Cs塩、Be塩、Mg塩、Ca塩、
Sr塩、Ba塩からなる群より選択される1種類または
2種類以上の組み合わせが良く、 Li塩、Na塩、K
塩が好ましい。Li塩では格子エネルギーが1100以
下のLi塩が好ましく、具体的には LiF、LiC
l、LiBr、LiI、LiSCN、LiCF3SO3
いったものが挙げられる。Na塩では格子エネルギーが
800以下のNa塩が好ましく、具体的にはNaF、
NaCl、 NaBr、 NaI、 NaSCN、 NaC
3SO3といったものが挙げられる。K塩では格子エネ
ルギーが800以下のK塩が好ましく、具体的にはK
F、 KCl、 KBr、 KI、 KSCN、 KCF3
3といったものが挙げられる。これらの金属塩は、常
温でイオンが解離しやすく、カーボンナノチューブと相
互作用が強くなるために好ましい。ただし、格子エネル
ギーが小さすぎると、添加量の影響が大きくなりすぎる
ので格子エネルギーが大きいものが好ましい。これら金
属塩は有機物を含まないために、成形中の高温乾燥でも
樹脂が焼け付くようなことはない。分散材の配合量はポ
リイミド樹脂100重量部に対して1重量部以下の所定
の量を配合すれば良く、0.01〜0.1重量部以下で
も十分効果はある。一般に電線被覆の用途では、金属塩
が添加されると絶縁性が悪化し、誘電率が4以上の材料
に添加した場合にはイオン伝導性が高まり特に好ましく
ないが、ポリイミドとカーボンナノチューブの組み合わ
せにおいては、ポリイミドが絶縁性に優れ、誘電率が4
以下であるため、上記示した配合の範囲では特に絶縁性
や抵抗の電圧依存性は悪化することはない。
【0059】上記ポリイミド樹脂に対して、前記のカー
ボンナノチューブの他に、導電性物質を添加してもよ
い。他の導電性物質としては、カーボンブラック、グラ
ファイト、金属粉末、金属酸化物粉末、導電処理された
金属酸化物、帯電防止剤等が挙げられる。
【0060】上記ポリイミド樹脂に対して配合されるカ
ーボンブラックとしては、導電性を有するものであれば
種々の既存のカーボンブラックを用いることができ、フ
ァーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラ
ック、チャンネルブラック等がある。中でも、ファーネ
スブラックの1種であるが、特に比表面積が大きくケッ
チェンブラックと呼ばれるカーボンブラックを用いた場
合、カーボンブラックの配合量が少なくても効果が高
く、なおかつ他のカーボンブラックを使用した場合に比
較して電圧依存性が少ない事を見出しており、ケッチェ
ンブラックを用いることが特に好ましい。
【0061】上記ポリイミド樹脂に対して配合される金
属粉末としては、銅、鉄、アルミニウム、SUS等の粉
末が挙げられ、金属酸化物粉末としては導電性半導体セ
ラミックスが挙げられ、導電処理された金属酸化物とし
ては、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、
マイカ等を導電化処理した物が挙げられる。
【0062】これらの配合比率としては、ポリイミド樹
脂100重量部に対し、40重量部以下の所定の量を添
加するのが良く、好ましくは10重量部以下、さらに好
ましくは4重量部以下の量を添加するのが良い。それぞ
れの物質は最低1種ずつ用いるが、それぞれ2種以上の
物質を用いることも可能である。配合量が増えると、抵
抗の電圧依存性や絶縁性が悪化するため好ましくない。
また、配合量が少なすぎるとこれらの導電性物質を用い
た効果が発揮されにくくなるので、0.01重量部以
上、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重
量部以上を配合する方が良い。
【0063】また、これら配合系にさらに他の非導電性
の無機粉体を加えることも可能である。非導電性フィラ
ーとしては例えばアルミナ、シリカ等の小径粒状物質、
雲母、粘土鉱物等の板状・鱗片状物質、チタン酸バリウ
ム、チタン酸カリウム等の短繊維状もしくはウィスカー
状物質など多様な物が用いられる。非導電性フィラー
は、例えば弾性率等の他特性コントロールのために添加
する場合もあるし、また、非導電性の粉体が適度に導電
性粉体の分散を補助し、導電体の凝集等を防止して安定
した抵抗値を実現できる場合がある。
【0064】これらをもちいて適切に配合を行うことで
安定して1×106〜1×1013Ω・cmの中間的体積
抵抗値を実現することができる。また、常温常湿時の抵
抗値Rnと高温高湿の体積抵抗値Rhの比(Rn/Rh)が
0.03〜30、さらに好ましくは0.1〜10の範囲
内に制御でき、環境安定性の優れた材料を調整すること
ができる。また、100V印加時の体積抵抗値R100V
1000V印加時の体積抵抗値R1000Vの比(R100V
1000V)が0.03〜30の範囲内に制御でき、電圧
依存性の少ない材料を調整することができる。
【0065】上記のような組成のポリイミドは様々な形
状で用いうるが、絶縁性を保持しながら抵抗値が一定レ
ベルであることが特に難しくなるのは、厚みが薄いもの
の場合であり、その意味で、フィルム状、シート状、ベ
ルト状、チューブ状等の広義でのフィルム状形態におい
て、特に厚みが150μm以下の形態においては上記配
合は特に有効となるのである。
【0066】添加するカーボンナノチューブや他の導電
材をポリイミド樹脂に分散させるための方法としては、
種々の方法がとりうる。
【0067】ポリイミド樹脂が溶剤可溶性の場合、溶剤
に溶解したポリイミド樹脂中に該粉体類または粉体類を
溶媒に予備分散したものを加え、攪拌翼での混合や3本
ロールなどの混練り機によって分散を進める方法がとり
うる。また、逆に予め粉体類を溶媒に予備分散した物に
対し、溶剤可溶性のポリイミドの粉体またはペレット等
を加えて良く混合するという方法も可能である。予備分
散の方法としては、粉体類を溶剤に加えて超音波分散機
によって十分に分散を進めておくといった方法が有効で
ある。特に針状粉体は過剰な剪断力を受けると形状が破
壊される可能性があるため、3本ロールを使用しない方
法のほうが好ましい。
【0068】ポリイミド樹脂が溶剤不溶性の場合、ポリ
イミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液に対し、上記
の予備分散液を加えて、同様の方法で混合・混練り等を
行う方法も可能である。
【0069】この際、固形粉体の分散性を補助するため
の分散剤を併用することも、ポリイミドの特性劣化を顕
著に起こさない範囲で可能である。予備分散溶液に分散
材として金属塩を添加した場合には、分散状態が非常に
均一なため、手による攪拌でも十分均一な分散状態を実
現することができる。また、予備分散液の方に、ポリア
ミド酸溶液を少量ずつ攪拌しながら添加していく方が、
上記の逆手順よりもより分散性は向上する。
【0070】また、特に良好な分散性が得られる別の方
法として、溶剤中に先に粉体類を加えて、超音波分散機
等により十分に分散させておき、これにポリイミド(ポ
リアミド酸)の原料であるジアミン化合物と酸二無水物
化合物を加え重合反応を行うという方法がある。この方
法によれば超音波分散などによりミクロなレベルでの分
散が良好に保たれるのと同時に、初期の固形粉体分散後
から重合中にかけて常に攪拌がなされるために、マクロ
なレベルの分散性も非常に良好である。
【0071】溶液がポリイミド溶液の場合、これを任意
の形状に加工した後、加熱や場合によっては減圧を併用
することにより溶剤を揮発せしめ、ポリイミド成形体を
得ることができる。溶液がポリアミド酸溶液である場合
も、ポリイミド溶液の場合と同様の工程によりポリイミ
ド成形体を得ることができる。この場合、加熱に先立
ち、イミド化の促進のため、脱水剤として無水酢酸など
の酸無水物や触媒として三級アミンを単独または併用し
て用いる事ができる。ただし酸無水物はイミド化反応の
促進だけでなく、ポリアミド酸の分子鎖主鎖の切断も引
き起こしえるため、ポリイミドの機械的特性のために
は、酸無水物と三級アミンの併用または三級アミンのみ
の添加がより好ましく、熱のみのイミド化に比べて高い
引き裂き伝播強度の物が得られる。具体的には、引き裂
き伝播強度が250g/mm以上、より好ましくは、5
00g/mm以上の物が得られる。また触媒添加は、加
熱時間を減らすことができ、カーボンナノチューブが熱
劣化することを抑えることができるために非常に好まし
い。特に、カーボンナノチューブは、長時間の加熱によ
って導電性の変化を引き起こすために、触媒添加による
加熱時間の短縮は非常に大切である。また、加熱時間が
短いために、樹脂の熱劣化や樹脂とカーボンナノチュー
ブ反応による劣化を抑えることができるために好まし
い。また、触媒添加による製法では、樹脂の面内配向が
進み、針状や鱗片状のカーボンナノチューブを用いた場
合、カーボンナノチューブも平面状に配向しやすくな
る。その結果、厚みが100μm以下といった薄い成形
物の場合、厚み方向に配向するカーボンナノチューブが
減り、電気絶縁性を改善でき、またフィラーの吸湿によ
る厚み方向の電気特性劣化部分を減らすことができ、抵
抗の湿度依存性を減らすことができるために好ましい。
また、成形時間が短くてすみ、生産性が飛躍的に高くな
り、製造中に強度が出やすく、製造中に脆くなることが
無い。
【0072】フィルムおよび管状物への具体的成形法の
例として下記のような方法が挙げられる。
【0073】上記各無機成分を分散させた樹脂溶液をエ
ンドレスベルト上に、Tダイ、コンマコーター、ドクタ
ーブレードなどを用いる事で厚み制御をした上で塗布す
る。樹脂溶液を熱風などによって自己支持性を有するま
で加熱乾燥し、そののちエンドレスベルトより引き剥が
す。引き剥がした半乾燥のフィルムの幅両端をピンやク
リップによって固定し、幅方向の長さを規制しながら順
次高温の加熱炉内を通すことによって、フィルム状成形
物を得ることができる。または金属などの連続したシー
ト状の支持体上に同様の方法で塗布し、これを加熱炉内
へ通過せしめることによってシート状に固定されたフィ
ルムまたはシート形状のポリイミド成形体を得、そのの
ち支持体シートより引き剥がすかまたは支持体シートを
エッチングなどの手段により除去する方法も取りうる。
このようにして得たフィルムまたはシート状の成形体を
所定長さと幅に切り、ベルトまたはチューブ状につなぎ
合わせてベルトまたはチューブを得る方法が最も容易で
ある。つなぎ合わせには接着剤や接着テープ等を用いる
ことができるが、この方法は不可避的につなぎ目で段差
や切れ目が存在するため、用途によっては不都合が生じ
る場合がある。
【0074】管状物を得る方法としては、円筒状金型の
内面または外面に樹脂溶液を塗布し、加熱乾燥あるいは
減圧乾燥などにより溶媒を揮発させ、これをこのまま最
終焼成温度まで加熱するか、あるいは一旦引き剥がし
て、最終的に内径を規定するための別金型の外周にはめ
込み、最終焼成温度まで加熱するといった方法がとりう
る。円筒状金型への樹脂溶液の塗布にあたっては、樹脂
溶液の垂れによる厚みばらつきを緩和するため、金型を
回転させることも有効である。最終焼成温度はポリイミ
ドの構造や添加するカーボンの耐熱性により適宜選択す
る事が必要であるが、非熱可塑ポリイミドでポリアミド
酸状態から加熱・焼成する場合は概ね350℃〜450
℃の間、熱可塑ポリイミドの場合はポリイミドのガラス
転位点温度に対し−20℃〜+100℃の間が好適な範
囲である。
【0075】トナーの離型性や転写性およびトナーのク
リーニング性を改善するためには、ポリイミド管状物の
表面には導電性制御されたフッ素樹脂最外層を形成する
とよい。フッ素樹脂としては、PTFE、PFAといっ
たものが挙げられ、導電性制御用の添加剤としては、ポ
リイミドの導電性制御用添加剤にあげたもの等が使用さ
れうる。最外層の形成方法は、塗布やフィルムの貼り合
わせ等が考えられるが、これら材料をディスパージョン
としてスプレー塗布する方法が一般的である。
【0076】以上、本発明に係わる実施態様を説明した
が、本発明は上述の形態に限定されるものではない。
【0077】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例によって限定されるもの
ではない。
【0078】(物性評価方法)次に、樹脂組成物の物性
評価方法について説明する。なお、物性は樹脂組成物か
らなる管状物を成形し、フィルム状のサンプルを切り出
して評価した。
【0079】フィルム状サンプルの厚み方向の体積抵抗
値と表面抵抗値の測定は、次のように実施した。 ひと
サンプルから10cm×10cmを4枚切り取り、温
度10℃・湿度15%Rhの環境(LL)、温度23
℃・湿度55%Rhの環境(NN)、温度30℃・湿
度80%Rhの環境(HH)に24時間放置し、該環境
下にてアドバンテスト(株)製デジタル超高抵抗/微小
電流計R8340と三菱化学(株)製HRプローブを用
い100Vにおける体積抵抗値と表面抵抗値を測定し
た。
【0080】フィルム厚み方向の絶縁性の測定は、次の
ように実施した。 このフィルム状サンプルを温度23
℃・湿度55%Rhの環境(NN)に24時間放置し、
該環境下にて安田精機製作所製のYSS式耐電破壊試験
機を用いて絶縁性を測定した。
【0081】フィルム状サンプルの引張弾性率、引張伸
びの測定は、ASTM D882に準拠して実施した。
フィルム状サンプルの引裂伝播強度測定は、ASTM
D1938に準拠して実施した。
【0082】フィルム状サンプルの吸水率は、JIS
K 7209に準拠して実施した。具体的には、フィル
ム状サンプルを50℃±2℃に保った恒温槽内で24±
1時間乾燥し、デシケーターで放冷したものの重量をW
1 とし、24時間蒸留水に浸した後、表面の水滴を拭
き取ったものの重量をW2とし、 吸水率(%)=(W2−W1)÷W1×100 の式により算出した。
【0083】フィルム状サンプルの線膨張係数は、窒素
気流下、理学電気製TMA−8140を用いて、温度2
0〜300℃で伸びたフィルムの温度伸び量Aを測定
し、線膨張係数=温度伸び量A÷温度変化量Bの式によ
り算出した。フィルム状サンプルの吸湿度膨張係数は、
湿度を低湿側35%RHから高湿側75%RHまで変化
させ、湿度変化量Bとサンプルの伸び量Aを同時に測定
し、 吸湿度膨張係数={吸湿伸び量A÷(サンプル長さ+
C)}÷湿度変化量B (C:サンプルセット後室温から測定温度に上がるとき
の熱膨張:測定温度50℃)の式により算出した。
【0084】次に、実施例と比較例について説明する。
【0085】(実施例1)芳香族ジアミンとして4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルを、芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を用い
て得られたポリアミド酸のDMF溶液(固形分濃度1
8.5%、溶液粘度3,000poise)を75g準
備した。一方、DMF25.0gにカーボンナノチュー
ブ(VGCF:昭和電工(株):繊維径0.15μm、
繊維長10〜20μm)0.56gを分散させた液を調
整した。
【0086】これらポリアミド酸溶液とカーボンナノチ
ューブの分散液を添加し混練した。次いで筒状SUSに
キャストし、140℃/15分、200℃/30分、2
50℃/30分、300℃/30分、350℃/30分
熱処理して約50μmの黒色のポリイミド管状物を得
た。本管状物中のフィラー量はポリイミド固形分100
重量部に対して4重量部である。特性値を表1に示す。
【0087】このようにして重合したポリイミドフィル
ム単体の線膨張係数30ppm以上、吸湿膨張係数16
ppm、引張弾性率2.9GPa、伸び70%、引き裂
き伝播強度500g/mm以上、吸水率2.5%であっ
た。
【0088】(実施例2)芳香族ジアミンとして4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルを、芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物を用い
て得られたポリアミド酸のDMF溶液(固形分濃度1
8.5%、溶液粘度3,000poise)を75g準
備した。一方、DMF25.0gにカーボンナノチュー
ブ(VGCF:昭和電工(株):繊維径0.15μm、
繊維長10〜20μm)1.74gを分散させた液を調
整した。
【0089】これらポリアミド酸溶液とカーボンナノチ
ューブの分散液を添加し混練した。得られたドープを管
状フィルム状にキャストする前に、無水酢酸/イソキノ
リン/DMFを9.03g/11.4g/15.6gか
らなる溶液を添加混合し、次いで筒状SUSにキャスト
し、140℃/360秒、275℃/40秒、400℃
/93秒熱処理して約50μmの黒色のポリイミド管状
物を得た。本管状物中のフィラー量はポリイミド固形分
100重量部に対して12.5重量部である。特性値を
表1に示す。
【0090】このようにして重合したポリイミドフィル
ム単体の線膨張係数21ppm、吸湿膨張係数16pp
m、引張弾性率2.9GPa、伸び70%、引き裂き伝
播強度450g/mm、吸水率2.5%であった。
【0091】(実施例3)DMF21gにカーボンナノ
チューブ1.39g、カーボンブラック(#MA22
0:三菱化学(株))0.55gを分散させた液を調整
した以外は、実施例2と同様にして黒色のポリイミド管
状物を得た。本管状物中のフィラー量はポリイミド固形
分100重量部に対して14部である。特性値を表1に
示す。
【0092】(実施例4)DMF21gにカーボンナノ
チューブ1.39g、ホウ酸アルミニウムウィスカー
(アルボレックスM10B:四国化成工業(株):平均
粒径0.5〜1μm以下)2.78gを分散させた液を
調整した以外は、実施例2と同様にして黒色のポリイミ
ド管状物を得た。本管状物中のフィラー量はポリイミド
固形分100重量部に対して30部である。特性値を表
1に示す。
【0093】(実施例5)ポリアミド酸のDMF溶液を
芳香族ジアミンとして4,4′−ジアミノジフェニルエ
ーテル3当量をDMFに溶解し、次にPMDA4当量を
加え、さらに、パラフェニレンジアミン1当量を加えて
重合したポリアミド酸のDMF溶液(固形分濃度18.
5%、溶液粘度3,000poise)に変更した以外
は実施例2と同様にして黒色のポリイミド管状物を得
た。特性値を表1に示す。
【0094】このようにして重合したポリイミドフィル
ム単体の線膨張係数8ppm、吸湿膨張係数9ppm、
引張弾性率4GPa、伸び70%、引き裂き伝播強度4
50g/mm、吸水率は2.1%であった。
【0095】(実施例6)ポリアミド酸のDMF溶液を
芳香族ジアミンとして4,4′−ジアミノジフェニルエ
ーテル5当量、パラフェニレンジアミン5当量をDMF
に溶解し、次にTMHQ5当量加えさらにPMDA5当
量を加えて重合したポリアミド酸のDMF溶液(固形分
濃度18.5%、溶液粘度3,000poise)に変
更した以外は実施例2と同様にして黒色のポリイミド管
状物を得た。特性値を表1に示す。
【0096】このようにして重合したポリイミドフィル
ム単体の線膨張係数9ppm、吸湿膨張係数5ppm、
引張弾性率6GPa、伸び40%、引き裂き伝播強度4
50g/mm、吸水率1.2%であった。
【0097】以上のようにして得られた実施例1〜6の
ポリイミド樹脂のLL、NN、HHの体積抵抗値は1×
1010〜1×1012Ω・cmで中抵抗領域に調整されて
おり、絶縁性も10kV/mm以上と優れていた。また
NNとHHの体積抵抗値の比は100倍以下であり、体
積抵抗値の環境依存性は小さかった。また、100Vと
1000Vで測定した体積抵抗値の比は30倍以下であ
り、体積抵抗値の電圧依存性は小さかった。また上記と
同様の操作で作製した5点のサンプルについて、100
Vにおける体積抵抗値測定を行った結果、最大値と最小
値の差は3倍以下であり、サンプル間のばらつきも非常
に小さかった。同一サンプル内のばらつきも3倍以下で
あり、非常に小さかった。
【0098】フィルムの引張弾性率はフィラー未添加品
に比べて優れており、伸びは50%以上、引裂伝播強度
は50%以上を保持していた。線膨張係数、吸湿膨張係
数もフィラー未添加品よりも数ppm低下していた。
【0099】実施例1〜3、実施例4、実施例5の順に
引張弾性率は増加していた。これは、ベース樹脂の引張
弾性率がこの順に高くなっているためである。
【0100】(比較例1)DMF21gに酸化チタン−
酸化錫被覆フィラー(ET300W:石原産業(株):
比重5.0g/cm3、体積抵抗値1.0E+3Ω・cm
以下、平均粒径0.045μm)10.92gを分散さ
せた液を調整した以外は、実施例1と同様にしてポリイ
ミド管状物を得た。本管状物中のフィラー量はポリイミ
ド固形分100重量部に対して44部である。特性値を
表1に示す。
【0101】(比較例2)DMF21gにカーボンブラ
ック(#3030B:三菱化学(株):1.0E+1Ω
・cm以下)4.17gを分散させた液を調整した以外
は、実施例1と同様にしてポリイミド管状物を得た。本
管状物中のフィラー量はポリイミド固形分100重量部
に対して30部である。特性値を表1に示す。
【0102】以上のようにして得られた比較例1〜2の
ポリイミド樹脂におけるNNの体積抵抗値は狙い通りの
中抵抗領域に調整されていたが、HHでは非常に抵抗値
が低かった。またNNとHHの体積抵抗値の比は100
0倍以上であり、体積抵抗値の環境依存性は非常に大き
かった。また、100Vと1000Vで測定した体積抵
抗値の比は100倍以上あり、体積抵抗値の電圧依存性
は大きかった。また上記と同様の操作で作製した5点の
サンプルについて、500Vにおける体積抵抗値測定を
行った結果、最大値と最小値の差は3倍以上あり、サン
プル間のばらつきも非常に大きかった。同一サンプル内
のばらつきも3倍以上あり、非常に大きかった。
【0103】
【表1】
【0104】
【発明の効果】常温常湿から高温高湿において安定な中
抵抗値を有し、サンプル間、添加量変化、電圧変化、環
境変化による抵抗値の変動が少なく、絶縁性に優れ、機
械特性に優れ、搬送による帯電防止性や電子写真機での
転写性・定着性に優れ、光学系機器に隣接しても画像形
成に悪影響を及ぼさないように黒色であるポリイミド樹
脂を得る事ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/16 G03G 15/16 15/20 101 15/20 101 Fターム(参考) 2H033 AA23 BA11 BB02 BB26 2H171 FA10 FA15 FA19 FA26 GA24 QA24 QA29 QC05 QC14 QC37 QC40 UA03 UA05 UA07 UA10 UA22 XA03 2H200 FA01 GB40 JB06 JB45 JB46 JC03 JC15 JC16 LC09 MA04 MA12 MA13 MA14 MA17 MA20 MB04 4F071 AA60 AB03 AB06 AB29 AF14 AF21 AF37 AH16 BB02 BC01 BC02 4J002 CM041 DA016 DA036 DA066 DJ006 FD116 GQ00 GQ02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミド樹脂100重量部に対し、カ
    ーボンナノチューブを0.1〜40重量部含有し、体積
    抵抗値が1×106〜1×1013Ω・cmの範囲内にあ
    ることを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記カーボンナノチューブは短軸径が
    0.3μm以下であることを特徴とする請求項1に記載
    のポリイミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記カーボンナノチューブは気相成長法
    で得たカーボンナノチューブであることを特徴とする請
    求項1〜2のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記組成物が、前記カーボンナノチュー
    ブの他に、ポリイミド樹脂100重量部に対し、0.0
    1〜40重量部の導電性物質を含むことを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記導電性物質がカーボンブラック、金
    属、導電性セラミックスからなる群より選択される1種
    類または2種類以上の組み合わせであることを特徴とす
    る請求項4に記載のポリイミド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記ポリイミド樹脂が反応硬化型直鎖状
    ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜5に
    記載のポリイミド樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 イミド化促進剤として酸無水物および/
    または三級アミンを添加後、加熱焼成して得られること
    を特徴とする請求項1〜6に記載のポリイミド樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 前記ポリイミド管状物の常温常湿時の抵
    抗値Rnと高温高湿の体積抵抗値Rhの比(Rn/Rh)が
    0.03〜30の範囲内にあることを特徴とする請求項
    1〜7に記載のポリイミド樹脂組成物。
  9. 【請求項9】前記ポリイミド樹脂組成物の100V印加
    時の体積抵抗値R10 0Vと1000V印加時の体積抵抗値
    1000Vの比(R100V/R1000V)が0.03〜30の範
    囲内にあることを特徴とする請求項1〜8に記載のポリ
    イミド管状物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のポリ
    イミド樹脂組成物からなるポリイミドフィルム。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれかに記載のポリ
    イミド樹脂組成物からなるポリイミド管状物。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のポリイミド管状物
    であって、電子写真装置の転写ベルト、中間転写ベル
    ト、転写定着ベルトまたは定着ベルトのいずれかに使用
    されるポリイミド管状物。
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